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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144462
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/023 20060101AFI20231003BHJP
   H03M 11/02 20060101ALI20231003BHJP
   G06F 3/02 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G06F3/023 420
H03M11/02
G06F3/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051440
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【弁理士】
【氏名又は名称】荻野 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】菅澤 昌之
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 一則
(72)【発明者】
【氏名】林 達也
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼田 浩一
【テーマコード(参考)】
5B020
【Fターム(参考)】
5B020AA03
5B020AA12
5B020DD02
5B020FF15
5B020FF16
5B020GG01
(57)【要約】
【課題】人の操作感覚に合わせて、操作性を向上させることができる入力装置を提供する。
【解決手段】操作量が可変である操作部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記操作部の操作量が第1方向に変化して第1閾値になったときに所定出力を行い、前記所定出力に応じて前記第1方向に最も変化した操作量を第1操作量として取得し、前記第1操作量と前記第1閾値との差分に基づいて、前記操作部の操作量の所定領域を分割する分割数を設定する、入力装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作量が可変である操作部と、制御部と、を備え、
前記制御部は、前記操作部の操作量が第1方向に変化して第1閾値になったときに所定出力を行い、前記所定出力に応じて前記第1方向に最も変化した操作量を第1操作量として取得し、前記第1操作量と前記第1閾値との差分に基づいて、前記操作部の操作量の所定領域を分割する分割数を設定する、
入力装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1操作量と前記第1閾値との差分に所定マージンを加算した結果に基づいて、前記操作部の操作量の所定領域を分割する分割数を設定する、
請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1閾値としてランダムな値を設定する、
請求項1または請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記所定領域は、前記操作部の操作量の最小値から所定の範囲の第1領域と、前記操作部の操作量の最大値から所定の範囲の第2領域と、の一方または両方が除外された第3領域である、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人の手で操作を行う入力装置が知られている。
例えば、特許文献1には、レバーの操作角に連動して直線駆動するピストンと、当該レバーを中立位置に保持し得るように当該ピストンを押圧するスプリングにより構成された手動の操作桿が記載されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63-163212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、製品の磁石とセンサの単品の精度差、あるいは、使用する人の操作感の個体差については、開示されてなく、入力装置における人と操作の順応性を考慮した場合、個々の製品ごとに、使用する人の操作感覚と異なる出力が行われてしまう場合があった。
また、製品の個体差が許容されるときにも、使用する人の操作感には個人差があるため、使用する人の操作感覚と異なる出力が行われてしまう場合があった。
このように、従来の技術では、入力装置の操作性を向上させることが要求されていた。
【0005】
本開示は、このような事情を考慮してなされたもので、人の操作感覚に合わせて、操作性を向上させることができる入力装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、操作量が可変である操作部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記操作部の操作量が第1方向に変化して第1閾値になったときに所定出力を行い、前記所定出力に応じて前記第1方向に最も変化した操作量を第1操作量として取得し、前記第1操作量と前記第1閾値との差分に基づいて、前記操作部の操作量の所定領域を分割する分割数を設定する、入力装置である。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る入力装置によれば、人の操作感覚に合わせて、操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る入力装置の概略的な外観の一例を示す図である。
図2】実施形態に係る入力装置の持ち方の一例を示す図である。
図3】実施形態に係る入力装置のレバー部の概略的な構成の一例を示す図である。
図4】(A)および(B)は実施形態に係る入力装置の操作レバーの押下の例を示す図である。
図5】実施形態に係る入力装置の操作レバーの押し量に応じたA/D変換出力値の一例を示す図である。
図6】実施形態に係る入力装置の概略的な機能ブロックの一例を示す図である。
図7】実施形態に係る入力装置のコマンドテーブルの一例を示す図である。
図8】実施形態に係る入力装置のコマンドテーブルの他の例を示す図である。
図9】実施形態に係る入力装置のコマンドテーブルの他の例を示す図である。
図10】実施形態に係る入力装置の操作レバーの第1領域を説明するための図である。
図11】実施形態に係る入力装置の操作レバーの第2領域を説明するための図である。
図12】実施形態に係る入力装置の操作レバーの停止要求位置を説明するための図である。
図13】実施形態に係る入力装置の画面表示の一例を示す図である。
図14】実施形態に係る入力装置の画面表示の一例を示す図である。
図15】実施形態に係る入力装置の画面表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本開示の実施形態について説明する。
【0010】
[入力装置]
図1は、実施形態に係る入力装置1の概略的な外観の一例を示す図である。
入力装置1は、筐体11と、画面12と、レバー部13と、レバー部14と、スピーカ15と、を備える。
【0011】
筐体11は、例えば、コンピューターの操作に使用されるマウスに似た形状(例えば、楕円に似た球状)を有している。なお、筐体11の形状は、他の形状であってもよい。
画面12は、筐体11の一面に備えられており、情報を表示出力する機能を有する。
レバー部13は、筐体11の所定位置に備えられており、人の指によって押し込まれることが可能である。
レバー部14は、筐体11の他の所定位置に備えられており、人の指によって押し込まれることが可能である。
スピーカ15は、発話用スピーカであり、音を出力する機能を有する。
【0012】
ここで、本実施形態では、レバー部13およびレバー部14は、それぞれ、磁気センサを内蔵しており、磁気センサにより押し込み量に応じた値を検出する。
レバー部13およびレバー部14は、それぞれ、複数の異なる操作位置に配置されている。
【0013】
なお、入力装置1は、レバー部13およびレバー部14以外の入力用の操作部を有していてもよい。当該操作部は、例えば、ボタン(図示を省略)から構成されてもよい。
本実施形態では、入力装置1は、レバー部13の操作およびレバー部14の操作に基づいて1個のコマンドを特定し、この状態で、別の所定の操作部(例えば、ボタン)が押下されたことに応じて、当該コマンドの受付を確定して、当該コマンドに基づく処理を行ってもよい。
【0014】
本実施形態では、画面12は、人の手によって入力装置1が把持された場合に、人の手のひらと接触(または、近接)する面とは反対の面に備えられている。
入力装置1において、人の手のひらと接触(または、近接)する面の内部には、振動を発生させる機能を有する振動素子が備えらえている。
【0015】
図2は、実施形態に係る入力装置1の持ち方の一例を示す図である。
ユーザー(人)は、入力装置1を片方の手111で持つことができ、入力装置1を持ちながら、当該片方の手111でレバー部13およびレバー部14の操作を行うことができる。
図2の例では、ユーザーの左手により入力装置1が持たれており、親指によってレバー部13が操作され、人差し指によってレバー部14が操作される。
【0016】
図3は、実施形態に係る入力装置1のレバー部201の概略的な構成の一例を示す図である。
図3に示されるレバー部201の構成例は、図1に示されるレバー部13の構成例およびレバー部14の構成例をまとめて説明するための構成例である。
つまり、本実施形態では、レバー部201の構成は、例えば、レバー部13とレバー部14との一方または両方に適用される。
【0017】
レバー部201は、ユーザーの指によって押し込まれるレバーである操作レバー211と、プラスチックバネ部212と、ハウジング213と、を備える。
また、レバー部201は、ハウジング213の内部に、磁気センサが取り付けられる部位である磁気センサ取付部221と、磁気センサの基板が取り付けられる部位である磁気センサ基板取付スリット222と、を有する。
【0018】
操作レバー211は、1軸の方向に沿って、移動することが可能である。操作レバー211の移動機構としては、例えば、ピストンの機構が用いられてもよい。
プラスチックバネ部212は、操作レバー211が押し込まれることに応じて、圧縮することが可能である。
プラスチックバネ部212に対して、操作レバー211とは反対側には、圧縮されたプラスチックバネ部212を受ける部位が備えられている。
これにより、操作レバー211は、ユーザーの指の力によって押し込まれることが可能であり、また、押し込まれる力が弱まると、プラスチックバネ部212の弾性力により元の状態に戻る。
【0019】
図4(A)および図4(B)は、実施形態に係る入力装置1の操作レバー211の押下の例を示す図である。
図4(A)および図4(B)には、レバー部201の概略的な構成例を示してある。なお、図4(A)および図4(B)では、一部が透視図となっている。
具体的には、操作レバー211、プラスチックバネ部212、ハウジング213、磁石251、磁石252、および、磁気センサ253が示されている。磁石251、磁石252、および、磁気センサ253は、レバー部201の内部に配置されている。
ここで、磁気センサ253は、操作レバー211の押し込み量によらずにレバー部201の固定位置に備えられている。一方、磁石251および磁石252は、操作レバー211の押し込み量に応じて移動する位置に備えられている。
これにより、操作レバー211の押し込み量に応じて、磁気センサ253によって検出される値が変化する。
【0020】
図4(A)には、ユーザーの指が操作レバー211から離れた状態を示してある。つまり、当該状態は、操作レバー211に押し込みの力が加えられていない初期の状態である。
図4(B)には、ユーザーの指によって操作レバー211が押し込まれた状態を示してある。当該状態では、操作レバー211が初期状態から操作位置[mm]の分だけ押し込まれている。
なお、図4(A)および図4(B)には、磁気センサ253の中心線A1を示してある。この中心線A1は、操作レバー211の押し込み方向に対して垂直な方向の線である。
【0021】
本実施形態では、操作位置の変化に応じて、磁気センサ253によって検出されるアナログ値が変化する。そして、A/D(Analog to Digital)変換器により当該アナログ値がデジタル値へ変換されて出力される。
ユーザーの指で操作レバー211が押し込まれて、操作位置が0から増加していくと、A/D変換出力値が0から増加していく。
【0022】
図5は、実施形態に係る入力装置1の操作レバー211の押し量に応じたA/D変換出力値の一例を示す図である。
図5に示されるグラフにおいて、横軸は操作位置[mm]を表しており、縦軸はA/D変換出力値[dec]を表している。
図5には、操作位置[mm]とA/D変換出力値[dec]との関係の特性2011を示してある。
なお、操作位置の単位、および、A/D変換出力値の単位としては、それぞれ、任意の単位が用いられてもよい。
【0023】
本実施形態では、操作レバー211の押し込み量(操作位置)が変化すると、磁気センサ253が受ける磁束密度がほぼ直線的に変化する。
これにより、特性2011は、ほぼ線形の特性となる。
【0024】
ここで、本実施形態では、A/D変換出力値は0以上で255以下の値をとる。
図5の例では、A/D変換出力値が0以上で5以下である領域を第1領域として設定してある。
図5の例では、A/D変換出力値が250以上で255以下である領域を第2領域として設定してある。
そして、第1領域と第2領域との間に存在する第3領域をN(Nは2以上の整数)個に分割する。
図5の例では、第3領域は、A/D変換出力値が5を超えて250未満である領域である。
第3領域をN個に分割すると、1個の分割領域の幅は{(255-5)-5}/Nに相当する。
【0025】
ここで、本実施形態では、1個の軸に沿ってスライドすることが可能なピストン状の操作レバー211が用いられる場合を示すが、操作レバーの構成としては、これに限られない。
例えば、所定の軸に対して回転することが可能な操作レバーが用いられてもよく、この場合、操作レバーの回転の量(例えば、回転の角度)に応じて操作量(操作位置)が特定されてもよい。このような操作レバーは、例えば、ユーザーの1本の指により回転可能な構成とされてもよい。
【0026】
図6は、実施形態に係る入力装置1の概略的な機能ブロックの一例を示す図である。
入力装置1は、磁気センサ311と、磁気センサ312と、A/D変換器313と、ディスプレイ314と、LED(Light Emitting Diode)315と、無線モジュール316と、音出力部317と、振動部318と、CPU(Central Processing Unit)319と、バッテリー351と、を備える。
【0027】
磁気センサ311は、第1のレバー部(図1の例では、レバー部13)の磁気センサである。磁気センサ311は、第1のレバー部の操作レバー(図3および図4の例では、操作レバー211)の押し込み量に応じた検出値(アナログ値)をA/D変換器313に出力する。
磁気センサ312は、第2のレバー部(図1の例では、レバー部14)の磁気センサである。磁気センサ312は、第2のレバー部の操作レバー(図3および図4の例では、操作レバー211)の押し込み量に応じた検出値(アナログ値)をA/D変換器313に出力する。
ここで、本実施形態では、入力装置1が2個のレバー部を備える場合を示すが、入力装置1は3個以上のレバー部を備えてもよく、この場合、レバー部の数と同数の3個以上の磁気センサを備える。
【0028】
A/D変換器313は、それぞれの磁気センサ311、312から出力される検出値(アナログ値)を入力して、当該検出値をアナログ値からデジタル値へ変換し、当該デジタル値(A/D変換出力値)をCPU319に出力する。
ここで、本実施形態では、複数の磁気センサ311、312に対して共通のA/D変換器313が兼用される場合を示したが、他の構成例として、複数の磁気センサ311、312のそれぞれごとに別のA/D変換器が備えられてもよい。
【0029】
ディスプレイ314は、情報を表示出力する画面(図1の例では、画面12)を有する。
LED315(図1の例では、図示を省略)は、光を点灯、点滅、消灯する。なお、LED315の数および配置は、任意であってもよい。
【0030】
無線モジュール316は、外部の装置と無線通信を行う機能を有する。当該外部の装置は、例えば、コンピューターあるいはスマートフォンなどであってもよい。
音出力部317は、音を出力する。音出力部317は、音信号を増幅する発話用アンプ321と、増幅された音信号を出力するスピーカ322(図1の例では、スピーカ15)と、を備える。
【0031】
ここで、本実施形態では、入力装置1が無線モジュール316を備える場合を示したが、他の構成例として、入力装置1は、無線モジュール316とともに、または、無線モジュール316の代わりに、外部の装置と有線通信を行う機能を有してもよい。
例えば、入力装置1と外部の装置とが通信することで、入力装置1に記憶されたプログラムまたは他のデータが外部の装置によって変更されてもよい。
【0032】
振動部318は、振動の動作を行う。振動部318は、振動信号を増幅する振動用アンプ331と、増幅された振動信号により振動する振動素子332(図1の例では、図示を省略)と、を備える。なお、振動部318の数および配置は、任意であってもよい。
例えば、振動素子332は、入力装置1の内部において、それぞれのレバー部(図1の例では、レバー部13、14)ごとに、それぞれのレバー部の付近に埋め込まれて備えられてもよい。
なお、振動素子332としては、例えば、圧電素子、あるいは、振動モータなどが用いられてもよい。
【0033】
CPU319は、各種の処理および制御を行う。
また、CPU319は、記憶部(図示を省略)を備えており、各種の情報を当該記憶部に記憶することが可能である。
CPU319は、例えば、当該記憶部に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、各種の処理および制御を行う。
【0034】
本実施形態では、CPU319は、A/D変換器313から各磁気センサ311、312の検出値に応じたデジタル値(A/D変換出力値)を入力し、当該デジタル値に基づく処理を行う。
本実施形態では、例えば、複数のレバー部(図1の例では、レバー部13およびレバー部14)は、それぞれ独立しており、同時に操作されることが可能である。また、A/D変換器313およびCPU319は、これら複数のレバー部が同時に操作される場合に、それぞれのレバー部ごとのデジタル値(A/D変換出力値)を区別して処理することが可能である。
【0035】
また、CPU319は、ディスプレイ314に表示情報を出力することで、ディスプレイ314の画面に情報を表示出力する。
また、CPU319は、LED315に制御信号を出力することで、LED315の点灯、点滅、消灯を行う。
また、CPU319は、無線モジュール316により、無線通信を行うことが可能である。
また、CPU319は、音出力部317に音信号を出力することで、スピーカ322から音を出力する。
また、CPU319は、振動部318に振動信号を出力することで、振動素子332を振動させる。
【0036】
バッテリー351は、入力装置1の各部に電力を供給する。
バッテリー351としては、例えば、1次電池が用いられてもよく、または、2次電池が用いられてもよい。
なお、入力装置1が外部から電力の供給を受ける機能を有する場合には、バッテリー351とともに、または、バッテリー351の代わりに、外部から供給される電力を用いてもよい。
【0037】
なお、入力装置1は、例えば、音を入力するマイクを備えてもよい。この場合、マイクにより収集された音の信号がCPU319に入力される。
そして、CPU319は、入力された音の信号に基づく処理を行う。当該処理は、例えば、入力された音(ここでは、音声)を認識して、認識した音声の内容をテキスト情報としてディスプレイ314の画面に表示出力する処理であってもよい。この場合、入力装置1では、例えば、ユーザーが聴覚障害者であるときに、健常者の発話の内容をテキストとして視認可能に表示することができる。
ここで、例えば、入力装置1とは異なる装置(例えば、サーバー装置など)が音声認識機能を備え、CPU319が音の信号を当該装置に送信し、当該装置によって当該音の信号を音声認識した結果の情報を入力装置1が当該装置から受信して利用する構成が用いられてもよい。
マイクとしては、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)マイクが用いられてもよい。
【0038】
<位置検出の他の例>
本実施形態では、磁気センサ(図4の例では、磁気センサ253)を用いて操作レバー(図4の例では、操作レバー211)の押し込み量(操作位置)を検出する構成例を示したが、操作レバーの押し込み量を検出する手法としては他の手法が用いられてもよい。
例えば、操作レバーの押し込み量を検出する手法として、透過型の光学式ロータリーエンコーダ、反射型のロータリーエンコーダ、透過型の光学式リニアエンコーダ、磁気式ロータリーエンコーダ、あるいは、磁気式リニアエンコーダを用いて、操作レバーの押し込み量(操作位置)に応じた値を出力する手法が用いられてもよい。
これらのような操作レバーの押し込み量を検出する手法では、例えば、相対的な移動を行う操作レバーと固定部(例えば、ハウジング)との一方に出力素子を配置し、他方に入力素子を配置し、当該出力素子からの出力を当該入力素子により入力することで、操作レバーの押し込み量を検出する。
【0039】
本実施形態では、図1に示されるレバー部13とレバー部14とをまとめて説明するときに、図3図6に示される構成部の名称および符号を使用する場合がある。
本実施形態では、図1に示されるレバー部13とレバー部14とは、物理的な構成は同様である。
なお、他の構成例として、複数のレバー部の物理的な構成が互いに異なっていてもよい。
【0040】
<文字等のコマンドテーブルの例>
図7は、実施形態に係る入力装置1のコマンドテーブルの一例を示す図である。
図8は、実施形態に係る入力装置1のコマンドテーブルの他の例を示す図である。
図9は、実施形態に係る入力装置1のコマンドテーブルの他の例を示す図である。
【0041】
ここで、本実施形態では、XGはコマンドグループを識別する情報を表し、当該情報として整数が用いられている。
図7には、XG=0のコマンドテーブルが示されている。
図8には、XG=1のコマンドテーブルが示されている。
図9には、XG=2のコマンドテーブルが示されている。
【0042】
これらのコマンドテーブルは、入力装置1の内部の記憶部に記憶される。
なお、他の構成例として、これらのコマンドテーブルは、入力装置1の外部のデータベース等に記憶されてもよく、この場合、これらのコマンドテーブルの内容に関する情報が入力装置1に提供される。
また、これらのコマンドテーブルは、例えば、あらかじめ設定されるが、任意のタイミングで更新可能であってもよい。
【0043】
また、本実施形態では、Xは所定の1個のレバー部(本実施形態では、レバー部13とする。)の操作レバーの押し込み量に応じたデジタル値(A/D変換出力値)に基づいて特定される値を表す。
Yは他の所定の1個のレバー部(本実施形態では、レバー部14とする。)の操作レバーの押し込み量に応じたデジタル値(A/D変換出力値)に基づいて特定される値を表す。
【0044】
図7に示されるXG=0のコマンドテーブルについて説明する。
当該コマンドテーブルでは、横軸にXの値(本例では、1~7)を示してあり、縦軸にYの値を(本例では、1~7)示してある。
当該コマンドテーブルでは、Xの値およびYの値が一意に決まると、一つのコマンドが特定される。例えば、X=2かつY=1では「ありがとうございます」というコマンドが特定される。例えば、X=5かつY=5では「発払い伝票を下さい」というコマンドが特定される。
XG=0のコマンドテーブルでは、対話文(複数の文字からなる文字列)に関するコマンドが格納されている。
【0045】
図8に示されるXG=1のコマンドテーブルについて説明する。
当該コマンドテーブルでは、横軸にXの値(本例では、1(8)~7(14))を示してあり、縦軸にYの値(本例では、1~7)を示してある。
ここで、説明の便宜上、Xの値である1~7に(8)~(14)を付してあるが、これは、他のXGのコマンドテーブルと区別するためである。
XG=1のコマンドテーブルでは、Xの値およびYの値が一意に決まると、一つのコマンドが特定される。例えば、X=2かつY=1では「か」というコマンドが特定される。例えば、X=5かつY=5では「の」というコマンドが特定される。
なお、当該コマンドテーブルでは、Y=6~7にはコマンドが割り当てられていないが、これは一例であり、これに限定されない。
XG=1のコマンドテーブルでは、文字に関するコマンドが格納されている。
【0046】
図9に示されるXG=2のコマンドテーブルについて説明する。
当該コマンドテーブルでは、横軸にXの値(本例では、1(15)~7(21))を示してあり、縦軸にYの値(本例では、1~7)を示してある。
ここで、説明の便宜上、Xの値である1~7に(15)~(21)を付してあるが、これは、他のXGのコマンドテーブルと区別するためである。
XG=2のコマンドテーブルでは、Xの値およびYの値が一意に決まると、一つのコマンドが特定される。例えば、X=2かつY=1では「ら」というコマンドが特定される。例えば、X=5かつY=5では「L」というコマンドが特定される。
なお、当該コマンドテーブルでは、XおよびYの組み合わせのうちの一部にはコマンドが割り当てられていないが、これは一例であり、これに限定されない。
XG=2のコマンドテーブルでは、文字に関するコマンドが格納されている。
【0047】
ここで、例えば、入力装置1の内部の記憶部に、XGの値が記憶される。
また、入力装置1では、所定の操作に応じて、XGの値を切り替える。当該所定の操作は、例えば、レバー部13あるいはレバー部14の操作であってもよく、他の例として、レバー部13およびレバー部14とは異なる操作部の操作であってもよい。
【0048】
CPU319は、記憶部に記憶されているXGの値に基づいて、1個のコマンドテーブルを特定し、特定したコマンドテーブルの内容を使用する。
そして、CPU319は、A/D変換器313から入力されるデジタル値(A/D変換出力値)に基づいてXの値およびYの値を取得し、これらの値に基づいて当該コマンドテーブルにおけるコマンドを特定し、特定したコマンドに基づく処理を行う。
当該処理は、任意の処理であってもよく、例えば、特定されたコマンドの文字または対話文を音信号として、当該文字または当該対話文の音(音声)をスピーカ322から出力する処理であってもよい。
【0049】
ここで、図7図9の例において、CPU319は、2個のレバー部の操作(例えば、レバー部13の操作およびレバー部14の操作)に基づいて1個のコマンドを特定し、この状態で、別の所定の操作部(例えば、ボタン)が押下されたことに応じて、当該コマンドの受付を確定して、当該コマンドに基づく処理を行ってもよい。
【0050】
また、図7図9の例では、Xが取り得る値とYが取り得る値とが同一である場合を示したが、これに限られず、Xが取り得る値とYが取り得る値とは異なってもよい。
【0051】
また、図7図9の例では、XG=0、1、2の3個のコマンドテーブルを示したが、このようなコマンドテーブルの数は、例えば、1個であってもよく、または、2個であってもよく、あるいは、4個以上であってもよい。
また、図7図9に示されるコマンドテーブルは、編集されることが可能であってもよい。それぞれのコマンドテーブルの編集は、例えば、コマンドテーブルの管理者(ここでは、入力装置1のユーザー以外の者)によって行われてもよく、あるいは、ユーザーによって行われてもよい。
【0052】
ここで、図7図9に示されるコマンドテーブルでは、XおよびYについて、コマンドに割り当てられる領域(第3領域)の分割数Nが7である場合を示したが、例えば、XとYとの一方または両方の分割数Nが変更された場合には、変更後の分割数Nに適合したコマンドテーブルが用意される。
変更後の分割数Nに適合したコマンドテーブルは、例えば、入力装置1または他の装置(例えば、サーバ―など)によって自動的に生成されてもよく、あるいは、入力装置1のユーザーなどによって手動で生成されてもよい。
【0053】
なお、本実施形態では、コマンドが対話文(文字の列)あるいは文字に対応付けられている場合を示すが、コマンドに対応付けられる情報としては、特に限定はなく、例えば、画像の情報であってもよい。
CPU319は、画像の情報に対応付けられたコマンドが決定(確定)された場合に、例えば、当該画像を画面に表示出力する処理を実行してもよい。
【0054】
<操作レバーの第1領域および第2領域>
図10は、実施形態に係る入力装置1の操作レバー211の第1領域を説明するための図である。
図10には、レバー部201の操作レバー211およびハウジング213を示してある。
図10には、操作レバー211が所定の量だけ押し込まれて、磁気センサ253のデジタル値(A/D変換出力値)が(0+a)である状態を示してある。
aは、正の整数である。
【0055】
図11は、実施形態に係る入力装置1の操作レバー211の第2領域を説明するための図である。
図11には、レバー部201の操作レバー211およびハウジング213を示してある。
図11には、操作レバー211が所定の量だけ押し込まれて、磁気センサ253のデジタル値(A/D変換出力値)が(255-b)である状態を示してある。
bは、正の整数である。
【0056】
ここで、図5の例では、a=5かつb=5である場合を示したが、これに限られない。
また、図5の例では、aの値とbの値とが同一である場合を示したが、これに限られない。
aの値およびbの値は、任意の手法で設定されてもよい。
例えば、aの値およびbの値は、あらかじめ設定されてもよく、あるいは、ユーザーによって行われる所定の操作により設定されてもよい。当該所定の操作は、例えば、レバー部13あるいはレバー部14の操作であってもよく、他の例として、レバー部13およびレバー部14とは異なる操作部の操作であってもよい。
また、例えば、aの値およびbの値は、任意のタイミングで、ユーザーの操作などにより変更可能に構成されてもよい。
なお、a=0、または、b=0、あるいは、a=b=0が設定されてもよい。
【0057】
<操作レバーの押し込み量に応じた値のキャリブレーション>
本実施形態では、レバー部201において、操作レバー211の押し込み量に応じたデジタル値(A/D変換出力値)が(0+a)~(255-b)の領域を、図7図9に示されるようなコマンドを割り当てる領域(第3領域)として使用する。
本実施形態では、(255-b-a)の幅を有する第3領域をN個に分割する閾値を用いることで、CPU319は、操作レバー211の押し込み量に応じたデジタル値(A/D変換出力値)に基づく値としてN個の値を取得する。
【0058】
図7図9の例では、Xの値についてN=7であり、Yの値についてN=7である。
なお、Nは他の値であってもよい。
また、レバー部13とレバー部14とでNの値は異なっていてもよい。
【0059】
本実施形態では、aが0でない場合、操作レバー211の押し込み量に応じたデジタル値(A/D変換出力値)が0~(0+a)である第1領域については、図7図9に示されるような文字等のコマンドは割り当てられない。
なお、第1領域に、所定のコマンドが割り当てられてもよい。当該所定のコマンドは、例えば、コマンドグループの識別情報XGの値を切り替えるためのコマンドであってもよい。
第1領域に何も割り当てられない場合、第1領域は操作レバー211の遊びの領域とみなされてもよい。
【0060】
本実施形態では、bが0でない場合、操作レバー211の押し込み量に応じたデジタル値(A/D変換出力値)が(255-b)~255である第2領域については、図7図9に示されるような文字等のコマンドは割り当てられない。
なお、第2領域に、所定のコマンドが割り当てられてもよい。当該所定のコマンドは、例えば、コマンドグループの識別情報XGの値を切り替えるためのコマンドであってもよい。
第2領域に何も割り当てられない場合、第2領域は操作レバー211の遊びの領域とみなされてもよい。
【0061】
本実施形態では、入力装置1において、ユーザーが操作レバー211を押し込む動作に基づいて、第3領域を分割する分割数Nを設定するキャリブレーションの処理を実行する。
図12図15を参照して、当該キャリブレーションの処理について説明する。
【0062】
図12は、実施形態に係る入力装置1の操作レバー211の停止要求位置cを説明するための図である。
図12には、レバー部201の操作レバー211およびハウジング213を示してある。
図12には、操作レバー211が所定の量だけ押し込まれて、磁気センサ253のデジタル値(A/D変換出力値)がcである状態を示してある。
cは、正の整数であり、(0+a)<c<(255-b)となっている。
【0063】
ここで、cは、例えば、あらかじめ固定の値に設定されていてもよい。
他の例として、cは、CPU319によって設定されてもよい。CPU319は、cの値として、ランダムな値を設定してもよい。
【0064】
第3領域を分割する分割数Nを設定するキャリブレーションの処理は、例えば、入力装置1がユーザーにより使用され始める際に、初期設定として行われる。
他の例として、当該キャリブレーションの処理は、任意のタイミングで行われてもよく、例えば、初期設定の後に、任意のタイミングで、設定内容の更新(変更)が行われてもよい。
【0065】
また、複数のレバー部13、14がある場合、当該キャリブレーションの処理は、それぞれのレバー部13、14ごとに行われてもよく、あるいは、複数のレバー部13、14についてまとめて行われてもよい。
【0066】
第3領域を分割する分割数Nを設定するキャリブレーションの処理の手順の一例を示す。
入力装置1の初期設定時、または、あらかじめ定められた所定のタイミング、または、ユーザーによって指示されたときに、CPU319は、第3領域を分割する分割数Nを設定するキャリブレーションの処理を実行する。
【0067】
図13図15は、それぞれ、実施形態に係る入力装置1の画面表示の一例を示す図である。
図13に示される画面表示1011では、「Push !」という情報を表示している。当該情報は、ユーザーに対して、操作レバー211の押し込みを促すメッセージの情報である。
なお、操作レバー211の押し込みを促すメッセージとしては、他のメッセージが用いられてもよい。
【0068】
図14に示される画面表示1012では、「Stop !」という情報を表示している。当該情報は、ユーザーに対して、操作レバー211の押し込みの停止を促すメッセージの情報である。
なお、操作レバー211の押し込みの停止を促すメッセージとしては、他のメッセージが用いられてもよい。
【0069】
図15に示される画面表示1013では、「Release !」という情報を表示している。当該情報は、ユーザーに対して、操作レバー211の押し込みの解除(押し込みをやめること)を促すメッセージの情報である。
なお、操作レバー211の押し込みの解除を促すメッセージとしては、他のメッセージが用いられてもよい。
【0070】
ここで、図13図15に示される画面表示1011~1013では、それぞれ、任意の色が表示に使用されてもよい。
具体例として、画面表示1011の背景色を白色とし、画面表示1012の背景色を赤色とし、画面表示1013の背景色を青色とする態様などが用いられてもよい。
【0071】
(手順1)
ユーザーは、入力装置1を片手で持ち、ユーザーの指によってキャリブレーション対象とする操作レバー211を押し込み始める。
【0072】
(手順2)
CPU319は、操作レバー211の押し込み量に応じたデジタル値(A/D変換出力値)が0から変化して(0+a)になったことを判定した場合に、図13に示される画面表示1011を行う。
これにより、ユーザーは、操作レバー211を押し込むことを促される。
なお、このような画面表示1011は、必ずしも行われなくてもよい。
【0073】
(手順3)
CPU319は、操作レバー211の押し込み量に応じたデジタル値(A/D変換出力値)がcになったことを判定した場合に、図14に示される画面表示1012を行う。
これにより、ユーザーは、操作レバー211を押し込むことを停止することを促される。
【0074】
(手順4)
ユーザーは、操作レバー211の押し込みを停止する。
ここで、ユーザーは、必ずしも操作レバー211の押し込み量が一定となるように停止させる必要はなく、操作レバー211の押し込み量を増加させない(例えば、減少させる)動作を行えばよい。当該動作は、例えば、ユーザーが操作レバー211からユーザーの指を離す動作であってもよい。
【0075】
(手順5)
CPU319は、図14に示される画面表示1012を行った後に、操作レバー211の押し込み量に応じたデジタル値(A/D変換出力値)の最大値d(dは正の整数)を判定する。
ここで、ユーザーの指の反応が完璧であると想定するとd=cとなるが、ユーザーの指の反応に遅れがある場合にはd>cとなる。
CPU319は、(d-c)をユーザーの指の反応誤差として取得する。
【0076】
なお、最大値dの操作位置を判定する手法としては、例えば、操作レバー211の押し込み量に基づいて最大値dの操作位置を判定する手法が用いられてもよく、あるいは、操作レバー211の押し込み量の変化(押し込みの速度)を検出するセンサを入力装置1に備えて、当該センサによって検出される速度がゼロ(0)となる操作位置を最大値dの操作位置として判定する手法が用いられてもよい。
【0077】
(手順6)
CPU319は、デジタル値である(d-c+e)を設定する。
eは、正の整数である。
ここで、本実施形態では、マージンとしてeを使用しており、d=cである場合にも適用可能である。
なお、他の構成例として、マージンであるeが用いられない(つまり、e=0である)構成が用いられてもよい。この場合、d>cであることを想定する。この場合、CPU319は、デジタル値である(d-c)を設定する。
【0078】
(手順7)
CPU319は、分割数Nとして、{(255-b)-(0+a)}/(d-c+e)を設定する。
なお、他の構成例として、マージンであるeが用いられない(つまり、e=0である)場合には、CPU319は、分割数Nとして、{(255-b)-(0+a)}/(d-c)を設定する。
【0079】
(手順8)
CPU319は、図14に示される画面表示1012を行った後に、所定の時間T(Tは正の値で、単位は例えば秒)が経過したときに、図15に示される画面表示1013を行う。
これにより、ユーザーは、操作レバー211を押し込むことを解除することを促される。
そして、CPU319は、キャリブレーションの処理を終了する。
なお、このような画面表示1013は、必ずしも行われなくてもよい。この場合、CPU319は、(手順7)の処理を行った後に、キャリブレーションの処理を終了する。
【0080】
ここで、CPU319は、図13に示される画面表示1011、図14に示される画面表示1012、あるいは、図15に示される画面表示1013のうちの1以上について、画面表示とともに、または、画面表示に代えて、他の態様の出力を行ってもよい。他の態様としては、例えば、振動、光、あるいは、音などのうちの1以上であってもよい。
例えば、CPU319は、図13に示される画面表示1011および図15に示される画面表示1013を行い、図14に示される画面表示1012の代わりに所定の振動の動作を行ってもよい。
【0081】
<操作レバーの押し込み量とコマンドとの対応付け>
CPU319は、操作レバー211の押し込み量に応じたデジタル値(A/D変換出力値)の第3領域である(0+a)と(255-b)の間を分割数Nで等しい間隔で分割し、それぞれの分割領域に識別情報を割り当てる。
具体例として、図7図9の例では、XおよびYに関して、それぞれ、分割数Nは7である。
【0082】
i=1~7として、デジタル値(A/D変換出力値)が(0+a)から(255-b)に向かって、第1分割領域~第7分割領域が配置される場合、第i分割領域は{(0+a)+(d-c+e)×(i-1)}と{(0+a)+(d-c+e)×i}との間の領域となる。例えば、a=5、b=5、(d-c+e)=35であれば、(0+a)=5と(255-b)=250の間である第3領域が、第1分割領域(5~40)、第2分割領域(40~75)、第3分割領域(75~110)、第4分割領域(110~145)、第5分割領域(145~180)、第6分割領域(180~215)及び第7分割領域(215~250)の7個の分割領域に分けられる。
なお、それぞれの分割領域の下限値および上限値のそれぞれが、当該それぞれの分割領域に含まれるか、または、隣接する他の領域に含まれるか、については、任意に設定されてもよい。
【0083】
以上のように、本実施形態に係る入力装置1では、人の操作感覚に合わせて、操作性を向上させることができる。
本実施形態では、操作レバーの操作精度を向上させたスマートインプットデバイス(入力装置1)を実現することができる。
【0084】
入力装置1では、ユーザーの片手によって把持することができる筐体と、ユーザーの1つの指によって1軸で動かすことができる複数の操作レバーと、を有する。
入力装置1では、磁気センサ(磁気検出素子)は、操作レバーの動きに応じて連続値(アナログ値)を出力する。
初期設定時などにおいて、入力装置1では、操作レバーの押し量に対する磁気センサからの直線性のある連続値を量子化した後、コマンドに対応させる所定の範囲(本実施形態では、第3領域)を分割する分割数Nを決定するキャリブレーションの処理を行い、当該範囲をN分割するための閾値を決定する。
そして、入力装置1では、当該閾値に応じて操作レバーの押し込み量に応じた値(図7図9の例では、XまたはYの値)を判定し、当該値に応じたコマンドに基づく出力を行う。
入力装置1では、例えば、当該値とコマンドとを対応付けるコマンドテーブルを使用する。
【0085】
したがって、入力装置1では、多くの対話文等の辞書(コマンドテーブル)を検索して、ユーザーによって指定されるコマンドを決定することができる。
本実施形態では、例えば、ユーザーの複数の指のそれぞれに異なる操作レバーが設置され、これら複数の操作レバーの操作量(押し込み量)の組み合わせに応じてコマンドが割り当てられる。
例えば、入力装置1では、少ない指の操作で多数のコマンドを選択することができ、動かしづらい小指あるいは薬指を使用しなくても入力操作が可能な構成とすることができる。なお、他の構成例として、小指あるいは薬指を入力操作に使用する構成が用いられてもよい。
【0086】
入力装置1では、初期設定時などにおいて、例えば、操作レバーの押し込み量が最小値(本実施形態では、0)に近い方の第1領域、および、操作レバーの押し込み量が最大値(本実施形態では、255)に近い方の第2領域を、コマンドに対応させない領域として設定してもよい。
例えば、入力装置1において、ユーザーが操作レバーを離した状態と押し込んだ状態とでそれぞれ所定の操作を行うことで、量子化されたデジタル値(A/D変換出力値)の最小値と最大値を読み込み、これらの両側(最小値、最大値)の付近に第1領域および第2領域を設定してもよい。当該所定の操作は、所定のボタンの押下であってもよい。
【0087】
具体例として、入力装置1では、256階調で0~255の量子化に対して、(0+a)を当該最小値とし、(255-b)を当該最小値として、量子化値を使用してもよい。
このような第1領域および第2領域は、例えば、入力装置1の出荷時(または、製造時に)製造誤差を含めて決定されてもよく、あるいは、入力装置1の出荷後に、入力装置1を入手した各個人(ユーザー)が使用感から設定してもよい。
【0088】
したがって、入力装置1では、操作レバーの操作における各個人の押し込み量の不足によるコマンド不実行を低減することができ、あるいは、ユーザーの押し込み量の感覚のずれを解消することができる。
例えば、ユーザーは、第1領域および第2領域の調整を行うことが可能である。このような調整は、例えば、入力装置1の初期設定時などにキャリブレーションの処理として行われる構成が用いられてもよい。
【0089】
入力装置1では、分割数Nを決定するキャリブレーションの処理において、各個人の指の感度を測定するために、ユーザーによって操作レバーが押し込まれた際に、停止要求位置cになったことを画面表示または振動などによりユーザーに提示することで、ユーザーに押し込みを停止すること(例えば、操作レバーから指を離すこと)を促す。停止要求位置cは、例えば、キャリブレーションごとにランダムに決定されてもよい。
入力装置1では、ユーザによる操作レバーの操作結果に基づいて、操作レバーの押し込みが解放されたピークの位置(押し込み量が最大となる位置)dを取得する。そして、入力装置1では、停止要求位置cと当該ピークの位置dに基づいて、分割数Nを決定する。
【0090】
ここで、例えば、ユーザーの指の感度が良すぎて、値cと値dとが一致する場合を想定して、誤差eが用いられる構成では、(d-c+e)をユーザーの指が操作レバーの操作を停止することができる最小分割量であると定義する。
入力装置1では、{(255-b)-(0+a)}/(d-c+e)の分だけ、操作レバーの操作量(本実施形態では、第3領域)を分割する。
誤差eが用いられない構成では、e=0とみなす。
【0091】
したがって、入力装置1では、このようなキャリブレーションの処理を行うことで、ユーザーごとに操作レバーの押し込み量の感覚が異なることを解消することができる。これにより、入力装置1では、各々のユーザーの指の感度に応じて、各々のユーザーが使用し易い分割数Nを設定することができ、入力の操作を容易化、高精度化することができる。
本実施形態では、ユーザーの指の感度誤差(d-c)が大きいほど、分割数Nが小さく設定される。分割数Nを求める式は任意であってよい。
【0092】
なお、入力装置1では、例えば、ユーザーにとって操作に無理があると感じられるような場合などには、ユーザーの手動によって分割数Nを設定することが可能な構成とされてもよい。
【0093】
ここで、本実施形態では、ユーザーの指の感度誤差(d-c)が大きいほど、分割数Nが小さく設定される場合を示したが、他の構成例として、ユーザーの指の感度誤差(d-c)が大きいほど、分割数Nが大きく設定される構成が用いられてもよい。分割数Nを求める式は任意であってよい。
【0094】
本実施形態では、例えば、ユーザーによってコマンドテーブルを任意に書き換えることが可能な構成とすることで、ユーザーの好みに応じた対話文などの内容および並び方とすることができる。さらに、入力装置1では、操作レバーの押し込み量に応じた行列(図7図9の例では、XとYの行列)の位置指定が行われることで、高速な応答が可能である。
本実施形態では、例えば、ユーザーなどによってコマンドテーブルの数(本実施形態では、コマンドグループを表すXGの数)を増加させることが可能な構成とすることで、様々な外部環境に対応することが可能な対話文などを入力装置1により入力することを可能とすることができ、これにより、様々な場所での入力装置1の利用が有効となる。
【0095】
本実施形態に係る入力装置1では、例えば、聴覚障害者と健常者との間で自然言語による対話を支援することが可能である。
入力装置1では、複数のコマンド(対話あるいは文字など)から所望のコマンドを選択する操作をユーザー(例えば、聴覚障害者)の複数の指によって行うことが可能である。入力装置1では、例えば、選択されたコマンドに対応する対話文などを音声出力または表示出力などすることにより、ユーザー(例えば、聴覚障害者)を支援することができる。
また、入力装置1では、例えば、マイクを備えることで、健常者の発話の内容を画面に表示出力することが可能である。
このように、入力装置1は、聴覚障害者が日常で使用する場合にも適しており、聴覚障害者による入力操作を高速化、高精度化させるように支援することができる。
【0096】
具体例として、入力装置1では、ユーザー(例えば、聴覚障害者)によって入力された対話文などが即座に音声で発話されるため、ユーザーは伝えたい事項をすぐに音声で伝えることができる。
また、入力装置1では、健常者の話を即座にテキスト情報に変換して表示することで、例えば、ユーザーが口を読めない聴覚障害者である場合においても、ユーザーは健常者の話をテキストとして理解することができ、素早い双方向コミュニケーションを実現することができる。
【0097】
ここで、例えば、操作レバーをユーザーの指で操作することで連続値を出力する装置を考えると、操作レバーを操作するユーザーの個人差、センサ(例えば、磁気センサなど)の電気的なバラつき、スムーズに操作するための隙間による機械的なバラつき、などによって、センサからの出力値が変動し得る。特に、操作レバーの初期位置(本実施形態では、0の位置)、および、操作レバーが押下された位置(本実施形態では、押し込まれたときの押し込み量の位置)などで、操作レバーごとにセンサの出力値が変動し得る。
また、人によって指の長さおよび押圧が異なり得るため、それに対応する必要がある。
【0098】
これに対して、本実施形態に係る入力装置1では、このような個人差あるいは装置の個体差などをキャリブレーションによって解消することができる。
通常、ユーザーの各々の指と操作レバーの操作との関係は、事前に把握することが困難であるが、本実施形態に係る入力装置1では、ユーザーごとのキャリブレーションにより、使い易さを向上させて、コマンドの選択の精度を向上させることができる。
【0099】
なお、本実施形態では、値(d-c)または値(d-c+e)が大きいほど、分割数Nが小さい値に設定される場合を示したが、変形例として、値(d-c)または値(d-c+e)が大きいほど、分割数Nが大きい値に設定される構成が用いられてもよい。
このような構成では、ユーザーは、例えば、設定を希望する分割数Nの大小に応じて、ユーザーの指による操作レバー211の押し込み動作および押し込みの解除の動作を調整することで、値(d-c)または値(d-c+e)を調整することが可能である。
【0100】
[構成例]
一構成例として、入力装置(図1の例では、入力装置1)は、操作量が可変である操作部(図1および図4などの例では、レバー部13あるいはレバー部14の操作レバー211)と、制御部(図6の例では、CPU319)と、を備える。制御部は、操作部の操作量が第1方向(図4の例では、操作レバー211が押し込まれる方向)に変化して第1閾値(図10図15の例では、値c)になったときに所定出力(図14の例では、画面表示1012)を行い、当該所定出力に応じて第1方向に最も変化した操作量を第1操作量(図10図15の例では、値d)として取得し、第1操作量と第1閾値との差分(図10図15の例では、d-c)に基づいて、操作部の操作量の所定領域(本実施形態では、第3領域)を分割する分割数(本実施形態では、分割数N)を設定する。
【0101】
一構成例として、入力装置において、制御部は、第1操作量と第1閾値との差分に所定マージン(本実施形態では、値e)を加算した結果(本実施形態では、d-c+e)に基づいて、操作部の操作量の所定領域を分割する分割数を設定する。
一構成例として、入力装置において、制御部は、第1閾値としてランダムな値を設定する。
一構成例として、入力装置において、所定領域は、操作部の操作量の最小値から所定の範囲(本実施形態では、A/D変換出力値が0~0+aの範囲)の第1領域と、操作部の操作量の最大値から所定の範囲(本実施形態では、A/D変換出力値が255-b~255の範囲)の第2領域と、の一方または両方が除外された第3領域である。ここで、本実施形態では、操作部の操作量から第1領域と第2領域との両方が除外されて第3領域が設定されているが、他の構成例として、第1領域と第2領域とのうちの任意の一方が除外されてもよい。
【0102】
なお、以上に説明した任意の装置における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、オペレーティングシステムあるいは周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーあるいはクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。当該揮発性メモリーは、例えば、RAM(Random Access Memory)であってもよい。記録媒体は、例えば、非一時的記録媒体であってもよい。
【0103】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイルであってもよい。差分ファイルは、差分プログラムと呼ばれてもよい。
【0104】
また、以上に説明した任意の装置における任意の構成部の機能は、プロセッサーにより実現されてもよい。例えば、実施形態における各処理は、プログラム等の情報に基づき動作するプロセッサーと、プログラム等の情報を記憶するコンピューター読み取り可能な記録媒体により実現されてもよい。ここで、プロセッサーは、例えば、各部の機能が個別のハードウェアで実現されてもよく、あるいは、各部の機能が一体のハードウェアで実現されてもよい。例えば、プロセッサーはハードウェアを含み、当該ハードウェアは、デジタル信号を処理する回路およびアナログ信号を処理する回路のうちの少なくとも一方を含んでもよい。例えば、プロセッサーは、回路基板に実装された1または複数の回路装置、あるいは、1または複数の回路素子のうちの一方または両方を用いて、構成されてもよい。回路装置としてはIC(Integrated Circuit)などが用いられてもよく、回路素子としては抵抗あるいはキャパシターなどが用いられてもよい。
【0105】
ここで、プロセッサーは、例えば、CPUであってもよい。ただし、プロセッサーは、CPUに限定されるものではなく、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)等のような、各種のプロセッサーが用いられてもよい。また、プロセッサーは、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によるハードウェア回路であってもよい。また、プロセッサーは、例えば、複数のCPUにより構成されていてもよく、あるいは、複数のASICによるハードウェア回路により構成されていてもよい。また、プロセッサーは、例えば、複数のCPUと、複数のASICによるハードウェア回路と、の組み合わせにより構成されていてもよい。また、プロセッサーは、例えば、アナログ信号を処理するアンプ回路あるいはフィルター回路等のうちの1以上を含んでもよい。
【0106】
以上、この開示の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この開示の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0107】
1…入力装置、11…筐体、12…画面、13、14…レバー部、15…スピーカ、111…手、201…レバー部、211…操作レバー、212…プラスチックバネ部、213…ハウジング、221…磁気センサ取付部、222…磁気センサ基板取付スリット、
251、252…磁石、253、311、312…磁気センサ、313…A/D変換器、314…ディスプレイ、315…LED、316…無線モジュール、317…音出力部、318…振動部、319…CPU、321…発話用アンプ、322…スピーカ、331…振動用アンプ、332…振動素子、351…バッテリー、1011~1013…画面表示、2011…特性、A1…中心線
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