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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144444
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】電動ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/62 20060101AFI20231003BHJP
   F16F 15/08 20060101ALI20231003BHJP
   F04B 53/00 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
F04D29/62 F
F16F15/08 E
F04B53/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051417
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000144810
【氏名又は名称】株式会社山田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】澤田 智宏
(72)【発明者】
【氏名】桐生 大輔
(72)【発明者】
【氏名】永井 淑仁
【テーマコード(参考)】
3H071
3H130
3J048
【Fターム(参考)】
3H071AA01
3H071BB03
3H071CC32
3H071CC34
3H071DD82
3H071EE15
3H130AA03
3H130AB07
3H130AB22
3H130AB42
3H130AC13
3H130BA16A
3H130BA97A
3H130CA21
3H130CA23
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130EA01A
3H130EA07A
3H130EB01A
3H130EC08A
3H130ED02A
3J048AA01
3J048BA12
3J048DA08
3J048EA08
(57)【要約】
【課題】弾性部材が離脱しにくく、また形成費用が高くなりにくい電動ポンプを提供すること。
【解決手段】電動ポンプ10は、ポンプ部及びポンプ部を覆うハウジング20を備えたポンプ本体12と、ハウジング20の外周面に配置された弾性部材50と、を備え、外周面には、弾性部材50が配置される弾性部材配置部22が設けられ、弾性部材配置部22には、少なくとも幅方向に延在するハウジング凸部40が設けられ、弾性部材50の長手方向の両方の端部は、互いに係合することが可能な形状を有し、弾性部材50は、端部が互いに係合することで弾性部材配置部22に取り付けられ、弾性部材50の弾性部材配置部22に面する側には、弾性部材凸部54が設けられ、弾性部材凸部54の少なくとも一部は、ハウジング凸部40の少なくとも一部に掛かる位置に設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ部と、前記ポンプ部を覆うハウジングと、を備えたポンプ本体と、
前記ハウジングの外周面に配置された弾性部材と、を備え、
前記外周面には、前記弾性部材が配置される弾性部材配置部が設けられ、
前記弾性部材配置部の周方向と直交する方向を幅方向とした場合、
前記弾性部材配置部には、少なくとも前記幅方向に延在するハウジング凸部が設けられ、
前記弾性部材の長手方向の両方の端部は、互いに係合することが可能な形状を有し、
前記弾性部材は、前記端部が互いに係合することで、前記弾性部材配置部に取り付けられ、
前記弾性部材の前記弾性部材配置部に面する側には、弾性部材凸部が設けられ、
前記弾性部材凸部の少なくとも一部は、前記ハウジング凸部の少なくとも一部に掛かる位置に設けられている、
電動ポンプ。
【請求項2】
前記端部は、何れも、平面視においてL字型の形状を有する、
請求項1に記載の電動ポンプ。
【請求項3】
前記端部の一方は、平面視において凸型の形状を有し、
前記端部の他方は、平面視において凹型の形状を有し、
前記凹型の形状は、前記凸型の形状と同等の形状の凹部を有する、
請求項1に記載の電動ポンプ。
【請求項4】
前記端部は、前記弾性部材の厚さ方向に重畳することで互いに係合し、
前記端部は、前記弾性部材の厚さ方向における断面においてL字型の形状を有する、
請求項1に記載の電動ポンプ。
【請求項5】
前記端部は、前記弾性部材の厚さ方向に重畳することで互いに係合し、
前記端部の一方は、前記厚さの方向に凸な凸型の形状を有し、
前記端部の他方は、前記厚さの方向に凹な凹型の形状を有し、
前記凹型の形状は、前記凸型の形状と同等の形状の凹部を有する、
請求項1に記載の電動ポンプ。
【請求項6】
前記弾性部材配置部の周方向と直交する方向を幅方向とし、前記弾性部材配置部の前記幅方向の中央部を結ぶ線を中央線とした場合、
前記ハウジング凸部は、前記中央線を対象軸としたときに線対称ではない非対称部分を包含しており、
前記弾性部材凸部には、前記非対称部分に対応する位置に、切り欠き部が形成されている、
請求項1から5の何れか1項に記載の電動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両には、冷却水などを循環させるための電動ポンプが用いられる。電動ポンプを車両に取付ける場合、電動ポンプの振動が車両に伝わることを抑制するために、電動ポンプと留め具との間に、弾性部材を介在させる技術が知られている。
特許文献1には、ポンプ本体の外周に帯板状の弾性部材を巻き付ける技術が記載されている。この技術では、弾性部材を固定するために、弾性部材と係合する突起部がハウジングに設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-53756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電動ポンプには、巻き付けた弾性部材が離脱しやすいという問題がある。ハウジングに設けられた突起部が、弾性部材の離脱を困難にする形状を有していないためである。
また、従来の電動ポンプでは、突起部がハウジングに複数設けられている。そのため、ハウジングの形成費用が高くなりやすいという問題がある。
【0005】
本発明は、弾性部材が離脱しにくく、また形成費用が高くなりにくい電動ポンプを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動ポンプは、ポンプ部と、前記ポンプ部を覆うハウジングと、を備えたポンプ本体と、前記ハウジングの外周面に配置された弾性部材と、を備え、前記外周面には、前記弾性部材が配置される弾性部材配置部が設けられ、前記弾性部材配置部の周方向と直交する方向を幅方向とした場合、前記弾性部材配置部には、少なくとも前記幅方向に延在するハウジング凸部が設けられ、前記弾性部材の長手方向の両方の端部は、互いに係合することが可能な形状を有し、前記弾性部材は、前記端部が互いに係合することで、前記弾性部材配置部に取り付けられ、前記弾性部材の前記弾性部材配置部に面する側には、弾性部材凸部が設けられ、前記弾性部材凸部の少なくとも一部は、前記ハウジング凸部の少なくとも一部に掛かる位置に設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、弾性部材が離脱しにくく、また形成費用が高くなりにくい電動ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の電動ポンプを示す斜視図である。
図2】本発明のポンプ本体を示す斜視図である。
図3】本発明の弾性部材の斜視図であり、(a)は正しい巻き付け方を示し、(b)は誤った巻き付け方を示す。
図4】締結具が備えられた本発明の電動ポンプの斜視図である。
図5】本発明の他の構成の弾性部材を示す平面図である。
図6】(a)は、本発明の他の構成の弾性部材を示す斜視図であり、(b)から(d)は、本発明の他の構成の弾性部材を示す断面図である。
図7】本発明のハウジング凸部が設けられたポンプ本体の側面図である。
図8】本発明の他の構成の弾性部材を示す斜視図である。
図9】本発明の他の構成のハウジング凸部が設けられたポンプ本体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<電動ポンプ>
図1に基づいて、本発明の実施形態の電動ポンプ10について説明する。図1は、電動ポンプ10の概要を示す斜視図である。
図1に示すように、電動ポンプ10は、ポンプ本体12と、弾性部材50とを備える。
【0010】
<ポンプ本体>
ポンプ本体12は、ポンプ部(不図示)と、モータ部(不図示)と、ケース13とを備える。
モータ部は、ポンプ部を駆動するモータである。ケース13は、ポンプ部及びモータ部を覆う部材である。ポンプ部及びモータ部は、ケース13に覆われているため、図1に示されていない。
【0011】
<ケース>
ケース13は、第1ケース部14と、第2ケース部16と、ハウジング20とを備える。
ハウジング20は、両端が開口した略円筒状に形成される。ハウジング20は、モータ部を覆う。
第1ケース部14及び第2ケース部16は、それぞれ、ハウジング20の一端側の開口部分及び他端側の開口部分を塞ぐように取り付けられ、ハウジング20と共に、ケース13を構成する。
第1ケース部14は、ポンプ本体12における吸入口141及び吐出口142を備える。
【0012】
<弾性部材>
弾性部材50は、ポンプ本体12に巻き付けられる部材である。弾性部材50は、ゴム材などの弾性を有する材料で形成されている。
図2に、弾性部材50が巻き付けられていないポンプ本体12の斜視図を示す。また、図3(a)及び図3(b)に、弾性部材50の斜視図を示す。
【0013】
図1から図3(a)及び図3(b)に示すように、弾性部材50は、ハウジング20の外周面21に配置されている。詳しくは、図2に示すように、ハウジング20の外周面21には弾性部材配置部22が設けられている。弾性部材配置部22は、ハウジング20の外周に周方向に延在する帯状の部分である。図1に示すように、弾性部材50は、ハウジング20の外周面21における弾性部材配置部22に配置される。弾性部材50の詳細については、後述する。
【0014】
<締結具>
図4は、締結具70が備えられた電動ポンプ10の斜視図である。
電動ポンプ10は、装置に固定される際、締結具70を介して装置に固定される。
締結具70は、電動ポンプ10を車両などの装置に固定する際に使用されるとめ具である。締結具70は、金属などで形成されている。
【0015】
図4に示すように、締結具70は、帯状の金属板部材の一端部及び他端部を除く部分が円形に湾曲されると共に一端部及び他端部が重なり合った形状に形成される。締結具70は、湾曲された部分がポンプ本体12に巻き付けられた弾性部材50の外周に沿うように配置される。締結具70の一端部及び他端部には、重なり合った状態で貫通する締結穴701が形成され、この締結穴701に挿入されたねじ(不図示)によって、装置(不図示)に固定される。
【0016】
装置に固定された電動ポンプ10において、弾性部材50は、電動ポンプ10と装置との間で振動を吸収する役目を果たす。それにより、電動ポンプ10の振動が装置に伝わることを抑制したり、装置の振動が電動ポンプ10に伝わることを抑制したりできる。
【0017】
<弾性部材>
図3(a)及び図3(b)に基づいて弾性部材50の形状について説明する。
帯長型の弾性部材50における、その長手方向の2つの端部を、第1端部501及び第2端部502とする。弾性部材50は、図3(a)及び図3(b)に示すように、第1端部501と第2端部502とを重ね合わせることにより環状に形成され、弾性部材配置部22に配置されている。第1端部501と第2端部502との係合については後述する。
【0018】
<弾性部材凸部と弾性部材凹部>
弾性部材50には、図3(a)及び図3(b)に示すように、弾性部材凸部54が設けられている。
弾性部材50が弾性部材配置部22に配置された際に、弾性部材配置部22に面する側の弾性部材50の面を内面とする。
【0019】
弾性部材凸部54は、弾性部材50の内面に設けられた突起である。
弾性部材50が、図3(a)及び図3(b)に示すように環状となった状態における、弾性部材50の周方向を、図3(a)及び図3(b)に矢印C1で示す。また、弾性部材50の幅方向をW2で示す。
弾性部材凸部54は、弾性部材50における、幅方向W1の一端から他端まで、幅方向W1に延在する。
また、弾性部材凸部54は、周方向C1において、一定の間隔をあけて、複数個設けられている。そのため、隣接する弾性部材凸部54の間に、弾性部材凹部56が形成される。
弾性部材凸部54及び弾性部材凹部56は、弾性部材50が弾性部材配置部22に配置された際に、弾性部材50とポンプ本体12との間での振動の伝搬を抑制することができる。
【0020】
<弾性部材の固定>
図1に基づいて弾性部材50の固定について説明する。
図1は、本実施形態の電動ポンプ10の斜視図である。図1の四角囲みSは、弾性部材50自身が係合する部分を示している。
四角囲みSに示されるように、本実施形態の電動ポンプ10では、弾性部材50は、弾性部材50自身が係合することで、弾性部材配置部22に固定されている。
弾性部材50の第1端部501と第2端部502とは、互いに係合し合えるような鍵型の形状を有している。
図1に示す例では、第1端部501と第2端部502とが、平面視においてJの字の先端部分が掛かり合うような形態で係合している。
【0021】
具体的には、図1又は図3(a)に示すように、第1端部501は、弾性部材50の幅方向W1の一辺に沿って弾性部材50の周方向C1に延伸する第1伸長部501aと、第1伸長部501aから弾性部材50の幅方向W1に延伸する第1屈曲部501bと、第1屈曲部501bから弾性部材50の周方向C1に、第1伸長部501aとは逆方向に延伸する第1掛かり部501cとを含む。
【0022】
同様に、第2端部502は、弾性部材50の幅方向W1の一辺に沿って弾性部材50の周方向C1に延伸する第2伸長部502aと、第2伸長部502aから弾性部材50の幅方向W1に延伸する第2屈曲部502bと、第2屈曲部502bから弾性部材50の周方向C1に、第2伸長部502aとは逆方向に延伸する第2掛かり部502cとを含む。
この様に、延伸方向が90度異なる部分が3つ連続することで、第1端部501及び第2端部502は、平面視においてJの字の先端部分に似た形状を有する。
【0023】
第1伸長部501aが沿う弾性部材50の幅方向W1の一辺と、第2伸長部502aが沿う弾性部材50の幅方向W1の一辺とは、幅方向W1において対向する異なる辺である。そのため、第1端部501と第2端部502とのJの字の先端部分が掛かり合うような形態で係合することが可能になる。
具体的には、第1伸長部501a、第1屈曲部501b及び第1掛かり部501cで囲まれる部分に、第2端部502の第2掛かり部502cがはまる。そして、第2掛かり部502c、第2屈曲部502b及び第2伸長部aが第1掛かり部501cを取り囲むことで、第1端部501と第2端部502とが、それらの間に隙間が生じないように係合する。
【0024】
これにより、弾性部材50以外の部材を用いることなく、弾性部材50を弾性部材配置部22に固定することができる。すなわち、弾性部材50の緊迫力と、鍵型の形状の摩擦力とにより、弾性部材50を弾性部材配置部22に固定することができる
そのため、追加の費用を生じさせず、また、より簡易に、弾性部材50を弾性部材配置部22に固定することができる。
【0025】
<他の形状>
第1端部501及び第2端部502の形状は、図1に示す形状に限定されない。
図5(a)から図5(c)に基づいて、第1端部501及び第2端部502の他の形状について説明する。図5(a)から図5(c)は、他の形状を有する第1端部501及び第2端部502の斜視図である。
図5(a)に示す第1端部501及び第2端部502は、平面視において、何れも矩形で形成される略L字型に形成されている。図5(a)に示す第1端部501及び第2端部502は、先に図1及び図3(a)に基づいて説明した第1端部501及び第2端部502において、第1掛かり部501c及び第2掛かり部502cが設けられていない形態に類似している。
【0026】
すなわち、図5(a)に示す構成では、第1端部501は、弾性部材50の幅方向W1の一辺に沿って弾性部材50の周方向C1に延伸する第1伸長部501aと、第1伸長部501aから弾性部材50の幅方向W1に延伸する第1屈曲部501bとを含む。一方、第2端部502は、弾性部材50の幅方向W1の一辺に沿って弾性部材50の周方向C1に延伸する第2伸長部502aと、第2伸長部502aから弾性部材50の幅方向W1に延伸する第2屈曲部502bとを含む。
そして、第1屈曲部501bと第2屈曲部502bとが掛かり合うことで、第1端部501と第2端部502との係合が可能になる。
【0027】
図5(b)に示す第1端部501及び第2端部502では、第2端部502は、平面視において略円型に形成され、第1端部501は、第2端部502の円形の部分を受け入れるような形状に形成されている。
すなわち、第2端部502は、弾性部材50の幅方向W1の中央部分から、弾性部材50の周方向C1に延伸する第2接続部502dと、第2接続部502dから延在する第2円形部502eとを含む。一方、第1端部501は、第2接続部502dを弾性部材50の幅方向W1における両側から挟み込むように配置された第1狭幅部501dと、第2円形部502eと同様の形状にくり抜かれた第1くり抜き部501eとを含む。
そして、第2円形部502eが第1くり抜き部501eにはまり込むことで、第1端部501と第2端部502との係合が可能になる。
【0028】
図5(c)に示す第1端部501及び第2端部502では、第2端部502は、平面視において略T字型に形成され、第1端部501は、第2端部502のT字型の部分を受け入れるような形状に形成されている。
すなわち、第2端部502は、弾性部材50の幅方向W1の中央部分から、弾性部材50の周方向C1に延伸する第2支持部502fと、第2支持部502fから延在する第2直棒部502gとを含む。この第2直棒部502gは、弾性部材50の幅方向W1に延伸する。そして、第2支持部502fは、第2直棒部502gの、弾性部材50の幅方向W1における中央部分に接続されている。
【0029】
一方、第1端部501は、第2支持部502fを弾性部材50の幅方向W1における両側から挟み込むように配置された第1狭幅部501fと、第2直棒部502gと同様の形状にくり抜かれた第1くり抜き部501gとを含む。
そして、第2直棒部502gが第1くり抜き部501gにはまり込むことで、第1端部501と第2端部502との係合が可能になる。
【0030】
以上のように、図5(b)又は図5(c)に示す例では、第2端部502は、平面視において凸型に形成されており、第1端部501は、平面視において、前記凸型の形状と同等の形状の凹部を有する凹型に形成されている。
第1端部501及び第2端部502をこの様な形状に形成することで、第1端部501と第2端部502との係合により、弾性部材50を弾性部材配置部22に固定することができる。
【0031】
<他の形状>
図6(a)から図6(d)に基づいて、第1端部501及び第2端部502の他の形状について説明する。図6(a)は、他の形状を有する第1端部501及び第2端部502の斜視図である。図6(b)から図6(d)は、図6(a)のA-A線断面図である。
図6(a)に示すように、第1端部501と第2端部502とは、弾性部材50の厚さ方向D1において係合するような形状に形成されてもよい。
【0032】
第1端部501と第2端部502との係合の具体的な態様の例は、図6(b)から図6(d)に示されている。
以下の図6に関する説明において、断面視とは、図6(a)のA-A線方向に弾性部材50を見ることをいう。
【0033】
図6(b)に示す構成では、第2端部502は弾性部材50の厚さ方向D1に凸形状を有し、第1端部501は、第2端部502の凸形状を受け入れるような凹形状を有している。
すなわち、第2端部502は、断面視において先端が円形に、弾性部材50の厚さ方向D1に突出する第2円形突出部502hを含む。一方、第1端部501は、第2円形突出部502hと同様の形状に、弾性部材50の厚さ方向D1にくり抜かれた第1円形凹部501hを含む。
そして、第2円形突出部502hが第1円形凹部501hにはまり込むことで、第1端部501と第2端部502との係合が可能になる。
【0034】
図6(c)に示す構成では、第2端部502は厚さ方向D1に略T字型に突出する凸形状を有し、第1端部501は、第2端部502の凸形状を受け入れるような凹形状を有している。
すなわち、第2端部502は、弾性部材50の厚さ方向D1に延在する第2支持部502iと、第2支持部502iから延在する第2掛かり部502jとを含む。
この第2掛かり部502jは、弾性部材50の周方向C1において、第2支持部502iよりも幅広に形成されている。また、第2支持部502iは、第2掛かり部502jの、弾性部材50の周方向C1における中央部分に接続されている。すなわち、第2端部502は断面視においてT字型の凸形状を有している。
【0035】
一方、第1端部501は、第2端部502の断面視におけるT字型の凸形状と同様の形状にくり抜かれた形状を有している。具体的には、第1端部501は、第2支持部502iを弾性部材50の周方向C1における両側から挟み込むように配置された第1狭幅部501iと、第2掛かり部502jと同様の形状にくり抜かれた第1くり抜き部501jとを含む。
そして、第2掛かり部502jが第1くり抜き部501jにはまり込むことで、第1端部501と第2端部502との係合が可能になる。
【0036】
以上のように、図6(b)に示す構成及び図6(c)に示す構成では、すなわち、第1端部501と第2端部502とは、弾性部材50の厚さ方向D1に重畳することで互いに係合し、第2端部502は、厚さの方向D1に凸な凸型に形成されており、第1端部501は、厚さの方向D1に凹な、凸型の形状と同等の形状の凹部を有する凹型に形成されている。
【0037】
図6(d)に示す構成では、第1端部501及び第2端部502は、いずれも、厚さ方向D1に矩形に略L字型に形成されている。
すなわち、第1端部501は、断面視において、弾性部材50の周方向C1に延伸する第1伸長部501kと、第1伸長部501kから弾性部材50の厚さ方向D1に延伸する第1屈曲部501mとを含む。また、第2端部502は、弾性部材50の周方向C1に延伸する第2伸長部502kと、第2伸長部502kから弾性部材50の厚さ方向D1に延伸する第2屈曲部502mとを含む。
そして、第1屈曲部501mと第2屈曲部502mとが掛かり合うことで、第1端部501と第2端部502との係合が可能になる。
【0038】
図6(a)に示す係合の形態において、その第1端部501及び第2端部502の形状は、図6(b)から図6(c)に示すような種々の形状とすることができる。
また、図6(a)に示す構成では、第1端部501と第2端部502とは、2か所で係合することができる。具体的には、図6(a)にP1及びP2で示す2か所において、第1端部501と第2端部502とを係合させることができる。
そのため、第1端部501と第2端部502と係合をより強固にすることができる。
【0039】
<ハウジング凸部>
図7及び図8に基づいて、ハウジング凸部40について説明する。
図7は、弾性部材配置部22にハウジング凸部40が設けられたポンプ本体12の一部側面図である。図7は、円柱の側面の形状に延在する弾性部材配置部22において、弾性部材50の第1端部501と第2端部502とが係合する部分とは正反対の方向からポンプ本体12を見た際の図である。
【0040】
ハウジング凸部40は、弾性部材配置部22の表面に形成された突起である。
弾性部材配置部22は、円柱の側面のように、所定の幅をもって周方向に延びている。ハウジング凸部40は、その円周表面に配置され、その表面から円周の径方向に突出している。すなわち、ハウジング凸部40は、弾性部材配置部22からその法線方向に突出している。
【0041】
ハウジング凸部40は、第1凸部401と第2凸部402とを包含する。
第1凸部401は、ハウジング凸部40のなかで、弾性部材配置部22の中央線CLを対象軸として線対称な部分である。
第2凸部402は、ハウジング凸部40のなかで、弾性部材配置部22の中央線CLを対象軸として線対称ではない部分である。すなわち、ハウジング凸部40の非対称部分である。
【0042】
弾性部材配置部22において、中央線CLに沿う方向を周方向とし、中央線CLと直交する方向を幅方向とする。
図7に、周方向を矢印C2で示し、幅方向を矢印W2で示す。
図7に示すハウジング凸部40では、第1凸部401は、弾性部材配置部22の幅方向W2における一端から他端まで、幅方向W2に延在する。一方、第2凸部402は、弾性部材配置部22の幅方向W2における一端において、周方向C2に延在する。
以上のようにハウジング凸部40は、略T字型の形状を有している。
【0043】
<位置ずれ>
第1凸部401は、弾性部材50が弾性部材配置部22に配置された際、周方向C2における弾性部材50の位置ずれを抑制する。
図7及び図8から把握されるように、弾性部材50が弾性部材配置部22に配置された際、第1凸部401は、弾性部材50の弾性部材凹部56にはまる。
言い換えると、弾性部材凸部54の少なくとも一部は、第1凸部401の少なくとも一部に掛かる。ここで掛かるとは、当接することにより動きが制約されることをいう。
これにより、弾性部材50が、弾性部材配置部22において、周方向C2に位置ずれすることを抑制することができる。
【0044】
<誤組の防止>
ハウジング凸部40による誤組の防止について説明する。
誤組とは、弾性部材50を弾性部材配置部22に巻き付ける際に、誤った方向に巻き付けることを意味する。
図3(a)及び図3(b)に基づいて説明する。図3(a)は、弾性部材50を弾性部材配置部22に巻き付ける際の、正しい弾性部材50の巻き付け方を示している。これに対し図3(b)は、正しくない巻き付け方を示している。図3(a)に示す巻き付け方を正組とし、図3(b)に示す巻き付け方を誤組とする。なお、図3(a)及び図3(b)では、図面を見やすくするために、ハウジング20など、弾性部材50以外の部材を省略している。
【0045】
誤組は、正組を上下反転させた組み方である。
図3(a)に示す正組では、第1端部501を起点とした場合、矢印Aの方向に弾性部材50を巻いていく。そして、第2端部502の鍵型の部分を第1端部501の鍵型の部分に係合させることで、弾性部材50を円形に巻く。
これに対し、図3(b)に示す誤組では、第1端部501を起点とした場合、矢印Bの方向に弾性部材50を巻いていく。そして、第2端部502の鍵型の部分を、第1端部501の鍵型の部分に係合させることで、弾性部材50を円形に巻く。矢印Aと矢印Bとは、示す方向が逆方向である。
【0046】
このように、正組と誤組とでは、弾性部材50を巻き付けていく方向が異なる。その結果、巻き付けられた弾性部材50は、正組と誤組とで、その上下が反転した形態となる。
【0047】
また、正組と誤組とでは、上述のような巻き付け方の相違から、切り欠き部541の幅方向W1における位置が相違する。すなわち、正組では、図3(a)に示すように、切り欠き部541は幅方向W1における上方に位置する。これに対して、誤組では、図3(b)に示すように、切り欠き部541は幅方向W1における下方に位置する。
【0048】
(ハウジング凸部に対応した弾性部材凸部)
図8に基づいて、弾性部材凸部54について説明する。
図8は、図7に示したハウジング凸部40に適合するように形成された弾性部材50を示す斜視図である。
図8に示す弾性部材50では、弾性部材凸部54の一部に、切り欠き部541が設けられている。
切り欠き部541は、弾性部材凸部54の突起部分が一部切り取られた部分である。
図8に示す弾性部材では、隣接する2つの弾性部材凸部54の、幅方向W1における一端において、突起が切り取られている。
この切り取られた部分は、図7に示すハウジング凸部40の第2凸部402に対応する部分である。すなわち、弾性部材50が弾性部材配置部22に配置された際、第2凸部402が切り欠き部541にはまる。
そのため、弾性部材50は、弾性部材配置部22に第2凸部402が設けられているにも関わらず、弾性部材配置部22の表面から浮き上がったりせずに、弾性部材配置部22に配置される。
【0049】
ここで、図7に示す弾性部材配置部22及び図8に示す弾性部材50は、誤組を防止することができる。
誤組をしようとした場合、第2凸部402が弾性部材凸部54に当接するため、弾性部材50を浮きなく弾性部材配置部22に巻き付けることができない。これにより、誤組を防止することができる。
【0050】
(第2凸部の他の形態)
図7では、ハウジング凸部40が略T字型である構成を示した。すなわち、第2凸部402が、弾性部材配置部22の幅方向W2の一端において、円周方向W2に延在する構成を示した。
第2凸部402の構成は、図7に示した構成に限定されない。誤組を防止するとの観点からは、第2凸部402は、中央線CLを対象軸として線対称ではない形状を有すればよい。そのような形状としては、U字型やV字型を例示することができる。
第2凸部402の他の一例について、図9に基づいて説明する。
図9は、図7に対応する図であり、弾性部材配置部22に他の構成のハウジング凸部40が設けられたポンプ本体12の一部側面図である。
図7に記載されたハウジング凸部40はT字型であるのに対して、図9に記載されたハウジング凸部40はY字型である。
すなわち、第2凸部402は、第1凸部401から、幅方向W2に対して斜め方向に、弾性部材配置部22の幅方向W2における一端まで延在している。また、第2凸部402は、第1凸部401を対称軸として、線対称に2つ設けられている。
【0051】
(弾性部材の切り欠き部)
なお、弾性部材50の切り欠き部541は、ハウジング凸部40の第2凸部402の形状に対応させる。すなわち、弾性部材50が弾性部材配置部22に配置された際に、第2凸部402が当接する位置に、切り欠き部541を形成する。
第2凸部402が図9に示すような形状である場合、弾性部材凸部54の切り欠き部541もそれに合わせた位置に形成する。
これにより、図7に示した構成と同様に誤組を防止することができる。
【0052】
なお、ハウジング凸部40は、必ずしも第2凸部402を備えている必要はない。ハウジング凸部40は、第1凸部401を備えることで、少なくとも、弾性部材50が弾性部材配置部22に配置された際の、周方向C2における弾性部材50の位置ずれを抑制することができる。
【0053】
なお、ハウジング20を形成する方法は特には限定されない。例えば、金型を用いた成形でハウジング20を形成することができる。その際、ハウジング凸部40の形状を、金型を分割するパーティングラインを対象軸としたときに線対称になるような形状とすることで、金型の取り外しを容易にすることができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更及び変形が可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 電動ポンプ
12 ポンプ本体
13 ケース
14 第1ケース部
141 吸入口
142 吐出口
16 第2ケース部
20 ハウジング
21 外周面
22 弾性部材配置部
40 ハウジング凸部
401 第1凸部
402 第2凸部
50 弾性部材
501 第1端部
502 第2端部
54 弾性部材凸部
541 切り欠き部
56 弾性部材凹部
70 締結具
701 締結穴
CL 中央線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9