(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144484
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】乗物の電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/296 20210101AFI20231003BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20231003BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20231003BHJP
【FI】
H01M50/296
H01M50/249
H01M50/209
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051474
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 義基
(72)【発明者】
【氏名】竹内 博
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA18
5H040AA19
5H040AA20
5H040AS05
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY05
5H040CC14
5H040DD06
5H040DD22
5H040JJ03
(57)【要約】
【課題】簡素な構成でコネクタの損傷を防止する。
【解決手段】乗物の電池パックは、バッテリセルと、前記バッテリセルを収容するケーシングと、前記ケーシングの外面から外方に突出した少なくとも1つのコネクタと、を備える。前記ケーシングは、前記外面から外方に突出した少なくとも1つの突起を含む。前記突起は、前記コネクタの突出方向において前記コネクタを越えて突出している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリセルと、
前記バッテリセルを収容するケーシングと、
前記ケーシングの外面から外方に突出した少なくとも1つのコネクタと、を備え、
前記ケーシングは、前記外面から外方に突出した少なくとも1つの突起を含み、
前記突起は、前記コネクタの突出方向において前記コネクタを越えて突出している、乗物の電池パック。
【請求項2】
前記少なくともの1つの突起は、前記コネクタの周囲に部分的に配置されている、請求項1に記載の乗物の電池パック。
【請求項3】
前記少なくとも1つのコネクタは、互いに間隔をあけて配置された2つのコネクタを含み、
前記少なくとも1つの突起は、前記2つのコネクタの間に配置されている、請求項1又は2に記載の乗物の電池パック。
【請求項4】
前記2つのコネクタは、前記バッテリセルに電気的に接続された正極コネクタ及び負極コネクタである、請求項3に記載の乗物の電池パック。
【請求項5】
前記突起は、前記突出方向から見た直交二方向において前記コネクタに隙間をあけて隣り合っている、請求項1乃至4のいずれか1項に乗物の電池パック。
【請求項6】
前記突起は、前記突出方向から見てL字状の部分を含む、請求項5に記載の乗物の電池パック。
【請求項7】
前記コネクタは、前記ケーシングの前記外面の隅に配置され、
前記突起の少なくとも一部は、前記突出方向から見て、前記コネクタよりも前記ケーシングの外側に配置されている、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の乗物の電池パック。
【請求項8】
前記突起は、前記突出方向に直交する一方向から見て前記コネクタを覆っている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の乗物の電池パック。
【請求項9】
前記ケーシング及び前記突起は、ワンピースを構成している、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の乗物の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗物の電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、乗物に搭載される電池パックであって、前記乗物の走行駆動源となる電気モータに供給される電力を蓄える電池パックが開示されている。電池パックは、複数のバッテリセルと、前記複数のバッテリセルを収容するケーシングと、を備える。前記ケーシングには、前記バッテリセルに電気的に接続されたコネクタが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記コネクタは、前記ケーシングの外面から外方に突出している。そのため、作業者が電池パックをハンドリング中に不注意で電池パックを地面に落下させた場合等には、コネクタが損傷する可能性がある。
【0005】
そこで本開示の一態様は、簡素な構成でコネクタの損傷を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る乗物の電池パックは、バッテリセルと、前記バッテリセルを収容するケーシングと、前記ケーシングの外面から外方に突出した少なくとも1つのコネクタと、を備える。前記ケーシングは、前記外面から外方に突出した少なくとも1つの突起を含む。前記突起は、前記コネクタの突出方向において前記コネクタを越えて突出している。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、コネクタがケーシングの外面から外方に突出した構成であっても、電池パックを地面に落下させた場合にケーシングの突起が地面に当たってコネクタが地面に当たることを防止できる。よって、簡素な構成でコネクタの損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る鞍乗車両の側面図である。
【
図2】
図2は、
図1の電池パックの後上方から見た斜視図である。
【
図7】
図7は、
図2のコネクタにケーブルコネクタが嵌合した状態を示す断面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る電池パックの平面図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態に係る電池パックの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る鞍乗車両1の側面図である。
図1に示すように、鞍乗車両1は、例えば自動二輪車であるが自動三輪車等であってもよい。鞍乗車両1は、内燃エンジン及び電気モータを備えたハイブリッド車両であるが内燃エンジンを備えない電動車両であってもよい。車両1は、鞍乗車両ではない四輪車でもよい。鞍乗車両1は、前輪2(従動輪)と、後輪3(駆動輪)と、車体フレーム4と、前輪2を車体フレーム4の前部に接続する前サスペンション5と、後輪3を車体フレーム4の後部に接続する後サスペンションと、を備える。前サスペンション5が接続されたブラケット6には、ハンドル7に接続される操舵軸が接続される。当該操舵軸は、車体フレーム4のヘッドパイプ4aに角変位可能に支持される。
【0011】
車体フレーム4は、ヘッドパイプ4aから後方に延びるメインフレーム4bと、メインフレーム4bの上後部から後方に延びるシート支持フレーム4cと、メインフレーム4bの下部からシート支持フレーム4cに向けて延びてシート支持フレーム4cを下方から支持する補助フレーム4dと、を有する。ハンドル7の後側には、燃料タンク8が配置され、燃料タンク8の後側に運転者が着座するシート9が配置されている。燃料タンク8は、メインフレーム4bに支持されている。シート9は、シート支持フレーム4cに支持されている。メインフレーム4bには、走行動力源となる内燃エンジンEが搭載されている。エンジンEの近傍には、走行動力源となる電気モータMが配置されている。鞍乗車両1は、パラレルハイブリッド車両であるが、シリーズハイブリッド車両であってもよい。
【0012】
エンジンEの気筒Ebの下部には、クランクケース10が配置されている。クランクケース10は、気筒Ebよりも後方に延びている。エンジンEの気筒Ebの後方で且つクランクケース10の上方には、後輪3に伝達される駆動力を発生する電気モータMが配置されている。電気モータMは、クランクケース10を介してメインフレーム4bに支持されている。電動モータMには、インバータ12が一体的に設けられているが、電動モータMから離れた位置にインバータが配置されてもよい。
【0013】
クランクケース10の内部には、変速機11が配置されている。変速機11は、入力軸11aと、出力軸11bと、入力軸11aから出力軸11bに回転速度を変更して回転を伝達する変速ギヤと、を備える。入力軸11aには、エンジンEのクランク軸Eaからメインクラッチを介して動力が伝達される。変速機11の入力軸11aには、電気モータMから動力伝達機構(例えば、ギヤ、ベルト又はチェーン)を介して動力が伝達される。車体フレーム4には、後輪3を支持して前後方向に延びるスイングアーム13が角変位可能に支持されている。変速機11の出力軸11bの回転動力は、出力伝達部材14(例えば、チェーン、ベルト又はドライブシャフト)を介して後輪3に伝達される。
【0014】
電気モータMの後方かつシート9の下側には、シート支持フレーム4cに支持された電池パック15が配置されている。電池パック15は、鞍乗車両1の外部に露出している。電池パック15は、インバータ12を介して電気モータMに供給される電力を蓄える。電池パック15の後方には、シート支持フレーム4cに支持されたDCDCコンバータ16が配置されている。DCDCコンバータ16は、電池パック15から出力された電力の電圧を下げる。
【0015】
DCDCコンバータ16の後方には、シート支持フレーム4cに支持された補助バッテリ17が配置されている。補助バッテリ17には、電池パック15からの電力がDCDCコンバータ16で降圧されて供給される。即ち、電池パック15が走行駆動源である電気モータMを駆動する高電圧の電力を出力する一方、補助バッテリ17が電装品(例えば、ECU等)に供給される低電圧の電力を出力する。
【0016】
図2は、
図1の電池パック15の後上方から見た斜視図である。
図2に示すように、電池パック15は、実質的に直方体のケーシング20を備える。ケーシング20は、バッテリセル収容空間S1を画定するケーシング本体21と、電装品収容空間S2を画定するカバー22と、を備える。ケーシング本体21は、六面体の一面が開口した形状を有する。カバー22は、凹形状を有する。カバー22は、ケーシング本体21の開口を閉鎖してケーシング本体21に締結具B(例えば、ボルト)によって着脱可能に固定されている。
【0017】
ケーシング20には、バッテリセル集合体31及び電装品集合体32を有する内部ユニット30が収容されている。バッテリセル集合体31は、互いに電気的に接続された複数のバッテリセルの集まりである。電装品集合体32は、バッテリセル集合体31に電気的に接続された複数の電装品(例えば、リレー、ヒューズ、電流センサ等)の集まりである。電装品集合体32は、バッテリセル集合体31に固定されている。バッテリセル集合体31は、ケーシング本体21のバッテリセル収容空間S1に配置されている。ケーシング本体21の側壁には、放熱フィンが設けられると好適である。電装品集合体32は、カバー22の電装品収容空間S2に配置されている。
【0018】
カバー22には、内部ユニット30に電気的に接続された正極コネクタ23及び負極コネクタ24が取り付けられている。正極コネクタ23及び負極コネクタ24は、ケーシング20とは別体である。正極コネクタ23は、ケーシング20(のカバー22)の外面22aの隅に配置されている。負極コネクタ24は、ケーシング20(のカバー22)の外面22aの他の隅に配置されている。なお、正極コネクタ23及び負極コネクタ24は、ケーシング本体21に設けられていてもよい。正極コネクタ23及び負極コネクタ24は、互いに同構造であるため、以下、代表して正極コネクタ23について説明する。
【0019】
図3は、
図2の電池パック15の正極コネクタ23の断面図である。
図3に示すように、コネクタ23は、カバー22の上側の外面22aから上方に突出している。コネクタ23は、カバー22の上側の外面22aよりも上方に突出する電極端子25と、カバー22の上側の外面22aよりも上方に突出して電極端子25を囲むコネクタハウジング26と、を有する。具体的には、電極端子25は、円柱状である。コネクタハウジング26は、周壁部26a、底壁部26b、フランジ部26c及び保持部26dを有する。
【0020】
周壁部26aは、筒形状(例えば、円筒形状)を有し、端子空間S3を画定している。周壁部26aは、端子空間S3を上方に開放する開口26eを有する。底壁部26bは、周壁部26aの下端開口を閉鎖している。底壁部26bは、通過孔26fを有する。電極端子25は、通過孔26fを通過して端子空間S3に配置されている。電極端子25は、底壁部26bに係止されている。フランジ部26cは、周壁部26aのうち底壁部26b側の外周面から突出している。フランジ部26cは、カバー22の上側の外面22aに載せられた状態でカバー22にネジ27で固定されている。
【0021】
保持部26dは、筒形状(例えば円筒形状)を有し、電線28が挿入されている。電線28が保持部26dに保持された状態で、電線28の導体が電極端子25に接続されている。保持部26dは、カバー22の挿通孔22bに嵌合している。電線28は、電装品集合体32を介してバッテリセル集合体31に電気的に接続されている。即ち、正極コネクタ23(の電極端子25)は、電線28を介してバッテリセル集合体31に電気的に接続されている。
【0022】
図4は、
図2の電池パック15の平面図である。
図5は、
図2の電池パック15の側面図である。
図6は、
図2の電池パック15の背面図である。
図2乃至6に示すように、カバー22は、その上側の外面22aから上方に突出した一対の突起40,41を有する。突起40,41の突出方向は、コネクタ23,24の突出方向Pと同じである。突起40は正極コネクタ23に隣接し、突起41は負極コネクタ24に隣接している。即ち、突起40は、負極コネクタ24よりも正極コネクタ23の近くに配置され、突起41は、正極コネクタ23よりも負極コネクタ24の近くに配置されている。正極コネクタ23及び負極コネクタ24の突出方向Pは互いに同じであるが、互いに異なっていてもよい。
【0023】
突起40は、正極コネクタ23の突出方向Pにおいて正極コネクタ23を越えて突出している。突起41は、負極コネクタ24の突出方向Pにおいて負極コネクタ24を越えて突出している。カバー22の外面22aからの突起40の突出寸法H1は、カバー22の外面22aからの正極コネクタ23の突出寸法H2よりも大きい。カバー22の外面22aからの突起41の突出寸法H1は、カバー22の外面22aからの負極コネクタ24の突出寸法H2よりも大きい。突起40,41は、互いに間隔をあけて配置された正極コネクタ23と負極コネクタ24との間に配置されている。突起40及び突起41は、互いに間隔をあけて配置されている。
【0024】
突起40及び突起41は、互いに同構成であるため、以下、代表して突起40について説明する。突起40は、カバー22の外面22aから一体的に突出している。即ち、突起40及び外面22aは、一体成形されたワンピースを構成している。突起40は、コネクタハウジング26のフランジ部26cを側方から覆うように突出している。
【0025】
突起40は、コネクタ23の周囲に部分的に配置されている。突起40は、突出方向Pから見てコネクタ23の周囲全体を囲まないようにコネクタ23の周囲の一部を側方に開放している。即ち、突起40には、突出方向Pに直交する方向にコネクタ23を開放させる開口が形成されている。突起40は、突出方向Pから見た直交二方向においてコネクタ23に隙間をあけて隣り合っている。突起40は、板状の壁である。突起40は、突出方向Pから見てL字形状を有する。即ち、突起40は、突出方向Pに直交する一方向からコネクタ23を覆う第1壁部40aと、突出方向Pに直交する他の方向からコネクタ23を覆い且つ第1壁部40aに直交する第2壁部40bと、を有する。
【0026】
第1壁部40aと第2壁部40bとは、互いに繋がっているが互いに離れていてもよい。即ち、突起40は、複数の壁に分割されてもよい。突起40は、コネクタ23の周囲のうち180°以下の領域のみに配置されている。突起40は、突出方向Pから見てコネクタハウジング26のフランジ部26cの外形に沿って配置されている。コネクタハウジング26のフランジ部26cは、突出方向Pから見て四角形状であるが、他の形状(例えば、円形状)であってもよい。
【0027】
突起40の一部は、突出方向Pから見て、コネクタ23よりもケーシング20の外側に配置されている。具体的には、突起40の第1壁部40aは、突出方向Pから見て、ケーシング20の外縁とコネクタ23との間に配置されている。突起40の第1壁部40aは、コネクタ23及び第1壁部40aの並び方向から見て(例えば、
図6の背面視において)、コネクタ23と重なっており、より具体的にはコネクタ23を覆い隠している。なお、第1壁部40aは、コネクタ23及び第1壁部40aの並び方向から見てコネクタ23と部分的に重なっていてもよい。
【0028】
ケーシング20の外面上の任意の点と突起40の突出端の任意の点とを通過するあらゆる仮想平面のうち、コネクタ23との距離が最も近くなる仮想平面G(
図5参照)は、コネクタ23から外方に離れている。よって、仮想平面Gを平坦な地面であると仮定すると、あらゆる姿勢において電池パック15に接触した地面がコネクタ23に当たることがない。
【0029】
突起40の第2壁部40bは、正極コネクタ23と負極コネクタ24との間に配置されている。コネクタ23及び第2壁部40bの並び方向は、2つのコネクタ23,24の配列方向Qと同じである。第2壁部40bは、配列方向Qから見て(例えば、
図5の側面視において)、コネクタ23と重なっており、より具体的にはコネクタ23と部分的に重なっている。なお、第2壁部40bは、配列方向Qから見てコネクタ23と全体的に重なっていてもよい。
【0030】
正極コネクタ23には正極ケーブルコネクタ50が着脱可能に嵌合し、負極コネクタ24には負極ケーブルコネクタ51が着脱可能に嵌合している。正極ケーブルコネクタ50は電気ケーブル53の端部に結合され、負極ケーブルコネクタ51は電気ケーブル54の端部に結合されている。電気ケーブル53,54は、インバータ12(
図1参照)に電気的に接続されている。正極ケーブルコネクタ50及び負極ケーブルコネクタ51は、互いに同構造であるため、以下、代表して正極ケーブルコネクタ50について説明する。
【0031】
ケーブルコネクタ50はL形コネクタであり、電気ケーブル53は突出方向Pに直交する方向に延びている。コネクタ23に対するケーブルコネクタ50の嵌合方向は、突出方向Pと一致している。ケーブルコネクタ50は、コネクタ23に嵌合する嵌合部50aと、電気ケーブル53を保持する保持部50bと、を有する。嵌合部50aの外周面は、円筒状である。保持部50bは、嵌合部50aに直交する方向に嵌合部50aから突出している。
【0032】
ケーブルコネクタ50がコネクタ23に嵌合された状態において、保持部50b及び電気ケーブル53は、突出方向Pに直交する方向から見て突起40と重なる。即ち、ケーブルコネクタ50がコネクタ23に嵌合された状態において、突出方向Pにおける保持部50bの位置は、突出方向Pにおける突起40の位置と重なる。
【0033】
突出方向Pに直交する方向において、電極端子25の軸線Xから嵌合部50aの外周面までの距離は、電極端子25の軸線Xから突起40までの距離よりも短い。突出方向Pに直交する方向において、保持部50bの外面のうち電極端子25の軸線Xから最も遠い箇所から軸線Xまでの距離は、電極端子25の軸線Xから突起40までの距離よりも長い。
【0034】
ケーブルコネクタ50の保持部50bは、コネクタ23の周囲における突起40の存在しない領域を通っている。ケーブルコネクタ50から電気ケーブル53が延びる方向には、コネクタ23から見て突起40が存在していない。ケーブルコネクタ50は、コネクタ23に嵌合された状態において、コネクタ23に対して電極端子25の軸線X周りに回動自在である。
【0035】
図7は、
図2のコネクタ23にケーブルコネクタ50が嵌合した状態を示す断面図である。
図7に示すように、ケーブルコネクタ50は、コネクタハウジング60と、コネクタハウジング60に収容された電極端子61と、を有する。ケーブルコネクタ50のコネクタハウジング60は、コネクタ23のコネクタハウジング26の周壁部26aに外嵌される。電極端子61は、円筒形状を有する。電極端子61は、コネクタ23におけるコネクタハウジング26の周壁部26aと電極端子25との間の空間に挿入される。ケーブルコネクタ50がコネクタ23に嵌合した状態において、ケーブルコネクタ50はコネクタ23に対して電極端子25周りに回動可能である。ケーブルコネクタ50は、コネクタ23から離脱するのを防止するロック構造を有する。
【0036】
以上に説明した構成によれば、コネクタ23,24がケーシング20の外面22aから外方に突出した構成であっても、電池パック15を地面に落下させた場合に、ケーシング20の突起40,41が地面に当たってコネクタ23,24が地面に当たることを防止できる。よって、簡素な構成でコネクタ23,24の損傷を防止することができる。
【0037】
突起40(41)は、コネクタ23(24)を完全に囲まないようにコネクタ23(24)の周囲に部分的に配置される。よって、突起40(41)とコネクタ23(24)との間の空間に埃や水が溜まることを防止できる。
【0038】
突起40,41は、2つのコネクタ23,24の間に配置されている。よって、突起40,41によって2つのコネクタ23,24を保護できる。
【0039】
突起40,41の両側の2つのコネクタ23,24は、バッテリセル集合体31に電気的に接続された正極コネクタ23及び負極コネクタ24である。よって、突起40,41によって正極コネクタ23と負極コネクタ24と間の短絡が発生するのを防止できる。
【0040】
突起40(41)は、突出方向Pから見た直交二方向においてコネクタ23(24)に隙間をあけて隣り合っている。即ち、突起40(41)は、突出方向Pから見た直交二方向においてコネクタ23(24)を覆っている。よって、電池パック15が障害物と衝突方向が定まっていない場合でも、コネクタ23,24を好適に保護できる。
【0041】
突起40,41は、突出方向Pから見てL字形状を有する。よって、突起40,41の強度を高めることができる。また、電池パック15のコネクタ23,24に嵌合するケーブルコネクタ50,51の脱着作業を容易にできると共に、ケーブルコネクタ50,51から延びる電気ケーブル53,54の配線自由度を高めることができる。
【0042】
突起40(41)の第1壁部40aは、ケーシング20の外面22aの隅に配置されたコネクタ23よりもケーシング20の外側に配置されている。よって、突起40(41)がコネクタ23(24)よりもケーシング20の内側に配置される場合に比べて、突起40(41)の高さを抑えながらコネクタ23(24)を保護できる。
【0043】
突起40(41)は突出方向Pに直交する一方向から見てコネクタ23(24)を覆っているので、コネクタ23(24)を好適に保護できる。
【0044】
ケーシング20のカバー22及び突起40,41は、一体成形されたワンピースを構成している。よって、電池パック15の組立工数の増加を防止できる。
【0045】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態に係る電池パック115の平面図である。なお、第1実施形態と共通する構成については同一符号を付して説明を省略する。
図8に示すように、第2実施形態の突起140の形状は、第1実施形態の突起40の形状とは異なる。電池パック115のケーシング120(のカバー122)は、その外面222aから突出し、コネクタ23の突出方向Pから見て馬蹄形状の突起140を有する。突起140は、板状の壁である。
【0046】
具体的には、突起140は、突出方向Pに直交する一方向(例えば、後方)からコネクタ23を覆う第1壁部40aと、突出方向Pに直交する他の方向(例えば、一側方)からコネクタ23を覆って第1壁部40aに直交する第2壁部40bと、突出方向Pに直交する更に別の方向(例えば、他側方)からコネクタ23を覆って第1壁部40aに直交する第3壁部140bと、を有する。第1壁部40a及び第2壁部40bは、突出方向Pから見てL字形状を有し、第1壁部40a及び第3壁部140bは、突出方向Pから見てL字形状を有する。即ち、突起140は、L字部分を有する。ケーブルコネクタ50は、突出方向Pから見て馬蹄形状の突起140の開口を通っている。
【0047】
これによれば、突起140がコネクタ23を三方向から覆うため、より好適にコネクタ23の損傷を防止することができる。また、突起140が2か所の屈曲部を有するため、突起140の強度を高めることができる。なお、他の構成は前述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0048】
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態に係る電池パック215の平面図である。なお、第1実施形態と共通する構成については同一符号を付して説明を省略する。
図9に示すように、第3実施形態の突起240の形状は、第1及び第2実施形態の突起40,140の形状とは異なる。電池パック215のケーシング220(のカバー222)は、その外面222aから突出した複数のピン状の突起240を有する。具体的には、3つの突起240は、突出方向Pに直交する三方向においてコネクタ23に隣接している。ケーブルコネクタ50及び電気ケーブル53は、突出方向Pから見て、複数の突起240のうち任意の一対の突起240の間の空間のうち最も広い空間を通っている。
【0049】
これによれば、コネクタ23を外部へ十分に開放をしながらコネクタ23の損傷を防止することができる。なお、突起240は、円柱状のものを例示したが、それに限られず他の形状(例えば、四角柱)でもよい。1つのコネクタ23に対応する突起240の数は、3つに限られず、3つ未満でも4つ以上でもよい。また、他の構成は前述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0050】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、その構成を変更、追加、又は削除することができる。例えば、コネクタ23,24の突出方向Pは、上方向に限られず、横方向又は下方向でもよい。その場合、突起40,140,240の突出方向も、横方向又は下方向となる。突起40,140,240が保護するコネクタは、電力供給用のコネクタに限られず、通信用のコネクタでもよい。通信用のコネクタは、正極コネクタ23と負極コネクタ24との間に配置されてもよく、突起40と突起41との間に配置されてもよい。
【0051】
前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。例えば、1つの実施形態中の一部の構成又は方法を他の実施形態に適用してもよく、実施形態中の一部の構成は、その実施形態中の他の構成から分離して任意に抽出可能である。添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1 鞍乗車両
15,115,215 電池パック
20,120,220 ケーシング
21 ケーシング本体
22,122,222 カバー
22a,122a,222a 外面
23 正極コネクタ
24 負極コネクタ
31 バッテリセル集合体
40 突起
41,140,240 突起
P 突出方向