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  • 特開-荷受台昇降装置 図1
  • 特開-荷受台昇降装置 図2
  • 特開-荷受台昇降装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144609
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/46 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
B60P1/46 Z
B60P1/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051675
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松崎 良彦
(57)【要約】      (修正有)
【課題】荷受台昇降装置としての良好な昇降状態を確保したまま、トーションバーの機能低下の場合だけでなく、その機能の調整を図りたい場合にも、簡易にトーションバーの捩じり力の調整を行うことが可能な荷受台昇降装置を提供する。
【解決手段】水平姿勢から起立姿勢に回動して姿勢変更される荷受台と、当該荷受台の側部を軸支する支持部3aと、前記荷受台の水平姿勢から起立姿勢への回動動作を付勢するトーションバーと、前記支持部に設けられて前記トーションバーの一端部が係止される係止部8とを備え、前記支持部には、略水平方向を軸方向として前記係止部の回動中心となる軸部と、前記係止部の回動姿勢を調整可能な姿勢調整部9が設けられている構成とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平姿勢から起立姿勢に回動して姿勢変更される荷受台と、
当該荷受台の側部を軸支する支持部と、
前記荷受台の水平姿勢から起立姿勢への回動動作を付勢するトーションバーと、
前記支持部に設けられて前記トーションバーの一端部が係止される係止部と、
を備え、
前記支持部には、略水平方向を軸方向として前記係止部の回動中心となる軸部と、前記係止部の回動姿勢を調整可能な姿勢調整部が設けられている
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項2】
前記姿勢調整部は、前記軸部が挿通される挿通孔部と、前記トーションバーの一端部が係止される係止部と、
を有している
ことを特徴とする請求項1に記載の荷受台昇降装置。
【請求項3】
前記姿勢調整部は、前記支持部に設けられて一方向に移動可能または伸長可能な凸出部と、前記係止部に設けられて前記凸出部に係合可能な被係合部とを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の荷受台昇降装置。
【請求項4】
前記凸出部は、前記一方向に螺進可能な螺合材で形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の荷受台昇降装置。
【請求項5】
前記係止部または前記支持部の少なくとも一方には、前記係止部の略回動方向に沿った長孔が設けられ、
当該長孔に挿通される挿通部を介して前記係止部が前記支持部に保持される保持部を備える
ことを特徴とする請求項1または4のいずれかに記載の荷受台昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に架装される荷受台昇降装置、特に荷受台が水平姿勢と起立姿勢との間で姿勢変更可能に設けられている荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷受台が水平姿勢から起立姿勢に姿勢変更される荷受台昇降装置の一つに、図5に示すものがある。この荷受台昇降装置は、車両荷台91の左右後方に立設された支柱92と、その支柱92に沿って鉛直方向に昇降する荷受台93を有する。支柱92内には上下移動可能なスライダ94が設けられており、荷受台93は左右両端部においてスライダ94に支持されている。さらに、荷受台93にはその左右端部の間であって姿勢変更する際の回動軸側には、トーションバー95が設けられている。トーションバー95が設けられていることで、二点鎖線で示す荷受台93に対する作業者の手動による起立姿勢への姿勢変更(矢印A91)が付勢される(特許文献1)。
【0003】
また、荷受台昇降装置においては、設けられているトーションバーに経年変化が生じることでその機能が低下する点に注目(特許文献2)し、特許文献1のようにトーションバーを簡易に交換可能とする構成や、特許文献2のように機能低下に応じて荷受台の重量バランスを調整する構成なども知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-230719号公報
【特許文献2】特開2016-094171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、荷受台に固定されて長尺なトーションバーの交換には未だ困難性が残っている。また、荷受台の重量バランスを調整する手段も煩雑で微調整が難しい。このため、経年変化に伴うトーションバーの機能低下に関しては、実用上、まだ改善が期待されている。
【0006】
加えて、荷受台昇降装置を用いる作業者の要求も多様であり、一般の仕様でトーションバーが備える所定の捩じり力に対して、作業者の用途や環境に応じて僅かに強めの捩じり力を求める作業者も存在する。こうしたケースでは、トーションバーの交換や荷受台の重量バランスの調整などではなく、トーションバーの捩じり力の微妙な調整が求められる。
【0007】
本発明は、これらの点を鑑みてなされており、荷受台昇降装置としての良好な昇降状態を確保したまま、トーションバーの機能低下の場合だけでなく、その機能の調整を図りたい場合にも、簡易にトーションバーの捩じり力の調整を行うことが可能な荷受台昇降装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、上記課題を解決するために以下の手段を用いる。
【0009】
水平姿勢から起立姿勢に回動して姿勢変更される荷受台と、当該荷受台の側部を軸支する支持部と、前記荷受台の水平姿勢から起立姿勢への回動動作を付勢するトーションバーと、前記支持部に設けられて前記トーションバーの一端部が係止される係止部と、を備え、前記支持部には、略水平方向を軸方向として前記係止部の回動中心となる軸部と、前記係止部の回動姿勢を調整可能な姿勢調整部が設けられている荷受台昇降装置とする。トーションバーが軸部ではなく係止部に係止されることで、その係止部の姿勢調整を行う姿勢調整部によって簡易にかつ自由度の高いトーションバーの捻じり力の設定が可能となる。
【0010】
姿勢調整部は、前記軸部が挿通される挿通孔部と、トーションバーの一端部が係止される係止部とを有している構成とする。ここで、軸部は挿通孔部に挿通されるが、係止部は軸部に対して相対的に姿勢変更が可能な構成となっている。
【0011】
また、姿勢調整部は、前記支持部に設けられて一方向に移動可能または伸長可能な凸出部と、前記係止部に設けられて凸出部に係合可能な被係合部とを有する構成とする。この「一方向」は上述した軸部の軸方向やトーションバーの長手方向と交差する方向となっており、荷受台が車両に架装された状態で、狭小な作業スペースにおいても簡易に姿勢調整部の姿勢調整が可能となっている。
【0012】
さらに、凸出部は、一方向に螺進可能な螺合材で形成されている構成とする。これにより、その螺合調整を行うだけで簡易に係止部の姿勢調整が可能で、トーションバーの捻じり力の微調整が可能となっている。
【0013】
上述した係止部または支持部の少なくとも一方には、係止部の略回動方向に沿った長孔が設けられ、当該長孔に挿通される挿通部を介して係止部が支持部に保持される保持部を備える構成とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る荷受台昇降装置は、荷受台がトーションバーの捻り力を利用して水平姿勢から起立姿勢に付勢される構成を有するとともに、そのトーションバーが荷受台の支持部に対して相対的に姿勢変更可能な係止部に係止され、この係止部の姿勢を姿勢調整部で調整可能となっていることで、荷受台昇降装置の出荷の前後にかかわらず、トーションバーの捻じり力を簡易に調整できる。つまり、トーションバー機能が経年変化などで低下して荷受台を水平姿勢から起立姿勢に回動付勢力が小さくなっても、簡易に調整して作業者にかかる負荷を軽減できる。
【0015】
特に、本発明に係る構成であれば、トーションバーが直接的に支持部に係止されていないので、荷受台昇降装置の仕様に伴って生じやすい負荷の影響をトーションバーが受けることを抑制できる。このため、使用に伴う経年変化の発生も抑制でき、作業者に対して安定した機能を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a)は本発明の実施形態に係る荷受台昇降装置を示す要部斜視図、(b)はその要部側面図、(c)は同装置の荷受台の基端部を示す拡大図である。
図2】本発明の実施形態に係るトーションバーの捩じり調整機構を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るトーションバーの捩じり調整機構の各構成要素を示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るトーションバーの捩じり調整機構を用いた状態を示す斜視図である。
図5】従来の荷受台昇降装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る荷受台昇降装置について、図面を用いてその実施形態の一例を説明する。
【0018】
図1(a)は、本発明の実施形態に係る荷受台昇降装置100の要部斜視図である。荷受台昇降装置100は、車両荷台1の後端に立設された左右一対の支柱2と、支柱2内部で昇降自在なスライダ3と、スライダ3の下端部に支持された荷受台4と、支柱2の間に架設されたクロスメンバ6と、クロスメンバ6内に配された油圧シリンダ(不図示)とを備えている。
【0019】
支柱2は後壁に切欠き部2aが設けられており、この切欠き部2aからスライダ3の下端部であって上述した荷受台4を支持する支持部3aが後方に突出している。荷受台4はその左右端部において、この支持部3aに対して上下方向に回動可能に軸支されている。
【0020】
クロスメンバ6内の油圧シリンダは、伸縮作動を行うことでワイヤ5を支柱2に繰り出し、又は支柱2から引き込んでスライダ3を昇降作動させる。ワイヤ5は、一端部が左右のスライダ3の上端部に止着され、スライダ3から上方に導かれ、支柱2の上部に設けられたシーブ21で下方に折り返される。折り返されたワイヤ5の他端部は下方に導かれ、支柱2の下部からシーブ(不図示)を介して油圧シリンダに適宜止着されている。油圧シリンダの伸縮力がスライダ3の昇降の動力として用いられ、この伸縮力はワイヤ5等の動力伝達部を介してスライダ3に伝達される。その結果、図1(b)の矢印A1で示すように、荷受台4は支柱2に沿って地面と荷台床面1aの高さとの間で昇降可能となっている。
【0021】
荷受台昇降装置100の使用時、荷受台4は水平姿勢で昇降される。そして、荷受台昇降装置100の不使用時で車両走行状態とする際には、荷受台4は水平姿勢から起立姿勢に姿勢変更するために回動(矢印A2)されて、起立姿勢を保持した状態で固縛される。
【0022】
荷受台4の基端部4Sには、上記の姿勢変更(矢印A2)を回動方向に付勢するためのトーションバー7が図1(c)のように設けられている。ここで、基端部4Sは、回動(矢印A2)時に回動軸側と先端側との部分のうち、回動軸側となる部位を意味している。上記のトーションバー7は、荷受台4の幅方向(図中の左右方向)を長手方向として、基端部4Sの裏面側に設けられた断面コ字状の横スチフナ(横補強部)41a内に2本設けられている。ここで、裏面とは、荷受台4が水平姿勢で昇降する際に地面と対向する側の面を意味している。
【0023】
トーションバー7は基端部4S内に2本設けられ、一方のトーションバー7が左右の支持部3aのうちの一方側に固定され、残りのトーションバー7が他方側の支持部3aに対して固定されている。スライダ3において、荷受台4の軸支部となる支持部3aには、荷受台幅方向(車両幅方向)内寄りの面に、トーションバー7の一端部71が係止される係止部8が設けられている。また、荷受台4の基端部4Sに位置する横スチフナ41a内は断面コ字状の支持ホルダ41が設けられており、この支持ホルダ41の内面にトーションバー7の他端部72が係合可能に挿入されている。
【0024】
各トーションバー7は、一端部71が係止部8に固定支持されているので荷受台4が回動して姿勢変更しても支持部3aや係止部8に対する相対姿勢は変わらない。一方で、他端部72は支持ホルダ41に係合可能となっているので荷受台4が回動して姿勢変更するとそれに応じて回転する。つまり、荷受台4の回動に伴ってトーションバー7には捻り力が生じる構成となっており、本実施形態では荷受台4が水平姿勢の際に、トーションバー7は荷受台4が上方回動する方向に付勢力が生じるように捻られる。なお、トーションバー7は図示のとおり、一端部71側の僅かな部分のみが露出するだけで、そのほとんどの部分が荷受台4の基端部4S側の内方で覆われた状態となっている。これにより、トーションバー7の防錆効果だけでなく作業者との接触防止も成している。こうしたトーションバー7の付勢力によって、荷受台4を水平姿勢から起立姿勢に姿勢変更する際に、作業者が荷受台4を持ち上げる負担が軽減される。
【0025】
本実施形態に係る荷受台昇降装置100には、トーションバー7の上記機能や効果を得る構成に加えて、捩じり力を簡易に調整可能な係止部8および姿勢調整部9も設けられている。具体的には図2の斜視図を用いて説明する。なお、図2では説明の便宜上、荷受台4およびトーションバー7は省略して示されている。
【0026】
上述のとおり、トーションバー7の一端部71が係止される係止部8は支持部3aに設けられている。図示のとおり、支持部3aは車両後方側に左右両端部が折り曲げられて突出状態となっており、係止部8は、支持部3aのうちの車両幅方向内寄りの面(手前側の面)に当接する平板状の係止基板部81と、係止基板部81に固設されて内側が開口された凹部8aを有する固定ホルダ82とを有する。この凹部8a内に不図示のトーションバー7の一端部71が挿入されて既知の手段で係止される。なお、この係止部8は締結手段Tを介して支持部3aに固定保持されており、後述する姿勢調整部9を用いてその姿勢変更が可能な構成となっている。
【0027】
これら係止部8および姿勢調整部9の組み付けに関しては、組み付け前の状態を示す図3を用いて説明する。まず、係止部8および姿勢調整部9が設けられた支持部3aは、車両の内側から見える状態を主に示す図3(a)のとおり、車両幅方向(X方向)に対向する折り曲げ面部301a,302aと、この折り曲げ面部に架設されたピン部31とを有する。このピン部31には、車両幅方向内寄りの方向(X軸正方向)に折り曲げ面部302aからさらに延出した延出部311が設けられている。また、図示のとおり、この延出部311の他に、折り曲げ面部302aの車両幅方向内寄りの面(以下、内寄り面と記す)32には、同様にX軸正方向側を長手方向とする締結ボルト部T1が2本設けられている。
【0028】
次に、係止部8を支持部3aに保持するための締結手段Tは、締結ボルト部T1の他に、長孔T2,T3、ワッシャ部T4、ナット部T5によって構成されている。長孔T2,T3は、係止部8における係止基板部81の略中央高さの部位に設けられている。車両前方側(Y軸正方向側)の長孔T2は、車両前方側に向かって下方側に傾斜した方向を長手方向とした形状を有し、車両後方側の長孔T3は、略水平方向を長手方向とした形状を有する。また、係止基板部81は、車両の外側から見える状態を主に示す図3(b)のとおり、下方部位に丸穴部83も有している。係止部8は、係止基板部81が内寄り面32に当接される際に、延出部311が丸穴部83に挿通され、同時に締結ボルト部T1が2種類の長孔T2,T3に挿通される。この状態とした上で、ワッシャ部T4が介在した状態でナットT5によって締結されることで、係止部8が支持部3aに固定された状態となる。上記構成によって、ピン部31とは別体である係止基板81は、ナットT5が緩められることでピン部31を軸中心として(X軸を軸中心として)回動可能となっている。このとき、固定ホルダ82内に挿通されるトーションバー7の一端部71は、ピン部31ではなく固定ホルダ82に係止されて固定されるので、係止基板部81に伴って回動する固定ホルダ82に従って上記一端部7も回転する。
【0029】
姿勢調整部9は、支持部3aに設けられたベース部91と、ベース部91に対して螺進入および螺進出が可能な調整ボルト部92と、係止基板部81に固定された螺進係合部93とを有し、延出部311を軸中心とした係止部8の回動動作に機能する。
【0030】
ベース部91は、金属プレート部材であり、その主面方向が内寄り面32に垂直でさらに車両前方側(Y軸正方向側)に対してわずかに下方に傾斜した状態で、支持部3aの折り曲げ面部302aに固着されている。また、その主面中央部には調整ボルト部92が螺進入および螺進出のそれぞれが可能な貫通孔が設けられている。調整ボルト部92は、この貫通孔に図示のとおりに挿通されており、ベース部91に対する凸出部となる部位を有し、ベース部91に対してその主面鉛直方向に沿って螺進入および螺進出が可能に支持されている。螺進係合部93は、ナット部T5によって係止部8が支持部3aに係止された際に、調整ボルト部92が螺進入および螺進出される軸線上に位置して調整ボルト部92の被係合部となるように設けられており、図示のように車両幅方向内寄り方向(X軸正方向)側に突出した略円柱形状を有している。
【0031】
ナット部T5を緩めて調整ボルト部92を図4に示すように螺進入させると、その先端部92aによって螺進係合部93が車両前方側に押される。具体的には、螺進係合部93が延出部311(ピン部31)を軸中心として車両前方側にR度の角度だけ回動される。この回動に伴って係止部8の姿勢もR度だけ回動して変更し、トーションバー7の一端部71も回転する。つまり、凸出部となる調整ボルト部92を螺進入または螺進出することで係止部8の姿勢を調整し、トーションバー7に対する捻じり力を適宜調整することができる。また、調整ボルト部92の凸出方向がトーションバー7の長手方向と略垂直に交差する方向となっているため、トーションバーの長手方向(荷受台4や車両の幅方向)において、トーションバー7の露出領域やその捻じり力を調整可能な領域が狭小な中、凸出方向に沿った調整ボルト部92の螺進入または螺進出で良いために簡易に調整を実現できる。その他にも、姿勢調整部9が調整ボルト部92を螺進入または螺進出する構成を有していることで、作業者が調整ボルト部92から手を離しても即座に係止部8が姿勢変更することはない(調整した姿勢が元に戻るなどを防止できる)。そのため、姿勢調整部9を介した係止部8の姿勢調整の前後に要する締結手段Tの締結作業も確実に行うことができ、トーションバー7の捻じり力の微調整を良好に実施することができる。
【0032】
こうした構成を有することで、製造時(出荷時)には事前に所望の捻じり力がトーションバー7に設定される中、本実施形態に係る荷受台昇降装置であれば、出荷後の使用に伴う経年変化によってその捻じり力が低下した際に、上述のように調整ボルト部92を螺進させるだけで捻じり力を強化することができる。つまり、ボルト部T5を完全に取り外す必要がなく、係止基板部81も取り外さなくて良い。また、係止部8は延出部311(ピン部31)に係合はしているものの、回動動作(姿勢変更)に関しては延出部311に規制されておらず、トーションバー7の一端部71の固定に関しては、延出部311の条件にも左右されず固定ホルダ82と係合可能であれば良い。したがって、トーションバー7の一端部71の形状は丸棒状、角棒状、またはその他の形状でも適宜設定可能である。つまり、適用するトーションバー7の汎用性が高くなる。さらに、支持部3a(ピン部31)とは別体の係止部8であることからトーションバー7の機能維持の面でも好ましい。支持部3aは、荷受台4が載置される荷物荷重や昇降動作時に生じる負荷荷重を受けやすいが、その荷重が係止部8、具体的には固定ホルダ82に直接的に伝播されないので、トーションバー7にも荷重が伝播されずに強度低下を回避できる。
【0033】
また、トーションバー7の一端部71が支持部3aとは別体の係止部8に係止される構成であることから、荷受台4が支持部3aに支持された状態(荷受台4が車両に架装された状態)とする前に、トーションバー7の一端部71が固定ホルダ82に係止された状態にすることができる。この場合、本実施形態に係る構成とは異なり、ピン部31に直接的にトーションバー7の一端部71を係止させる構成のように、荷受台4が支持部3aに支持された状態で、支持部3aと荷受台4の端部との狭小なスペースに制限された状況下でのトーションバー7の係止作業が求められる場合と比較すると、作業にかかる制約が少なくて作業効率の面でも好ましい。
【0034】
上述の姿勢調整部9であれば、長孔T2,T3を有することで係止部8の回動角度も調整ボルト部92の螺進距離に応じて適宜変更可能となっており、トーションバー7の捻じり力を微調整し易く設定自由度も高い。したがって、上述のような様々な経年変化にも良好に対応することができる。
【0035】
本実施形態に係る構成であれば、トーションバー7の交換(メンテナンス)においても効果を奏する。長尺のトーションバー7は、捩じられた状態において、固定支持されている部位の負荷が大きく、トーションバー7の一端部71近傍の負荷が大きくなる。このため、損傷や破損が生じた場合、トーションバー7だけでなくその固定に寄与する係止部材にも損傷や破損が生じる可能性がある。そのため、本実施形態のように、支持部3aと別体の係止部8であれば、トーションバー7と係止部8を交換するだけでよく、支持部3aの交換までは不要となり、交換作業の工数や費用が抑制される。
【0036】
以上のとおり、本実施形態に係る荷受台昇降装置は、経年変化に応じて良好にトーションバー7の捻じり力を調整できるだけでなく、その調整機能の汎用性も高い。また、トーションバー7の設置だけでなく交換の際の作業工数も抑制できる。
【0037】
また、係止部8および姿勢調整部9に関しては上述した形状や構成に限定されず、適宜変更可能である。長孔T2,T3の長手方向に関しても、その方向や長さの他、直線状でなく係止部8の回動方向に沿った周形状でも良い。姿勢調整部9の調整ボルト部92も係止部8の姿勢変更を行うことができるものであれば螺進入および螺進出が可能な部材に限定されず、同方向に移動方向な部材でも良い。さらには、伸長および収縮可能な部材、例えばバネなどの弾性部材や油圧や空圧によるアクチュエータ機構などでも良い。
【0038】
本実施形態は、支柱2に沿って昇降(図1参照)する荷受台昇降装置100を対象としたが、水平姿勢から起立姿勢に姿勢変更する荷受台昇降装置であれば、車体枠に直接的又は間接的に支持されるとともに油圧シリンダ等で回動されるリンクアーム(回動アーム)を介した荷受台昇降装置であっても構わない。このとき、荷受台はリンクアームに左右端部を支持されており、これら支持部の間にトーションバーが設けられた構成となっている。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、水平姿勢から起立姿勢に姿勢変更される荷受台を備えた全ての荷受台昇降装置に対して有用である。
【符号の説明】
【0040】
1 荷台
2 支柱
3 スライダ
3a 支持部
31 ピン部(軸部)
311 延出部
4 荷受台
4a 裏面(荷受台)
4b 表面(荷受台)
5 ワイヤ
6 クロスメンバ
7 トーションバー
8 係止部
81 係止基板部
82 固定ホルダ
9 姿勢調整部
91 ベース部
92 調整ボルト部(凸出部)
93 螺進係合部(被係合部)
100 荷受台昇降装置
T 締結手段
図1
図2
図3
図4
図5