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  • 特開-ワーク処理装置及びワーク処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144463
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】ワーク処理装置及びワーク処理方法
(51)【国際特許分類】
   B24C 9/00 20060101AFI20231003BHJP
   B24C 3/26 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
B24C9/00 Z
B24C3/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051441
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】安藤 嘉信
(72)【発明者】
【氏名】山田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】家守 修一
(57)【要約】
【課題】加工後のワークの排出を確認できる技術を提供する。
【解決手段】ワーク処理装置は、複数のワークを処理する投射室を有するキャビネットと、投射室に投入された複数のワークに対して投射材を投射する投射機と、投射室を撮像して画像を生成する画像センサと、画像センサによって生成された画像であってワークが残存していない状態の投射室の画像である初期画像と、画像センサによって生成された画像であって複数のワークが投射室から排出される排出処理後における投射室の画像である検査画像とに基づいて、投射室の残品の有無に関する情報を出力する制御部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワークを処理する投射室を有するキャビネットと、
前記投射室に投入された前記複数のワークに対して投射材を投射する投射機と、
前記投射室を撮像して画像を生成する画像センサと、
前記画像センサによって生成された画像であってワークが残存していない状態の前記投射室の画像である初期画像と、前記画像センサによって生成された画像であって前記複数のワークが前記投射室から排出される排出処理後における前記投射室の画像である検査画像とに基づいて、前記投射室の残品の有無に関する情報を出力する制御部と、
を備える、ワーク処理装置。
【請求項2】
前記初期画像は、前記ワーク処理装置の初回起動時又はメンテナンス時において、前記画像センサによって前記投射室が撮像された画像である、請求項1に記載のワーク処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記初期画像と前記検査画像とを比較して前記投射室の残品の有無に関する情報を出力する、請求項1又は2に記載のワーク処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記初期画像と前記検査画像との差分情報に基づいて前記投射室の残品の有無に関する情報を出力する、請求項1~3の何れか一項に記載のワーク処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ワーク処理装置の稼働情報及び前記複数のワークの処理情報の少なくとも一方と、前記検査画像とを関連付けて記憶装置に記憶する、請求項1~4の何れか一項に記載のワーク処理装置。
【請求項6】
ワークが残存していない状態の投射室を撮像して初期画像を生成するステップと、
前記投射室で複数のワークに対して投射材を投射するステップと、
前記投射材が投射された前記複数のワークを前記投射室から排出するステップと、
前記排出するステップの後において、前記投射室を撮像して検査画像を生成するステップと、
前記初期画像と前記検査画像とに基づいて前記投射室の残品の有無に関する情報を出力するステップと、
を備える、ワーク処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワーク処理装置及びワーク処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数のワークをブラストによって研掃する研掃設備を開示する。研掃設備は、複数のワークを収容する回転ドラム、及び、砥粒投射装置を備える。回転ドラムは複数のワークを撹拌する。砥粒投射装置は、複数のワークの撹拌中において複数のワークに砥粒を投射して研掃する。回転ドラムは、研掃終了後に下向きに傾動し、研掃済みの複数のワークを排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-110642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の研掃設備は、回転ドラムごと傾動するため、複数のワークの全てを排出することができる機能を有する。しかしながら、この研掃設備は、全てのワークを完全に排出したことを確認することができない。本開示は、加工後のワークの排出を確認できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係るワーク処理装置は、キャビネット、投射機、画像センサ及び制御部を備える。キャビネットは、複数のワークを処理する投射室を有する。投射機は、投射室に投入された複数のワークに対して投射材を投射する。画像センサは、投射室を撮像して画像を生成する。制御部は、画像センサによって生成された画像であってワークが残存していない状態の投射室の画像である初期画像と、画像センサによって生成された画像であって複数のワークが投射室から排出される排出処理後における投射室の画像である検査画像とに基づいて、投射室の残品の有無に関する情報を出力する。
【0006】
このワーク処理装置によれば、投射室が撮像されて画像が生成される。そして、ワークが残存していない状態の投射室の画像である初期画像と、排出処理後における投射室の画像である検査画像とに基づいて、投射室の残品の有無に関する情報が出力される。このように、ワーク処理装置は、投射室の画像に基づいて投射室の残品の有無に関する情報を出力できるので、加工後のワークの排出を確認できる。
【0007】
一実施形態においては、初期画像は、ワーク処理装置の初回起動時又はメンテナンス時において、画像センサによって投射室が撮像された画像であってもよい。この場合、ワーク処理装置は、ワーク処理装置の初回起動時又はメンテナンス時における投射室の状態を基準として投射室の残品の有無に関する情報を出力できる。
【0008】
一実施形態においては、制御部は、初期画像と検査画像とを比較して投射室の残品の有無に関する情報を出力してもよい。この場合、ワーク処理装置は、比較結果に基づいて投射室の残品の有無に関する情報を出力できる。
【0009】
一実施形態においては、制御部は、初期画像と検査画像との差分情報に基づいて投射室の残品の有無に関する情報を出力してもよい。この場合、ワーク処理装置は、差分情報に基づいて投射室の残品の有無に関する情報を出力できる。
【0010】
一実施形態においては、制御部は、ワーク処理装置の稼働情報及び複数のワークの処理情報の少なくとも一方と、検査画像とを関連付けて記憶装置に記憶してもよい。この場合、ワーク処理装置は、検査画像からワーク処理装置の稼働情報及び複数のワークの処理情報の少なくとも一方を参照できるので、検査画像を製品品質の管理情報として利用できる。
【0011】
本開示の他の側面に係るワーク処理方法は、以下のステップを含む。
(1)ワークが残存していない状態の投射室を撮像して初期画像を生成するステップ。
(2)投射室で複数のワークに対して投射材を投射するステップ。
(3)投射材が投射された複数のワークを投射室から排出するステップ。
(4)排出するステップの後において、投射室を撮像して検査画像を生成するステップ。
(5)初期画像と検査画像とに基づいて投射室の残品の有無に関する情報を出力するステップ。
【0012】
このワーク処理方法によれば、上述したワーク処理装置と同一の効果を奏する。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、加工後のワークの排出を確認できる技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係るワーク処理装置の概要図である。
図2】一実施形態に係るワーク処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附す。
【0016】
(ワーク処理装置の構成)
図1は、一実施形態に係るワーク処理装置の概要図である。図1に示されるワーク処理装置1は、複数のワークWをブラスト加工する装置である。複数のワークWは、特に限定されないが、一例として複数の金属製品である。以下では、ワーク処理装置の一例として、いわゆるエプロン式のブラスト装置を説明する。
【0017】
図1に示されるように、ワーク処理装置1は、キャビネット2を備える。キャビネット2は、複数のワークWを処理する投射室Sを有する。投射室Sには、ワークWを撹拌させるためのエプロン3が配置される。エプロン3は、駆動ローラ3a、二つの従動ローラ3b,3c、一対のヘッドライナ3d、エプロンベルト3e(攪拌ベルト)を含む。
【0018】
駆動ローラ3aは、略円柱形状を有し、軸がキャビネット2の幅方向に沿って延びるようにキャビネット2の両側壁に回転可能に軸支される。この駆動ローラ3aは図示しないモータで回転可能に構成される。従動ローラ3bは、駆動ローラ3aの下方に配置され、従動ローラ3cは、従動ローラ3bの略同じ高さ位置に配置される。従動ローラ3b、3cは、略円柱形状を有し、軸を駆動ローラ3aの軸と平行に延びるようにキャビネット2の両側壁に回転可能に軸支される。一対のヘッドライナ3dは、外径が駆動ローラ3aと従動ローラ3bの間の距離とほぼ等しい長さを有する略円板形状を有する。一対のヘッドライナ3dは、キャビネット2の側壁にそれぞれ回転可能に軸支される。
【0019】
エプロンベルト3eは、無端ベルトである。エプロンベルト3eは、駆動ローラ3a、及び一対の従動ローラ3b,3cに巻回される。エプロンベルト3eの両側縁には、ヘッドライナ3dの外周部が当接される。エプロンベルト3eには、投射材がエプロンベルト3e上に留まることを回避するために、複数の貫通孔が形成される。エプロンベルト3eは、略L字型の無限軌道上を移動するように構成される。ショット処理時には、エプロンベルト3e上に複数のワークWが配置され、エプロンベルト3eが正転方向へ回転され、ワークがエプロンベルト3e上で攪拌される。エプロンベルト3eが逆転方向へ回転されることで、複数のワークWがキャビネット2から搬出される。
【0020】
キャビネット2の上部には、投射機4が設けられる。投射機4は、投射室Sに投入された複数のワークWに対して投射材を投射する。投射機4は、一例として遠心式の投射ユニットである。インペラが回転することによって、鋼球等の投射材が投射室S内の複数のワークWに向けて投射され、撹拌中の複数のワークWにブラスト加工が施される。投射機4によって投射室Sに投射された投射材は、投射室Sの下方に落下する。落下した投射材は、水平方向に延びるスクリュコンベア5によってキャビネット2に並設されたバケットエレベータ6に搬送される。バケットエレベータ6は、垂直方向に投射材を搬送する。搬送された投射材は、キャビネット2の上部に設けられたセパレータ7に供給される。セパレータ7は、風力分級によって投射材と不純物とを分離する。不純物は、集塵機8に吸引される。投射材は、投射機4に供給される。このように、投射材は、循環使用される。
【0021】
キャビネット2には、エプロン3から搬出された複数のワークWを搬出するための開閉可能な扉(不図示)が設けられる。エプロンベルト3eが逆転方向へ回転すると、上述した扉を介して複数のワークWが搬出コンベア9へ載置される。搬出コンベア9は、加工済みの複数のワークWを、後工程が実施されるエリアへ搬送する。
【0022】
ワーク処理装置1は、投射室SにワークWを投入するために、バケット10及びバケットローダ11を備える。バケットローダ11は、モータ等により昇降可能に構成され、キャビネット2の開閉可能な蓋2aの位置に、未加工の複数のワークWを搬送する。このように、未加工のワークWはバケットローダ11によって投射室Sに投入される。
【0023】
上述したワーク処理装置1の各要素は、コントローラ12によって制御される。コントローラ12は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)として構成される。コントローラ12は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと、RAM(RandomAccess Memory)及びROM(Read Only Memory)などのメモリと、タッチパネル、マウス、キーボード、ディスプレイなどの入出力装置と、ネットワークカードなどの通信装置とを含むコンピュータシステムとして構成されてもよい。コントローラ12は、メモリに記憶されているコンピュータプログラムに基づくプロセッサの制御のもとで各ハードウェアを動作させることにより、コントローラ12の機能を実現する。
【0024】
ワーク処理装置1は、複数のワークW全てが投射室Sから搬出されたことを確認するために、カメラ13(画像センサの一例)及び制御装置14を備える。カメラ13は、投射室Sを撮像して画像を生成する画像センサである。カメラ13は、画角に投射室Sが収まるように、キャビネット2に並設されたフレーム15に支持される。カメラ13は、例えば、キャビネット2の蓋2aが開となるタイミングで、投射室Sを撮像する。
【0025】
制御装置14は、上述したコントローラ12と同様に、PLCとして構成されてもよいし、コンピュータシステムとして構成されてもよい。制御装置14は、機能的には、制御部141及び記憶装置142を備える。制御部141は、カメラ13と通信可能に構成される。制御部141は、カメラ13の撮像タイミングを制御するとともにカメラ13の撮像パラメータを変更可能に構成される。例えば、制御部141は、撮像対象の製品に応じてカメラパラメータを変更してもよい。これにより、後述する投射室Sの残品の有無に関する情報の精度を向上させることができる。
【0026】
記憶装置142は、ワークが残存していないことを判断する基準となる画像(初期画像)を予め記憶する。初期画像は、カメラ13によって生成された画像であってワークWが残存していない状態の投射室Sの画像である。例えば、初期画像は、ワーク処理装置1の初回起動時又はメンテナンス時において、カメラ13によって投射室Sが撮像されることによって取得される。
【0027】
制御部141は、カメラ13から画像(検査画像)を取得する。検査画像は、カメラ13によって生成された画像であって、複数のワークWが投射室Sから排出される排出処理後における投射室Sの画像である。制御部141は、記憶装置142を参照して取得された初期画像と、カメラ13から取得された検査画像と、に基づいて、投射室Sの残品の有無に関する情報を出力する。残品の有無に関する情報とは、複数のワークWが投射室Sに残っているか否かを示す情報である。情報は、文字、画像、映像、音、振動などであってもよく、情報の形態については特に限定されない。情報の出力とは、データを認識可能な状態にする態様のみならず、記憶媒体へ出力して記憶する態様も含む。
【0028】
制御部141は、複数の初期画像を機械学習し、学習結果とカメラ13から取得された検査画像とに基づいて投射室Sの残品の有無に関する情報を出力してもよい。例えば、制御部141は、学習結果に基づいて、検査画像が初期画像と類似していると判定した場合には、複数のワークWが投射室Sに残存していないことを示す情報を出力する。
【0029】
制御部141は、初期画像と検査画像とを比較して投射室の残品の有無に関する情報を出力してもよい。制御部141は、例えば、両者の画像の特徴点を比較して一致度を算出し、算出された一致度に基づいて複数のワークWが投射室Sに残っているか否かを示す情報を出力してもよい。例えば、制御部141は、一致度が閾値以上である場合には、複数のワークWが投射室Sに残存していないことを示す情報を出力する。
【0030】
制御部141は、初期画像と検査画像との差分情報に基づいて投射室Sの残品の有無に関する情報を出力してもよい。制御部141は、例えば、初期画像の画素値と検査画像の画素値との差分を画素値とする差分画像を生成し、所定閾値以上の画素値の領域が製品であるか否かを判定することにより、複数のワークWが投射室Sに残っているか否かを示す情報を出力してもよい。例えば、制御部141は、所定閾値以上の画素値の領域が存在しない場合には、複数のワークWが投射室Sに残存していないことを示す情報を出力する。
【0031】
上述したとおり、エプロンベルト3eには複数の小孔が設けられており、かつ、接合部材などが設けられていることがある。このため、エプロンベルト3eの回転位置に応じてエプロンベルト3eの外観が変化するおそれがある。制御部141は、複数の初期画像に基づいて、エプロンベルト3eの回転位置に応じた見え方(明るさ、色)を学習してもよい。制御部141は、エプロンベルト3eの回転位置に応じて検査画像を補正し、補正された検査画像に対して上述した判定手法の少なくとも一つを適用し、複数のワークWが投射室Sに残存しているか否かを判定してもよい。
【0032】
制御部141は、初期画像と検査画像とに基づいて、投射室Sを画成する各部品の摩耗を判定することもできる。投射室Sに残品がある場合の画像変化と、摩耗による画像変化とは特徴量が異なる。制御部141は、画素値の変化の特徴量に基づいて、投射室Sを画成する各部品の摩耗を判定する。これにより、投射室Sを画成する各部品の摩耗の監視及び交換時期の早期特定が可能となり、製品不良をもたらす機器の異常が予防される。
【0033】
制御部141は、カメラ13によって生成された画像を記憶装置142に記憶してもよい。制御部141は、コントローラ12と通信可能に構成され、コントローラ12からワーク処理装置1の稼働情報及び複数のワークWの処理情報を取得できる。稼働情報は、一例として、稼働時間、インペラ又はコンベアの電流値、インペラの回転速度、コンベアの搬送速度などである。処理情報は、一例として、ワークWの処理時間、外気温度、湿度などである。制御部141は、稼働情報及び処理情報の少なくとも一方と、検査画像とを関連付けて記憶装置142に記憶する。これにより、ワーク処理装置1は、ユーザにトレーサビリティ機能を提供できる。また、ワーク処理装置1は、品質管理だけでなく、類似製品処理時の加工の参考データを提供できる。
【0034】
(ワーク処理方法)
図2は、ワーク処理装置の動作を示すフローチャートである。図2に示されるワーク処理方法は、ワーク処理装置1によって実行される。ワーク処理装置1は、ワーク処理方法の実行前に初期画像を取得しているものとする。
【0035】
最初に、作業員などは、ワーク準備処理(ステップS10)として、複数のワークWをバケット10に投入する。
【0036】
続いて、ワーク処理装置1のコントローラ12は、キャビネット開処理(ステップS12)として、キャビネット2の蓋2aを開状態とする。
【0037】
続いて、コントローラ12は、ワーク投入処理(ステップS14)として、バケットローダ11にバケット10を搬送させ、バケット10をワーク投入位置に配置させる。そして、コントローラ12は、バケットローダ11にバケット10を傾斜させて、投射室Sに複数のワークWを投入する。
【0038】
続いて、コントローラ12は、キャビネット閉処理(ステップS16)として、キャビネット2の蓋2aを閉状態とする。これにより、キャビネット2の投射室Sは密閉状態となる。
【0039】
続いて、コントローラ12は、ブラスト加工処理(ステップS18)として、複数のワークWに投射材を投射させるブラスト加工を実施する。最初に、コントローラ12は、エプロン3を運転(正転)させる。これにより、複数のワークWの撹拌が開始される。それと同時に、コントローラ12は、投射機4、スクリュコンベア5、バケットエレベータ6及び集塵機8を駆動させることにより、投射材が投射機4に供給される。投射機4は、撹拌中の複数のワークWに向けて投射材を投射する。これにより、複数のワークWが偏り無くブラスト加工される。さらに、スクリュコンベア5、バケットエレベータ6及び集塵機8は、投射材を回収し、循環させる。
【0040】
ブラスト加工処理(ステップS18)が終了すると、コントローラ12は、投射材排出処理(ステップS20)として、投射機4への投射材の供給及び投射機4の動作を停止させる。そして、コントローラ12は、所定時間、エプロンベルト3eを正転させ、エプロンベルト3e上に存在する投射材を、エプロンベルト3eの小孔から排出(落下)させる。
【0041】
続いて、コントローラ12は、ワーク排出処理(ステップS22)として、キャビネット2の蓋2aを開放し、エプロンベルト3eを逆転方向へ回転させて、複数のワークWを搬出コンベア9へ排出する。搬出コンベア9は、加工済みの複数のワークWを、後工程が実施されるエリアへ搬送を開始してもよい。
【0042】
続いて、制御装置14の制御部141は、撮像処理(ステップS24)として、カメラ13に投射室Sを撮像させる。
【0043】
続いて、制御装置14の制御部141は、判定処理(ステップS26)として、投射室Sに残品がないことを判定する。制御部141は、初期画像と検査画像とに基づいて残品がないことを判定する。残品があると判定された場合(ステップS26:NO)、制御装置14は、停止処理(ステップS28)として、コントローラ12へ以降のブラスト加工処理を停止するように信号を出力する。これにより、以降のブラスト加工処理が停止される。残品がないと判定された場合(ステップS26:YES)、及び、停止処理(ステップS28)が終了した場合、図2に示されるフローチャートが終了する。
【0044】
コントローラ12は、図2に示される一連の処理を1バッチとして繰り返し動作する。作業員などは、次のバッチを行う際にはブラスト処理で消失した投射材(不足分)をキャビネット2に供給してもよい。
【0045】
(実施形態のまとめ)
ワーク処理装置1によれば、投射室Sが撮像されて画像が生成される。そして、ワークが残存していない状態の投射室Sの画像である初期画像と、排出処理後における投射室Sの画像である検査画像とに基づいて、投射室Sの残品の有無に関する情報が出力される。このように、ワーク処理装置1は、投射室Sの画像に基づいて投射室Sの残品の有無に関する情報を出力できるので、加工後のワークの排出を確認できる。従来のワーク処理装置によれば、複数のワークWをブラスト加工する場合、排出処理後における投射室Sに複数のワークWの一部が残存するおそれがある。残品が存在する状態で次のバッチを実行した場合、製品個数が予定と相違するだけでなく、残品には過剰にブラスト加工が施されるため、製品の品質にばらつきが生じるおそれがある。連続で同一仕様の製品を複数処理する場合においては、加工済みのワークが混入したことを後で判断することは困難である。これに対して、ワーク処理装置1によれば、初期画像と検査画像とに基づいて、投射室Sにワークが残存していないことを確認できる。このため、ワーク処理装置1は、製品の品質が低下することを回避できる。
【0046】
以上、例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。
【0047】
ワーク処理装置1は、いわゆるエプロン式のブラスト装置に限定されず、ドラム式のブラスト装置であってもよい。ワーク処理装置1は、複数のワークWをピーニング加工する装置であってもよい。
【0048】
カメラ13は、一つに限定されない。つまり、ワーク処理装置1は、複数の画像センサを備えてもよい。ワーク処理装置1は、複数の画像センサの結果に基づいて投射室の残品の有無に関する情報を出力することにより、単一の画像センサを用いる場合と比べて、投射室Sの残品の有無に関する情報の精度を向上できる。
【0049】
ワーク処理装置1は、当日の操業初回である場合には、図2に示されるワーク準備処理(ステップS10)の直前において、検査画像をカメラ13で生成して、投射室Sの残品の有無を判定してもよい。これにより、ワーク処理装置1は、当日最初にワークを投入する前に、投射室Sに残品がないことを確認できる。
【0050】
ワーク処理装置1は、トレーサビリティ機能を強化するために、図2に示されるワーク投入処理(ステップS14)の直後に投射室Sを撮影してもよい。これにより、加工直前の複数のワークWの状態を事後的に確認できる。あるいは、ワーク処理装置1は、トレーサビリティ機能を強化するために、図2に示されるワーク排出処理(ステップS22)の直前に投射室Sを撮影してもよい。これにより、加工直後の複数のワークWの状態を事後的に確認できる。
【符号の説明】
【0051】
1…ワーク処理装置、2…キャビネット、3…エプロン、4…投射機、13…カメラ(画像センサの一例)、14…制御装置、141…制御部、142…記憶装置、S…投射室。
図1
図2