IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミナト医科学株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-呼吸機能検査装置 図1
  • 特開-呼吸機能検査装置 図2
  • 特開-呼吸機能検査装置 図3
  • 特開-呼吸機能検査装置 図4
  • 特開-呼吸機能検査装置 図5
  • 特開-呼吸機能検査装置 図6
  • 特開-呼吸機能検査装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144490
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】呼吸機能検査装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/097 20060101AFI20231003BHJP
   A61B 5/087 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
A61B5/097
A61B5/087
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051485
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000114190
【氏名又は名称】ミナト医科学株式会社
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】阪上 拓也
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038SS00
4C038SS04
4C038SU02
4C038SX02
(57)【要約】
【課題】フローセンサーユニットを被験者の口元へ維持することを検査者がサポートすることができる呼吸機能検査装置を提供する。
【解決手段】本体と、本体に有線または無線で接続されるフローセンサーユニットを備え、フローセンサーユニットは、第一端部に呼気の流入口が形成され、第二端部に呼気の流出口が形成されたケーシングと、被験者の呼吸流量を計測するフローセンサーと、被験者が把持する第一把持部と、検査者が把持する第二把持部を備えることで、検査者が被験者をサポートすることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、前記本体に有線または無線で接続されるフローセンサーユニットを備え、前記フローセンサーユニットは、第一端部に呼気の流入口が形成され、第二端部に呼気の流出口が形成されたケーシングと、被験者の呼吸流量を計測するフローセンサーと、前記被験者が把持する第一把持部と、検査者が把持する第二把持部を備えてなる呼吸機能検査装置。
【請求項2】
前記フローセンサーユニットは、前記第一把持部と前記第二把持部が形成する開口部を有してなる請求項1に記載の呼吸機能検査装置。
【請求項3】
前記開口部は、前記第二端部側に向けて傾斜させてなる請求項2に記載の呼吸機能検査装置。
【請求項4】
前記開口部は、略楕円形としてなる請求項3に記載の呼吸機能検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸機能検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
呼吸機能検査装置に関して、従来いくつかの提案がなされている。例えば、特許文献1には、ケースと、ケースに対してスライドできるホルダと、ホルダに脱着可能なフローセンサと、プローブを有し且つケースに取り付けられる圧力伝達ユニットと、を備え、フローセンサは、人間が口で咥える第1筒部と、内部にスクリーンを有し且つホルダに嵌まるスクリーン収納部と、スクリーン収納部に対して第1筒部とは反対側に位置する第2筒部と、少なくとも第1筒部の外周面に設けられ、フローセンサの内部に繋がる筒状の接続部と、を備え、ホルダがスライドすると、接続部がプローブに嵌まるセンサユニットを備える呼吸機能検査装置が記載されている。
【0003】
さらに、ケースは、ホルダを支持する保持部と、人間の手で把持される把持部と、を備えていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-146708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたセンサユニットを備える呼吸機能検査装置は、被験者のみの力で把持部を把持しなければならない。そのため、高齢者などの力の弱い被験者が、十分に把持部を把持できない場合、口元にセンサユニットを維持できず、正確な検査結果を得ることができない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明の呼吸機能検査装置は、本体と、本体に有線または無線で接続されるフローセンサーユニットを備え、前記フローセンサーユニットは、第一端部に呼気の流入口が形成され、第二端部に呼気の流出口が形成されたケーシングと、被験者の呼吸流量を計測するフローセンサーと、前記被験者が把持する第一把持部と、検査者が把持する第二把持部を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の呼吸機能検査装置によれば、検査者が把持する把持部を有することで、力の弱い被験者においても、検査者が補助し、被験者の口元にセンサーユニットを維持することができるため、正確な検査結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第一実施形態に係る呼吸機能検査装置の模式図
図2】マウスピース、または、肺機能検査フィルターを装着した第一実施形態に係るフローセンサーユニットを示す図
図3】第一実施形態に係るフローセンサーユニットの変形例1を示す図
図4】第一実施形態に係るフローセンサーユニットの変形例2の正面図
図5】第二実施形態に係るフローセンサーユニットを示す図
図6】第二実施形態に係るフローセンサーユニットの変形例1を示す図
図7】第二実施形態に係るフローセンサーユニットの変形例2を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態に係る呼吸機能検査装置について、図1図4を参照して説明する。本実施形態の呼吸機能検査装置は、本体1と、電気信号線2と、フローセンサーユニット3を備える。
【0010】
本体1は、出力部4と、入力部5と、制御部6を備えている。
【0011】
出力部4は、例えば、ディスプレイやプリンタである。出力部4は、入力部5により入力された入力事項や呼吸機能検査結果を出力する。
【0012】
入力部5は、例えば、ディスプレイ上に表示された操作キーである。入力部5は、検査項目の選択や被験者情報を入力する際に使用される。
【0013】
制御部6は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の処理装置やROM(Read Only Memory)等の記憶装置を備える。制御部6は、フローセンサー7が計測した信号から、検査結果に必要な指標を演算し、記憶する。また、出力部4と入力部5の動作に関する制御を行う。
【0014】
電気信号線2は、本体1とフローセンサーユニット3を接続し、通信を行う。通信により、フローセンサーユニット3のフローセンサー7が計測した信号を制御部6が取得する。また、通信は有線に限らず、無線通信でも良い。例えば、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)、赤外線通信等を用いる。
【0015】
フローセンサーユニット3は、ケーシング8と、第一把持部9、第二把持部10を備えている。
【0016】
ケーシング8は、筒形状をしており、第一端部11と、第二端部12と、フローセンサー7を備える。
【0017】
第一端部11には、被験者の呼気が流入する流入口13が形成されている。流入口13の形状は、円または楕円形状でよい。第一端部11は、衛生面を考慮し、マウスピース15を備える場合がある。また、第一端部11は、唾液、喀痰等の除去を目的として肺機能検査用フィルター16を備える場合がある。この場合、被験者は、マウスピース15や肺機能検査用フィルター16を咥えて検査を行う。
【0018】
第二端部12には、被験者の呼気が流出する流出口14が形成されている。流出口14の形状は、円または楕円形状でよい。
【0019】
フローセンサー7は、被験者の呼吸流量を計測するものである。呼吸流量の計測方式は、例えば、熱線の温度変化を利用する熱線式、超音波を利用する超音波式、ケーシング8内の圧力差を利用する差圧式を用いる。差圧式を用いる場合、フローセンサーユニット3と本体1をチューブで接続し、本体1に圧力センサーを設けても良い。圧力センサーは、呼吸流量に応じて変化するケーシング8内の差圧を計測する。
【0020】
第一把持部9は、検査を行う被験者が把持するものである。第一把持部9は、ケーシング8の第一端部11側に設けられている。第一把持部9は、被験者がフローセンサーユニット3を口元へ移動させる際に把持する。また、第一把持部9は、検査中、被験者がマウスピース15や肺機能検査用フィルター16を咥えた状態を維持するために把持する。被験者は、第一把持部9を片手または両手で把持する。
【0021】
第二把持部10は、被験者を補助するために、検査者が把持するものである。第二把持部10は、第一把持部9よりケーシング8の第二端部12側に設けられている。第二把持部10は、検査者がフローセンサーユニット3を被験者の口元へ移動させる際に把持する。また、第二把持部10は、検査中、被験者がマウスピース15や肺機能検査用フィルター16を咥えた状態を維持することを、検査者が補助する際に把持する。図3に示すように、第二把持部10は、ケーシング8の第二端部12側へ傾けても良い。この場合、検査者が第二把持部10を把持し易くなり、補助し易くなる。
【0022】
また、図4に示すように、第一端部11側から第二端部12側を見た正面視において、第一把持部9に対して、第二把持部10が角度をなしても良い。この場合、検査者が第二把持部10が角度をなす方向に立ち、被験者を補助することができるため、被験者の呼気を浴びることを低減することができる。
【0023】
高齢者など、把持力が弱く、把持部を上手く把持することができない被験者は、検査中、安定してフローセンサーユニット3を口元に維持できない場合がある。そのため、検査中、フローセンサーユニット3を口元に維持できず、被験者が咥えているマウスピース15や肺機能検査用フィルター16と、被験者の口元との間に隙間が生じ、その隙間から息漏れが発生し、正確な呼吸流量を計測できなかった。
【0024】
本実施形態の呼吸機能検査装置は、検査中、被験者がフローセンサーユニット3を被験者の口元に維持することを、検査者が第二把持部10を把持し、補助することができる。そのため、被験者が咥えているマウスピース15や肺機能検査用フィルター16と、被験者の口元との間に隙間が生じ難く、正確な測定結果を得ることができる。
【0025】
従来の呼吸機能検査装置においては、例えば、被験者が把持する把持部を検査者が把持することで、フローセンサーユニット3を被験者の口元に維持しようとしていた。
【0026】
被験者が把持部を把持している場合、被験者と検査者の手が触れる可能性が高く、被験者が違和感や不快感により、リラックスした状態で検査を行うことが困難であった。
【0027】
また、昨今の大規模な感染症の流行により、衛生水準の向上が望まれており、被験者との接触を回避した検査者による補助が必要不可欠となっている。そこで、検査者だけが把持部を把持する場合が考えられる。しかし、検査者が主となり、被験者の口元にフローセンサーユニット3を維持し続けることが困難であり、検査に支障をきたしていた。
【0028】
そこで、本実施形態の呼吸機能検査装置は、第一把持部9と第二把持部10を設け、被験者と検査者の把持部を分けている。そのため、被験者と検査者の接触を回避し、検査者が被験者を補助することで、被験者がリラックスした状態で検査に臨み、被験者本来の呼吸機能を発揮することができる。
【0029】
また、検査開始前においては、検査者が第二把持部10を持ち、被験者にフローセンサーユニット3を渡すことができるため、衛生的である。
【0030】
また、被験者の口元にフローセンサーユニット3を維持する場合、フローセンサーユニット3を被験者の口元の高さに固定することが考えられる。この場合、被験者の頭の動きが制限される。
【0031】
例えば、被験者の最大呼気流量、最大吸気流量を測定する場合、被験者は、大きく息を吸い込んで、力いっぱい息を吹き出す。その際、フローセンサーユニット3が固定されていると、頭部が前後に動き難く、被験者本来の呼吸機能を発揮し難い。
【0032】
本実施形態の呼吸機能検査装置は、検査者が第二把持部10を把持し、被験者の口元にフローセンサーユニット3を維持するため、被験者の頭部の動きに合わせて、補助することができ、被験者本来の呼吸機能を発揮することができる。
【0033】
(第二実施形態)
以下、本発明の第二実施形態に係る呼吸機能検査装置について、図5図7を参照して説明する。第二実施形態の呼吸機能検査装置は、第一実施形態の呼吸機能検査装置と異なり、第一把持部9と第二把持部10が開口部17を形成している。図5に示すように、開口部17の形状は、例えば、半楕円形状である。また、開口部17の形状は、半円形状、四角形、半六角形、半八角形などの半多角形状でも良い。
【0034】
また、開口部17の内周形状と外周形状を異ならせてもよい。例えば、図6に示すように、外周形状が半楕円形状に対して、内周形状を四角形としてもよい。また、開口部17の内周には、被験者、検査者が把持しやすいように、凹凸を設けても良い。
【0035】
また、図5図6の開口部17は、各形状を半分にした半形状としているが、必須ではない。例えば、図7に示すように、開口部17を楕円形状としてもよい。また、開口部17は、四角形、六角形、八角形などの多角形状でも良い。
【0036】
高齢者など力の弱い被験者は、フローセンサーユニット3を口元へ維持できないため、フローセンサーユニット3の位置が低くなる。そのため、顔が下向き、気道が狭くなり、被験者本来の呼気量を計測できない場合がある。そのため、検査者がフローセンサーユニット3の位置を上げ、顔が正面を向くように補助する。
【0037】
本実施形態の呼吸機能検査装置は、第一把持部9と第二把持部10を開口部17に沿って設けており、被験者が開口部17の第二把持部10を把持することで、検査者は、フローセンサーユニット3を適切な高さに誘導し、正しい姿勢で検査をすることができる。また、把持力の弱い被験者は、開口部17に指を添えれば、検査者が正しい姿勢へ誘導することができる。
【0038】
また、本実施形態の呼吸機能検査装置は、開口部17を、ケーシング8の第二端部12側へ傾けている。被験者が第一把持部9を把持すると、腕が上がり易くなる。そのため、被験者の脇が極端に締まることを抑制し、被験者の腕が、呼吸の際の胸郭の動きを妨げず、被験者は、被験者本来の吸気量、呼気量を発揮することができ、正確な計測結果を得ることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 本体
2 電気信号線
3 フローセンサーユニット
4 出力部
5 入力部
6 制御部
7 フローセンサー
8 ケーシング
9 第一把持部
10 第二把持部
11 第一端部
12 第二端部
13 流入口
14 流出口
15 マウスピース
16 肺機能検査用フィルター
17 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7