(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014443
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】草刈装置
(51)【国際特許分類】
A01D 34/86 20060101AFI20230124BHJP
【FI】
A01D34/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118365
(22)【出願日】2021-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】中村 太秋
(72)【発明者】
【氏名】長畑 友之
(72)【発明者】
【氏名】天間 修一
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083BA12
2B083BA17
2B083GA06
2B083HA02
2B083HA59
(57)【要約】
【課題】簡単な操作でありながら格納時において作業部の揺動を規制できる草刈装置を提供すること。
【解決手段】草刈装置1は、支点軸31によって旋回可能な作業部51と、支点軸31の近傍と作業部51とに架け渡されるとともに、作業部51に備えた保持部572に対して相対移動が可能に設けたロッド57と、作業部に旋回自在に設けるとともに、旋回によってロッド57の保持部572に対する相対移動を規制することで作業部51の旋回を規制する規制片61と、を備えた。規制片61は、作業部51が備えるカバー部材から離れる方向に旋回した場合に、作業部51の旋回を規制する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支点軸によって旋回可能な作業部と、
前記支点軸の近傍と前記作業部とに架け渡されるとともに、前記作業部に備えた保持部に対して相対移動が可能に設けたロッドと、
前記作業部に旋回自在に設けるとともに、旋回によって前記ロッドの前記保持部に対する相対移動を規制することで前記作業部の旋回を規制する規制片と、
を備えたことを特徴とする草刈装置。
【請求項2】
前記規制片は、前記作業部が備えるカバー部材から離れる方向に旋回した場合に、前記作業部の旋回を規制する、
ことを特徴とする請求項1に記載の草刈装置。
【請求項3】
前記規制片は、前記作業部が作業状態となる姿勢から格納状態となる姿勢に反転させた場合に、自重による旋回で前記ロッドの相対移動を規制する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の草刈装置。
【請求項4】
前記規制片は前記ロッド端部に当接することで、前記ロッドの前記保持部に対する相対移動を規制する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の草刈装置。
【請求項5】
前記規制片の旋回支点である規制片旋回軸は、前記ロッドと前記作業部の上面との中間部に位置する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の草刈装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の走行機体に装着される草刈装置に関する。特に、走行機体の側方に離間して配置される草刈装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行機体に作業部を装着し、この作業部を複数のブームからなる屈折手段を用いて遠隔地点に位置させて作業をする作業機の発明が、特許文献1によって開示されている。この発明では、作業部である草刈機本体を屈折手段である複数のアームを屈折させることによって、草刈り作業状態と格納状態を実現している。また、作業部は屈折手段でアームの先端に備えた揺動機構を介して取り付けられていることによって、草刈り作業状態における作業部が地面の凹凸等を追従する。そして、格納状態にすると、アームに備えた係止部で作業部である草刈機本体を係止する機構である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、格納状態にして作業部である草刈機本体を係止するには、複数のアームを正しい順番で回動させなければならず、作業者は、この操作を難解に感じることがある。また、作業部は揺動機構を介してアームに取り付けているので、格納状態において、作業部を正しく係止部に係止させないと、移送時に作業部が揺れ動くことがある。
【0005】
したがって、本発明は上記課題に着眼してなされたものであり、簡単な操作でありながら格納時において作業部の揺動を規制できる草刈装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
目的を達成するための本発明の一態様は、支点軸によって旋回可能な作業部と、支点軸の近傍と作業部とに架け渡されるとともに、部作業部に備えた保持部に対して相対移動が可能に設けたロッドと、作業部に旋回自在に設けるとともに、旋回によってロッドの保持部に対する相対移動を規制することで作業部の旋回を規制する規制片と、を備えた草刈装置であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、簡単な操作でありながら格納時において作業部の揺動を規制できる草刈装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態を示す草刈装置の作業状態の様子を進行方向後方から見た背面図である。
【
図2】実施形態を示す草刈装置の作業状態の様子を進行方向左側から進行方向右側に向かって見た側面図である。
【
図3】実施形態を示す草刈装置の作業状態の様子の平面図であり、作業部が第1作業領域に位置している状態を示す。
【
図4】実施形態を示す草刈装置が作業状態から格納状態に移行する途中の様子を示した背面図である。
【
図5】実施形態を示す草刈装置が格納状態に移行し、作業部が上下反転した様子を示した背面図である。
【
図6】走行機体に設けたブーム装置に装着した草刈装置の一例を示し、作業状態の背面図を表す。
【
図7】走行機体に設けたブーム装置に装着した草刈装置の一例を示し、格納状態の背面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。説明においては、
図1及び
図4乃至
図7に示す右側を進行方向に対する右側、左側を進行方向に対する左側として表現している。また、
図2及び
図3に示す左側を進行方向前方側、右側を進行方向後方側として表現し、説明する。また、説明において特に記載がない限り、上方向とは作業面である地面側から離れる方向を指し、下方向とは重力方向に沿って地面側に近づく方向を指す。図面の記載において、同一または類似の部分には同一又は類似の符号を付して、その説明を省略することがある。加えて、説明に用いる図面は模式的なものであり、各部の寸法との関係等は現実のものとは異なることがある。また、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0010】
草刈装置1は、
図6及び
図7に示すように、単一又は複数のブームA2,A3からなる取付用フレームであるブーム装置Aにより、トラクタ等からなる走行機体Tに取り付けられる。
図6及び
図7は、走行機体Tの後方に取り付けたブーム装置Aが有するシリンダ等によって、伸縮自在あるいは屈折自在なブーム装置Aに、草刈装置1を取り付けた一例を示す。
図6に図示するように、ブーム装置AのブームA2,A3を、ブーム旋回軸を支点にして上下旋回させることによって、草刈装置1を走行機体Tに対して離れた任意の場所に位置させた作業状態にして、作業をすることが可能である。また、
図7に示すように、ブーム装置AのブームA2,A3を、各ブーム旋回軸を支点にして旋回させて、草刈装置1及びブーム装置Aを走行機体Tの全幅内に、ほぼ収まるように折り畳んだ格納状態にすることが可能である。格納状態の草刈装置1は、作業部51を上下反転させてブーム装置A上に配置することで、走行機体Tの側方からはみ出すことなく、走行機体Tによって容易に移送をすることが可能である。
【0011】
図1乃至
図3に示す草刈装置1は、取付部10によってブーム装置Aの先端部に取り付ける。取付部10には、進行方向前方に延ばしたフレーム2が取り付けられる。フレーム2の下方には、水平方向に旋回可能であるとともに、旋回する半径方向の先端部に作業部51を取り付けた作業アーム50を配置する。作業部51には、水平回転する刈刃511を複数備え、刈刃511を回転駆動することによって、作業面上の草を切断する草刈作業を行う。作業部51は、作業アーム50によって水平方向に旋回自在であるので、前方側から相対移動してくる障害物との衝突によって、水平方向後方側に旋回動作しながら通過させることができる。フレーム2によって作業部51を取付部10から突出させて配置しているので、作業部51の上方を覆う障害物があるような複雑に入り組んだ場所でも、ブーム装置Aが上方の障害物に衝突することなく作業ができる。
【0012】
取付部10は、ブーム装置Aの先端部に嵌合させることで、ブーム装置Aとの一体的な固定が可能であるとともに、この固定を解除すればブーム装置Aとの固定が解除可能である。すなわち、草刈装置1はブーム装置Aに対して着脱自在である。実施形態では、取付部10の上部にブーム装置Aの先端部を固定しているが固定位置に限定はない。また、ブーム装置Aの先端部には、進行方向前後に向いた軸であるローリング支点部A1を設け、草刈装置1を左右に旋回動作せることができる。この旋回動作によって、作業部51が有する刈刃511を左右に傾斜する作業面に正対するように適正に対向させる。作業部は適正な姿勢の作業状態を形成させることができる。また、ローリング支点部A1を軸にして草刈装置1を反転旋回させることによって、刈刃511を作業面と対向しない向きに位置させることができる。
【0013】
取付部10の進行方向左側である一端部には、フレーム2の後端部を固定する。実施形態でのフレーム2は、前方に長い第1フレーム20と、第1フレーム20の前端部に屈曲軸40によって連結され、第1フレーム20対して水平方向に旋回可能な第2フレーム30によって構成されている。第1フレーム20は長尺状の部材であり、長尺方向を前方に突出させるように配置する。第1フレーム20の前端部にホルダ部22を設け、このホルダ部22に鉛直方向の軸である屈曲軸40を設ける。この屈曲軸40に第2フレーム30の後端部を水平方向に旋回可能に連結する。
【0014】
第2フレーム30は長尺の部材であり、長尺方向を前方に突出させるように配置する。実施形態での第2フレーム30は、平面視において、長尺方向を第1フレーム20に対して傾斜させて配置している。屈曲軸40を支点に第2フレーム30が旋回自在に設けることで、第2フレーム30に進行方向後方側に障害物等の衝突によって負荷がかかると、第2フレーム30が後方側に旋回し、フレーム2の破損を防止できる。なお、実施形態では、フレーム2は第1フレーム20と第2フレーム30が屈曲可能に設けているが、一体化させて屈曲不能に設けてもよい。さらに、第2フレーム30は第1フレーム20に対して傾斜させなくてもよい。
【0015】
フレーム2の前端部である第2フレーム30の前端部の下方に、支点軸31を設ける。支点軸31は、第2フレーム30の前端部から下方に向けて突出させて設けた支点筒71の中間部近傍に設けている。支点筒71にはスキッド73が有する支持軸72を支持するための部材である。支点筒71及びスキッド73及び支持軸72は後述する。
【0016】
支点軸31は上下方向である鉛直方向の軸であり、フレーム2の前端側の下方に設ける。実施形態の場合、フレーム2の前端部から下方に向かって垂下させた支点筒71の中間部後方に配置させている。支点軸31には、作業アーム50の一端側を取り付ける。作業アーム50は支点軸31を中心にして水平方向に旋回自在である。
【0017】
作業アーム50の支点軸31の軸芯から半径方向に離れる側である他端側には、作業部51を設ける。作業部51は、地面上に生えている草を刈る作業が可能な作業部分である。作業部51は、刈刃511、モータ512、カバー部材513を備える。作業アーム50の他端側にモータ512を設け、この下方に配置した刈刃511を回転駆動させる。刈刃511は、複数個設けているとともに、モータ512を軸にして水平方向に回転自在で、モータ511の回転動力を受領して回転する。回転する刈刃511によって、作業面上に存在する草を刈ることができる。
【0018】
作業アーム50には、カバー部材513を設ける。カバー部材513は、平面視において、滴形を模した部材であり、滴状の突起部を支点軸31側に向けて配置する。カバー部材513は、刈刃511の上方に位置して、刈刃511によって飛散する刈草等の物体の上方側への飛散を防止する。実施形態の場合、平面視において、作業アーム50の他端部は支点軸31より後方に位置させるとともに、刈刃511の回転駆動軸となるモータ512はフレーム2の側方に位置させる。
【0019】
作業アーム50は支点軸31周りに水平旋回することで、
図3に示す作業部51が、支点軸31を通る前後長手方向を境に区分けした進行方向左側の第1作業領域Bと、進行方向右側の第2作業領域Cのそれぞれに位置できる。
図3の実線で示す作業部51は第1作業領域Bに位置した状態を示し、二点鎖線で示した作業部51は第2作業領域Cに位置した状態を示している。それぞれの領域に位置させた作業部51によって草刈作業を行う。
【0020】
支点軸31には、作業アーム50と別体に設けるとともに、作業アーム50と同軸周りに旋回可能な切換片55を設ける。切換片55は、作業アーム50とは個別に設けるとともに、作業アーム50とは独立して支点軸31を中心に旋回する。切換片55の一端部には、円弧状の長孔551を設ける。実施形態の場合、長孔551は、一端部側である第1作業領域B側に設けている。長孔551内には旋回規制体52が通される。円弧状の長孔551の円弧中心は支点軸31と同軸に設けているため、切換片55は長孔551内で旋回自在である。
【0021】
旋回規制体52は、上下方向に長い棒状部材で、支点軸31の近傍に配置するとともに長孔551内を貫通させる。また、旋回規制体52は、支点軸31に対して位置が固定されている。さらに、旋回規制体52は、作業フレーム51に接触することによって、第1作業領域B及び第2作業領域Cのそれぞれの領域で、作業フレーム51の前進方向側への旋回角度を規制する。
【0022】
切換片55の他端部には棒状のロッドであるガイドロッド57が旋回自在に配置されている。ガイドロッド57は、切換片55の他端部に設けたガイドロッド支点部571と、作業アーム50の他端側、且つ、カバー部材513上部に設けた保持部であるガイドロッド保持部572に架け渡すように配置されている。ガイドロッド57は、支点軸31の近傍と、作業部51に配置されたカバー部材513の上部とに架け渡されている。平面視におけるガイドロッド57の軸方向は、作業アーム50の長尺方向に対して、やや傾斜させて設ける。ガイドロッド57は、保持部であるガイドロッド保持部572内を摺動することで、ガイドロッド保持部572に対して相対移動が可能に設けられている。
【0023】
ガイドロッド57の外周には、作業アーム50を第1作業領域Bまたは第2作業領域Cのいずれか一方側に付勢する付勢体56が配置されている。実施形態の場合、付勢体56は圧縮ばねを用いている。ガイドロッド57は付勢体56がずれないように案内をする役割を持つ。ガイドロッド57のガイドロッド支点部571側には、付勢体規制部573が固着されている。付勢体56は、付勢体規制部573とガイドロッド保持部572の間で伸縮することによって、作業アーム50を付勢する。付勢体56によって、作業部51及び作業アーム50は進行方向前方に付勢される。
【0024】
ここで、切換片55の作用について説明する。切換片55が支点軸31周りに回動することで、付勢体56の付勢方向を転換させ、作業アーム50を第1作業領域Bまたは第2作業領域Cのいずれか一方側に押す。第1作業領域Bまたは第2作業領域Cに位置する作業アーム50は、旋回規制体52に作業アーム50が接触するまで付勢体56に押されて旋回し、旋回規制体52に作業アーム50が接触した位置で旋回が規制される。
【0025】
図3は、作業アーム50及び作業部51が第1作業領域Bに位置している状態を実線で示している。
図3に示す円弧状に延びた矢印は、作業アーム50及び作業部51及び切換片55の支点軸31周りの回転方向である第1回転方向D及び第2旋回方向Eを示す。作業部51が第1作業領域Bに位置している場合、支点軸31より後方且つ第2作業領域C側に位置した、切換片55のガイドロッド支点部571は、付勢体56に押されることで切換片55を平面視で左回転の方向である第2旋回方向Eに旋回させる。切換片55の第2旋回方向Eへの旋回は、長孔551の一端部に旋回規制体52が接触するまで行われ、接触後は切換片55の旋回が規制される。付勢体56は、旋回が規制された切換片55を第2旋回方向Eに付勢し続けるとともに、ガイドロッド保持部572を押すことによって、作業アーム50を平面視で右回転方向である第1旋回方向Dに、作業アーム50が旋回規制体52に接触するまで旋回させる。つまり、作業アーム50及び作業部51は、第1作業領域Bにおいて進行方向前方に付勢されている。第1作業領域Bにおいて、作業アーム50が旋回規制体52に接触した位置を第1作業領域Bでの復帰位置と呼ぶ。
【0026】
このように、第1作業領域Bに位置した作業部51は、切換片55及び付勢体56によって第1旋回方向Dに付勢されることで、フレーム2の側方から遠ざかる方に展開させて第1作業領域Bでの復帰位置に位置させることができる。また、作業部51及び作業アーム50は外力によって後方側に押されると、外力に従って第2旋回方向Eに旋回移動する。このとき、ガイドロッド保持部572と付勢体規制部573の距離は縮まり、付勢体56は圧縮される。圧縮した付勢体56は反発力を高めた状態となる。ガイドロッド支点部571は、支点軸31とガイドロッド保持部572を結ぶ線分より第2作業領域C側にあるので、上記外力が取り除かれると、付勢体56によって付勢力を受けた作業アーム50は、第1作業領域Bでの復帰位置に復帰する。この場合、実際の作業における外力とは、柱等の作業部より高い障害物による押圧力を指し、この障害物が作業部に衝突することで、作業アーム50及び作業部51は第1作業領域B内で後方に旋回する。そして外力が取り除かれると、作業アーム50及び作業部51は復帰位置に復帰する。
【0027】
作業アーム50及び作業部51は、
図3の二点鎖線部に示すように、切換片55及び付勢体56によって展開位置を第1作業領域Bから第2作業領域Cに切り換えることができる。切り換える場合は、第1作業領域Bに位置する作業アーム50又は作業部51に、第2旋回方向Eに向かって旋回させる。作業アーム50を第2旋回方向Eに旋回させ続けると、やがて、作業アーム50及び作業部51は第2作業領域C側に位置する。さらに旋回させ続けると、支点軸31と、ガイドロッド支点部571と、ガイドロッド保持部572が、平面視で一直線上に配置されることとなる。さらに、旋回させ続けると、ガイドロッド支点部571が、支点軸31とガイドロッド保持部572が結ぶ仮想線分より第1作業領域B側に位置するので、切換片55は付勢体56によって第1旋回方向Dに旋回する。
【0028】
切換片55は、長孔551の他端部に旋回規制体52が接触するまで旋回し、その後、旋回規制体52によって第1旋回方向Dへの旋回が規制される。すると、作業アーム50及び作業部51は、第2作業領域Cに位置するとともに、付勢体56によって第2旋回方向Eである進行方向前方に向かって付勢される。付勢体56は、旋回が規制された切換片55を第1旋回方向Dに付勢し続けるとともに、作業アーム50を平面視で左回転方向である第2旋回方向Eに、作業アーム50が旋回規制体52に接触するまで旋回させる。この位置を第2作業領域Cでの復帰位置と呼ぶ。
【0029】
第2作業領域Cに位置した作業部51は、切換片55及び付勢体56によって、第2旋回方向Eに付勢されて、フレーム2の側方から遠ざかるように展開させて第2作業領域Cでの復帰位置に位置させることができる。また、作業部51及び作業アーム50は障害物等の外力によって後方側に押されると、外力に従って第1旋回方向Dに旋回移動するが、この外力が取り除かれると、第2作業領域Cでの復帰位置に復帰する。第2作業領域Cに位置した作業部51を第1作業領域Bに移動させるには、上記した手順と類似しているので、この説明は省略する。
【0030】
切換片55を用いることによって、1つの作業部51を第1作業領域B又は第2作業領域Cのいずれか一方に展開させるとともに、それぞれの展開位置に応じた復帰位置に向くように、付勢体56の付勢力の方向を変えることができる。
【0031】
図3の実線で示す作業部51は、第1作業領域Bに位置し且つ復帰位置のときを示している。この復帰位置のときのガイドロッド57は、ガイドロッド保持部572に対して後方側への突出量が最小となる。
図3に示すように、作業部51を第1作業領域Bに位置させた場合、ガイドロッド支点部571は第2作業領域C側に設けている。ガイドロッド保持部572は、第1作業領域Bに位置するとともにガイドロッド57を軸方向に摺動可能に保持していて、作業アーム50の旋回動作を阻害しない。作業部51が第2作業領域Cに位置し且つ復帰位置にある場合も同様に、ガイドロッド57のガイドロッド保持部572に対する後方側への突出量が最小となる。
【0032】
第1作業領域B又は第2作業領域Cの復帰位置にある作業アーム50及び作業部51が、徐々に後方側に旋回することに伴って、ガイドロッド57の端部57aが、ガイドロッド保持部572に対して、後方側への突出量を増大させる。すなわち、ガイドロッド57は、作業アーム50及び作業部51の旋回動作に伴って、ガイドロッド保持部572に対して摺動及び相対移動を行う。ガイドロッド保持部572に対するガイドロッド57の端部57aの突出量は、作業部51が旋回に伴って最後端に達するときが最大となる。
【0033】
カバー部材513の上方、且つ、ガイドロッド保持部572の後方に、規制片61を設ける。規制片61は矩形状の板部材で、一端側に設けた水平軸である規制片旋回軸62によって、上下方向に旋回自在である。規制片旋回軸62は作業アーム50と平行に設けていて、ガイドロッド保持部572に対して軸方向に相対移動するガイドロッド57が、規制片61の旋回領域内に侵入可能に設けている。
【0034】
規制片旋回軸62はホルダ部63によって支持されている。ホルダ部63は、コ字状に折り曲げた部材で、コ字状の開放側を下方に向け、作業アーム50の上部かつ支点軸31を中心とした半径方向の先端部に配置している。ホルダ部63は、ホルダ部63の上部に設ける係止面63aによって、作業状態における規制片61の上方側への旋回を規制する。規制片61の下方側への旋回は、作業アーム50あるいはカバー部材513に当接することよって規制されている。つまり、規制片61は、ホルダ部63の係止面63aと、作業アーム50あるいはカバー部材513との間で、旋回自在である。
【0035】
図1及び
図2に示すように、作業部51の刈刃511を地面に対向させるように位置させた作業状態のときであって、作業部51が復帰位置の場合、規制片61は自重によって下方側への旋回した状態である。規制片61は、作業アーム50又はカバー部材513によって、下方への旋回が規制されている。このとき、ガイドロッド57は規制片61の旋回領域内に侵入可能な状態である。実施形態の場合、下方への旋回が規制されたガイドロッド57の上方側をガイドロッド57が移動可能にされている。このため、ガイドロッド57は、支点軸31を支点に旋回する作業部51に連動して、ホルダ部63に対してガイドロッド57の軸方向に相対移動が可能である。したがって、作業部51は、復帰位置から後方側に向かって旋回可能であり、支点軸31周りの旋回を伴う草刈作業を阻害されない。
【0036】
規制片旋回軸62は、ガイドロッド57と作業アーム50の間に位置している。又は、規制片旋回軸62は、ガイドロッド57とカバー部材513の間に位置しているとも言える。
図4は作業部51を、作業状態のブーム装置Aに設けたローリング支点部A1によって旋回させて、刈刃511の回転軸が水平になるように立てた状態を示している。このとき、規制片61は、自重によって、規制片旋回軸62を支点に自ら旋回して垂れさがり、規制片61の他端61a側が作業アーム50あるいはカバー部材513から離れる。
図4に示すように、規制片61の他端61a側は、規制片旋回軸62の直下に位置することとなる。
【0037】
この状態でのガイドロッド57は、規制片旋回軸62を中心に、カバー部材513とは対称側に位置にする。このため、ガイドロッド57は、ガイドロッド保持部572に対して自由に摺動できる状態であり、ガイドロッド57の端部57aは、ガイドロッド保持部572から規制片61側に突出させることが可能である。つまり、
図4に示すように作業部51を立てた場合でも、ガイドロッド57は規制片61の旋回領域内に侵入可能な状態であり、作業部51は支点軸31を軸にして旋回が可能になっている。
【0038】
実際の草刈作業に当てはめて述べると、草刈作業面は、進行方向に対して左右方向に傾斜していることがある。このような場所では、刈刃511が草刈作業面に対して適正に正対できるように、草刈装置1をローリング支点部A1によって旋回させて作業を行う。このような左右傾斜がある場所に、さらに支柱等の障害物が存在しても、障害物の衝突によって作業部51は支点軸31を軸にして旋回することができる。なお、このときの支点軸31は、ローリング支点部A1によって傾いた状態となるので、作業部51は作業面の傾斜に沿った向きに旋回する。
【0039】
作業部51を
図4の状態から、ローリング支点部A1周りの旋回動作、及び、ブーム装置Aのブームの旋回動作を伴い、さらに刈刃511が上方に向くように反転させると、
図5に示す状態となる。規制片61の他端61a側は、自重によって、規制片旋回軸62を支点に、ホルダ部61の係止面61aに係止されるまで自ら旋回する。
図5に示す係止面61aに係止された規制片61の他端61a側は、
図4に示す規制片61の位置と比較して、さらに作業アーム50あるいはカバー部材513から離れる。
図5に示すように、規制片61の他端61aは、規制片旋回軸62の下方に位置することとなる。なお、
図5に示すブーム装置は、ブームA2,A3を折り畳んだ格納状態のときを示している。
【0040】
図5のように、作業部51を上下反転させた状態でのガイドロッド57は、規制片旋回軸62より下方、かつ、規制片61の他端61aより上方に位置する。このため、規制片61は、ガイドロッド57がガイドロッド保持部572を摺動する軌跡上に位置することとなり、ガイドロッド57は規制片61の旋回領域内に侵入不可能な状態となる。ロッド端部であるガイドロッド57の端部57aが、ガイドロッド保持部572に対して相対移動を行い、ガイドロッド保持部572から突出しようとしても、規制片61のガイドロッド57側の側部61bによって移動が規制されることとなる。したがって、作業部51及び作業アーム50が支点軸31を中心にして復帰位置から旋回しようとしても、ガイドロッド57の移動が規制片61によって規制され、作業部51は復帰位置の状態で旋回位置が固定される。
【0041】
草刈装置1の作業部51を反転させた状態では、作業部51は復帰位置の状態で旋回位置が固定するので、フレーム2や取付部10との相対的な位置関係も変化しない。したがって、作業部51はブーム装置Aとの位置関係も固定される。反転状態の作業部51は、規制片61によって、旋回軸31周りの旋回ができないので、作業部51が不意に揺動することもない。
【0042】
また、作業部51を反転させる操作を行うのみで、規制片61によって、自然と作業部51及び作業アーム50の支点軸31周りの旋回が固定される。したがって、作業者が作業部51及び作業アーム50の旋回を固定するために、特別な人為操作をすることがない。また、格納状態にするために、草刈装置1を必然的に反転させるので、作業部51及び作業アーム50の固定を忘れることがない。このため、作業者はブーム装置Aの操作に集中できるので、作業が容易化できる。
【0043】
実施形態の場合は、
図4に示すように、作業部51をほぼ垂直に立てても支点軸31周りに旋回動作ができるように構成している。この状態から、さらに反転動作を進めることで、作業部51の支点軸31周りの旋回動作を規制するように構成している。上記の構成に限らず、規制片61でのガイドロッド57の移動を規制する作業部51の角度は任意に決めることができる。規制片61の形状、規制片旋回軸62の位置、ガイドロッド57の位置、等を各々調整することで、規制片61による作業部51の支点軸31周りの旋回に対する規制が開始される、草刈装置1のローリング支点部A1周りの旋回角度を調整できる。
【0044】
実施形態の場合、作業部51は、支点軸31を境に、第1作業領域Bと第2作業領域Cの2つの領域で、水平旋回可能に設け且つ、それぞれの領域内で復帰位置に復帰するように旋回可能に設けている。そして、それぞれの領域内の復帰位置で、ガイドロッド57の端部57aのガイドロッド保持部572に対する突出量は最小となる構成である。この復帰位置で、規制片61が、ガイドロッド57のイドロッド保持部572に対する突出を規制することで、作業部51及び作業アーム50の旋回を規制し、旋回動作を固定することができる。また、実施形態の場合は、作業部51が第1作業領域Bと第2作業領域Cの2つの領域で作業を可能に設けているが、いずれか1つの作業領域しか持たない形態でも、規制片61による作業部51及び作業アーム50の旋回の規制が可能である。
【0045】
回転する刈刃511の半径方向の側部には、スキッドである作業部スキッド58を設ける。作業部スキッド58は棒状部材で形成した棒状の橇部材で、刈刃511の側方周囲に複数備える。説明する実施形態の場合の作業部スキッド58は、作業アーム50の長手方向を対称にして、刈刃511の側方周囲に2か所に設ける。説明において、一方の作業部スキッド58を第1作業部スキッド58a、他方を第2作業部スキッド58bと呼称する。
【0046】
第1作業部スキッド58a及び第2作業部スキッド58bが、地面を滑走することで、刈刃511と地面との相対高さを維持できる。すなわち、草刈り作業の前進進行とともに前方から相対移動してくる作業面である地面の起伏があっても、刈刃511と地面とが接触することを防ぐ。
【0047】
作業部51の下部に椀状接地体59を設ける。椀状接地体59は、刈刃511の回転軸と同軸上に設けている。椀状接地体59は、刈刃の回転とは独立して回転自在に取り付けられているので、この椀状接地体が地面に接地しても静止した状態を保ちつつ、地面の起伏等で刈刃511が接触することを防止する。
【0048】
大多数の大まかな起伏を作業部スキッド58で案内することで、作業部51を上下させる一方で、作業部スキッド58で案内しきれなかった地面の起伏を椀状接地体59が捉えることで、作業部51を上下させる。進行とともに刈刃511下方に接近する地面の起伏があった場合、椀状接地体59と地面の起伏が接触することによって、作業部51を介して、草刈装置1を押し上げる。そして、草刈装置1は、取付部10近傍のローリング支点部A1やブーム装置Aでの上下動を行う。
【0049】
フレーム2の前端部から下方に向けて配した支点筒71の下部には、スキッド73を設ける。スキッド73は、作業アーム50より下方に位置していて、作業面である地面と接する湾曲部731を有した前後に長い橇状部材である。スキッド73は、長手方向を常時進行方向に向くように設ける。スキッド73は、湾曲部731が作業面に接地するとともに作業面を滑走することによって、作業部51の刈刃511が作業面に接近しすぎないようにさせる。
【0050】
湾曲部731は、刈刃511の回転半径より大きく設けている。実施形態での湾曲部731の湾曲半径は350mmで、刈刃511の回転半径は260mmに設けている。つまり、湾曲部731の湾曲半径を刈刃511の回転半径に対し、1.35倍と大きく設けた寸法関係とすることで、スキッド73が作業面上に存在する小さな窪みに嵌まり込むことを防ぐ。スキッド73が小さな窪みに敏感に上下動することがないので、作業部51も過敏に作業面に上下動することがない。すなわち、小さな窪み等による刈刃511の接触を防ぎ、作業部51の損傷を防止する。
【0051】
スキッド73は草刈装置1の前方側に位置しているので、前進に伴って作業する作業部51が凹凸等の起伏に到達する前に、スキッド73が先に到達できる。このため、前進移動する作業部51が突然起伏に接触して損傷することがない。つまり、作業部51より先に地面の起伏を捉えることが可能となる。また、湾曲部731の湾曲半径を刈刃511の回転半径より大きく設けているので、小さな起伏に過敏に反応せず、作業部51下部の作業面への接触を防止できる。湾曲部731の湾曲半径が大きいことで、作業部51が、刈刃511の回転半径より小さな窪みに嵌まることもないため、安定して草刈り作業を継続できる。
【0052】
上記構成の草刈装置1を、ブーム装置Aを使用して作業状態及び格納状態にする動作を、
図6及び
図7を用いて説明する。ブーム装置Aに取り付けた草刈装置1は、複数のブームA2,A3のそれぞれを、各ブーム旋回軸を支点にした旋回動作によって、走行機体Tの進行方向に対する左右側方の任意の場所に位置し、作業状態となる。例示した
図6では、草刈装置1は走行機体Tの進行方向左側に位置するとともに、作業部51が第1作業領域Bに位置している。この作業状態で、草刈装置1は、刈刃511を作業面に対向配置させ、走行機体Tによる前進を伴って草刈作業を行う。
【0053】
作業状態での草刈作業において、作業面である地面には、例えば、電信柱やガードレールの支柱等の柱状の障害物が存在することがある。作業部51の前部に障害物が衝突しても、支点軸31を支点に水平方向に旋回することで、ブーム装置Aを動作させること無く、障害物を草刈装置1の相対的な後方側に通過させことができる。障害物が通過後の作業部51は、同じ作業領域の復帰位置に復帰する。この作業部51の旋回動作に連動して、ガイドロッド支点部571に支持されたガイドロッド57の端部57aは、ガイドロッド保持部572を摺動移動する。ガイドロッド支点部571とガイドロッド保持部572の間に配置した付勢体56によって復帰位置に復帰する。
【0054】
図6に示す作業状態から
図7に示す格納状態にする場合は、ブーム装置Aを折り畳むように旋回させ、且つ、ブーム装置Aのローリング支点部A1を支点にして草刈装置1を旋回させる。ブーム装置Aの各ブームA2,A3を折り畳んで、ブーム装置Aを走行機体Tの後方に位置させる。さらに、草刈装置1はローリング支点部A1を支点にして、刃部511が上方を向くように旋回させる。
【0055】
作業状態から格納状態にするときにおいて、草刈装置1の作業部51は、障害物には接触していないので、復帰位置に位置している。すなわち、ガイドロッド57の端部57aは、ガイドロッド保持部572に対して突出していない状態であり、規制片61が規制片旋回軸62を支点にして自由に上下旋回が可能な状態である。作業部51は、刈刃511が作業面に対向する状態から、刈刃511が上方に向くようにローリング支点部A1を支点にして草刈装置1を反転させると、規制片61が係止面63aに係止されるまで旋回する。すると、規制片61の側部61bは、ガイドロッド57がガイドロッド保持部572に対して突出するように摺動する移動軌跡内に位置する。支点軸31を軸にして旋回する作業部51に連動動作するガイドロッド57は、端部57aが規制片61の側部61bに当接する。そして、ガイドロッド保持部572に対するガイドロッド57の相対移動が規制され、作業部51の旋回が規制される。
【0056】
また、
図4に示すような作業状態から格納状態にする途中の状態であっても、重力方向旋回する規制片61によって、規制片61の側部がガイドロッド57の突出を規制しない。つまり、実際の作業においては、作業面が垂直方向を含む進行方向左右に対して傾斜した場所を作業する際に、作業部51を進行方向左右に対して傾斜させても、作業部51は支点軸31周りに旋回することができる。
【0057】
格納状態にした草刈装置1は、作業部51を常時反転させた状態である。規制片61の他端61a側も、常時重力によって下方に下がった状態、つまり、カバー部材513あるいは作業アーム50から離れた状態を維持する。格納状態の草刈装置1は、支点軸31周りの旋回動作を常時規制された状態で、ブーム装置Aと一体的に固定される。こうして、作業部51は支点軸31周りの旋回動作による揺動が固定される。
【0058】
草刈装置1及びブーム装置Aを走行機体Tの全幅内に収まるよう収納した格納状態の草刈装置1は、作業部51が支点軸31によって、旋回動作に伴う揺動をすることがない。これによって、草刈装置1は、作業部51がブーム装置Aに対して揺動することがなく、ブーム装置Aと一体的に固定できるため、走行機体Tによる移送が容易になる。また、作業状態から格納状態に姿勢変更する場合、作業者は、作業部51が支点軸31周りに旋回する動作を固定させる作業及び操作をする必要がないので、作業者の誤操作を起因とした作業部51の固定不具合を防止できる。作業部51に対して作業者による人為的な操作をせずとも、規制片61の自重による旋回動作のみで、揺動する作業部51を規制状態にさせることができる。
【0059】
図7に示す格納状態から
図6に示す作業状態にする場合も、上記した作業状態から格納状態の動作手順と逆に行う。ブーム装置Aの各ブームA2,A3を回動させ、草刈装置1を走行機体Tの進行方向に対する左右側方に位置させる。そして、草刈装置1はローリング支点部A1を軸にして、刈刃511を作業面に対向させるように旋回させる。これに伴い規制片61の他端61a側が、自重で作業アーム50あるいはカバー部材513に接触するまで、規制片旋回軸62を軸にして旋回する。すると、規制片61の側部61bは、ガイドロッド57がガイドロッド保持部572に対して摺動する移動軌跡の範囲外に位置する。ガイドロッド57の端部57aが規制片61の側部61bに当接できない状態となる。結果、ガイドロッド57の相対移動の規制が解除され、作業部51は支点軸31による旋回が自由に行える。
【0060】
格納状態から作業状態に移行した草刈装置1は、草刈装置1のローリング支点部A1による旋回に伴って、自動的に作業部51の支点軸31での旋回に伴う揺動が解除される。格納状態から作業状態に姿勢変更する場合も、作業者は規制片61の操作をする作業がないので、誤操作を起因とした作業部51の支点軸31周りの動作不具合を防止できる。つまり、作業者による直接的な人為操作をせずとも、簡単な操作で作業部51の揺動の規制を解除状態にして、作業部51の旋回可能な状態を形成することができる。
【0061】
なお、作業状態の草刈装置1は、自重によって旋回自在な規制片61によって、ガイドロッド57が規制片61の旋回領域内に侵入可能な状態である。つまり、作業状態の草刈装置1は、支点軸31周りの旋回動作を規制されることがない。したがって、作業部51は、障害物との衝突によって支点軸31周りの旋回動作を行って、障害物を通過させることができる。
【0062】
草刈装置1を格納状態から作業状態に移行、あるいは、作業状態から格納状態に移行する手順は、ブーム装置Aを動作後に草刈装置1をローリング支点部A1で旋回させる手順で示した。しかし、必ずしも上記した順番に操作する必要はない。先に草刈装置1をローリング支点部A1で草刈装置1を旋回させ、その後、ブーム装置Aを動作させても、例示したように、結果的に作業状態の作業部51とは、上下反転した姿勢になるので、規制片61による作業部51の揺動の規制、及び、規制の解除が規制できる。
【0063】
実施形態では、ブーム装置Aは各ブームA2,A3の旋回によって進行方向左側に草刈装置1を配置したものとして説明したが、進行方向右側に配置しても本発明は実施できる。また、草刈装置1及びブーム装置Aは走行機体Tの後方に配置したものとして説明したが、進行方向前方あるいは、進行方向側方に配置しても本発明は実施できる。また、障害物は柱状であるものとして例示したが、柱状以外の形状でもよい。また、作業部51は、第1作業領域B及び第2作業領域Cのそれぞれに選択的に位置できる形態で例示したが、いずれか一方だけにしか位置できない形態でも本発明は実施できる。
【0064】
本発明は、上記の実施形態及び実施例によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示に基づく実施形態、実施例及び運用技術の改変は、特許請求の範囲に記載された範囲内で可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 草刈装置
2 フレーム
31 支点軸
50 作業アーム
51 作業部
511 刈刃
513 カバー部材
56 付勢体
57 ガイドロッド
57a ガイドロッド端部
571 ガイドロッド支点部
572 ガイドロッド保持部
573 付勢体規制部
58 作業部スキッド
61 規制片
61a 他端
61b 側部
62 規制片旋回軸
63 ホルダ部
63a 係止面
A ブーム装置
A1 ローリング支点部
A2 ブーム
A3 ブーム
T 走行機体