(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144434
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】聴診器、及び、聴診システム
(51)【国際特許分類】
A61B 7/00 20060101AFI20231003BHJP
A61B 7/04 20060101ALI20231003BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20231003BHJP
A61B 7/02 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
A61B7/00 D
A61B7/04 L
A61B5/02 350
A61B7/04 U
A61B7/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051405
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】720009479
【氏名又は名称】オンキヨー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507189460
【氏名又は名称】学校法人金沢医科大学
(71)【出願人】
【識別番号】513067727
【氏名又は名称】高知県公立大学法人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 誠
(72)【発明者】
【氏名】武島 儀忠
(72)【発明者】
【氏名】八木 邦公
(72)【発明者】
【氏名】敷田 幹文
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA04
4C017AB04
4C017AC35
4C017DD17
4C017FF05
(57)【要約】
【課題】聴診器の使用者が、正しい聴診位置に聴診器を当てることが可能な手段を提供すること。
【解決手段】聴診システム201は、聴診器101と、スマートフォン102と、PC103と、を備える。聴診器101は、聴診音を採取するためのセンサー12を有する聴診ユニット1と、聴診ユニット1が取り付けられるベルト2と、聴診ユニット1をベルト2に沿って移動させる移動機構と、ベルト2に設けられたマーク3と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
聴診音を採取するためのセンサーを有する聴診ユニットと、
前記聴診ユニットが取り付けられ、前記聴診ユニットを聴診対象上に固定する固定部と、
前記聴診ユニットを聴診対象上で移動させる移動機構と、
前記固定部に設けられたマークと、
を備えることを特徴とする聴診器。
【請求項2】
前記固定部は、前記聴診ユニットが取り付けられるベルトであり、
前記移動機構は、前記聴診ユニットを前記ベルトに沿って移動させ、
前記マークは、前記ベルトに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の聴診器。
【請求項3】
聴診音を採取するための複数のセンサーを有する聴診ユニットと、
前記聴診ユニットが取り付けられ、前記聴診ユニットを聴診対象上に固定する固定部と、
前記聴診ユニットを前記固定部に対して回転させる回転機構と、
を備えることを特徴とする聴診器。
【請求項4】
前記固定部は、前記聴診ユニットが取り付けられるベルトであり、
前記回転機構は、前記聴診ユニットを前記ベルトに対して回転させることを特徴とする請求項3に記載の聴診器。
【請求項5】
前記回転機構は、前記聴診ユニットを前記固定部に対して、所定角度毎に回転させることを特徴とする請求項3又は4に記載の聴診器。
【請求項6】
前記複数のセンサーは、2つのセンサーであることを特徴とする請求項3~5のいずれか1項に記載の聴診器。
【請求項7】
前記ベルトが身体上に装着された状態で、前記ベルトの身体上での回転を止める部材をさらに備えることを特徴とする請求項2又は4に記載の聴診器。
【請求項8】
前記部材は、腰に装着される腰ベルトであることを特徴とする請求項7に記載の聴診器。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の聴診器と、
画像を撮影するための撮影部と、
前記撮影部と通信可能に接続され、画像を表示するための表示部と、
通話を行うための第1通話部と、
前記第2通話部と通信可能に接続され、通話を行うための第2通話部と、
を備えることを特徴とする聴診システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、聴診器、及び、聴診システムに関する。
【背景技術】
【0002】
聴診器の中には、マイク等のセンサーにより電子的に心音等の音を採取し、採取した音を増幅し、増幅した音を医師等に聴取させる、いわゆる電子聴診器と呼ばれるものがある(例えば、特許文献1参照。)。電子聴診器が用いられ、病院にいる医師と、自宅にいる患者と、の間で、遠隔医療(診療)が行われる場合がある。遠隔医療において、電子聴診器を用いる患者は、正しい聴診位置に電子聴診器を持っていくことが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、遠隔医療(診療)において、患者は、聴診器を正しい聴診位置に当てることが難しいという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、聴診器の使用者が、正しい聴診位置に聴診器を当てることが可能な手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の聴診器は、聴診音を採取するためのセンサーを有する聴診ユニットと、前記聴診ユニットが取り付けられ、前記聴診ユニットを聴診対象上に固定する固定部と、前記聴診ユニットを聴診対象上で移動させる移動機構と、前記固定部に設けられたマークと、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明では、移動機構は、聴診ユニットを聴診対象上で移動させる。これにより、患者は、固定部によって聴診ユニットを聴診対象である身体上に固定することで、聴診ユニットを身体上に位置させることでき、移動機構によって、聴診ユニットを身体上で移動させることができる。加えて、固定部にマークが設けられている。このため、遠隔診療(医療)等において、患者と異なる場所にいる医師等は、聴診器を装着した患者に対して、マークを目安に、患者に対して、聴診ユニットを移動させるように、指示することができる。従って、本発明によれば、医師等の指示に従って、聴診器の使用者は、正しい聴診位置に聴診器を当てることができる。
【0008】
第2の発明の聴診器は、第1の発明の聴診器において、前記固定部は、前記聴診ユニットが取り付けられるベルトであり、前記移動機構は、前記聴診ユニットを前記ベルトに沿って移動させ、前記マークは、前記ベルトに設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明では、ベルトに聴診ユニットが取り付けられており、移動機構は、聴診ユニットをベルトに沿って移動させる。これにより、患者は、ベルトによって聴診器を身体に装着することで、聴診ユニットを身体上に位置させることができ、移動機構によって、聴診ユニットをベルト上で移動させることができる。
【0010】
第3の発明の聴診器は、聴診音を採取するための複数のセンサーを有する聴診ユニットと、前記聴診ユニットが取り付けられ、前記聴診ユニットを聴診対象上に固定する固定部と、前記聴診ユニットを前記固定部に対して回転させる回転機構と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明では、回転機構は、聴診ユニットを固定部に対して回転させる。これにより、複数のセンサーを身体上で広い範囲に位置させることが可能となる。
【0012】
第4の発明の聴診器は、第3の発明の聴診器において、前記固定部は、前記聴診ユニットが取り付けられるベルトであり、前記回転機構は、前記聴診ユニットを前記ベルトに対して回転させることを特徴とする。
【0013】
第5の発明の聴診器は、第3又は第4の発明の聴診器において、前記回転機構は、前記聴診ユニットを前記固定部に対して、所定角度毎に回転させることを特徴とする。
【0014】
第6の発明の聴診器は、第3~第5のいずれかの発明の聴診器において、前記複数のセンサーは、2つのセンサーであることを特徴とする。
【0015】
第7の発明の聴診器は、第2又は第4の発明の聴診器において、前記ベルトが身体上に装着された状態で、前記ベルトの身体上での回転を止める部材をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
第8の発明の聴診器は、第7の発明の聴診器において、前記部材は、腰に装着される腰ベルトであることを特徴とする。
【0017】
第9の発明の聴診システムは、第1~第8のいずれかの発明の聴診器と、画像を撮影するための撮影部と、前記撮影部と通信可能に接続され、画像を表示するための表示部と、通話を行うための第1通話部と、前記第2通話部と通信可能に接続され、通話を行うための第2通話部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、医師等の指示に従って、聴診器の使用者は、正しい聴診位置に聴診器を当てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る聴診ユニットを示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る聴診ユニットを示す平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る聴診器を示す平面図である。
【
図5】(a)は、本発明の実施形態に係る聴診器を示す平面図である。(b)は、本発明の実施形態に係る聴診器を示す側面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る聴診ユニットを示す平面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る聴診システムの概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る聴診ユニット1を示す斜視図である。
図2は、本発明の実施形態に係る聴診ユニット1を示す平面図である。聴診ユニット1は、対象者の聴診音を採取する。
【0021】
聴診ユニット1は、例えば、平面視、略砂時計形状の筐体11を有する。筐体11の内部に、聴診音を採取するためのセンサー12が収容されている。すなわち、筐体11は、センサー12を収容している。本実施形態では、聴診ユニット1は、2つ(複数)のセンサー12a、12bを有する。センサー12は、例えば、ピエゾ素子等から構成されるピエゾセンサーである。2つのセンサー12a、12bは、筐体11の長手方向に並べて配置されている。なお、センサー12の数は、2つに限られず、1つ、又は、3つ以上であってもよい。
【0022】
図3は、本発明の実施形態に係る聴診器101を示す平面図である。
図4は、聴診器101の使用状態を示す図である。図示するように、聴診器101は、聴診ユニット1、ベルト2等を備える。聴診器101の使用者は、ベルト2を肩からたすき掛けすることで、聴診器101を身体に装着することができる。
【0023】
ベルト2(固定部)は、聴診器101を使用者の身体に装着するためのものである。ベルト2は、例えば、使用者の身体に肩から掛けられることで、聴診ユニット1を身体(聴診対象)上に固定する。ベルト2は、例えば、長尺の帯状であり、バックルによって、リング(輪)状となる。また、ベルト2のリングの大きさは、例えば、ベルト2に設けられた穴と、バックルと、ベルト2自体の長さと、によって、調整可能である。すなわち、ベルト2は、伸縮可能であり、使用者の体格に対応可能であり、比率をキープ可能である。ベルト2には、聴診ユニット1が取り付けられる。聴診ユニット1は、例えば、ベルト2に対して着脱可能である。
【0024】
さらに、聴診器101は、図示しないが、聴診ユニット1をベルト2に沿って移動させる移動機構を備えている。すなわち、移動機構は、聴診ユニット1を身体(聴診対象上)で移動させる。移動機構により、使用者は、聴診ユニット1をベルト2上で、移動させることができる。
【0025】
また、ベルト2には、マーク3が設けられている。
図3においては、3つのマーク3a~3cが示されている。使用者は、マーク3a~3cを目安に、聴診ユニット1をベルト2上で移動させることができる。
【0026】
さらに、聴診器101は、聴診ユニット1をベルト2に対して回転させる回転機構を備えている。図では、回転機構を構成する回転つまみ4が示されている。使用者は、回転つまみ4を回転させることで、聴診ユニット1をベルト2に対して回転させることができる。
図3では、ベルト2の長手方向と、聴診ユニット1の長手方向と、が垂直となっている。
図5(a)では、ベルト2の長手方向と、聴診ユニット1の長手方向と、が平行となっている。
図6では、ベルト2の長手方向に対して、聴診ユニット1の長手方向が15度となっている。
【0027】
聴診ユニット1は、ベルト2に対して、無段階で回転するようになっていてもよい。また、聴診ユニット1は、ベルト2に対して、所定角度(例えば、90度、15度)毎に回転するようになっていてもよい。
【0028】
また、聴診器101は、ベルト2が身体上に装着された状態で、ベルト2の身体上での回転を止める部材である腰ベルト5(部材)を備えている。
【0029】
図7は、本発明の実施形態に係る聴診システム201の概要を示す図である。聴診システム201は、例えば、遠隔医療(診療)において使用される。聴診システム201は、聴診器101と、スマートフォン102と、パーソナルコンピューター(以下、「PC」という。)103と、を備える。聴診器101とスマートフォン102とは、例えば、聴診器101の使用者である患者宅で使用される。PC103は、例えば、医師がいる病院で使用される。
【0030】
聴診器101とスマートフォン102とは、例えば、Bluetooth(登録商標)規格、Wi-Fi規格等の無線規格に従って、通信する。また、スマートフォン102とPC103とは、例えば、インターネット回線を通じて、通信する。聴診システム1において、聴診器101によって採取された聴診音は、スマートフォン102を介して、PC103に送信される。医師は、PC103により、患者の聴診音を聴取することができる。
【0031】
また、スマートフォン102とPC103とには、ビデオチャットアプリケーションがインストールされており、患者と医師とは、スマートフォン102とPC103とによって、ビデオチャットを行うことが可能である。従って、スマートフォン102が備えるマイク、スピーカー、ビデオチャットアプリケーションは、通話を行うための通話部(第1通話部)として機能する。また、PC103が備えるマイク、スピーカー、ビデオチャットアプリケーションは、通話を行うための通話部(第2通話部)として機能する。
【0032】
また、スマートフォン102が備えるカメラ(撮影部)は、聴診器101を装着している患者の画像を撮影する。また、PC103が備えるディスプレイ(表示部)は、スマートフォン102が備えるカメラによって撮影された画像を表示する。これにより、医師は、聴診器101を装着した患者をPC102で確認可能である。上述したように、聴診器101のベルト2には、マーク3が設けられている。これにより、医師は、マーク3を目安に、患者に聴診ユニット1を移動させる位置を指示することができる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態では、ベルト2に聴診ユニット1が取り付けられており、移動機構は、聴診ユニット1をベルト2に沿って、聴診対象(身体)上を移動させる。これにより、患者は、ベルト2によって聴診器101を身体に装着し、聴診ユニット1を聴診対象(身体)上に固定することで、聴診ユニット1を身体上に位置させることでき、移動機構によって、聴診ユニット1をベルト2上で移動させて、聴診ユニット1を聴診対象(身体上)で移動させることができる。加えて、ベルト2にマーク3が設けられている。このため、遠隔診療(医療)等において、患者と異なる場所にいる医師等は、聴診器101を装着した患者に対して、マーク3を目安に、聴診ユニットを移動させるように、指示することができる。従って、本実施形態によれば、医師等の指示に従って、聴診器の使用者は、正しい聴診位置に聴診器101を当てることができる。
【0034】
また、本実施形態では、回転機構は、聴診ユニット1をベルト2に対して回転させる。これにより、複数のセンサー12を身体上で広い範囲に位置させることが可能となる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明を適用可能な形態は、上述の実施形態には限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、聴診器、及び、聴診システムに好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0037】
101 聴診器
102 スマートフォン
103 PC
201 聴診システム
1 聴診ユニット
11 筐体
12 センサー
2 ベルト(固定部)
3 マーク
4 操作つまみ
5 腰ベルト