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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144487
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】ガス供給システム
(51)【国際特許分類】
   F17C 7/02 20060101AFI20231003BHJP
   F23K 5/00 20060101ALI20231003BHJP
   F23N 5/26 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
F17C7/02
F23K5/00 307Z
F23N5/26 Z
F23N5/26 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051479
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】中道 信貴
(72)【発明者】
【氏名】大石 直人
【テーマコード(参考)】
3E172
3K068
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA06
3E172AB05
3E172BA01
3E172BB03
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD05
3E172EA03
3E172EB02
3E172EB15
3E172GA11
3E172GA17
3E172GA28
3E172JA09
3E172KA03
3E172KA22
3K068AA02
3K068CA01
3K068MA02
3K068NA01
(57)【要約】
【課題】より正確な容器切替信号を発報することができるガス供給システムを提供する。
【解決手段】ガス供給システム1は、複数のLPG容器10と、強制気化装置20と、使用側のLPG容器10aが第1圧力以下となったときに、予備側のLPG容器10bと強制気化装置20との接続状態に切り替える液自動切替装置40と、LPガスを圧力調整すると共に、使用側のLPG容器10aからのLPガスが第2圧力を下回ったときに予備側のLPG容器10bからLPガスを導入する自動切替調整器50と、自動切替調整器50側におけるLPガスが第3圧力以下であることを検知するための圧力スイッチ60と、液自動切替装置40によって予備側のLPG容器10bとの接続状態に切り替えられ、且つ、圧力スイッチ60に基づいて自動切替調整器50側におけるLPガスが第3圧力以下である場合に容器切替信号を発報する発報装置41とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化状態の燃料ガスを貯蔵する複数のガス容器と、
前記複数のガス容器のうち使用側のガス容器からの液化状態の燃料ガスを導入して加熱により気化させる強制気化装置と、
前記使用側のガス容器の圧力が第1圧力以下となったときに前記使用側のガス容器と前記強制気化装置との第1の接続状態から、前記複数のガス容器のうち予備側のガス容器と前記強制気化装置との第2の接続状態に切り替える液自動切替装置と、
前記使用側のガス容器において自然気化した燃料ガスを導入して圧力調整した後に需要者側に供給すると共に、前記使用側のガス容器から導入する燃料ガスの圧力が第2圧力を下回ったときに前記予備側のガス容器から自然気化した燃料ガスを導入する自動切替調整器と、
前記自動切替調整器側における燃料ガスの圧力が第3圧力以下であることを検知するための検知手段と、
前記液自動切替装置により前記第1の接続状態から前記第2の接続状態に切り替えられ、且つ、前記検知手段に基づいて前記自動切替調整器側における燃料ガスの圧力が前記第3圧力以下であることが検知された場合に、容器切替信号を発報する発報手段と、
を備えることを特徴とするガス供給システム。
【請求項2】
前記検知手段は、前記自動切替調整器の下流側に設けられ、
前記第3圧力は、前記自動切替調整器の出口圧力となる調整圧力のうち、前記使用側のガス容器から導入した燃料ガスの第1の調整圧力と、前記予備側のガス容器から導入した燃料ガスの第2の調整圧力との間の圧力とされている
ことを特徴とする請求項1に記載のガス供給システム。
【請求項3】
前記検知手段は、前記使用側のガス容器と前記自動切替調整器とを接続する流路上に設けられ、
前記第3圧力は、前記第2圧力から規定値以内の値とされている
ことを特徴とする請求項1に記載のガス供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリンダー容器(以下LPG容器という)に収容された燃料ガス(LPガス)を適切な圧力にして需要者側に供給するガス供給システムが知られている。このガス供給システムでは、LPG容器内で自然気化したLPガスを需要者側に供給する。さらに、ガス供給システムは、自然気化により発生するLPガスを超える大量のLPガスを供給しなければならない場合、LPG容器内で液化状態であるLPG液を強制気化させて需要者側に供給する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1-216199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなガス供給システムは、使用側のLPG容器と、予備側のLPG容器とを備えており、使用側のLPG容器の圧力低下により容量が少なくなったことが検知されると、ガス供給元を使用側のLPG容器から予備側のLPG容器に切り替えるようになっている。この切替は、自然気化したLPガスを供給する気相ラインの自動切替調整器と、LPG液を強化気化装置に供給する液相ラインの液自動切替装置とでそれぞれ行われる。
【0005】
また、ガス供給システムは、液相ラインに設けられる液自動切替装置がLPG容器内の圧力を検知して切替圧力以下となったときに使用側から予備側に切り替え、その旨の容器切替信号を発報する。ガス事業者は、この信号を受け使用側のLPG容器を交換することとなる。
【0006】
しかし、LPG容器内の温度によっては、残液量がまだ残っている状態にもかかわらず予備側に切り替えられてしまう可能性がある。そもそもLPG容器内は、ガス消費に伴って容器中のLPG液が蒸発・気化して供給されるため、気化時の蒸発潜熱により容器内は冷却される。容器内が冷却されるとLPガスが蒸発し難い状態となり容器内はLPG液があるにもかかわらず圧力が低い状態となることがある。例えば短時間に大量のLPガスを消費した、液相供給の時間が長かった場合等である。
【0007】
このような残液量がある状態で容器交換が行われてしまうと、容器交換サイクルが想定よりも短くなってしまうことにつながってしまい、当初想定していた容器交換スケジュールがずれてしまったり、配送スケジュールの調整が必要となったりしてしまう。さらには、液自動切替装置からの容器切替信号が発報されたことについて誤動作や誤報と判断されることもあり、交換が行われることなく需要者側とのトラブルとなることもあり得る。
【0008】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、より正確な容器切替信号を発報することができるガス供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のガス供給システムは、液化状態の燃料ガスを貯蔵する複数のガス容器と、前記複数のガス容器のうち使用側のガス容器からの液化状態の燃料ガスを導入して加熱により気化させる強制気化装置と、前記使用側のガス容器の圧力が第1圧力以下となったときに前記使用側のガス容器と前記強制気化装置との第1の接続状態から、前記複数のガス容器のうち予備側のガス容器と前記強制気化装置との第2の接続状態に切り替える液自動切替装置と、前記使用側のガス容器において自然気化した燃料ガスを導入して圧力調整した後に需要者側に供給すると共に、前記使用側のガス容器から導入する燃料ガスの圧力が第2圧力を下回ったときに前記予備側のガス容器から自然気化した燃料ガスを導入する自動切替調整器と、前記自動切替調整器側における燃料ガスの圧力が第3圧以下であることを検知するための検知手段と、前記液自動切替装置により前記第1の接続状態から前記第2の接続状態に切り替えられ、且つ、前記検知手段に基づいて前記自動切替調整器側における燃料ガスの圧力が前記第3圧力以下であることが検知された場合に、容器切替信号を発報する発報手段と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より正確な容器切替信号を発報することができるガス供給システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るガス供給システムの構成図である。
図2】本実施形態に係るガス供給システムの動作を説明する第1の図である。
図3】本実施形態に係るガス供給システムの動作を説明する第2の図である。
図4】本実施形態に係るガス供給システムの動作を説明する第3の図である。
図5】第2実施形態に係るガス供給システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係るガス供給システムの構成図である。図1に示すガス供給システム1は、需要者側に燃料ガスであるLPガスを供給するものである。このガス供給システム1は、複数のLPG容器(複数のガス容器)10と、強制気化装置20と、熱源機30と、液自動切替装置40と、自動切替調整器50と、圧力スイッチ(検知手段)60と、各種流路R1~R8と、圧力調整器PR1,PR2とを備えている。
【0014】
複数のLPG容器10は、液化状態のLPガスであるLPG液を貯蔵するものであって、使用側のLPG容器(使用側のガス容器)10aと、予備側のLPG容器(予備側のガス容器)10bとを備えている。ガス供給システム1では、まず使用側のLPG容器10aのLPG液が消費されていき、その後予備側のLPG容器10bが消費されることとなる。
【0015】
強制気化装置20は、複数のLPG容器10内のLPG液を強制的に気化させるものである。この強制気化装置20は、熱交換器21を備えており、使用側のLPG容器10aからLPG液を導入し、熱交換器21にてLPG液を加熱することで気化させる。
【0016】
熱源機30は、例えば気化した状態のLPガスを燃料として温水を生成するものである。この熱源機30は、生成した温水を強制気化装置20の熱交換器21に対して供給する。供給された温水は強制気化装置20におけるLPG液の強制気化に利用される。
【0017】
第1流路R1は、複数のLPG容器10のうち使用側のLPG容器10aと液自動切替装置40の入口側とを接続する配管であって、使用側のLPG容器10aのLPG液を液自動切替装置40に供給するものである。第2流路R2は、複数のLPG容器10のうち予備側のLPG容器10bと液自動切替装置40の入口側とを接続する配管であって、予備側のLPG容器10bのLPG液を液自動切替装置40に供給するものである。第3流路R3は、液自動切替装置40の出口側と強制気化装置20の入口側とを接続する配管であって、液自動切替装置40を通過したLPG液を強制気化装置20に供給するものである。第4流路R4は、強制気化装置20の出口側と接続点Aとを接続する配管であって、強制気化装置20において強制気化されたLPガスを接続点Aまで供給するものである。
【0018】
液自動切替装置40は、使用側のLPG容器10aの圧力が第1圧力(例えば0.2MPa)以下となったときに、使用側のLPG容器10aと強制気化装置20との接続状態(第1の接続状態)から、予備側のLPG容器10bと強制気化装置20との接続状態(第2の接続状態)に切り替えるものである。すなわち、液自動切替装置40は、使用側のLPG容器10aの圧力が第1圧力を超える場合に第1の接続状態を維持し、使用側のLPG容器10aの圧力が第1圧力以下となると第2の接続状態に切り替えるものである。第2の接続状態に切り替えられると強制気化装置20は予備側のLPG容器10bからのLPG液を強制気化することとなる。
【0019】
さらに、液自動切替装置40は、発報装置(発報手段)41を備えている。発報装置41は、理想的には使用側のLPG容器10aのLPG液が無くなったときに容器切替信号を発報するものである。容器切替信号は、ガス事業者に直接送信されてもよいし、NCU(Network Control Unit)等の中継機器を介してガス事業者に送信されてもよい。
【0020】
また、強制気化装置20は背圧弁Vを備えている。背圧弁Vは、強制気化装置20の熱交換器21に異常圧力が加わってしまうことを防止するための保護機能弁であって、熱交換器21の入口端付近に設けられている。この背圧弁Vは、第4圧力(例えば0.45MPa)を超える異常圧力で弁閉状態となり、第4圧力未満で弁開状態となるものである。第1調整器PR1は、強制気化装置20において強制気化されたLPガスを第5圧力(例えば0.1MPa)まで圧力調整するものであって、第4流路R4上に設けられている。
【0021】
自動切替調整器50は、使用側のLPG容器10aにおいて自然気化したLPガスを導入して圧力調整した後に需要者側に供給するものである。また、自動切替調整器50は、使用側のLPG容器10aから導入するLPガスの圧力がいわゆる下限圧力である第2圧力(例えば0.07MPa)を下回ったときに、予備側のLPG容器10bから自然気化したLPガスを導入するものである。
【0022】
第5流路R5は、複数のLPG容器10のうち使用側のLPG容器10aと自動切替調整器50の入口側とを接続する配管であって、使用側のLPG容器10aの自然気化したLPガスを自動切替調整器50に供給するものである。第6流路R6は、複数のLPG容器10のうち予備側のLPG容器10bと自動切替調整器50の入口側とを接続する配管であって、予備側のLPG容器10bの自然気化したLPガスを自動切替調整器50に供給するものである。第7流路R7は、自動切替調整器50の出口側と接続点Aとを接続する配管であって、自動切替調整器50において圧力調整されたLPガスを接続点Aまで供給するものである。第8流路R8は、接続点Aと需要者側とを接続する配管である。
【0023】
圧力スイッチ60は、自動切替調整器50側(気相側)におけるLPガスの圧力が第3圧力(例えば0.05~0.06MPa程度)以下であることを検知するためのものである。この圧力スイッチ60は、自動切替調整器50の下流側、すなわち第7流路R7上に設けられている。この圧力スイッチ60は、自動切替調整器50によって圧力調整されたLPガスの圧力が第3圧力以下であるときにその旨の信号を発報装置41に出力する。なお、本実施形態に係るガス供給システム1は圧力スイッチ60を備えているが、これに限らず、圧力値に応じた信号を出力可能な圧力センサを備えていてもよい。
【0024】
第2調整器PR2は、強制気化装置20において強制気化されたLPガスを第6圧力(例えば2.8kPa)まで圧力調整するものであって、第8流路R8上に設けられている。
【0025】
ここで、上記した発報装置41は、以下の2つの条件を満たしたときに、容器切替信号を発報する。1つ目の条件は、使用側のLPG容器10aの圧力が第1圧力(例えば0.2MPa)以下となって第1の接続状態から第2の接続状態に切り替えられたことである。2つ目の条件は、LPガスの圧力が第3圧力以下である旨の信号を圧力スイッチ60から受信したことである。すなわち、発報装置41は、1つ目の条件によって液相側での切替が行われ、2つ目の条件によって気相側である程度圧力が低下していることが検知された場合に、発報を行うこととなる。
【0026】
ここで、圧力スイッチ60の信号出力条件となる第3圧力は、自動切替調整器50の出口圧力となる調整圧力(2つの調整圧力)の間の圧力値とされることが好ましい。自動切替調整器50は、使用側のLPG容器10aにおいて自然気化したLPガスを導入して第1の調整圧力(例えば0.07MPa)として需要者側に供給し、予備側のLPG容器10bにおいて自然気化したLPガスを導入して第2の調整圧力(例えば0.03MPa)として需要者側に供給する。このため、第3圧力を2つの調整圧力の間の圧力値とすると、使用側のLPG容器10aから導入するLPガスの圧力が低くなったことを圧力スイッチ60において検知することができる。
【0027】
詳細に説明すると、自動切替調整器50は、使用側のLPG容器10aより導入するLPガスの圧力が第2圧力(いわゆる下限圧力)以上である場合、導入したLPガスを第1の調整圧力に調整して需要者側に供給する。すなわち、自動切替調整器50の下流側は第1の調整圧力となり、圧力スイッチ60はLPガスの圧力が第3圧力(例えば0.05~0.06MPa程度)以下であることを検知しない。
【0028】
一方、自動切替調整器50は、使用側のLPG容器10aからのLPガスが第2圧力未満となると、LPガスを第1の調整圧力として供給することができなくなる。この状態において自動切替調整器50は、予備側のLPG容器10bからもLPガスを導入し、LPガスを第2の調整圧力として需要者側に供給する。よって、圧力スイッチ60はLPガスの圧力が第3圧力以下であることを検知する。
【0029】
このように、第3圧力を2つの調整圧力の間の圧力値とすることで、使用側のLPG容器10aから導入するLPガスの圧力が低くなったこと、すなわち使用側のLPG容器10aのLPG液が少なくなったことを圧力スイッチ60にて検知できることとなる。
【0030】
次に、本実施形態に係るガス供給システム1の動作を説明する。図2図4は、本実施形態に係るガス供給システム1の動作を説明する図である。なお、図2図4において太線はLPG液又はLPガスの流通経路を示している。
【0031】
まず、図2に示すように、使用側のLPG容器10aは圧力が第1圧力を超えているとする。この場合、液自動切替装置40は、使用側のLPG容器10aと強制気化装置20とを接続する第1の接続状態とする。
【0032】
また、使用側のLPG容器10aの残液量が充分であることから第5流路R5におけるLPガスの圧力が第2圧力以上となる。このため、自動切替調整器50は、使用側のLPG容器10aにおいて自然気化したLPガスを第1の調整圧力に圧力調整して需要者側に供給することとなる。また、自動切替調整器50がLPガスを第1の調整圧力に圧力調整することから、圧力スイッチ60は、第7流路R7内が第3圧力以下である旨の信号を送信しないこととなる。
【0033】
さらに、発報装置41は、圧力スイッチ60から第3圧力以下である旨の信号を受信しないことに加えて、液自動切替装置40が第1の接続状態であることから、容器切替信号を発報しないこととなる。
【0034】
次に、図3に示すように、使用側のLPG容器10aは圧力が第1圧力以下となったとする。この場合、液自動切替装置40は、予備側のLPG容器10bと強制気化装置20とを接続する第2の接続状態とする。
【0035】
ここで、第5流路R5におけるLPガスの圧力が第2圧力以上を維持しているとすると、自動切替調整器50は、使用側のLPG容器10aにおいて自然気化したLPガスを第1の調整圧力に圧力調整して需要者側に供給することとなる。また、自動切替調整器50がLPガスを第1の調整圧力に圧力調整することから、圧力スイッチ60は、第7流路R7内が第3圧力以下である旨の信号を送信しないこととなる。
【0036】
さらに、発報装置41は、液自動切替装置40が第2の接続状態に切り替わったものの、圧力スイッチ60から第3圧力以下である旨の信号を受信しないこととなる。すなわち、上記した1つ目の条件を満たすが2つ目の条件を満たしていない。よって、発報装置41は容器切替信号を発報しないこととなる。
【0037】
次いで、図4に示すように、使用側のLPG容器10aの残容量が減少していき、第5流路R5におけるLPガスの圧力が第2圧力以上を維持できなくなるとする。この場合、自動切替調整器50は、予備側のLPG容器10bにおいて自然気化したLPガスを第2の調整圧力に圧力調整して需要者側に供給することとなる。また、自動切替調整器50がLPガスを第2の調整圧力に圧力調整することから、圧力スイッチ60は、第7流路R7内が第3圧力以下である旨の信号を送信することとなる。
【0038】
この場合、液自動切替装置40が第2の接続状態に切り替わり、且つ、発報装置41は、圧力スイッチ60から第3圧力以下である旨の信号を受信することとなる。すなわち、上記した1つ目及び2つ目の条件の双方を満たす。よって、発報装置41は容器切替信号を発報することとなる。
【0039】
特に、図3に示す状態については、残液量がまだ残っている状態にもかかわらず、例えば短時間に大量のLPガスを消費した場合や、液相供給の時間が長かった場合等に発生し得る。しかし、本実施形態に係るガス供給システム1は、圧力スイッチ60によって気相側圧力の低下も監視して、図3に示す状態において容器切替信号を発報しないことから、より正確な容器切替信号を発報することができる。
【0040】
なお、本実施形態に係るガス供給システム1において、自動切替調整器50は、切替レバー(不図示)を備えており、切替レバーを回転させることで予備側のLPG容器10bを使用側とし(第1の調整圧力で供給するようにし)、使用側のLPG容器10aを予備側とする(第2の調整圧力で供給する)ことができる。
【0041】
このようにして、本実施形態に係るガス供給システム1によれば、発報装置41は、液自動切替装置40により使用側のLPG容器10aと接続される第1の接続状態から予備側のLPG容器10bと接続される第2の接続状態に切り替えられ、且つ、自動切替調整器50側におけるLPガスの圧力が第3圧力以下であることが検知された場合に容器切替信号を発報する。このため、例えば使用側のLPG容器10aが一時的な冷却等によって圧力が低下して、液自動切替装置40により接続状態が切り替えられたとしても、自動切替調整器50側の圧力が第3圧力以下に低下するまで容器切替信号が発報されないこととなる。この結果、自動切替調整器50側の圧力が第3圧力以下に低下するまでは、使用側のLPG容器10aからLPガスが消費されていくこととなり、残液量がある状態で発報されてしまう可能性が低減される。従って、より正確な容器切替信号を発報することができる。
【0042】
また、圧力スイッチ60は、自動切替調整器50の下流側に設けられ、第3圧力は、使用側の調整圧力である第1の調整圧力と、予備側の調整圧力である第2の調整圧力との間の圧力とされている。ここで、一般に調整圧力は使用側で高く予備側で低くされており、使用側のLPG容器10aの残容量が少なくなると、予備側から自然気化したLPガスが導入されて、低い調整圧力のLPガスとして下流側に供給される。よって、第1の調整圧力と第2の調整圧力との間の圧力である第3圧力を圧力スイッチ60を通じて検知することで、気相側においても予備側のLPG容器10bからの使用が開始しているときに容器切替信号が発報されることとなる。従って、より正確な容器切替信号を発報することができる。
【0043】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係るガス供給システムは第1実施形態のものと同様であるが、一部構成が異なっている。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
【0044】
図5は、第2実施形態に係るガス供給システムの構成図である。図5に示すように第2実施形態に係るガス供給システム2は、第1圧力スイッチ(検知手段)71を備えている。
【0045】
第1圧力スイッチ71は、使用側のLPG容器10aと自動切替調整器50とを接続する第5流路R5上に設けられ、第5流路R5内の圧力が第2圧力から規定値以内の圧力(第3圧力)以下であるときに、その旨の信号を発報装置41に送信するものである。
【0046】
ここで、上記したように、自動切替調整器50は、使用側のLPG容器10a(第5流路R5)から導入するLPガスの圧力が第2圧力を下回ると、予備側のLPG容器10bからLPガスを導入するようになる。すなわち、第1圧力スイッチ71は、気相側において予備側のLPG容器10bからLPガスを導入する付近のタイミングを検知して、発報装置41に送信することとなる。
【0047】
よって、第2実施形態に係る発報装置41は、液自動切替装置40において第1の接続状態から第2接続状態に切り替わり、且つ、第1圧力スイッチ71より第3圧力以下である旨の信号を受信したときに、容器切替信号を発報することとなる。
【0048】
なお、第2実施形態に係るガス供給システム2は、第2圧力スイッチ72についても備えている。第2圧力スイッチ72は、第1圧力スイッチ71と同様の構成を有しており、予備側が使用側に切り替わったときに、上記した第1圧力スイッチ71と同様の機能を果たすこととなる。
【0049】
このようにして、第2実施形態に係るガス供給システム2によれば、第1実施形態と同様に、より正確な容器切替信号を発報することができる。
【0050】
また、第2実施形態によれば、第1圧力スイッチ71は、使用側のLPG容器10aと自動切替調整器50とを接続する第5流路R5上に設けられ、第3圧力は、第2圧力から規定値以内の値とされている。ここで、使用側のLPG容器10aの残容量が少なくなって第2圧力を下回ると、予備側からのLPガスが自動切替調整器50に調整されて需要者側に供給されるようになる。よって、第2圧力から規定値以内の値を第3圧力とすることで、気相側においても予備側のLPG容器10bからの使用が開始する付近で容器切替信号が発報されることとなる。従って、より正確な容器切替信号を発報することができる。
【0051】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜実施形態同士の技術や他の技術を組み合わせてもよい。
【0052】
例えば上記実施形態において発報装置41は、液自動切替装置40の一部として構成されているが、特にこれに限らず、液自動切替装置40と別構成として設けられていてもよい。
【0053】
また、背圧弁Vにスイッチ機能を設け、背圧弁Vの弁開動作時に熱源機30に対してオン信号を出力して熱源機30を駆動させ、弁閉動作時にオフ信号を出力して熱源機30を停止するようにしてもよい。
【0054】
さらに、第3流路R3上にサーモバルブを設け、熱交換器21でLPG液を気化するに充分な熱交換ができる場合のみにサーモバルブを弁開するようにしてもよい。さらに、本実施形態では強制気化装置20として温水式のものを想定したが、特にこれに限らず、電気ヒータやガスバーナを収納した電気式又はガス式の強制気化装置であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1,2 :ガス供給システム
10 :複数のLPG容器(複数のガス容器)
10a :使用側のLPG容器(使用側のガス容器)
10b :予備側のLPG容器(予備側のガス容器)
20 :強制気化装置
40 :液自動切替装置
41 :発報装置(発報手段)
50 :自動切替調整器
60 :圧力スイッチ(検知手段)
71 :第1圧力スイッチ(検知手段)
72 :第2圧力スイッチ
R1~R8 :流路
図1
図2
図3
図4
図5