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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144547
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】加湿器および酸素濃縮装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/16 20060101AFI20231003BHJP
   A61M 16/10 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
A61M16/16 Z
A61M16/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051579
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】503369495
【氏名又は名称】帝人ファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】竹島 宏記
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 慎一
(72)【発明者】
【氏名】切明 久
(57)【要約】
【課題】 環境温度の変化に伴う部材の熱膨張に伴う接続位置の変化に対して、順応して確実に接続可能な加湿器およびそれを搭載した酸素濃縮装置を提供する。
【解決手段】 乾燥状態のガスを加湿する水加湿器の導入ノズルまたは導出ノズルと、それをノズル支持構造体との間に、ノズル間隔を調整する調整部を備えた加湿器およびそれを搭載した酸素濃縮装置。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥状態のガスを加湿するための加湿器であり、該ガスを導入する導入ノズルおよび加湿されたガスを排出する導出ノズルと、前記導入ノズルおよび導出ノズルを平行に支持するノズル支持構造体と、加湿用の水を入れる加湿容器と、前記加湿容器と密閉し、前記導入ノズルおよび導出ノズルとの間で各々気密状態で嵌合する当該ガスの導入口および導出口を備えた蓋と、を備えると共に、
前記導入ノズルまたは導出ノズルとノズル支持構造体との間に、導入ノズルと導出ノズルの間の間隔を調整する調整部を備えたことを特徴とする、加湿器。
【請求項2】
前記調整部が、前記導入ノズルまたは導出ノズルとノズル支持構造体との間に間隙を備えることを特徴とする、請求項1に記載の加湿器。
【請求項3】
前記導入ノズルまたは前記導出ノズルを受けるフランジ型軸受けを備え、前記調整部が、フランジ型軸受けとノズル支持構造体との間で可動となるように所定間隔を開けて支持されていることを特徴とする、請求項2に記載の加湿器。
【請求項4】
前記導入ノズルと導出ノズルの間の可動域が0.2mm以上、3mm以下である、請求項1~3の何れかに記載の加湿器。
【請求項5】
酸素よりも窒素を選択的に吸着する吸着剤を備え、空気中から未吸着の酸素濃縮ガスを分離する吸着型酸素濃縮装置であり、生成された酸素濃縮ガスを加湿する加湿器を備えると共に、
かかる加湿器が、酸素濃縮ガスを導入する導入ノズルおよび加湿された酸素濃縮ガスを排出する導出ノズルと、前記導入ノズルおよび導出ノズルを平行に支持するノズル支持構造体と、加湿用の水を入れる加湿容器と、前記加湿容器と密閉し、前記導入ノズルおよび導出ノズルとの間で、各々気密状態で嵌合する当該酸素濃縮ガスの導入口および導出口を備えた蓋と、を備えると共に、前記導入ノズルまたは導出ノズルとノズル支持構造体との間にノズル間隔を調整する調整部を備えたことを特徴とする、酸素濃縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中から酸素を分離する酸素濃縮装置に関するものであり、生成した乾燥状態の酸素濃縮ガスを適度に加湿するための水加湿器を搭載した酸素濃縮装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
喘息、肺気腫症、慢性気管支炎等の呼吸器疾患や、最近では新型コロナウイルス感染症によるウイルス性肺炎に苦しむ患者が増加しており、その治療法として最も効果的なもののひとつに酸素吸入療法がある。かかる酸素吸入療法とは、酸素ガスあるいは酸素濃縮ガスを呼吸器疾患患者に吸入させるものである。これに用いる酸素の供給源として、酸素濃縮装置、液体酸素、酸素ガスボンベ等が知られているが、使用方法の簡便性や保守管理の容易性などの理由から、在宅酸素療法には酸素濃縮装置が主流で用いられている。
【0003】
酸素濃縮装置は、空気中に存在する約21%の酸素を分離濃縮して供給する装置である。かかる装置としては、酸素を選択的に透過する膜を用いた膜式酸素濃縮装置や、窒素または酸素を優先的に吸着しうる吸着剤を用いた圧力変動吸着型酸素濃縮装置が知られているが、90%以上の高濃度の酸素が得られることから、在宅酸素療法用の装置としては、圧力変動吸着型酸素濃縮装置が主に使用されている。
【0004】
圧力変動吸着型酸素濃縮装置は、酸素よりも窒素を選択的に吸着する吸着剤である5A型や13X型、Li-X型などのモレキュラーシーブゼオライトを充填した吸着筒に、コンプレッサで圧縮された空気を供給することにより加圧条件下で吸着剤に窒素を吸着させ、未吸着の酸素を得る加圧・吸着工程と、前記吸着筒内の圧力を大気圧またはそれ以下に減じて、吸着剤に吸着された窒素をパージすることにより吸着剤の再生を行う減圧・脱着工程を交互に繰り返し行うことで、高濃度の酸素濃縮ガスを連続的に生成することができる。
【0005】
窒素吸着剤として用いられるゼオライトは、空気中の水分も吸着する性質を有するため、生成される酸素濃縮ガスは湿度をほとんど含まない乾燥した状態で吐出される。そのため乾燥状態の酸素濃縮ガスを継続して吸入することによる患者の鼻腔や口腔の乾燥を防止するために、多くの酸素濃縮装置には、酸素濃縮ガスを加湿した状態で供給するための加湿器が搭載されている。このような加湿器には、加湿性能の高さから、特開平7-165402号公報に開示されているように、酸素濃縮ガスを水中へ導いて気泡化する気泡発生器を通し、水分を付与することによって、乾燥状態にある酸素濃縮ガスを加湿する気泡式加湿器が一般的に使用されている(特許文献1)。
【0006】
酸素濃縮装置の流路途中に設置される加湿器では、加湿水の補充交換を使用者が行うため、交換時の水漏れ、接続不良等による酸素漏れを起こさないよう様々なアイデアが盛り込まれている。特開2005-185415号公報には、加湿器の装着向きを間違えないように加湿器容器と酸素濃縮装置の装着面に凹凸を設けること、加湿器蓋と容器の締め付け不良を防ぐための構図が開示されている(特許文献2)。また、WO2011/087110には、カニューラの折れ曲がり等で酸素濃縮装置に排圧が掛かった状態で加湿器を取り外した際に加湿水が噴出するのを防止するために、加湿器の導出側の方が導入側よりも先に破瓜するように、ノズルに設けるOリングの位置を調整した装置が開示されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7-165402号公報
【特許文献2】特開2005-185415号公報
【特許文献3】WO2011/087110号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の楊に各種機能を搭載した加湿器と酸素濃縮装置は、酸素漏れを起こすことが無いように、酸素濃縮装置側のノズルとそれに嵌合する加湿器蓋との間で接続されるように、精度よく接続されるように設計されている。
【0009】
酸素濃縮装置は世界各地、様々な環境下で呼吸器疾患患者に対する酸素吸入療法に使用されている。従って、室内とは言え、35度以上の猛暑の環境下や5℃以下の環境下で使用される場合もある。酸素濃縮装置に使用される加湿器の蓋部分は通常、ABS等の樹脂製であり、それに嵌合する導入ノズル、導出ノズルはSUS製、ノズルを支持する取り付け基盤である酸素濃縮装置の構造部材はアルミニウムで出来ていることが多く、熱膨張率の違いにより酸素濃縮装置の酸素ガスの導入ノズルおよび導出ノズルと、加湿器蓋の嵌合部位との間に位置ずれが生じ、加湿器の着脱に力を要し、また接続不良を起こす可能性も考えられる。
【0010】
本発明は、酸素濃縮装置と加湿器の接続部分である導入ノズル、導出ノズルを酸素濃縮装置の構造部と所定位置に完全に固定するのではなく、可動領域を設けて支持することにより接続部分に遊びを設け、環境温度の変化に伴う部材の熱膨張に伴う接続位置の変化に対して、順応して確実に接続可能な加湿器およびそれを搭載した酸素濃縮装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる問題の解決方法として、本発明者らは以下の装置を見出した。すなわち本発明は、乾燥状態のガスを加湿するための加湿器であり、該ガスを導入する導入ノズルおよび加湿されたガスを排出する導出ノズルと、前記導入ノズルおよび導出ノズルを平行に支持するノズル支持構造体と、加湿用の水を入れる加湿容器と、前記加湿容器と密閉し、前記導入ノズルおよび導出ノズルとの間で、各々気密状態で嵌合する当該ガスの導入口および導出口を備えた蓋と、を備えると共に、
前記導入ノズルまたは導出ノズルとノズル支持構造体との間にノズル間隔を調整する調整部を備えたことを特徴とする、加湿器を提供する。
【0012】
また、本発明は、前記調整部が、前記導入ノズルまたは導出ノズルとノズル支持構造体との間に間隙を備えることを特徴とし、特に、前記導入ノズルまたは前記導出ノズルを受けるフランジ型軸受けを備え、前記調整部が、フランジ型軸受けとノズル支持構造体との間で可動となるように所定間隔を開けて支持されていることを特徴とする加湿器を提供する。
【0013】
また本発明は、前記導入ノズルと導出ノズルの間の可動域が0.2mm以上、3mm以下である加湿器を提供する。
【0014】
さらに本発明は、酸素よりも窒素を選択的に吸着する吸着剤を備え、空気中から未吸着の酸素濃縮ガスを分離する吸着型酸素濃縮装置であり、生成された酸素濃縮ガスを加湿する加湿器を備えると共に、
かかる加湿器が、酸素濃縮ガスを導入する導入ノズルおよび加湿された酸素濃縮ガスを排出する導出ノズルと、前記導入ノズルおよび導出ノズルを平行に支持するノズル支持構造体と、加湿用の水を入れる加湿容器と、前記加湿容器と密閉し、前記導入ノズルおよび導出ノズルとの間で、各々気密状態で嵌合する当該酸素濃縮ガスの導入口および導出口を備えた蓋と、を備えると共に、前記導入ノズルまたは導出ノズルとノズル支持構造体との間にノズル間隔を調整する調整部を備えたことを特徴とする、酸素濃縮装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
酸素濃縮装置は15℃から25℃といった常温環境下での使用を中心に5℃から35℃といった室温環境下、あるいはそれ以上の環境下で酸素生成能力が発揮できるように設計されている。加湿器に関しては使用者自身が水の交換時に着脱操作を行うため、容易かつ確実な流路接続操作が求められる。本発明は、導入ノズル・導出ノズルと加湿器蓋の嵌合との寸法精度を求めるのでなく、導入ノズル・導出ノズルとそれを支持する酸素濃縮装置の支持構造体との間の固定部分に可動領域を設けることで、使用環境温度変化に伴う熱膨張の影響を吸収し、使用者が確実に加湿器の水交換、酸素濃縮装置との着脱作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明の実施態様例である酸素濃縮装置の概略構成図を示したものである。
図2図2は酸素濃縮装置の外観図を示したものである。
図3図3は本発明の実施態様例である酸素濃縮装置に搭載される加湿容器の外観図を示したものである。
図4図4は、加湿器収容部の模式図を示したものである。
図5図5は加湿容器と酸素濃縮装置の接続部を示す断面図を示したものである。
図6図6は加湿容器と酸素濃縮装置の接続部を示す断面図の部分拡大図Aを示したものである。
図7図7は加湿器と酸素濃縮装置の接続部を示す断面図の部分拡大図Bを示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の酸素濃縮装置の実施態様例を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態である圧力変動吸着型酸素濃縮装置を例示した概略装置構成図、図2はその外観図である。本発明の圧力変動吸着型酸素濃縮装置は、原料空気を供給するコンプレッサ101、酸素よりも窒素を選択的に吸着する吸着剤を充填した吸着筒102、吸脱着工程を切替る流路切替手段である供給弁103、排気弁104、均圧弁105を備え、原料空気から分離生成した酸素濃縮ガスを流量設定器である調圧弁108やコントロールバルブ109で所定流量に調整した後、水加湿器110で加湿後にカニューラを用いて使用者に供給する。
【0018】
通常の空気中には、約21%の酸素ガス、約77%の窒素ガス、0.8%のアルゴンガス、二酸化炭素ほかのガスが1.2%含まれている。かかる装置では、呼吸用ガスとして必要な酸素を分離して取り出す。酸素濃縮ガスの分離は、吸着工程に於いて、酸素分子よりも窒素分子を選択的に吸着するゼオライト等からなる吸着剤を充填した吸着筒に対して、供給弁103、排気弁104の開閉を制御することによって、原料空気を供給対象とする吸着筒102への流路を切り換えることにより、コンプレッサ101から加圧空気を順次供給し、加圧状態の吸着筒内で原料空気中に含まれる約77%の窒素ガスを選択的に吸着除去することにより行われる。
【0019】
前記の吸着筒は、酸素よりも窒素を選択的に吸着する吸着材を充填した円筒状容器で構成される。吸着筒の数は酸素生成量との関係で決定され、連続的かつ効率的に原料空気から酸素濃縮ガスを製造するためには、図1に示す2筒式や多筒式の吸着筒を使用することが好ましい。
【0020】
前記吸着筒で吸着されなかった酸素を主成分とする酸素濃縮ガスは、吸着筒へ逆流しないように設けられた逆止弁106を介して、製品タンク107に流入し、一時貯留される。
【0021】
酸素濃縮ガスを連続して生成するためには、吸着筒内に充填された吸着剤に吸着した窒素を脱着除去する必要がある。そこで脱着工程では供給弁を閉じ、排気弁を開くことにより吸着筒を排気ラインに接続し、加圧状態の吸着筒を大気開放状態に切り換え、加圧状態で吸着されていた窒素を脱着させて吸着剤を再生する。
【0022】
2つの吸着筒では、各工程をずらして運転制御を行い、一方の吸着筒で吸着工程を行い酸素を生成している時には、他方の吸着筒では脱着工程を行い吸着剤の再生を行い、各工程を切り換えることにより連続的に酸素を生成する。
【0023】
原料空気から酸素濃縮ガスが製造され、製品タンクへ一時的に蓄えられる。この製品タンクに蓄えられた酸素濃縮ガスは、例えば95%といった高濃度の酸素濃縮ガスを含んでおり、調圧弁、コントロールバルブ等の流量設定器によってその供給流量と圧力が制御されて加湿器へ供給され、加湿された酸素濃縮ガスが患者に供給される。かかる加湿器には、加湿源として水を用いたバブリング式加湿器あるいは表面蒸発式加湿器を用いることが出来る。
【0024】
使用者に供給される酸素濃縮ガスの流量及び酸素濃度は超音波式の酸素濃度・流量センサで検知され、酸素濃度検出値、酸素供給流量値に基づいてコンプレッサの回転数や流路切換弁の開閉時間をフィードバック制御し、酸素生成をコントロールすることも可能である。
【0025】
吸着筒内に充填された、酸素よりも窒素を選択的に吸着する吸着剤として、Na-X型、Li-X型、MD-X型などのモレキュラーシーブゼオライトは、窒素を吸着すると同時に空気中の水分も吸着することから、生成された酸素濃縮ガスは、ほぼ絶乾状態のガスとして分離される。かかる酸素濃縮ガスを連続して吸入することによって生じる鼻孔等の乾燥を防ぐため、生成した酸素濃縮ガスを一次貯留する製品タンクと患者へ酸素を供給するカニューラを繋ぐ配管の途中に、加湿水中をバブリングすることで酸素濃縮ガスを加湿する水加湿器が設置されている。
【0026】
酸素濃縮ガスを加湿するための水加湿器210は、図2に示すように筐体の正面中央部に設けられた加湿器収容部に対して、垂直方向に加湿器が接続される。かかる加湿器は、図3に外観模式図で示すように、加湿水を入れる加湿容器301と、これを密閉するための蓋302から構成され、かかる蓋部分には、酸素濃縮装置から乾燥状態の酸素濃縮ガスを供給する導入ノズル313及び加湿済みの酸素濃縮ガスを酸素濃縮装置側に導出する導出ノズル314の各々と嵌合し、気密状態で接続するための受側を構成する導入口303および導出口304を備える。
【0027】
加湿器は加湿器収容部にあるノズル支持構造体を介して酸素濃縮装置に取り付けられる。加湿器取り付け基盤であるノズル支持構造体315には導入ノズル313および導出ノズル314が垂直方向に取り付けられている。酸素濃縮装置で生成した乾燥状態の酸素濃縮ガスは、導入ノズル313から蓋の導入口303を通して加湿容器301に導入される。また加湿容器内にて加湿された酸素濃縮ガスは蓋302の導出口304から導出ノズル314を介し再び酸素濃縮装置に戻される。導入ノズル313および導出ノズル314と、蓋302に設けられた導入口303および導出口304は着脱自在になっており、取っ手を上方に引くことで容易に取り外すことが可能である。また、蓋302と加湿容器301も着脱自在になっており、蓋を回転させて外すことで加湿用の水を加湿容器に補給することができる。
【0028】
導入ノズル313および導出ノズル314はステンレス製とし、ノズル支持構造体315はアルミニウムで製造するのが、装置重量の軽量化および強度、耐久性の観点から好ましい。また導入口および導出口を構成する加湿器の蓋302は樹脂成型品とし、その強度、耐久性の観点からABS樹脂を用いるのが好ましい。
【0029】
図4は、本発明の酸素濃縮装置の加湿器との接続部を構成する導入ノズル413と導出ノズル414を詳細に示すための、加湿器収容部400の外観構成を模式的に示したものである。ノズル支持構造体415に設けられた導入ノズル413と導出ノズル414には、蓋側の導入ノズル受側および導出ノズル受側との間で密閉構造を保持するために、それぞれに導入ノズルYリング416および導出ノズルYリング417のシール材が取り付けられている。これは、シール機能を担保できれば必ずしもYリングである必要はなく、Oリングやその他の形状のものであっても構わない。
【0030】
図5に加湿器を酸素濃縮装置のノズル支持構造体に装着した状態での断面図を、図6に導出ノズルとノズル支持構造体との支持状態を示す部分拡大図A図7には導入側ノズルとノズル支持構造体との支持状態を示す部分拡大図Bを示す。
【0031】
導出ノズルと導入ノズルは100mmの間隔でノズル支持構造体に支持されている。ノズル間隔は加湿器の大きさ、容量により50mm間隔や250mm間隔など、適宜設計される。ステンレス製の導出ノズル514は酸素濃縮装置の筐体構造部材の一つであるアルミニウム製のノズル支持構造体515に対して上下2つのフランジ型軸受け516、517を介して支持され、ナット518で締め付け固定される。ノズル支持構造体は、強度保持の観点からステンレスやアルミニウムなどの金属素材が多用され、軽量化の観点からアルミニウムが好適に用いられる。
【0032】
フランジ型軸受けは、ノズル軸を支持する滑り軸受けであり、金属製や樹脂製、それらが複層されたものがあるが、強度や耐熱性や耐摩耗性に優れたポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリアミドイミド(PAI)などの高性能ポリマー素材が用いられる。上下2つのフランジ部分でノズル支持構造体を挟み込む形で固定され、軸受け部分とノズル支持構造体との間隙がノズルの可動域となる。
【0033】
この時、フランジ型軸受け516,517とノズル支持構造体515との間に0.2mm以上の間隙、フランジ軸受けの外径に対してノズル支持構造体との接続部の内径を0.2mm以上大きいものを採用することで導出ノズル514を水平方向への可動域を設けることができる。
【0034】
一方、導入側ノズル524には可動域を設けず、従来通り、直接アルミニウム製のノズル支持構造体525にナット528で固定することで支持する。
【0035】
かかるノズル支持構造体間隙の上限は3mm以下とするが、熱膨張率の差を考慮して0.2~3mm、0.2~2mm、0.2~1mmの範囲で適宜設計することができる。間隔が広すぎると可動域は広くなる一方で、接続位置のずれにより接続困難な事態が生じる恐れがある。
【0036】
本発明の加湿器では、導入ノズルと導出ノズルとの間隔に対して0.2~3%の可動域を持たせることになる。これにより、加湿器の導入ノズルおよび導出ノズルを支持するアルミニウム製のノズル支持構造体と導出ノズル、導入ノズルの嵌合するABS樹脂製の加湿器蓋との熱膨張率の違いによる酸素濃縮装置の使用環境下でのノズル嵌合位置のズレを、フランジ型軸受けとノズルとの可動域を有する調整部で吸収し、冬季の低温環境や夏季の高温環境下での酸素濃縮装置の利用時においても、加湿器の着脱が容易となり、シール漏れなどの不具合が解消する。
【0037】
かかる実施例では導入ノズルを固定し、導出ノズルに調整部を設けたが、逆に導出ノズルを固定し、導入ノズルに調整部を設けても、両方に調整部を設けてもよい。調整部を導入ノズル、導出ノズルの両方に設ける場合は、可動域の大きさを導入ノズル、導出ノズルの双方で調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の加湿器は使用環境温度変化に伴う機材の熱膨張の影響を吸収し、使用者が確実に加湿水の交換や着脱作業を行うことができる加湿器および酸素濃縮装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0039】
101 コンプレッサ
102 吸着筒
103 供給弁
104 排気弁
105 均圧弁
106 逆止弁
107 製品タンク
108 調圧弁
109 コントロールバルブ
110 水加湿器
111 カニューラ
210 水加湿器
301 加湿容器
302 加湿器蓋
303 導入口
304 導出口
313 導入ノズル
314 導出ノズル
315 ノズル支持構造体
400 加湿器収容部
413 導入ノズル
414 導出ノズル
415 ノズル支持構造体
416 導入ノズルYリング
417 導出ノズルYリング
514 導出ノズル
515 ノズル支持構造体
516 フランジ型軸受け(上)
517 フランジ型軸受け(下)
518 ナット
524 導入ノズル
525 ノズル支持構造体
528 ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7