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特開2023-144601塗装機洗浄方法、洗浄液供給装置及び洗浄システム
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  • 特開-塗装機洗浄方法、洗浄液供給装置及び洗浄システム 図1
  • 特開-塗装機洗浄方法、洗浄液供給装置及び洗浄システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144601
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】塗装機洗浄方法、洗浄液供給装置及び洗浄システム
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/02 20060101AFI20231003BHJP
   B05B 15/555 20180101ALI20231003BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20231003BHJP
   B05B 5/04 20060101ALN20231003BHJP
【FI】
B08B3/02 F
B05B15/555
B05C11/10
B05B5/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051663
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000110343
【氏名又は名称】トリニティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114605
【弁理士】
【氏名又は名称】渥美 久彦
(72)【発明者】
【氏名】富田 篤
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 裕一
【テーマコード(参考)】
3B201
4D073
4F034
4F042
【Fターム(参考)】
3B201AA47
3B201AB51
3B201BB21
3B201BB92
3B201BB98
4D073AA01
4D073BB03
4D073CC04
4D073CC17
4F034AA04
4F034BA22
4F034BA27
4F042BA11
4F042BA19
4F042CC04
4F042CC08
4F042DH09
(57)【要約】
【課題】洗浄能力を維持しつつ洗浄に使用する洗浄液の使用量を低減することができる塗装機洗浄方法を提供すること。
【解決手段】この塗装機洗浄方法では、洗浄液W1にファインバブルを分散させた気泡含有洗浄液を用いて、洗浄対象である塗装機21及び塗装機付帯設備31を洗浄する。この方法で使用する洗浄液供給装置71は、洗浄液W1にファインバブルを分散させた気泡含有洗浄液を生成するとともに、洗浄対象に応じてファインバブルの気泡径を変更して気泡含有洗浄液を送液する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液にファインバブルを分散させた気泡含有洗浄液を用いて、洗浄対象である塗装機及び塗装機付帯設備を洗浄することを特徴とする塗装機洗浄方法。
【請求項2】
前記気泡含有洗浄液に分散される前記ファインバブルの気泡径を前記洗浄対象に応じて変更することを特徴とする請求項1に記載の塗装機洗浄方法。
【請求項3】
前記洗浄液に気泡径の異なるファインバブルを分散させて、複数種類の前記気泡含有洗浄液を生成する第1工程と、
前記洗浄対象ごとに設けられた複数種類の洗浄装置のなかから、送液対象とする前記洗浄装置を選択する第2工程と、
選択した前記洗浄装置にて洗浄すべき塗料種に応じて、複数種類の前記気泡含有洗浄液の混合比を設定する第3工程と、
設定された前記混合比で複数種類の前記気泡含有洗浄液を混合し、得られた混合後の前記気泡含有洗浄液を送液する第4工程と
を含むことを特徴とする請求項2に記載の塗装機洗浄方法。
【請求項4】
洗浄対象を個別に洗浄する複数種類の洗浄装置に対して気泡含有洗浄液を供給する装置であって、洗浄液にファインバブルを分散させた前記気泡含有洗浄液を生成するとともに、前記洗浄対象に応じて前記ファインバブルの気泡径を変更して前記気泡含有洗浄液を送液することを特徴とする洗浄液供給装置。
【請求項5】
前記洗浄液を導入する複数の流路と、気泡径の異なるファインバブルを発生すべく前記複数の流路上に各々設けられた複数のファインバブル発生器とを有し、各々の流路を流れる前記洗浄液に気泡径の異なるファインバブルを分散させて、複数種類の前記気泡含有洗浄液を生成する気泡含有洗浄液生成装置と、
送液時における複数種類の前記気泡含有洗浄液の比率を変更可能な送液比率変更装置と
を備えたことを特徴とする請求項4に記載の洗浄液供給装置。
【請求項6】
前記気泡含有洗浄液生成装置に導入される前段階で前記洗浄液の温度を制御する温度制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の洗浄液供給装置。
【請求項7】
複数種類の前記気泡含有洗浄液を混合する比率を前記洗浄対象ごとに定めた混合比データを記憶する記憶手段と、
前記混合比データに基づいて前記送液比率変更装置を駆動し、複数種類の前記気泡含有洗浄液を前記洗浄対象ごとに定めた混合比で混合して送液させる制御を行う制御手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項6に記載の洗浄液供給装置。
【請求項8】
洗浄対象を個別に洗浄する複数種類の洗浄装置と、
請求項7に記載の洗浄液供給装置と、
前記洗浄液供給装置から送液された前記気泡含有洗浄液を各洗浄装置に対して供給する洗浄液供給路と、
前記洗浄液供給路を切り換えて前記複数種類の洗浄装置のいずれかと前記洗浄液供給装置との間を接続する供給路切換手段と
を備え、
前記洗浄液供給装置と接続された前記洗浄装置に混合後の前記気泡含有洗浄液を送液する際に、前記制御手段は、前記洗浄対象ごとに定めた混合比のなかから当該洗浄装置にて洗浄すべき前記洗浄対象に適した混合比を選択して前記送液比率変更装置を駆動し、その選択した混合比で複数種類の前記気泡含有洗浄液を混合する制御を行う
ことを特徴とする洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装機洗浄方法、洗浄液供給装置及び洗浄システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車ボディや自動車部品の塗装においては、厳しい塗装品質が要求されるため、均一で高品質の塗装を行うことができる回転霧化式塗装機が用いられている。この塗装機は、回転霧化頭を備え、回転霧化頭を回転させることで生じる遠心力によって塗料を霧化して噴霧する。
【0003】
ところで、自動車ボディの塗装ラインでは、塗装色の異なる自動車ボディが混在して搬送されてくる。それゆえ、自動車ボディに応じて色替塗装することができるように回転霧化式塗装機が構成されている。この種の塗装機において、前色塗料から次色塗料に色替えをする際には、通常、水性洗浄液や有機溶剤と、圧縮エアとを交互に送り出して塗料経路内や機器内外の洗浄を行う。その結果、塗料経路内や機器内外にて残存した塗料が排出され、色混じりが防止されるようになっている。この種のものは例えば、特許文献1,2にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-83351号公報(図4等)
【特許文献2】特開2018-12088号公報(請求項2、図2図4等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで近年では、塗装機洗浄時の洗浄液の使用量を低減することで、環境負荷を減らすことが要求されている。特に洗浄液が化学薬品を含む場合、洗浄後の排液を回収して処理する必要があり、環境負荷が大きいからである。
【0006】
しかしながら、単純に洗浄液の使用量を低減してしまうと、所望とする洗浄能力が維持できなくなる。また、個別の洗浄装置ごとに洗浄液の適正化を図ろうとすると、それぞれに適した洗浄液を準備して供給しなければならない。それゆえ、洗浄液供給装置が複数種類必要になり、装置が複雑化、高コスト化する。しかも、洗浄液による清浄能力(塗料を剥離する効果)は、基本的に洗浄液に含まれる化学要素に依存するため、洗浄液の変更や使用量の低減はそもそも難しい。さらに、洗浄液の使用量低減ばかりでなく、洗浄用の圧縮エアの使用量も低減することが望まれている。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、洗浄能力を維持しつつ洗浄に使用する洗浄液の使用量を低減することができる塗装機洗浄方法、洗浄液供給装置及び洗浄システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、手段1に記載の発明は、洗浄液にファインバブルを分散させた気泡含有洗浄液を用いて、洗浄対象である塗装機及び塗装機付帯設備を洗浄することを特徴とする塗装機洗浄方法をその要旨とする。
【0009】
従って、手段1に記載の発明によると、気泡含有洗浄液中のファインバブルが洗浄能力に好影響を与えるため、洗浄液単体での洗浄能力が高まる結果、洗浄能力を維持しつつ洗浄に使用する洗浄液の使用量を低減することができる。
【0010】
手段2に記載の発明は、手段1において、前記気泡含有洗浄液に分散される前記ファインバブルの気泡径を前記洗浄対象に応じて変更することをその要旨とする。
【0011】
従って、手段2に記載の発明によると、気泡含有洗浄液に分散されるファインバブルの気泡径を洗浄対象に応じて最適化することができるため、洗浄対象ごとに洗浄能力を維持することができる。
【0012】
手段3に記載の発明は、手段2において、前記洗浄液に気泡径の異なるファインバブルを分散させて、複数種類の前記気泡含有洗浄液を生成する第1工程と、前記洗浄対象ごとに設けられた複数種類の洗浄装置のなかから、送液対象とする前記洗浄装置を選択する第2工程と、選択した前記洗浄装置にて洗浄すべき塗料種に応じて、複数種類の前記気泡含有洗浄液の混合比を設定する第3工程と、設定された前記混合比で複数種類の前記気泡含有洗浄液を混合し、得られた混合後の前記気泡含有洗浄液を送液する第4工程とを含むことをその要旨とする。
【0013】
従って、手段3に記載の発明によると、第1工程では、複数種類の気泡含有洗浄液が生成されるとともに、第2工程では、洗浄対象ごとに設けられた複数種類の洗浄装置のなかから送液対象とする洗浄装置が選択される。すると、第3工程では、選択した洗浄装置にて洗浄すべき塗料種に応じて、複数種類の気泡含有洗浄液の混合比が設定される。そして第4工程では、設定された混合比で複数種類の気泡含有洗浄液が混合され、得られた混合後の気泡含有洗浄液が、送液対象とする洗浄装置に対して送液される。その結果、塗装種に応じて気泡含有洗浄液に分散されるファインバブルの気泡径を確実に最適化することができる。
【0014】
手段4に記載の発明は、洗浄対象を個別に洗浄する複数種類の洗浄装置に対して気泡含有洗浄液を供給する装置であって、洗浄液にファインバブルを分散させた前記気泡含有洗浄液を生成するとともに、前記洗浄対象に応じて前記ファインバブルの気泡径を変更して前記気泡含有洗浄液を送液することを特徴とする洗浄液供給装置をその要旨とする。
【0015】
従って、手段4に記載の発明によると、気泡含有洗浄液に分散されるファインバブルの気泡径を洗浄対象に応じて最適化したうえで、洗浄対象に対して個別に送液することができる。このため、洗浄対象ごとに洗浄能力を維持しつつ、洗浄に使用する洗浄液の使用量を低減することができる。
【0016】
手段5に記載の発明は、手段4において、前記洗浄液を導入する複数の流路と、気泡径の異なるファインバブルを発生すべく前記複数の流路上に各々設けられた複数のファインバブル発生器とを有し、各々の流路を流れる前記洗浄液に気泡径の異なるファインバブルを分散させて、複数種類の前記気泡含有洗浄液を生成する気泡含有洗浄液生成装置と、送液時における複数種類の前記気泡含有洗浄液の比率を変更可能な送液比率変更装置とを備えたことをその要旨とする。
【0017】
従って、手段5に記載の発明によると、気泡含有洗浄液生成装置が、洗浄液に気泡径の異なるファインバブルを分散させて、複数種類の気泡含有洗浄液を生成する。すると、送液比率変更装置が複数種類の気泡含有洗浄液の比率を変更し、ファインバブルの気泡径を洗浄対象に応じて最適化したうえで送液を行う。
【0018】
手段6に記載の発明は、手段5において、前記気泡含有洗浄液生成装置に導入される前段階で前記洗浄液の温度を制御する温度制御手段をさらに備えることをその要旨とする。
【0019】
従って、手段6に記載の発明によると、温度制御手段によってファインバブルの発生や分散に適した温度に制御されるため、効率良く複数種類の気泡含有洗浄液を生成することができる。
【0020】
手段7に記載の発明は、手段6において、複数種類の前記気泡含有洗浄液を混合する比率を前記洗浄対象ごとに定めた混合比データを記憶する記憶手段と、前記混合比データに基づいて前記送液比率変更装置を駆動し、複数種類の前記気泡含有洗浄液を前記洗浄対象ごとに定めた混合比で混合して送液させる制御を行う制御手段とをさらに備えたことをその要旨とする。
【0021】
従って、手段7に記載の発明によると、記憶手段が記憶している洗浄対象ごとに定めた混合比データに基づいて、制御手段が送液比率変更装置を適宜駆動することにより、洗浄対象ごとに定めた混合比で気泡含有洗浄液が混合される。その結果、洗浄対象に応じて最適化された気泡含有洗浄液を生成し、その最適化された気泡含有洗浄液を個々の洗浄対象に対して確実に送液することができる。
【0022】
手段8に記載の発明は、洗浄対象を個別に洗浄する複数種類の洗浄装置と、手段7に記載の洗浄液供給装置と、前記洗浄液供給装置から送液された前記気泡含有洗浄液を各洗浄装置に対して供給する洗浄液供給路と、前記洗浄液供給路を切り換えて前記複数種類の洗浄装置のいずれかと前記洗浄液供給装置との間を接続する供給路切換手段とを備え、前記洗浄液供給装置と接続された前記洗浄装置に混合後の前記気泡含有洗浄液を送液する際に、前記制御手段は、前記洗浄対象ごとに定めた混合比のなかから当該洗浄装置にて洗浄すべき前記洗浄対象に適した混合比を選択して前記送液比率変更装置を駆動し、その選択した混合比で複数種類の前記気泡含有洗浄液を混合する制御を行うことを特徴とする洗浄システムをその要旨とする。
【発明の効果】
【0023】
以上詳述したように、請求項1~8に記載の発明によると、洗浄能力を維持しつつ洗浄に使用する洗浄液の使用量を低減することができる洗浄液供給装置、塗装機洗浄システム、塗装機洗浄方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明を具体化した実施形態の塗装機洗浄システムを説明するための概略図。
図2】塗装機洗浄システムにおける洗浄液供給装置を示す概略図。
図3】比較例(従来例)の塗装機洗浄システムを説明するための概略図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した一実施形態の塗装機洗浄システム11を図面に基づき詳細に説明する。
【0026】
図1に示されるように、本実施形態の塗装機洗浄システム11は、洗浄液W1にファインバブルを分散させた気泡含有洗浄液を用いて、洗浄対象である塗装機21及び塗料充填装置31(塗装機付帯設備)を洗浄するシステムである。塗装機21は、塗装ロボットのアーム20の先端に取り付けられた状態で、自動車ボディなどの被塗装物(図示略)を塗装するようになっている。また、塗装機21は、略円筒状の塗装機本体22と、ベル型の回転霧化頭23とを備えている。塗装機本体22は、塗料が充填される塗料カートリッジ(図示略)と、塗料カートリッジ内の塗料を回転霧化頭23に供給する塗料供給機構(図示略)とを備えている。回転霧化頭23は、塗装機本体22に取り付けられており、塗装機本体22内に設けられた霧化頭回転用のエアモータ24によって回転するようになっている。そして、回転霧化頭23が回転すると、図示しない塗料供給機構によって供給されてきた塗料は、遠心力によって外周側に飛散して霧化される。なお、本実施形態の洗浄液W1は、界面活性剤を有する水性洗浄液である。
【0027】
図1に示されるように、塗装機本体22の内部には、気泡含有洗浄液を供給するための塗装機内洗浄液経路25が設けられている。塗装機内洗浄液経路25は、塗装機本体22の外周面に設けられた接続ポート26を始点とし、塗装機本体22の内部を通り抜けて回転霧化頭23内にて開口している。従って、接続ポート26側から気泡含有洗浄液を供給すると、回転霧化頭23内から下方に向けて気泡含有洗浄液が吐出される。なお、塗料充填装置31は、塗装機21に装着されていた使用済みの塗料カートリッジに対して、塗料を充填するための装置である。
【0028】
また、塗装機洗浄システム11は、洗浄対象を個別に洗浄する3種類の洗浄装置32,40,60を備えている。具体的に言うと、塗装機洗浄システム11は、塗料充填装置31にある塗料カートリッジを洗浄する洗浄装置32と、回転霧化頭23の後面23aを洗浄する洗浄装置40と、塗装機本体22の内部を洗浄する洗浄装置60とを備えている。
【0029】
図1に示されるように、洗浄装置40は、洗浄液回収容器41を備えている。洗浄液回収容器41は、後述する洗浄ノズル51から噴射した気泡含有洗浄液を回収する機能と、色替時に塗装機21から吹き捨てられた塗料を回収する機能とを有している。また、洗浄液回収容器41は、略円筒状をなす容器本体42と、略円板状をなす上蓋43とを備えている。容器本体42は、開口部を上端に有している。また、容器本体42内の廃液は、廃液経路44を介して廃液回収容器45に回収されるようになっている。一方、上蓋43は、開口部を覆うように容器本体42に取り付けられている。上蓋43の中央部には、回転霧化頭23を容器本体42内に挿入可能な挿入孔46が設けられている。
【0030】
さらに、洗浄装置40は、洗浄ノズル51、洗浄液供給管52及び洗浄用バルブマニホールド53を備えている。洗浄ノズル51は、洗浄液回収容器41の上蓋43上に取り付けられている。また、洗浄ノズル51の後端には、洗浄液供給管52が流路的に接続されている。さらに、洗浄用バルブマニホールド53は、洗浄液供給管52の後端に接続されており、洗浄用バルブ54を有している。そして、洗浄用バルブ54を開状態に切り替えた際には、洗浄液供給装置71から洗浄液供給管52に気泡含有洗浄液が供給され、洗浄ノズル51の先端から斜め下方に向けて気泡含有洗浄液が噴射される。なお、本実施形態の洗浄用バルブ54は、図示しないソレノイドにより作動する電磁弁である。
【0031】
図1に示されるように、洗浄装置60は、洗浄ユニット61、洗浄液供給管62及び洗浄用バルブマニホールド63を備えている。洗浄ユニット61は、塗装機本体22の外周面に取り付けられている。この洗浄ユニット61は、上記した塗装機内洗浄液経路25に気泡含有洗浄液と圧縮エアとを供給する機能を有している。また、洗浄ユニット61の側面において塗装機本体22の接続ポート26に対応する位置には、洗浄ユニット61側の接続ポート(図示略)が突設されている。洗浄ユニット61側の接続ポートは、逆止弁64を介して塗装機内洗浄液経路25に流路的に接続されるとともに、洗浄液供給管62に流路的に接続されている。逆止弁64は、洗浄液供給管62、逆止弁64及び塗装機内洗浄液経路25を順番に通過した気泡含有洗浄液及び圧縮エアの逆流を防止するためのものである。
【0032】
また、洗浄用バルブマニホールド63は、洗浄液供給管62の後端に接続されており、洗浄用バルブ65及びエア供給バルブ66を有している。そして、洗浄用バルブ65を開状態に切り替えた際には、洗浄液供給装置71から洗浄液供給管62及び塗装機内洗浄液経路25に気泡含有洗浄液が供給される。また、エア供給バルブ66を開状態に切り替えた際には、エア源(図示略)から洗浄液供給管62及び塗装機内洗浄液経路25に圧縮エアが供給される。なお、本実施形態の洗浄用バルブ65及びエア供給バルブ66は、図示しないソレノイドにより作動する電磁弁である。
【0033】
図1図2に示されるように、塗装機洗浄システム11は、ポンプ111、洗浄液供給装置71、洗浄液供給路81,82,83及び供給路切換手段91を備えている。ポンプ111は、タンクに貯留されている洗浄液W1を洗浄液供給装置71に供給する。洗浄液供給路81~83は、洗浄液供給装置71から送液された気泡含有洗浄液を各洗浄装置32,40,60に対して供給する。供給路切換手段91は、洗浄液供給路81~83を切り換えて、各洗浄装置32,40,60のいずれかと洗浄液供給装置71との間を接続する。
【0034】
また、洗浄液供給装置71は、各洗浄装置32,40,60に対して気泡含有洗浄液を供給する装置である。洗浄液供給装置71は、ポンプ111によって供給された洗浄液W1に対してファインバブルを分散させることにより、気泡含有洗浄液を生成する。それとともに、洗浄液供給装置71は、洗浄対象に応じてファインバブルの気泡径を変更して気泡含有洗浄液を送液する。また、洗浄液供給装置71は、温度制御装置72(温度制御手段)、気泡含有洗浄液生成装置73及び送液比率変更装置74を備えている。温度制御装置72は、洗浄液W1の中にファインバルブを溶存させやすくするために、気泡含有洗浄液生成装置73に導入される前段階で洗浄液W1の温度を低く調整(制御)するためのものである。
【0035】
図2に示されるように、気泡含有洗浄液生成装置73は、3本の流路75a,75b,75cと3つのファインバブル発生器76a,76b,76cとを有している。各流路75a~75cは、温度制御装置72によって温度が調整された洗浄液W1を導入するためのものである。また、本実施形態のファインバブル発生器76a~76cは、加圧溶解式のファインバブル発生器である。各ファインバブル発生器76a~76cは、各流路75a~75c上に各々設けられている。また、各ファインバブル発生器76a~76cは、気泡径の異なるファインバブルを発生すべく、内径の異なるノズルを各々有している。具体的に言うと、第1のファインバブル発生器76aは、流路75a上に設けられ、流路75a内を流れる洗浄液W1に気泡径が1μm(小径)のファインバブルを発生させる。第2のファインバブル発生器76bは、流路75b上に設けられ、流路75b内を流れる洗浄液W1に気泡径が1μm~10μm(中径)のファインバブルを発生させる。第3のファインバブル発生器76cは、流路75c上に設けられ、流路75c内を流れる洗浄液W1に気泡径が10μm~100μm(大径)のファインバブルを発生させる。即ち、気泡含有洗浄液生成装置73は、各々の流路75a~75cを流れる洗浄液W1に気泡径の異なるファインバブルを分散させて、3種類の気泡含有洗浄液を生成する装置である。
【0036】
図2に示されるように、送液比率変更装置74は、送液時における3種類の気泡含有洗浄液の比率を変更可能とする装置である。送液比率変更装置74は、3本の流路77a,77b,77cと3つのバルブ78a,78b,78cと3つの圧力調整部79a,79b,79cとを有している。各流路77a~77cは、気泡含有洗浄液生成装置73の流路75a~75cにそれぞれ連通している。なお、各バルブ78a~78cは、開度を変更することにより、各流路77a~77cを流れる気泡含有洗浄液の流量を調整する機能を有している。各圧力調整部79a~79cは、各流路77a~77cを流れる気泡含有洗浄液の圧力を調整する機能を有している。
【0037】
次に、塗装機洗浄システム11の電気的構成について説明する。
【0038】
図1図2に示されるように、塗装機洗浄システム11は、システム全体を統括的に制御する制御装置100を備えている。制御装置100は、CPU101(制御手段)、ROM102、RAM103等からなる周知のコンピュータにより構成されている。CPU101には、温度制御装置72、気泡含有洗浄液生成装置73及び送液比率変更装置74が電気的に接続されている。また、ROM102には、3種類の気泡含有洗浄液を混合する比率を洗浄対象ごとに定めた混合比データが記憶されている。即ち、ROM102は、『記憶手段』としての機能を有している。
【0039】
次に、塗装機洗浄システム11による塗装機洗浄方法について説明する。
【0040】
例えば、塗装機21による被塗装物の塗装が終了し、次の被塗装物を塗装するにあたり色替えをする必要が生じた場合には、塗装ロボットのアーム20を駆動して塗装機21を移動させる。そして、塗装機21が洗浄液回収容器41の挿入孔46の上方位置に到達した時点で、アーム20を駆動して塗装機21を下降させ、塗装機21の回転霧化頭23を挿入孔46内に挿入させる。さらに、塗装機21を駆動して塗料を噴射させることにより、塗装機21内の塗料が洗浄液回収容器41内に排出される。なお、この時点で、洗浄対象(ここでは、回転霧化頭23及び塗装機本体22)が洗浄可能な状態となる。
【0041】
次に、制御装置100のCPU101は、洗浄液W1にファインバブルを分散させることにより、気泡含有洗浄液を生成する処理を行う。具体的に言うと、CPU101は、第1工程を行い、洗浄液W1に気泡径の異なるファインバブルを分散させることにより、3種類の気泡含有洗浄液を生成する。詳述すると、CPU101は、温度制御装置72に駆動信号を出力し、ポンプ111によって供給されてきた洗浄液W1を設定された低い所定の温度にするように調整する。なお、温度制御装置72によって温度調整された洗浄液W1は、流路75a~75cのそれぞれに分散して導かれる。
【0042】
次に、CPU101は、気泡含有洗浄液生成装置73の第1のファインバブル発生器76aに駆動信号を出力し、流路75aを流れてきた洗浄液W1に対して気泡径が1μm(小径)のファインバブルを発生させ、小径気泡含有洗浄液を生成する。また、CPU101は、第2のファインバブル発生器76bに駆動信号を出力し、流路75bを流れてきた洗浄液W1に対して気泡径が1μm~10μm(中径)のファインバルブを発生させ、中径気泡含有洗浄液を生成する。さらに、CPU101は、第3のファインバブル発生器76cに駆動信号を出力し、流路75cを流れてきた洗浄液W1に対して気泡径が10μm~100μm(大径)のファインバブルを発生させ、大径気泡含有洗浄液を生成する。
【0043】
続く第2工程において、CPU101は、洗浄対象(塗料充填装置31、回転霧化頭23、塗装機本体22)ごとに設けられた3種類の洗浄装置32,40,60のなかから、送液対象とする洗浄装置を選択する。続く第3工程において、CPU101は、選択した洗浄装置にて洗浄すべき塗料種に応じて、3種類の気泡含有洗浄液の混合比を設定する。なお、ファインバブルは、気泡径が小さくなる程、破裂した際に強い力で汚れ(塗料)を剥離することが可能である。一方、ファインバブルは、気泡径が大きくなる程、広範囲の汚れを洗浄することが可能である。従って、選択した洗浄装置にて洗浄すべき塗料が、洗浄対象にこびり付いて落ちにくい場合には、小径気泡含有洗浄液の量を、中径気泡含有洗浄液の量や大径気泡含有洗浄液の量よりも多くなるように設定することが好ましい。また、選択した洗浄装置にて洗浄すべき塗料が、洗浄対象の広範囲に付着している場合には、大径気泡含有洗浄液の量を、小径気泡含有洗浄液の量や中径気泡含有洗浄液の量よりも多くなるように設定することが好ましい。なお、複合的な汚れが付着している場合(例えば、落ちにくい塗料が広範囲に付着している場合)には、小径気泡含有洗浄液と中径気泡含有洗浄液と大径気泡含有洗浄液との混合比を、例えば1:1:1に設定してもよい。なお、設定した混合比は、混合比データとしてROM102に記憶されている。
【0044】
続く第4工程において、CPU101は、設定した混合比で3種類の気泡含有洗浄液を混合する。まず、CPU101は、ROM102に記憶されている混合比データに基づいて送液比率変更装置74を駆動する。詳述すると、CPU101は、選択した洗浄装置にて洗浄すべき洗浄対象に適した混合比(混合比データ)を選択して、送液比率変更装置74を駆動する。次に、CPU101は、選択した混合比で、3種類の気泡含有洗浄液を混合させる制御を行う。具体的に言うと、CPU101は、送液比率変更装置74の各バルブ78a~78cに駆動信号を出力し、各バルブ78a~78cの開度を、混合比に応じた開度に変更する。例えば、小径気泡含有洗浄液と中径気泡含有洗浄液と大径気泡含有洗浄液との混合比を2:1:1に設定する場合、ファインバルブ発生器76aの下流側にあるバルブ78aの開度を100%とし、ファインバルブ発生器76b,76cの下流側にあるバルブ78b,78dの開度をそれぞれ50%とする。これにより、各流路77a~77cを流れる気泡含有洗浄液の流量が調整される。また、CPU101は、送液比率変更装置74の圧力調整部79a~79cに駆動信号を出力し、各流路77a~77cを流れる気泡含有洗浄液の圧力を、混合比に応じて調整する。そして、各流路77a~77cを流れる気泡含有洗浄液は、送液比率変更装置74の内部(具体的には、圧力調整部79a~79cの下流側)で混合される。
【0045】
その後、塗装機21や洗浄装置32,40,60を管理するコントローラ(図示略)は、混合後の気泡含有洗浄液を、選択した洗浄装置に送液させる制御を行う。例えば、選択した洗浄装置が、回転霧化頭23を洗浄する洗浄装置40である場合、塗装機21内のエアモータ24を駆動して回転霧化頭23を回転させる。この状態において、コントローラは、供給路切換手段91と、洗浄用バルブマニホールド53の洗浄用バルブ54とに対して駆動信号を出力する。その結果、洗浄装置40と洗浄液供給装置71とが連通するとともに、洗浄用バルブ54が開状態に切り替わり、洗浄液供給装置71から供給される混合後の気泡含有洗浄液が、洗浄液供給管52内及び洗浄ノズル51内に供給される。そして、供給された気泡含有洗浄液は、洗浄ノズル51から回転霧化頭23の後面23aに向けて噴射される。その結果、回転霧化頭23の後面23aに付着していた塗料が洗い流され、その塗料洗浄廃液が洗浄液回収容器41に回収される。また、回転霧化頭23の回転により、回転霧化頭23に付着している気泡含有洗浄液や塗料が遠心力によって外周側に飛散し、回転霧化頭23が乾燥する。
【0046】
また、選択した洗浄装置が、塗装機本体22を洗浄する洗浄装置60である場合、コントローラは、供給路切換手段91と、洗浄用バルブマニホールド63の洗浄用バルブ65及びエア供給バルブ66とに対して駆動信号を出力する。その結果、洗浄装置60と洗浄液供給装置71とが連通するとともに、洗浄用バルブ65が開状態に切り替わり、洗浄液供給装置71から供給される混合後の気泡含有洗浄液が、洗浄液供給管62内及び塗装機内洗浄液経路25内に供給される。また、エア供給バルブ66が開状態に切り替わり、圧縮エアが、洗浄液供給管62内及び塗装機内洗浄液経路25内に供給される。なお、本実施形態では、洗浄用バルブ65からの気泡含有洗浄液と、エア供給バルブ66からの圧縮エアとが、塗装機内洗浄液経路25に対して交互に供給される。これにより、塗装機内洗浄液経路25内に残った塗料(残塗料)が洗い流され、その塗料洗浄廃液が回転霧化頭23内に排出され、洗浄液回収容器41に回収される。
【0047】
なお、回転霧化頭23や塗装機本体22の洗浄が終了した後、塗装ロボットのアーム20を駆動して塗装機21を上昇させることにより、回転霧化頭23を洗浄液回収容器41の外部に移動させる。その結果、塗装機洗浄システム11による一連の洗浄作業が終了する。
【0048】
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0049】
(1)本実施形態の洗浄液供給装置71では、気泡含有洗浄液中のファインバブルが洗浄能力に好影響を与えるため、洗浄液供給装置71がない場合(図3参照)に比べて、気泡含有洗浄液の洗浄能力が高くなる。その結果、洗浄能力を維持しつつ、洗浄に使用する洗浄液W1の使用量を、例えばファインバブルの体積分だけ低減することができる。
【0050】
(2)本実施形態では、気泡含有洗浄液中にファインバブルが含まれることで、洗浄液W1の量が減少するため、気泡含有洗浄液で洗浄した箇所(回転霧化頭23の後面23aや、塗装機内洗浄液経路25内など)を乾燥させやすくなる。その結果、塗装機洗浄システム11による一連の洗浄の作業時間を短縮することができる。
【0051】
(3)本実施形態の洗浄装置60は、洗浄用バルブ65からの気泡含有洗浄液と、エア供給バルブ66からの圧縮エアとを、塗装機内洗浄液経路25に対して交互に供給している。これにより、塗装機内洗浄液経路25内に気泡含有洗浄液が付着したとしても、付着した気泡含有洗浄液を、後に供給される圧縮エアによって吹き飛ばすことができる。従って、塗装機内洗浄液経路25内に気泡含有洗浄液が残るのを防ぐことができる。また、気泡含有洗浄液には空気が含まれるため、空気を含まない従来の洗浄液に比べて、気泡含有洗浄液を早く除去することができる。
【0052】
(4)本実施形態では、洗浄液W1にファインバブルを分散させて気泡含有洗浄液を生成することにより、気泡含有洗浄液は、僅かな隙間(例えば、Oリングの隙間)であっても入り込むようになる。このため、気泡含有洗浄液の洗浄能力がよりいっそう高くなる。なお、気泡含有洗浄液は、ファインバブルを含むことで表面張力が低下するため、僅かな隙間であっても入り込みやすくなるものと考えられる。また、ファインバブルが潰れる際の衝撃で、洗浄能力が向上したり、僅かな隙間に入り込んだりするものとも考えられる。
【0053】
(5)本実施形態では、洗浄液W1にファインバブルを分散させて気泡含有洗浄液を生成することにより、洗浄ノズル51から回転霧化頭23に気泡含有洗浄液を噴射した際に、気泡含有洗浄液が広がりやすくなる。その結果、回転霧化頭23の後面23aを広範囲に洗うことができる。また、気泡含有洗浄液が広がると、噴射した気泡含有洗浄液の勢いは低下するため、気泡含有洗浄液の飛び散りを防止することができる。
【0054】
(6)本実施形態の洗浄液供給装置71は、洗浄液W1にファインバブルを分散させることにより、洗浄装置32,40,40ごとに異なる気泡含有洗浄液を生成している。この場合、洗浄液W1を貯留するタンクは1つで済むため、塗装機洗浄システム11の小型化、低コスト化を図ることができる。
【0055】
なお、本実施形態を以下のように変更してもよい。
【0056】
・上記実施形態では、洗浄液W1を導入する流路75a~75cの数を3として、3つの流路75a~75c上に各々設けられるファインバブル発生器76a~76cの数も3としたが、これに限定されない。この数は2つでもよく、4つ以上でもよい。
【0057】
・上記実施形態では、気泡含有洗浄液生成装置73に導入される前段階で洗浄液W1の温度を制御する温度制御装置72を設けたが、これは省略されていてもよい。
【0058】
・上記実施形態の温度制御装置72は、洗浄液W1の温度を低くなるように調整(制御)していたが、洗浄液W1の温度を高くなるように調整してもよい。また、温度制御装置72は、洗浄液W1の温度を、洗浄力が向上する任意の温度に調整するものであってもよい。
【0059】
・上記実施形態の送液比率変更装置74は、3つのバルブ78a~78cと3つの圧力調整部79a~79cとを有していたが、圧力調整部79a~79cは省略されていてもよい。また、圧力調整部79a~79cの代わりに流量調整部を設けてもよい。
【0060】
・上記実施形態のROM102は、塗料種ごとに定めた混合比データを記憶していたが、これに限定されない。塗料種ごとではなく、例えば洗浄対象ごとに定めた混合比データを記憶していてもよい。
【0061】
・上記実施形態では、送液する洗浄対象(回転霧化頭23、塗装機本体22、塗料充填装置31)に対して、洗浄対象ごとに定めた一定の混合比で混合した気泡含有洗浄液を送液していた。しかし、気泡含有洗浄液の送液方法はこれに限定される訳ではない。例えば、最初の5秒間に小径気泡含有洗浄液を洗浄対象に送液した後、大径気泡含有洗浄液を洗浄対象に送液してもよい。また、気泡含有洗浄液に含まれるファインバブルの気泡径を徐々に大きくしてもよい。即ち、ファインバブルの気泡径が小さいために洗浄力が強い気泡含有洗浄液を洗浄対象に送液した後、ファインバブルの気泡径を徐々に大きくして、送液される気泡含有洗浄液の空気量を徐々に多くしてもよい。このようにすれば、洗浄対象の洗浄を早く終えて、しかも洗浄対象を素早く乾燥させることができるため、塗装機洗浄システム11による一連の洗浄の作業時間を短縮することができる。
【0062】
・上記実施形態では、複数種類の気泡含有洗浄液を送液比率変更装置74の内部にて混合したが、この装置の内部で混合しなくてもよく、送液比率変更装置74の外部に設置した混合装置等において混合してもよい。
【0063】
・上記実施形態のファインバブル発生器76a~76cは、洗浄液W1に含まれている溶存酸素のみを利用してファインバブルを生成する加圧溶解式のファインバブル発生器を採用した。しかし、ファインバブル発生器に圧縮エア等の気体を供給し、供給した気体を利用してファインバブルを生成する方式(例えば、超微細孔式、回転式、エジェクタ式、ベンチュリ式、スタティックミキサ式、旋回液流式、蒸気凝縮式など)のファインバブル発生器を採用してもよい。
【0064】
・上記実施形態では、送液時における複数種類の気泡含有洗浄液の比率を送液比率変更装置74で変更したが、これに限定されない。例えば、制御装置100によって複数のファインバブル発生器そのものを直接オンオフ制御することにより、複数種類の気泡含有洗浄液の混合比を変更してもよい。
【0065】
・上記実施形態では、塗装機21用の洗浄装置を2台、塗料充填装置31を洗浄する洗浄装置を1台備えたものに具体化したが、これに限定されない。例えば、塗装機21用の洗浄装置を、1台のみまたは3台以上備えたものに具体化してもよい。
【0066】
・上記実施形態では、混合後の気泡含有洗浄液を洗浄液供給装置71から各洗浄装置32,40,60に直接供給する方式を採用したが、これに限定されない。例えば、混合後の気泡含有洗浄液を洗浄液供給装置71から直接洗浄装置32,40,60に供給するのではなく、一旦別の複数の容器に溜めておき、その複数の容器から選択して供給する方式を採用してもよい。
【0067】
・上記実施形態の洗浄装置60では、洗浄用バルブ65からの気泡含有洗浄液と、エア供給バルブ66からの圧縮エアとが、塗装機本体22の塗装機内洗浄液経路25に対して交互に供給されていた。この場合、気泡含有洗浄液が供給される度に、気泡含有洗浄液に含まれるファインバブルの濃度を徐々に高めてもよいし、徐々に低めてもよい。あるいは、気泡含有洗浄液が供給される度に、気泡含有洗浄液に含まれるファインバブルの気泡径を徐々に大きくしてもよいし、徐々に小さくしてもよい。
【0068】
・上記実施形態の洗浄装置60では、塗装機内洗浄液経路25に対して気泡含有洗浄液と圧縮エアとを供給していたが、圧縮エアの供給は行わなくてもよい。
【0069】
・上記実施形態の洗浄システムは、塗装機21用の洗浄システム(塗装機洗浄システム11)であったが、本発明は、塗装機21以外の機器の洗浄のためのシステムとして具体化されてもよい。
【符号の説明】
【0070】
11…洗浄システムとしての塗装機洗浄システム
21…塗装機
31…塗装機付帯設備としての塗料充填装置
32,40,60…洗浄装置
71…洗浄液供給装置
72…温度制御手段としての温度制御装置
73…気泡含有洗浄液生成装置
74…送液比率変更装置
75a,75b,75c…流路
76a,76b,76c…ファインバブル発生器
81,82,83…洗浄液供給路
91…供給路切換手段
101…制御手段としてのCPU
102…記憶手段としてのROM
W1…洗浄液
図1
図2
図3