IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社シマノの特許一覧

<>
  • 特開-釣糸ガイド及び釣竿 図1
  • 特開-釣糸ガイド及び釣竿 図2
  • 特開-釣糸ガイド及び釣竿 図3
  • 特開-釣糸ガイド及び釣竿 図4
  • 特開-釣糸ガイド及び釣竿 図5
  • 特開-釣糸ガイド及び釣竿 図6
  • 特開-釣糸ガイド及び釣竿 図7
  • 特開-釣糸ガイド及び釣竿 図8
  • 特開-釣糸ガイド及び釣竿 図9
  • 特開-釣糸ガイド及び釣竿 図10
  • 特開-釣糸ガイド及び釣竿 図11
  • 特開-釣糸ガイド及び釣竿 図12
  • 特開-釣糸ガイド及び釣竿 図13
  • 特開-釣糸ガイド及び釣竿 図14
  • 特開-釣糸ガイド及び釣竿 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144589
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】釣糸ガイド及び釣竿
(51)【国際特許分類】
   A01K 87/04 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
A01K87/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051645
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100117204
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 徳哉
(72)【発明者】
【氏名】藤原 誠太
(72)【発明者】
【氏名】谷口 一真
(72)【発明者】
【氏名】神納 芳行
【テーマコード(参考)】
2B019
【Fターム(参考)】
2B019BA01
2B019BA03
2B019BA08
(57)【要約】
【課題】ライントラブルの発生を抑制することができる釣糸ガイドと釣竿を提供する。
【解決手段】釣糸を案内するように竿体4の外周面に装着される釣糸ガイドであって、釣糸を案内するガイド部90と、外周面に接触する第1接点95を有する第1取付脚部91と、第1取付脚部91に対して竿体4の軸方向に離れ、外周面に接触する第2接点96を有する第2取付脚部92と、ガイド部90と第1取付脚部91とを連結する第1支持脚部93と、ガイド部90と第2取付脚部92とを連結し、竿体4の径方向外側に向けて湾曲する第2支持脚部94と、を備え、第1接点95及び第2接点96を通る仮想線16と、ガイド部90の内縁90aと、の間の最短となる離間距離Lは、40mm以上60mm以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣糸を案内するように竿体の外周面に装着される釣糸ガイドであって、
前記釣糸を案内するガイド部と、
前記外周面に接触する第1接点を有する第1取付脚部と、
前記第1取付脚部に対して前記竿体の軸方向に離れ、前記外周面に接触する第2接点を有する第2取付脚部と、
前記ガイド部と前記第1取付脚部とを連結する第1支持脚部と、
前記ガイド部と前記第2取付脚部とを連結し、前記竿体の径方向外側に向けて湾曲する第2支持脚部と、を備え、
前記第1接点及び前記第2接点を通る仮想線と、前記ガイド部の内縁と、の間の最短となる離間距離は、40mm以上60mm以下である、釣糸ガイド。
【請求項2】
前記ガイド部の内径は、10mm以上40mm以下である、請求項1記載の釣糸ガイド。
【請求項3】
前記ガイド部の内径をDとし、前記離間距離をLとし、
L=D/3+36.7で定義される線を第1直線とし、
L=D/3+46.7で定義される線を第2直線としたとき、
前記離間距離及び前記ガイド部の内径は、前記第1直線と前記第2直線との間の領域に設定される、請求項2記載の釣糸ガイド。
【請求項4】
前記離間距離と前記ガイド部の内径との比は、1.7:1から2.5:1である、請求項1乃至3の何れか一項に記載の釣糸ガイド。
【請求項5】
前記ガイド部は前記第2支持脚部側に傾斜し、
前記ガイド部によって定義される第1平面と、前記仮想線に直交する第2平面とが成す角度は、0度を越え5度以下である、請求項1乃至4の何れか一項に記載の釣糸ガイド。
【請求項6】
前記ガイド部は、前記釣糸を案内するガイドリングを有する、請求項1乃至5の何れか一項に記載の釣糸ガイド。
【請求項7】
竿体の外周面に複数の釣糸ガイドが装着された釣竿であって、
前記複数の釣糸ガイドのうち最も竿尻側に位置する釣糸ガイドが、請求項1乃至6の何れか一項に記載の釣糸ガイドである、釣竿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣糸を案内するための釣糸ガイドと、その釣糸ガイドが装着された釣竿に関する。
【背景技術】
【0002】
投げ釣りやショアからのキャスティングゲームでは飛距離が重要となる。そのため、釣竿において最もリールに近い箇所に配置される元ガイドには、大口径のガイドリングが装着されていた。しかしながら、リールから放出された釣糸が、リールと元ガイドとの間において、釣竿の竿体の外周面に接触しやすいという問題があった。このように釣糸が竿体の外周面に接触すると、釣糸の損傷や糸絡み等のライントラブルが発生しやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-125463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ライントラブルの発生を抑制することができる釣糸ガイドと釣竿を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る釣糸ガイドは、釣糸を案内するように竿体の外周面に装着される釣糸ガイドであって、釣糸を案内するガイド部と、外周面に接触する第1接点を有する第1取付脚部と、第1取付脚部に対して竿体の軸方向に離れ、外周面に接触する第2接点を有する第2取付脚部と、ガイド部と第1取付脚部とを連結する第1支持脚部と、ガイド部と第2取付脚部とを連結し、竿体の径方向外側に向けて湾曲する第2支持脚部と、を備え、第1接点及び第2接点を通る仮想線と、ガイド部の内縁と、の間の最短となる離間距離は、40mm以上60mm以下である。
【0006】
この構成によれば、第1支持脚部の長さが40mm以上と脚長となっている。即ち、ガイド部が竿体の外周面から遠く離れている。そのため、この釣糸ガイドを元ガイドに使用した場合、リールから放出された釣糸は、リールと元ガイドとの間の区間において竿体に接触することがなく、元ガイドを通過することになる。また、第2支持脚部が竿体の径方向外側に向けて湾曲しているので、第2支持脚部が竿体の径方向内側に向けて湾曲している場合に比して、竿体の軸方向の力に対する強度が大きい。従って、リールから放出された釣糸が釣糸ガイドに衝突した際に、第2支持脚部がガイド部を竿先側からしっかりと支える。そのため、釣糸ガイドが竿先側に変形しにくく、糸絡みを防止でき、飛距離の低下も防止できる。
【0007】
好ましくは、ガイド部の内径は、10mm以上40mm以下である。この構成によれば、ガイド部が小径であるため、リールから放出された釣糸が竿体に接触することをより一層防止することができる。
【0008】
好ましくは、ガイド部の内径をDとし、離間距離をLとし、L=D/3+36.7で定義される線を第1直線とし、L=D/3+46.7で定義される線を第2直線としたとき、離間距離及びガイド部の内径は、第1直線と第2直線との間の領域に設定される。この構成によれば、リールから放出された釣糸が竿体に接触することをより一層防止することができる。
【0009】
好ましくは、離間距離とガイド部の内径との比は、1.7:1から2.5:1である。この構成によれば、リールから放出された釣糸が竿体に接触することをより一層防止することができる。
【0010】
好ましくは、ガイド部は第2支持脚部側に傾斜し、ガイド部によって定義される第1平面と、仮想線に直交する第2平面とが成す角度は、0度を越え5度以下である。この構成によれば、ガイド部が竿先側に向けて5度以下の角度で傾斜しているので、リールから放出された釣糸がスムーズに元ガイドを通過することができる。また、傾斜角度が5度以下と小さいため、釣糸がガイド部よりも先に第1支持脚部に当たりにくくなり、糸絡みの発生を防止することができる。
【0011】
好ましくは、ガイド部は、釣糸を案内するガイドリングを有する。
【0012】
また、本発明に係る釣竿は、竿体の外周面に複数の釣糸ガイドが装着された釣竿であって、複数の釣糸ガイドのうち最も竿尻側に位置する釣糸ガイドが、上述の釣糸ガイドである。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、離間距離が40mm以上であるため、ライントラブルの発生を抑制することができる。また、第2支持脚部が竿体の径方向外側に向けて湾曲しているので、軽量化と強度確保を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態における釣糸ガイドの斜視図。
図2】同釣糸ガイドの斜視図。
図3】同釣糸ガイドの側面図。
図4】同釣糸ガイドを後側から見た正面図。
図5図4のA-A断面図。
図6】同釣糸ガイドのガイドフレームの側面図。
図7】同ガイドフレームを後側から見た正面図。
図8図7のB-B断面図。
図9】ガイドリングの内径と離間距離の関係を示すグラフ。
図10】同釣糸ガイドが装着された釣竿を示す正面図。
図11】同釣竿の使用状態を示す要部正面図。
図12】比較例1の釣糸ガイドが装着された釣竿の使用状態を示す要部正面図。
図13】比較例2の釣糸ガイドが装着された釣竿の使用状態を示す要部正面図。
図14】比較例3の釣糸ガイドが装着された釣竿の使用状態を示す要部正面図。
図15】比較例4の釣糸ガイドの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイドとガイドフレームと釣竿について、図1図11を参酌しつつ説明する。釣糸ガイド1は、竿体4の外周面の所定位置に固定される。釣糸ガイド1は、リール6が取り付け可能な種々の釣竿に取り付けられる。特に、投げ釣り用の釣竿や、ショアからのキャスティングゲーム用の釣竿に適していて、スピニングリール6用の釣竿に適している。また、後述のように、本実施形態における釣糸ガイド1は、釣竿に取り付けられる複数の釣糸ガイド1のうち、最も竿尻側に位置する釣糸ガイド1、即ち、元ガイド1a(バットガイド)に適しているが、他の位置に取り付けられる釣糸ガイド1にも適用可能である。
【0016】
釣糸ガイド1は、釣糸5を案内するガイド部90と、竿体4の外周面に取り付けられる第1取付脚部91と、第1取付脚部91に対して前後方向に離れて設けられ、竿体4の外周面に取り付けられる第2取付脚部92と、ガイド部90と第1取付脚部91とを連結する第1支持脚部93と、ガイド部90と第2取付脚部92とを連結する第2支持脚部94と、を備えている。第1取付脚部91は、竿体4の外周面に接触する第1接点95を有し、第2取付脚部92は、竿体4の外周面に接触する第2接点96を有する。ガイド部90は、好ましくは釣糸5を案内するガイドリング3を備え、釣糸ガイド1は、ガイドリング3を保持すると共に竿体4の外周面に取り付けられるガイドフレーム2を備える。ガイド部90がガイドリング3を備える場合、ガイド部90の内縁90aはガイドリング3の内縁3aである。
【0017】
尚、以下の説明において、竿体4の軸方向(中心線方向)を前後方向とし、竿先側を前側として図中に矢印X2で示し、竿尻側を後側として図中に矢印X1で示す。また、竿体4の径方向のうち、竿体4の外周面からリール6の取付方向に向けて径方向に離れる方向が径方向外側であって図中に矢印Z1で示す。それとは逆の方向であって竿体4の外周面に接近する方向が径方向内側であって図中に矢印Z2で示す。また、竿体4の周方向であって、径方向と直交(交差)する方向を左右方向として、図中に矢印Yで示す。
【0018】
<ガイドフレーム2>
本実施形態の釣糸ガイド1は、ガイドリング3と、ガイドリング3を保持するガイドフレーム2を備えている。図6図8に本実施形態におけるガイドフレーム2を示している。ガイドフレーム2は、金属製であることが好ましく、一枚の金属板からなる。即ち、ガイドフレーム2は、板金製の一体型のものである。従って、ガイドフレーム2は、一つの部材から構成されている。ガイドフレーム2は、一枚の金属板を所定形状に打ち抜いて、所定形状に打ち抜かれた平板状の金属板を折り曲げ加工することにより形成される。使用される金属板は例えば厚さが1mm程度のものであって、板厚一定のものである。材質は、例えばステンレス鋼やチタン(チタン合金)である。
【0019】
ガイドフレーム2は、保持筒10と、第1支持片11と、左右一対のアーム片13を有する第2支持片12と、第1取付片14と、第2取付片15とを備えている。保持筒10は、ガイドリング3を保持する。第1取付片14と第2取付片15は、何れも竿体4の外周面に取り付けられる。第1取付片14は、第2取付片15よりも後側に位置する。第1支持片11は、保持筒10と第1取付片14を連結し、第2支持片12は、保持筒10と第2取付片15を連結する。このように、本実施形態において、ガイド部90は保持筒10とガイドリング3を備え、第1取付脚部91は第1取付片14を備え、第2取付脚部92は第2取付片15を備え、第1支持脚部93は第1支持片11を備え、第2支持脚部94は第2支持片12を備える。
【0020】
<保持筒10>
保持筒10は、所定方向の孔中心線10aを有する筒状である。保持筒10は、その内周面にガイドリング3を保持する。ガイドリング3は、保持筒10の後端部10cに保持される。ガイドリング3の中心線は、保持筒10の孔中心線10aと一致する。保持筒10は、金属板が所定方向の孔中心線10aの方向に沿って筒状に絞り加工されたものであり、詳細には深絞りされたものである。保持筒10は、第1支持片11に対して後側に突出している。保持筒10の後端部10cは、保持筒10の突出端部である。
【0021】
保持筒10の孔中心線10aは、前後方向(竿体4の軸方向)に対して第1傾斜角度α1で傾斜している。傾斜方向は、前側が竿体4の径方向内側となる方向である。保持筒10の後端部10cにおいて保持筒10の孔中心線10aと直交する第1平面101は、保持筒10の後端部10cにおいて竿体4の軸方向と直交する第2平面102に対して第1傾斜角度α1で傾斜している。第1平面101は、保持筒10の突出端部(突出端面)により定義される平面である。第1傾斜角度α1は、前後方向に対する保持筒10の孔中心線10aの傾斜角度であり、また、第2平面102に対する第1平面101の傾斜角度である。第1傾斜角度α1は、保持筒10の孔中心線10aが前後方向に沿っている場合を0度としたとき、好ましくは0度を越え5度以下であり、更に好ましくは1度以上5度以下である。第1傾斜角度α1は、後述の折り曲げ角度θと関係している。
【0022】
保持筒10は、第1支持片11に支持される第1支持部10dと、左右一対のアーム片13にそれぞれ支持される左右一対の第2支持部10eとを有している。第1支持部10dと第2支持部10eは、保持筒10の前端部10bに位置する。第1支持部10dは、保持筒10の前端部10bの全周のうち、最も竿体4の外周面に近い部分である。一対の第2支持部10eは、互いに保持筒10の周方向に離間している。一対の第2支持部10eは互いに左右対称である。一対の第2支持部10eの周方向の間に、第1支持部10dが位置している。一対の第2支持部10eは、第1支持部10dよりも、竿体4の外周面から離れている。一対の第2支持部10eは、保持筒10の孔中心線10aよりも、竿体4の外周面から離れていることが好ましい。
【0023】
<第1支持片11>
第1支持片11は、保持筒10の第1支持部10dから第1取付片14に向けて延びている。第1支持片11は、竿体4の径方向内側且つ後側に傾斜しつつ延びている。第1支持片11は、保持筒10の第1支持部10dと第1取付片14とを連結している。第1支持片11は、第1取付片14から保持筒10に向けて湾曲していない平面であることが好ましく、平板状であることが好ましい。即ち、第1支持片11は、竿体4の径方向に沿って湾曲していないことが好ましい。尚、本実施形態において、第1支持片11は、左右方向に沿って湾曲していないが、左右方向に沿って湾曲していてもよい。
【0024】
第1支持片11は、第1平面101と平行であることが好ましく、ガイドリング3と平行であることが好ましい。第1支持片11の板厚方向は、保持筒10の孔中心線10aの方向である。第1支持片11は、互いに対向する第1板面10aと第2板面11bとを有する。第1板面10aは、後側を向き、第2板面11bは前側を向く。第2板面11bは、第1板面10aに対して板厚方向の反対側の面である。第1板面10aは、保持筒10の外周面と接続する。第2板面11bは、保持筒10の内周面と接続する。
【0025】
保持筒10の後端部10cは、第1板面10aに対して後側に突出している。尚、保持筒10の突出方向は、保持筒10の孔中心線10aの方向であり、第1板面10aに対して法線方向である。第1板面10aに対する保持筒10の突出量Pは、第1支持片11の厚さTよりも大きいことが好ましく、第1支持片11の厚さTの2倍以上であることがより好ましい。
【0026】
第1支持片11は、第1取付片14に対して所定角度で立ち上がっている。第1支持片11は、第1取付片14に対して竿体4の径方向外側に向けて折り曲げられている。第1支持片11は、竿体4の外周面の径方向に沿っていてもよいが、本実施形態のように、竿体4の径方向に対して前側に向けて傾斜していることが好ましい。折り曲げ角度θは、85度以上90度未満であることが好ましい。第1支持片11は、第2平面102に対して、前側に第2傾斜角度α2で傾斜している。尚、折り曲げ角度θが例えば85度である場合、第2傾斜角度α2は、5度となる。第1支持片11が第1平面101と平行である場合には、第1傾斜角度α1も5度となる。
【0027】
第1支持片11を板厚方向に沿って見たときの正面視の形状は種々であってよい。第1支持片11は、第1取付片14の前端部と接続する第1接続部11cと、保持筒10の前端部10bと接続する第2接続部11dとを有している。第2接続部11dは、保持筒10の第1支持部10dと接続する。
【0028】
<第1取付片14>
第1取付片14は、第1支持片11の第1接続部11cから後側に向けて延びている。第1取付片14は、前後方向に沿って長い形状を有している。第1平面101(仮想平面)は、第1取付片14を横断する。第1平面101が第1取付片14を横断する部分である仮想横断部103は、第1支持片11と第1取付片14との間の折り曲げ部17よりも後側に位置する。換言すれば、折り曲げ部17は、仮想横断部103よりも前側に位置し、また、第1支持片11の第1接続部11cは、仮想横断部103よりも前側に位置する。尚、折り曲げ部17は、保持筒10の後端部10cの全周のうち竿体4に最も近い部分よりも前側に位置することが更に好ましい。
【0029】
第1取付片14は、互いに対向する第1内面10a及び第1外面10bを有する。第1内面10aは、第1支持片11の第2板面11bと接続する。第1外面10bは、第1支持片11の第1板面10aと接続する。第1内面10aは、竿体4の外周面と対向する対向面であり、竿体4の外周面と接触する。第1内面10aは、第1接点95を有する。第1接点95は、前後方向に沿った第1内面10aの第1中心線14c上に位置する。第1内面10aの第1中心線14cは、第1内面10aの幅を二等分する直線である。第1取付片14は、図4及び図7のように、竿体4の外周面に沿うように左右方向に沿って竿体4の径方向外側に向けて湾曲していることが好ましい。第1内面10aは、竿体4の外周面に沿うように左右方向に沿って竿体4の径方向外側に向けて湾曲していることが好ましく、第1外面10bは、第1内面10aに対応して、左右方向に沿って竿体4の径方向外側に向けて湾曲していることが好ましい。
【0030】
<第2支持片12、アーム片13>
アーム片13は、保持筒10の第2支持部10eから第2取付片15に向けて延びている。アーム片13は、保持筒10の第2支持部10eと第2取付片15とを連結している。アーム片13は、第2取付片15の後端部と接続する第3接続部13aと、保持筒10の前端部10bと接続する第4接続部13bとを有している。第4接続部13bは、保持筒10の第2支持部10eと接続する。
【0031】
左右一対のアーム片13は、互いに左右方向に対称形状である。アーム片13は、全体として、保持筒10の第2支持部10eから竿体4の径方向内側且つ前側に傾斜しつつ延びている。アーム片13は、図3及び図6のような側面視において、保持筒10の第2支持部10eと第2取付片15の後端部10cとを結ぶ仮想直線13cに対して、竿体4の径方向外側に湾曲している。アーム片13は、側面視において、保持筒10の第2支持部10eから前側に向かった後、竿体4の径方向内側に向かう。一対のアーム片13は、保持筒10の第2支持部10eから互いに左右方向に離れる方向に向かい、その後、方向を前側に変えて、第2取付片15に向けて互いに徐々に接近していく。
【0032】
アーム片13は、第1支持片11よりも長い。アーム片13は、第1支持片11よりも細い。アーム片13は、互いに対向する第3板面13dと第4板面13eを有する。第3板面13dは、保持筒10の外周面と接続する。第4板面13eは、保持筒10の内周面と接続する。第3板面13dは、アーム片13の左右方向の外側に位置し、第4板面13eは、アーム片13の左右方向の内側に位置する。左右一対のアーム片13は、第4板面13e同士が向かい合う姿勢をとる。
【0033】
<第2取付片15>
第2取付片15は、第1取付片14に対して前側に離間している。第1取付片14と第2取付片15とを結ぶ方向が前後方向である。第1取付片14の大部分が、保持筒10に対して後側に位置する。第2取付片15の全体が、保持筒10に対して前側に位置する。第2取付片15は、アーム片13の第3接続部13aから前側に向けて延びている。第2取付片15は、アーム片13に対して所定角度で折り曲げられている。第2取付片15は、前後方向に沿って長い形状を有している。第2取付片15の左右方向の幅は略一定である。
【0034】
第2取付片15は、互いに対向する第2内面15a及び第2外面15bを有する。第2内面15aは、アーム片13の第3板面13dと接続する。第2外面15bは、アーム片13の第4板面13eと接続する。第2内面15aは、竿体4の外周面と対向する対向面であり、竿体4の外周面と接触する。第2内面15aは、第2接点96を有する。第2接点96は、前後方向に沿った第2内面15aの第2中心線15c上に位置する。第2内面15aの第2中心線15cは、第2内面15aの幅を二等分する直線である。第2取付片15は、第1取付片14と同様に、竿体4の外周面に沿うように左右方向に沿って竿体4の径方向外側に向けて湾曲していることが好ましい。第2内面15aは、竿体4の外周面に沿うように左右方向に沿って竿体4の径方向外側に向けて湾曲していることが好ましく、第2外面15bは、第2内面15aに対応して、左右方向に沿って竿体4の径方向外側に向けて湾曲していることが好ましい。
【0035】
<ガイドリング3>
ガイドリング3は、代表的には円形の環状であるが、楕円形や長円形等であってもよい。本実施形態ではガイドリング3は、円形である。ガイドリング3は好ましくは接着により保持筒10に取り付けられる。ガイドリング3は、保持筒10の後端部10cから前側に向けて挿入され、好ましくは圧入される。ガイドリング3は、保持筒10の後端部10cから後側に所定量突出していることが好ましい。尚、本実施形態では、ガイドフレーム2とは別体のガイドリング3を備えるものであるが、ガイド部90がガイドリング3を備えていないものであってもよい。
【0036】
<取付状態>
図10のように、釣糸ガイド1は、竿体4の外周面に取り付け固定される。取付方法は、例えば巻糸と接着剤の塗布による。釣糸ガイド1は、第2取付片15が前側を向き、第1取付片14が後側を向くようにして、竿体4の外周面に装着される。釣糸ガイド1が竿体4に取り付けられた状態において、ガイドリング3は前側に第1傾斜角度α1で傾斜した姿勢となる。
【0037】
スピニングリール6を使用する場合、通常、スピニングリール6は竿体4に対して下側に位置し、釣糸ガイド1は竿体4の下側に位置する。即ち、釣糸ガイド1は、竿体4に対してリール6と同じ方向に位置する。本実施形態における釣糸ガイド1は、スピニングリール6を使用する釣竿に適している。また、釣糸ガイド1は、PEラインを使用した釣りに適している。
【0038】
図10にスピニングリール6を使用するのに適した釣竿を示している。また、図11には、図10の釣竿にスピニングリール6を取り付けた使用状態を示している。釣竿は、竿体4と、竿体4の外周面に軸方向に間隔をあけて装着された複数の釣糸ガイド1と、スピニングリール6を装着するためのリールシート7を備えている。複数の釣糸ガイド1は、最も前側に位置するトップガイド1bと、最も後側に位置する元ガイド1aと、トップガイド1bと元ガイド1aの間に位置する複数の中間ガイド1cとから構成される。本実施形態の釣糸ガイド1は、元ガイド1a(バットガイド)に好適に使用される。元ガイド1aは、複数の釣糸ガイド1のうち最も後側に位置する釣糸ガイド1である。複数の釣糸ガイド1のうち、少なくとも元ガイド1aに、上述した釣糸ガイド1が使用される。上述した釣糸ガイド1は、中間ガイド1cにも使用可能である。
【0039】
次に、ガイドリング3の内径3b(口径)と、竿体4の外周面からのガイドリング3の離間距離Lについて説明する。図1等に、第1接点95と第2接点96を通る仮想線16を示している。仮想線16は、竿体4の軸方向に沿っていて、竿体4の外周面に位置する。離間距離Lは、仮想線16とガイドリング3の内縁3aとの間の最短距離である。尚、離間距離Lは、ガイドリング3の内縁3aと第1内面10aとの間の、竿体4の径方向の最短距離でもある。
【0040】
ガイドリング3の内径3bは、好ましくは10mm以上40mm以下であり、より好ましくは15mm以上35mm以下である。離間距離Lは、好ましくは40mm以上60mm以下であり、より好ましくは45mm以上55mm以下である。ガイドリング3の内径3bと離間距離Lは、以下のような第1直線111と第2直線112の間の領域に設定されることが好ましい。ガイドリング3の内径3bをDとし、離間距離をLとしたとき、L=D/3+36.7で定義される線が第1直線111である。また、L=D/3+46.7で定義される線が第2直線112である。また、離間距離Lとガイドリング3の内径3bとの比は、1.7:1から2.5:1であることが好ましい。
【0041】
以上のように、本実施形態の釣糸ガイド1は、第1支持片11の長さが長く、ガイドリング3が竿体4の外周面から遠く離れている。そのため、この釣糸ガイド1を元ガイドに使用した場合、リール6から放出された釣糸5は、リール6と元ガイドとの間の区間において竿体4に接触することがなく、元ガイドを通過することになる。
【0042】
また、ガイドリング3の内径3bが10mm以上40mm以下と小径である。そのため、リール6から放出された釣糸5が竿体4に接触することをより一層防止することができる。ガイドリング3が小径であるため、釣糸ガイド1を軽量化することができ、釣竿を軽量化することができる。更に、ガイドリング3の内径3bをDとし、離間距離をLとしたとき、L=D/3+36.7で定義される線を第1直線111とする。また、L=D/3+46.7で定義される線を第2直線112とする。そのとき、離間距離L及びガイドリング3の内径3bは、第1直線111と第2直線112との間の領域に設定されることが好ましい。この領域に設定されると、リール6から放出された釣糸5が竿体4に接触することをより一層防止することができる。更に、離間距離Lは、ガイドリング3の内径3bよりも大きいことが好ましい。特に、離間距離Lとガイドリング3の内径3bとの比が1.7:1から2.5:1であると、リール6から放出された釣糸5が竿体4に接触することをより一層防止することができる。
【0043】
ガイドリング3が前側に傾斜していて、第1傾斜角度α1が0度を越え5度以下である。そのため、リール6から放出された釣糸5がスムーズに元ガイドを通過することができる。また、第1傾斜角度α1が5度以下と小さいため、釣糸5がガイドリング3よりも先に第1支持片11に当たりにくくなり、糸絡みの発生を防止することができる。
【0044】
一方、第2支持片12が竿体4の径方向外側に向けて湾曲しているので、リール6から放出された螺旋状の釣糸5が元ガイド1aのガイドリング3に衝突した際に、元ガイド1aが前側に大きく撓むことを防止することができる。例えば、図15のように第2支持片212が竿体4の径方向内側に向けて湾曲していると、リール6から放出された螺旋状の釣糸5が元ガイド1aのガイドリング3に衝突することによって、元ガイド1aが前側に大きく撓みやすい。その撓みを防止するためには、ガイドフレーム202の肉厚を厚くしたりするなど、ガイドフレーム202の強度を上げる必要が生じる。しかしながら、ガイドフレーム202の肉厚を厚くすると元ガイド1aが重くなり、釣竿が重くなる。
【0045】
これに対して、本実施形態のように第2支持片12が竿体4の径方向外側に向けて湾曲していると、第2支持片12が保持筒10を竿先側からしっかりと支えることができ、元ガイド1aの撓みを効果的に抑制することができる。そのため、ガイドフレーム2が竿先側に変形しにくく、糸絡みを防止でき、飛距離の低下も防止できる。そして、ガイドフレーム2の肉厚を過度に厚くしなくても強度を確保することができるので、元ガイド1aの重量増加を抑制することができ、元ガイド1aの強度と軽量化を容易に両立させることができる。特に、PEラインを使用した釣りに適している。
【0046】
また、保持筒10が第1支持片11から後側に突出している。そのため、釣糸5が第1支持片11に当たりにくくなり、糸絡みの発生が抑制される。更に、第1支持片11が保持筒10から第1取付片14に向けて湾曲しておらずに平面状であると、第1支持片11の第1接続部11c近傍に釣糸5が当たりにくくなり、第1支持片11における糸絡みの発生を効果的に防止することができる。第1平面101が第1取付片14を横断する仮想横断部103に対して折り曲げ部17が前側に位置していると、釣糸5が第1支持片11の特に第1接続部11c近傍に当たりにくくなり、糸絡みが発生しにくくなる。
【0047】
表1に、釣糸ガイド1の実施例1~3と比較例1~4における各数値を示している。また、図9に、実施例1~3及び比較例1~4におけるガイドリング3の内径3bと離間距離Lとの関係を示している。図9において、実施例1~3は円形でプロットされ、比較例1~4は三角形でプロットされている。また、上記の第1直線111と第2直線112を、ガイドリング3の内径3bが10mm~40mmの間の区間において示している。
【0048】
【表1】
【0049】
実施例1~3の釣糸ガイド1の離間距離Lは何れも45mm以上と非常に長い。その一方、実施例1~3の釣糸ガイド1におけるガイドリング3の内径3bは何れも30mm以下と、それ程大きいものではない。つまり、実施例1~3の釣糸ガイド1は、第1支持片11の長さが長い一方でガイドリング3は比較的小径という特徴を有するものである。このような実施例1~3の釣糸ガイド1を元ガイド1aに使用した釣竿においては、図11に二点鎖線で示すように、リール6から放出された螺旋状の釣糸5が竿体4の外周面に接触することなく元ガイド1aを通過する。
【0050】
比較例1~3の釣糸ガイド1の離間距離Lは最大でも36mmと長いものではない。このような比較例1~3の釣糸ガイド1を元ガイド1aに使用した場合についても、釣糸5と竿体4との接触の有無について検証してみると、何れも元ガイド1aとリール6との間の区間において釣糸5が竿体4に接触することがわかった。比較例1~3の釣糸ガイド1を元ガイド1aに使用した場合について図12図14に示している。図中、符号Sで示した箇所が、釣糸5が竿体4に接触するポイントである。
【0051】
一方、比較例4の釣糸ガイド1は、ガイドリング3の内径3bが29mmであって、離間距離Lが48mmと長い。また、上述の第1直線111と第2直線112の間の領域内にも位置するものである。そのため、元ガイド1aとリール6との間の区間において釣糸5と竿体4との接触を防止することができるものである。しかしながら、比較例4の釣糸ガイド1は強度が小さいという問題がある。図15に比較例4の釣糸ガイド201を示している。比較例4の釣糸ガイド201における第2支持片212は、竿体4の径方向内側に向けて湾曲している。このように第2支持片212が竿体4の径方向内側に向けて湾曲していると、リール6から放出された釣糸5がガイドリング203に衝突した際に、第2支持片212がガイドリング203を強固に支えることができない。そのため、キャスト時にガイドフレーム202が前側に変形しやすく、糸絡みが発生したり飛距離が伸びなかったりする。
【符号の説明】
【0052】
1 釣糸ガイド
1a 元ガイド
1b トップガイド
1c 中間ガイド
2 ガイドフレーム
3 ガイドリング
3a 内縁
3b 内径
4 竿体
5 釣糸
6 スピニングリール
7 リールシート
10 保持筒
10a 孔中心線
10b 前端部
10c 後端部
10d 第1支持部
10e 第2支持部
11 第1支持片
11a 第1板面
11b 第2板面
11c 第1接続部
11d 第2接続部
12 第2支持片
13 アーム片
13a 第3接続部
13b 第4接続部
13c 仮想直線
13d 第3板面
13e 第4板面
14 第1取付片
14a 第1内面
14b 第1外面
14c 第1中心線
15 第2取付片
15a 第2内面
15b 第2外面
15c 第2中心線
16 仮想線
17 折り曲げ部
90 ガイド部
90a 内縁
91 第1取付脚部
92 第2取付脚部
93 第1支持脚部
94 第2支持脚部
95 第1接点
96 第2接点
101 第1平面(仮想平面)
102 第2平面
103 仮想横断部
111 第1直線
112 第2直線
α1 第1傾斜角度
α2 第2傾斜角度
θ 折り曲げ角度
L 離間距離
P 突出量
T 厚さ
201 釣糸ガイド
202 ガイドフレーム
203 ガイドリング
212 第2支持片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15