(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144451
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】シャント抵抗器および電流検出装置
(51)【国際特許分類】
G01R 15/00 20060101AFI20231003BHJP
H01C 13/00 20060101ALI20231003BHJP
H01C 1/14 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G01R15/00 500
H01C13/00 J
H01C1/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051426
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000105350
【氏名又は名称】KOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 保
【テーマコード(参考)】
2G025
5E028
【Fターム(参考)】
2G025AA08
2G025AB05
2G025AC01
5E028BA21
5E028BB01
5E028JA11
5E028JA16
5E028JB01
(57)【要約】
【課題】シャント抵抗器の温度が変化しても、シャント抵抗器を流れる電流を正確に検出することができるシャント抵抗器および電流検出装置を提供する。
【解決手段】電流検出部2は、シャント抵抗器1の抵抗温度係数が第1係数となる電極6,7の第1特性位置に設けられた電圧検出端子8A,8Bと、シャント抵抗器1の抵抗温度係数が第2係数となる電極6,7の第2特性位置に設けられた電圧検出端子8C,8Dを備えている。第1係数と第2係数は異なる数値である。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗体および該抵抗体の両側に接続された第1電極および第2電極を有するシャント抵抗器であって、
前記シャント抵抗器の抵抗温度係数が第1係数となる前記第1電極および前記第2電極の第1特性位置に設けられた第1電圧検出端子および第2電圧検出端子と、
前記シャント抵抗器の抵抗温度係数が第2係数となる前記第1電極および前記第2電極の第2特性位置に設けられた第3電圧検出端子および第4電圧検出端子を備え、
前記第1係数と前記第2係数は異なる数値である、シャント抵抗器。
【請求項2】
前記第1係数は負の数値であり、
前記第2係数は正の数値である、請求項1に記載のシャント抵抗器。
【請求項3】
前記第1電極に設けられた前記第1電圧検出端子と前記第3電圧検出端子、または、前記第2電極に設けられた前記第2電圧検出端子と前記第4電圧検出端子のどちらか一方が共通の電圧検出端子である、請求項1または2に記載のシャント抵抗器。
【請求項4】
抵抗体および該抵抗体の両側に接続された第1電極および第2電極を有するシャント抵抗器と、
前記シャント抵抗器に電気的に接続された電流検出部を備え、
前記電流検出部は、
前記シャント抵抗器の抵抗温度係数が負の数値となる前記第1電極および前記第2電極の負特性位置に電気的に接続された第1電圧検出接点および第2電圧検出接点と、
前記シャント抵抗器の抵抗温度係数が正の数値となる前記第1電極および前記第2電極の正特性位置に電気的に接続された第3電圧検出接点および第4電圧検出接点と、
前記第1電圧検出接点、前記第2電圧検出接点、前記第3電圧検出接点、および前記第4電圧検出接点にそれぞれ接続された第1電圧信号配線、第2電圧信号配線、第3電圧信号配線、および第4電圧信号配線と、
前記第1電圧信号配線、前記第2電圧信号配線、前記第3電圧信号配線、および前記第4電圧信号配線の少なくとも1つに接続された抵抗器と、
前記第1電圧信号配線および前記第3電圧信号配線からの電圧信号を合流させる第1電圧信号合流配線と、
前記第2電圧信号配線および前記第4電圧信号配線からの電圧信号を合流させる第2電圧信号合流配線を備え、
前記抵抗器は、前記第1電圧信号合流配線および前記第2電圧信号合流配線からの電圧信号から算出される前記シャント抵抗器の抵抗温度係数を0に近づける抵抗値を有する、電流検出装置。
【請求項5】
抵抗体および該抵抗体の両側に接続された第1電極および第2電極を有するシャント抵抗器と、
前記シャント抵抗器に電気的に接続された電流検出部を備え、
前記電流検出部は、
前記シャント抵抗器の抵抗温度係数が負の数値となる前記第1電極および前記第2電極の負特性位置に電気的に接続された第1電圧検出接点および第2電圧検出接点と、
前記シャント抵抗器の抵抗温度係数が正の数値となる前記第1電極および前記第2電極の正特性位置に電気的に接続された第3電圧検出接点および第4電圧検出接点と、
前記第1電圧検出接点、前記第2電圧検出接点、前記第3電圧検出接点、および前記第4電圧検出接点からの電圧信号が入力される電流算定器を備え、
前記電流算定器は、
前記電圧信号から算出される前記第1電圧検出接点と前記第2電圧検出接点との間の負特性側検出電圧および前記第3電圧検出接点と前記第4電圧検出接点との間の正特性側検出電圧のうちの少なくとも一方に補正係数を乗算することで、前記負特性側検出電圧および前記正特性側検出電圧の少なくとも一方を補正し、
少なくとも一方が補正された前記負特性側検出電圧および前記正特性側検出電圧から算出される合成検出電圧と、前記シャント抵抗器の既知の抵抗値に基づいて、前記シャント抵抗器を流れる電流を決定するように構成されており、
前記補正係数は、前記合成検出電圧から算出される前記シャント抵抗器の抵抗温度係数を0に近づける数値である、電流検出装置。
【請求項6】
抵抗体および該抵抗体の両側に接続された第1電極および第2電極を有するシャント抵抗器と、
前記シャント抵抗器に電気的に接続された電流検出部を備え、
前記電流検出部は、
前記シャント抵抗器の抵抗温度係数が第1係数となる前記第1電極および前記第2電極の第1特性位置に電気的に接続された第1電圧検出接点および第2電圧検出接点と、
前記シャント抵抗器の抵抗温度係数が第2係数となる前記第1電極および前記第2電極の第2特性位置に電気的に接続された第3電圧検出接点および第4電圧検出接点と、
前記第1電圧検出接点、前記第2電圧検出接点、前記第3電圧検出接点、および前記第4電圧検出接点からの電圧信号が入力される電流算定器を備え、
前記電流算定器は、前記電圧信号から算出される前記第1電圧検出接点と前記第2電圧検出接点との間の第1特性側検出電圧および前記第3電圧検出接点と前記第4電圧検出接点との間の第2特性側検出電圧から、前記シャント抵抗器を流れる電流値を導き出す、電流検出装置。
【請求項7】
前記電流算定器は、前記第1特性側検出電圧および前記第2特性側検出電圧から、前記シャント抵抗器を流れる電流値を算出する電流算定式を備えている、請求項6に記載の電流検出装置。
【請求項8】
前記電流算定器は、前記第1特性側検出電圧および前記第2特性側検出電圧と、前記シャント抵抗器を流れる電流値との関係のデータテーブルを備えている、請求項6または7に記載の電流検出装置。
【請求項9】
前記電流算定器は、前記第1特性側検出電圧および前記第2特性側検出電圧から、前記シャント抵抗器の温度を導く機能を有する、請求項6から8のいずれか一項に記載の電流検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャント抵抗器および電流検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シャント抵抗器は、電流検出用途に広く用いられている。温度変動の影響が小さい電流検出を可能とするために、シャント抵抗器には、その抵抗温度係数(TCR)はできるだけ0に近いことが要請されている。抵抗温度係数(TCR)とは、温度変化による抵抗値の変化の割合を示す指標であり、抵抗温度係数(TCR)が0に近づくほど抵抗値の変化が小さくなる。シャント抵抗器のTCRを改善するために、例えば、マンガニン(登録商標)などのTCRが小さい合金が抵抗体の材料として使用されることがある。
【0003】
シャント抵抗器を備えた電流検出装置は、インバータ装置、コンバータ装置、電気自動車のバッテリ監視BMS(Battery Management System)、電力網のエネルギ貯蔵装置BSS(Battery Storage System)などのさまざまな用途に用いられる。特に、バッテリエネルギ蓄積量を監視する用途では、初期測定精度(出荷調整精度)、温度変動に対する測定精度、経年変化に対する測定精度が、他の用途よりもさらに重要とされている。電流検出装置は、システムの全体に必要なバッテリ容量設計に影響し、システムコストを左右する。このため、電流検出装置には、電流の広範囲において高い測定精度が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電流検出基板は、シャント抵抗器の電圧測定位置での電圧降下を測定することにより、電流を検出する。しかしながら、シャント抵抗器は、温度に依存して抵抗値が変化する。すなわち、シャント抵抗器に流れる電流が一定でも、温度に依存して検出電圧が変化する。結果として、電流測定精度を低下させてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、シャント抵抗器の温度が変化しても、シャント抵抗器を流れる電流を正確に検出することができるシャント抵抗器および電流検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、抵抗体および該抵抗体の両側に接続された第1電極および第2電極を有するシャント抵抗器であって、前記シャント抵抗器の抵抗温度係数が第1係数となる前記第1電極および前記第2電極の第1特性位置に設けられた第1電圧検出端子および第2電圧検出端子と、前記シャント抵抗器の抵抗温度係数が第2係数となる前記第1電極および前記第2電極の第2特性位置に設けられた第3電圧検出端子および第4電圧検出端子を備え、前記第1係数と前記第2係数は異なる数値である、シャント抵抗器が提供される。
一態様では、前記第1係数は負の数値であり、前記第2係数は正の数値である。
一態様では、前記第1電極に設けられた前記第1電圧検出端子と前記第3電圧検出端子、または、前記第2電極に設けられた前記第2電圧検出端子と前記第4電圧検出端子のどちらか一方が共通の電圧検出端子である。
【0008】
一態様では、抵抗体および該抵抗体の両側に接続された第1電極および第2電極を有するシャント抵抗器と、前記シャント抵抗器に電気的に接続された電流検出部を備え、前記電流検出部は、前記シャント抵抗器の抵抗温度係数が負の数値となる前記第1電極および前記第2電極の負特性位置に電気的に接続された第1電圧検出接点および第2電圧検出接点と、前記シャント抵抗器の抵抗温度係数が正の数値となる前記第1電極および前記第2電極の正特性位置に電気的に接続された第3電圧検出接点および第4電圧検出接点と、前記第1電圧検出接点、前記第2電圧検出接点、前記第3電圧検出接点、および前記第4電圧検出接点にそれぞれ接続された第1電圧信号配線、第2電圧信号配線、第3電圧信号配線、および第4電圧信号配線と、前記第1電圧信号配線、前記第2電圧信号配線、前記第3電圧信号配線、および前記第4電圧信号配線の少なくとも1つに接続された抵抗器と、前記第1電圧信号配線および前記第3電圧信号配線からの電圧信号を合流させる第1電圧信号合流配線と、前記第2電圧信号配線および前記第4電圧信号配線からの電圧信号を合流させる第2電圧信号合流配線を備え、前記抵抗器は、前記第1電圧信号合流配線および前記第2電圧信号合流配線からの電圧信号から算出される前記シャント抵抗器の抵抗温度係数を0に近づける抵抗値を有する、電流検出装置が提供される。
【0009】
一態様では、抵抗体および該抵抗体の両側に接続された第1電極および第2電極を有するシャント抵抗器と、前記シャント抵抗器に電気的に接続された電流検出部を備え、前記電流検出部は、前記シャント抵抗器の抵抗温度係数が負の数値となる前記第1電極および前記第2電極の負特性位置に電気的に接続された第1電圧検出接点および第2電圧検出接点と、前記シャント抵抗器の抵抗温度係数が正の数値となる前記第1電極および前記第2電極の正特性位置に電気的に接続された第3電圧検出接点および第4電圧検出接点と、前記第1電圧検出接点、前記第2電圧検出接点、前記第3電圧検出接点、および前記第4電圧検出接点からの電圧信号が入力される電流算定器を備え、前記電流算定器は、前記電圧信号から算出される前記第1電圧検出接点と前記第2電圧検出接点との間の負特性側検出電圧および前記第3電圧検出接点と前記第4電圧検出接点との間の正特性側検出電圧のうちの少なくとも一方に補正係数を乗算することで、前記負特性側検出電圧および前記正特性側検出電圧の少なくとも一方を補正し、少なくとも一方が補正された前記負特性側検出電圧および前記正特性側検出電圧から算出される合成検出電圧と、前記シャント抵抗器の既知の抵抗値に基づいて、前記シャント抵抗器を流れる電流を決定するように構成されており、前記補正係数は、前記合成検出電圧から算出される前記シャント抵抗器の抵抗温度係数を0に近づける数値である、電流検出装置が提供される。
【0010】
一態様では、抵抗体および該抵抗体の両側に接続された第1電極および第2電極を有するシャント抵抗器と、前記シャント抵抗器に電気的に接続された電流検出部を備え、前記電流検出部は、前記シャント抵抗器の抵抗温度係数が第1係数となる前記第1電極および前記第2電極の第1特性位置に電気的に接続された第1電圧検出接点および第2電圧検出接点と、前記シャント抵抗器の抵抗温度係数が第2係数となる前記第1電極および前記第2電極の第2特性位置に電気的に接続された第3電圧検出接点および第4電圧検出接点と、前記第1電圧検出接点、前記第2電圧検出接点、前記第3電圧検出接点、および前記第4電圧検出接点からの電圧信号が入力される電流算定器を備え、前記電流算定器は、前記電圧信号から算出される前記第1電圧検出接点と前記第2電圧検出接点との間の第1特性側検出電圧および前記第3電圧検出接点と前記第4電圧検出接点との間の第2特性側検出電圧から、前記シャント抵抗器を流れる電流値を導き出す、電流検出装置が提供される。
【0011】
一態様では、前記電流算定器は、前記第1特性側検出電圧および前記第2特性側検出電圧から、前記シャント抵抗器を流れる電流値を算出する電流算定式を備えている。
一態様では、前記電流算定器は、前記第1特性側検出電圧および前記第2特性側検出電圧と、前記シャント抵抗器を流れる電流値との関係のデータテーブルを備えている。
一態様では、前記電流算定器は、前記第1特性側検出電圧および前記第2特性側検出電圧から、前記シャント抵抗器の温度を導く機能を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、抵抗器の抵抗値の選定により、シャント抵抗器の抵抗温度係数(TCR)が0に近づけられるので、シャント抵抗器の温度の影響が低減され、シャント抵抗器を流れる電流を正確に求めることができる。
また、本発明によれば、補正係数を検出電圧に乗算することにより、シャント抵抗器の抵抗温度係数(TCR)が0に近づけられるので、シャント抵抗器の温度の影響が低減され、シャント抵抗器を流れる電流を正確に求めることができる。
さらに、本発明によれば、第1特性側検出電圧および第2特性側検出電圧からシャント抵抗器を流れる電流を正確に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】シャント抵抗器の一実施形態を模式的に示す平面図である。
【
図3】シャント抵抗器の温度が20℃のときの、電圧検出位置と電圧との関係を示すグラフである。
【
図4】シャント抵抗器の温度が150℃のときの、電圧検出位置と電圧との関係を示すグラフである。
【
図5】シャント抵抗器の温度依存性電圧変化と、電圧検出位置との関係を示すグラフである。
【
図6】
図5に示す電圧検出位置P1,P2,P3でのシャント抵抗器の抵抗値の変化率を示すグラフである。
【
図7】
図1に示すシャント抵抗器と、このシャント抵抗器上に配置された電流検出部を備えた電流検出装置の一実施形態を示す斜視図である。
【
図9】シャント抵抗器に電気的に接続される電流検出部の一実施形態を示す平面図である。
【
図10】シャント抵抗器の他の実施形態を模式的に示す平面図である。
【
図11】シャント抵抗器のさらに他の実施形態を模式的に示す平面図である。
【
図12】シャント抵抗器の抵抗温度係数の例を示すグラフである。
【
図13】正側抵抗器である第1抵抗器および第2抵抗器によりシャント抵抗器の抵抗温度係数が調整される様子を説明するためのグラフである。
【
図14】シャント抵抗器の抵抗温度係数の他の例を示すグラフである。
【
図15】負側抵抗器である第3抵抗器および第4抵抗器によりシャント抵抗器の抵抗温度係数が調整される様子を説明するためのグラフである。
【
図16】電流測定装置の他の実施形態を示す平面図である。
【
図17】シャント抵抗器の抵抗温度係数が補正される様子を説明するグラフである。
【
図18】第1電圧検出接点と第2電圧検出接点との間の電圧と、シャント抵抗器の温度との関係を示すグラフである。
【
図19】第3電圧検出接点と第4電圧検出接点との間の電圧と、シャント抵抗器の温度との関係を示すグラフである。
【
図20】シャント抵抗器の他の実施形態を模式的に示す平面図である。
【
図21】シャント抵抗器のさらに他の実施形態を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、シャント抵抗器の一実施形態を模式的に示す平面図であり、
図2は、
図1に示すシャント抵抗器の斜視図である。
図1および
図2に示すように、シャント抵抗器1は、所定の厚みと幅を有する抵抗体5と、抵抗体5の両側5a,5bに接続された高導電性金属からなる一対の第1電極6,第2電極7とを備えている。具体的には、第1電極6は、抵抗体5の一方側5aに接続されており、第2電極7は、抵抗体5の他方側5bに接続されている。第2電極7の構成は、第1電極6の構成と同じであり、第1電極6と第2電極7は抵抗体5に関して対称に配置されている。以下、第1電極6と第2電極7を、単に電極6,電極7ということがある。
【0015】
抵抗体5の材料の例として、銅-ニッケル系合金、銅-マンガン系合金、鉄-クロム系合金、ニッケル-クロム系合金等の合金が挙げられる。電極6,7を構成する高導電性金属の例としては、銅(Cu)が挙げられる。抵抗体5の両端5a,5bは、電極6,7に溶接(例えば、電子ビーム溶接、レーザービーム溶接、または、ろう接)などの手段によって接続(接合)されている。
【0016】
本実施形態では、抵抗体5の厚さは、電極6,7の厚さよりも小さく、抵抗体5の表側面は、電極6,7の表側面よりも低い。ただし、一実施形態では、抵抗体5の厚さは、電極6,7の厚さと同じであってもよい。
【0017】
電極6,7は、スリット11,12をそれぞれ有している。スリット11,12は、抵抗体5の両端5a,5bとそれぞれ平行に延びている。本実施形態のスリット11,12は、直線上に延びる切り欠きである。スリット11は、電極6の側面6aから、電極6の中心部に向けて直線状に延びており、スリット12は、電極7の側面7aから、電極7の中心部に向けて直線状に延びている。スリット11とスリット12は、抵抗体5に関して対称に配置されている。本実施形態では、スリット11,12は、同じ幅を有し、同じ長さを有している。スリット11,12の長さとは、抵抗体5の両端5a,5bに沿ったスリット11,12の寸法である。
【0018】
電極6,7にスリット11,12を形成することによって、シャント抵抗器1を流れる電流は、スリット11,12を避けて流れる。スリット11,12の間の電流は反スリット側から回り込んで流れ、電流密度は側面6a,7a側に近いほど低くなる。シャント抵抗器1を流れる電流の状態は、スリットを有さないシャント抵抗器1を流れる電流の状態とは異なる。また、シャント抵抗器1の電位分布は、スリットを有さないシャント抵抗器1の電位分布とは異なる。その結果、シャント抵抗器1の抵抗温度係数(TCR)は、スリット11,12の間の電圧を検出する位置によって大きく変化し、電極にスリットを形成しない場合のシャント抵抗器1の抵抗温度係数(TCR)とは異なる。
【0019】
シャント抵抗器1は、一対の電極6,7に固定された複数対の電圧検出端子16A,16B,16C,16Dを備えている。これら電圧検出端子16A~16Dは電極6,7から突出するピン端子である。電圧検出端子16A,16Cは電極6に固定され、電圧検出端子16B,16Dは電極7に固定されている。電圧検出端子16A~16Dは、抵抗体5の両側5a,5bに沿って配列されている。本実施形態では、2対の電圧検出端子が設けられている。一対の電圧検出端子16A,16Bはスリット側に配置され、他の一対の電圧検出端子16C,16Dは反スリット側に配置されている。
【0020】
図1および
図2に示すシャント抵抗器1の抵抗温度係数(TCR)は、電極6,7上の電圧検出位置によって変わる。
図3は、シャント抵抗器1の温度が20℃のときの、電圧検出位置と、電圧検出位置での電圧との関係を示すグラフであり、
図4は、シャント抵抗器1の温度が150℃のときの、電圧検出位置と電圧との関係を示すグラフである。電圧検出位置とは、抵抗体5の両端5a,5bに沿った、シャント抵抗器1の幅方向の位置である。例えば、電圧検出位置は
図1の破線L1およびL2上にあり、
図3および
図4は、破線L1およびL2上の電圧検出位置と電圧の関係を示すグラフである。また、
図3および
図4において、シャント抵抗器1に流れる電流は電極7から電極6の方向に一定とする。
【0021】
「シャント抵抗器1の抵抗値」、「シャント抵抗器1の抵抗値の変化率」、「シャント抵抗器1の抵抗温度係数」とは、シャント抵抗器1に流れる電流と検出電圧からオームの法則に基づいて算出した値である。
【0022】
図3および
図4から分かるように、検出電圧は、電圧検出位置(幅方向位置)に依存して変化する。すなわち、シャント抵抗器1の抵抗値は、電圧検出位置(幅方向位置)に依存して変化する。また、温度変化による検出電圧の変化の仕方は、スリット側の位置と、反スリット側の位置とで異なっている。具体的には、
図3および
図4の対比から分かるように、電圧検出位置がスリット側にある場合、シャント抵抗器1の温度が20℃から150℃に上昇するに従って、検出電圧は低下する。その一方で、電圧検出位置が反スリット側にある場合、シャント抵抗器1の温度が20℃から150℃に上昇するに従って、検出電圧は上昇する。
【0023】
図5は、シャント抵抗器1の温度依存性電圧変化と、電圧検出位置との関係を示すグラフである。温度依存性電圧変化は、シャント抵抗器1の温度が150℃のときの各電圧検出位置での電圧と、シャント抵抗器1の温度が20℃のときの同じ電圧検出位置での電圧との差である。
図5のグラフから分かるように、反スリット側の電圧検出位置P1における検出電圧は、シャント抵抗器1の温度上昇に伴って上昇する(すなわちシャント抵抗器1の抵抗値は上昇する)。その一方で、スリット側の電圧検出位置P2における検出電圧は、シャント抵抗器1の温度上昇に伴って低下する(すなわちシャント抵抗器1の抵抗値は低下する)。さらに、シャント抵抗器1の温度変化によらず、検出電圧が変化しない電圧検出位置P3が存在する(すなわちシャント抵抗器1の抵抗値は変化しない)。
【0024】
図6は、
図5に示す電圧検出位置P1,P2,P3における検出電圧から算出したシャント抵抗器1の抵抗値の変化率を示すグラフである。
図6において、縦軸はシャント抵抗器1の抵抗値の変化率を表し、横軸はシャント抵抗器1の温度を表している。また、抵抗値の変化率のグラフの傾きは、シャント抵抗器1の抵抗温度係数(TCR)を表している。電圧検出位置P1における検出電圧から算出したシャント抵抗器1の抵抗温度係数は、温度上昇に伴ってシャント抵抗器1の抵抗値が上昇することを示し、電圧検出位置P2における検出電圧から算出したシャント抵抗器1の抵抗温度係数は、温度上昇に伴ってシャント抵抗器1の抵抗値が低下することを示している。さらに、電圧検出位置P3における検出電圧から算出したシャント抵抗器1の抵抗温度係数は、温度上昇に伴ってシャント抵抗器1の抵抗値が変化しないことを示している。
【0025】
以下の説明では、温度上昇に伴って抵抗値が上昇することを示す抵抗温度係数を正の抵抗温度係数と称し、温度上昇に伴って抵抗値が低下することを示す抵抗温度係数を負の抵抗温度係数と称し、温度上昇に伴って抵抗値が変化しないことを示す抵抗温度係数をゼロ抵抗温度係数と称する。
【0026】
以下に説明する実施形態では、二対の電圧検出端子16A~16Dを、シャント抵抗器1の抵抗温度係数が正の数値となる電圧が検出される位置(以下、この位置を正特性位置という)と、シャント抵抗器1の抵抗温度係数が負の数値となる電圧が検出される位置(以下、この位置を負特性位置という)に配置し、意図的に正特性位置の検出電圧と負特性位置の検出電圧を取得する。そして、取得した正特性位置の検出電圧と負特性位置の検出電圧を補正し、さらに補正された正特性位置の検出電圧と負特性位置の検出電圧を合成することで、ゼロ抵抗温度係数に近づける。
【0027】
図7は、
図1に示すシャント抵抗器1と、このシャント抵抗器1上に配置された電流検出部2を備えた電流検出装置の一実施形態を示す斜視図であり、
図8は、
図7に示す電流検出装置の平面図である。一対の電極6,7上の電流検出端子16A~16Dは、電流検出部2に電気的に接続される。電流検出部2は、電流算定器20などが配置された基台プレート3を有している。この基台プレート3は、シャント抵抗器1の電流検出端子16A~16Dに固定されている。基台プレート3の例としては、ガラスエポキシなどの材質からなるプリント基板が挙げられる。
【0028】
電流検出部2は、第1電極6上の第1電流検出端子16Aおよび第2電極7上の第2電流検出端子16Bにそれぞれ電気的に接続された第1電圧検出接点8Aおよび第2電圧検出接点8Bと、第1電極6上の第3電流検出端子16Cおよび第2電極7上の第4電流検出端子16Dにそれぞれ電気的に接続された第3電圧検出接点8Cおよび第4電圧検出接点8Dを備えている。一実施形態では、基台プレート3に形成された孔に電流検出端子16A~16Dを挿通し、はんだ付けなどの方法により電圧検出接点と接続される。
【0029】
図9は、シャント抵抗器1に電気的に接続される電流検出部2の一実施形態を示す平面図である。第1電圧検出接点8Aおよび第2電圧検出接点8Bは、シャント抵抗器1の抵抗温度係数が負の数値となる電圧が検出される、第1電極6および第2電極7の負特性位置に電流検出端子16A,16Bを介して接続されている。負特性位置では、温度上昇に伴って検出電圧が低下し、検出電圧から算出されるシャント抵抗器1の抵抗値が低下する。
【0030】
第1電圧検出接点8Aおよび第1電流検出端子16Aは、第1電極6のスリット11に隣接しており、第2電圧検出接点8Bおよび第2電流検出端子16Bは、第2電極7のスリット12に隣接している。より具体的には、第1電圧検出接点8Aおよび第1電流検出端子16Aは、第1電極6のスリット11と抵抗体5との間に位置しており、第2電圧検出接点8Bおよび第2電流検出端子16Bは、第2電極7のスリット12と抵抗体5との間に位置している。
【0031】
第3電圧検出接点8Cおよび第4電圧検出接点8Dは、シャント抵抗器1の抵抗温度係数が正の数値となる電圧が検出される、第1電極6および第2電極7の正特性位置に電流検出端子16C,16Dを介して接続されている。正特性位置では、温度上昇に伴って検出電圧が上昇し、検出電圧から算出されるシャント抵抗器1の抵抗値が上昇する。第3電圧検出接点8C、第4電圧検出接点8D、第3電流検出端子16C、および第4電流検出端子16Dは、スリット11,12から離れた位置にある。より具体的には、第3電圧検出接点8C、第4電圧検出接点8D、第3電流検出端子16C、および第4電流検出端子16Dは、スリット11,12と抵抗体5との間の領域の外側に位置している。
【0032】
電流検出端子16A,16Bを介して第1電圧検出接点8Aおよび第2電圧検出接点8Bが接続される負特性位置、および電流検出端子16C,16Dを介して第3電圧検出接点8Cおよび第4電圧検出接点8Dが接続される正特性位置は、
図3、
図4および
図5に示すような、シャント抵抗器1の電圧検出位置と抵抗温度係数との関係を調べるためのシミュレーションまたは実験の結果に基づいて決定することができる。
【0033】
本実施形態では、第1電圧検出接点8A(第1電圧検出端子16A)および第2電圧検出接点8B(第2電圧検出端子16B)は、抵抗体5に関して対称に配置された対をなし、第3電圧検出接点8C(第3電圧検出端子16C)および第4電圧検出接点8D(第4電圧検出端子16D)も、抵抗体5に関して対称に配置された対をなしている。第1電圧検出接点8A(第1電圧検出端子16A)、第2電圧検出接点8B(第2電圧検出端子16B)、第3電圧検出接点8C(第3電圧検出端子16C)、および第4電圧検出接点8D(第4電圧検出端子16D)は、抵抗体5の両側5a,5bに沿って配置されており、抵抗体5の両側5a,5bに隣接している。
【0034】
正の抵抗温度係数または負の抵抗温度係数を示す位置であれば、電圧検出接点8A~8D(電圧検出端子16A~16D)は抵抗体5に関して対称に配置されていなくてもよい。また、一実施形態では、
図10に示すように、電圧検出接点8Aと8C(電圧検出端子16Aと16C)を共通化してもよく、または、
図11に示すように、電圧検出接点8Bと8D(電圧検出端子16Bと16D)を共通化してもよい。例えば、共通化する電圧検出接点(電圧検出端子)は、温度によって電位が変動しない位置に配置される。本実施形態では、第1電圧検出接点8A、第2電圧検出接点8B、第3電圧検出接点8C、および第4電圧検出接点8Dは、基台プレート3の裏側から表側まで貫通するスルーホールから構成され、電流検出端子16A~16Dが挿通し、はんだ付けなどの方法により電流検出端子16A~16Dと電気的に接続される。ただし、シャント抵抗器1の電流検出位置と電圧検出接点との電気的な接続の形態はスルーホールに電流検出端子を挿通して接続する方法に限らず、別の方法(例えば、シャント抵抗器1の電流検出位置と電圧検出接点とをはんだ付けなどによって面接続する方法)でも良い。
【0035】
電流検出部2は、第1電圧検出接点8A、第2電圧検出接点8B、第3電圧検出接点8C、および第4電圧検出接点8Dにそれぞれ接続された第1電圧信号配線9A、第2電圧信号配線9B、第3電圧信号配線9C、および第4電圧信号配線9Dをさらに有している。これら電圧信号配線9A~9Dは、基台プレート3の表側に配置されている。
【0036】
電流検出部2は、第1電圧信号配線9A、第2電圧信号配線9B、第3電圧信号配線9C、および第4電圧信号配線9Dにそれぞれ接続された第1抵抗器10A、第2抵抗器10B、第3抵抗器10C、および第4抵抗器10Dをさらに備えている。これら抵抗器10A~10Dも、電圧信号配線9A~9Dと同様に、基台プレート3の表側に配置されている。
【0037】
電流検出部2は、第1抵抗器10Aおよび第3抵抗器10Cを通じて伝達された電圧信号を合流させる第1電圧信号合流配線13と、第2抵抗器10Bおよび第4抵抗器10Dを通じて伝達された電圧信号を合流させる第2電圧信号合流配線14を備えている。第1電圧信号合流配線13は、第1電圧信号配線9Aおよび第3電圧信号配線9Cに接続され、第2電圧信号合流配線14は、第2電圧信号配線9Bおよび第4電圧信号配線9Dに接続されている。第1電圧信号合流配線13と第2電圧信号合流配線14との間には、コンデンサ19が設けられている。電圧信号合流配線13,14により、第1抵抗器10Aの出力側の電圧信号と第3抵抗器10Cの出力側の電圧信号とが合成され、第2抵抗器10Bの出力側の電圧信号と第4抵抗器10Dの出力側の電圧信号とが合成され、それぞれ合成電圧信号を形成する。
【0038】
電流検出部2は、第1電圧信号合流配線13と第2電圧信号合流配線14に接続された電流算定器20をさらに備えている。電流算定器20は、上記合成電圧信号から算出される合成検出電圧と、シャント抵抗器1の既知の抵抗値とから、シャント抵抗器1を流れている電流を決定するように構成されている。一実施形態では、抵抗器10A~10Dと電流算定器20との間に、電圧信号を増幅するための増幅器が設けられてもよい。
【0039】
電流算定器20は、プログラムが格納された記憶装置20aと、プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する演算装置20bを備えている。電流算定器20は、少なくとも1台の小型コンピュータから構成されている。記憶装置20aは、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの主記憶装置と、ハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)などの補助記憶装置を備えている。演算装置20bの例としては、CPU(中央処理装置)が挙げられる。ただし、電流算定器20の具体的構成はこれらの例に限定されない。一実施形態では、電流算定器20は、基台プレート3から離れて設けられてもよい。図示しないが、電流検出部2は、電流算定器20の出力信号配線に接続されたコネクタを備えており、そのコネクタにより基台プレート3から出力信号を出力してもよい。
【0040】
合成検出電圧は、電圧信号合流配線13,14からの合成電圧信号から算出される。電圧信号合流配線13からの合成電圧信号は、第1抵抗器10Aおよび第3抵抗器10Cの抵抗値によって調整することができ、電圧信号合流配線14からの合成電圧信号は、第2抵抗器10Bおよび第4抵抗器10Dによって調整することができる。すなわち、電圧信号合流配線13,14からの合成電圧信号から算出される合成検出電圧は、抵抗器10A~10Dの抵抗値によって調整することができる。
【0041】
第1抵抗器10Aおよび第2抵抗器10Bは、第1電圧検出接点8Aおよび第2電圧検出接点8Bに電気的に接続された負側抵抗器であり、第3抵抗器10Cおよび第4抵抗器10Dは、第3電圧検出接点8Cおよび第4電圧検出接点8Dに電気的に接続された正側抵抗器である。負側抵抗器(すなわち第1抵抗器10Aおよび第2抵抗器10B)または正側抵抗器(すなわち第3抵抗器10Cおよび第4抵抗器10D)は、第1電圧信号合流配線13および第2電圧信号合流配線14からの電圧信号から算出されるシャント抵抗器1の抵抗温度係数を0に近づける抵抗値を有している。
【0042】
図12は、第1抵抗器10A、第2抵抗器10B、第3抵抗器10C、および第4抵抗器10Dがすべて同一の抵抗値とした場合の、25℃を基準温度としたシャント抵抗器1の抵抗温度係数の例を示すグラフである。記号TCR2は、第1電圧検出接点8Aと第2電圧検出接点8Bとの間の負特性側検出電圧から算出されるシャント抵抗器1の抵抗温度係数を表し、より具体的には、負側抵抗器である第1抵抗器10Aおよび第2抵抗器10Bの出力側の電圧信号から算出されるシャント抵抗器1の抵抗温度係数を表している。記号TCR1は、第3電圧検出接点8Cと第4電圧検出接点8Dとの間の正特性側検出電圧から算出されるシャント抵抗器1の抵抗温度係数を表し、より具体的には、正側抵抗器である第3抵抗器10Cおよび第4抵抗器10Dの出力側の電圧信号から算出されるシャント抵抗器1の抵抗温度係数を表している。
【0043】
記号TCR3は、合成検出電圧から算出されるシャント抵抗器1の抵抗温度係数を表し、より具体的には、電圧信号合流配線13,14からの合成電圧信号から算出されるシャント抵抗器1の抵抗温度係数を表している。電圧信号合流配線13,14により、第1抵抗器10Aの出力側の電圧信号と第3抵抗器10Cの出力側の電圧信号とが合成され、第2抵抗器10Bの出力側の電圧信号と第4抵抗器10Dの出力側の電圧信号とが合成されて、それぞれ合成電圧信号を形成する。第1抵抗器10A、第2抵抗器10B、第3抵抗器10C、および第4抵抗器10Dがすべて同一の抵抗値とした場合、第1抵抗器10Aの入力側の電圧信号と第3抵抗器10Cの入力側の電圧信号とが1:1の比率で合成され、第2抵抗器10Bの入力側の電圧信号と第4抵抗器10Dの入力側の入力信号とが1:1の比率で合成されて、それぞれ合成電圧信号を形成する。合成検出電圧は、電圧信号合流配線13,14からの合成電圧信号から算出される。
【0044】
図12から分かるように、第3電圧検出接点8Cと第4電圧検出接点8Dとの間の正特性側検出電圧から算出される抵抗温度係数TCR1は、温度上昇に伴ってシャント抵抗器1の抵抗値が上昇する正の抵抗温度係数である。第1電圧検出接点8Aと第2電圧検出接点8Bとの間の負特性側検出電圧から算出される抵抗温度係数TCR2は、温度上昇に伴ってシャント抵抗器1の抵抗値が低下する負の抵抗温度係数である。合成検出電圧から算出される抵抗温度係数TCR3は、温度上昇に伴って抵抗値が上昇する正の抵抗温度係数である。
【0045】
図13に示すように、電圧検出接点8A~8Dに電気的に接続される第1抵抗器10A、第2抵抗器10B、第3抵抗器10C、および第4抵抗器10Dの少なくとも1つの抵抗値を変更することで、抵抗温度係数TCR3を0に近づける。本実施形態では、負側抵抗器である第1抵抗器10Aおよび第2抵抗器10Bは同一の抵抗値を有し、正側抵抗器である第3抵抗器10Cおよび第4抵抗器10Dは同一の抵抗値を有する。負側抵抗器の抵抗値と正側抵抗器の抵抗値が同一にならないよう、負側抵抗器または正側抵抗器のどちらか、または両方の抵抗値を変えることで、抵抗温度係数TCR3を0に近づけることができる。
【0046】
第1抵抗器10A、第2抵抗器10B、第3抵抗器10C、および第4抵抗器10Dは接続後に抵抗値の調整が可能な抵抗器であっても良い。この場合、抵抗温度係数TCR3が0になるまで(TCR3を示すグラフの傾きが0になるまで)、第1抵抗器10A、第2抵抗器10B、第3抵抗器10C、および第4抵抗器10Dの少なくとも1つの抵抗値を調整することが望ましい。しかしながら、抵抗体5の材料の特性により、TCR3を示すグラフが湾曲している場合がある。そこで、第1抵抗器10A、第2抵抗器10B、第3抵抗器10C、および第4抵抗器10Dの抵抗値は、抵抗温度係数TCR3が許容範囲内に収まるように選定される。許容範囲は、0を含む範囲であり、予め設定される。
【0047】
このような第1抵抗器10A、第2抵抗器10B、第3抵抗器10C、および第4抵抗器10Dの抵抗値の選定により、シャント抵抗器1の抵抗温度係数TCR3が0に近づくので(望ましくは抵抗温度係数TCR3が0になるので)、電流算定器20はシャント抵抗器1の温度の影響を受けずに、電流を正確に決定することができる。
【0048】
図14は、第1抵抗器10A、第2抵抗器10B、第3抵抗器10C、および第4抵抗器10Dがすべて同一の抵抗値とした場合の、25℃を基準温度としたシャント抵抗器1の抵抗温度係数の他の例を示すグラフである。この例では、合成検出電圧から算出されるシャント抵抗器1の抵抗温度係数TCR3は、負の抵抗温度係数である。
【0049】
この場合は、
図15に示すように、電圧検出接点8A~8Dに電気的に接続される第1抵抗器10A、第2抵抗器10B、第3抵抗器10C、および第4抵抗器10Dの少なくとも1つの抵抗値を変更することで、抵抗温度係数TCR3を0に近づける。本実施形態では、負側抵抗器である第1抵抗器10Aおよび第2抵抗器10Bは同一の抵抗値を有し、正側抵抗器である第1抵抗器10Cおよび第2抵抗器10Dは同一の抵抗値を有する。負側抵抗器の抵抗値と正側抵抗器の抵抗値が同一にならないよう、負側抵抗器または正側抵抗器のどちらか、または両方の抵抗値を変えることで、抵抗温度係数TCR3を0に近づけることができる。
【0050】
第1抵抗器10A、第2抵抗器10B、第3抵抗器10C、および第4抵抗器10Dは接続後に抵抗値の調整が可能な抵抗器であってもよい。この場合、抵抗温度係数TCR3が0になるまで(TCR3を示すグラフの傾きが0になるまで)第1抵抗器10A、第2抵抗器10B、第3抵抗器10C、および第4抵抗器10Dの少なくとも1つの抵抗値を調整することが望ましい。しかしながら、抵抗体5の材料の特性により、TCR3を示すグラフが湾曲している場合がある。そこで、第1抵抗器10A、第2抵抗器10B、第3抵抗器10C、および第4抵抗器10Dの抵抗値は、抵抗温度係数TCR3が許容範囲内に収まるように選定される。許容範囲は、0を含む範囲であり、予め設定される。
【0051】
抵抗器10A~10Dの抵抗値は、シミュレーションなどで予め決定されているが、抵抗値の調整が可能な抵抗器を使用することで、電流検出装置の完成後(出荷前)にさらに抵抗値を調整することが可能となる。具体的には、所定の電流をシャント抵抗器1に流しつつ、シャント抵抗器1の温度を変化させながら合成検出電圧を電流算定器20により測定し、合成検出電圧の変化が小さくなる方向(すなわち抵抗温度係数TCR3が0に近づく方向)に、第1抵抗器10Aおよび第2抵抗器10Bの抵抗値、および/または第3抵抗器10Cおよび第4抵抗器10Dの抵抗値を調整する。このような抵抗値の調整により、シャント抵抗器1の抵抗温度係数を0に近づけ、電流検出装置は、シャント抵抗器1の温度の影響を受けずに、電流を正確に測定することが可能となる。
【0052】
一実施形態では、負特性位置と正特性位置はそれぞれ周波数による表皮効果の影響の小さい位置としてもよい。負特性位置は、負の抵抗温度係数の位置、且つ、周波数による表皮効果の影響の少ない位置とし、また、正特性位置は、正の抵抗温度係数の位置、且つ、周波数による表皮効果の影響の少ない位置とすることで、シャント抵抗器1の温度の影響を受けずに、且つ、周波数による表皮効果の影響を受けずに電流を正確に測定することが可能となる。
【0053】
次に、電流測定装置の他の実施形態を
図16および
図17を参照して説明する。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図1乃至
図15を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図16は、電流測定装置の他の実施形態を示す平面図である。
【0054】
図16に示す第1抵抗器10A、第2抵抗器10B、第3抵抗器10C、および第4抵抗器10Dは、固定抵抗値を有する抵抗器である。また、
図9に示す第1電圧信号合流配線13および第2電圧信号合流配線14は設けられていない。第1電圧信号配線9A、第2電圧信号配線9B、第3電圧信号配線9C、および第4電圧信号配線9Dは、電流算定器20に接続されている。
【0055】
第1抵抗器10A、第2抵抗器10B、第3抵抗器10C、および第4抵抗器10Dは、第1電圧信号配線9A、第2電圧信号配線9B、第3電圧信号配線9C、および第4電圧信号配線9Dにそれぞれ取り付けられている。電流算定器20は、電圧信号配線9A~9Dおよび抵抗器10A~10Dを介して電圧検出接点8A~8Dに接続されている。一実施形態では、抵抗器10A~10Dと電流算定器20との間に、電圧信号を増幅するための増幅器が設けられてもよい。
【0056】
電流算定器20は、電圧信号配線9A~9Dを通じて伝送された電圧信号から算出されるアナログ信号の検出電圧をデジタル信号に変換して読み込み、デジタル信号の検出電圧に対して補正処理を実行することにより、先述の実施形態での抵抗器10A~10Dの抵抗値を変更し、合成検出電圧を調整することと同じ動作をする。
【0057】
より具体的には、電流算定器20は、電圧信号から算出される第1電圧検出接点8Aと第2電圧検出接点8Bとの間の負特性側検出電圧(すなわち負特性位置での検出電圧)に負側補正係数を乗算して、補正された負特性側検出電圧を算出する。同様に、電流算定器20は、電圧信号から算出される第3電圧検出接点8Cと第4電圧検出接点8Dとの間の正特性側検出電圧(すなわち正特性位置での検出電圧)に正側補正係数を乗算して、補正された正特性側検出電圧を算出する。第1電圧検出接点8Aと第2電圧検出接点8Bとの間の負特性側検出電圧は、第1電圧信号配線9Aおよび第2電圧信号配線9Bを通じて伝送された電圧信号から求められ、第3電圧検出接点8Cと第4電圧検出接点8Dとの間の正特性側検出電圧は、第3電圧信号配線9Cおよび第4電圧信号配線9Dを通じて伝送された電圧信号から求められる。
【0058】
正側補正係数および負側補正係数は、合成検出電圧から算出されるシャント抵抗器1の抵抗温度係数を0に近づけるシミュレーションなどで算定された数値である。この合成検出電圧は、補正された負特性側検出電圧と、補正された負特性側検出電圧とを合成して算出される。電流算定器20は、補正された負特性側検出電圧と補正された正特性側検出電圧とを合成して算出される合成検出電圧と、シャント抵抗器1の既知の抵抗値に基づいて、シャント抵抗器1を流れる電流を決定する。
【0059】
このような電流算定器20の内部処理により、
図12乃至
図15を参照して説明した抵抗器10A~10Dの調整と同じ結果が得られる。電圧信号から算出される第1電圧検出接点8Aと第2電圧検出接点8Bとの間の負特性側検出電圧(負特性位置での検出電圧)に負側補正係数を乗算すると、合成検出電圧における負特性側検出電圧と正特性側検出電圧の比率が変わる。同じように、電圧信号から算出される第3電圧検出接点8Cと第4電圧検出接点8Dとの間の正特性側検出電圧(正特性位置での検出電圧)に正側補正係数を乗算すると、合成検出電圧における正特性側検出電圧と負特性側検出電圧の比率が変わる。
【0060】
抵抗温度係数TCR3は、補正された負特性側検出電圧と、補正された正特性側検出電圧とを合成した、合成検出電圧から算出された抵抗温度係数である。電流算定器20は、補正された負特性側検出電圧と、補正された正特性側検出電圧とを合成することで、合成検出電圧を算出し、この合成検出電圧とシャント抵抗器1の既知の抵抗値から、シャント抵抗器1を流れる電流を算出する。本実施形態によれば、
図17に示すように、シャント抵抗器1の抵抗温度係数TCR3は0に近づくので、電流算定器20は、シャント抵抗器1の温度の影響を受けることなく、電流を正確に決定することができる。
【0061】
負側補正係数および正側補正係数はシミュレーションなどで予め決定されてもよく、電流検出装置の完成後(出荷前)の検査によって決定してもよい。具体的には、所定の電流をシャント抵抗器1に流しつつ、シャント抵抗器1の温度を変化させながら合成検出電圧を電流算定器20により測定し、合成検出電圧の変化が小さくなる(すなわち抵抗温度係数TCR3が0に近づく)ような負側補正係数および正側補正係数を決定する。
【0062】
一実施形態では、負側補正係数および正側補正係数のうちのいずれか一方を、負特性側検出電圧または正特性側検出電圧に乗算して、補正された負特性側検出電圧または補正された正特性側検出電圧を算出してもよい。この場合でも、負特性側検出電圧または正特性側検出電圧に乗算される補正係数は、抵抗温度係数TCR3を0に近づけることができる係数である。具体的には、所定の電流をシャント抵抗器1に流しつつ、シャント抵抗器1の温度を変化させながら合成検出電圧を電流算定器20により測定し、合成検出電圧の変化が小さいくなる(すなわち抵抗温度係数TCR3が0に近づく)ような補正係数を決定する。
【0063】
次に、電流測定装置のさらに他の実施形態を
図18および
図19を参照して説明する。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図16および
図17を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0064】
この実施形態では、電流算定式を用いて、シャント抵抗器1を流れる電流を直接算出する。すなわち、電流算定器20は、電圧信号から算出される第1電圧検出接点8Aと第2電圧検出接点8Bとの間の負特性側検出電圧(負特性位置での検出電圧)と、電圧信号から算出される第3電圧検出接点8Cと第4電圧検出接点8Dとの間の正特性側検出電圧(正特性位置での検出電圧)から、シャント抵抗器1を流れる電流を算出する電流算定式を備えている。電流算定式は、第1電圧検出接点8Aと第2電圧検出接点8Bとの間の負特性側検出電圧とシャント抵抗器1の温度との関係を示す第1関数と、第3電圧検出接点8Cと第4電圧検出接点8Dとの間の正特性側検出電圧とシャント抵抗器1の温度との関係を示す第2関数から導かれた関数式である。
【0065】
図18は、第1電圧検出接点8Aと第2電圧検出接点8Bとの間の負特性側検出電圧と、シャント抵抗器1の温度との関係を示すグラフである。電流100アンペア,99アンペア,98アンペア,97アンペアをシャント抵抗器1に流しながら、シャント抵抗器1の温度と、第1電圧検出接点8Aと第2電圧検出接点8Bとの間の負特性側検出電圧を測定し、得られた温度測定データおよび電圧測定データから
図18に示す線形近似のグラフを作成した。
図18に示すグラフは、以下の第1関数で表される。
Y1=a*I*t+b*I (1)
ここで、Y1は第1電圧検出接点8Aと第2電圧検出接点8Bとの間の負特性側検出電圧[V]を表し、aは係数(定数)を表し、tはシャント抵抗器1の温度[℃]を表し、bは係数(定数)を表し、Iはシャント抵抗器1に流した電流[A]を表している。係数a,bは、温度測定データおよび電圧測定データから計算により求めることができる。
【0066】
図19は、第3電圧検出接点8Cと第4電圧検出接点8Dとの間の正特性側検出電圧と、シャント抵抗器1の温度との関係を示すグラフである。電流100アンペア,99アンペア,98アンペア,97アンペアをシャント抵抗器1に流しながら、シャント抵抗器1の温度と、第3電圧検出接点8Cと第4電圧検出接点8Dとの間の正特性側検出電圧を測定し、得られた温度測定データおよび電圧測定データから
図19に示す線形近似のグラフを作成した。
図19に示すグラフは、以下の第2関数で表される。
Y2=c*I*t+d*I (2)
ここで、Y2は第3電圧検出接点8Cと第4電圧検出接点8Dとの間の正特性側検出電圧[V]を表し、cは係数(定数)を表し、tはシャント抵抗器1の温度[℃]を表し、dは係数(定数)を表し、Iはシャント抵抗器1に流した電流[A]を表している。係数c,dは、温度測定データおよび電圧測定データから計算により求めることができる。
【0067】
上記第1関数(1)と上記第2関数(2)から、以下の電流算定式と温度算定式が導かれる。
電流算定式
I=((Y1×c)-(Y2×a))/((b×c)-(a×d)) (3)
温度算定式
t=((Y2×b)-(Y1×d))/((Y1×c)-(Y2×a)) (4)
上記電流算定式および温度算定式において、a,b,c,dの具体的な数値は決定されているので、負特性側検出電圧Y1と正特性側検出電圧Y2が得られれば、シャント抵抗器1を流れる電流[A]と、シャント抵抗器1の温度[℃]は、上記電流算定式および温度算定式から算出することができる。
【0068】
電流算定器20は、その記憶装置20a内に電流算定式および温度算定式を予め格納している。電流算定器20は、第1電圧信号配線9Aおよび第2電圧信号配線9Bを通じて取得した電圧信号から第1電圧検出接点8Aと第2電圧検出接点8Bとの間の負特性側検出電圧Y1(負特性位置での検出電圧)を算出し、第3電圧信号配線9Cおよび第4電圧信号配線9Dを通じて取得した電圧信号から第3電圧検出接点8Cと第4電圧検出接点8Dとの間の正特性側検出電圧Y2(正特性位置での検出電圧)を算出する。そして、電流算定器20は、負特性側検出電圧Y1と正特性側検出電圧Y2を電流算定式に入力することで、シャント抵抗器1を流れる電流[A]を算出することができる。本実施形態によれば、負特性側検出電圧および正特性側検出電圧を補正および合成することなく、電流算定式によりシャント抵抗器を流れる電流を直接的に算出することができる。さらに、電流算定器20は、負特性側検出電圧Y1と正特性側検出電圧Y2を温度算定式に入力することで、シャント抵抗器1の温度[℃]を算出することができる。
【0069】
上述では、負特性側検出電圧Y1および正特性側検出電圧Y2と温度の関係から、電流算定式および温度算定式を求めているが、第1関数と第2関数とで違いがあれば同様の電流算定式および温度算定式を求めることが可能であるため、負特性側検出電圧Y1と負特性側検出電圧Y2または正特性側検出電圧Y1と正特性側検出電圧Y2としても良い。すなわち、電流算定式および温度算定式は、第1特性側検出電圧Y1および第2特性側検出電圧Y2と温度の関係から導かれ、電流算定器20は、第1特性側検出電圧Y1と第2特性側検出電圧Y2を電流算定式に入力することで、シャント抵抗器1を流れる電流[A]を算出することができ、さらに、電流算定器20は、第1特性側検出電圧Y1と第2特性側検出電圧Y2を温度算定式に入力することで、シャント抵抗器1の温度[℃]を算出することができる。
【0070】
図18と
図19は線形近似によりグラフを作成しているが、大きく湾曲した曲線データを示す場合、数式で表すことが複雑化するため、電流算定式および温度算定式の代わりに、データテーブルを記憶装置20aに格納し、そのデータテーブルから、負特性側検出電圧Y1と正特性側検出電圧Y2を参照し、シャント抵抗器1を流れる電流[A]と、シャント抵抗器1の温度[℃]とを導き出すこともできる。
【0071】
今まで説明した各実施形態でのシャント抵抗器1は、
図1および
図2に示すスリット11,12を有するものであるが、他のタイプのシャント抵抗器を用いることもできる。例えば、
図20に示すように、シャント抵抗器1は、その幅方向に突出する突出部25を有してもよい。この例では、抵抗体5の一部および一対の電極6,7の一部は、突出部25を構成している。突出部25は、上から見たときに矩形状の形状を有している。さらに、
図21に示すように、シャント抵抗器1は、一対の電極6,7にL字型の孔27を有してもよい。孔27の形状は
図21に示す形状に限定されず、他の形状であってもよい。
【0072】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0073】
1 シャント抵抗器
2 電流検出部
3 基台プレート
5 抵抗体
6,7 電極
8A~8D 電圧検出接点
9A~9D 電圧信号配線
11,12 スリット
13,14 電圧信号合流配線
16A~16D 電圧検出端子
19 コンデンサ
20 電流算定器
25 突出部
27 孔