(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144486
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】光照射装置
(51)【国際特許分類】
F21V 33/00 20060101AFI20231003BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20231003BHJP
F24F 8/22 20210101ALI20231003BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20231003BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231003BHJP
F21Y 103/00 20160101ALN20231003BHJP
【FI】
F21V33/00 330
F21V23/00 140
F24F8/22
A61L9/20
F21Y115:10
F21Y103:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051476
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】小西 達也
(72)【発明者】
【氏名】大武 寛和
(72)【発明者】
【氏名】冨山 彩弥香
(72)【発明者】
【氏名】藤原 章裕
【テーマコード(参考)】
3K014
4C180
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014AA02
3K014PD01
4C180AA07
4C180DD03
4C180HH05
4C180HH11
4C180HH17
4C180HH19
4C180KK05
4C180LL11
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で始動時の消費電流の増加や内部の素子の温度の上昇を抑制できる光照射装置を提供する。
【解決手段】光を照射する光源と、空気を送るためのファンと、前記光源及び前記ファンの動作を制御し、前記ファンの始動のタイミングを前記光源の始動のタイミングとずらす制御部と、を備えたことを特徴とする光照射装置が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を照射する光源と、
空気を送るためのファンと、
前記光源及び前記ファンの動作を制御し、前記ファンの始動のタイミングを前記光源の始動のタイミングとずらす制御部と、
を備えたことを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記光源及び前記ファンの一方の始動時に流れる電流のピークの後に、前記光源及び前記ファンの他方を始動させることを特徴とする請求項1記載の光照射装置。
【請求項3】
複数の前記ファンを備え、
前記制御部は、複数の前記ファンのそれぞれの始動のタイミングをさらにずらすことを特徴とする請求項1又は2に記載の光照射装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ファンの始動時に前記ファンの風量が段階的に大きくなるように前記ファンの風量を制御することを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の光照射装置。
【請求項5】
前記光源及び前記ファンを内部に収容する筐体部をさらに備え、
前記ファンは、前記筐体部の内部に空気を取り込むとともに、前記筐体部の内部に取り込まれた空気を前記筐体部の外部に排出し、
前記光源は、前記筐体部の内部に取り込まれた空気に対して紫外光を照射し、空気の除菌を行うことにより、空気を循環させながら空気の除菌を行うことを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の光照射装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ファンを始動させた後に、前記光源を始動させることを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の光照射装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記光源を始動させた後に、前記ファンを始動させることを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光を照射する光源と、空気を送るためのファンと、を備えた光照射装置がある。光照射装置は、例えば、室内などの空気を循環させながら空気の除菌を行う空気清浄機として用いられる。ファンは、ファン及び光源を内部に収容する筐体部の内部に空気を取り込むとともに、取り込まれた空気の筐体部の外部への排出を行う。光源は、筐体部の内部に取り込まれた空気に対して紫外光を照射することにより、空気の除菌を行う。これにより、光源から照射された光によって除菌された空気が筐体部の外部に排出され、室内などの空気を循環させながら空気の除菌を行うことができる。
【0003】
また、光照射装置は、例えば、照明装置として用いられる場合もある。光源は、室内などに向けて光を照射する。ファンは、光源や内部の回路などに向けて空気(冷却風)を送ることにより、光源や内部の回路などの冷却を行う。
【0004】
このように、光源とファンとを備えた光照射装置では、始動時に消費電流が増加したり内部の素子の温度が上昇したりすることがある。このため、始動時の消費電流に耐え得る素子の選定や放熱などの対策を行う必要があり、こうした対策が、装置の大型化や製造コストの増加などの要因の一つとなっている。このため、光源とファンとを備えた光照射装置においては、簡単な構成で始動時の消費電流の増加や内部の素子の温度の上昇を抑制できるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、簡単な構成で始動時の消費電流の増加や内部の素子の温度の上昇を抑制できる光照射装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によれば、光を照射する光源と、空気を送るためのファンと、前記光源及び前記ファンの動作を制御し、前記ファンの始動のタイミングを前記光源の始動のタイミングとずらす制御部と、を備えたことを特徴とする光照射装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、簡単な構成で始動時の消費電流の増加や内部の素子の温度の上昇を抑制できる光照射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る光照射装置を模式的に表すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る光照射装置の動作の一例を模式的に表すグラフである。
【
図3】実施形態に係る光照射装置の変形例を模式的に表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
図1は、実施形態に係る光照射装置を模式的に表すブロック図である。
図1に表したように、光照射装置10は、光を照射する光源12と、空気を送るためのファン14と、光源12及びファン14の動作を制御する制御部16と、を備える。光照射装置10は、例えば、室内などの空気を循環させながら空気の除菌を行う空気清浄機である。以下では、光照射装置10が、空気清浄機である場合を例に説明を行う。
【0012】
光照射装置10は、光源12及びファン14を内部に収容する筐体部18をさらに備える。筐体部18は、例えば、光源12及びファン14に加えて、制御部16などの光照射装置10の各部を内部に収容する。但し、制御部16は、例えば、光源12及びファン14を内部に収容する筐体部18と別に設け、有線通信又は無線通信を介して筐体部18内の機器と通信を行うことにより、光源12及びファン14の動作を制御する構成などとしてもよい。筐体部18の構成は、少なくとも光源12及びファン14を内部に収容する任意の構成でよい。制御部16の構成は、光源12及びファン14の動作を制御可能な任意の構成でよい。
【0013】
ファン14は、筐体部18の内部に空気を取り込むとともに、筐体部18の内部に取り込まれた空気を筐体部18の外部に排出する。光源12は、筐体部18の内部に取り込まれた空気に対して紫外光を照射し、空気の除菌を行うことにより、空気を循環させながら空気の除菌を行う。これにより、光照射装置10では、室内などの空気を循環させながら空気の除菌を行うことができる。
【0014】
光源12は、例えば、紫外光を照射可能な発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)である。光源12は、紫外光を照射可能な他の発光素子でもよいし、殺菌灯などの紫外線を照射可能なランプなどでもよい。光源12の照射する光は、例えば、青色光などの紫外光以外の成分をさらに含んでもよい。光源12は、少なくとも紫外光を含む光を照射可能な任意の光源でよい。なお、紫外光とは、例えば、10nm以上400nm以下の波長の光である。
【0015】
ファン14は、例えば、直流電力の供給を受けて動作する。ファン14は、例えば、PWM信号のデューティ比で風量を調整可能なDCファンである。但し、ファン14は、例えば、交流電力の供給を受けて動作するACファンなどでもよい。ファン14の構成は、室内などの空気を適切に循環させるために必要な風量を確保することができる任意の構成でよい。
【0016】
光照射装置10は、例えば、光源用電源20と、ファン用電源22と、スイッチング素子24と、をさらに備える。
【0017】
光源用電源20は、例えば、交流電源2に接続され、交流電源2から交流電力の供給を受ける。交流電源2は、例えば、商用電源である。光源用電源20は、交流電源2から供給された交流電力を光源12に対応した電力に変換し、変換後の電力を光源12に供給することにより、光源12を点灯させる。例えば、光源12が紫外光を照射可能なLEDである場合、光源用電源20は、交流電源2から供給された交流電力を直流電力に変換し、直流電力を光源12に供給することにより、光源12を点灯させる。なお、光源用電源20に供給される電力は、交流電力に限ることなく、直流電力などでもよい。
【0018】
制御部16は、光源用電源20と接続されている。制御部16は、光源用電源20の動作を制御することにより、光源12の動作を制御する。換言すれば、制御部16は、光源用電源20から光源12への電力の供給を制御することにより、光源12の点灯及び消灯の切り替えを制御する。また、制御部16は、光源用電源20から光源12に供給する電力の大きさなどを制御することにより、光源12から照射される光の強さ(明るさ)を制御する。光源用電源20は、例えば、PWM制御した直流電力を光源12に供給する。制御部16は、光源用電源20から光源12に供給される直流電力のデューティ比を制御することにより、光源12から照射される光の強さを制御する。
【0019】
但し、制御部16によって光源12の動作を制御する構成は、上記に限定されるものではない。例えば、光源用電源20と光源12との間又は光源用電源20と交流電源2との間にスイッチング素子を設け、光源用電源20から光源12への電力の供給及び電力の供給の停止をスイッチング素子によって切り替えることにより、光源12の動作(点灯及び消灯の切り替え)を制御してもよい。制御部16は、必ずしも光源12から照射される光の強さを制御するものでなくてもよい。制御部16によって光源12の動作を制御する構成は、少なくとも光源12の点灯及び消灯の切り替えを制御可能な任意の構成でよい。
【0020】
ファン用電源22は、例えば、交流電源2に接続され、交流電源2から交流電力の供給を受ける。ファン用電源22は、交流電源2から供給された交流電力をファン14に対応した電力に変換し、変換後の電力をファン14に供給することにより、ファン14を動作させる。例えば、ファン14がDCファンである場合、ファン用電源22は、交流電源2から供給された交流電力を直流電力に変換し、直流電力をファン14に供給することにより、ファン14を動作させる。なお、ファン用電源22に供給される電力は、交流電力に限ることなく、直流電力などでもよい。
【0021】
スイッチング素子24は、ファン14とファン用電源22との間に設けられ、ファン14への電力の供給及び電力の供給の停止を切り替える。スイッチング素子24は、例えば、リレーである。スイッチング素子24は、トランジスタなどの半導体スイッチなどでもよい。スイッチング素子24は、ファン14への電力の供給及び電力の供給の停止を切り替え可能な任意の素子でよい。
【0022】
制御部16は、スイッチング素子24と接続されている。制御部16は、スイッチング素子24の動作を制御することにより、ファン14の動作を制御する。換言すれば、制御部16は、ファン用電源22からファン14への電力の供給をスイッチング素子24のスイッチングによって制御することにより、ファン14の駆動及び停止の切り替えを制御する。
【0023】
また、制御部16は、ファン14と接続されている。制御部16は、スイッチング素子24のスイッチングによってファン14への電力の供給を制御するとともに、ファン14に制御信号を入力することにより、ファン14の風量(送る空気の量)を制御する。制御信号は、例えば、PWM信号である。制御部16は、ファン14に入力する制御信号のデューティ比を制御することにより、ファン14の風量を制御する。
【0024】
但し、制御部16によってファン14の動作を制御する構成は、上記に限定されるものではない。例えば、ファン用電源22と交流電源2との間にスイッチング素子を設け、ファン用電源22からファン14への電力の供給及び電力の供給の停止をスイッチング素子によって切り替えることにより、ファン14の動作を制御してもよい。あるいは、ファン用電源22の動作を制御部16で制御し、ファン用電源22からファン14への電力の供給及び電力の供給の停止を切り替えることにより、ファン14の動作を制御してもよい。
【0025】
また、この例では、制御部16からファン14に制御信号を入力することにより、ファン14の風量を制御している。これに限ることなく、例えば、ファン用電源22からファン14に供給する電力の大きさなどを制御することにより、ファン14の風量を制御してもよい。但し、制御部16は、必ずしもファン14の風量を制御するものでなくてもよい。制御部16によってファン14の動作を制御する構成は、少なくともファン14の動作及び動作の停止の切り替えを制御可能な任意の構成でよい。
【0026】
図2は、実施形態に係る光照射装置の動作の一例を模式的に表すグラフである。
図2は、ファン用電源22から出力される直流電力の電圧Vd、制御部16からファン14に入力される制御信号Sc、ファン14に流れる電流If、及び光源12に流れる電流Irの一例を模式的に表す。
図2は、光照射装置10の始動時の動作の一例を模式的に表す。換言すれば、
図2は、光照射装置10の始動時における電圧Vd、制御信号Sc、電流If、及び電流Irのそれぞれの一例を模式的に表す。
【0027】
図2に表したように、光照射装置10の始動時においては、まず、ファン用電源22が始動し、ファン用電源22から直流電力が出力される。この状態では、スイッチング素子24が開放状態(オフ状態)にあり、ファン14は、停止したままである。また、光照射装置10の始動直後においては、光源用電源20も光源12への電力の供給を停止しており、光源12も消灯したままである。
【0028】
光照射装置10の始動時においては、光源12が消灯し、ファン14が停止した状態で、制御部16が始動する。制御部16の始動及びファン用電源22の始動は、どちらが先でもよい。制御部16は、始動すると、ファン14に制御信号Scを入力する。この後、制御部16は、スイッチング素子24を開放状態から投入状態(オン状態)に切り替えることにより、ファン用電源22から出力された直流電力をファン14に供給し、ファン14を始動させる。
【0029】
ファン14は、ファン用電源22から電力の供給を受けると、制御部16から入力された制御信号Scに応じた風量で動作を開始する。この際、上記のように、制御信号Scを入力した状態でファン用電源22からの電力の供給を開始することにより、ファン14が、制御信号Scの入力されていない不安定な状態で始動してしまうことを抑制することができる。例えば、制御信号の入力が遅れ、ファン14が始動時に最大風量で動作してしまうことなどを抑制することができる。
【0030】
図2に表したように、制御部16は、ファン14の始動のタイミングを光源12の始動のタイミングとずらす。制御部16は、例えば、光源12及びファン14の一方の始動時に流れる電流のピークの後に、光源12及びファン14の他方を始動させる。
【0031】
制御部16は、例えば、光源12及びファン14の一方の始動の後、光源12及びファン14の一方に流れる電流が、目標とする電流値となった後に、光源12及びファン14の他方を始動させる。
【0032】
光照射装置10が、空気清浄機である場合、制御部16は、ファン14を始動させた後に、光源12を始動させる。制御部16は、例えば、ファン14の始動時に流れる電流のピークの後に、光源12を始動させる。これにより、例えば、ファン14による空気の循環を安定させた状態で光源12による空気の除菌を開始することができる。例えば、ファン14によって筐体部18の内部に空気が取り込まれていない状態で、無駄に光源12を点灯させてしまうことを抑制することができる。但し、上記と反対に、制御部16は、光源12を始動させた後に、ファン14を始動させてもよい。
【0033】
また、制御部16は、ファン14の始動時にファン14の風量が段階的に大きくなるようにファン14の風量を制御する。制御部16は、例えば、ファン14に入力する制御信号Scを変化させることによって、ファン14の始動時にファン14の風量が段階的に大きくなるようにファン14の風量を制御する。
【0034】
図2では、ファン14に入力する制御信号ScをPWM信号とし、ファン14を最大風量の75%の風量(75%のデューティ比)で動作させる際に、まず25%の風量を設定し、次に50%の風量を設定した後、75%の風量を設定する例を示している。
図2では、ファン14の始動時にファン14の風量が3段階で大きくなるようにファン14の風量を制御している。但し、ファン14の始動時に設定する風量の段階は、3段階に限ることなく、任意の段数でよい。
【0035】
例えば、ファン用電源22からファン14に供給する電力の大きさなどを制御することにより、ファン14の風量を制御する場合には、制御部16は、ファン用電源22の動作を制御することによって、ファン14の始動時にファン14の風量を段階的に大きくする。ファン14の始動時にファン14の風量が段階的に大きくなるようにファン14の風量を制御する構成は、上記に限ることなく、ファン14の風量を適切に制御可能な任意の構成で良い。
【0036】
制御部16は、ファン14の始動時に、予め設定された風量に向かって、ファン14の風量を段階的に大きくする。ファン14の始動時に設定する風量の段階は、例えば、予め設定された風量に応じて変化させてもよい。例えば、
図2に表したように風量の変化量を25%とし、予め設定された風量が75%である場合には、ファン14の風量を3段階で変化させ、予め設定された風量が100%である場合には、ファン14の風量を4段階で変化させる。このように、予め設定された風量が大きいほど、ファン14の始動時に設定する風量の段階を多くしてもよい。ファン14の風量は、例えば、図示を省略した操作部の操作などに応じて制御部16に対して任意に設定できるようにしてもよい。
【0037】
光源12とファン14とを備えた光照射装置10では、始動時に消費電流が増加したり内部の素子の温度が上昇したりすることがある。本願発明者は、検討の結果、こうした始動時の消費電流の増加や内部の素子の温度上昇は、
図2に表したように、光源12及びファン14の始動時に比較的大きな電流が流れることに起因することを見出した。特に、光源12の始動のタイミングとファン14の始動のタイミングとが重なり、光源12の始動電流とファン14の始動電流とが同時に流れた際に、始動時の消費電流の増加や内部の素子の温度上昇が顕著となってしまう。
【0038】
これに対し、本実施形態に係る光照射装置10では、制御部16が、ファン14の始動のタイミングを光源12の始動のタイミングとずらす。これにより、光源12の始動電流とファン14の始動電流とが同時に流れることを抑制し、始動時の消費電流の増加や内部の素子の温度の上昇を抑制することができる。
【0039】
本実施形態に係る光照射装置10では、始動時の消費電流の増加や内部の素子の温度の上昇に対し、特別な部材などを設ける必要がなく、ファン14の始動のタイミングを光源12の始動のタイミングとずらすことにより、簡単な構成で始動時の消費電流の増加や内部の素子の温度の上昇を抑制できるようにすることができる。また、これにより、高い消費電流に耐え得る素子を選定したり、放熱のための部材を追加したりする必要を抑制し、これらの対策にともなう装置の大型化や製造コストの増加などを抑制することもできる。
【0040】
また、本実施形態に係る光照射装置10では、制御部16が、光源12及びファン14の一方の始動時に流れる電流のピークの後に、光源12及びファン14の他方を始動させる。これにより、光源12の始動電流とファン14の始動電流とが同時に流れることをより適切に抑制することができる。従って、始動時の消費電流の増加や内部の素子の温度の上昇をより適切に抑制することができる。
【0041】
制御部16は、例えば、光源12及びファン14の一方の始動の後、光源12及びファン14の一方に流れる電流が、始動時の大きな電流値から目標とする電流値となった後に、光源12及びファン14の他方を始動させる。これにより、光源12の始動電流とファン14の始動電流とが同時に流れることをより適切に抑制することができる。始動時の消費電流の増加や内部の素子の温度の上昇をより適切に抑制することができる。
【0042】
また、制御部16は、ファン14の始動時にファン14の風量が段階的に大きくなるようにファン14の風量を制御する。これにより、例えば、ファン14が急激に動作することにより、ファン14の劣化が早まってしまうことを抑制することができる。また、例えば、ファン14が急激に動作することにより、ファン14の始動時の動作音が大きくなってしまうことを抑制することができる。
【0043】
図3は、実施形態に係る光照射装置の変形例を模式的に表すブロック図である。
図3に表したように、光照射装置10aは、複数のファン14を備える。なお、上記実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0044】
光照射装置10aは、例えば、複数のスイッチング素子24をさらに備える。制御部16は、複数のスイッチング素子24と接続されている。制御部16は、複数のスイッチング素子24のそれぞれの動作を制御することにより、複数のファン14のそれぞれの動作を制御する。換言すれば、制御部16は、ファン用電源22から複数のファン14のそれぞれへの電力の供給を複数のスイッチング素子24のそれぞれのスイッチングによって制御することにより、複数のファン14の駆動及び停止の切り替えを個別に制御する。
【0045】
また、制御部16は、複数のファン14と接続されている。制御部16は、複数のスイッチング素子24のスイッチングによって複数のファン14への電力の供給を制御するとともに、複数のファン14のそれぞれに制御信号を入力することにより、複数のファン14のそれぞれの風量を制御する。
【0046】
但し、上記実施形態と同様に、制御部16によって複数のファン14のそれぞれの動作を制御する構成は、上記に限定されるものではない。
【0047】
光照射装置10aにおいて、制御部16は、複数のファン14のそれぞれの始動のタイミングをさらにずらす。光照射装置10aは、2つのファン14を備える。制御部16は、一方のファン14を始動させた後、他方のファン14を始動させる。制御部16は、例えば、一方のファン14の始動時に流れる電流のピークの後に、他方のファン14を始動させる。
【0048】
制御部16は、複数のファン14の始動の後、又は複数のファン14の始動の前に光源12を始動させる。制御部16は、例えば、一方のファン14の始動と他方のファン14の始動の間に光源12を始動させてもよい。光源12の始動のタイミングは、複数のファン14のそれぞれの始動のタイミングと重ならない任意のタイミングでよい。
【0049】
これにより、光照射装置10aでは、複数のファン14を備える場合にも、複数のファン14の始動電流が同時に流れることを抑制することができる。従って、複数のファン14を備える場合にも、始動時の消費電流の増加や内部の素子の温度の上昇をより適切に抑制することができる。
【0050】
なお、光照射装置10aでは、2つのファン14を備えた例を示しているが、ファン14の数は、2つに限ることなく、3つ以上でもよい。制御部16は、光源12及び複数のファン14のそれぞれの始動のタイミングが重ならないように、光源12及び複数のファン14のそれぞれの動作を制御すればよい。
【0051】
上記各実施形態では、光照射装置が、空気清浄機である場合を説明した。但し、光照射装置は、空気清浄機に限定されるものではない。光照射装置は、例えば、照明装置でもよい。光源は、室内などに向けて光を照射する光源でもよい。ファンは、光源や光源用電源などの内部の回路に向けて空気(冷却風)を送ることにより、光源や内部の回路などの冷却を行うファンでもよい。例えば、レーザ光を照射する光照射装置や屋外の演出などで比較的強い光を照射する光照射装置においては、光源や内部の回路などの冷却のためにファンが用いられる場合がある。こうした光照射装置において、上記各実施形態の構成を適用してもよい。
【0052】
光照射装置は、少なくとも光源とファンと制御部とを備え、ファンの始動のタイミングを光源の始動のタイミングとずらす任意の光照射装置でよい。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態および実施例を説明したが、これらの実施形態または実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態または実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態または実施例やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
2…交流電源、 10、10a…光照射装置、 12…光源、 14…ファン、 16…制御部、 18…筐体部、 20…光源用電源、 22…ファン用電源、 24…スイッチング素子