(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144508
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】重機用作業架台
(51)【国際特許分類】
E04G 27/00 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
E04G27/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051516
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】町田 誠
(57)【要約】 (修正有)
【課題】傾斜面上に水平または水平に近い支持面を容易に形成可能な重機用作業架台を提供する。
【解決手段】重機用作業架台1は、本体部11と、荷重分散板12とを備える。本体部11は、重機HMが傾斜面ISの上に設置されたときに、支持面SFを形成する上面11tと、傾斜面ISの傾斜角αに対応する角度Aで斜面ISに対向配置される傾斜底面11bと、を有している。荷重分散板12は、本体部11の先端11fから突出して傾斜面ISの上に配置される先端部12fを有し、かつ重機HMの荷重を受けて本体部11の上面11tおよび傾斜面ISに沿ってたわむ弾性を有している。本体部11の上面11tは、上面先端部11tfと、上面後方部11trと、を有している。上面先端部11tfと傾斜面ISとの間の角が、上面後方部11trと傾斜面ISとの間の角よりも大きくなるように、上面先端部11tfが上面後方部11trに対して傾斜している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡樹脂製の本体部と該本体部の上に設置される荷重分散板とを備えた重機用作業架台であって、
前記本体部は、重機が作業を行う傾斜面の上に設置されたときに水平または該傾斜面よりも水平に近い支持面を形成する上面と、該上面に対して前記傾斜面の傾斜角に対応する角度で傾斜させて設けられて前記傾斜面に対向配置される傾斜底面と、を有し、
前記荷重分散板は、前記傾斜面の傾斜方向の上方側に配置される前記本体部の先端から突出して前記傾斜面の上に配置される先端部を有し、かつ前記重機の荷重を受けて前記本体部の前記上面および前記傾斜面に沿ってたわむ弾性を有し、
前記本体部の前記上面は、前記本体部の前記先端に隣接する上面先端部と、前記先端とは反対側の前記本体部の後端に隣接する上面後方部と、を有し、
前記本体部が前記傾斜面に設置された状態で前記上面先端部と前記傾斜面との間の角が前記上面後方部と前記傾斜面との間の角よりも大きくなるように、前記上面先端部が前記上面後方部に対して傾斜していることを特徴とする重機用作業架台。
【請求項2】
前記本体部は、前記上面に直交する上下方向、該上下方向に直交して前記先端から前記後端へ向かう前後方向、または、前記上下方向および前記前後方向に直交する左右方向の少なくとも一方向において、複数の分割ブロックに分割されていることを特徴とする請求項1に記載の重機用作業架台。
【請求項3】
前記本体部は、前記上下方向において一つ以上の上下分割面によって前記複数の分割ブロックに分割され、
前記支持面を形成する前記上面が水平面に沿うように前記本体部を配置した状態で、各々の前記上下分割面の傾斜角は、前記本体部の前記傾斜底面の傾斜角よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の重機用作業架台。
【請求項4】
前記左右方向において、前記荷重分散板の両端部は、前記本体部の両端部または前記複数の分割ブロックの各々の両端部よりも内側に配置されることを特徴とする請求項2に記載の重機用作業架台。
【請求項5】
前記本体部は、前記前後方向において一つ以上の前後分割面によって前記複数の分割ブロックに分割され、
前記荷重分散板は、前記前後方向において前記本体部の前記前後分割面とは異なる位置で複数の分割板に分割されていることを特徴とする請求項2に記載の重機用作業架台。
【請求項6】
前記上面先端部は、前記上面に直交する上下方向に平行かつ前記先端から前記後端へ向かう前後方向に平行な断面において、前記上面後方部に滑らかに接続する凹曲面形状を有することを特徴とする請求項1に記載の重機用作業架台。
【請求項7】
前記上面先端部の前記前後方向に沿う寸法は、前記重機の接地部の前記前後方向に沿う寸法に対応していることを特徴とする請求項6に記載の重機用作業架台。
【請求項8】
前記荷重分散板の上に敷設され、複数の凹部と複数の凸部の少なくとも一方を有する樹脂製の滑り止め材を備えることを特徴とする請求項1に記載の重機用作業架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、重機用作業架台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、クローラクレーンの水平据付け構造が知られている。たとえば、下記特許文献1に、傾斜面で使用するクローラクレーンを、傾斜構台を用いて水平または略水平に据え付ける水平据付け構造が記載されている(請求項1、第0008段落等)。上記傾斜構台は、帯板状鉄板と、一対の支持架台と、一対のジャッキ装置とからなる。
【0003】
上記帯板状鉄板は、傾斜面の勾配方向に敷設される。上記一対の支持架台は、帯板状鉄板の両側の側縁部に沿って各々配置されてその側縁部を支持するとともに、クローラクレーンのクローラが移動可能な間隔幅を保持して並設される。上記一対のジャッキ装置は、勾配方向の下部における一対の支持架台の各々の外側に設置されて、支持架台を帯板状鉄板とともに昇降させる。
【0004】
さらに、この従来の水平据え付け構造は、ジャッキ装置によるジャッキアップによって上昇した帯板状鉄板と傾斜面との間の隙間に、勾配方向の下方から挿入配置される楔状キャンバー部材を備えている。この楔状キャンバー部材は、傾斜面の勾配の角度と対応する傾斜角度を有する。
【0005】
そして、この従来の水平据え付け構造は、クローラクレーンの左右一対のクローラの据付け位置に、一対の傾斜構台を各々設置し、左右一対のクローラの移動方向の後部が一対の傾斜構台の帯板状鉄板に各々乗るまで、クローラクレーンを移動させる。その後、ジャッキ装置によって支持架台の勾配方向の下部を各々ジャッキアップすることで、クローラが乗った帯板状鉄板を水平または略水平に配置する。そして、ジャッキアップによって生じた帯板状鉄板と傾斜面との間の隙間に、楔状キャンバー部材を各々挿入配置して、クローラクレーンを水平または略水平に据え付ける。
【0006】
また、自走手段を具備する傾斜面用の重機用足場材が知られている。下記特許文献2に記載された重機用足場材は、側面視の輪郭が全体として略楔形状であって、重機を上載した状態においてその履帯または車輪と対向する部分を上記輪郭の一辺とし、傾斜面の斜面と対向する部分を上記輪郭の他の一辺とする(請求項3および6ならびに第0015段落および第0016段落等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-197145号公報
【特許文献2】特開2016-17366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に記載された従来の水平据え付け構造は、一対の傾斜構台を設置する際に、帯板状鉄板および一対の支持架台をクローラクレーンで吊り上げる必要があり、設置作業が煩雑である。また、クローラクレーンが乗った左右の帯板状鉄板のバランスを取りながら、ジャッキ装置によって支持架台の勾配方向の下部を各々ジャッキアップしなければならず、クローラクレーンの水平据え付け作業が非常に煩雑になる。
【0009】
また、上記特許文献2に記載された従来の重機用足場材は、ジャッキアップ装置を備えた重機に使用することが前提となっている。具体的には、この従来の重機用足場材の使用時には、まず、クレーンの下部走行体が具備する各ジャッキアップ装置を作動させ、クレーンの傾きがほぼ無くなるようにジャッキアップする。その後、予め用意しておいた平面視略楔形状の重機用足場材を、相番クレーンにより吊り込んで、クレーンの真後ろの方へ移動させる。
【0010】
そして、重機用足場材の側面視鋭角状の先端側をクレーンの方へ向けた状態で、そのまま水平方向に移動し、重機用足場材の先端寄りの一部分を、クレーンの履帯底面と覆工面との間の楔形スペースに挿し込むようにして潜り込ませる。すなわち、この従来の重機用足場材の設置には、重機用足場材の上に乗るクレーンなどの重機の他に、重機用足場材を設置するための相番クレーンが必要になる。
【0011】
本開示は、傾斜面上に水平または水平に近い支持面を容易に形成可能な重機用作業架台を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の一態様は、発泡樹脂製の本体部と該本体部の上に設置される荷重分散板とを備えた重機用作業架台であって、前記本体部は、重機が作業を行う傾斜面の上に設置されたときに水平または該傾斜面よりも水平に近い支持面を形成する上面と、該上面に対して前記傾斜面の傾斜角に対応する角度で傾斜させて設けられて前記傾斜面に対向配置される傾斜底面と、を有し、前記荷重分散板は、前記傾斜面の傾斜方向の上方側に配置される前記本体部の先端から突出して前記傾斜面の上に配置される先端部を有し、かつ前記重機の荷重を受けて前記本体部の前記上面および前記傾斜面に沿ってたわむ弾性を有し、前記本体部の前記上面は、前記本体部の前記先端に隣接する上面先端部と、前記先端とは反対側の前記本体部の後端に隣接する上面後方部と、を有し、前記本体部が前記傾斜面に設置された状態で前記上面先端部と前記傾斜面との間の角が前記上面後方部と前記傾斜面との間の角よりも大きくなるように、前記上面先端部が前記上面後方部に対して傾斜していることを特徴とする重機用作業架台である。
【0013】
上記態様の重機用作業架台において、重機の支持面を形成する本体部は、発泡樹脂製である。そのため、金属や木材よりも軽量な発泡樹脂製の本体部を、作業員が自らの手で持ち運んで、クレーンなどの重機が作業を行う傾斜面の上に設置することができる。また、本体部を傾斜面に設置するときに、本体部の上面に対して傾斜面の傾斜角に対応する角度で傾斜させて設けられた本体部の傾斜底面を、傾斜面に対向させる。これにより、傾斜面の上に設置された本体部の上面によって、水平またはその傾斜面よりも水平に近い支持面を形成することができる。なお、傾斜面の傾斜角とは、傾斜面の水平面からの傾きの角度である。
【0014】
また、上記態様の重機用作業架台において、本体部の上面によって形成される支持面は、本体部の上に設置される荷重分散板を介して重機を支持する。これにより、荷重分散板の上で作業を実施する重機の荷重は、荷重分散板によって分散され、荷重分散板が設置された本体部の上面の広い範囲に均一に作用する。そのため、上記態様の重機用作業架台によれば、重機の荷重による本体部の上面への応力集中を防止して、発泡樹脂製の本体部の損傷を防止することができ、本体部によって重量の大きな重機を支持することが可能になる。
【0015】
また、上記態様の重機用作業架台は、本体部を傾斜面の上に設置すると、傾斜面の傾斜方向の上方側に配置される本体部の先端において、傾斜面と本体部の上面とが隣り合う。ここで、傾斜面の傾斜方向とは、傾斜面の最大傾斜線に沿う方向であり、傾斜面の勾配が最大となる方向である。この状態で、傾斜面は、水平または傾斜面よりも水平に近い本体部の上面に対し、傾斜面の傾斜角またはそれに近い角度で傾斜している。また、本体部の上面の上に設置される荷重分散板の先端部は、本体部の先端から突出して傾斜面の上に配置されている。
【0016】
そのため、重機は、傾斜面から重機用作業架台の本体部の上に移動するときに、傾斜面の上に配置された荷重分散板の先端部に乗り上げてから、本体部の上に配置された荷重分散板の上に移動する。このとき、荷重分散板が重機の荷重を受けて本体部の上面および傾斜面に沿ってたわむ弾性を有することで、荷重分散板の先端部が凹曲面状に弾性変形して、荷重分散板と重機との接触面積を増加させる。したがって、重機が傾斜面から本体部の上に設置された荷重分散板に乗り上げるときに、荷重分散板に作用する荷重を分散させ、荷重分散板から本体部の先端に作用する応力を低減させ、発泡樹脂製の本体部の先端の損傷を防止することができる。
【0017】
さらに、上記態様の重機用作業架台において、本体部の上面は、本体部の先端に隣接する上面先端部と、本体部の先端とは反対側の本体部の後端に隣接する上面後方部と、を有している。そして、本体部が傾斜面に設置された状態で、上面先端部と傾斜面との間の角が、上面後方部と傾斜面との間の角よりも大きくなるように、上面先端部が上面後方部に対して傾斜している。このような構成により、上面先端部と傾斜面とがなす角および上面先端部と上面後方部とがなす角を、それぞれ、上面後方部と傾斜面とがなす角よりも、二直角すなわち180度(πラジアン)に近い角度にすることができる。
【0018】
その結果、重機は、傾斜面から重機用作業架台の本体部の上に移動するときに、傾斜面の上に配置された荷重分散板の先端部に乗り上げてから、本体部の上面先端部の上に配置された荷重分散板の上に移動する。これにより、本体部の上面先端部および上面後方部を含む上面のより広い範囲で、重機の荷重を受けてたわむ荷重分散板を支持することができ、荷重分散板から本体部の上面に作用する荷重を分散させ、本体部に作用する応力を低減させることができる。したがって、重機の荷重を支持する発泡樹脂製の本体部の損傷を防止することができる。
【0019】
また、上記態様の重機用作業架台において、前記本体部は、前記上面に直交する上下方向、該上下方向に直交して前記先端から前記後端へ向かう前後方向、または、前記上下方向および前記前後方向に直交する左右方向の少なくとも一方向において、複数の分割ブロックに分割されていてもよい。
【0020】
このような構成により、重機用作業架台の本体部を構成する個々の分割ブロックを軽量化して人手による本体部の設置を容易にすることができる。また、個々の分割ブロックの寸法を小さくして、搬送を容易にすることができる。また、分割ブロックの数を増加させることで、大型の重機に使用可能な大型の本体部を構成することができる。
【0021】
また、上記態様の重機用作業架台において、前記本体部は、前記上下方向において一つ以上の上下分割面によって前記複数の分割ブロックに分割され、前記支持面を形成する前記上面が水平面に沿うように前記本体部を配置した状態で、各々の前記上下分割面の傾斜角は、前記本体部の前記傾斜底面の傾斜角よりも小さくてもよい。
【0022】
このような構成により、傾斜面の傾斜角に応じて上下方向に積み重ねる分割ブロックの数を増減させることで、傾斜角が異なる複数の傾斜面の上に、本体部の上面によって水平またはそれぞれの傾斜面よりも水平に近い支持面を形成することができる。この場合、個々の分割ブロックの下側の上下分割面は、傾斜面に対向配置される本体部の傾斜底面として使用することができ、個々の分割ブロックの上側の上下分割面は、支持面を形成する本体部の上面として使用することができる。
【0023】
また、上記態様の重機用作業架台では、前記左右方向において、前記荷重分散板の両端部は、前記本体部の両端部または前記複数の分割ブロックの各々の両端部よりも内側に配置されていてもよい。
【0024】
このような構成により、荷重分散板の左右方向の両端部が、本体部の両端部、または、間隔をあけて配置された一対の分割ブロックの各々の両端部から突出せず、荷重分散板の左右方向の全体が、本体部の支持面である上面によって支持される。したがって、本体部の支持面によって支持されていない荷重分散板の端部の上に重機が乗ることが防止され、重機用作業架台の上の重機の安定性を向上させることができる。
【0025】
また、上記態様の重機用作業架台において、前記本体部は、前記前後方向において一つ以上の前後分割面によって前記複数の分割ブロックに分割され、前記荷重分散板は、前記前後方向において前記本体部の前記前後分割面とは異なる位置で複数の分割板に分割されていてもよい。
【0026】
このような構成により、前後方向において本体部を複数の分割ブロックに分割する前後分割面の上に、荷重分散板を構成する各々の分割板が配置される。これにより、前後方向に隣接する各々の分割ブロックが上下方向、左右方向、または前後方向にずれることを防止して、本体部が複数の分割ブロックによって構成される重機用作業架台の安定性を向上させることができる。
【0027】
また、上記態様の重機用作業架台において、前記上面先端部は、前記上面に直交する上下方向に平行かつ前記先端から前記後端へ向かう前後方向に平行な断面において、前記上面後方部に滑らかに接続する凹曲面形状を有してもよい。
【0028】
このような構成により、重機が傾斜面から重機用作業架台の本体部の上へ移動するときに、重機の荷重を受けて凹曲面状にたわむ荷重分散板と、上記凹曲面形状を有する本体部の上面先端部との接触面積を増加させることができる。これにより、荷重分散板から本体部の上面に作用する荷重を分散させ、本体部に作用する応力を低減させることができる。したがって、重機の荷重を支持する発泡樹脂製の本体部の損傷を防止することができる。
【0029】
また、上記態様の重機用作業架台において、前記上面先端部の前記前後方向に沿う寸法は、前記重機の接地部の前記前後方向に沿う寸法に対応していてもよい。具体的には、前記上面先端部の前記前後方向に沿う寸法は、たとえば、前記重機の接地部の前記前後方向に沿う寸法の50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、または90%以上にすることができる。
【0030】
このような構成により、重機が傾斜面から重機用作業架台の本体部の上へ移動するときに、重機の荷重を受けて凹曲面状にたわむ荷重分散板と、上記凹曲面形状を有する本体部の上面先端部との接触面積を、より確実に増加させることができる。これにより、荷重分散板から本体部の上面に作用する荷重をより確実に分散させ、本体部に作用する応力を低減させることができる。したがって、重機の荷重を支持する発泡樹脂製の本体部の損傷をより確実に防止することができる。
【0031】
また、上記態様の重機用作業架台は、前記荷重分散板の上に敷設され、複数の凹部と複数の凸部の少なくとも一方を有する樹脂製の滑り止め材を備えてもよい。
【0032】
このような構成により、重機が重機用作業架台の本体部の上に設置された荷重分散板の上を移動するときに、荷重分散板の上に敷設された樹脂製の滑り止め材の複数の凹部と複数の凸部の少なくとも一方によって、重機の滑りを防止することができる。したがって、重機用作業架台の上で作業する重機の安定性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0033】
本開示によれば、傾斜面上に水平または水平に近い支持面を容易に形成可能な重機用作業架台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本開示に係る重機用作業架台の実施形態1を示す側面図。
【
図3】
図1に示す重機用作業架台の本体部の先端の拡大図。
【
図4】本開示に係る重機用作業架台の実施形態2を示す側面図。
【
図5】本開示に係る重機用作業架台の実施形態3を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して本開示に係る重機用作業架台の実施形態を説明する。
【0036】
[実施形態1]
図1は、本開示に係る重機用作業架台の実施形態1を示す側面図である。
図2は、
図1に示す重機用作業架台1の平面図である。
図3は、
図1に示す重機用作業架台1の本体部11の先端11fの拡大図である。
【0037】
本実施形態の重機用作業架台1は、たとえば、高架橋の両端部、高架道路の入口もしくは出口、または登坂路などの傾斜面ISの上に設置され、その傾斜面ISの上で作業を行う重機HMの足場となる水平な支持面SFまたはその傾斜面ISよりも水平に近い支持面SFを形成する。重機用作業架台1の上で作業を行う重機HMとしては、定格荷重の資材を吊り上げるために水平に設置する必要があるクレーンを例示することができるが、特に限定はされない。
【0038】
重機用作業架台1は、発泡樹脂製の本体部11と、その本体部11の上に設置される荷重分散板12とを備えている。本体部11を構成する発泡樹脂としては、たとえば、発泡ポリスチレンが、軽量であり、所要の強度を確保しやすい点から好ましく、その密度が15kg/m3から70kg/m3程度であれば、強度と軽量性の観点からさらに好ましい。また、本体部11を構成する発泡樹脂としては、他にポリプロピレン、硬質ウレタン、ABS樹脂、または塩化ビニルなどの発泡成形品を使用することができる。また、本体部11は、一体に設けられていてもよいが、複数の分割ブロック111に分割されていてもよい。
【0039】
本体部11は、たとえば、上面11tに直交する上下方向、その上下方向に直交して本体部11の先端11fから後端11rへ向かう前後方向、または、上下方向および前後方向に直交する左右方向の少なくとも一方向において、複数の分割ブロック111に分割することができる。各図に、前後方向に平行なX軸、左右方向に平行なY軸、および上下方向に平行なZ軸を含む3次元の直交座標系を示す。
【0040】
図1および
図2に示す例において、本体部11は、一つの前後分割面112によって前後方向に二つに分割されるとともに、左右方向においても二つに分割され、合計四つの分割ブロック111に分割されている。より具体的には、前後方向に並べて配置された二つの分割ブロック111の対が、左右方向に間隔をあけて配置されている。本体部11は、これら前後二つの分割ブロック111の左右の対の中心線Cの間隔Dが、たとえば、重機HMの接地部FPであるクレーンの左右のクローラの中心線の間隔に一致するように設置される。
【0041】
前後方向に並んだ二つの分割ブロック111の平面形状は、たとえば、前後方向を長手方向とする長方形である。なお、本体部11は、前後方向において、二つ以上の前後分割面112により三つ以上の分割ブロック111に分割されていてもよい。また、本体部11は、左右方向においても、二つ以上の左右分割面により三つ以上の分割ブロック111に分割されていてもよい。この場合、左右方向に配置される複数の分割ブロック111は、左右方向に間隔をあけずに並べられていてもよい。
【0042】
荷重分散板12は、たとえば、本体部11の上に設置される硬質の矩形板状の部材である。
図2に示す例において、荷重分散板12は、本体部11の前後方向を長手方向とする長方形の平面形状を有している。荷重分散板12の素材は、特に限定されないが、たとえば、樹脂材、鋼材、コンクリート材、繊維強化樹脂材、木質系合成材、合成ゴム、ゴム含有樹脂材など、重機HMの荷重に対する十分な強度を有する素材を選定することができる。
【0043】
荷重分散板12は、傾斜面ISの傾斜方向Ddの上方側に配置される本体部11の先端11fから突出して傾斜面ISの上に配置される先端部12fを有している。ここで、傾斜面ISの傾斜方向Ddとは、傾斜面ISの最大傾斜線に沿う方向であり、傾斜面ISの勾配が最大となる方向である。また、荷重分散板12は、重機HMの荷重を受けて本体部11の上面11tおよび傾斜面ISに沿ってたわむ弾性を有している。ここで、本体部11の上面11tおよび傾斜面ISに沿ってたわむ弾性とは、荷重分散板12が重機HMの荷重を受けたときに、本体部11の上面11tおよび傾斜面ISとの間に空間を有していた部分が、本体部11の上面11tおよび傾斜面ISへ近付くように弾性変形可能であることを意味している。
【0044】
また、荷重分散板12は、たとえば、本体部11の前後方向において、本体部11の前後分割面112とは異なる位置で複数の分割板121に分割されている。
図2に示す例において、荷重分散板12は、前後方向において三つの分割板121に分割されているが、分割板121の分割数は特に限定されない。
【0045】
また、
図2に示す例において、荷重分散板12は、本体部11の分割ブロック111と同様に、左右方向においても二つの分割板121に分割され、左右の分割板121は間隔をあけて配置されている。また、左右方向において、荷重分散板12の両端部は、本体部11の両端部よりも内側に配置されている。より詳細には、前後方向に並んだ三つの分割板121の対が、左右に間隔をあけて配置され、前後方向に並んだ二つの分割ブロック111の対の上に配置されている。そして、左右方向において、各々の分割板121の両端部が、各々の分割ブロック111の両端部よりも内側に配置されている。
【0046】
本体部11は、上面11tと傾斜底面11bとを有し、側面視でくさび状の形状を有している。本体部11の上面11tは、重機HMが作業を行う傾斜面ISの上に本体部11が設置されたときに、水平またはその傾斜面ISよりも水平に近い支持面SFを形成する。本体部11の傾斜底面11bは、本体部11の上面11tに対して傾斜面ISの傾斜角αに対応する角度Aで傾斜させて設けられ、傾斜面ISに対向配置される。
【0047】
ここで、傾斜面ISの傾斜角αとは、傾斜面ISの水平面からの傾きの角度である。また、傾斜面ISの傾斜角αに対応する角度Aは、たとえば、傾斜面ISの傾斜角αに等しい角度と、傾斜面ISの傾斜角αとの差が所定のしきい値以下の角度を含む。このようなしきい値は、たとえば、傾斜面ISの傾斜角αの約5%程度である。
【0048】
本体部11の上面11tは、本体部11の先端11fに隣接する上面先端部11tfと、本体部11の先端11fとは反対側の本体部11の後端11rに隣接する上面後方部11trと、を有している。本体部11が傾斜面ISに設置された状態で、
図3に示すように、上面先端部11tfと傾斜面ISとの間の角βが、上面後方部11trと傾斜面ISとの間の角γよりも大きくなるように、上面先端部11tfが上面後方部11trに対して傾斜している。
【0049】
図3に示す例において、本体部11の前後方向における上面先端部11tfの寸法Ldは、本体部11の先端11fの厚さTと、上面後方部11trに対する上面先端部11tfの傾斜角δに応じて決定されている。すなわち、本体部11の前後方向における上面先端部11tfの寸法Ldは、たとえば、Ld=T/tanδのように決定される。
【0050】
以下、本実施形態の重機用作業架台1の作用を説明する。
【0051】
前述のように、特許文献1に記載された従来のクローラクレーンの水平据付け構造は、一対の傾斜構台を設置する際に、帯板状鉄板および一対の支持架台をクローラクレーンで吊り上げる必要があり、設置作業が煩雑である。また、クローラクレーンが乗った左右の帯板状鉄板のバランスを取りながら、ジャッキ装置によって支持架台の勾配方向の下部を各々ジャッキアップしなければならず、クローラクレーンの水平据え付け作業が非常に煩雑になる。
【0052】
また、前述のように、上記特許文献2に記載された従来の重機用足場材は、ジャッキアップ装置を備えた重機に使用することが前提となっている。また、この従来の重機用足場材の設置には、重機用足場材の上に乗るクレーンなどの重機の他に、重機用足場材を設置するための相番クレーンが必要になる。
【0053】
これに対し、本実施形態の重機用作業架台1は、発泡樹脂製の本体部11とその本体部11の上に設置される荷重分散板12とを備えている。本体部11は、重機HMが作業を行う傾斜面ISの上に設置されたときに水平またはその傾斜面ISよりも水平に近い支持面SFを形成する上面11tを有する。また、本体部11は、上面11tに対して傾斜面ISの傾斜角αに対応する角度Aで傾斜させて設けられて傾斜面ISに対向配置される傾斜底面11bを有する。荷重分散板12は、傾斜面ISの傾斜方向Ddの上方側に配置される本体部11の先端11aから突出して傾斜面ISの上に配置される先端部12fを有し、かつ重機HMの荷重を受けて本体部11の上面11tおよび傾斜面ISに沿ってたわむ弾性を有している。本体部11の上面11tは、本体部11の先端11fに隣接する上面先端部11tfと、先端11fとは反対側の本体部11の後端11rに隣接する上面後方部11trと、を有している。そして、本体部11が傾斜面ISに設置された状態で、上面先端部11tfと傾斜面ISとの間の角βが、上面後方部11trと傾斜面ISとの間の角γよりも大きくなるように、上面先端部11tfが上面後方部11trに対して傾斜している。
【0054】
すなわち、本実施形態の重機用作業架台1において、重機HMの支持面SFを形成する本体部11は、発泡樹脂製である。そのため、金属や木材よりも軽量な発泡樹脂製の本体部11を、作業員が自らの手で持ち運んで、クレーンなどの重機HMが作業を行う傾斜面ISの上に設置することができる。また、本体部11を傾斜面ISに設置するときに、本体部11の上面11tに対して傾斜面ISの傾斜角αに対応する角度Aで傾斜させて設けられた本体部11の傾斜底面11bを、傾斜面ISに対向させる。これにより、傾斜面ISの上に設置された本体部11の上面11tによって、水平またはその傾斜面ISよりも水平に近い支持面SFを形成することができる。したがって、本実施形態の重機用作業架台1によれば、傾斜面IS上に水平または水平に近い支持面SFを容易に形成することができる。
【0055】
また、本実施形態の重機用作業架台1において、本体部11の上面11tによって形成される支持面SFは、本体部11の上に設置される荷重分散板12を介して重機HMを支持する。これにより、荷重分散板12の上で作業を実施する重機HMの荷重は、荷重分散板12によって分散され、荷重分散板12が設置された本体部11の上面11tの広い範囲に均一に作用する。そのため、本実施形態の重機用作業架台1によれば、重機HMの荷重による本体部11の上面11tへの応力集中を防止して、発泡樹脂製の本体部11の損傷を防止することができ、本体部11によって重量の大きな重機HMを支持することが可能になる。
【0056】
また、本実施形態の重機用作業架台1は、本体部11を傾斜面ISの上に設置すると、傾斜面ISの傾斜方向Ddの上方側に配置される本体部11の先端11fにおいて、傾斜面ISと本体部11の上面11tとが隣り合う。この状態で、傾斜面ISは、水平または傾斜面ISよりも水平に近い本体部11の上面11tに対し、傾斜面ISの傾斜角αまたはそれに近い角度で傾斜している。また、本体部11の上面11tの上に設置される荷重分散板12の先端部12fは、本体部11の先端11fから突出して傾斜面ISの上に配置されている。
【0057】
そのため、重機HMは、傾斜面ISから重機用作業架台1の本体部11の上に移動するときに、傾斜面ISの上に配置された荷重分散板12の先端部12fに乗り上げてから、本体部11の上に配置された荷重分散板12の上に移動する。このとき、荷重分散板12が重機HMの荷重を受けて本体部11の上面11tおよび傾斜面ISに沿ってたわむ弾性を有することで、荷重分散板12の先端部12fが凹曲面状に弾性変形して、先端部12fと重機HMとの接触面積を増加させる。したがって、重機HMが傾斜面ISから本体部11の上に設置された荷重分散板12に乗り上げるときに、荷重分散板12に作用する荷重を分散させ、荷重分散板12から本体部11の先端11fに作用する応力を低減させ、発泡樹脂製の本体部11の先端11fの損傷を防止することができる。
【0058】
さらに、本実施形態の重機用作業架台1において、本体部11の上面11tは、本体部11の先端11fに隣接する上面先端部11tfと、本体部11の先端11fとは反対側の本体部11の後端11rに隣接する上面後方部11trと、を有している。そして、本体部11が傾斜面ISに設置された状態で、上面先端部11tfと傾斜面ISとの間の角βが、上面後方部11trと傾斜面ISとの間の角γよりも大きくなるように、上面先端部11tfが上面後方部11trに対して傾斜している。このような構成により、上面先端部11tfと傾斜面ISとがなす角βおよび上面先端部11tfと上面後方部11trとがなす角δを、それぞれ、上面後方部11trと傾斜面ISとがなす角γよりも、二直角すなわち180度(πラジアン)に近い角度にすることができる。
【0059】
その結果、重機HMは、傾斜面ISから重機用作業架台1の本体部11の上に移動するときに、傾斜面ISの上に配置された荷重分散板12の先端部12fに乗り上げてから、本体部11の上面先端部11tfの上に配置された荷重分散板12の上に移動する。これにより、本体部11の上面先端部11tfおよび上面後方部11trを含む上面11tのより広い範囲で、重機HMの荷重を受けてたわむ荷重分散板12を支持することができ、荷重分散板12から本体部11の上面11tに作用する荷重を分散させ、本体部11に作用する応力を低減させることができる。したがって、重機HMの荷重を支持する発泡樹脂製の本体部11の損傷を防止することができる。
【0060】
また、本実施形態の重機用作業架台1において、本体部11は、上面11tに直交する上下方向、その上下方向に直交して先端11fから後端11rへ向かう前後方向、または、上下方向および前後方向に直交する左右方向の少なくとも一方向において、複数の分割ブロック111に分割されている。
【0061】
このような構成により、重機用作業架台1の本体部11を構成する個々の分割ブロック111を軽量化して人手による本体部11の設置を容易にすることができる。また、個々の分割ブロック111の寸法を小さくして、搬送を容易にすることができる。また、分割ブロック111の数を増加させることで、大型の重機HMに使用可能な大型の本体部11を構成することができる。
【0062】
また、本実施形態の重機用作業架台1では、左右方向において、荷重分散板12の両端部は、本体部11の両端部または複数の分割ブロック111の各々の両端部よりも内側に配置されている。
【0063】
このような構成により、荷重分散板12または分割板121の左右方向の両端部が、本体部11の両端部、または、間隔をあけて配置された一対の分割ブロック111の各々の両端部から突出せず、荷重分散板12の左右方向の全体が、本体部11の支持面SFである上面11tによって支持される。したがって、本体部11の支持面SFによって支持されていない荷重分散板12の端部の上に重機HMが乗ることが防止され、重機用作業架台1の上の重機HMの安定性を向上させることができる。
【0064】
また、本実施形態の重機用作業架台1において、本体部11は、前後方向において一つ以上の前後分割面112によって複数の分割ブロック111に分割されている。また、荷重分散板12は、前後方向において本体部11の前後分割面112とは異なる位置で複数の分割板121に分割されている。
【0065】
このような構成により、前後方向において本体部11を複数の分割ブロック111に分割する前後分割面112の上に、荷重分散板12を構成する各々の分割板121が配置される。これにより、前後方向に隣接する各々の分割ブロック111が上下方向、左右方向、または前後方向にずれることを防止して、本体部11が複数の分割ブロック111によって構成される重機用作業架台1の安定性を向上させることができる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態によれば、傾斜面IS上に水平または水平に近い支持面SFを容易に形成可能な重機用作業架台1を提供することができる。
【0067】
[実施形態2]
次に、前述の実施形態1の
図2および
図3を援用し、
図4を参照して本開示に係る重機用作業架台の実施形態2を説明する。本実施形態の重機用作業架台1は、以下に説明する構成を除いて、前述の実施形態1の重機用作業架台1と同様の構成を有している。したがって、本実施形態の重機用作業架台1において、前述の実施形態1の重機用作業架台1と同様の部分には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
本実施形態の重機用作業架台1において、本体部11は、上下方向において一つ以上の上下分割面113によって複数の分割ブロック111に分割されている。また、本実施形態の重機用作業架台1は、支持面SFを形成する本体部11の上面11tが水平面に沿うように本体部11を配置した状態で、各々の上下分割面113の傾斜角λが、本体部11の傾斜底面11bの傾斜角Bよりも小さくなっている。
【0069】
このような構成により、傾斜面ISの傾斜角εに応じて上下方向に積み重ねる分割ブロック111の数を増減させることで、傾斜角εが異なる複数の傾斜面ISの上に、本体部11の上面11tによって水平またはそれぞれの傾斜面ISよりも水平に近い支持面SFを形成することができる。この場合、個々の分割ブロック111の下側の上下分割面113は、傾斜面ISに対向配置される本体部11の傾斜底面11bとして使用することができ、個々の分割ブロック111の上側の上下分割面113は、支持面SFを形成する本体部11の上面11tとして使用することができる。
【0070】
以上説明したように、本実施形態によれば、前述の実施形態1と同様に、傾斜面IS上に水平または水平に近い支持面SFを容易に形成可能な重機用作業架台1を提供することができる。
【0071】
[実施形態3]
次に、前述の実施形態1の
図3を援用し、
図5および
図6を参照して本開示に係る重機用作業架台の実施形態3を説明する。本実施形態の重機用作業架台1は、以下に説明する構成を除いて、前述の実施形態1の重機用作業架台1と同様の構成を有している。したがって、本実施形態の重機用作業架台1において、前述の実施形態1の重機用作業架台1と同様の部分には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0072】
図5に示すように、本実施形態の重機用作業架台1において、上面先端部11tfは、上面11tに直交する上下方向(Z軸方向)に平行かつ本体部11の先端11fから後端11rへ向かう前後方向(X軸方向)に平行な断面において、上面後方部11trに滑らかに接続する凹曲面形状を有している。
【0073】
このような構成により、重機HMが傾斜面ISから重機用作業架台1の本体部11の上へ移動するときに、重機HMの荷重を受けて凹曲面状にたわむ荷重分散板12と、凹曲面形状を有する本体部11の上面先端部11tfとの接触面積を増加させることができる。これにより、荷重分散板12から本体部11の上面11tに作用する荷重を分散させ、本体部11に作用する応力を低減させることができる。したがって、重機HMの荷重を支持する発泡樹脂製の本体部11の損傷を防止することができる。
【0074】
また、本実施形態の重機用作業架台1において、本体部11の上面先端部11tfの前後方向に沿う寸法Ldは、重機HMの接地部FPの前後方向に沿う寸法に対応していてもよい。具体的には、本体部11の上面先端部11tfの前後方向に沿う寸法Ldは、たとえば、クレーンのクローラなど、重機HMの接地部FPの前後方向に沿う寸法の50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、または90%以上にすることができる。
【0075】
このような構成により、重機HMが傾斜面ISから重機用作業架台1の本体部11の上へ移動するときに、重機HMの荷重を受けて凹曲面状にたわむ荷重分散板12と、上記凹曲面形状を有する本体部11の上面先端部11tfとの接触面積を、より確実に増加させることができる。これにより、荷重分散板12から本体部11の上面に作用する荷重をより確実に分散させ、本体部11に作用する応力を低減させることができる。したがって、重機HMの荷重を支持する発泡樹脂製の本体部11の損傷をより確実に防止することができる。
【0076】
また、本実施形態の重機用作業架台1において、本体部11および荷重分散板12は、
図6に示すように、左右方向において、重機HMの両端よりも外側に配置される一端から他端まで、分割されることなく一体に設けられている。このような構成により、重機HMから荷重分散板12へ作用する荷重を、本体部11の上面11tのより広い範囲に分散させ、本体部11に作用する応力を低減することができ、発泡樹脂製の本体部11の損傷をより確実に防止することができる。
【0077】
また、本実施形態の重機用作業架台1は、たとえば、
図5に示すように、荷重分散板12の上に敷設され、複数の凹部と複数の凸部の少なくとも一方を有する樹脂製の滑り止め材13を備えている。滑り止め材13としては、たとえば、株式会社オオハシ製のリピーボード(登録商標)の片面凸タイプもしくは片面凹タイプ、または、京葉工業株式会社製のジュライト(登録商標)シリーズもしくはスーパージュライト(登録商標)シリーズなどを使用することができる。
【0078】
このような構成により、重機HMが重機用作業架台1の上に設置された荷重分散板12の上を移動するときに、荷重分散板12の上に敷設された樹脂製の滑り止め材13の複数の凹部と複数の凸部の少なくとも一方によって、重機HMの滑りを防止することができる。したがって、重機用作業架台1の上で作業する重機HMの安定性を向上させることができる。
【0079】
以上説明したように、本実施形態によれば、前述の実施形態1と同様に、傾斜面IS上に水平または水平に近い支持面SFを容易に形成可能な重機用作業架台1を提供することができる。
【0080】
以上、図面を用いて本開示に係る重機用作業架台の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本開示に含まれるものである。
【符号の説明】
【0081】
1 重機用作業架台
11 本体部
111 分割ブロック
112 前後分割面
113 上下分割面
11b 傾斜底面
11f 先端
11r 後端
11t 上面
11tf 上面先端部
11tr 上面後方部
12 荷重分散板
121 分割板
12f 先端部
13 滑り止め材
A 角度
B 傾斜角
Dd 傾斜方向
FP 接地部
HM 重機
IS 傾斜面
Ld 寸法
SF 支持面
α 傾斜角
β 角
γ 角
ε 傾斜角
λ 傾斜角