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  • 特開-クッション 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144539
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】クッション
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/14 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
A47C27/14 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051561
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】522123289
【氏名又は名称】株式会社都や
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【弁理士】
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】羽賀 宏樹
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AA04
3B096AB05
(57)【要約】
【課題】うつ伏せに寝そべった状態で使用する際に、胸部や上腕部をしっかりと支えることができるとともに、両腕を自由にしてスマートフォンなどを操作しやすくしたクッションを提供する。
【解決手段】楔形形状をなすクッション1であって、床面に接地されるベース面2と、当該ベース面2に対して10度から30度程度傾斜するように設けられる傾斜面3と、当該傾斜面3の上部側に設けられ、左右方向の幅を傾斜面3の中央部分の幅よりも広くした第一幅広部61とを設ける。そして、第一幅広部61に肩や上腕部の付け根近傍を載せ、また、上部側に設けられた湾曲部32に首や顎などを載せて使用できるようにする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に接地するベース面と、
当該ベース面に対して傾斜するように設けられる傾斜面と、
当該傾斜面の上部側に設けられ、左右方向の幅を傾斜面の中央部分の幅よりも広くした幅広部と、
を設けたことを特徴とするクッション。
【請求項2】
ベース面の前端部を床面に対して起立させるための前壁面を設けた請求項1に記載のクッション。
【請求項3】
前記傾斜面の下部側に、当該傾斜面の中央部分よりも左右方向の幅を広くした第二幅広部を設けた請求項1に記載のクッション。
【請求項4】
前記傾斜面の上部側に、当該傾斜面よりも水平面に近い上部面を形成した請求項1に記載のクッション。
【請求項5】
当該上部面の左右方向の中央部分に、下方に向かって凹むように湾曲させた湾曲部を設けた請求項1に記載のクッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間が寝そべった状態で使用することができるクッションに関するものであり、より詳しくは、うつ伏せに寝そべった状態でスマートフォンなどを使用できるようにしたクッションに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人間が床面の上で寝そべって使用するクッションとして、種々のものが提案されている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、卵形状をなすような伸縮可能な袋と、この袋の内部に充填される発砲ビーズとを備えたクッションが提案されている。このような構成によれば、着座時に、身体の形状に合わせてクッションを変形させることができるため、仰向けに寝そべった状態、うつ伏せに寝そべった状態、横向きに寝そべった状態などのように、様々な体勢で使用することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-176499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなクッションでは、次のような場合に問題がある。
【0006】
例えば、うつ伏せに寝そべった状態でスマートフォンやタブレット端末を操作する場合や読書などを行う場合、胸面をクッションで支持させるとともに、顔の位置をある程度離した状態で、腕を自由に動かせるようにしておく必要がある。しかしながら、クッションが身体全体を包み込むように大きいと、これをうつ伏せに寝そべった状態で使用する場合、肘がクッションの上に載置された状態となるため、肘の位置が高くなり、スマートフォンなどと顔の距離が近くなり過ぎてしまう。
【0007】
一方、クッションを小さくすることなどによって、両腕を外側に出してクッションを抱きかかえられるようにすると、クッションが柔らか過ぎるため、胸面や顔を高い位置に支持させておくことができず、肘で体重を支えることになる。このため、肘が床面に強く当たり、痛みを生じてしまうばかりでなく、クッションの両側から肩や上腕部が飛び出た状態となっているため、長時間スマートフォンなどを使用する場合は、上腕部に疲労が蓄積してしまうといった問題を生ずる。
【0008】
そこで、本発明は上記課題を解決するために、うつ伏せに寝そべった状態で使用する際に、胸部や上腕部をしっかりと支えることができるとともに、両腕を自由にしてスマートフォンなどを操作しやすくしたクッションを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明のクッションは、上記課題を解決するために、床面に接地されるベース面と、当該ベース面に対して傾斜するように設けられる傾斜面と、当該傾斜面の上部側に設けられ、左右方向の幅を傾斜面の中央部分の幅よりも広くした幅広部とを設けるようにしたものである。
【0010】
このように構成すれば、人間の胸部全体を傾斜面で支持することができるとともに、その上部側に設けられた幅広部で肩などを支えることができるようになるため、うつ伏せに寝そべった状態で使用する場合に、肘への負担を減らすことができるようになる。しかも、幅広部の下方側を相対的に幅狭くすることができるため、そこに腕を通して、スマートフォンなどを操作し易くすることができるようになる。
【0011】
また、このような発明において、ベース面の前端部を床面に対して起立させるための前壁面を設けるようにする。
【0012】
このように構成すれば、クッションを起立させるように、前壁面を床面に接地させることで、傾斜面の角度を変えて、背凭れとして使用することもできるようになる。
【0013】
さらには、前記傾斜面の下部側に、当該傾斜面の中央部分よりも左右方向の幅を広くした第二幅広部を設ける。
【0014】
このように構成すれば、床面と人間の胸部でその第二幅広部を押さえ付けることができ、クッションをしっかりと安定させた状態で使用することができるようになる。
【0015】
また、前記傾斜面の上部側に、当該傾斜面よりも水平面に近い上部面を形成する。
【0016】
このように構成すれば、上部面に首や顎などを載せて使用することができるようになり、肩凝りなどを生じさせにくくすることができる。
【0017】
また、当該上部面の左右方向の中央部分に、下方に向かって湾曲させた湾曲部を設けるようにする。
【0018】
このように構成すれば、湾曲部に首や顎を載せて広い面積で支持することができるため、首や顎などを楽に支持することができるようになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、人間の胸部全体を傾斜面で支持することができるとともに、その上部側に設けられた幅広部で肩などを支えることができるため、うつ伏せに寝そべった状態で使用する場合に、肘への負担を減らすことができるようになる。しかも、幅広部の下方側を相対的に幅狭くすることができるため、そこに腕を通して、スマートフォンなどを操作し易くすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施の形態のクッションの外観斜視図
図2】同形態における第一の使用状態を示す図
図3】同形態における第二の使用状態を示す図
図4】同形態における正面図、左右側面図、平面図、底面図を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
この実施の形態のクッション1は、図2に示すように、人間がうつ伏せに寝そべった状態でスマートフォンやタブレット端末の操作や読書などを行う際に、胸部を含む上体を支持させるようにしたものであって、形状の崩れにくい素材として、例えば、発泡スチロールや発泡ウレタンなどの比較的弾力性を有する素材によって構成される。
【0023】
具体的には、このクッション1は、図1図4に示すように、床面に載置されるベース面2と、このベース面2に対して傾斜するように設けられる傾斜面3と、この傾斜面3の上端部分に設けられる上面部31と、この上面部31から下方に向かって垂直に設けられた起立面5と、前記傾斜面3の両側部に設けられた側面部4とを設けるように構成される。そして、このように楔形形状に構成することによって、図2に示すように、傾斜面3に胸部を載せて側面部4から両腕を前方に伸ばし、上面部31に顎を乗せた状態で、起立面5の前方でスマートフォンなどの操作をできるようにしたものである。以下、本実施の形態について、詳細に説明する。
【0024】
まず、ベース面2は、フローリングなどの床面の上に接地するように設けられる平面状のものであって、左右幅が約30cmから60cm、前後が40cmから60cm程度の大きさに構成される。なお、これらの寸法については、この寸法に限定されるものではなく、平均的な使用者の体の大きさによって設定される。
【0025】
一方、このベース面2に対して傾斜するように設けられる傾斜面3は、人間がうつ伏せになって肘を立てた状態の際に、人間の胸部を支持して肘の接地部分への負担を軽減させるような角度であって、例えば、平均傾斜角が10度から30度の範囲に設けられる。なお、ここで、平均傾斜角とは、傾斜面3の後端部分(下端部分)と前端部分(上端部分)を結ぶ直線の角度をいうものとし、傾斜面3の中央部分が凹んだ状態や、中央部分が凸状に膨らんだ状態も含むものである。
【0026】
この傾斜面3の上端部分には、人間の顔や顎を載せることのできる上面部31(図1図4参照)が形成されており、また、人間の肩近傍や上腕部の付け根近傍を支持できるようにした第一幅広部61が設けられる。この第一幅広部61は、傾斜面3の中央部分よりも左右方向の幅を広くしたものであって、左右方向に約10cmから15cm程度突出させて設けられる。これにより、人間の上腕部の付け根近傍を軽く支持させることで、腕を軽く支持するとともに、肘の床面への当たりを低減させるようにしている。
【0027】
一方、この第一幅広部61の上面部31は、傾斜面3の傾斜角度よりも水平に近い角度の面に形成されるものであって、中央部分に下方に向かって湾曲する湾曲部32を設けるようにしている。この湾曲部32は、人間の顎や首などを載せることができるようにしたものであって、ここに顎や首を載せることで、顎や首への接触面積を大きくし、圧迫を低減させるようにしている。
【0028】
また、この実施の形態では、傾斜面3の後端部側(下方側)についても、左右方向の幅を中央部分よりも広くした第二幅広部62を設けるようにしている。この第二幅広部62は、楔形状をなすクッション1を使用する際に、左右方向にクッション1が倒れないようにしたものであって、腰部と床面との間に第二幅広部62を挟み込んで、起立状態を安定させるようにしたものである。なお、この第二幅広部62についても第一幅広部61と同様に、10cmから15cm程度左右方向に突出させるようにしている。
【0029】
一方、この傾斜面3の両側に設けられる側面部4は、第一幅広部61と第二幅広部62の間をつなぐ側面を形成するものであって、しかも、第一幅広部61の下方には、第一幅広部61よりも左右幅の狭い狭小領域61Aを設けるようにしている。そして、このような狭小領域61Aを設けることによって、その部分に腕を通して、床面に対して起立する起立面5の前方でスマートフォンなどの操作などをできるようにしている。
【0030】
次に、このように構成されたクッション1の第一の使用方法について、図2を用いて説明する。
【0031】
まず、このクッション1を使用する場合、フローリングなどの床面にベース面2を置き、床面に対して傾斜面3を傾斜させた状態にする。
【0032】
そして、このようにクッション1を置いた状態で、使用者に、その胸部が傾斜面3に接触するようにうつ伏せにした状態で寝そべらせる。このとき、使用者の顎や首などが、上面部31に形成された湾曲部32に来るようにしておき、また、両肩や上腕部の付け根近傍が、第一幅広部61の上にくるようにしておく。また、傾斜面3の下方部分については、人間の腰部で第二幅広部62を押圧し、クッション1の傾斜面3を小さい角度に傾斜させた状態に安定させる。
【0033】
このように、使用者がうつ伏せに寝そべった状態で、スマートフォンなどを手で持って操作する。このとき、顔が高い位置に支持されるため、顔とスマートフォンなどを離した状態にしておくことができる。また、胸部を傾斜面3で全面的に支持することができるとともに、第一幅広部61で、両肩や上腕部の付け根近傍を支持させることで、長時間スマートフォンなどを使用することによる腕の疲労や肘の床面への当たりを低減させる。
【0034】
次に、このように構成されたクッション1の第二の使用方法について、図3を用いて説明する。
【0035】
上記第一の使用方法では、傾斜面3を10度から30度程度傾斜させるようにしたが、この第二の使用方法では、起立面5を床面に接地させるようにし、傾斜面3を60度から80度傾斜させて使用させるようにしたものである。
【0036】
この第二の使用方法で使用する場合、起立面5をフローリングなどに接地させるように置くとともに、ベース面2を部屋の壁やベッドのフレームなどに押し当てる。
【0037】
そして、このように起立させた状態で、背凭れとしてクッション1を使用する。このとき、腰部近傍が、第一幅広部61で広く押圧され、また、湾曲部32で背骨部分を避けて使用させることができる。また、傾斜面3の第二幅広部62については、使用者の両肩近傍などを支持させることができ、また、壁面と肩によって第二幅広部62を挟み込んで、クッション1を安定させることができるようになる。
【0038】
このように上記実施の形態によれば、床面に接地されるベース面2と、当該ベース面2に対して傾斜するように設けられる傾斜面3と、当該傾斜面3の上部側に設けられ、左右方向の幅を傾斜面3の中央部分の幅よりも広くした第一幅広部61とを設けるようにしたので、人間の胸部全体を傾斜面3で支持することができ、また、その上部側に設けられた第一幅広部61で肩などを支持することができるようになる。これにより、うつ伏せに寝そべった状態で使用する場合に、肘への負担を減らすことができるようになる。しかも、第一幅広部61の下方側の狭小領域61Aが相対的に幅が狭くなっているため、そこに腕を通して、スマートフォンなどを操作し易くすることができるようになる。
【0039】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0040】
例えば、上記実施の形態では、傾斜面3の角度として10度から30度程度にしたが、これに限定されるものではなく、また、第一幅広部61や第二幅広部62の左右方向への突出量についても上述の突出量に限定されるものではない。
【0041】
また、上記実施の形態では、上面部31に凹んだ湾曲部32を設けるようにしたが、上面部31を平面状としておき、その上面部31に弾力性を有する素材を設けて、クッション性を良くしてもよい。
【0042】
さらに、上記実施の形態では、第二幅広部62を設けるようにしたが、第二幅広部62を設けないようにしてもよい。
【0043】
また、上記実施の形態では、ベース面2を床面に接地させて使用するようにしたが、傾斜面3を床面に接地させ、ベース面2に使用者の胸部を接触させて使用してもよい。この場合、床面側に位置することになる第一幅広部61に、肘や腕などを載せて使用すると、肘や腕などの負担を軽減させることができるようになる。
【0044】
また、上記実施の形態では、上面部31を設けるようにしたが、この上面部31を設けることなく、傾斜面3をそのまま上部側まで設けるようにしてもよい。
【0045】
また、上記実施の形態では、起立面5をベース面2に対して略直角となるように起立させたが、この起立面5の中央部分を湾曲させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1・・・クッション
2・・・ベース面
3・・・傾斜面
31・・・上面部
32・・・湾曲部
4・・・側面部
5・・・起立面
61・・・第一幅広部
62・・・第二幅広部
図1
図2
図3
図4