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特開2023-144555情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144555
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20231003BHJP
   G01W 1/00 20060101ALI20231003BHJP
   G06Q 40/08 20120101ALI20231003BHJP
【FI】
G06Q50/10
G01W1/00 Z
G06Q40/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051594
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幹
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L055BB61
(57)【要約】
【課題】降雨によって生じた保険の対象物の被害を補償する。
【解決手段】情報処理装置1は、降雨によって水中に生息する生物に対して生じた損害を補償する保険の対象である対象生物を示す情報と、保険を適用する適用条件とを記憶する記憶部12と、雨水が河川に流入し得る範囲として定められた流入範囲の天候を特定するための天候情報と、河川の水が流入する流入水域において対象生物が存在する存在場所の濁度を特定するための水域濁度情報とを取得する取得部131と、天候情報と水域濁度情報とに基づいて、流入範囲の天候と存在場所の濁度とが適用条件を満たすか否かを判定する判定部132と、判定部132が適用条件を満たすと判定した場合に、保険を適用することを示す情報を出力する出力部135と、を有する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
降雨によって水中に生息する生物に対して生じた損害を補償する保険の対象である対象生物を示す情報と、前記保険を適用する適用条件とを記憶する記憶部と、
雨水が河川に流入し得る範囲として定められた流入範囲の天候を特定するための天候情報と、前記河川の水が流入する流入水域において前記対象生物が存在する存在場所の濁度を特定するための水域濁度情報とを取得する取得部と、
前記天候情報と前記水域濁度情報とに基づいて、前記流入範囲の天候と前記存在場所の濁度とが前記適用条件を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部が前記適用条件を満たすと判定した場合に、前記保険を適用することを示す情報を出力する出力部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記適用条件には、前記対象生物の生存に影響を及ぼすか否かを判定するために定められた前記存在場所の濁度の境界を示す濁度閾値が含まれ、
前記判定部は、前記流入範囲の天候が雨であり、かつ、前記存在場所の濁度が前記濁度閾値を上回る場合、前記流入範囲の天候と前記存在場所の濁度とが前記適用条件を満たすと判定し、前記流入範囲の天候が雨以外の天候である場合又は前記存在場所の濁度が前記濁度閾値を下回る場合、前記流入範囲の天候と前記存在場所の濁度とが前記適用条件を満たさないと判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記適用条件には、前記存在場所の濁度の変化に影響を及ぼすか否かを判定するために定められた閾値であって、前記河川と前記流入水域との間における河口の累積降雨量の境界を示す降雨量閾値が含まれ、
前記天候情報には、前記流入範囲の降雨量が含まれ、
前記流入範囲の降雨量に基づいて、前記流入範囲の降雨による前記河口の累積降雨量を算出する算出部をさらに有し、
前記判定部は、前記算出部が算出した前記河口の累積降雨量が前記降雨量閾値を上回り、かつ、前記存在場所の濁度が前記濁度閾値を上回る場合、前記流入範囲の天候と前記存在場所の濁度とが前記適用条件を満たすと判定し、前記算出部が算出した前記河口の累積降雨量が前記降雨量閾値を下回る場合又は前記存在場所の濁度が前記濁度閾値を下回る場合、前記流入範囲の天候と前記存在場所の濁度とが前記適用条件を満たさないと判定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記流入範囲には、分割された複数の分割流入範囲が含まれ、
前記流入範囲に含まれる各分割流入範囲には、それぞれ係数が設定されており、
前記算出部は、前記各分割流入範囲の降雨量に対して、前記各分割流入範囲の雨水が前記河川に流入して前記河口に到達するまでの時間と、前記各分割流入範囲に設定されている前記係数とを乗じた前記各分割流入範囲の値を総和することにより、前記流入範囲の降雨による前記河口の累積降雨量を算出する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記適用条件には、前記存在場所の濁度が前記濁度閾値である第1濁度閾値を上回るか否かを判定するために定められた閾値であって、前記河口の濁度の境界を示す第2濁度閾値が含まれ、
前記取得部は、前記河口の濁度を特定するための河口濁度情報をさらに取得し、
前記判定部は、さらに前記河口の濁度が前記第2濁度閾値を上回る場合、前記流入範囲の天候と前記存在場所の濁度とが前記適用条件を満たすと判定し、前記河口の濁度が前記第2濁度閾値を下回る場合、前記流入範囲の天候と前記存在場所の濁度とが前記適用条件を満たさないと判定する、
請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記適用条件には、前記河川の水が前記存在場所に到達するか否かを判定するために定められた閾値であって、前記河口の流速の境界を示す流速閾値が含まれ、
前記取得部は、前記河口の流速を特定するための流速情報をさらに取得し、
前記判定部は、さらに前記河口の流速が前記流速閾値を上回る場合、前記流入範囲の天候と前記存在場所の濁度とが前記適用条件を満たすと判定し、前記流速情報によって特定される前記河口の流速が前記流速閾値を下回る場合、前記流入範囲の天候と前記存在場所の濁度とが前記適用条件を満たさないと判定する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記河口から前記存在場所までの水域範囲に対応する前記水域濁度情報と、前記水域範囲における流速を示す水域流速情報とを取得し、
前記水域濁度情報と前記水域流速情報とに基づいて、前記水域範囲における濁度の分布を推定する推定部をさらに有し、
前記判定部は、前記推定部が推定した前記濁度の分布における前記存在場所の濁度が前記適用条件を満たすか否かを判定する、
請求項3から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記適用条件には、前記対象生物の生存に影響を及ぼすか否かを判定するために定められた前記存在場所の水温の境界を示す水温閾値が含まれ、
前記判定部は、前記存在場所の水温が前記水温閾値を上回る場合、さらに前記存在場所の水温が前記適用条件を満たすと判定し、前記存在場所の水温が前記水温閾値を下回る場合、前記存在場所の水温が前記適用条件を満たさないと判定する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記取得部は、取得した前記天候情報によって特定される前記流入範囲の天候が所定の条件を満たす場合に、前記存在場所を走査しながら前記水域濁度情報を収集する所定の移動体から、前記水域濁度情報を取得する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータが実行する、
雨水が河川に流入し得る範囲として定められた流入範囲の天候を特定するための天候情報と、前記河川の水が流入する流入水域において降雨によって水中に生息する生物に対して生じた損害を補償する保険の対象である対象生物が存在する存在場所の濁度を特定するための水域濁度情報とを取得するステップと、
前記天候情報と前記水域濁度情報とに基づいて、前記流入範囲の天候と前記存在場所の濁度とが前記保険を適用する適用条件を満たすか否かを判定するステップと、
前記適用条件を満たすと判定した場合に、前記保険を適用することを示す情報を出力するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータを、
雨水が河川に流入し得る範囲として定められた流入範囲の天候を特定するための天候情報と、前記河川の水が流入する流入水域において降雨によって水中に生息する生物に対して生じた損害を補償する保険の対象である対象生物が存在する存在場所の濁度を特定するための水域濁度情報とを取得する取得部、
前記天候情報と前記水域濁度情報とに基づいて、前記流入範囲の天候と前記存在場所の濁度とが前記保険を適用する適用条件を満たすか否かを判定する判定部、及び
前記判定部が前記適用条件を満たすと判定した場合に、前記保険を適用することを示す情報を出力する出力部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、災害が発生して保険の対象物に被害が生じた場合に、被保険者に保険金が支払われる保険サービスが知られている。特許文献1には、保険の対象物の位置においてセンサが観測した降水量等を示すセンサ情報を用いて、対象物の被害の程度を予想する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再表2021-084699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、降雨によって対象物に被害が生じたにも関わらず、対象物の被害の程度が小さいと予想されたり、対象物に被害が無いと予想されたりする場合がある。この場合、降雨によって生じた対象物の被害に対して保険が適用されない場合があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、降雨によって生じた保険の対象物の被害を補償することができる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様にかかる情報処理装置は、降雨によって水中に生息する生物に対して生じた損害を補償する保険の対象である対象生物を示す情報と、前記保険を適用する適用条件とを記憶する記憶部と、雨水が河川に流入し得る範囲として定められた流入範囲の天候を特定するための天候情報と、前記河川の水が流入する流入水域において前記対象生物が存在する存在場所の濁度を特定するための水域濁度情報とを取得する取得部と、前記天候情報と前記水域濁度情報とに基づいて、前記流入範囲の天候と前記存在場所の濁度とが前記適用条件を満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部が前記適用条件を満たすと判定した場合に、前記保険を適用することを示す情報を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記適用条件には、前記対象生物の生存に影響を及ぼすか否かを判定するために定められた前記存在場所の濁度の境界を示す濁度閾値が含まれてもよいし、前記判定部は、前記流入範囲の天候が雨であり、かつ、前記存在場所の濁度が前記濁度閾値を上回る場合、前記流入範囲の天候と前記存在場所の濁度とが前記適用条件を満たすと判定し、前記流入範囲の天候が雨以外の天候である場合又は前記存在場所の濁度が前記濁度閾値を下回る場合、前記流入範囲の天候と前記存在場所の濁度とが前記適用条件を満たさないと判定してもよい。
【0008】
前記適用条件には、前記存在場所の濁度の変化に影響を及ぼすか否かを判定するために定められた閾値であって、前記河川と前記流入水域との間における河口の累積降雨量の境界を示す降雨量閾値が含まれてもよいし、前記天候情報には、前記流入範囲の降雨量が含まれてもよいし、前記情報処理装置は、前記流入範囲の降雨量に基づいて、前記流入範囲の降雨による前記河口の累積降雨量を算出する算出部をさらに有してもよいし、前記判定部は、前記算出部が算出した前記河口の累積降雨量が前記降雨量閾値を上回り、かつ、前記存在場所の濁度が前記濁度閾値を上回る場合、前記流入範囲の天候と前記存在場所の濁度とが前記適用条件を満たすと判定し、前記算出部が算出した前記河口の累積降雨量が前記降雨量閾値を下回る場合又は前記存在場所の濁度が前記濁度閾値を下回る場合、前記流入範囲の天候と前記存在場所の濁度とが前記適用条件を満たさないと判定してもよい。
【0009】
前記流入範囲には、分割された複数の分割流入範囲が含まれてもよいし、前記流入範囲に含まれる各分割流入範囲には、それぞれ係数が設定されてもよいし、前記算出部は、前記各分割流入範囲の降雨量に対して、前記各分割流入範囲の雨水が前記河川に流入して前記河口に到達するまでの時間と、前記各分割流入範囲に設定されている前記係数とを乗じた前記各分割流入範囲の値を総和することにより、前記流入範囲の降雨による前記河口の累積降雨量を算出してもよい。
【0010】
前記適用条件には、前記存在場所の濁度が前記濁度閾値である第1濁度閾値を上回るか否かを判定するために定められた閾値であって、前記河口の濁度の境界を示す第2濁度閾値が含まれてもよいし、前記取得部は、前記河口の濁度を特定するための河口濁度情報をさらに取得してもよいし、前記判定部は、さらに前記河口の濁度が前記第2濁度閾値を上回る場合、前記流入範囲の天候と前記存在場所の濁度とが前記適用条件を満たすと判定し、前記河口の濁度が前記第2濁度閾値を下回る場合、前記流入範囲の天候と前記存在場所の濁度とが前記適用条件を満たさないと判定してもよい。
【0011】
前記適用条件には、前記河川の水が前記存在場所に到達するか否かを判定するために定められた閾値であって、前記河口の流速の境界を示す流速閾値が含まれてもよいし、前記取得部は、前記河口の流速を特定するための流速情報をさらに取得してもよいし、前記判定部は、さらに前記河口の流速が前記流速閾値を上回る場合、前記流入範囲の天候と前記存在場所の濁度とが前記適用条件を満たすと判定し、前記流速情報によって特定される前記河口の流速が前記流速閾値を下回る場合、前記流入範囲の天候と前記存在場所の濁度とが前記適用条件を満たさないと判定してもよい。
【0012】
前記取得部は、前記河口から前記存在場所までの水域範囲に対応する前記水域濁度情報と、前記水域範囲における流速を示す水域流速情報とを取得してもよいし、前記情報処理装置は、前記水域濁度情報と前記水域流速情報とに基づいて、前記水域範囲における濁度の分布を推定する推定部をさらに有してもよいし、前記判定部は、前記推定部が推定した前記濁度の分布における前記存在場所の濁度が前記適用条件を満たすか否かを判定してもよい。
【0013】
前記適用条件には、前記対象生物の生存に影響を及ぼすか否かを判定するために定められた前記存在場所の水温の境界を示す水温閾値が含まれてもよいし、前記判定部は、前記存在場所の水温が前記水温閾値を上回る場合、さらに前記存在場所の水温が前記適用条件を満たすと判定し、前記存在場所の水温が前記水温閾値を下回る場合、前記存在場所の水温が前記適用条件を満たさないと判定してもよい。
【0014】
前記取得部は、取得した前記天候情報によって特定される前記流入範囲の天候が所定の条件を満たす場合に、前記存在場所を走査しながら前記水域濁度情報を収集する所定の移動体から、前記水域濁度情報を取得してもよい。
【0015】
本発明の第2の態様にかかる情報処理方法は、コンピュータが実行する、雨水が河川に流入し得る範囲として定められた流入範囲の天候を特定するための天候情報と、前記河川の水が流入する流入水域において降雨によって水中に生息する生物に対して生じた損害を補償する保険の対象である対象生物が存在する存在場所の濁度を特定するための水域濁度情報とを取得するステップと、前記天候情報と前記水域濁度情報とに基づいて、前記流入範囲の天候と前記存在場所の濁度とが前記保険を適用する適用条件を満たすか否かを判定するステップと、前記適用条件を満たすと判定した場合に、前記保険を適用することを示す情報を出力するステップと、を有する。
【0016】
本発明の第3の態様にかかるプログラムは、コンピュータを、雨水が河川に流入し得る範囲として定められた流入範囲の天候を特定するための天候情報と、前記河川の水が流入する流入水域において降雨によって水中に生息する生物に対して生じた損害を補償する保険の対象である対象生物が存在する存在場所の濁度を特定するための水域濁度情報とを取得する取得部、前記天候情報と前記水域濁度情報とに基づいて、前記流入範囲の天候と前記存在場所の濁度とが前記保険を適用する適用条件を満たすか否かを判定する判定部、及び前記判定部が前記適用条件を満たすと判定した場合に、前記保険を適用することを示す情報を出力する出力部、として機能させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、降雨によって保険の対象物に対して生じた損害を補償することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】情報処理装置の概要を説明するための図である。
図2】情報処理装置の構成を示す図である。
図3】保険管理データベースの構成の一例を示す図である。
図4】流入範囲を模式的に表した図である。
図5】水域範囲における濁度の分布を模式的に表した図である。
図6】情報処理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[情報処理装置1の概要]
図1は、情報処理装置1の概要を説明するための図である。情報処理装置1は、保険サービスを管理する装置であり、例えばサーバである。保険サービスは、降雨をはじめとする自然災害によって水中に生息する対象生物に対して生じた損害を補償する保険を、被保険者に提供するサービスである。対象生物は、保険の対象の生物であり、例えば、藻類、貝類、魚類等である。
【0020】
情報処理装置1は、被保険者が保険サービスに加入した加入内容を管理している。加入内容は、対象生物と、保険を適用する適用条件とを含む。詳細については後述するが、適用条件は、自然災害と、対象生物が存在する場所において対象生物の生存に影響を及し得る水質の変化との因果関係を特定するために定められた条件である。
【0021】
従来の保険サービスでは、対象生物が存在する場所で自然災害が発生し、その自然災害によって対象生物が被害を受けた場合(例えば、対象生物が死滅したり対象生物の育成が阻害されたりした場合)に、保険が適用され、自然災害による対象生物の被害によって生じた被保険者の損害に対して保険金が支払われる。しかしながら、従来の保険サービスでは、自然災害と対象生物の被害とに因果関係があるにも関わらず、保険が適用されない場合がある。
【0022】
図1に示す例において、対象生物は、河川Cの水が流入する流入水域Wの存在場所Eに存在している。例えば、河川C側において雨が降ると、陸地に降った雨水が河川Cに流入することによって河川Cの水が泥等によって汚れ、その汚れた水が流入水域Wに流入することによって存在場所Eの水質が悪化する。河川C側の降雨量が多くなるほど、河川Cの水の汚れの度合いが高くなり、河川Cの水の汚れの度合いが高くなることに応じて、存在場所Eの水質の悪化の度合いが高くなる。例えば、存在場所Eの水質が悪化すると、対象生物が死滅したり、対象生物に太陽光が届かなくなることによって対象生物の育成が阻害されたりする。このように、従来の保険サービスでは、実際には自然災害と対象生物の被害とに因果関係があるにも関わらず、存在場所Eで自然災害が発生していないために、保険が適用されなかった。
【0023】
そこで、本実施の形態における保険サービスにおいては、河川C側における降雨によって存在場所Eの水質が悪化した場合に、保険を適用し、存在場所Eの水質の悪化によって対象生物の死滅及び育成の阻害等による損害を補償するための保険金を被保険者に支払う。以下において、情報処理装置1が保険サービスにおいて保険の適否を判断する処理の流れについて説明する。
【0024】
まず、情報処理装置1は、天候情報を取得する(図1における(1))。天候情報は、雨水が河川Cに流入し得る範囲として定められた流入範囲Aの天候を特定するための情報である。天候情報は、例えば、流入範囲Aの降雨の有無を示す情報、又は流入範囲Aの降雨量を示す情報である。天候情報は、例えば、気象衛星から観測された情報、又は地上に設置されたセンサが測定した情報等である。
【0025】
また、情報処理装置1は、水域濁度情報を取得する(図1における(2))。水域濁度情報は、存在場所Eの濁度を特定するための情報である。水域濁度情報は、例えば、存在場所Eの濁度を示す数値である。水域濁度情報は、例えば、濁度計をはじめとするセンサが測定した情報である。
【0026】
情報処理装置1は、天候情報と水域濁度情報とに基づいて、流入範囲Aの天候と存在場所Eの濁度とが適用条件を満たすか否かを判定することにより、保険の適否を判定する(図1における(3))。そして、情報処理装置1は、流入範囲Aの天候と存在場所Eの濁度とが適用条件を満たすと判定した場合に、保険を適用することを示す情報を出力する(図1における(4))。
【0027】
このようにすることで、情報処理装置1は、悪天候によって対象生物に対して生じた損害を補償することができる。
以下、情報処理装置1の構成について説明する。
【0028】
[情報処理装置1の構成]
図2は、情報処理装置1の構成を示す図である。情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。制御部13は、取得部131と、判定部132と、算出部133と、推定部134と、出力部135とを有する。
【0029】
通信部11は、ネットワークに接続するためのインターフェイスであり、例えば通信コントローラを含んで構成されている。記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶している。記憶部12は、保険に関する情報を管理する保険管理データベースを記憶している。
【0030】
図3は、保険管理データベースの構成の一例を示す図である。図3に示すように、保険管理データベースは、対象生物を示す情報と、適用条件を示す情報(濁度閾値及び降雨量閾値)とを関連付けて記憶している。濁度閾値は、対象生物の生存に影響を及ぼすか否かを判定するために定められた存在場所Eの濁度の境界を示す閾値である。降雨量閾値は、存在場所Eの濁度の変化に影響を及ぼすか否かを判定するために定められた閾値であって、河川Cと流入水域Wとの間における河口の累積降雨量の境界を示す閾値である。
【0031】
図2に戻り、制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部131、判定部132、算出部133、推定部134及び出力部135として機能する。
【0032】
取得部131は、雨水が河川Cに流入し得る範囲として定められた流入範囲Aの天候を特定するための天候情報と、河川Cの水が流入する流入水域Wにおいて対象生物が存在する存在場所Eの濁度を特定するための水域濁度情報とを取得する。取得部131は、天候情報と水域濁度情報とを同じタイミングで取得してもよいし、それぞれ異なるタイミングで取得してもよい。取得部131は、例えば、天候に関する情報を管理する外部のサーバから、流入範囲Aに対応する天候情報を取得する。
【0033】
取得部131は、例えば、存在場所Eの水中に設置されたセンサから、存在場所Eの水域濁度情報を取得する。取得部131は、走査しながら水域濁度情報を収集する所定の移動体から、存在場所Eの水域濁度情報を取得してもよい。所定の移動体は、例えば、空中、水上又は水中を移動可能なドローンであり、水中の濁度を測定可能なセンサを備えている。例えば、取得部131は、所定の移動体を制御する移動体制御部としてさらに機能し、存在場所Eで所定の移動体に水域濁度情報を収集させ、収集させた水域濁度情報を取得する。なお、所定の移動体には、存在場所Eを撮像するカメラが備えられており、取得部131は、所定の移動体のカメラが撮像した撮像画像を取得し、取得した撮像画像に基づいて存在場所Eの濁度を推定することにより、水域濁度情報を取得してもよい。
【0034】
例えば、まず、取得部131が天候情報を取得すると、後述する判定部132は、天候情報によって特定される流入範囲Aの天候が所定の条件(例えば、流入範囲Aの天候が雨である場合、又は河口の累積降雨量が所定の閾値を上回る場合)を満たすか否かを判定する。そして、天候情報によって特定される流入範囲Aの天候が所定の条件を満たすと判定部132が判定した場合に、取得部131は、存在場所Eにおいて所定の移動体に濁度情報を収集させ、収集させた水域濁度情報を取得する。このように、情報処理装置1は、所定の移動体から水域濁度情報を取得することにより、存在場所E全体の状態を容易に特定することができる。
【0035】
判定部132は、流入範囲Aにおける天候と、存在場所Eの水質の悪化とに因果関係があるか否かを判定する。具体的には、判定部132は、取得部131が取得した天候情報と水域濁度情報とに基づいて、流入範囲Aの天候と存在場所Eの濁度とが適用条件を満たすか否かを判定する。
【0036】
より具体的には、判定部132は、取得部131が取得した天候情報によって特定される流入範囲Aの天候が雨であり、かつ、取得部131が取得した水域濁度情報によって特定される存在場所Eの濁度が濁度閾値を上回る場合、流入範囲Aの天候と存在場所Eの濁度とが適用条件を満たすと判定する。一方、判定部132は、取得部131が取得した天候情報によって特定される流入範囲Aの天候が雨以外の天候である場合、又は取得部131が取得した水域濁度情報によって特定される存在場所Eの濁度が濁度閾値を下回る場合、流入範囲Aの天候と存在場所Eの濁度とが適用条件を満たさないと判定する。
【0037】
例えば、まず、取得部131が天候情報及び水域濁度情報のうちのいずれか(例えば水域濁度情報)を取得した場合、判定部132は、水域濁度情報によって特定される存在場所Eの濁度が濁度閾値を上回るか否かに基づいて、存在場所Eの濁度が適用条件を満たすか否かを判定する。存在場所Eの濁度が適用条件を満たすと判定された場合、取得部131は、天候情報を取得する。そして、判定部132は、取得部131が取得した天候情報によって特定される流入範囲Aの天候が雨であるか否かに基づいて、流入範囲Aの天候が適用条件を満たすか否かを判定する。このようにすることで、情報処理装置1は、流入範囲Aの天候と、存在場所Eの水質の悪化とに因果関係があるか否かを特定することができる。
【0038】
判定部132は、河口の累積降雨量に基づいて、流入範囲Aの天候と存在場所Eの濁度とが適用条件を満たすか否かを判定してもよい。例えば、天候情報には、流入範囲Aの降雨量が含まれる。
【0039】
この場合において、まず、算出部133は、流入範囲Aの降雨量に基づいて、流入範囲Aの降雨による河口の累積降雨量を算出する。そして、判定部132は、算出部133が算出した河口の累積降雨量が降雨量閾値を上回り、かつ、存在場所Eの濁度が濁度閾値を上回る場合、流入範囲Aの天候と存在場所Eの濁度とが適用条件を満たすと判定する。一方、判定部132は、算出部133が算出した河口の累積降雨量が降雨量閾値を下回る場合又は存在場所Eの濁度が濁度閾値を下回る場合、流入範囲Aの天候と存在場所Eの濁度とが適用条件を満たさないと判定する。
【0040】
例えば、流入範囲Aには、分割された複数の分割流入範囲が含まれ、算出部133は、流入範囲Aに含まれる各分割流入範囲の降雨による河口の降雨量を累積することにより、河口の累積降雨量を算出する。
【0041】
図4は、流入範囲Aを模式的に表した図である。図4に示すように、流入範囲Aには、複数の分割流入範囲が含まれている。例えば、各分割流入範囲には、1つ以上のセンサが設置されている。
【0042】
この場合において、取得部131が、各分割流入範囲の降雨量を含む天候情報を取得すると、算出部133は、各分割流入範囲の降雨量に対して、各分割流入範囲の雨水が河川Cに流入して河口に到達するまでの時間を乗じた各分割流入範囲の値を総和することにより、流入範囲Aの降雨による河口の累積降雨量を算出する。このようにすることで、情報処理装置1は、流入範囲Aの天候と、存在場所Eの水質の悪化とに因果関係があるか否かを特定する精度を向上することができる。
【0043】
流入範囲Aには、河川Cに流入する雨水に混入する泥の割り合いが多い場所、すなわち、存在場所Eの濁度に影響を及ぼす蓋然性が高い場所と、河川Cに流入する雨水に混入する泥の割り合いが少ない場所、すなわち、存在場所Eの濁度に影響を及ぼす蓋然性が低い場所とが存在し得る。そこで、算出部133は、存在場所Eの濁度に影響を及ぼす蓋然性の高低を考慮して、河口の累積降雨量を算出してもよい。
【0044】
例えば、流入範囲Aに含まれる各分割流入範囲には、それぞれ係数が設定されている。例えば、存在場所Eの濁度に影響を及ぼす蓋然性が高い場所には、降雨量を多くする係数が設定されており、存在場所Eの濁度に影響を及ぼす蓋然性が低い場所には、降雨量を少なくする係数が設定されている。
【0045】
この場合において、算出部133は、各分割流入範囲の降雨量に対して、各分割流入範囲の雨水が河川に流入して河口に到達するまでの時間と、各分割流入範囲に設定されている係数とを乗じた各分割流入範囲の値を総和することにより、流入範囲Aの降雨による河口の累積降雨量を算出する。このようにすることで、情報処理装置1は、分割流入範囲の特性を考慮して河口の累積降雨量を算出することができる。
【0046】
判定部132は、河口の濁度に基づいて、流入範囲Aの天候と存在場所Eの濁度とが適用条件を満たすか否かを判定してもよい。適用条件には、存在場所Eの濁度が濁度閾値である第1濁度閾値を上回るか否かを判定するために定められた閾値であって、河口の濁度の境界を示す第2濁度閾値が含まれる。
【0047】
この場合において、まず、取得部131は、河口の濁度を特定するための河口濁度情報をさらに取得する。例えば、河口には、濁度を測定するためのセンサが設置されており、取得部131は、当該センサから河口濁度情報を取得する。
【0048】
そして、判定部132は、さらに河口の濁度が第2濁度閾値を上回る場合、流入範囲Aの天候と存在場所Eの濁度とが適用条件を満たすと判定する。一方、判定部132は、河口の濁度が第2濁度閾値を下回る場合、流入範囲Aの天候と存在場所Eの濁度とが適用条件を満たさないと判定する。このようにすることで、情報処理装置1は、流入範囲Aの天候と、存在場所Eの水質の悪化とに因果関係があるか否かを特定する精度を向上することができる。
【0049】
判定部132は、河口の流速に基づいて、流入範囲Aの天候と存在場所Eの濁度とが適用条件を満たすか否かを判定してもよい。適用条件には、河川Cの水が存在場所Eに到達するか否かを判定するために定められた閾値であって、河口の流速の境界を示す流速閾値が含まれる。
【0050】
この場合において、まず、取得部131は、河口の流速を特定するための流速情報をさらに取得する。例えば、河口には、流速を測定するためのセンサが設置されており、取得部131は、当該センサから流速情報を取得する。
【0051】
そして、判定部132は、さらに河口の流速が流速閾値を上回る場合、流入範囲Aの天候と存在場所Eの濁度とが適用条件を満たすと判定する。一方、判定部132は、流速情報によって特定される河口の流速が流速閾値を下回る場合、流入範囲Aの天候と存在場所Eの濁度とが適用条件を満たさないと判定する。このようにすることで、情報処理装置1は、流入範囲Aの天候と、存在場所Eの水質の悪化とに因果関係があるか否かを特定する精度を向上することができる。
【0052】
判定部132は、河口から存在場所までの水域範囲における濁度の分布に基づいて、存在場所の濁度が適用条件を満たすか否かを判定してもよい。具体的には、まず、取得部131は、河口から存在場所Eまでの水域範囲に対応する水域濁度情報と、水域範囲における流速を示す水域流速情報とを取得する。推定部134は、水域濁度情報と水域流速情報とに基づいて、水域範囲における濁度の分布を推定する。そして、判定部132は、推定部134が推定した濁度の分布における存在場所Eの濁度が適用条件を満たすか否かを判定する。
【0053】
図5は、水域範囲Bにおける濁度の分布を模式的に表した図である。水域範囲Bには、分割された複数の分割水域範囲が含まれる。例えば、各分割水域範囲には、1つ以上のセンサが設けられている。
【0054】
図5に示す例においては、河川Cから流入した流入水Rが河口から存在場所Eまでかかっている。この場合、判定部132は、存在場所Eの濁度の上昇が流入範囲Aにおける降雨に起因するものであるとして、濁度の分布における存在場所Eの濁度が適用条件を満たすと判定する。
【0055】
一方、例えば、存在場所Eの濁度が水域濁度閾値を上回るが、流入水Rが河口から存在場所Eまでかかっていない場合、判定部132は、存在場所Eの濁度の上昇が流入範囲Aにおける降雨に起因するものでは無いとして、濁度の分布における存在場所Eの濁度が適用条件を満たさないと判定する。このようにすることで、情報処理装置1は、流入範囲Aの天候と、存在場所Eの水質の悪化とに因果関係があるか否かを特定する精度を向上することができる。
【0056】
上記において、判定部132は、流入範囲Aの天候と、存在場所Eの水質の悪化とに因果関係があるか否かを特定する例を説明したが、これに限らない。例えば、河川Cの水は流入水域Wの水よりも冷たいため、このような冷たい水が降雨によって増えて大量に流入水域Wに流入すると、存在場所Eの水温が低下し、対象生物の生存に影響を及ぼし得る。そこで、判定部132は、流入範囲Aの天候と、存在場所Eの水温の低下とに因果関係があるか否かを特定してもよい。
【0057】
適用条件には、対象生物の生存に影響を及ぼすか否かを判定するために定められた存在場所Eの水温の境界を示す水温閾値が含まれる。この場合において、まず、取得部131は、存在場所Eの水温を特定するための水温情報をさらに取得する。例えば、存在場所Eには、水温を測定するためのセンサが設置されており、取得部131は、当該センサから水温情報を取得する。
【0058】
そして、判定部132は、存在場所Eの水温が水温閾値を上回る場合、さらに存在場所Eの水温が適用条件を満たすと判定する。一方、判定部132は、存在場所Eの水温が水温閾値を下回る場合、存在場所Eの水温が適用条件を満たさないと判定する。このようにすることで、情報処理装置1は、流入範囲Aにおける降雨によって生じた対象生物に対する損害を補償することができる。
【0059】
例えば、存在場所Eの濁度が上昇すると、クロロフィルが増加する場合がある。そこで、判定部132は、流入範囲Aの天候と、存在場所Eにおけるクロロフィルの増加とに因果関係があるか否かを特定してもよい。
【0060】
適用条件には、対象生物の生存に影響を及ぼすか否かを判定するために定められた存在場所Eのクロロフィルの量の境界を示すクロロフィル閾値が含まれる。この場合において、まず、取得部131は、存在場所Eのクロロフィルの量を特定するためのクロロフィル情報をさらに取得する。例えば、存在場所Eには、クロロフィルの量を測定するためのセンサが設置されており、取得部131は、当該センサからクロロフィル情報を取得する。
【0061】
そして、判定部132は、存在場所Eのクロロフィルの量がクロロフィル閾値を上回る場合、さらに存在場所Eのクロロフィルの量が適用条件を満たすと判定する。一方、判定部132は、存在場所Eのクロロフィルの量がクロロフィル閾値を下回る場合、存在場所Eのクロロフィルの量が適用条件を満たさないと判定する。このようにすることで、情報処理装置1は、流入範囲Aにおける降雨によって生じた対象生物に対する損害を補償することができる。
【0062】
出力部135は、判定部132が適用条件を満たすと判定した場合に、保険を適用することを示す適用情報を出力する。出力部135は、例えば、情報処理装置1が備える不図示の表示部に適用情報を表示させることにより、適用情報を出力する。出力部135は、適用情報を、保険サービスの管理者が使用する端末に送信してもよいし、被保険者が使用する端末に送信してもよい。
【0063】
[情報処理装置1の処理]
続いて、情報処理装置1の処理の流れについて説明する。図6は、情報処理装置1の処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートは、取得部131が水域濁度情報を取得したことを契機として開始する(S1)。
【0064】
判定部132は、水域濁度情報によって特定される存在場所Eの濁度が濁度閾値を上回るか否かを判定する(S2)。判定部132は、水域濁度情報によって特定される存在場所Eの濁度が濁度閾値を上回らない、すなわち、存在場所Eの濁度が濁度閾値を下回ると判定した場合(S2においてNOの場合)、処理を終了させる。
【0065】
一方、判定部132が、水域濁度情報によって特定される存在場所Eの濁度が濁度閾値を上回ると判定した場合(S2においてYESの場合)、取得部131は、天候情報を取得する(S3)。算出部133は、取得部131が取得した天候情報によって特定される流入範囲Aの降雨量に基づいて、流入範囲の降雨による河口の累積降雨量を算出する(S4)。
【0066】
判定部132は、算出部133が算出した河口の累積降雨量が降雨量閾値を上回るか否かを判定する(S5)。判定部132は、河口の累積降雨量が降雨量閾値を上回らない、すなわち河口の累積降雨量が降雨量閾値を下回ると判定した場合(S5においてNOの場合)、処理を終了させる。一方、判定部132が、河口の累積降雨量が降雨量閾値を上回ると判定した場合(S5においてYESの場合)、出力部135は、適用情報を出力する(S6)。
【0067】
[本実施の形態における効果]
以上説明したとおり、情報処理装置1は、天候情報と水域濁度情報とに基づいて、流入範囲Aの天候と存在場所Eの濁度とが適用条件を満たすか否かを判定し、適用条件を満たすと判定した場合に、適用情報を出力する。このようにすることで、情報処理装置1は、悪天候によって対象生物に対して生じた損害を補償することができる。
【0068】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0069】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0070】
1 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 取得部
132 判定部
133 算出部
134 推定部
135 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6