IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立オートモティブシステムズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-緩衝器 図1
  • 特開-緩衝器 図2
  • 特開-緩衝器 図3
  • 特開-緩衝器 図4
  • 特開-緩衝器 図5
  • 特開-緩衝器 図6
  • 特開-緩衝器 図7
  • 特開-緩衝器 図8
  • 特開-緩衝器 図9
  • 特開-緩衝器 図10
  • 特開-緩衝器 図11
  • 特開-緩衝器 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144516
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】緩衝器
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/32 20060101AFI20231003BHJP
   F16F 9/348 20060101ALI20231003BHJP
   F16F 9/50 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
F16F9/32 L
F16F9/348
F16F9/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051527
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 幹郎
【テーマコード(参考)】
3J069
【Fターム(参考)】
3J069AA50
3J069CC13
3J069EE28
3J069EE66
(57)【要約】
【課題】バルブ部材の耐久性を向上させることができる緩衝器を提供する。
【解決手段】ピストンの移動により2室の少なくとも一方の作動流体が流入可能に設けられた第2通路201と、第2通路201に設けられ、第2通路201を区画すると共に、ピストンの移動により流入した作動流体によって第1変位をしたとき、第2通路201内の少なくとも一部の作動流体を弾性体172に形成された切欠部178を介してシリンダ内に排出可能なバルブ部材171と、バルブ部材171が第2変位をしたとき、切欠部178が塞がれることによって第2通路201内とバルブ部材171との間に閉塞された圧力室196を形成し、圧力室196内の作動流体の移動を制限する制限部188と、を有して減衰力を発生させる第2減衰力機構130と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体が封入されるシリンダと、
前記シリンダ内に摺動可能に嵌装され、前記シリンダ内を2室に区画するピストンと、
前記ピストンに連結されると共に前記シリンダの外部に延出されるピストンロッドと、
前記ピストンの移動により前記2室間を前記作動流体が流通可能に連通する第1通路と、
前記第1通路と並列に設けられ、前記ピストンの移動により前記2室の少なくとも一方の前記作動流体が流入可能に設けられた第2通路と、
前記第1通路に設けられ、減衰力を発生させる第1減衰力機構と、
前記第2通路に設けられ、前記第2通路を区画すると共に、前記ピストンの移動により流入した前記作動流体によって第1変位をしたとき、前記第2通路内の少なくとも一部の前記作動流体を弾性体に形成された切欠部を介して前記シリンダ内に排出可能なバルブ部材と、前記バルブ部材が第2変位をしたとき、前記切欠部が塞がれることによって前記第2通路内と前記バルブ部材との間に閉塞された圧力室を形成し、前記圧力室内の作動流体の移動を制限する制限部と、を有して減衰力を発生させる第2減衰力機構と、
を備える緩衝器。
【請求項2】
前記弾性体は、前記バルブ部材に一体に設けられる請求項1に記載の緩衝器。
【請求項3】
前記弾性体は、前記バルブ部材と対向する部材に設けられる請求項1に記載の緩衝器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝器に関する。
【背景技術】
【0002】
緩衝器には、バルブ部材であるディスクを有して通路を区画する区画ディスクを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-16288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
緩衝器においては、バルブ部材の耐久性を向上させることが求められている。
【0005】
したがって、本発明は、バルブ部材の耐久性を向上させることができる緩衝器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る態様は、作動流体が封入されるシリンダと、前記シリンダ内に摺動可能に嵌装され、前記シリンダ内を2室に区画するピストンと、前記ピストンに連結されると共に前記シリンダの外部に延出されるピストンロッドと、前記ピストンの移動により前記2室間を前記作動流体が流通可能に連通する第1通路と、前記第1通路と並列に設けられ、前記ピストンの移動により前記2室の少なくとも一方の前記作動流体が流入可能に設けられた第2通路と、前記第1通路に設けられ、減衰力を発生させる第1減衰力機構と、前記第2通路に設けられ、前記第2通路を区画すると共に、前記ピストンの移動により流入した前記作動流体によって第1変位をしたとき、前記第2通路内の少なくとも一部の前記作動流体を弾性体に形成された切欠部を介して前記シリンダ内に排出可能なバルブ部材と、前記バルブ部材が第2変位をしたとき、前記切欠部が塞がれることによって前記第2通路内と前記バルブ部材との間に閉塞された圧力室を形成し、前記圧力室内の作動流体の移動を制限する制限部と、を有して減衰力を発生させる第2減衰力機構と、を備える、構成とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バルブ部材の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る第1実施形態の緩衝器を示す断面図である。
図2】本発明に係る第1実施形態の緩衝器のピストン周辺を示す部分断面図である。
図3】本発明に係る第1実施形態の緩衝器のピストン、減衰力機構および周波数感応機構等を示す片側断面図である。
図4】本発明に係る第1実施形態の緩衝器の周波数感応機構を示す部分拡大断面図である。
図5】本発明に係る第1実施形態の緩衝器の区画部材を示す平面図である。
図6】本発明に係る第1実施形態の緩衝器の区画部材を図5のVI方向から見た部分拡大側面図である。
図7】本発明に係る第1実施形態の緩衝器の周波数感応機構を示す部分拡大断面図である。
図8】本発明に係る第2実施形態の緩衝器の区画部材を示す部分拡大側面図である。
図9】本発明に係る第3実施形態の緩衝器の区画部材を示す部分拡大側面図である。
図10】本発明に係る第4実施形態の緩衝器の区画部材を示す部分拡大側面図である。
図11】本発明に係る第5実施形態の緩衝器の区画部材を示す部分拡大側面図である。
図12】本発明に係る第6実施形態の緩衝器の区画部材を示す部分拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
第1実施形態の緩衝器(Shock absorber)について、図1図7を参照しつつ以下に説明する。なお、以下においては、説明の便宜上、図1図3における上側を「上」とし、図1図3における下側を「下」として説明する。
【0010】
図1に示すように、第1実施形態の緩衝器1は複筒型の油圧緩衝器である。緩衝器1は車両のサスペンション装置に用いられるものである。緩衝器1は、作動流体としての油液(図示略)が封入されるシリンダ2を備えている。シリンダ2は内筒3と外筒4とを有している。内筒3は円筒状である。外筒4は有底の円筒状である。外筒4の内径は内筒3の外径よりも大径である。内筒3は外筒4の径方向の内側に配置されている。内筒3の中心軸線と外筒4の中心軸線とは一致する。内筒3と外筒4との間はリザーバ室6となっている。緩衝器1はカバー5を有している。カバー5は外筒4の上部開口側を覆っている。
【0011】
外筒4は胴部材11と底部材12とを有している。胴部材11は円筒状である。底部材12は有底円筒状である。底部材12は、胴部材11の下部側に嵌合されて胴部材11に溶接により固定されている。底部材12は胴部材11の下部を閉塞している。底部材12には、その軸方向において胴部材11とは反対となる外側に取付アイ13が固定されている。カバー5は、胴部材11の上端開口部を覆いつつ胴部材11の外周部に嵌合されている。
【0012】
緩衝器1はピストン18を備えている。ピストン18は、シリンダ2の内筒3内に摺動可能に嵌装されている。ピストン18は、シリンダ2の内筒3内を上室19および下室20の2室に区画している。シリンダ2の軸方向において上室19はピストン18よりも底部材12とは反対側にある。シリンダ2の軸方向において下室20はピストン18よりも底部材12側にある。内筒3内の上室19および下室20内には作動流体としての油液が封入されている。内筒3と外筒4との間のリザーバ室6内には作動流体としての油液とガスとが封入されている。
【0013】
緩衝器1はピストンロッド21を備えている。ピストンロッド21は、その軸方向における一端側がシリンダ2の内筒3内に配置されている。ピストンロッド21は、この一端部がピストン18に連結されている。ピストンロッド21は、その軸方向における、この一端部とは反対側の他端側がシリンダ2からシリンダ2の外部に延出されている。ピストン18はピストンロッド21に固定されている。このため、ピストン18およびピストンロッド21は一体に移動する。緩衝器1は、ピストンロッド21がシリンダ2からの突出量を増やす方向に移動する行程が、全長が伸びる伸び行程である。緩衝器1は、ピストンロッド21がシリンダ2からの突出量を減らす方向に移動する行程が、全長が縮む縮み行程である。緩衝器1は、伸び行程においてピストン18が上室19側へ移動する。緩衝器1は、縮み行程においてピストン18が下室20側へ移動する。
【0014】
内筒3の上端開口側および外筒4の上端開口側には、ロッドガイド22が嵌合されている。外筒4にはロッドガイド22よりも上側にシール部材23が嵌合されている。ロッドガイド22とシール部材23との間には摩擦部材24が設けられている。ロッドガイド22、シール部材23および摩擦部材24は、いずれも円環状である。ピストンロッド21は、ロッドガイド22、摩擦部材24およびシール部材23のそれぞれの内側に挿通されている。ピストンロッド21は、ロッドガイド22、摩擦部材24およびシール部材23のそれぞれに対して、これらの軸方向に沿って摺動する。ピストンロッド21は、シリンダ2の内部から、シール部材23よりもシリンダ2の外部側に延出している。
【0015】
ロッドガイド22はピストンロッド21がシリンダ2の内筒3および外筒4に対して径方向に移動することを規制する。ロッドガイド22にピストンロッド21が嵌合されると共にピストン18が内筒3内に嵌合される。これにより、ピストンロッド21の中心軸線とシリンダ2の中心軸線とが一致する。ロッドガイド22はピストンロッド21をピストンロッド21の軸方向に移動可能に支持する。シール部材23は、その外周部が外筒4の胴部材11の内周部に密着する。シール部材23は、その内周部がピストンロッド21の外周部に密着する。ピストンロッド21は、シール部材23に対して密着状態を維持しつつシール部材23の軸方向に移動する。シール部材23は、内筒3内の油液と、リザーバ室6内の高圧ガスおよび油液とが外部に漏れ出すのを抑制する。摩擦部材24は、その内周部がピストンロッド21の外周部に接触する。ピストンロッド21は、摩擦部材24に対して摩擦部材24の軸方向に移動する。摩擦部材24はピストンロッド21に対する摩擦抵抗を発生させる。
【0016】
ロッドガイド22は、その外周部が、下部よりも上部の方が大径となっている。ロッドガイド22は、小径の下部において内筒3の上端の内周部に嵌合する。ロッドガイド22は、大径の上部において外筒4の上部の内周部に嵌合する。外筒4の底部材12上にはベースバルブ25が設置されている。ベースバルブ25は外筒4に対して径方向に位置決めされている。ベースバルブ25は下室20とリザーバ室6とを区画している。ベースバルブ25に内筒3の下端の内周部が嵌合されている。外筒4の上端部は、図示は略すがその一部が外筒4の径方向における内側に加締められている。シール部材23は、この加締め部分とロッドガイド22とに挟まれることでシリンダ2に固定されている。
【0017】
ピストンロッド21は主軸部27と取付軸部28とを有している。取付軸部28は、その外径が主軸部27の外径よりも小径である。取付軸部28はシリンダ2内に配置されている。取付軸部28にピストン18が取り付けられている。主軸部27は、軸段部29を有している。軸段部29は、主軸部27の軸方向における取付軸部28側の端部に設けられている。軸段部29は、ピストンロッド21の中心軸線に対して直交する方向に広がっている。ピストンロッド21には、取付軸部28の外周部に通路溝30が形成されている。通路溝30は、取付軸部28の軸方向に延びている。通路溝30は、取付軸部28の周方向に間隔をあけて複数形成されている。取付軸部28には、取付軸部28の軸方向における通路溝30よりも主軸部27とは反対側の端部の外周部にオネジ31が形成されている。
【0018】
ピストンロッド21には、円環状のストッパ部材32と円環状の緩衝体33とが設けられている。ストッパ部材32および緩衝体33は、いずれも、主軸部27のピストン18とロッドガイド22との間の部分に設けられている。ストッパ部材32および緩衝体33は、内周側にピストンロッド21が挿入されている。ストッパ部材32は、加締められて主軸部27に固定されている。緩衝体33は、ストッパ部材32とロッドガイド22との間に配置されている。
【0019】
緩衝器1は、例えばピストンロッド21のシリンダ2から突出する部分が上部に配置されて車両の車体に連結される。その際に、緩衝器1は、シリンダ2側に設けられた取付アイ13が下部に配置されて車両の車輪側に連結される。緩衝器1は、これとは逆に、シリンダ2側が車体に連結されるようにしても良い。この場合、緩衝器1は、ピストンロッド21が車輪側に連結される。
【0020】
車両においては、その走行に伴って車体に対して車輪が振動する。すると、緩衝器1は、この振動に伴ってシリンダ2とピストンロッド21との位置が相対的に変化する。この変化は、緩衝器1に設けられた流路の流体抵抗により抑制される。以下で説明するとおり緩衝器1に設けられた流路の流体抵抗は、上記した振動の速度や振幅により異なるように作られている。緩衝器1が振動を抑制することにより、車両の乗り心地が改善される。
【0021】
また、車両においては、シリンダ2とピストンロッド21との間に、車輪が車体に対して発生する振動の他に、車両の走行に伴って車体に発生する慣性力や遠心力も作用する。例えばハンドル操作により走行方向が変化することにより車体に遠心力が発生する。すると、この遠心力に基づく力がシリンダ2とピストンロッド21との間に作用する。以下で説明するとおり、緩衝器1は、車両の走行に伴って車体に発生する力に基づく振動に対して良好な特性を有している。緩衝器1によって車両に高い走行安定性が得られる。
【0022】
図2に示すように、ピストン18はピストン本体35と摺動部材36とを有している。ピストン本体35は、金属製であり、円環状である。ピストン18は、ピストン本体35がピストンロッド21に嵌合される。摺動部材36は合成樹脂製であり、円環状である。摺動部材36はピストン本体35の外周面に一体的に装着されている。ピストン18は、摺動部材36が内筒3に接触した状態で内筒3に対して摺動する。
【0023】
ピストン本体35には、通路穴37と通路溝38と通路穴39と通路溝40とが設けられている。通路穴37は、ピストン本体35をピストン本体35の軸方向に貫通している。通路穴37は、ピストン本体35に、ピストン本体35の円周方向に間隔をあけて複数(図2においては断面とした関係上一箇所のみ図示)形成されている。通路穴39は、ピストン本体35をピストン本体35の軸方向に貫通している。通路穴39は、ピストン本体35に、ピストン本体35の円周方向に間隔をあけて複数(図2においては断面とした関係上一箇所のみ図示)形成されている。ピストン本体35には、ピストン本体35の周方向において通路穴37と通路穴39とが一箇所ずつ交互に等ピッチで形成されている。
【0024】
通路溝38は、ピストン本体35に、ピストン本体35の円周方向に円環状をなして形成されている。通路溝38は、ピストン本体35の軸方向における一端部に形成されている。全ての通路穴37は、ピストン本体35の軸方向における、この一端部側が通路溝38に開口している。通路溝40は、ピストン本体35に、ピストン本体35の円周方向に円環状をなして形成されている。通路溝40は、ピストン本体35の軸方向における通路溝38とは反対側の他端部に形成されている。全ての通路穴39は、ピストン本体35の軸方向における通路溝38とは反対側の端部が通路溝40に開口している。複数の通路穴37は、ピストン本体35の軸方向における通路溝38とは反対側の端部が、ピストン本体35の径方向において通路溝40よりも外側に開口している。複数の通路穴39は、ピストン本体35の軸方向における通路溝40とは反対側の端部が、ピストン本体35の径方向において通路溝38よりも外側に開口している。ピストン18は、複数の通路穴37の内側と通路溝38の内側とが通路43(第1通路)となっている。ピストン18は、複数の通路穴39の内側と通路溝40の内側とが通路44となっている。
【0025】
通路43には減衰力機構41(第1減衰力機構)が設けられている。減衰力機構41は、通路43を開閉して減衰力を発生させる。減衰力機構41は、ピストン18の軸方向における一端側である下室20側に配置されて、ピストンロッド21に取り付けられている。これにより、通路43は、ピストン18の上室19側への移動によって上室19から下室20に向けて油液が流れ出す通路となる。言い換えれば、通路43は、ピストン18の移動によって上室19および下室20間を作動流体としての油液が流通可能に連通する。通路43は、伸び行程において上室19から下室20に向けて作動流体としての油液が流れ出す伸び側の通路である。減衰力機構41は、伸び行程において生じる通路43から下室20への油液の流動を抑制して減衰力を発生させる伸び側の減衰力機構となっている。
【0026】
通路44には減衰力機構42が設けられている。減衰力機構42は、通路44を開閉して減衰力を発生させる。減衰力機構42は、ピストン18の軸方向における他端側である上室19側に配置されて、ピストンロッド21に取り付けられている。これにより、通路44は、ピストン18の下室20側への移動によって下室20から上室19に向けて油液が流れ出す通路となる。言い換えれば、通路44は、ピストン18の移動によって下室20および上室19間を作動流体としての油液が流通可能に連通する。通路44は、縮み行程において下室20から上室19に向けて油液が流れ出す縮み側の通路である。減衰力機構42は、縮み行程において生じる通路44から上室19への油液の流動を抑制して減衰力を発生させる縮み側の減衰力機構となっている。
【0027】
ピストン本体35は、その径方向の中央に挿通穴45が、ピストン本体35の軸方向に貫通して形成されている。挿通穴45は、ピストンロッド21の取付軸部28を挿通させる。挿通穴45は小径穴部46と大径穴部47とを有している。大径穴部47は、小径穴部46よりも大径である。ピストン本体35は、その小径穴部46にピストンロッド21の取付軸部28が嵌合される。挿通穴45の軸方向において大径穴部47は小径穴部46よりも下室20側にある。
【0028】
ピストン本体35の軸方向の下室20側の端部にはバルブシート部48が形成されている。バルブシート部48は円環状である。バルブシート部48は、通路溝38の下室20側の開口よりもピストン本体35の径方向における外側に配置されている。バルブシート部48は、減衰力機構41の一部を構成する。
ピストン本体35の軸方向の上室19側の端部にはバルブシート部49が形成されている。バルブシート部49は円環状である。バルブシート部49は、通路溝40の上室19側の開口よりもピストン本体35の径方向における外側に配置されている。バルブシート部49は、減衰力機構42の一部を構成する。
ピストン本体35には、ピストン本体35の径方向におけるバルブシート部48の通路溝38とは反対側に、全ての通路穴39内の下室20側の開口が配置されている。ピストン本体35には、ピストン本体35の径方向におけるバルブシート部49の通路溝40とは反対側に、全ての通路穴37の上室19側の開口が配置されている。
【0029】
図3に示すように、ピストン18の軸方向におけるバルブシート部48側には、ピストン18の軸方向においてピストン18側から順に、一枚のディスク51と、一枚の減衰バルブ52と、一枚のディスク53と、一枚のディスク54と、一つのパイロットケース55と、一枚のディスク56と、一枚のディスク57と、複数枚(具体的には3枚)のディスク58と、一枚のディスク59と、一枚のディスク60とが設けられている。ディスク51,53,54,56~60およびパイロットケース55は、いずれも金属製である。ディスク51,53,54,56~60は、いずれも一定厚さの有孔の円形平板状である。ディスク51,53,54,56~60は、いずれも内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合させている。減衰バルブ52およびパイロットケース55は、いずれも円環状である。減衰バルブ52およびパイロットケース55は、いずれも内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合させている。
【0030】
パイロットケース55は有底筒状である。パイロットケース55には、その径方向における中央に貫通孔70が形成されている。貫通孔70はパイロットケース55をその軸方向に貫通している。パイロットケース55は、底部71と内側円筒状部72と外側円筒状部73と内側シート部74とバルブシート部75とを有している。
【0031】
貫通孔70は大径穴部76と小径穴部77とを有している。大径穴部76は、小径穴部77よりも大径である。大径穴部76は、貫通孔70の軸方向のピストン18側に配置されている。小径穴部77は、貫通孔70の軸方向の大径穴部76よりもピストン18とは反対側に配置されている。
底部71は有孔の円板状である。底部71には、貫通孔70よりも径方向外側に、底部71を底部71の軸方向に貫通する通路穴78が形成されている。
内側円筒状部72は、円筒状であり、底部71の内周縁部から底部71の軸方向に沿ってピストン18側に突出している。内側円筒状部72は、底部71の径方向における通路穴78よりも内側に設けられている。
外側円筒状部73は、円筒状であり、底部71の外周縁部から底部71の軸方向に沿って内側円筒状部72と同側に突出している。外側円筒状部73は、底部71の径方向における通路穴78よりも外側に設けられている。通路穴78は、底部71の径方向における内側円筒状部72と外側円筒状部73との間に配置されている。
【0032】
内側シート部74は、円環状であり、底部71の内周縁部から軸方向の内側円筒状部72とは反対側に突出している。
バルブシート部75は、内側シート部74よりも大径の円環状である。バルブシート部75は、内側シート部74の径方向外側で底部71の軸方向に沿って底部71から内側シート部74と同側に突出している。通路穴78は、底部71の径方向における内側シート部74とバルブシート部75との間に配置されている。
【0033】
ディスク51は、バルブシート部48の先端面の内径よりも小径の外径となっている。ディスク51には、切欠81が形成されている。切欠81は、ディスク51の取付軸部28に嵌合する内周縁部から径方向外側に、通路溝38内まで延在している。切欠81内は絞り82となっている。絞り82は、ピストン18の通路43に常時連通している。ピストン18の大径穴部47内の通路とピストンロッド21の通路溝30内の通路とは常時連通している。大径穴部47内の通路と通路溝30内の通路とがロッド室83を構成している。ディスク51の切欠81内の絞り82は、ロッド室83に常時連通している。絞り82は、通路43とロッド室83とを常時連通させている。
【0034】
減衰バルブ52は、ディスク85とシール部材86とからなっている。
ディスク85は、金属製であり、有孔の円形平板状である。ディスク85は、バルブシート部48の先端面の外径よりも大径の外径となっている。ディスク85は、内側にピストンロッド21の取付軸部28が嵌合される。ディスク85は、ピストン18のバルブシート部48に当接し、バルブシート部48に対し離間および当接することでピストン18に形成された通路43の開口を開閉する。離間したディスク85とバルブシート部48との間の通路も通路43を構成している。
シール部材86は、ゴム製であり、ディスク85に接着されている。シール部材86は、ディスク85の外周側に固着されており、円環状をなしている。シール部材86は、パイロットケース55の外側円筒状部73の内周部に全周にわたり液密的に嵌合している。シール部材86は、外側円筒状部73の内周部に対し軸方向に摺動可能である。シール部材86は、減衰バルブ52と外側円筒状部73との隙間を常時シールする。
【0035】
ディスク53は、その外径が、シール部材86の最小内径よりも小径となっている。 ディスク54は、その外径が、ディスク53の外径よりも大径かつシール部材86の最小内径よりも小径となっている。ディスク54には切欠91が形成されている。切欠91は、ディスク54の取付軸部28に嵌合する内周縁部から径方向外側に、ディスク53よりも外側まで延在している。切欠91内は絞り92となっている。絞り92は、ピストンロッド21の通路溝30内の通路と、パイロットケース55の大径穴部76内の通路とに常時連通している。
【0036】
ディスク56は、パイロットケース55のバルブシート部75の先端面の内径よりも小径の外径となっている。ディスク57は、バルブシート部75の先端面の外径よりも大径の外径となっている。ディスク57は、バルブシート部75に着座可能となっている。ディスク57には、外周側に切欠93が形成されている。切欠93は、バルブシート部75を径方向に横断している。ディスク58は、ディスク57の外径と同径の外径となっている。ディスク59は、ディスク58の外径よりも小径の外径となっている。ディスク60は、ディスク59の外径よりも大径且つディスク58の外径よりも小径の外径となっている。ディスク57,58がディスクバルブ99を構成している。ディスクバルブ99は、バルブシート部75に離着座可能である。
【0037】
パイロットケース55の底部71、内側円筒状部72および外側円筒状部73と、減衰バルブ52およびディスク53,54との間と、パイロットケース55の底部71、内側シート部74およびバルブシート部75と、ディスク56およびディスクバルブ99との間と、パイロットケース55の通路穴78内とが、背圧室100となる。背圧室100は、減衰バルブ52にピストン18の方向に圧力を加える。言い換えれば、背圧室100は、減衰バルブ52に、バルブシート部48に着座する閉弁方向に内圧を作用させる。減衰バルブ52は、背圧室100を有するパイロットタイプの減衰バルブである。これら減衰バルブ52および背圧室100は、減衰力機構41の一部を構成している。背圧室100は、ディスク54の切欠91内の絞り92を介してロッド室83に常時連通している。パイロットケース55の大径穴部76内の通路は、ピストンロッド21の通路溝30内の通路と常時連通している。パイロットケース55の大径穴部76内の通路もロッド室83を構成している。
【0038】
ディスク51の切欠81内の絞り82と、ロッド室83と、ディスク54の切欠91内の絞り92とが、ピストン18の通路43と背圧室100とを常時連通させて通路43から背圧室100に油液を導入する通路102となっている。減衰バルブ52は、ディスク85がピストン18のバルブシート部48から離座して開くと、通路43からの油液をピストン18とパイロットケース55の外側円筒状部73との間を介して下室20に流す。その際に、減衰バルブ52は、バルブシート部48との間の油液の流れを抑制する。伸び側の減衰力機構41は、通路102を介して油液の流れの一部を背圧室100に導入し、背圧室100の圧力によって減衰バルブ52の開弁を制御する。
【0039】
ディスクバルブ99は、バルブシート部75から離座することで、背圧室100と下室20とを連通させる。その際に、ディスクバルブ99は、バルブシート部75との間の油液の流れを抑制する。ディスクバルブ99の切欠93内の通路は、ディスクバルブ99がバルブシート部75に当接状態にあっても背圧室100を下室20に連通させる固定オリフィス105を構成している。ディスク60は、ディスクバルブ99の開方向への変形時にディスクバルブ99に当接してディスクバルブ99の規定以上の変形を抑制する。
【0040】
ディスクバルブ99とバルブシート部75とが減衰力機構110を構成している。減衰力機構110は、ディスクバルブ99がバルブシート部75から離座すると、背圧室100と下室20とを連通させる。その際に、減衰力機構110は、背圧室100と下室20との間の油液の流れを抑制して減衰力を発生させる。減衰力機構110は、背圧室100と下室20との間に設けられて油液の流動により減衰力を発生させる。減衰力機構110は、伸び行程において、上室19から、通路43、通路102および背圧室100を介して下室20に油液を流す。減衰力機構110は、伸び行程において生じる背圧室100から下室20への油液の流動を抑制して減衰力を発生させる伸び側の減衰力機構となっている。
【0041】
図2に示すように、ピストン18の軸方向におけるバルブシート部49側には、ピストン18の軸方向においてピストン18側から順に、一枚のディスク111と、一枚のディスク112と、複数枚(具体的には3枚)のディスク113と、複数枚(具体的には2枚)のディスク114と、一枚のディスク115と、一枚のディスク116と、一枚の環状部材117とが設けられている。ディスク111~116および環状部材117は、いずれも金属製である。ディスク111~116および環状部材117は、いずれも一定厚さの有孔の円形平板状である。ディスク111~116および環状部材117は、いずれも内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合させている。
【0042】
ディスク111は、ピストン18のバルブシート部49の先端面の内径よりも小径の外径となっている。ディスク112は、ピストン18のバルブシート部49の先端面の外径よりも若干大径の外径となっている。ディスク112は、バルブシート部49に着座可能となっている。ディスク112には、外周側に切欠121が形成されている。切欠121はバルブシート部49を径方向に横断している。
【0043】
複数枚のディスク113は、ディスク112の外径と同径の外径となっている。複数枚のディスク114は、ディスク113の外径よりも小径の外径となっている。ディスク115は、ディスク114の外径よりも小径の外径となっている。ディスク116は、ディスク114の外径よりも大径且つディスク113の外径よりも小径の外径となっている。環状部材117は、ディスク116の外径よりも小径且つディスク114の外径よりも大径の外径となっている。環状部材117は、ディスク111~116よりも厚く高剛性となっている。この環状部材117は、ピストンロッド21の軸段部29に当接している。
【0044】
ディスク112~114が、ディスクバルブ122を構成している。ディスクバルブ122は、バルブシート部49に離着座可能である。ディスクバルブ122は、バルブシート部49から離座することで通路44を上室19に開放可能である。その際に、ディスクバルブ122は、下室20から通路44を介する上室19への油液の流れを抑制する。ディスクバルブ122とバルブシート部49とが縮み側の減衰力機構42を構成している。ディスク112の切欠121は、固定オリフィス123を構成している。固定オリフィス123は、ディスク112がバルブシート部49に当接状態にあっても下室20と上室19とを連通させる。固定オリフィス123も減衰力機構42を構成している。
ディスク116はディスクバルブ122の開方向への変形時にディスクバルブ122に当接してディスクバルブ122の開方向への規定以上の変形を抑制する。
【0045】
図3に示すように、ディスク60の軸方向におけるディスク59とは反対側に、周波数感応機構130(第2減衰力機構)が設けられている。周波数感応機構130は、ピストン18の軸方向移動の周波数(以下、ピストン周波数と称す)に応じて減衰力を可変とする。
周波数感応機構130は、軸方向の最もディスク60側に、一つのハウジング本体131を有している。また、周波数感応機構130は、ハウジング本体131の軸方向におけるディスク60とは反対側の内周側に、ハウジング本体131側から順に、一枚のディスク132と、一枚のディスク133と、一枚のディスク134と、を有している。また、周波数感応機構130は、ハウジング本体131の軸方向におけるディスク60とは反対側のディスク133,134よりも径方向外側に一枚の区画部材135を有している。また、周波数感応機構130は、図4に示すように、ディスク134および区画部材135の軸方向におけるディスク132とは反対側に、ディスク134および区画部材135側から順に、一枚のディスク136と、一枚のディスク137と、一枚のディスク138と、一枚のディスク139と、一枚のディスク140と、複数、具体的には三枚のディスク141と、を有している。ディスク141の軸方向におけるディスク140とは反対側には、環状部材144が設けられている。
【0046】
ハウジング本体131、ディスク132~134,136~141および環状部材144は、いずれも金属製である。ディスク132~134,136~141および環状部材144は、いずれも一定厚さの有孔の円形平板状である。ディスク133,134,136~141および環状部材144は、径方向の幅が全周にわたって一定である。ディスク132~134,136~141は、いずれも一枚の薄板から打ち抜かれて形成されている。ディスク132~134,136~141、ハウジング本体131および環状部材144は、いずれも内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合させている。区画部材135は、内周側にピストンロッド21の取付軸部28およびディスク133,134を挿通させている。ディスク132~134,136~141およびハウジング本体131は、周波数感応機構130のハウジング145を構成している。
【0047】
図3に示すように、ハウジング本体131は有底の円筒状である。
ハウジング本体131は、その径方向の中央に、ハウジング本体131をその軸方向に貫通する貫通孔155が形成されている。貫通孔155は大径穴部156と小径穴部157とを有している。大径穴部156は、小径穴部157よりも大径である。大径穴部156は、貫通孔155の軸方向のディスク60とは反対側に配置されている。小径穴部157は、貫通孔155の軸方向における大径穴部156よりもディスク60側に配置されている。ハウジング本体131の大径穴部156内の通路は、ピストンロッド21の通路溝30内の通路と常時連通している。ハウジング本体131の大径穴部156内の通路もロッド室83を構成している。
【0048】
ハウジング本体131は、底部150と一側突出部151と他側突出部152と筒状部153とシート部154とを有している。
底部150は、有孔の円板状である。
一側突出部151は円環状である。一側突出部151は、底部150の内周縁部から、底部150の軸方向に沿ってディスク60とは反対側に突出している。
他側突出部152は円環状である。他側突出部152は、底部150の内周縁部から、底部150の軸方向に沿って一側突出部151とは反対側に突出している。
筒状部153は円筒状である。筒状部153は、底部150の外周縁部から、底部150の軸方向に沿って一側突出部151と同側に延出している。
シート部154は円環状である。シート部154は、底部150の径方向における一側突出部151と筒状部153との間の位置から、底部150の軸方向に沿って一側突出部151および筒状部153と同側に突出している。シート部154には、その突出先端側の端部に、シート部154を径方向に貫通する切欠158が形成されている。
【0049】
図4に示すように、ディスク132は、一側突出部151の先端面の外径よりも大径且つシート部154の先端面の内径よりも小径の外径となっている。ディスク132には、切欠161が形成されている。切欠161は、ディスク132の取付軸部28に嵌合する内周縁部から径方向外側に、一側突出部151の先端面よりも外側まで延在している。切欠161内は絞り162となっている。絞り162は、ハウジング本体131の大径穴部156内の通路に常時連通している。よって、絞り162は、ロッド室83に常時連通している。
ディスク133は、ディスク132の外径よりも小径の外径となっている。ディスク132の切欠161は、ディスク132の径方向においてディスク133よりも径方向外側まで延在している。ディスク133は、ディスク132よりも軸方向の厚さが厚い。
ディスク134は、ディスク133の外径よりも小径の外径となっている。ディスク134は、ディスク133よりも軸方向の厚さが薄い。
【0050】
区画部材135は、バルブディスク171(バルブ部材)と弾性体172とからなっている。区画部材135は、ハウジング本体131の筒状部153内に配置されている。区画部材135は、筒状部153とディスク133,134との径方向の間に配置されている。
【0051】
バルブディスク171は金属製である。バルブディスク171は、一定厚さの有孔の円形平板状である。バルブディスク171は、径方向の幅が一定の円環状である。バルブディスク171は、内周側にピストンロッド21の取付軸部28が挿通されている。バルブディスク171は、ハウジング本体131の筒状部153内に配置されている。バルブディスク171は、弾性変形可能つまり撓み可能となっている。バルブディスク171は、その内径がディスク133の外径よりも大径となっている。バルブディスク171は、内側にディスク133,134を径方向に隙間をもって配置可能な内径となっている。バルブディスク171は、ディスク133,134の二枚分の軸方向の厚さよりも軸方向の厚さが薄くなっている。バルブディスク171は、ハウジング本体131のシート部154の先端面の外径よりも大径の外径となっている。
【0052】
弾性体172は、ゴム材料からなり、円環状である。弾性体172は、バルブディスク171の外周側に接着されている。弾性体172は、バルブディスク171に焼き付けられてバルブディスク171に一体に設けられている。弾性体172は、シール部175と、当接部176と、を有している。
【0053】
シール部175は、円環状であり、バルブディスク171の外周側に全周にわたって固着されている。シール部175は、区画部材135の軸方向において、バルブディスク171からハウジング本体131の底部150側に突出している。シール部175は、その軸方向における中間位置の外周部に径方向外方に突出する円環状の環状凸部177を有している。
【0054】
当接部176は、区画部材135の軸方向において、バルブディスク171のシール部175とは反対側に設けられている。当接部176は、図5に示すように、円環状であり、バルブディスク171の外周側に全周にわたって固着されている。当接部176は、図4に示すように、区画部材135の軸方向において、バルブディスク171から底部150とは反対側に突出している。弾性体172は、その当接部176が、区画部材135の軸方向に伸縮可能である。
【0055】
区画部材135の軸方向において、当接部176のバルブディスク171とは反対側の先端部には、切欠部178が形成されている。切欠部178は、区画部材135の軸方向において、当接部176のバルブディスク171とは反対側の先端から、バルブディスク171側に凹む溝状である。切欠部178は、当接部176を、当接部176の径方向に貫通している。当接部176には、同形状の切欠部178が、図5に示すように、当接部176の周方向に等間隔をあけて複数、具体的には3箇所設けられている。
【0056】
切欠部178は、図6に示すように、底面部179と、一対の壁面部180と、を有している。底面部179は、区画部材135の軸方向に対して垂直に広がる平面状である。一対の壁面部180は、底面部179に対して同等の角度で傾斜している。一対の壁面部180は、区画部材135の軸方向において底面部179から離れるほど、区画部材135の周方向において互いの間隔が広くなる。
【0057】
図4に示すように、当接部176は、切欠部178が形成されることによって、バルブディスク171に接着される主体部181と、主体部181から、区画部材135の軸方向において、バルブディスク171とは反対側に突出する突出部182と、を有している。
主体部181は円環状である。切欠部178の底面部179は主体部181に形成されている。
【0058】
図5に示すように、突出部182は、区画部材135の周方向において隣り合う切欠部178と切欠部178とで、これらの間に形成されている。当接部176には、同形状の突出部182が、区画部材135の周方向に等間隔をあけて切欠部178と同数設けられている。突出部182は、区画部材135の軸方向に見て円弧状である。突出部182は、区画部材135の周方向における長さが、区画部材135の周方向における切欠部178の長さよりも長くなっている。図6に示すように、切欠部178の壁面部180は、突出部182に形成されている。
【0059】
図4に示すように、バルブディスク171と、ハウジング本体131の筒状部153との間には、環状の隙間が設けられている。弾性体172は、この隙間を介してバルブディスク171の両面にシール部175と当接部176とを固着している。
【0060】
弾性体172は、そのシール部175の環状凸部177が、ハウジング本体131の筒状部153の内周部に全周にわたって液密的に嵌合している。シール部175は、筒状部153に対して筒状部153の軸方向に摺動可能となっている。弾性体172は、そのシール部175が、区画部材135と筒状部153との隙間を常時シールする。シール部175は、その最小内径がシート部154の先端面の外径よりも大径となっている。区画部材135は、そのバルブディスク171がハウジング本体131のシート部154に着座可能となっている。
【0061】
ディスク136は、バルブディスク171の内径よりも大径の外径となっている。ディスク136は、ディスク134よりも軸方向の厚さが薄い。ディスク136は、バルブディスク171よりも軸方向の厚さが薄い。ディスク136は、バルブディスク171の内周側に全周にわたって当接している。これにより、ディスク136とバルブディスク171の隙間が閉塞される。区画部材135は、そのバルブディスク171の内周側が、ディスク132とディスク136との軸方向の間位置に配置されると共に、ディスク136に当接して支持されている。区画部材135は、そのバルブディスク171の内周側が、ディスク132とディスク136との間にて、二枚のディスク133,134の軸方向長の範囲で移動可能となっている。区画部材135は、シール部175が全周にわたって筒状部153に接触することによってハウジング145に対し芯出しされる。区画部材135は、その内周側であるバルブディスク171の内周側が、両面側からクランプされずに片面側のみディスク136に支持される。区画部材135は、そのバルブディスク171のディスク136よりも径方向外側が、両面側からクランプされずに片面側のみシート部154に支持される。よって、区画部材135は、軸方向にクランプされることなく、そのバルブディスク171の一面側がディスク136に支持され、バルブディスク171の他面側がシート部154に支持される単純支持構造となっている。区画部材135は、全体として円環状で、弾性変形可能つまり撓み可能となっている。
【0062】
ディスク137は、ディスク136の外径よりも大径かつ当接部176の最小内径よりも小径の外径となっている。ディスク137は、ディスク136よりも軸方向の厚さが薄い。
ディスク138は、ディスク137の外径よりも小径の外径となっている。ディスク138は、ディスク137よりも軸方向の厚さが厚い。
【0063】
ディスク139は、ディスク138の外径よりも小径の外径となっている。ディスク139は、ディスク136~138のそれぞれよりも軸方向の厚さが厚い。ディスク139は、一枚の薄板から打ち抜いて形成する以外に、削り出しにより形成することも可能である。
ディスク140は、その外径が、ディスク139の外径よりも大径であってディスク137の外径と同等となっている。ディスク140は、ディスク139よりも軸方向の厚さが厚い。ディスク140は、一枚の薄板から打ち抜いて形成する以外に、削り出しにより形成することも可能である。
ディスク141は、その外径が、ディスク140の外径よりも大径となっている。ディスク141は、ディスク136~138のそれぞれよりも軸方向の厚さが厚い。ディスク141は、その外径が、筒状部153の内径よりも小径となっている。複数枚のディスク141のうち、最もディスク140側にあるディスク141は、区画部材135の当接部176の突出部182に常時当接する。
【0064】
いずれも板状部材であるディスク136~138が積層されて支持部材185が形成されている。ディスク136~138のうちのディスク137,138は、軸方向のバルブディスク171側のディスク137と比して、軸方向のバルブディスク171とは反対側のディスク138の方が外径が小径である。ディスク137,138は、軸方向のバルブディスク171側のディスク137と比して、軸方向のバルブディスク171とは反対側のディスク138の方が厚さが大きい。支持部材185は、区画部材135のバルブディスク171の内周側を支持する。区画部材135のバルブディスク171は、内周側が、軸方向の両面側からクランプされずに軸方向の片面側のみが支持部材185のディスク136により支持される。
【0065】
複数枚のディスク141は、積層されてストッパ部材188(制限部)を構成している。ストッパ部材188は、ハウジング本体131の軸方向における区画部材135のシート部154とは反対方向への移動を制限する。
【0066】
ここで、区画部材135は、バルブディスク171が、その軸方向においてストッパ部材188側に変位すると、弾性体172の当接部176を弾性変形させる。区画部材135は、圧力負荷が発生しても、バルブディスク171のストッパ部材188側への変位が、変位量が所定値以下である第1変位では、当接部176の主に突出部182が弾性変形するものの、切欠部178がストッパ部材188で閉塞されることはない。他方、区画部材135は、圧力負荷が大きくなって、バルブディスク171のストッパ部材188側への変位が、変位量が所定値を超える第2変位では、当接部176の主に突出部182が弾性変形することにより、切欠部178が、図7に示すようにストッパ部材188で閉塞される。言い換えれば、ストッパ部材188は、バルブディスク171のストッパ部材188側への変位が、変位量が所定値以下である第1変位では、切欠部178を閉塞することはない。他方、ストッパ部材188は、バルブディスク171のストッパ部材188側への変位が、変位量が所定値を超える第2変位では、当接部176の切欠部178を閉塞する。弾性体172の当接部176とストッパ部材188のディスク141とは常に当接している。
【0067】
図4に示すように、ストッパ部材188とハウジング本体131の筒状部153との径方向の間は連通路195となっている。連通路195は下室20に常時連通している。連通路195は、ストッパ部材188に当接する弾性体172の当接部176よりも径方向外側に配置されている。
【0068】
区画部材135のシール部175は、その環状凸部177がハウジング本体131の筒状部153の内周面に全周にわたり接触している。これにより、シール部175は、区画部材135と筒状部153との隙間をシールする。つまり、区画部材135はパッキンバルブである。シール部175は、区画部材135がハウジング145内で許容される範囲で変形しても、区画部材135と筒状部153との隙間を常時シールする。区画部材135は、そのシール部175が筒状部153に全周にわたって接触することでハウジング145に対して芯出しされる。区画部材135は、そのバルブディスク171がディスク136に全周にわたって接触することで、ディスク136との隙間を閉塞する。
【0069】
ハウジング本体131のシート部154は、区画部材135のバルブディスク171を軸方向一側から支持する。支持部材185は、そのディスク136がバルブディスク171のシート部154よりも内周側を軸方向他側から支持する。シート部154とディスク136との間の軸方向の最短距離は、バルブディスク171の軸方向の厚さよりも小さくなっている。よって、バルブディスク171は、若干テーパ状に弾性変形した状態でシート部154とディスク136とに自身の弾性力で全周にわたって圧接する。
【0070】
区画部材135は、ハウジング145内を可変室191と可変室192とに区画する。可変室191は、ハウジング本体131の底部150側と区画部材135との間にある。可変室192は、区画部材135とストッパ部材188との間にある。可変室191および可変室192は、いずれも容量が可変であり、区画部材135の変形により容量が変化する。可変室191および可変室192が、ハウジング145内に設けられるハウジング内室198を構成している。区画部材135は、ハウジング内室198に設けられている。
【0071】
可変室191はディスク132の切欠161内の絞り162を介してロッド室83に常時連通している。よって、可変室191は、ディスク132内の絞り162とロッド室83と図3に示すディスク51内の絞り82と通路43とを介して上室19に常時連通している。また、可変室191は、ディスク132内の絞り162とロッド室83とディスク54内の絞り92とを介して背圧室100に常時連通している。
【0072】
ハウジング本体131のシート部154に切欠158が設けられている。これにより、可変室191は、その径方向におけるシート部154よりも内側と外側とが常時連通している。
【0073】
可変室192は、その径方向における当接部176よりも内側が内側室196(圧力室)となっており、その径方向における当接部176よりも外側が外側室197となっている。外側室197は、連通路195を介して下室20に常時連通している。
【0074】
区画部材135は、上記したように、当接部176に切欠部178が周方向に間隔をあけて複数配置されている。これにより、可変室192の内側室196と外側室197とが切欠部178内の通路を介して連通可能となっている。内側室196と外側室197とは、区画部材135のバルブディスク171の変位が上記した第1変位である場合、切欠部178内の通路を介して連通可能である。他方、区画部材135のバルブディスク171の変位が第1変位よりも大きい上記した第2変位である場合、切欠部178内の通路が閉塞されることになって、内側室196と外側室197とは連通が遮断される。すなわち、区画部材135は、バルブディスク171が第2変位の状態では、その片側にある内側室196が閉塞されることになって、それ以上の内側室196側への変位が抑制される油圧ロック状態となる。
【0075】
伸び行程においては、図3に示す上室19からの油液が、通路43とディスク51内の絞り82とロッド室83とディスク132内の絞り162とを介して可変室191に導入される。すると、区画部材135のバルブディスク171は、支持部材185の図4に示すディスク136との接点を支点として外周側がシート部154からシート部154の軸方向に離れるようにテーパ状に変形する。その際に、バルブディスク171は、区画部材135のストッパ部材188に当接する当接部176の主に突出部182を圧縮変形させる。バルブディスク171のこの変形によって、可変室191の容積は増えることになる。
【0076】
その際に、バルブディスク171を支持している支持部材185が、バルブディスク171のこの変形に抵抗力を与える。ここで、バルブディスク171のこの変形時に、可変室192の容積は減ることになる。その際に切欠部178が閉塞されていなければ、可変室192の油液は連通路195を介して下室20に流れる。
【0077】
バルブディスク171は、ストッパ部材188側への変形の初期には、自身が変形すると共に、ストッパ部材188のディスク141に当接する当接部176の主に突出部182を圧縮変形させる。
バルブディスク171のストッパ部材188側への変形がさらに進むと、バルブディスク171は、自身がさらに変形すると共に当接部176の主に突出部182をさらに圧縮変形させる。それと共に、バルブディスク171は、支持部材185のディスク137の外周側に当接し、ディスク137の外周側をストッパ部材188側にテーパ状に弾性変形させる。
【0078】
バルブディスク171のストッパ部材188側への変形がさらに進むと、バルブディスク171は、自身がさらに変形すると共に当接部176の主に突出部182をさらに圧縮変形させる。それと共に、バルブディスク171は、支持部材185のディスク137の外周側をさらにストッパ部材188側にテーパ状に変形させる。それと共に、バルブディスク171は、ディスク137を介してディスク138の外周側をストッパ部材188側にテーパ状に弾性変形させる。
【0079】
図3に示す通路43と、絞り82とロッド室83と絞り162とハウジング内室198と連通路195とが通路201(第2通路)を構成している。通路201は、一部が通路43と並列に設けられている。通路201は、全部が通路44と並列に設けられている。バルブディスク171を含む撓み可能な板状の区画部材135は、この通路201に設けられて、通路201を区画する。通路201は、上室19と下室20とを連通可能である。通路201は、通路43と絞り82とロッド室83と絞り162と可変室191とが上室19に常時連通している。通路201は、可変室192の外側室197と連通路195とが下室20に常時連通している。通路201は、可変室192の内側室196が下室20に連通可能である。
【0080】
通路201は、通路43と絞り82とロッド室83と絞り162と可変室191とが、伸び行程におけるピストン18の移動によりシリンダ2内の上室19および下室20のうちの一方である上室19から油液が流入可能に設けられている。通路201は、連通路195と可変室192とが縮み行程におけるピストン18の移動によりシリンダ2内の上室19および下室20のうちの一方である下室20から油液が流入可能に設けられている。ここで、通路201は、上室19および下室20のうちの一方である上室19のみから油液が流入可能に設けられるようにしても良い。言い換えれば、通路201は、上室19および下室20のうちの少なくとも一方から油液が流入可能に設けられていれば良い。
【0081】
区画部材135は、そのバルブディスク171の内周側がディスク132とディスク136との間で移動可能である。区画部材135は、バルブディスク171の内周側が全周にわたってディスク136に接触する状態では、可変室191,192間の油液の流通を遮断する。また、区画部材135は、バルブディスク171の内周側がディスク136から離間する状態では、可変室192と可変室191との間の油液の流通を許容する。バルブディスク171の内周側とディスク136とは、チェック弁205を構成している。チェック弁205は、通路201に設けられている。チェック弁205は、可変室191から可変室192への油液の流れを規制する一方で、可変室192から可変室191への油液の流れを許容する。チェック弁205は、上室19の圧力が下室20の圧力より高くなる伸び行程では通路201の連通を遮断する。チェック弁205は、下室20の圧力が上室19の圧力より高くなる縮み行程では通路201を連通状態とする。
【0082】
チェック弁205は、その弁体である区画部材135の全体が軸方向にクランプされずに移動可能なフリーバルブである。なお、区画部材135は、可変室191,192の圧力状態にかかわらず、そのバルブディスク171の内周の全周を常にディスク136に接触させるように設定しても良い。すなわち、可変室191,192間の流通を常時遮断するようにしても良い。つまり、区画部材135のバルブディスク171は、通路201の少なくとも一方向への油液の流通を遮断すれば良い。
【0083】
周波数感応機構130は通路201に設けられて伸び行程において減衰力を発生させる。周波数感応機構130は、通路201を区画する区画部材135を有している。区画部材135のバルブディスク171は、ピストン18の伸び側への移動により可変室191に流入した油液によって第1変位をしたときには、通路201内の少なくとも一部である内側室196の油液を弾性体172に形成された切欠部178と、外側室197と、連通路195と、を介してシリンダ2内の下室20に排出可能である。また、バルブディスク171は、この第1変位をしたときには、通路201内の少なくとも一部である外側室197の油液を、連通路195を介してシリンダ2内の下室20に排出可能である。
【0084】
また、周波数感応機構130は、ストッパ部材188を有している。ストッパ部材188は、バルブディスク171がこの第1変位よりも大きい第2変位をしたときに弾性体172の切欠部178が塞がれることによって、図7に示すように、通路201内とバルブディスク171との間に閉塞された内側室196を形成する。この状態で、ストッパ部材188は、内側室196内の油液の外への移動を制限する。区画部材135は、バルブディスク171が第2変位をした状態では、その片側にある内側室196が閉塞されることになって、それ以上のストッパ部材188側への変位が抑制される油圧ロック状態となる。
【0085】
ピストンロッド21には、取付軸部28をそれぞれの内側に挿通させた状態で、図3に示す環状部材117、ディスク116、ディスク115、複数枚のディスク114、複数枚のディスク113、ディスク112、ディスク111、ピストン18、ディスク51、減衰バルブ52、ディスク53、ディスク54、パイロットケース55、ディスク56、ディスク57、複数枚のディスク58、ディスク59、ディスク60、ハウジング本体131、ディスク132、ディスク133およびディスク134が、この順に、軸段部29に重ねられる。このとき、パイロットケース55は、減衰バルブ52のシール部材86を外側円筒状部73に嵌合させる。
【0086】
また、図4に示すように、取付軸部28およびディスク133,134を内側に挿通させた状態で、区画部材135がハウジング本体131のシート部154に重ねられる。このとき、区画部材135の弾性体172は、ハウジング本体131の筒状部153に嵌合される。さらに、取付軸部28をそれぞれの内側に挿通させた状態で、ディスク136、ディスク137、ディスク138、ディスク139、ディスク140、複数枚のディスク141および環状部材144が、この順に、ディスク134と区画部材135のバルブディスク171とに重ねられる。
【0087】
このように環状部材117から環状部材144までの部品がピストンロッド21に配置された状態で、環状部材144よりも突出する取付軸部28の図3に示すオネジ31にナット211が螺合される。これにより、環状部材117、ディスク116、ディスク115、複数枚のディスク114、複数枚のディスク113、ディスク112、ディスク111、ピストン18、ディスク51、減衰バルブ52、ディスク53、ディスク54、パイロットケース55、ディスク56、ディスク57、複数枚のディスク58、ディスク59、ディスク60、ハウジング本体131、ディスク132、ディスク133、ディスク134、ディスク136、ディスク137、ディスク138、ディスク139、ディスク140、複数枚のディスク141および環状部材144は、それぞれの内周側または全部がピストンロッド21の軸段部29とナット211とに挟持されて軸方向にクランプされる。その際に、区画部材135は、内周側が軸方向にクランプされることはない。この状態で、区画部材135は、バルブディスク171が、ハウジング本体131のシート部154と支持部材185のディスク136とに当接する。また、この状態で、区画部材135は、当接部176の突出部182が、ストッパ部材188のディスク141に締め代をもって当接する。
【0088】
図1に示すように、内筒3と外筒4の底部材12との間には、上記したベースバルブ25が設けられている。このベースバルブ25は、ベースバルブ部材221とディスクバルブ222とディスクバルブ223と取付ピン224とを有している。ベースバルブ25は、ベースバルブ部材221において底部材12に載置されており、ベースバルブ部材221において内筒3に嵌合している。ベースバルブ部材221は、下室20とリザーバ室6とを仕切っている。ディスクバルブ222は、ベースバルブ部材221の下側つまりリザーバ室6側に設けられている。ディスクバルブ223は、ベースバルブ部材221の上側つまり下室20側に設けられている。取付ピン224は、ベースバルブ部材221にディスクバルブ222およびディスクバルブ223を取り付けている。
【0089】
ベースバルブ部材221は、円環状をなしており、径方向の中央に取付ピン224が挿通される。ベースバルブ部材221には、複数の通路穴225と複数の通路穴226とが形成されている。複数の通路穴225は、下室20とリザーバ室6との間で油液を流通させる。複数の通路穴226は、ベースバルブ部材221の径方向における複数の通路穴225の外側に配置されている。複数の通路穴226は、下室20とリザーバ室6との間で油液を流通させる。リザーバ室6側のディスクバルブ222は、下室20から通路穴225を介するリザーバ室6への油液の流れを許容する。その一方で、ディスクバルブ222はリザーバ室6から下室20への通路穴225を介する油液の流れを抑制する。ディスクバルブ223は、リザーバ室6から通路穴226を介する下室20への油液の流れを許容する。その一方で、ディスクバルブ223は、下室20からリザーバ室6への通路穴226を介する油液の流れを抑制する。
【0090】
ディスクバルブ222は、ベースバルブ部材221とによって減衰バルブ機構227を構成している。減衰バルブ機構227は、緩衝器1の縮み行程において開弁して下室20からリザーバ室6に油液を流すとともに減衰力を発生させる。ディスクバルブ223は、ベースバルブ部材221とによってサクションバルブ機構228を構成している。サクションバルブ機構228は、緩衝器1の伸び行程において開弁してリザーバ室6から下室20内に油液を流す。なお、サクションバルブ機構228は、主としてピストンロッド21のシリンダ2からの伸び出しにより生じる液の不足分を補うようにリザーバ室6から下室20に実質的に減衰力を発生させることなく油液を流す機能を果たす。
【0091】
次に緩衝器1の主な作動について説明する。
【0092】
「伸び行程において、周波数感応機構130が作用せず、伸び側の減衰力機構41および減衰力機構110のみが作用すると仮定した場合」
この場合に、ピストン18の移動速度(以下、ピストン速度と称す)が第1所定値よりも遅い時、上室19からの油液は、図3に示す通路43、絞り82、ロッド室83、絞り92、背圧室100および固定オリフィス105を介して下室20に流れる。よって、オリフィス特性(減衰力がピストン速度の2乗にほぼ比例する)の減衰力が発生する。このため、ピストン速度が第1所定値よりも遅い時のピストン速度に対する減衰力の特性は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇率が比較的高くなる。
【0093】
ピストン速度が第1所定値以上かつ第2所定値未満になると、上室19からの油液は、通路43、絞り82、ロッド室83、絞り92、背圧室100を通り、ディスクバルブ99を開きながら、ディスクバルブ99とバルブシート部75との間を通って、下室20に流れる。よって、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)の減衰力が発生する。このため、ピストン速度が第1所定値以上かつ第2所定値未満の時のピストン速度に対する減衰力の特性は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇率が、ピストン速度が第1所定値未満の時よりも下がることになる。
【0094】
ピストン速度が第2所定値以上に速くなると、減衰バルブ52に作用する力(油圧)の関係は、通路43から加わる開方向の力が背圧室100から加わる閉方向の力よりも大きくなる。よって、この領域では、ピストン速度の増加に伴い減衰バルブ52がピストン18のバルブシート部48から離れて開くことになる。よって、上室19からの油液は、通路43、絞り82、ロッド室83、絞り92、背圧室100を通り、ディスクバルブ99とバルブシート部75との間を通る下室20への流れに加え、通路43から減衰バルブ52とバルブシート部48との間を通って下室20へ流れる。このため、ピストン速度が第2所定値以上の時のピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇率は、ピストン速度が第1所定値以上かつ第2所定値未満の時よりも下がる。
【0095】
「縮み行程において、周波数感応機構130が作用せず、縮み側の減衰力機構42のみが作用すると仮定した場合」
この場合に、ピストン速度が第3所定値よりも遅い時、下室20からの油液は、図2に示す通路44とディスクバルブ122の固定オリフィス123とを介して上室19に流れる。これにより、オリフィス特性の減衰力が発生することになる。このため、ピストン速度が第3所定値よりも遅い時のピストン速度に対する減衰力の特性は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇率が比較的高くなる。
【0096】
ピストン速度が第3所定値以上に速くなると、下室20から通路44に導入された油液がディスクバルブ122を開きながらディスクバルブ122とバルブシート部49との間を通って上室19に流れることになる。これにより、バルブ特性の減衰力が発生する。このため、ピストン速度が第3所定値以上の時のピストン速度に対する減衰力の特性は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇率が、ピストン速度が第3所定値未満の時よりも下がることになる。
【0097】
「伸び行程において、周波数感応機構130が作用する場合」
本実施形態では、周波数感応機構130が、ピストン速度が同じ場合でも、ピストン周波数に応じて減衰力を可変とする。
【0098】
伸び行程では、上室19から、通路43、絞り82、ロッド室83および図4に示す絞り162を介して周波数感応機構130の可変室191に油液が導入される。よって、シート部154と支持部材185のディスク136とに当接していた区画部材135のバルブディスク171が、圧力負荷によって、ディスク136との接点を支点として外周側がシート部154から離れる方向にテーパ状に変形する。その際に、区画部材135は、ストッパ部材188に当接する当接部176の主に突出部182を圧縮変形させる。
【0099】
ここで、ピストン周波数が高いときの伸び行程では、ピストン18のストロークが小さい。このため、上室19から、通路43、絞り82、ロッド室83および絞り162を介して可変室191に導入される油液の量が少ない。よって、区画部材135のバルブディスク171は、圧力負荷によって上記のように変形するものの限界近くまで変形することはない。
【0100】
よって、ピストン周波数が高いときの伸び行程では、伸び行程の都度、周波数感応機構130の区画部材135のバルブディスク171が上記のように変形することにより、可変室191に上室19から油液を導入することになる。すると、上室19から、通路43、絞り82、ロッド室83、絞り92および背圧室100を通り、減衰力機構110を開きながら、下室20に流れる油液の流量が減ることになる。また、これに加えて、通路43から減衰力機構41を開きながら、下室20に流れる油液の流量も減ることになる。加えて、可変室191に上室19から油液を導入することによって、可変室191がない場合と比べて背圧室100の圧力上昇が抑えられ、減衰力機構41の減衰バルブ52が開弁しやすくなる。これらによって伸び側の減衰力がソフトになる。ここで、区画部材135の内周側は、ディスク132から離間してディスク136に片面側からのみ支持されている。このため、区画部材135は、内周側がディスク132に近づくように変形し易い。よって、区画部材135は、外周側の当接部176の主に突出部182が容易に圧縮変形する。
【0101】
ここで、伸び行程では、区画部材135のバルブディスク171は、上記したように、支持部材185のディスク136との接点を支点としてストッパ部材188側へテーパ状に変形する。バルブディスク171は、この変形の初期には、自身が変形すると共に、ストッパ部材188のディスク141に当接する当接部176の主に突出部182を圧縮変形させる。
【0102】
さらにバルブディスク171のストッパ部材188側への変形が進むと、バルブディスク171は、自身がさらに変形すると共に当接部176の主に突出部182をさらに圧縮変形させる。それと共に、バルブディスク171は、支持部材185のディスク137の外周側に当接し、ディスク137の外周側をストッパ部材188側にテーパ状に変形させる。
【0103】
さらにバルブディスク171のストッパ部材188側への変形が進むと、バルブディスク171は、自身がさらに変形すると共に当接部176の主に突出部182をさらに圧縮変形させる。それと共に、バルブディスク171は、支持部材185のディスク137の外周側およびディスク138の外周側をストッパ部材188側にテーパ状に変形させる。
【0104】
ただし、ピストン周波数が高いときの伸び行程では、区画部材135は、バルブディスク171の可変室191と可変室192との圧力差が小さい。よって、バルブディスク171のストッパ部材188側への変位が、変位量が所定値以下である第1変位となり、当接部176の切欠部178がストッパ部材188で閉塞されることはない。したがって、区画部材135は、周波数感応機構130の可変室192の内側室196の油液を、切欠部178内の通路を介して外側室197に排出させると共に、外側室197の油液を連通路195を介して下室20に排出させる。
【0105】
他方で、ピストン周波数が低いときの伸び行程では、ピストン18のストロークが大きい。このため、上室19から、通路43、絞り82、ロッド室83および絞り162を介して可変室191に導入される油液の量が多い。よって、ピストン18のストロークの初期に、上室19から可変室191に油液が流れるものの、その後は、区画部材135のバルブディスク171は限界近くまで変形して、それ以上変形しなくなる。その結果、上室19から可変室191に油液が流れなくなる。これにより、上室19から、通路43、絞り82、ロッド室83、絞り92および背圧室100を通り、減衰力機構110を開きながら、下室20に流れる油液の流量が減らないことになる。また、これに加えて、通路43から減衰力機構41を開きながら、下室20に流れる油液の流量も減らないことになる。加えて、可変室191に上室19から油液が導入されないことによって、背圧室100の圧力が上昇し、減衰力機構41の減衰バルブ52が開弁しにくくなる。これらによって伸び側の減衰力が高周波のときよりもハードになる。このピストン周波数が低いときの伸び行程でも、バルブディスク171は、ピストン周波数が高いときと同様に支持部材185を変形させながら変形する。
【0106】
ただし、ピストン周波数が低いときの伸び行程の初期であって、バルブディスク171のストッパ部材188側への変位が、変位量が所定値以下である第1変位であるときには、当接部176の切欠部178がストッパ部材188で閉塞されることはない。この状態で、区画部材135は、可変室192の内側室196の油液を、切欠部178内の通路を介して外側室197に排出させると共に、外側室197の油液を連通路195を介して下室20に排出させる。
【0107】
他方、ピストン周波数が低いときの伸び行程の上記初期より後では、可変室191と可変室192との圧力差が大きくなって、バルブディスク171の圧力負荷が大きくなり、バルブディスク171のストッパ部材188側への変位が、変位量が所定値を超える第2変位となる。すると、当接部176の切欠部178が、図7に示すようにストッパ部材188で閉塞される。この状態では、区画部材135は、可変室192の内側室196の油液を、切欠部178内の通路を介して外側室197に排出させることがない。このように内側室196が閉じられた状態では、可変室191の圧力上昇に伴って内側室196の圧力も上昇することになり、よって、バルブディスク171は、可変室191側と可変室192側との圧力差が拡大することが抑制される。特にバルブディスク171の内周側の変形が大きくなって内周側の応力が上昇してしまうことが抑制される。
【0108】
縮み行程では、下室20の圧力が高くなるが、周波数感応機構130の区画部材135のバルブディスク171が、ハウジング本体131のシート部154に当接して可変室192の拡大を抑制する。このため、下室20から連通路195を介して可変室192に導入される油液の量は抑制されることになる。その結果、下室20から通路44に導入され減衰力機構42を通過して上室19に流れる油液の流量がほぼ減らない状態となる。よって、減衰力がハードになる。縮み行程において、ピストン速度が速くなって可変室192の圧力が可変室191の圧力よりも所定値以上高くなると、区画部材135のバルブディスク171の内周側がディスク136から離れる。言い換えれば、チェック弁205が開く。これにより、下室20から、連通路195、可変室192、可変室191、絞り162、ロッド室83、絞り82および通路43を介して上室19に油液が流れる。このように、チェック弁205が開くことで、区画部材135のバルブディスク171は、可変室192側と可変室191側との差圧が抑制される。よって、バルブディスク171が過度に撓むことが抑制される。
【0109】
上記した特許文献1には、通路を区画する区画ディスクを備えた緩衝器が開示されている。この緩衝器の区画ディスクは、金属材料からなる一定厚さの有孔円形平板状の撓み可能なディスクと、ディスクの外周側に固着されるゴム材料からなる弾性部材とを有している。この区画ディスクは、弾性部材のストッパ部がバルブ部材であるディスクの周方向に断続的に形成されている。言い換えれば、区画ディスクの周方向に隣り合うストッパ部とストッパ部との間の溝は、その底部がバルブ部材であるディスクとなっている。このような構造であると、バルブ部材の両側に生じる圧力差が大きくなってバルブ部材の耐久性が低下してしまう可能性がある。
【0110】
第1実施形態の緩衝器1は、通路201に設けられて減衰力を発生させる周波数感応機構130が、バルブ部材であるバルブディスク171を有している。このバルブディスク171は、ピストン18の伸び側への移動により流入した油液によって第1変位をしたときには、通路201内の内側室196内の油液を弾性体172に形成された切欠部178と外側室197と連通路195とを介してシリンダ2内の下室20に排出可能である。また、周波数感応機構130は、ストッパ部材188を有している。ストッパ部材188は、バルブディスク171がこの第1変位よりも大きい第2変位をしたときに弾性体172の切欠部178が塞がれることによって、通路201内とバルブディスク171との間に閉塞された内側室196を形成する。この状態で、ストッパ部材188は、内側室196内の油液の移動を制限する。このように、バルブディスク171が第1変位よりも大きい第2変位をしたときに内側室196内の油液の移動を制限することによって、バルブディスク171の内側室196とは反対側にある可変室191の圧力が高くなると、これに追従して内側室196内の圧力を高くすることができる。よって、バルブディスク171の両側に生じる圧力差が大きくなることを抑制することができる。したがって、緩衝器1は、バルブ部材であるバルブディスク171の耐久性を向上させることができる。
【0111】
また、緩衝器1は、弾性体172がバルブ部材であるバルブディスク171に一体に設けられるため、部品点数の増大を抑制することができる。
【0112】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を主に図8に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0113】
第2実施形態においては、図8に示すように、区画部材135とは一部異なる区画部材135Aを区画部材135にかえて有している。区画部材135Aは、弾性体172とは一部異なる弾性体172Aを弾性体172にかえて有している。弾性体172Aは、当接部176とは一部異なる当接部176Aを当接部176にかえて有している。当接部176Aは、切欠部178とは一部異なる切欠部178Aを切欠部178にかえて有している。弾性体172Aは、突出部182とは一部異なる突出部182Aを突出部182にかえて有している。
【0114】
切欠部178Aは、区画部材135Aの軸方向において、当接部176Aのシール部175とは反対側の先端から、シール部175側に凹む溝状である。切欠部178Aは、当接部176Aを、当接部176Aの径方向に貫通している。当接部176Aには、同形状の切欠部178Aが、区画部材135Aの周方向に等間隔をあけて複数設けられている。切欠部178Aは、区画部材135Aの軸方向におけるシール部175側の底部が、区画部材135Aの径方向に見ると円弧状に湾曲している。
【0115】
突出部182Aは、主体部181から、区画部材135Aの軸方向において、シール部175とは反対側に突出している。突出部182Aは、区画部材135Aの周方向において隣り合う切欠部178Aと切欠部178Aとで、これらの間に形成されている。当接部176Aには、同形状の突出部182Aが、区画部材135Aの周方向に等間隔をあけて切欠部178Aと同数設けられている。突出部182Aは、区画部材135Aの軸方向において、主体部181からシール部175とは反対側に突出する凸状である。突出部182Aは、区画部材135Aの軸方向におけるシール部175とは反対側の先端部が、区画部材135Aの径方向に見ると円弧状に湾曲している。突出部182Aは、区画部材135Aの周方向における長さが、切欠部178Aの区画部材135Aの周方向における長さと同等になっている。当接部176Aには、その周方向に滑らかに連続するように切欠部178Aが複数設けられている。
【0116】
ここで、区画部材135Aは、可変室191(図4参照)と可変室192(図4参照)との圧力差により圧力負荷が発生して、バルブディスク171(図4参照)がストッパ部材188(図4参照)側に変位すると、弾性体172Aのストッパ部材188(図4参照)に当接する当接部176Aの主に突出部182Aが弾性変形する。区画部材135Aは、可変室191(図4参照)と可変室192(図4参照)との圧力差が小さく、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値以下である第1変位では、当接部176Aの主に突出部182Aが弾性変形することになるが、切欠部178Aがストッパ部材188(図4参照)で閉塞されることはない。
【0117】
他方、区画部材135Aは、可変室191(図4参照)と可変室192(図4参照)との圧力差が大きくなり、圧力負荷が大きくなって、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値を超える第2変位では、当接部176Aの主に突出部182Aが大きく弾性変形することになって、切欠部178Aがストッパ部材188(図4参照)で閉塞される。
【0118】
言い換えれば、ストッパ部材188(図4参照)は、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値以下である第1変位では、当接部176Aの切欠部178Aを閉塞することはない。他方、ストッパ部材188(図4参照)は、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値を超える第2変位では、当接部176Aの切欠部178Aを閉塞する。
【0119】
区画部材135Aは、ピストン周波数が高いときの伸び行程、および ピストン周波数が低いときの伸び行程の初期であって、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値以下である第1変位であるときには、当接部176Aの切欠部178Aがストッパ部材188(図4参照)で閉塞されることはない。この状態で、区画部材135Aは、可変室192(図4参照)の内側室196(図4参照)の油液を、切欠部178A内の通路を介して外側室197(図4参照)に排出させると共に、外側室197(図4参照)の油液を連通路195(図4参照)を介して下室20(図4参照)に排出させる。これにより、バルブディスク171(図4参照)が即座に変形して可変室191を即座に拡大させる。
【0120】
他方、ピストン周波数が低いときの伸び行程の上記初期より後に、区画部材135Aは、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値を超える第2変位となる。すると、当接部176Aの主に突出部182Aが大きく弾性変形することになって、切欠部178Aがストッパ部材188で閉塞される。この状態で、区画部材135Aは、可変室192(図4参照)の内側室196(図4参照)の油液を外側室197(図4参照)に排出させることがない。このように内側室196(図4参照)が閉じられた状態では、可変室191(図4参照)の圧力上昇に伴って内側室196(図4参照)の圧力も上昇することになり、よって、バルブディスク171(図4参照)は、可変室191(図4参照)側と可変室192(図4参照)側との圧力差が拡大することが抑制される。したがって、第2実施形態においても、バルブディスク171(図4参照)の耐久性を向上させることができる。
【0121】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態を主に図9に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0122】
第3実施形態においては、図9に示すように、区画部材135とは一部異なる区画部材135Bを区画部材135にかえて有している。区画部材135Bは、弾性体172とは一部異なる弾性体172Bを弾性体172にかえて有している。弾性体172Bは、当接部176とは一部異なる当接部176Bを当接部176にかえて有している。当接部176Bは、切欠部178とは一部異なる切欠部178Bを切欠部178にかえて有している。弾性体172Bは、突出部182とは一部異なる突出部182Bを突出部182にかえて有している。
【0123】
切欠部178Bは、区画部材135Bの軸方向において、当接部176Bのシール部175とは反対側の先端から、シール部175側に凹む溝状である。切欠部178Bは、当接部176Bを、当接部176Bの径方向に貫通している。当接部176Bには、同形状の切欠部178Bが、区画部材135Bの周方向に等間隔をあけて複数設けられている。
【0124】
切欠部178Bは、底面部179Bと、一対の壁面部180Bと、を有している。底面部179Bは、区画部材135Bの軸方向に対して垂直に広がる平面状である。切欠部178Bの底面部179Bは主体部181に形成されている。一対の壁面部180Bは、底面部179Bに対して同等の角度で傾斜している。一対の壁面部180Bは、区画部材135Bの軸方向において底面部179Bから離れるほど、区画部材135Bの周方向において互いの間隔が広くなる。
【0125】
突出部182Bは、主体部181から、区画部材135Bの軸方向において、シール部175とは反対側に突出している。
突出部182Bは、区画部材135Bの周方向において隣り合う切欠部178Bと切欠部178Bとで、これらの間に形成されている。当接部176Bには、同形状の突出部182Bが、区画部材135Bの周方向において等間隔をあけて切欠部178Bと同数設けられている。
【0126】
切欠部178Bは、区画部材135Bの周方向における長さが、区画部材135Bの周方向における突出部182Bの長さよりも長い。切欠部178Bは、区画部材135Bの軸方向に見て円弧状である。切欠部178Bの壁面部180Bは、突出部182Bに形成されている。区画部材135Bの周方向において隣り合って連続する壁面部180Bと壁面部180Bとが突出部182Bに形成されている。
【0127】
ここで、区画部材135Bは、可変室191(図4参照)と可変室192(図4参照)との圧力差により圧力負荷が発生して、バルブディスク171(図4参照)がストッパ部材188(図4参照)側に変位すると、弾性体172Bのストッパ部材188(図4参照)に当接する当接部176Bの主に突出部182Bが弾性変形する。区画部材135Bは、可変室191(図4参照)と可変室192(図4参照)との圧力差が小さく、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値以下である第1変位では、当接部176Bの主に突出部182Bが弾性変形することになるが、切欠部178Bがストッパ部材188(図4参照)で閉塞されることはない。
【0128】
他方、区画部材135Bは、可変室191(図4参照)と可変室192(図4参照)との圧力差が大きくなり、圧力負荷が大きくなって、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値を超える第2変位では、当接部176Bの主に突出部182Bが大きく弾性変形することになって、切欠部178Bがストッパ部材188(図4参照)で閉塞される。
【0129】
言い換えれば、ストッパ部材188(図4参照)は、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値以下である第1変位では、当接部176Bの切欠部178Bを閉塞することはない。他方、ストッパ部材188(図4参照)は、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値を超える第2変位では、当接部176Bの切欠部178Bを閉塞する。
【0130】
区画部材135Bは、ピストン周波数が高いときの伸び行程、および ピストン周波数が低いときの伸び行程の初期であって、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値以下である第1変位であるときには、当接部176Bの切欠部178Bがストッパ部材188(図4参照)で閉塞されることはない。この状態で、区画部材135Bは、可変室192(図4参照)の内側室196(図4参照)の油液を、切欠部178B内の通路を介して外側室197(図4参照)に排出させると共に、外側室197(図4参照)の油液を連通路195(図4参照)を介して下室20(図4参照)に排出させる。これにより、バルブディスク171(図4参照)が即座に変形して可変室191を即座に拡大させる。
【0131】
他方、ピストン周波数が低いときの伸び行程の上記初期より後に、区画部材135Bは、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値を超える第2変位となる。すると、当接部176Bの主に突出部182Bが大きく弾性変形することになって、切欠部178Bがストッパ部材188で閉塞される。この状態で、区画部材135Bは、可変室192(図4参照)の内側室196(図4参照)の油液を外側室197(図4参照)に排出させることがない。このように内側室196(図4参照)が閉じられた状態では、可変室191(図4参照)の圧力上昇に伴って内側室196(図4参照)の圧力も上昇することになり、よって、バルブディスク171(図4参照)は、可変室191(図4参照)側と可変室192(図4参照)側との圧力差が拡大することが抑制される。したがって、第3実施形態においても、バルブディスク171(図4参照)の耐久性を向上させることができる。
【0132】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態を主に図10に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0133】
第4実施形態においては、図10に示すように、区画部材135とは一部異なる区画部材135Cを区画部材135にかえて有している。区画部材135Cは、弾性体172とは一部異なる弾性体172Cを弾性体172にかえて有している。弾性体172Cは、当接部176とは一部異なる当接部176Cを当接部176にかえて有している。当接部176Cは、切欠部178とは一部異なる切欠部178Cを切欠部178にかえて有している。弾性体172Cは、突出部182とは一部異なる突出部182Cを突出部182にかえて有している。
【0134】
切欠部178Cは、区画部材135Cの軸方向において、当接部176Cのシール部175とは反対側の先端から、シール部175側に凹む溝状である。切欠部178Cは、当接部176Cを、当接部176Cの径方向に貫通している。当接部176Cには、同形状の切欠部178Cが、区画部材135Cの周方向に等間隔をあけて複数設けられている。切欠部178Cは、区画部材135Cの径方向に見ると、全体が円弧状に湾曲している。
【0135】
突出部182Cは、主体部181から、区画部材135Cの軸方向において、シール部175とは反対側に突出している。
突出部182Cは、区画部材135Cの周方向において隣り合う切欠部178Cと切欠部178Cとで、これらの間に形成されている。当接部176Cには、同形状の突出部182Cが、区画部材135Cの周方向に等間隔をあけて切欠部178Cと同数設けられている。突出部182Cは、区画部材135Cの周方向における長さが、区画部材135Cの周方向における切欠部178Cの長さよりも長い。
【0136】
ここで、区画部材135Cは、可変室191(図4参照)と可変室192(図4参照)との圧力差により圧力負荷が発生して、バルブディスク171(図4参照)がストッパ部材188(図4参照)側に変位すると、弾性体172Cのストッパ部材188(図4参照)に当接する当接部176Cの主に突出部182Cが弾性変形する。区画部材135Cは、可変室191(図4参照)と可変室192(図4参照)との圧力差が小さく、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値以下である第1変位では、当接部176Cの主に突出部182Cが弾性変形することになるが、切欠部178Cがストッパ部材188(図4参照)で閉塞されることはない。
【0137】
他方、区画部材135Cは、可変室191(図4参照)と可変室192(図4参照)との圧力差が大きくなり、圧力負荷が大きくなって、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値を超える第2変位では、当接部176Cの主に突出部182Cが大きく弾性変形することになって、切欠部178Cがストッパ部材188(図4参照)で閉塞される。
【0138】
言い換えれば、ストッパ部材188(図4参照)は、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値以下である第1変位では、当接部176Cの切欠部178Cを閉塞することはない。他方、ストッパ部材188(図4参照)は、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値を超える第2変位では、当接部176Cの切欠部178Cを閉塞する。
【0139】
区画部材135Cは、ピストン周波数が高いときの伸び行程、および ピストン周波数が低いときの伸び行程の初期であって、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値以下である第1変位であるときには、当接部176Cの切欠部178Cがストッパ部材188(図4参照)で閉塞されることはない。この状態で、区画部材135Cは、可変室192(図4参照)の内側室196(図4参照)の油液を、切欠部178C内の通路を介して外側室197(図4参照)に排出させると共に、外側室197(図4参照)の油液を連通路195(図4参照)を介して下室20(図4参照)に排出させる。これにより、バルブディスク171(図4参照)が即座に変形して可変室191を即座に拡大させる。
【0140】
他方、ピストン周波数が低いときの伸び行程の上記初期より後に、区画部材135Cは、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値を超える第2変位となる。すると、当接部176Cの主に突出部182Cが大きく弾性変形することになって、切欠部178Cがストッパ部材188で閉塞される。この状態で、区画部材135Cは、可変室192(図4参照)の内側室196(図4参照)の油液を外側室197(図4参照)に排出させることがない。このように内側室196(図4参照)が閉じられた状態では、可変室191(図4参照)の圧力上昇に伴って内側室196(図4参照)の圧力も上昇することになり、よって、バルブディスク171(図4参照)は、可変室191(図4参照)側と可変室192(図4参照)側との圧力差が拡大することが抑制される。したがって、第4実施形態においても、バルブディスク171(図4参照)の耐久性を向上させることができる。
【0141】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態を主に図11に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0142】
第5実施形態においては、図11に示すように、区画部材135とは一部異なる区画部材135Dを区画部材135にかえて有している。区画部材135Dは、弾性体172とは一部異なる弾性体172Dを弾性体172にかえて有している。弾性体172Dは、当接部176とは一部異なる当接部176Dを当接部176にかえて有している。当接部176Dは、切欠部178とは一部異なる切欠部178Dを切欠部178にかえて有している。弾性体172Dは、突出部182とは一部異なる突出部182Dを突出部182にかえて有している。
【0143】
突出部182Dは、主体部181から、区画部材135Dの軸方向において、シール部175とは反対側に突出している。当接部176Dには、同形状の突出部182Dが、区画部材135Dの周方向に等間隔をあけて複数設けられている。突出部182Dは、区画部材135Dの径方向に見ると、全体が円弧状に湾曲している。
【0144】
切欠部178Dは、区画部材135Dの軸方向において、当接部176Dのシール部175とは反対側の先端から、シール部175側に凹む溝状である。切欠部178Dは、当接部176Dを、当接部176Dの径方向に貫通している。当接部176Dには、同形状の切欠部178Dが、区画部材135Dの周方向に等間隔をあけて突出部182Dと同数設けられている。
【0145】
切欠部178Dは、底面部179Dと、一対の壁面部180Dと、を有している。底面部179Dは、区画部材135Dの軸方向に対して垂直に広がる平面状である。切欠部178Dの底面部179Dは主体部181に形成されている。区画部材135Dの周方向において隣り合う壁面部180Dと壁面部180Dとは、連続して一つの突出部182Dに形成されている。切欠部178Dは、区画部材135Dの周方向における長さが突出部182Dよりも長い。
【0146】
ここで、区画部材135Dは、可変室191(図4参照)と可変室192(図4参照)との圧力差により圧力負荷が発生して、バルブディスク171(図4参照)がストッパ部材188(図4参照)側に変位すると、弾性体172Dのストッパ部材188(図4参照)に当接する当接部176Dの主に突出部182Dが弾性変形する。区画部材135Dは、可変室191(図4参照)と可変室192(図4参照)との圧力差が小さく、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値以下である第1変位では、当接部176Dの主に突出部182Dが弾性変形することになるが、切欠部178Dがストッパ部材188(図4参照)で閉塞されることはない。
【0147】
他方、区画部材135Dは、可変室191(図4参照)と可変室192(図4参照)との圧力差が大きくなり、圧力負荷が大きくなって、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値を超える第2変位では、当接部176Dの主に突出部182Dが大きく弾性変形することになって、切欠部178Dがストッパ部材188(図4参照)で閉塞される。
【0148】
言い換えれば、ストッパ部材188(図4参照)は、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値以下である第1変位では、当接部176Dの切欠部178Dを閉塞することはない。他方、ストッパ部材188(図4参照)は、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値を超える第2変位では、当接部176Dの切欠部178Dを閉塞する。
【0149】
区画部材135Dは、ピストン周波数が高いときの伸び行程、および ピストン周波数が低いときの伸び行程の初期であって、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値以下である第1変位であるときには、当接部176Dの切欠部178Dがストッパ部材188(図4参照)で閉塞されることはない。この状態で、区画部材135Dは、可変室192(図4参照)の内側室196(図4参照)の油液を、切欠部178D内の通路を介して外側室197(図4参照)に排出させると共に、外側室197(図4参照)の油液を連通路195(図4参照)を介して下室20(図4参照)に排出させる。これにより、バルブディスク171(図4参照)が即座に変形して可変室191を即座に拡大させる。
【0150】
他方、ピストン周波数が低いときの伸び行程の上記初期より後に、区画部材135Dは、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値を超える第2変位となる。すると、当接部176Dの主に突出部182Dが大きく弾性変形することになって、切欠部178Dがストッパ部材188で閉塞される。この状態で、区画部材135Dは、可変室192(図4参照)の内側室196(図4参照)の油液を外側室197(図4参照)に排出させることがない。このように内側室196(図4参照)が閉じられた状態では、可変室191(図4参照)の圧力上昇に伴って内側室196(図4参照)の圧力も上昇することになり、よって、バルブディスク171(図4参照)は、可変室191(図4参照)側と可変室192(図4参照)側との圧力差が拡大することが抑制される。したがって、第5実施形態においても、バルブディスク171(図4参照)の耐久性を向上させることができる。
【0151】
[第6実施形態]
次に、第6実施形態を主に図12に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0152】
第6実施形態においては、図12に示すように、区画部材135とは一部異なる区画部材135Eを区画部材135にかえて有している。区画部材135Eは、弾性体172とは一部異なる弾性体172Eを弾性体172にかえて有している。弾性体172Eは、当接部176とは一部異なる当接部176Eを当接部176にかえて有している。当接部176Eは、切欠部178とは一部異なる切欠部178Eを切欠部178にかえて有している。弾性体172Eは、突出部182とは一部異なる突出部182Eを突出部182にかえて有している。
【0153】
切欠部178Eは、区画部材135Eの軸方向において、当接部176Eのシール部175とは反対側の先端から、シール部175側に凹む溝状である。切欠部178Eは、当接部176Eを、当接部176Eの径方向に貫通している。当接部176Eには、同形状の切欠部178Eが、区画部材135Eの周方向に等間隔をあけて複数設けられている。
【0154】
切欠部178Eは、底面部179Eと、一対の壁面部180Eと、を有している。底面部179Eは、区画部材135Eの軸方向に対して垂直に広がる平面状である。切欠部178Eの底面部179Eは主体部181に形成されている。一対の壁面部180Eは、底面部179Eに対して同等の角度で傾斜している。一対の壁面部180Eは、区画部材135Eの軸方向において底面部179Eから離れるほど、区画部材135Eの周方向において互いの間隔が広くなる。
【0155】
突出部182Eは、主体部181から、区画部材135Eの軸方向において、シール部175とは反対側に突出している。
突出部182Eは、区画部材135Eの周方向において隣り合う切欠部178Eと切欠部178Eとで、これらの間に形成されている。当接部176Eには、同形状の突出部182Eが、区画部材135Eの周方向に等間隔をあけて切欠部178Eと同数設けられている。突出部182Eには、区画部材135Eの周方向における両側に壁面部180Eが、区画部材135Eの周方向に離間して設けられている。
【0156】
切欠部178Eは、区画部材135Eの周方向における長さが、区画部材135Eの周方向における突出部182Eの長さよりも長い。切欠部178Eは、区画部材135Eの軸方向に見て円弧状である。
【0157】
ここで、区画部材135Eは、可変室191(図4参照)と可変室192(図4参照)との圧力差により圧力負荷が発生して、バルブディスク171(図4参照)がストッパ部材188(図4参照)側に変位すると、弾性体172Eのストッパ部材188(図4参照)に当接する当接部176Eの主に突出部182Eが弾性変形する。区画部材135Eは、可変室191(図4参照)と可変室192(図4参照)との圧力差が小さく、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値以下である第1変位では、当接部176Eの主に突出部182Eが弾性変形することになるが、切欠部178Eがストッパ部材188(図4参照)で閉塞されることはない。
【0158】
他方、区画部材135Eは、可変室191(図4参照)と可変室192(図4参照)との圧力差が大きくなり、圧力負荷が大きくなって、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値を超える第2変位では、当接部176Eの主に突出部182Eが大きく弾性変形することになって、切欠部178Eがストッパ部材188(図4参照)で閉塞される。
【0159】
言い換えれば、ストッパ部材188(図4参照)は、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値以下である第1変位では、当接部176Eの切欠部178Eを閉塞することはない。他方、ストッパ部材188(図4参照)は、バルブディスク171のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値を超える第2変位では、当接部176Eの切欠部178Eを閉塞する。
【0160】
区画部材135Eは、ピストン周波数が高いときの伸び行程、および ピストン周波数が低いときの伸び行程の初期であって、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値以下である第1変位であるときには、当接部176Eの切欠部178Eがストッパ部材188(図4参照)で閉塞されることはない。この状態で、区画部材135Eは、可変室192(図4参照)の内側室196(図4参照)の油液を、切欠部178E内の通路を介して外側室197(図4参照)に排出させると共に、外側室197(図4参照)の油液を連通路195(図4参照)を介して下室20(図4参照)に排出させる。これにより、バルブディスク171(図4参照)が即座に変形して可変室191を即座に拡大させる。
【0161】
他方、ピストン周波数が低いときの伸び行程の上記初期より後に、区画部材135Eは、バルブディスク171(図4参照)のストッパ部材188(図4参照)側への変位が、変位量が所定値を超える第2変位となる。すると、当接部176Eの主に突出部182Eが大きく弾性変形することになって、切欠部178Eがストッパ部材188で閉塞される。この状態で、区画部材135Eは、可変室192(図4参照)の内側室196(図4参照)の油液を外側室197(図4参照)に排出させることがない。このように内側室196(図4参照)が閉じられた状態では、可変室191(図4参照)の圧力上昇に伴って内側室196(図4参照)の圧力も上昇することになり、よって、バルブディスク171(図4参照)は、可変室191(図4参照)側と可変室192(図4参照)側との圧力差が拡大することが抑制される。したがって、第6実施形態においても、バルブディスク171(図4参照)の耐久性を向上させることができる。
【0162】
第1~第6実施形態においては、弾性体172,172A~172Eの当接部176,176A~176Eをバルブディスク171に一体に設ける場合を例にとり説明したが、これに限らない。例えば、当接部176,176A~176Eをバルブディスク171に設けずに、ストッパ部材188を構成する複数のディスク141のうちの最もバルブディスク171側にあってバルブディスク171と対向するディスク141に一体に設けても良い。その際に、弾性体である当接部176,176A~176Eは、このディスク141のバルブディスク171側に設けられることになり、このディスク141側に主体部181が、バルブディスク171と当接する側に切欠部178,178A~178Eおよび突出部182,182A~182Eが設けられることになる。
【0163】
上記実施形態では、油圧緩衝器を例に示したが、作動流体として水や空気を用いることもできる。
【符号の説明】
【0164】
1…緩衝器、2…シリンダ、18…ピストン、19…上室(室)、20…下室(室)、21…ピストンロッド、41…減衰力機構(第1減衰力機構)、43…通路(第1通路)、130…周波数感応機構(第2減衰力機構)、171…バルブディスク(バルブ部材)、172,172A~172E…弾性体、178,178A~178E…切欠部、188…ストッパ部材(制限部)、196…内側室(圧力室)、201…通路(第2通路)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12