(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144447
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】紫外線処理装置及び紫外線処理方法
(51)【国際特許分類】
B01J 19/12 20060101AFI20231003BHJP
B01D 53/66 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
B01J19/12 C
B01D53/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051420
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 敬祐
【テーマコード(参考)】
4D002
4G075
【Fターム(参考)】
4D002AA11
4D002AC10
4D002BA06
4D002CA07
4D002DA70
4G075AA03
4G075AA30
4G075AA61
4G075AA65
4G075BA04
4G075BA05
4G075CA33
4G075CA54
4G075DA02
4G075DA18
4G075EB31
4G075FB01
4G075FB02
4G075FB03
4G075FB04
4G075FB12
4G075FC04
4G075FC20
(57)【要約】
【課題】既設の窓部材に対しても、紫外線処理が可能な紫外線処理装置及び紫外線処理方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る紫外線処理装置は、少なくとも発光スペクトルの一部が波長200nm以下の波長範囲に属する紫外線を発する光源と、前記光源を収容する筐体と、第一方向に向かって前記筐体の外側に前記紫外線を取り出す光取り出し領域と、前記筐体の前記第一方向に係る外側面の少なくとも一部箇所に設けられ、処理対象物が接触する接触部とを備え、前記筐体は、前記接触部と前記処理対象物とが接触された際に、前記筐体と前記処理対象物の間に区画される空間と、前記光取り出し領域よりも前記光源に近い側における前記筐体の内部空間とを連通する開口部を有することを特徴とする。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも発光スペクトルの一部が波長200nm以下の波長範囲に属する紫外線を発する光源と、
前記光源を収容する筐体と、
第一方向に向かって前記筐体の外側に前記紫外線を取り出す光取り出し領域と、
前記筐体の前記第一方向に係る外側面の少なくとも一部箇所に設けられ、処理対象物が接触する接触部とを備え、
前記筐体は、前記接触部と前記処理対象物とが接触された際に、前記筐体と前記処理対象物の間に区画される空間と、前記光取り出し領域よりも前記光源に近い側における前記筐体の内部空間とを連通する開口部を有することを特徴とする、紫外線処理装置。
【請求項2】
前記筐体の内部空間に配置されたオゾン分解部と、
前記開口部から前記オゾン分解部に向かう気流経路の、前記オゾン分解部の後段箇所に配置され、前記筐体の内部空間の気体を前記筐体の外側に排気するための排気口とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の紫外線処理装置。
【請求項3】
前記光取り出し領域は、前記接触部が位置する側の前記筐体の外側面に形成された開口領域で構成され、前記光取り出し領域が前記開口部を兼ねることを特徴とする、請求項1又は2に記載の紫外線処理装置。
【請求項4】
前記光取り出し領域は、前記接触部が位置する側の前記筐体の外側面に形成された、前記紫外線に対する透過性を有する部材からなる窓部で構成され、
前記筐体を前記第一方向とは反対方向に見たときに、前記開口部が前記窓部の外側に配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の紫外線処理装置。
【請求項5】
前記接触部は、少なくとも前記第一方向に係る端部がすべり性を有するすべり部材で構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の紫外線処理装置。
【請求項6】
前記すべり部材は、フッ素系樹脂であることを特徴とする、請求項5に記載の紫外線処理装置。
【請求項7】
前記接触部が前記処理対象物に実質的に接触したことを検知する検知部と、
前記検知部からの信号に基づいて、前記光源に対して前記紫外線を出射させる制御を行う制御部とを備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の紫外線処理装置。
【請求項8】
前記筐体は、前記第一方向に関して前記接触部とは反対側に位置する外側面に固定された把手部を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の紫外線処理装置。
【請求項9】
少なくとも発光スペクトルの一部が波長200nm以下の波長範囲に属する紫外線を発する光源と、
前記光源を収容する筐体と、
第一方向に向かって前記筐体の外側に前記紫外線を取り出す、前記紫外線に対する透過性を有する部材からなる窓部と、
前記筐体を前記第一方向とは反対方向に見たときに前記窓部の外側に配置され、前記第一方向に係る前記筐体の外側と前記筐体の内部空間とを連通する開口部とを備えることを特徴とする、紫外線処理装置。
【請求項10】
前記光源は、キセノンエキシマランプであることを特徴とする、請求項1、2又は9のいずれか一項に記載の紫外線処理装置。
【請求項11】
少なくとも発光スペクトルの一部が波長200nm以下の波長範囲に属する紫外線を発する光源と、前記光源を収容する筐体と、前記筐体の第一外側面に固定された把手部と、を備える紫外線処理装置を用いた、紫外線処理方法であって、
前記光源を点灯する工程(a)と、
前記工程(a)の実行中に、操作者が前記把手部を把持しつつ前記筐体を移動させて、前記筐体の前記第一外側面とは異なる側面に設けられた光取り出し領域を通じて取り出される前記紫外線の、処理対象物上における照射領域を変更する工程(b)とを有することを特徴とする、紫外線処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線処理装置及び紫外線処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス材料の表面を紫外線処理する技術が知られている。例えば、下記特許文献1には、液晶用ガラス基板又は半導体ウエハ等の表面に紫外線を照射する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような装置は、例えば液晶用ガラス基板の表面を親水化することを目的として、当該基板の表面に紫外線を照射するために用いられる。
【0005】
近年、既設の窓部材に対して、ガラス材料の表面の汚れを防止したり、撥水作用を高めること等を目的として、コーティング剤を塗布するコーティングが行われている。また、調光フィルム等の機能性フィルムをガラス表面に貼り付けることで、機能を付加させることも行われている。
【0006】
例えば、このコーティング剤をガラス表面に均一に塗布するためには、ガラス表面が親水化されていることが望ましく、さらにガラス表面の汚れが除去されていることが望ましい。
【0007】
しかしながら、例えば特許文献1に記載されている装置は、既設の窓部材に対して紫外線を照射できる態様ではなく、例えば建物に設置されている窓ガラス等に対して紫外線処理を行うことができない。このように、従来の装置構成では、既設の窓部材に対する紫外線処理が困難である。
【0008】
上記事情に基づき、本発明は、既設の窓部材に対して紫外線処理が可能な紫外線処理装置及び紫外線処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る紫外線処理装置は、
少なくとも発光スペクトルの一部が波長200nm以下の波長範囲に属する紫外線を発する光源と、
前記光源を収容する筐体と、
第一方向に向かって前記筐体の外側に前記紫外線を取り出す光取り出し領域と、
前記筐体の前記第一方向に係る外側面の少なくとも一部箇所に設けられ、処理対象物が接触する接触部とを備え、
前記筐体は、前記接触部と前記処理対象物とが接触された際に、前記筐体と前記処理対象物の間に区画される空間と、前記光取り出し領域よりも前記光源に近い側における前記筐体の内部空間とを連通する開口部を有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る紫外線処理装置は、第一方向に向かって、筐体内の光源が発する紫外線を外側に取り出す光取り出し領域と、筐体の前記第一方向に係る外側面に設けられる接触部を備える。つまり、この第一方向は、紫外線の出射方向として構わない。この接触部と処理対象物とが接触されると、筐体と処理対象物との間に空間が区画される。この空間を、便宜上「特定空間」と称する。本発明に係る紫外線処理装置は、光取り出し領域から紫外線を出射し、当該特定空間を介して、処理対象物に紫外線を照射する。より詳細には、当該特定空間内に存在する空気に紫外線を照射することで発生させた、反応性の高い原子状酸素及び/又はオゾン等によって、処理対象物の表面を酸化する。すなわち、処理対象物の表面に存在する有機物の分子結合が切断され、側鎖に親水基が導入される結果、当該表面が親水化する。このように、本発明に係る紫外線処理装置によれば、当該接触部を処理対象物に接触させて紫外線処理を行うことができるので、処理対象物が既設の窓部材であっても、当該窓部材の表面の親水化を行うことができる。
【0011】
また、上記の装置によれば、処理対象物の表面に存在する汚染物としての有機化合物の一部を酸化して揮発性の分子(CO2,H2O、O2)とすることができる。このため、紫外線を照射することで、処理対象物の表面に存在する有機化合物を分解することにより、当該表面の洗浄を行うことも可能である。
【0012】
前記光源は、好ましくは、ピーク波長が200nm以下の紫外線を発する。前記光源は、ランプであっても構わないし、LED等の固体光源であっても構わない。前者の場合、前記光源を、Xeを含む発光ガスが封入されたエキシマランプとすることができる。この場合、ピーク波長は172nm近傍となる。なお、「近傍」と記載したのは、封入ガスの分圧や、利用に伴う経時的な変化によって、ピーク波長に±2nm程度の個体差が生じる可能性を許容する意図である。なお、発光ガスの材料を替えることで、光源から発せられる紫外線のピーク波長を異ならせることができる。例えば、Krの場合には146nm近傍であり、ArBrの場合には165nm近傍であり、ArFの場合には193nm近傍である。
【0013】
本発明に係る紫外線処理装置においては、前記筐体の内部空間に配置されたオゾン分解部と、
前記開口部から前記オゾン分解部に向かう気流経路の、前記オゾン分解部の後段箇所に配置され、前記筐体の内部空間の気体を前記筐体の外側に排気するための排気口とを備えても構わない。
【0014】
紫外線処理装置を用いて処理対象物の表面処理を行う場合には、上述したように、特定空間内に存在する空気を介して、紫外線が処理対象物に照射されることになる。空気中に含まれる酸素分子は、200nm未満の紫外域にシューマン・ルンゲ帯(Schumann-Runge Bands)と呼ばれる吸収域を有している。このため、空気中に含まれる酸素分子に対して、200nm未満の波長の紫外線が照射されると、下記(1)式に従って、原子状酸素に分解される。
O2 + hν(λ) → O + O ‥‥(1)
【0015】
一部の原子状酸素は、外気に含まれる酸素分子と反応してオゾンを生成する。なお、(2)式においてMは第三体を示す。
O + O2 + M → O3 + M ‥‥(2)
【0016】
つまり、波長200nm以下の紫外線を発する紫外線処理装置を用いて処理対象物の表面処理を行うと、不可避的にオゾンが生成されることになる。このオゾンは、人体に対して有害な物質であることが知られている。そこで、本発明に係る紫外線処理装置は、当該特定空間と、筐体内の空間とを連通する開口部を備える。このような開口部を備えることにより、特定空間内で発生したオゾンの大部分を筐体内に導くことができ、紫外線処理を行う作業者の健康を害するおそれを軽減することができる。
【0017】
オゾン分解部は、例えば、アルミニウム、ステンレス、セラミックス等の金属製のハニカム構造体からなる基材にオゾン分解触媒が担持された構造のものを採用することができる。オゾン分解触媒としては、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、白金(Pt)などの貴金属触媒や、二酸化マンガン(MnO2)、酸化第二鉄(Fe2O3)、酸化ニッケル(NiO)など金属酸化物を利用することができる。また、オゾン分解部として、活性炭を含む分解フィルターを採用することも可能である。
【0018】
前記光取り出し領域は、前記接触部が位置する側の前記筐体の外側面に形成された開口領域で構成され、前記光取り出し領域が前記開口部を兼ねても構わない。
【0019】
前記光取り出し領域は、前記接触部が位置する側の前記筐体の外側面に形成された、前記紫外線に対する透過性を有する部材からなる窓部で構成され、
前記筐体を前記第一方向とは反対方向に見たときに、前記開口部が前記窓部の外側に配置されても構わない。
【0020】
光取り出し領域が開口である場合は、光取り出し領域が前述した開口部を兼ねてもよく、光取り出し領域が窓部で構成される場合は、例えば光取り出し領域を構成する窓部の外側に前述した開口部を設けてもよい。
【0021】
前記接触部は、少なくとも前記第一方向に係る端部が、すべり性を有するすべり部材で構成されても構わない。
【0022】
このすべり部材は、紫外線処理装置の接触部と処理対象物の表面とのすべり性を高める目的で採用される。このような材料としては、フッ素系樹脂、メラミン樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びポリオレフィン系樹脂からなる群に属する1種又は2種以上が採用できる。フッ素系樹脂の一例としては、ポリテトラフルオロエトレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等が挙げられる。ポリエーテル系樹脂の一例としては、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド等が挙げられる。ポリアミド系樹脂の一例としては、芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド等のアラミド樹脂が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂の一例としては、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メチルメタクリル酸共重合体、及びエチレン-プロピレン共重合体等が挙げられる。このすべり部材は、好ましくは動摩擦係数が1以下である材料で構成される。例えば、PTFEの動摩擦係数は0.08~0.12程度、メラミン樹脂の動摩擦係数は0.06程度、ポリアセタール樹脂の動摩擦係数は0.18程度、ポリアミド樹脂の動摩擦係数は0.08程度、ポリエチレン樹脂の動摩擦係数は0.13程度である。
【0023】
前述したように、本発明に係る紫外線処理装置は、接触部を処理対象物に接触させた状態で紫外線処理を行う。その際、処理対象物の表面に当該接触部を接触させた状態で、紫外線処理装置を移動させて紫外線処理を行うことができれば効率的に作業ができる。そのため、当該接触部は、処理対象物の表面に対してすべり性が高いことが好ましい。この観点から、当該接触部の少なくとも前記第一方向に係る端部をすべり部材で構成することにより、接触部と処理対象物の表面とのすべり性を高めることができる。また、当該接触部が、処理対象物に対してすべり性が高いことで、処理対象物の表面をキズつけにくくなる。
【0024】
接触部の動摩擦係数は、例えば、JIS K 7125「プラスチックフィルム及びシート-摩擦係数試験方法」に準じた方法で測定可能である。
【0025】
本発明に係る紫外線処理装置は、前記接触部が前記処理対象物に実質的に接触したことを検知する検知部と、
前記検知部からの信号に基づいて、前記光源に対して前記紫外線を出射させる制御を行う制御部とを備えても構わない。
【0026】
前述したように、大気中に含まれる酸素に紫外線が照射されることにより人体に有害なオゾンが発生する。そのため、処理対象物を紫外線処理する作業中においては、処理対象物に紫外線処理を行う時に紫外線を出射して、例えば紫外線処理を行う部位を変更するために紫外線処理装置を移動させる間は、紫外線を出射しないことが好ましい。そのため、接触部が処理対象物に実質的に接触したことを検知する検知部と、当該検知部の信号に基づいて、紫外線を出射する制御を行う制御部を備えることで、より安全かつ効率的に作業を行うことができる。
【0027】
なお、本明細書において「実質的に接触する」とは、直接接触することはもちろん、近接した際の距離が5mm以内であることを含む。
【0028】
前記筐体は、前記第一方向に関して前記接触部とは反対側に位置する外側面に固定された把手部を有してもよい。把手部は、外側面に一端が固定され、他端が筐体から遠ざかるように配置された棒形状であっても構わないし、外側面に固定された取手形状であっても構わない。
【0029】
また、本発明に係る紫外線処理装置は、
少なくとも発光スペクトルの一部が波長200nm以下の波長範囲に属する紫外線を発する光源と、
前記光源を収容する筐体と、
第一方向に向かって前記筐体の外側に前記紫外線を取り出す、前記紫外線に対する透過性を有する部材からなる窓部と、
前記筐体を前記第一方向とは反対方向に見たときに前記窓部の外側に配置され、前記第一方向に係る前記筐体の外側と前記筐体の内部空間とを連通する開口部とを備えることを特徴とする。
【0030】
本発明に係る紫外線処理装置は、筐体内の光源が発する紫外線を第一方向に向かって取り出す窓部を備える。この窓部から出射する紫外線を処理対象物に照射することにより、前述した表面処理の議論と同様に、処理対象物の表面の親水化を行うことができる。すなわち、本発明に係る紫外線処理装置によれば、光取り出し領域を処理対象物に向けて紫外線処理を行うことができるので、処理対象物が既設の窓部材であっても、当該窓部材の表面の親水化を行うことができる。また、前述したように、処理対象物の洗浄を行うことも可能である。
【0031】
開口部については、前述した開口部の議論と同様の議論が可能である。すなわち、このような開口部を備えることにより、処理対象物の表面近傍で発生したオゾンの大部分を筐体内に導くことができ、紫外線処理を行う作業者の健康を害するおそれを軽減することができる。
【0032】
本発明に係る紫外線処理方法は、
少なくとも発光スペクトルの一部が波長200nm以下の波長範囲に属する紫外線を発する光源と、前記光源を収容する筐体と、前記筐体の第一外側面に固定された把手部と、を備える紫外線処理装置を用いた、紫外線処理方法であって、
前記光源を点灯する工程(a)と、
前記工程(a)の実行中に、操作者が前記把手部を把持しつつ前記筐体を移動させて、前記筐体の前記第一外側面とは異なる側面に設けられた光取り出し領域を通じて取り出される前記紫外線の、処理対象物上における照射領域を変更する工程(b)とを有することを特徴とする。
【0033】
本発明に係る紫外線処理方法は、紫外線を発する光源と、それを収容する筐体と、把手部と、を備える紫外線処理装置を用いる。紫外線処理装置の操作者は、この把手部を用いて、前記筐体を移動させることで、処理対象物上における照射領域を変更できる。このように、本発明に係る紫外線処理方法によれば、操作者が把手部を用いて紫外線処理装置を操作して、処理対象物上の照射領域を選択して、紫外線処理を行うことができる。したがって、本発明に係る紫外線処理方法によれば、処理対象物が既設の窓部材であっても、当該窓部材の表面の親水化を行うことができる。
【0034】
また、上記の方法によれば、処理対象物の表面に存在する汚染物としての有機化合物の一部を酸化して揮発性の分子(CO2,H2O、O2)とすることができるため、処理対象物の洗浄を行うことも可能である。
【発明の効果】
【0035】
本発明によって、既設の窓部材に対しても、紫外線処理が可能な紫外線処理装置及び紫外線処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】既設の窓部材の表面に対して紫外線処理を行う際の、紫外線処理装置の使用態様の例を示す概念図である。
【
図2】紫外線処理装置の第一実施形態を模式的に示す斜視図である。
【
図3A】紫外線処理装置の光取り出し領域に垂直な面の断面を+Y方向に見たときの平面図である。
【
図3B】紫外線処理装置を、紫外線が照射される側から-Z方向に見た時の平面図である。
【
図4】接触部を処理対象物に接触させた状態の紫外線処理装置の断面図である。
【
図5】紫外線を照射した際の、紫外線処理装置の筐体内の気流経路を示す図である。
【
図6A】第二実施形態に係る紫外線処理装置の光取り出し領域に垂直な面の断面を+Y方向に見たときの平面図である。
【
図6B】第二実施形態に係る紫外線処理装置を、紫外線が照射される側から-Z方向に見た時の平面図である。
【
図7】変形例に係る紫外線処理装置を、紫外線が照射される側から-Z方向に見た時の平面図である。
【
図8】他の変形例に係る紫外線処理装置の光取り出し領域に垂直な面の断面を+Y方向に見たときの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の紫外線処理装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図面は、いずれも模式的に図示されたものであり、図面上の寸法比や個数は、実際の寸法比や個数と必ずしも一致していない。
【0038】
[使用態様例]
図1は、本発明に係る紫外線処理装置1の使用態様の例を示す概念図である。本発明の紫外線処理装置1は、光源を含んでおり、この光源が発する紫外線を用いて、処理対象物60の表面の親水化を行う用途に利用できる。
図1に示すように、紫外線処理装置1の操作者65は、後述する把手部32を用いて紫外線処理装置1を操作できる。このとき、紫外線処理装置1から処理対象物60に対して前記紫外線が照射されることで、処理対象物60の表面を親水化することができる。
【0039】
本発明に係る紫外線処理装置1によれば、操作者65は、後述する把手部32を用いて簡易に紫外線処理装置1を操作することができ、処理対象物60上の照射対象領域を変更することができる(
図1参照)。さらに、処理対象物60に紫外線を照射しながら、照射対象領域を変更することもでき、処理対象物60の表面を連続的に紫外線処理することも可能である。
【0040】
紫外線処理装置1の詳細な構造につき、以下において実施形態毎に説明する。
【0041】
[第一実施形態]
図2は、紫外線処理装置1の第一実施形態を模式的に示す斜視図である。紫外線処理装置1は、紫外線を発する光源に加え、前記紫外線を外部に取り出す光取り出し領域を含む。当該光取り出し領域は、紫外線処理装置1の筐体の外側面に形成され、この光取り出し領域が処理対象物60に向けられ、前記紫外線が処理対象物60に照射される。すなわち、
図1において、紫外線処理装置1の光取り出し領域は、処理対象物60の表面に対向する面に形成されている。
図3Aは、この光取り出し領域に垂直な面であり、
図2中のA-A切断線における断面を示す平面図である。
【0042】
以下の各図では、光取り出し領域12に垂直な方向、すなわち紫外線の出射方向をZ方向とし、Z方向に直交し、かつ互いに直交する方向をそれぞれX方向及びY方向とする、X-Y-Z座標系が適宜併記されている。この定義を用いて説明すると、
図3Aは、
図2に示す紫外線処理装置1の光取り出し領域12に垂直な面の断面をY方向に見たときの平面図に対応する。以下の図面においても同様である。
【0043】
なお、以下の説明では、方向を表現する際に正負の向きを区別する場合には、「+X方向」、「-X方向」のように、正負の符号を付して記載される。また、正負の向きを区別せずに方向を表現する場合には、単に「X方向」と記載される。すなわち、本明細書において、単に「X方向」と記載されている場合には、「+X方向」と「-X方向」の双方が含まれる。Y方向及びZ方向についても同様である。
【0044】
本実施形態において、Z方向が「第一方向」に対応する。
【0045】
図3Aに示すように、紫外線処理装置1は筐体10を備え、この筐体10の内側に、光源としてエキシマランプ11が配置されている。このエキシマランプ11が発する紫外線U1を、光取り出し領域12を介して紫外線処理装置1の外部に出射する。エキシマランプ11としては、発光スペクトルの一部が200nm以下の波長範囲内に属するものが採用でき、好ましくは、ピーク波長が200nm以下の紫外線を発するものである。一例として、エキシマランプ11は、発光ガスとしてXeが封入されたキセノンエキシマランプである。この場合、エキシマランプ11から発せられる紫外線のピーク波長は、172nm近傍である。
【0046】
なお、本実施形態では、筐体10の内部に、扁平した形状のエキシマランプ11が1本収容されている場合を例に挙げて説明するが(後述する
図3B参照)、エキシマランプ11の本数は複数本でも構わず、筐体10に設けられる光取り出し領域12の形状に合わせた配置が可能である。また、エキシマランプ11の形状は扁平した形状に限られず、例えば円筒形状であってもよい。
【0047】
また、上述したように、後述する特定空間内に存在する空気(詳細には空気中に含まれる酸素)に紫外線U1を照射することで、原子状酸素及び/又はオゾン等を発生させることができる。一方で、このことは、紫外線U1が酸素に吸収されることを意味する。したがって、エキシマランプ11と処理対象物60との離間距離が大きい場合には、紫外線U1が処理対象物60から離れた箇所で酸素に吸収されることによって、処理対象物60の表面近傍に到達する紫外線U1の線量が低下し、処理対象物60の表面に対する親水化の効率が低下することが想定される。したがって、エキシマランプ11と処理対象物60との離間距離はなるべく小さいことが好ましい。すなわち、エキシマランプ11は、なるべく光取り出し領域12に近い位置に配置されることが好ましい態様となる。
【0048】
図3Bは、本実施形態に係る紫外線処理装置1を、紫外線U1が照射される側(
図3A参照)から-Z方向に見た時の平面図である。
図3Bに示すように、紫外線処理装置1は、+Z方向に向かってエキシマランプ11が発する紫外線U1を取り出す光取り出し領域12を有する。本実施形態において、光取り出し領域12は開口領域で形成されている。
【0049】
また、
図3Bに示すように、紫外線処理装置1は、筐体10のZ方向に係る外側面に処理対象物60と接触する接触部14を有する(後述する
図4も参照)。本実施形態では、接触部14は、+Z方向に係る端部、すなわち処理対象物60に接触する端部を含め、すべり性を有するすべり部材で構成されている。具体的な例としては、接触部14を、筐体10の材料よりも高いすべり性を示す材料で構成したり、接触部14の表面をフッ素系樹脂等の高いすべり性を示す層でコーティングすることで実現できる。このすべり性は、例えば処理対象物60に対する動摩擦係数で評価することができる。
【0050】
また、光取り出し領域12と処理対象物60との離間距離を小さくする観点から、接触部14のZ方向に係る厚みは、なるべく小さいものとすることが好ましい。接触部14のZ方向に係る厚みとしては、10mm以下であることが好ましく、より好ましくは5mm以下である。
【0051】
図4は、接触部14を処理対象物60に接触させた状態の紫外線処理装置1の断面図である。
図4に示すように、接触部14が処理対象物60に接触することで、紫外線処理装置1の筐体10と処理対象物60の間に空間(後述する特定空間50)が区画される。
【0052】
紫外線処理装置1は、光取り出し領域12から紫外線U1を出射し、特定空間50を介して、処理対象物60に紫外線U1を照射する(
図4参照)。このように、特定空間50内に存在する空気(詳細には、空気中に含まれる酸素)に紫外線U1を照射することで、原子状酸素及び/又はオゾン等を発生させ、これらが処理対象物60の表面を酸化することで、処理対象物60の表面が親水化される。
【0053】
また、
図3A及び
図3Bに示すように、特定空間50と筐体10の内部空間51は連通している。すなわち、本実施形態においては、光取り出し領域12が開口領域で構成されることから、光取り出し領域12が、特定空間50と筐体10の内部空間51とを連通する開口部15の役割を兼ねる。
【0054】
前述したように、処理対象物60の表面を親水化するにあたり、オゾンが発生する。このオゾンは、人体に対して有害な物質であることが知られている。そこで、紫外線処理装置1は、
図3Aに示すように、筐体10内に配置されるオゾン分解部20と、筐体10内の気体を外側に排気する排気口22を備えてもよい。
図3Aにおいて、オゾン分解部20にハッチングが施されており、以下の図面でも同様である。
【0055】
図5は、紫外線処理装置1が処理対象物60に対して紫外線U1を照射した際に、特定空間50で発生したオゾン40を含む気体(以下、便宜上「オゾン40」と称する。)の気流経路を示す図である。
図5においては、当該オゾン40の気流経路と、後述する流入口23から流入する外気41との気流経路が破線の矢印で示されている。排気口22は、当該気流経路上においてオゾン分解部20の後段に配置される。前述したように、特定空間50と筐体10の内部空間51は連通するため、
図5に示すように、特定空間50で発生したオゾン40は、光取り出し領域12を形成する開口領域(開口部15)及び筐体10の内部空間51を通って、オゾン分解部20を介して排気口22から排気される。このように、特定空間50で発生したオゾン40が、オゾン分解部20において分解された後、排気口22から外部に排気されることにより、紫外線処理装置1の操作者65の健康を害するおそれが軽減される。
【0056】
なお、この排気口22は、紫外線処理装置1の使用時において、紫外線処理装置1を操作する操作者65からなるべく遠い位置に備えられることが好ましい。
【0057】
また、
図5に示すように、紫外線処理装置1は、前記気流経路上に気流発生部21を備えてもよい。気流発生部21は、筐体10の内部空間51の気体を、オゾン分解部20及び排気口22に導く気流を発生させる。このように、紫外線処理装置1が、気流発生部21を備えることにより、特定空間50で発生したオゾン40を好適にオゾン分解部20に導くことができる。気流発生部21として、例えばファンを採用できる。
【0058】
さらに、紫外線処理装置1は、
図5に示すように、例えば排気口22が形成された筐体10の側面とは反対側の側面に流入口23を備えてもよい。流入口23が形成されることにより、流入口23から外気41を筐体内に取り入れることができ、特定空間50で発生するオゾン40をスムーズに排気口22に導くことができる。
【0059】
本実施形態に係る紫外線処理装置1は、
図3Bに示すように、筐体10のZ方向に係る外側面に検知部30を有する。また、
図3Aに示すように、筐体10の内部に制御部31を有する。検知部30は、接触部14が処理対象物60に実質的に接触したことを検知して、制御部31に信号を送信する。当該信号を受信した制御部31は、エキシマランプ11に対して紫外線U1を出射させる制御を行う。このような検知部30としては、例えば赤外線センサを採用することができる。なお、本実施形態においては、検知部30が筐体10のZ方向に係る外側面に設置された例が説明されているが、検知部30の設置場所は、接触部14が処理対象物60に実質的に接触したことを検知することができる位置であれば、この例に限られない。
【0060】
さらに、紫外線処理装置1の筐体10は、接触部14が位置する外側面の反対側の面、すなわち、エキシマランプ11を基準として-Z側に位置する外側面に、把手部32を備える。この把手部32を用いて、操作者が紫外線処理装置1を操作することにより、処理対象物60上の照射領域を選択して、紫外線処理を行うことができる。
【0061】
前述したように、紫外線処理装置1の操作者65は、この把手部32を用いて簡易に紫外線処理装置1を操作することができる(
図1参照)。また、処理対象物60に紫外線を照射しながら、照射対象領域を変更することもでき、処理対象物60の表面を連続的に紫外線処理することも可能である。
【0062】
さらに、本発明に係る紫外線処理装置1は、この把手部32を用いて容易に持ち運ぶこともできる。すなわち、処理対象物60の設置場所によらず、処理対象物60の紫外線処理を行うことができる。この観点から、例えば、紫外線処理装置1の重さは、10kg以下であることが好ましく、5kg以下であることがより好ましい。
【0063】
[第二実施形態]
以下、第二実施形態について図面を参照して説明する。なお、第一実施形態と共通の要素については、同一の符号を参照し、その説明は適宜割愛される。
【0064】
図6Aは、
図3Aに倣って、第二実施形態に係る紫外線処理装置1の光取り出し領域12に垂直な面の断面を示す平面図である。また、
図6Bは、
図3Bに倣って、第二実施形態に係る紫外線処理装置1を、紫外線U1が照射される側(
図6A参照)から-Z方向に見た時の平面図である。
【0065】
図6Aに示すように、本実施形態の紫外線処理装置1は、第一実施形態と比較して、光取り出し領域12が開口領域ではなく、窓部13で構成される点が異なる。また、
図6Bに示すように、窓部13の外側に、特定空間50と筐体10の内部空間51とを連通する開口部15を有する(
図6Aも参照)。
【0066】
窓部13は、紫外線U1に対する透過性を有する部材で構成され、当該窓部13から、エキシマランプ11が発する紫外線U1が外部に取り出される。このような部材としては例えば合成石英又はサファイアが採用できる。なお、窓部13を透過する際に、紫外線U1が減衰することを抑制する観点から、窓部13の紫外線U1に対する透過率は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。また、同様の観点からは、窓部13のZ方向に係る厚みについてもなるべく小さいことが好ましい。具体的には、窓部13の厚みは、3mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましい。
【0067】
第二実施形態において、筐体10内に配置されるオゾン分解部20と、筐体10内の気体を外側に排気する排気口22については、前述した議論と同様の議論が可能である。すなわち、特定空間50と筐体10の内部空間51は開口部15を介して連通するため、
図5と同様に、特定空間50で発生したオゾン40は、開口部15及び筐体10の内部空間51を通って、オゾン分解部20を介して排気口22から排気される。このように、特定空間50で発生したオゾン40が、オゾン分解部20において分解された後、排気口22から外部に排気されることにより、紫外線処理装置1の操作者65の健康を害するおそれが軽減される。
【0068】
その他の要素においては、第一実施形態と共通である。
【0069】
〈変形例〉
以下、本発明に係る紫外線処理装置1の変形例について説明する。
【0070】
〈1〉
上記においては、接触部14は、光取り出し領域12の外周の全部を囲うように、配置されるものとして説明した(
図3B参照)。しかし、必ずしも接触部14が光取り出し領域12の外周の全部を囲う必要はない。なお、接触部14が光取り出し領域12の外周の全部を囲わず、例えば複数の接触部14が離間して配置される場合には、この離間した領域を前述した流入口23として利用することができる。
【0071】
〈2〉
また、上記においては、接触部14がすべり部材で構成されるものとして説明した。前述した通り、紫外線処理装置1の接触部14がすべり部材で構成されることで、接触部14が処理対象物60に接触した際に、処理対象物60の表面に対するすべり性を高め、当該表面をキズつけにくくすることができる。したがって、必ずしも接触部14の全体がすべり部材で構成される必要はなく、接触部14が処理対象物60に接触する端面に係る部分がすべり部材で構成される態様でもよい。なお、例えば処理対象物60の材質を考慮した際に、紫外線処理装置1が含む接触部14の処理対象物60の表面に対するすべり性を考慮する必要がない場合には、上記のように接触部14がすべり部材で構成される必要はない。
【0072】
〈3〉
図7に示すように、接触部14を、例えばY方向に回転可能なローラー形状としてもよい。
図7は、当該変形例に係る紫外線処理装置を、紫外線が照射される側から-Z方向に見た時の平面図である。接触部14が、このようなローラー形状で構成されることで、紫外線処理装置1を処理対象物60に接触させた状態で、Y方向にスムーズに移動させることができる。接触部14がこのようなローラー形状で構成される場合においても、接触部14について上記と同様の議論が可能である。
【0073】
〈4〉
上記においては、処理対象物60に対して接触する領域(接触部14)がすべり性を示すものとして説明した。しかし、接触部14がすべり性を有さない材料で形成されている場合も、本発明の射程範囲である。例えば、処理対象物60と接触することで処理対象物60の表面に損傷を与えることを防止する観点から、接触部14としてシリコーンゴムやフッ素ゴム等の弾性部材を採用することも可能である。
【0074】
〈5〉
また、上記においては、筐体10の内部にオゾン分解部20が配置されるものとして説明した。オゾン分解部20は、特定空間50で発生したオゾン40が操作者65の健康を害するおそれを軽減する目的で採用されるものである。しかし、このような配慮が必要ない場合には、必ずしも紫外線処理装置1がオゾン分解部20を備える必要はない。このような場合としては、例えば、操作者65がオゾン分解機能を有するマスクを着用している場合や、屋外の作業において、操作者65が吸引すると想定されるオゾンの濃度が十分安全と考えられる程度である場合などが挙げられる。
【0075】
同様に、上記においては、開口部15からオゾン分解部20に向かう気流経路上において、オゾン分解部20の後段に排気口22が配置されるものとして説明した(
図5参照)。しかし、オゾン分解部20が配置されない場合には、このような態様に限られず、排気口22は任意の構成である。
【0076】
〈6〉
また、前述した通り、気流発生部21は特定空間50で発生したオゾン40を、オゾン分解部20に導くために採用される。また、流入口23は、特定空間50で発生したオゾン40を、流入口23から外気41を通じてオゾン分解部20に導くために採用される(
図5参照)。しかし、オゾン40をオゾン分解部20に導くことができる場合には、気流発生部21、流入口23の一方又は双方は必ずしも必須の要素ではない。更に、紫外線処理装置1がオゾン分解部20を備えない場合においても、気流発生部21、流入口23の一方又は双方は必ずしも必須の要素ではない。
【0077】
〈7〉
上記においては、紫外線処理装置1が検知部30及び制御部31を備えるものとして説明したが、紫外線処理装置1において、検知部30及び制御部31は必須の要素ではない。
【0078】
〈8〉
紫外線処理装置1が備える把手部32は、
図2及び
図3Aに示すように、筐体10の光取り出し領域12が配置された側面の反対側の側面に設けられてもよい。このような位置に設けられた把手部32を用いることにより、紫外線処理装置1を操作して、光取り出し領域12を処理対象物60に向けることが簡便になり、紫外線処理作業を行うに際して好適な態様となる。しかし、紫外線処理装置1が備える把手部32の形状は、前述した形状に限られず、紫外線処理装置1の操作者65が、処理対象物60に対する紫外線処理の作業に応じて、紫外線処理装置1を問題なく操作できる態様であればよい。一例として、紫外線処理装置1の把手部32の変形例を
図8に示す。なお、把手部32は取り外し可能なものであっても構わない。また、例えば紫外線処理装置1の動作がプログラム等によって自動化されている場合には、把手部32は不要であり、把手部32は任意の構成である。
【0079】
[紫外線処理方法]
前述した通り、紫外線処理装置1は、紫外線を発する光源と、前記光源を収容する筐体10と、筐体10の側面に設けられた光取り出し領域12と、筐体10の他の側面に固定された把手部32を含んでもよい。このような紫外線処理装置1を用いて、処理対象物60の表面を紫外線処理する際の紫外線処理方法を、
図1を用いて説明する。
【0080】
前述したように、
図1は、紫外線処理装置1を用いて、既設の窓部材の表面に対して紫外線処理を行う際の概念図である。紫外線処理装置1の操作者65は、把手部32を把持しつつ紫外線処理装置1を移動させて、処理対象物60に紫外線処理装置1を接触させる(
図4参照)。そして、筐体10の内部に収容された光源を点灯して、光取り出し領域12から処理対象物60に向けて紫外線を出射する。さらに、操作者65は、光源を点灯させながら把手部32を用いて紫外線処理装置1を移動させ、処理対象物60上における照射領域を変更して、紫外線処理を行う。なお、上記の説明では、紫外線処理装置1を処理対象物60に接触させてから、光源を点灯するものとして説明したが、光源を点灯させてから、紫外線処理装置1を処理対象物60の表面に接触させてもよい。また、紫外線処理装置1を移動させる際に、必ずしも光源が点灯していることが要求されるものではない。例えば、紫外線処理装置1が処理対象物60に接触していない状態においては、光源が点灯していなくても構わない。
【符号の説明】
【0081】
1 :紫外線処理装置
10 :筐体
11 :エキシマランプ
12 :光取り出し領域
13 :窓部
14 :接触部
15 :開口部
20 :オゾン分解部
21 :気流発生部
22 :排気口
23 :流入口
30 :検知部
31 :制御部
32 :把手部
40 :オゾン
41 :外気
50 :特定空間
51 :内部空間
60 :処理対象物
65 :操作者
U1 :紫外線