(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144424
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20231003BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20231003BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
H01L21/304 645C
H01L21/304 643A
H01L21/30 572
H05H1/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051391
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】竹市 弥生
(72)【発明者】
【氏名】堀越 章
【テーマコード(参考)】
2G084
5F146
5F157
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA03
2G084BB07
2G084BB11
2G084BB12
2G084CC19
2G084CC34
2G084DD12
2G084DD22
2G084DD25
2G084DD32
2G084DD66
2G084DD67
5F146MA02
5F146MA10
5F146MA12
5F157AB02
5F157AB13
5F157AB33
5F157AB49
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157BB22
5F157BB64
5F157BG32
5F157BG39
5F157BG63
5F157BG72
5F157BG75
5F157CF22
5F157CF46
5F157CF48
5F157DB02
(57)【要約】
【課題】プラズマ処理中に基板の上面における液膜を保持する。
【解決手段】基板処理装置は、基板を水平に保持する基板保持部と、先端から処理液を吐出して、基板の上面の中心領域に処理液を供給する処理液ノズルと、基板保持部に保持された基板の上方の位置で、水平方向に配列された棒状の複数の第1の電極部材と、基板保持部に保持された基板の上方の位置で、平面視で複数の第1の電極部材と交互になる位置関係で水平方向に配列された棒状の複数の第2の電極部材と、複数の第1の電極部材と複数の第2の電極部材とに電気的に接続され、複数の第1の電極部材と複数の第2の電極部材とに電力を供給する交流電源とを備えるプラズマ発生装置と、を備え、複数の第1の電極部材のうちの少なくとも一つの電極部材は、処理液ノズルとの干渉を回避する迂回部を有する変形電極部材で構成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を水平に保持する基板保持部と、
先端から処理液を吐出して、前記基板の上面の中心領域に前記処理液を供給する処理液ノズルと、
前記基板保持部に保持された基板の上方の位置で、水平方向に配列された棒状の複数の第1の電極部材と、前記基板保持部に保持された基板の上方の位置で、平面視で前記複数の第1の電極部材と交互になる位置関係で水平方向に配列された棒状の複数の第2の電極部材と、前記複数の第1の電極部材と前記複数の第2の電極部材とに電気的に接続され、前記複数の第1の電極部材と前記複数の第2の電極部材とに電力を供給する交流電源とを備えるプラズマ発生装置と、を備え、
前記複数の第1の電極部材のうちの少なくとも一つの電極部材は、前記処理液ノズルとの干渉を回避する迂回部を有する変形電極部材で構成される、基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であり、
前記変形電極部材は、平面視で前記複数の第1の電極部材の内の前記基板の中心に最も近い電極部材であり、当該変形電極部材の前記迂回部が平面視で前記基板の中心から外れた位置に位置するように配置される、基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理装置であり、
前記変形電極部材は、両端部が直線状の棒状からなり、前記迂回部は、前記両端部の間の位置で上方に迂回した形状である、基板処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のうちのいずれかに記載の基板処理装置であり、
誘電体からなり、前記基板の上面を上方から覆う、第1の板状部材をさらに備え、
前記複数の第1の電極部材は、前記第1の板状部材の一方主面側に配列され、
前記複数の第2の電極部材は、前記第1の板状部材の他方主面側に配列され、
前記第1の板状部材には、前記処理液ノズルによる前記基板の上面への前記処理液の供給を許容する第1の貫通孔が形成される、基板処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の基板処理装置であり、
誘電体からなり、前記第1の板状部材の一方主面側に位置して、前記変形電極部材の前記迂回部と前記処理液ノズルとを内部に収容する絶縁部材と、
誘電体からなり、前記複数の第1の電極部材の各々と前記複数の第2の電極部材の各々を取り囲む複数の誘電管と、をさらに備えた、
基板処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の基板処理装置であり、
前記絶縁部材は前記迂回部と前記処理液ノズルを囲う、基板処理装置。
【請求項7】
請求項1から3のうちのいずれかに記載の基板処理装置であり、
誘電体からなり、前記基板の上面を上方から覆う第2の板状部材をさらに備え、
前記第2の板状部材は、前記複数の第1の電極部材の各々と前記複数の第2の電極部材の各々とを収容する複数の収容穴と、前記処理液ノズルによる前記基板の上面への前記処理液の供給を許容する第2の貫通孔とが形成された、基板処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の基板処理装置であり、
前記第2の板状部材は、前記迂回部の迂回する方向に沿って前記迂回部を囲う、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書に開示される技術は、基板処理技術に関するものである。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、有機EL(electroluminescence)表示装置などのflat panel display(FPD)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用ガラス基板、セラミック基板、電界放出ディスプレイ(field emission display、すなわち、FED)用基板、または、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板の上面に形成されたレジストを除去する技術が提案されている。たとえば、特許文献1には、基板の上面に硫酸および過酸化水素水の混合液を供給して、当該混合液中で生成されるカロ酸を用いて、基板の上面に形成されたレジストを除去する技術が開示されている。
【0003】
一方で、上記の技術よりも環境負荷が小さい代替技術として、特許文献2には、大気圧プラズマで活性種を発生させ、その活性種を基板の上面を覆う液膜に溶け込ませることで生じるカロ酸によってレジスト膜を剥離する技術が開示されている。当該技術によれば、過酸化水素水を用いずにレジストを除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-88208号公報
【特許文献2】特開2020-4561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、活性種を液膜に溶け込ませてカロ酸を生じさせる場合、基板の上面における液膜の膜厚が薄いほど、その表面で生じるカロ酸が基板に到達しやすくなる。そのため、レジスト剥離の効果が高くなる。
【0006】
一方で、基板の上面における液膜の膜厚が薄いと、プラズマ処理中の昇温によって液膜を形成する硫酸などが蒸発しやすくなる。液膜が蒸発してしまうと、レジスト剥離の効果が得られず、また、蒸発後に残留するレジスト残渣が基板に付着して除去が困難になる場合がある。
【0007】
本願明細書に開示される技術は、以上に記載されたような問題を鑑みてなされたものであり、プラズマ処理中に基板の上面における液膜を保持するための技術である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願明細書に開示される技術の第1の態様である基板処理装置は、基板を水平に保持する基板保持部と、先端から処理液を吐出して、前記基板の上面の中心領域に前記処理液を供給する処理液ノズルと、前記基板保持部に保持された基板の上方の位置で、水平方向に配列された棒状の複数の第1の電極部材と、前記基板保持部に保持された基板の上方の位置で、平面視で前記複数の第1の電極部材と交互になる位置関係で水平方向に配列された棒状の複数の第2の電極部材と、前記複数の第1の電極部材と前記複数の第2の電極部材とに電気的に接続され、前記複数の第1の電極部材と前記複数の第2の電極部材とに電力を供給する交流電源とを備えるプラズマ発生装置と、を備え、前記複数の第1の電極部材のうちの少なくとも一つの電極部材は、前記処理液ノズルとの干渉を回避する迂回部を有する変形電極部材で構成される。
【0009】
第1の態様の基板処理装置によれば、基板へのプラズマ処理中に処理液ノズルから基板に処理液を吐出することができる。このため、基板の上面において液膜を効果的に保持することができる。
【0010】
本願明細書に開示される技術の第2の態様である基板処理装置は、第1の態様である基板処理装置に関連し、前記変形電極部材は、平面視で前記複数の第1の電極部材の内の前記基板の中心に最も近い電極部材であり、当該変形電極部材の前記迂回部が平面視で前記基板の中心から外れた位置に位置するように配置される。
【0011】
第2の態様の基板処理装置によれば、プラズマ発生装置が処理位置に位置する時に、プラズマの発生が抑制される領域が、基板の中心位置とは重ならない。また、基板の上面に対するプラズマ処理の均一性を高めることができる。
【0012】
本願明細書に開示される技術の第3の態様である基板処理装置は、第2の態様である基板処理装置に関連し、前記変形電極部材は、両端部が直線状の棒状からなり、前記迂回部は、前記両端部の間の位置で上方に迂回した形状である。
【0013】
第3の態様の基板処理装置によれば、プラズマ処理中に処理液ノズルから基板に処理液を吐出することを一層良好に行うことができる。
【0014】
本願明細書に開示される技術の第4の態様である基板処理装置は、第1から3のうちのいずれか1つの態様である基板処理装置に関連し、誘電体からなり、前記基板の上面を上方から覆う、第1の板状部材をさらに備え、前記複数の第1の電極部材は、前記第1の板状部材の一方主面側に配列され、前記複数の第2の電極部材は、前記第1の板状部材の他方主面側に配列され、前記第1の板状部材には、前記処理液ノズルによる前記基板の上面への前記処理液の供給を許容する第1の貫通孔が形成される。
【0015】
本願明細書に開示される技術の第5の態様である基板処理装置は、第4の態様である基板処理装置に関連し、誘電体からなり、前記第1の板状部材の一方主面側に位置して、前記変形電極部材の前記迂回部と前記処理液ノズルとを内部に収容する絶縁部材と、誘電体からなり、前記複数の第1の電極部材の各々と前記複数の第2の電極部材の各々を取り囲む複数の誘電管と、をさらに備える。
【0016】
本願明細書に開示される技術の第6の態様である基板処理装置は、第5の態様である基板処理装置に関連し、前記絶縁部材は前記迂回部と前記処理液ノズルを囲う。
【0017】
第6の態様の基板処理装置によれば、アーキングの発生を一層防止できる。
【0018】
本願明細書に開示される技術の第7の態様である基板処理装置は、第1から3のうちのいずれか1つの態様である基板処理装置に関連し、誘電体からなり、前記基板の上面を上方から覆う第2の板状部材をさらに備え、前記第2の板状部材は、前記複数の第1の電極部材の各々と前記複数の第2の電極部材の各々とを収容する複数の収容穴と、前記処理液ノズルによる前記基板の上面への前記処理液の供給を許容する第2の貫通孔とが形成される。
【0019】
本願明細書に開示される技術の第8の態様である基板処理装置は、第7の態様である基板処理装置に関連し、前記第2の板状部材は、前記迂回部の迂回する方向に沿って前記迂回部を囲う。
【発明の効果】
【0020】
本願明細書に開示される技術の少なくとも第1の態様によれば、プラズマ処理中に処理液ノズルから基板に処理液を吐出することができるため、基板の上面において液膜を効果的に保持することができる。
【0021】
また、本願明細書に開示される技術に関連する目的と、特徴と、局面と、利点とは、以下に示される詳細な説明と添付図面とによって、さらに明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施の形態に関する基板処理システムの構成の例を概略的に示す平面図である。
【
図2】
図1に示された制御部の構成の例を概念的に示す図である。
【
図3】本実施の形態における基板処理装置の構成の例を概略的に示す側面図である。
【
図4】プラズマ発生部の構成の例を示す平面図である。
【
図5】プラズマ発生部の構成の例を示す断面図である。
【
図6】基板処理装置の動作の例を示すフローチャートである。
【
図7】実施の形態に関する基板処理装置の動作を説明するための図である。
【
図8】本実施の形態における基板処理装置の構成の例を概略的に示す側面図である。
【
図9】プラズマ発生部の構成の例を示す平面図である。
【
図10】プラズマ発生部の構成の例を示す断面図である。
【
図11】実施の形態に関する基板処理装置の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の実施の形態では、技術の説明のために詳細な特徴なども示されるが、それらは例示であり、実施の形態が実施可能となるためにそれらすべてが必ずしも必須の特徴ではない。
【0024】
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化などが図面においてなされるものである。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、断面図ではない平面図などの図面においても、実施の形態の内容を理解することを容易にするために、ハッチングが付される場合がある。
【0025】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0026】
また、本願明細書に記載される説明において、ある構成要素を「備える」、「含む」または「有する」などと記載される場合、特に断らない限りは、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0027】
また、本願明細書に記載される説明において、「第1の」または「第2の」などの序数が使われる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上使われるものであり、実施の形態の内容はこれらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0028】
また、本願明細書に記載される説明において、「…軸正方向」または「…軸負方向」などの表現は、図示される…軸の矢印に沿う方向を正方向とし、図示される…軸の矢印とは反対側の方向を負方向とするものである。
【0029】
また、本願明細書に記載される説明における、相対的または絶対的な位置関係を示す表現、たとえば、「一方向に」、「一方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」または「同軸」などは、特に断らない限りは、その位置関係を厳密に示す場合と、公差または同程度の機能が得られる範囲において角度または距離が変位している場合とを含むものとする。
【0030】
また、本願明細書に記載される説明において、等しい状態であることを示す表現、たとえば、「同一」、「等しい」、「均一」または「均質」などは、特に断らない限りは、厳密に等しい状態であることを示す場合と、公差または同程度の機能が得られる範囲において差が生じている場合とを含むものとする。
【0031】
また、本願明細書に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置または方向を意味する用語が使われる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上使われるものであり、実施の形態が実際に実施される際の位置または方向とは関係しないものである。
【0032】
また、本願明細書に記載される説明において、「…の上面」または「…の下面」などと記載される場合、対象となる構成要素の上面自体または下面自体に加えて、対象となる構成要素の上面または下面に他の構成要素が形成された状態も含むものとする。すなわち、たとえば、「Aの上面に設けられるB」と記載される場合、AとBとの間に別の構成要素「C」が介在することを妨げるものではない。
【0033】
<第1の実施の形態>
以下、本実施の形態に関する基板処理装置について説明する。
【0034】
<基板処理システムの構成について>
図1は、本実施の形態に関する基板処理システム1の構成の例を概略的に示す平面図である。基板処理システム1は、ロードポート400と、インデクサロボット402と、センターロボット406と、制御部90と、少なくとも1つの基板処理装置100(
図1においては4つの基板処理装置)とを備える。
【0035】
それぞれの基板処理装置100は、基板W(ウエハ)を処理するためのものである。基板処理装置は、基板処理に用いることができる枚葉式の装置であり、具体的には、基板Wに付着している有機物を除去する処理、または、基板Wにおける金属エッチングなどを行う装置である。基板Wに付着している有機物は、たとえば、使用済のレジスト膜である。当該レジスト膜は、たとえば、イオン注入工程用の注入マスクとして用いられたものである。
【0036】
なお、基板処理装置100は、チャンバ80を有することができる。その場合、チャンバ80内の雰囲気を制御部90によって制御することで、基板処理装置100は、所望の雰囲気中における処理を行うことができる。
【0037】
制御部90は、基板処理システム1におけるそれぞれの構成の動作を制御することができる。キャリアCは、基板Wを収容する収容器である。また、ロードポート400は、複数のキャリアCを保持する収容器保持機構である。インデクサロボット402は、ロードポート400と基板載置部404との間で基板Wを搬送することができる。センターロボット406は、基板載置部404および基板処理装置100間で基板Wを搬送することができる。
【0038】
インデクサロボット402、基板載置部404およびセンターロボット406は、それぞれの基板処理装置100とロードポート400との間で基板Wを搬送する。
【0039】
未処理の基板WはキャリアCからインデクサロボット402によって取り出される。そして、未処理の基板Wは、基板載置部404を介してセンターロボット406に受け渡される。
【0040】
センターロボット406は、当該未処理の基板Wを基板処理装置100に搬入する。そして、基板処理装置100は基板Wに対して処理を行う。
【0041】
基板処理装置100において処理済みの基板Wは、センターロボット406によって基板処理装置100から取り出される。そして、処理済みの基板Wは、必要に応じて他の基板処理装置100を経由した後、基板載置部404を介してインデクサロボット402に受け渡される。インデクサロボット402は、処理済みの基板WをキャリアCに搬入する。以上によって、基板Wに対する処理が行われる。
【0042】
図2は、
図1に示された制御部90の構成の例を概念的に示す図である。制御部90は、電気回路を有する一般的なコンピュータによって構成されていてよい。具体的には、制御部90は、中央演算処理装置(central processing unit、すなわち、CPU)91、リードオンリーメモリー(read only memory、すなわち、ROM)92、ランダムアクセスメモリー(random access memory、すなわち、RAM)93、記憶装置94、入力部96、表示部97および通信部98と、これらを相互に接続するバスライン95とを備える。
【0043】
ROM92は基本プログラムを格納している。RAM93は、CPU91が所定の処理を行う際の作業領域として用いられる。記憶装置94は、フラッシュメモリまたはハードディスク装置などの不揮発性記憶装置によって構成されている。入力部96は、各種スイッチまたはタッチパネルなどによって構成されており、オペレータから処理レシピなどの入力設定指示を受ける。表示部97は、たとえば、液晶表示装置およびランプなどによって構成されており、CPU91の制御の下、各種の情報を表示する。通信部98は、local area network(LAN)などを介してのデータ通信機能を有する。
【0044】
記憶装置94には、
図1の基板処理システム1におけるそれぞれの構成の制御についての複数のモードがあらかじめ設定されている。CPU91が処理プログラム94Pを実行することによって、上記の複数のモードのうちの1つのモードが選択され、当該モードでそれぞれの構成が制御される。なお、処理プログラム94Pは、記録媒体に記憶されていてもよい。この記録媒体を用いれば、制御部90に処理プログラム94Pをインストールすることができる。また、制御部90が実行する機能の一部または全部は、必ずしもソフトウェアによって実現される必要はなく、専用の論理回路などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0045】
図3は、本実施の形態における基板処理装置100の構成の例を概略的に示す側面図である。
図3においては、構成の一部が透過して示されている。
【0046】
なお、
図3に示される構成は、
図1におけるチャンバ80に囲まれていてよい。また、チャンバ80内の圧力は、およそ大気圧(たとえば、0.5気圧以上、かつ、2気圧以下)である。言い換えれば、後述するプラズマ処理は、大気圧で行われる大気圧プラズマ処理である。
【0047】
基板処理装置100は、1枚の基板Wを略水平姿勢で保持しつつ、基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線Z1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック10と、基板Wの回転軸線Z1まわりにスピンチャック10を取り囲む筒状の処理カップ12と、プラズマ発生機構55とを備える。
【0048】
プラズマ発生機構55は、基板Wの上方に基板W全体を覆うように配置され、かつ、大気圧下でプラズマを生じさせる大気圧プラズマ源としてのプラズマ発生部30と、プラズマ発生部30に交流電圧を印加する交流電源40と、基板Wに処理液を吐出する処理液ノズル20と、処理液ノズル20に処理液を供給する処理液供給源29と、処理液供給源29から処理液ノズル20への処理液の供給および供給停止を切り替えるバルブ25と、プラズマ発生部30および処理液ノズル20を支持する支持部60と、支持部60を待機位置と処理位置との間で移動させるプラズマ移動機構70とを備える。支持部60が待機位置と処理位置との間で移動すると、プラズマ発生部30および処理液ノズル20もまた、待機位置と処理位置との間で移動する。
【0049】
ここで、待機位置とは、プラズマ発生部30が、スピンチャック10に保持されている基板Wに対してプラズマ処理をしない位置である。待機位置とは、例えば、プラズマ発生部30で発生されるプラズマが基板Wに作用しない程度に、プラズマ発生部30と基板Wとの距離が十分に大きくなる位置である(例えば、
図3)。一方、処理位置とは、プラズマ発生部30が、スピンチャック10に保持されている基板Wに対してプラズマ処理をする位置である。処理位置とは、例えば、プラズマ処理に必要な量の活性種を基板Wに作用させることができる程度に、プラズマ発生部30と基板Wとの距離が十分に小さい位置である(例えば、
図7)。
【0050】
ここで、処理液には、基板処理装置100における基板処理の用途に応じてさまざまな液を用いることができる。たとえば、エッチング液として、塩酸、フッ酸、リン酸、硝酸、硫酸、硫酸塩、ペルオキソ硫酸、ペルオキソ硫酸塩、過酸化水素水、水酸化テトラメチルアンモニウムまたはアンモニアと過酸化水素水との混合液(SC1)などを含む液を用いることができる。また、洗浄液として、アンモニアと過酸化水素水との混合液(SC1)、または、塩酸と過酸化水素水との混合水溶液(SC2)などを含む液を用いることができる。また、洗浄液およびリンス液として脱イオン水(DIW)を用いることができる。
【0051】
本実施の形態においては、主に、基板Wの上面に形成されたレジスト膜を除去するための処理が説明される。この場合には、処理液としては、硫酸、硫酸塩、ペルオキソ硫酸およびペルオキソ硫酸塩のうちの少なくとも1つを含む液、または、過酸化水素を含む液などが想定される。
【0052】
処理液ノズル20は、複数種の処理液が想定される場合には、それぞれの処理液に対応して複数設けられていてもよい。処理液ノズル20は、基板Wの上面に処理液の液膜が形成されるように、基板Wに処理液を供給する。処理液ノズル20は、後述する板状部材30Aの貫通孔330と絶縁部材30Iの貫通孔350に挿通されることにより、プラズマ発生部30を貫通するように設けられる。
【0053】
スピンチャック10は、略水平姿勢の基板Wの下面を真空吸着する円板状のスピンベース10Aと、スピンベース10Aの中央部から下方に延びる回転軸10Cと、回転軸10Cを回転させることによって、スピンベース10Aに吸着されている基板Wを回転させるスピンモータ10Dとを備える。なお、スピンチャック10の代わりに、スピンベースの上面外周部から上方に突出する複数のチャックピンを備え、当該チャックピンによって基板Wの周縁部を挟持する挟持式のチャックが用いられてもよい。
【0054】
<プラズマ発生部30について>
プラズマ発生部30は、石英などの誘電体からなる板状部材30Aと、板状部材30Aの上面側において櫛形状に配置される複数の電極棒30Bと、板状部材30Aの下面側において櫛形状に配置される複数の電極棒30Cと、樹脂(たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))またはセラミックスなどからなり、かつ、複数の電極棒30Bおよび複数の電極棒30Cを一端において保持する保持部30Dと、石英などの誘電体からなり、かつ、それぞれの電極棒30Bを取り囲む誘電管30Eと、石英などの誘電体からなり、かつ、それぞれの電極棒30Cを取り囲む誘電管30Fと、複数の電極棒30Bに共通して接続される、アルミニウムなどからなる集合電極30Gと、複数の電極棒30Cに共通して接続される、アルミニウムなどからなる集合電極30Hと、石英などの誘電体からなる絶縁部材30Iを備える。集合電極30Gと集合電極30Hとは、たとえば、合わせて平面視で円形状となるように配置され、当該円内に、複数の電極棒30Bおよび複数の電極棒30Cが収容される。
【0055】
板状部材30Aは、平面視で基板Wよりも大径の円形状に構成され、プラズマ発生部30が処理位置に位置する時に、基板Wの上面を上方から覆う。板状部材30Aには、平面視で基板Wの中心W1からY方向に、電極棒30Bと電極棒30Cの間の距離(1ピッチ分の距離)だけずれた位置に、その中心が位置するように貫通孔330が形成される。貫通孔330は、絶縁部材30Iが貫通可能に形成される。貫通孔330は、後述する電極棒30BHの迂回部302Cと、平面視で重なる位置に形成される。貫通孔330は、処理液ノズルによる基板Wの上面への処理液101の供給を許容する。
【0056】
複数の電極棒30Bは、少なくとも一つの電極棒が他の電極棒とは形状が異なる電極棒30BHから構成される。複数の電極棒30Bは、例えば、タングステンなどから形成される。複数の電極棒30Bは、例えば、棒形状である。複数の電極棒30Bは、例えば、その一端から他端まで真っ直ぐに延びる直線状の棒状からなる。
【0057】
電極棒30BHは、例えば、タングステンなどから形成される。電極棒30BHは、例えば、直線状の棒状の電極棒の中央部が上方に向かう凸形に曲がった形状である。電極棒30BHは、集合電極30Gとの接点が設けられる側の端部を含む直線状の棒状の第1棒状部302Aと、第1棒状部302Aとは反対側の端部を含む直線状の棒状の第2棒状部302Bと、第1棒状部302Aと第2棒状部302Bとの間の位置で上方に向かう凸形に曲がった形状の迂回部302Cとを有する。迂回部302Cは、第1棒状部302Aと第2棒状部302Bとの間で、上方に迂回した形状である。
【0058】
複数の電極棒30Cは、例えば、タングステンなどから形成される。複数の電極棒30Cは、例えば、棒形状である。複数の電極棒30Cは、例えば、その一端から他端までまっすぐに延びる直線状の棒状からなる。
【0059】
複数の電極棒30Bと複数の電極棒30Cとは、平面視で重ならないように互い違いに配置される。すなわち、平面視で見れば、複数の電極棒30Bと複数の電極棒30Cとは、交互に配列される。
【0060】
複数の電極棒30Bは、プラズマ発生部30が処理位置に位置する時に、複数の電極棒30Bのうち平面視で基板Wの中心位置W1に最も近接する少なくとも一つの電極棒が、電極棒30BHで構成される。また、電極棒30BHの迂回部302Cは、プラズマ発生部30が処理位置に位置する時に、平面視で基板Wの中心位置W1とは重ならない。電極棒30BHは、プラズマ発生部30が処理位置に位置する時に、平面視で複数の電極棒30Bの内の基板Wの中心位置W1に最も近い電極棒であり、電極棒30BHの迂回部302Cが平面視で基板Wの中心位置W1から外れた位置に位置するように配置される。
【0061】
複数の誘電管30Eの各々は、複数の電極棒30Bの各々を取り囲む(
図4参照)。
【0062】
それぞれの電極棒30Bを取り囲む誘電管30Eは、電極棒30Bが保持部30Dに保持される端部の側とは反対側の端部において保持部30Dに保持される。
【0063】
また、
図3に示すように、複数の誘電管30Eのうちの電極棒30BHを取り囲む誘電菅は、電極棒30BHの第1棒状部302Aを取り囲む誘電管312と、電極棒30BHの第2棒状部302Bを取り囲む誘電管313とから構成される、電極棒30BHの第1棒状部302Aを取り囲む誘電管312は、電極棒30BHが保持部30Dに保持される端部の側とは反対側の端部において、後述する絶縁部材30Iに保持される。
【0064】
電極棒30BHの第2棒状部302Bを取り囲む誘電管313は、一端が後述する絶縁部材30Iに保持され、他端が保持部30Dに保持される。
【0065】
それぞれの電極棒30Cを取り囲む誘電管30Fは、電極棒30Cが保持部30Dに保持される端部の側とは反対側の端部において保持部30Dに保持される。
【0066】
これによって、電極棒30Bは、一端が保持部30Dによって直接保持され、他端が誘電管30Eを介して保持部30Dによって保持される。
【0067】
電極棒30BHの第1棒状部302Aは、一端が保持部30Dによって直接保持され、他端が誘電管312を介して絶縁部材30Iによって保持される。
【0068】
電極棒30BHの第2棒状部302Bは、一端が誘電管313を介して絶縁部材30Iによって保持され、他端が誘電管313を介して保持部30Dによって保持される。
【0069】
電極棒30Cは、一端が保持部30Dによって直接保持され、他端が誘電管30Fを介して保持部30Dによって保持される。
【0070】
絶縁部材30Iは、支持部60によって支持される。絶縁部材30Iは、板状部材30Aの上面側に配置される。
図5の断面図に示すように、絶縁部材30Iは、板状部材30Aの貫通孔330に挿入固定され、絶縁部材30Iの下端面が板状部材30Aの下面よりも下方に位置する状態で、板状部材30Aよりも上方に突き出す形で設けられる。また、絶縁部材30Iは、誘電管312の一端を保持する。絶縁部材30Iは、誘電管313の一端を保持する。
【0071】
絶縁部材30Iには、電極棒30BHの迂回部302Cを収容する収容空間340が形成される。また、絶縁部材30Iには、絶縁部材30Iの側面に図示しない2つの開口が形成されており、かかる開口を通じて電極棒30BHの第2棒状部302Bの一端と、電極棒30BHの第1棒状部302Aの一端とが収容空間340に配置される。さらに、絶縁部材30Iには、その上面から下面に向けて、-Y方向の下方に向かって傾斜する貫通孔350が形成されている。かかる貫通孔350に処理液ノズル20が挿通される。プラズマ発生部30が処理位置に位置する時に、処理液ノズル20は、絶縁部材30Iの貫通孔350に挿通、収容された状態で、基板Wの中心位置W1に向けて処理液を供給できるように位置決めされる。収容空間340と貫通孔350とは、平面視で一部が重なるように形成される。
【0072】
収容空間340は、誘電管312の一端側から空間が上方に延びる収容空間340C1と、空間が水平方向に延びる収容空間340C2と、誘電管313の一端側に向かって空間が下方に延びる収容空間340C3とを有する。収容空間340C1と収容空間340C2と収容空間340C3は、迂回部302Cを囲う。収容空間340は、迂回部302Cを囲う。収容空間340は、迂回部302Cが迂回する方向に沿って迂回部302Cを囲う。
【0073】
電極棒30BHの迂回部302Cは、絶縁部材30Iの収容空間340に収容される。処理液ノズル20は、貫通孔350に収容される。電極棒30BHの迂回部302Cと処理液ノズル20は、絶縁部材30Iの内部に収容される。また、絶縁部材30Iは、電極棒30BHの迂回部302Cと処理液ノズル20を囲う。迂回部302Cと処理液ノズル20とは、平面視で一部が重なる。処理液ノズル20は、処理位置に位置する時に、吐出口が基板Wの中心位置W1を向く。電極棒30BHの迂回部302Cと、処理液ノズル20とは、干渉しない。電極棒30BHの迂回部302Cと処理液ノズル20との干渉は回避される。
【0074】
交流電源40によって、集合電極30Gおよび集合電極30Hとの間に交流電圧が印加されると、集合電極30Gに接続される各電極棒30Bと集合電極30Hに接続される各電極棒30Cとの間に交流電圧が印加される。その結果、電極棒30Bと電極棒30Cとの間で誘電体バリア放電が生じる。そして、当該放電の放電経路の周囲で気体のプラズマ化が生じて、電極棒30Bと電極棒30Cとを隔てる板状部材30Aの表面に沿って2次元的に広がるプラズマ空間が形成される。
【0075】
ここで、上記のプラズマ空間が形成される際に、プラズマ発生部30の下方の空間(すなわち、基板Wの上方の空間)に、たとえば、O2(酸素)、CO2、空気、不活性ガスまたはそれらの組み合わせである気体が供給されてもよい。不活性ガスは、たとえば、N2または希ガスである。希ガスは、たとえば、HeまたはArなどである。
【0076】
なお、電極棒30BHの迂回部302Cと電極棒30Cとの間の距離は、電極棒30BHの第1棒状部302Aと電極棒30Cとの間の距離よりも大きい。電極棒30BHの迂回部302Cと電極棒30Cとの間の距離は、電極棒30BHの第2棒状部302Bと電極棒30Cとの間の距離よりも大きい。電極棒30BHの迂回部302Cと電極棒30Cとの間の距離は、電極棒30Bと電極棒30Cとの間の距離よりも大きい。一方、電極棒30BHの第1棒状部302Aと電極棒30Cとの間の距離と、電極棒30BHの第2棒状部302Bと電極棒30Cとの間の距離と、電極棒30Bと電極棒30Cとの間の距離とは、同じである。このため、電極棒30BHの迂回部302Cと電極棒30Cとの間では、誘電体バリア放電の発生が抑制される。電極棒30BHの迂回部302Cと電極棒30Cとの間では、プラズマの発生が抑制される。
【0077】
<基板処理装置の動作について>
次に、基板処理装置の動作について説明する。本実施の形態に関する基板処理装置による基板の処理方法は、基板処理装置100へ搬送された基板Wに対し薬液処理を行う工程と、薬液処理が行われた基板Wに対し洗浄処理を行う工程と、洗浄処理が行われた基板Wに対し乾燥処理を行う工程と、乾燥処理が行われた基板Wを基板処理装置100から搬出する工程とを備える。
【0078】
以下では、基板処理装置の動作に含まれる、薬液処理中または薬液処理後に基板Wに付着している有機物(たとえば、使用済みのレジスト膜)を除去する工程(すなわち、上記の工程のうちの、薬液処理を行う工程、または、洗浄処理を行う工程に属する工程)について、
図6および
図7を参照しつつ説明する。ここで、
図6は、基板処理装置の動作の例を示すフローチャートである。また、
図7は、本実施の形態に関する基板処理装置の動作を説明するための図である。
【0079】
まず、スピンチャック10が基板Wを保持する(
図6におけるステップST01)。そして、スピンチャック10の駆動によって、基板Wが回転する。
【0080】
次に、プラズマ移動機構が、支持部60を待機位置から処理位置に移動させる。これにより、プラズマ発生部30および処理液ノズル20を、待機位置から処理位置に移動させる(
図6におけるステップST02)。
【0081】
そして、
図7に例が示されるように、処理液供給源29から処理液ノズル20へ処理液101が供給され、基板Wが回転している状態で、処理液ノズル20から基板Wの上面へ処理液101が吐出される(
図6におけるステップST03)。なお、本実施の形態においては、基板Wが回転している状態で処理液101が吐出される場合が示されるが、基板Wは回転していなくともよい。
【0082】
処理液ノズル20から処理液101が吐出されることによって、
図7に例が示されるように、基板Wの上面に処理液101の液膜101Aが形成される(
図6におけるステップST04)。ここで、液膜101Aの膜厚は、たとえば、0.1mm以上、かつ、2.0mm以下であり、好ましくは0.2mm程度である。
【0083】
処理液ノズル20から処理液101が吐出されている状態で、集合電極30Gおよび集合電極30Hとの間に交流電源40からの所定の交流電圧が印加されることによって、迂回部302Cの直下の位置を除いて、プラズマ発生部30における板状部材30Aの表面にプラズマが生じる(
図6におけるステップST05)。具体的には、迂回部302Cの直下を除く板状部材30Aの表面に沿って2次元的に広がる、プラズマ空間が形成される。当該プラズマ空間におけるプラズマの作用によって、当該空間近傍の気体に活性種が生じる。活性種には、電荷を有するイオン、または、電気的に中性であるラジカルなどが含まれる。たとえば、気体がO
2を含むものである場合は、プラズマ発生部30におけるプラズマの作用によって、活性種の一種である酸素ラジカルが生じる。
【0084】
そして、
図7に例が示されるように、プラズマ発生部30におけるプラズマ102の作用で生じた活性種が、液膜101Aへと供給される(
図6におけるステップST06)。このステップST06がプラズマ処理の例である。
【0085】
活性種が液膜101Aへと供給されることによって、液膜101A中で活性種が処理液101を活性化する。具体的な一例として、活性種は基板Wの上面の硫酸の液膜101Aに作用する。これによって、処理液101の処理性能が高まる。具体的には、活性種と硫酸との反応によって、処理性能(ここでは酸化力)の高いカロ酸が生成される。カロ酸はペルオキソ一硫酸とも呼ばれる。当該カロ酸が基板Wのレジストに作用することで、レジストを酸化除去することができる。
【0086】
また、活性種が酸素ラジカルを含む場合、酸素ラジカルの酸化力によって基板W上のレジスト膜の除去が促進される。
【0087】
なお、プラズマ処理中に液膜101Aを形成している処理液101をリフレッシュ(具体的には、一旦排液して新たに液膜101Aを形成してもよいし、処理液101の吐出量を増やして処理液101を押し流してもよい)してもよい。そのようにすれば、リフレッシュしない場合に比べてレジスト膜の除去能力を高く維持することができる。そのため、基板処理の時間を短縮することができる。
【0088】
また、上記の除去処理の後、通常は、基板Wのリンス工程(洗浄工程)および乾燥工程が行われる。たとえば、リンス工程は、基板Wへ純水(DIW)を吐出することによって行われ、乾燥工程は、イソプロピルアルコール(IPA)による乾燥が行われるが、基板Wを高速回転させる振り切り乾燥または基板上面へ窒素ガスを吐出するN2ブローなどが行われてもよい。
【0089】
<第1の実施の形態の効果>
以上のように、本実施の形態によれば、処理液ノズル20は、絶縁部材30Iの貫通孔350に収容され、処理液ノズル20が処理位置に位置する時に、処理液ノズル20の吐出口が基板Wの中心位置W1を向くように設けられる。よって、プラズマ発生部30を待機位置に退避させずに処理液ノズル20から処理液101を基板Wの上面に吐出することができる。プラズマ発生部30を待機位置に退避させずに処理液ノズル20から処理液101を基板Wの中心位置W1に吐出することができる。すなわち、プラズマ処理を行っている間であっても、基板Wの上面に液膜101Aを形成し続けることができる。また、プラズマ発生部30を待機位置に退避させずに処理液ノズル20から処理液101を基板Wの上面に吐出することができるため、スループットを向上させることができる。
【0090】
また、プラズマ処理中の昇温によって液膜101Aが蒸発してしまうことを抑制することができる。さらには、プラズマ処理中の温度に応じて処理液ノズル20から吐出される処理液101の流量を調整すれば、プラズマ処理中に保持される液膜101Aの膜厚を薄くすることができるため、レジスト剥離の効果を高めることができる。
【0091】
また、本実施の形態によれば、電極棒30BHの迂回部302Cと電極棒30Cとの間では、プラズマの発生が抑制される。一方、電極棒302の第1棒状部302Aと電極棒30Cとの間、および電極棒30BHの第2棒状部302Bと電極棒30Cとの間では、プラズマの発生は抑制されない。処理液ノズル20をプラズマ発生部30に近接させて設ける場合には、処理液ノズル20とプラズマ発生部30との間でアーキングが発生しないように、処理液ノズル20周囲のプラズマの発生を抑制する必要がある。このため、処理液ノズル20を設ける位置に近接する電極棒を除去することも考えられる。このようにすると、処理液ノズル20周囲のプラズマの発生を抑制することができるが、プラズマの発生が抑制される領域が大きくなってしまう。しかしながら、本実施の形態では、プラズマの発生が抑制される領域を、迂回部302Cと電極棒30Cとの間の領域のみに留めることができる。
【0092】
また、プラズマ発生部30が処理位置に位置するときに、迂回部302Cは平面視で基板Wの中心位置W1とは重ならない。このため、回転している基板Wに対してプラズマ処理を行う場合には、基板Wの上面の全面にプラズマ処理を行うことができる。このため、基板Wの上面のうち、プラズマ処理が行われない領域は生じない。また、基板Wの上面に対するプラズマ処理の均一性を高めることができる。
【0093】
また、本実施の形態によれば、処理液ノズル20の吐出口が基板Wの中心位置W1に向けられているので処理液101を基板Wの中心位置W1に吐出することができる。このため、基板Wの上面において液膜101Aを均一に形成することができる。
【0094】
なお、迂回部230が平面視で基板Wの中心位置W1に配置されていてもよい。その場合には、処理液ノズル20はZ軸負方向に沿って基板Wに対して垂直(公差、または、同程度の機能が得られる範囲で変位している場合を含む)に延びて設けられる。すなわち、処理液ノズル20は、基板Wと平行に配置される電極棒30Bと電極棒30Cとを含む平面に対して、垂直に横切るように設けられる。そうすることで、基板Wの中心位置W1に処理液101を吐出することができる。そして、電極棒230Bは、処理液ノズル20を迂回するために、Z軸正方向に曲がりつつも、Y軸正方向またはY軸負方向に傾斜して設けられる。
【0095】
<第2の実施の形態>
本実施の形態に関する基板処理装置について説明する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0096】
図8は、本実施の形態における基板処理装置100Aの構成の例を概略的に示す側面図である。
図8においては、構成の一部が透過して示されている。
【0097】
なお、
図8に示される構成は、
図1におけるチャンバ80に囲まれていてよい。また、チャンバ80内の圧力は、およそ大気圧(たとえば、0.5気圧以上、かつ、2気圧以下)である。言い換えれば、後述するプラズマ処理は、大気圧で行われる大気圧プラズマ処理である。
【0098】
基板処理装置100Aは、スピンチャック10と、処理カップ12と、プラズマ発生機構55Aとを備える。プラズマ発生機構55Aは、基板Wの上方に基板W全体を覆うように配置され、かつ、大気圧下でプラズマを生じさせる大気圧プラズマ源としてのプラズマ発生部130と、プラズマ発生部130に交流電圧を印加する交流電源40と、処理液ノズル20と、処理液供給源29と、バルブ25と、プラズマ発生部130および処理液ノズル20を支持する支持部60と、支持部60を待機位置と処理位置との間で移動させるプラズマ移動機構70とを備える。支持部60が待機位置と処理位置との間で移動すると、プラズマ発生部130および処理液ノズル20もまた、待機位置と処理位置との間で移動する。
【0099】
<プラズマ発生部130について>
プラズマ発生部130は、石英などの誘電体からなる板状部材32Aと、板状部材32A内に収容されて櫛形状に配置される複数の電極棒30Jと、板状部材32A内に収容されて櫛形状に配置される複数の電極棒30Kと、樹脂(たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))またはセラミックスなどからなり、かつ、複数の電極棒30Jおよび複数の電極棒30Kをそれぞれ一端において保持する保持部30Lと、複数の電極棒30Jに共通して接続される、アルミニウムなどからなる集合電極30Mと、複数の電極棒30Kに共通して接続される、アルミニウムなどからなる集合電極30Nとを備える。集合電極30Mと集合電極30Nとは、たとえば、合わせて平面視で円形状となるように配置され、当該円内に、複数の電極棒30Jおよび複数の電極棒30Kが収容される。
【0100】
複数の電極棒30Jは、少なくとも一つの電極棒が他の電極棒とは形状が異なる電極棒30JHから構成される。複数の電極棒30Jは、例えば、タングステンなどから形成される。複数の電極棒30Jは、例えば、棒形状である。複数の電極棒30Jは、例えば、その一端から他端まで真っ直ぐに延びる直線状の棒状である。
【0101】
電極棒30JHは、例えば、タングステンなどから形成される。電極棒30JHは、例えば、直線状の棒状の電極棒の中央部が上方に向けて凸形に曲がった形状である。電極棒30JHは、集合電極30Mとの接点が設けられる側の端部を含む直線状の棒状の第1棒状部502Aと、第1棒状部502Aとは反対側の端部を含む直線状の棒状の第2棒状部502Bと、第1棒状部502Aと第2棒状部502Bとの間の位置で上方に向けて凸形に曲がった形状の迂回部502Cとを有する。迂回部502Cは、第1棒状部502Aと第2棒状部502Bとの間で、上方に迂回した形状である。
【0102】
複数の電極棒30Kは、例えば、タングステンなどから形成される。複数の電極棒30Kは、例えば、棒形状である。複数の電極棒30Kは、例えば、その一端から他端まで真っ直ぐに延びる直線状の棒状である。
【0103】
複数の電極棒30Jと複数の電極棒30Kとは、平面視で重ならないように互い違いに配置される。すなわち、平面視で見れば、電極棒30Jと電極棒30Kとは、交互に配列される。
【0104】
一方で、
図8に示される側面視においては、複数の電極棒30Jと複数の電極棒30Kとは、互いに重なって配置される。なお、
図8に示される側面視において、複数の電極棒30Jと複数の電極棒30Kとは、互いに重なっていなくてもよく、たとえば、
図8のZ軸方向にずれて配置されていてもよい。
【0105】
複数の電極棒30Jは、プラズマ発生部130が処理位置に位置する時に、複数の電極棒30Jのうち平面視で基板Wの中心位置W1に最も近接する少なくとも一つの電極棒が、電極棒30JHで構成される。また、電極棒30JHは、プラズマ発生部130が処理位置に位置する時に、平面視で基板Wの中心位置W1とは重ならない。電極棒30JHは、プラズマ発生部130が処理位置に位置する時に、平面視で複数の電極棒30Jの内の基板Wの中心位置W1に最も近い電極棒であり、電極棒30JHの迂回部502Cが平面視で基板Wの中心位置W1から外れた位置に位置するように配置される。
【0106】
板状部材32Aは、平面視で基板Wよりも大径の円形状に構成され、プラズマ発生部130が処理位置に位置する時に、基板Wの上面を上方から覆う。板状部材32Aは、上面および下面が凹凸のない平面形状である。そのため、プラズマ処理の際などに生じる板状部材32Aの下面の付着物の洗浄が容易となる。
【0107】
板状部材32Aには板形状の側面からX軸方向に延びる収容穴32Bが複数形成されている。収容穴32Bは、そのうちの少なくとも一つの収容穴が他の収容穴とは形状が異なる収容穴32BHから構成される。収容穴32BHは、電極棒30JHを収容する。収容穴32Bは、X軸正方向およびX軸負方向の板状部材32Aの端部(側面)から内部へ交互に延びて形成されているため、電極棒30JはX軸正方向側の端部から、電極棒30KはX軸負方向側の端部からそれぞれ挿入される。このようにして、それぞれの電極棒30Jおよび電極棒30Kは、誘電体である板状部材32Aに周囲を囲まれて配置される。また、収容穴32Bは、板状部材32Aの下面に近い位置に形成されている。
【0108】
収容穴32BHは、電極棒30JHの第1棒状部502Aの周囲を囲む収容部512Aと、電極棒30JHの第2棒状部502Bの周囲を囲む収容部512Bと、電極棒30JHの迂回部502Cの周囲を囲む収容部512Cとを有する。収容穴32BHは、X軸正方向側の板状部材32Aの端部(側面)から内部へ延びて形成されている。電極棒30JHは、誘電体である板状部材32Aに周囲を囲まれて配置される。また、収容穴32BHの収容部512A及び収容部512Bは、板状部材32Aの下面に近い位置に形成されている。
【0109】
収容部512Cは、収容部512A側から穴が上方に延びる収容部512C1と、穴が水平方向に延びる収容部512C2と、収容部512B側に向かって穴が下方に延びる収容部512C3とを有する。収容部512C1と収容部512C2と収容部512C3は、迂回部502Cを囲う。収容部512Cは、迂回部502Cを囲う。収容部512Cは、迂回部502Cが迂回する方向に沿って迂回部502Cを囲う。
【0110】
板状部材32Aには、平面視で基板Wの中心W1からY方向に、電極棒30Jと電極棒30Kの間の距離の11ピッチ半程度の距離だけずれた位置から負のY方向に下向きに傾斜した貫通孔550が板状部材32Aの上面から下面にかけて形成される。貫通孔550は、処理液ノズル20が収容可能に形成される。貫通孔550は、処理液ノズル20による基板Wの上面への処理液101の供給を許容する。プラズマ発生部130が処理位置に位置する時に、板状部材32Aの貫通孔550に収容された処理液ノズル20は、基板Wの中心に向けて処理液を供給可能に位置決めされている。収容穴32BHの収容部512Cと貫通孔550とは、側面視で重なるように形成される。収容穴32BHの収容部512Cと貫通孔550とは、平面視で重なるように形成される。
【0111】
電極棒30JHは、板状部材32Aの収容穴32BHに収容される。電極棒30JHの迂回部502Cは、収容穴32BHの収容部512Cに周囲を囲まれて配置される。処理液ノズル20は、貫通孔550に収容される。処理液ノズル20は板状部材32Aに囲まれる。これにより、迂回部502Cと処理液ノズル20とは、側面視で重なる。迂回部502Cと処理液ノズル20とは、平面視で重なる。処理液ノズル20は、処理位置に位置する時に、吐出口が基板Wの中心位置W1を向く。
【0112】
交流電源40によって、集合電極30Mおよび集合電極30Nとの間に交流電圧が印加されると、集合電極30Mに接続される各電極棒30Jと集合電極30Nに接続される各電極棒30Kとの間に交流電圧が印加される。その結果、電極棒30Jと電極棒30Kとの間で誘電体バリア放電が生じる。そして、当該放電の放電経路の周囲で気体のプラズマ化が生じて、電極棒30Jと電極棒30Kとを隔てる板状部材32Aの表面(収容穴32Bの内部を含む)に沿って2次元的に広がるプラズマ空間が形成される。ここで、収容穴32Bが板状部材32Aの下面に近い位置に形成されているため、プラズマ102は主に板状部材32Aの下面に形成される。
【0113】
ここで、上記のプラズマ空間が形成される際に、プラズマ発生部130の下方の空間(すなわち、基板Wの上方の空間)に、たとえば、O2(酸素)、O2、空気、不活性ガスまたはそれらの組み合わせである気体が供給されてもよい。不活性ガスは、たとえば、N2または希ガスである。希ガスは、たとえば、HeまたはArなどである。
【0114】
プラズマ102の作用によって、当該空間近傍の気体に活性種が生じる。活性種には、電荷を有するイオン、または、電気的に中性であるラジカルなどが含まれる。たとえば、気体がO2を含むものである場合は、プラズマ発生部130におけるプラズマの作用によって、活性種の一種である酸素ラジカルが生じる。
【0115】
なお、電極棒30JHの迂回部502Cと電極棒30Kとの間の距離は、電極棒30JHの第1棒状部502Aと電極棒30Kとの間の距離よりも大きい。電極棒30JHの迂回部502Cと電極棒30Kとの間の距離は、電極棒30JHの第2棒状部502Bと電極棒30Kとの間の距離よりも大きい。電極棒30JHの迂回部502Cと電極棒30Kとの間の距離は、電極棒30Jと電極棒30Kとの間の距離よりも大きい。一方、電極棒30JHの第1棒状部502Aと電極棒30Kとの間の距離と、電極棒30JHの第2棒状部502Bと電極棒30Kとの間の距離と、電極棒30Jと電極棒30Kとの間の距離とは、同じである。このため、電極棒30JHの迂回部502Cと電極棒30Kとの間では、誘電体バリア放電の発生が抑制される。電極棒30JHの迂回部502Cと電極棒30Kとの間では、プラズマの発生が抑制される。
【0116】
<基板処理装置の動作について>
次に、基板処理装置の動作について説明する。以下では、第1の実施の形態と異なる部分について説明する。ここで、
図6は、基板処理装置の動作の例を示すフローチャートである。また、
図11は、本実施の形態に関する基板処理装置の動作を説明するための図である。
【0117】
図6におけるステップST01からステップST04までは、第1の実施の形態と同様である。
【0118】
そして、処理液ノズル20から処理液101が吐出されている状態で、集合電極30Mおよび集合電極30Nとの間に交流電源40からの所定の交流電圧が印加されることによって、迂回部502Cの直下の位置を除いて、プラズマ発生部130における板状部材32Aの主に下面にプラズマが生じる(
図6におけるステップST05)。具体的には、迂回部502Cの直下を除く板状部材32Aの下面に沿って2次元的に広がる、プラズマ空間が形成される。
【0119】
そして、
図11に例が示されるように、プラズマ発生部130におけるプラズマ102の作用で生じた活性種が、液膜101Aへと供給される(
図6におけるステップST06)。このステップST06がプラズマ処理の例である。
【0120】
<第2の実施の形態の効果>
以上のように、本実施の形態においても第1の実施の形態と同様に、処理液ノズル20は、板状部材32Aの貫通孔550に挿入され、処理液ノズル20が処理位置に位置する時に、処理液ノズル20の吐出口が基板Wの中心位置W1を向くように設けられる。よって、プラズマ発生部130を待機位置に退避させずに処理液ノズル20から処理液101を基板Wの上面に吐出することができる。プラズマ発生部130を待機位置に退避させずに処理液ノズル20から処理液101を基板Wの中心位置W1に吐出することができる。すなわち、プラズマ処理を行っている間であっても、基板Wの上面に液膜101Aを形成し続けることができる。また、プラズマ発生部130を待機位置に退避させずに処理液ノズル20から処理液101を基板Wの上面に吐出することができるため、スループットを向上させることができる。
【0121】
また、プラズマ処理中の昇温によって液膜101Aが蒸発してしまうことを抑制することができる。さらには、プラズマ処理中の温度に応じて処理液ノズル20から吐出される処理液101の流量を調整すれば、プラズマ処理中に保持される液膜101Aの膜厚を薄くすることができるため、レジスト剥離の効果を高めることができる。
【0122】
また、本実施の形態によれば、電極棒30JHの迂回部502Cと電極棒30Kとの間では、プラズマの発生が抑制される。一方、電極棒30JHの第1棒状部502Aと電極棒30Kとの間、および電極棒30JHの第2棒状部502Bと電極棒30Kとの間では、プラズマの発生は抑制されない。処理液ノズル20をプラズマ発生部130に近接させて設ける場合には、処理液ノズル20とプラズマ発生部130との間でアーキングが発生しないように、処理液ノズル20周囲のプラズマの発生を抑制する必要がある。このため、処理液ノズル20を設ける位置に近接する電極棒を除去することも考えられる。このようにすると、処理液ノズル20周囲のプラズマの発生を抑制することができるが、プラズマの発生が抑制される領域が大きくなってしまう。しかしながら、本実施の形態では、プラズマの発生が抑制される領域を、迂回部502Cと電極棒30Kとの間の領域のみに留めることができる。
【0123】
また、プラズマ発生部130が処理位置に位置するときに、迂回部502Cは平面視で基板Wの中心位置W1とは重ならない。このため、回転している基板Wに対してプラズマ処理を行う場合には、基板Wの上面の全面にプラズマ処理を行うことができる。このため、基板Wの上面のうち、プラズマ処理が行われない領域は生じない。また、基板Wの上面に対するプラズマ処理の均一性を高めることができる。
【0124】
また、本実施の形態によれば、処理液ノズル20の吐出口が基板Wの中心位置W1に向けられているので処理液101を基板Wの中心位置W1に吐出することができる。このため、基板Wの上面において液膜101Aを均一に形成することができる。
【0125】
また、本実施の形態によれば、板状部材32Aは、上面および下面が凹凸のない平面形状である。そのため、プラズマ処理の際などに生じる板状部材32Aの下面の付着物の洗浄が容易となる。
【0126】
<以上に記載された実施の形態の変形例について>
以上に記載された実施の形態では、それぞれの構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面においてひとつの例であって、限定的なものではないものとする。
【0127】
したがって、例が示されていない無数の変形例と均等物とが、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの実施の形態における少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態における構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0128】
また、以上に記載された実施の形態において、特に指定されずに材料名などが記載された場合は、矛盾が生じない限り、当該材料に他の添加物が含まれた、たとえば、合金などが含まれるものとする。
【0129】
また、以上に記載された実施の形態において、迂回部302Cまたは迂回部502Cは、平面視で基板Wの中心位置W1と重なるように配置されてもよい。この場合には、貫通孔350または貫通孔550は、鉛直方向と平行な方向に貫通するように形成されてもよい。また、処理液ノズル20は、貫通孔350または貫通孔550に挿入され、処理液ノズル20の長手方向が鉛直方向と平行になるように設けられてもよい。これにより、基板Wの中心位置W1に向けて処理液101を吐出することができる。なお、この場合には、迂回部302Cと貫通孔350は平面視で重ならない。また、迂回部502Cと貫通孔550は平面視で重ならない。
【0130】
<請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応関係>
以上に記載された実施の形態によれば、基板処理装置は、基板保持部と、処理液ノズルと、第1の電極部材および第2の電極部材と、交流電源と、を備える。ここで、第1の電極部材のうちの少なくとも一つの電極部材は、迂回部を有する変形電極部材で構成される。基板保持部はスピンチャック10に対応するものである。処理液ノズルは、処理液ノズル20に対応するものである。第1の電極部材は、たとえば、電極棒30Bまたは電極棒30Jなどのうちの少なくとも1つに対応するものである。また、第2の電極部材は、たとえば、電極棒30Cまたは電極棒30Kなどのうちの少なくとも1つに対応するものである。また、交流電源は交流電源40に対応するものである。また、変形電極部材は電極棒30BHまたは電極棒30JHのうちの少なくとも1つに対応するものである。また、迂回部は迂回部302Cまたは迂回部502Cのうちの少なくとも1つに対応するものである。
【0131】
基板処理装置は、第1の板状部材をさらに備える。ここで、第1の板状部材には、第1の貫通孔が形成される。第1の板状部材は、例えば、板状部材30Aに対応するものである。第1の板状部材に形成される第1の貫通孔は、例えば、貫通孔330に対応するものである。
【0132】
基板処理装置は、絶縁部材と、誘電管とをさらに備える。絶縁部材は、例えば、絶縁部材30Iに対応するものである。誘電管は、例えば、誘電管30E、誘電管30F、誘電管312、または誘電管313などのうちの少なくとも1つに対応するものである。
【0133】
基板処理装置は、第2の板状部材をさらに備える。ここで、第2の板状部材には、収容穴と第2の貫通孔とが形成される。収容穴は、例えば、収容穴32Bまたは収容穴32BHなどの少なくとも1つに対応するものである。第2の貫通孔は、例えば、貫通孔550に対応するものである。
【符号の説明】
【0134】
20 処理液ノズル
100 基板処理装置
100A 基板処理装置
101 処理液
102 プラズマ
W 基板