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  • 特開-配管支持装置 図1
  • 特開-配管支持装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144620
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】配管支持装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/205 20060101AFI20231003BHJP
   F16L 3/01 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
F16L3/205
F16L3/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051692
(22)【出願日】2022-03-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 弊社、三和テッキ株式会社は2021年6月10日にISSマシナリーサービスリミテッドへプラントの配管の振動に対して減衰効果を有する、組み付け容易で簡易な配管支持装置を販売しました。
(71)【出願人】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】天野 啓人
(72)【発明者】
【氏名】川又 美伸
【テーマコード(参考)】
3H023
【Fターム(参考)】
3H023AA05
3H023AB04
3H023AB07
3H023AC05
3H023AC41
3H023AC42
3H023AC45
3H023AC64
3H023AD35
3H023AE01
(57)【要約】
【課題】配管の管軸に直交するあらゆる方向の振動に対して減衰効果を発揮する配管支持装置を提供する。
【解決手段】配管支持装置1は、Uボルト2、緩衝部材3、複数のワイヤメッシュリング4、支持パイプ5,6、ナット7,8を具備する。緩衝部材3は、ベース板12、ワイヤメッシュ板13、当接板14の3層接着体で、配管21と構造体22との間に配置される。Uボルト2は配管21を囲み、軸部9,10がベース板12と構造体22を貫通し、ナット7,8で締結される。ワイヤメッシュリング4は、配管21に接して、Uボルト2の湾曲部11に連続的に嵌め込まれ、軸部9,10に嵌め込まれた支持パイプ5,6で湾曲部11に保持される。緩衝部材3とワイヤメッシュリング4で配管21の管軸に直交するあらゆる方向の振動を減衰させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管を構造体の第1の面から離れた状態で保持する支持装置であって、
前記構造体を前記第1の面から当該第1の面とは反対側の第2の面へそれぞれ貫通する第1及び第2の軸部と当該両軸部間を接続する湾曲部を有し、前記配管を囲むUボルトと、
前記Uボルトの前記第1及び第2の軸部が挿抜自在に挿通され、当該第1及び第2の軸部が挿通された状態で前記配管と前記構造体の前記第1の面との間に配置される緩衝部材と、
それぞれ前記配管の外周に接するように、前記Uボルトの湾曲部に連続的に列をなして嵌め込まれる複数のワイヤメッシュリングと、
前記Uボルトに嵌め込まれた前記複数のワイヤメッシュリングの列の両端に配置される各々と前記緩衝部材との間に介在し、当該ワイヤメッシュリングを前記Uボルトの湾曲部に保持するように、当該Uボルトの前記第1及び第2の軸部に嵌め込まれる第1及び第2の支持パイプと、
前記構造体の前記第2の面に当接するように、前記Uボルトの前記第1及び第2の軸部にそれぞれ螺合される第1及び第2のナットとを具備し、
前記緩衝部材は、前記構造体の前記第1の面に重なる第1の面と当該第1の面とは反対側の第2の面とを有するベース板と、当該ベース板の前記第2の面に接着される第1の面と当該第1の面とは反対側の第2の面とを有するワイヤメッシュ板と、当該ワイヤメッシュ板の前記第2の面に接着される第1の面と前記配管の外周に当接する第2の面を有する当接板とを具備することを特徴とする配管支持装置。
【請求項2】
前記ワイヤメッシュリング及び前記ワイヤメッシュ板は、いずれも非圧縮状態で組み込まれることを特徴とする請求項1に記載の配管支持装置。
【請求項3】
前記ワイヤメッシュリングの列の両端の2個の前記ワイヤメッシュリングは、前記配管における、前記構造体の前記第1の面と平行な中心線上を含み、それよりも当該第1の面側に寄った位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の配管支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電所、化学プラント、船舶などに設置される配管の支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配管をUボルトで固定する構成にワイヤメッシュばねを適用することにより、配管から伝播したUボルトの振動を吸収するワイヤメッシュばね防振装置が、特許文献1に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-145911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のワイヤメッシュばね防振装置は、配管を支持する構造体の支持面に対して垂直方向における配管の振動に対しては有効であるが、その他の方向の振動に対しては防振効果が得られない。
従って、本発明は、配管の管軸に直交するあらゆる方向の振動に対して減衰効果を発揮する配管支持装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の説明において添付図面の符号を参照するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明の配管支持装置1は、配管21を構造体22の第1の面22aから離れた状態で保持する。配管支持装置1は、Uボルト2と、緩衝部材3と、複数のワイヤメッシュリング4と、第1及び第2の支持パイプ5,6と、第1及び第2のナット7,8とを具備する。Uボルト2は、構造体22を第1の面22aから、その反対側の第2の面22bへ貫通する第1及び第2の軸部9,10と、両軸部9,10間を接続する湾曲部11とを有し、配管21を囲んでいる。緩衝部材3は、ベース板12と、ワイヤメッシュ板13と、当接板14とを具備する。緩衝部材3は、Uボルト2の第1及び第2の軸部9,10が挿抜自在に挿通される。緩衝部材3は、第1及び第2の軸部9,10が、挿通された状態で配管21と構造体22の第1の面22aとの間に配置される。複数のワイヤメッシュリング4は、それぞれ配管21の外周に接するように、Uボルト2の湾曲部11に連続的に列をなして嵌め込まれる。第1及び第2の支持パイプ5,6は、列の両端に配置される各々ワイヤメッシュリング4と緩衝部材3との間に介在するように、Uボルト2の第1及び第2の軸部9,10に嵌め込まれ、ワイヤメッシュリング4をUボルト2の湾曲部11に保持する。第1及び第2のナット7,8は、構造体22の第2の面22bに当接するように、Uボルト2の第1及び第2の軸部9,10にそれぞれ螺合される。緩衝部材3のベース板12は、構造体22の第1の面22aに重なる第1の面12aと、それの反対側の第2の面12bとを有し、当該第2の面12bにワイヤメッシュ板13の第1の面13aが接着される。ワイヤメッシュ板13は、第1の面13aの反対側の第2の面13bを有し、当該第2の面13bに、当接板14の第1の面14aが接着される。当接板14は、第1の面14aの反対側の第2の14b面を有し、当該第2の面14bが配管21の外周に当接する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ワイヤメッシュリング4とワイヤメッシュ板13により、配管21の管軸に直交するあらゆる方向の振動に対して減衰効果を有し、既設の配管にも容易に組み付け可能で、簡易な配管支持装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の配管支持装置の一部を切欠した正面図である。
図2図1の配管支持装置の一部を切欠した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
配管支持装置1は、Uボルト2と、緩衝部材3と、複数のワイヤメッシュリング4と、第1及び第2の支持パイプ5,6と、第1及び第2のナット7,8とを含み、配管21を構造体22の第1の面22aから離れた状態で保持する。
構造体22は、例えば、建屋の壁、床、天井等から延びる梁等であり、図示の実施態様ではアングル鋼材から構成され、配管21に面した第1の面22aと、その反対側の第2の面22bとを有する。また、構造体22は、配管支持装置1を組み付けるための、第1の面から第2の面22bへ貫通する複数の組み付け孔22cを具備する。
【0009】
Uボルト2は、平行一対の第1及び第2の軸部9,10と、両軸部9,10間を接続する円弧状の湾曲部11とを具備する。軸部9,10の先端部には、それぞれねじ部9a,10aが形成され、湾曲部11は、配管21の外径に沿う円弧状に形成されている。Uボルト2は、配管21を囲み、軸部9,10が構造体22の組み付け孔22cを第1の面22aから、第2の面22bへ貫通する。
【0010】
緩衝部材3は、ベース板12と、ワイヤメッシュ板13と、当接板14の3層構造からなり、Uボルト2の第1及び第2の軸部9,10が挿抜自在に挿通され、挿通状態で配管21と構造体22の第1の面22aとの間に配置される。
【0011】
ベース板12は、構造体22の第1の面22aに重なる第1の面12aと、それの反対側の第2の面12bとを有し、当該第2の面12bにワイヤメッシュ板13の第1の面13aが接着される。ベース板12は、構造体22の組み付け孔22cに対応して、第1の面12aと第2の面12b間に貫通する一対の貫通孔12cを有する。貫通孔12cは、Uボルト2の軸部9,10を挿抜自在である。
【0012】
ワイヤメッシュ板13は、第1の面13aの反対側の第2の面13bを有し、当該第2の面13bに、当接板14の第1の面14aが接着される。
【0013】
当接板14は、第1の面14aの反対側の第2の面14bを有し、当該第2の面が配管21の外周に当接する。ワイヤメッシュ板13が直接配管21に接触する場合、両者の接触が線接触となり、この接触部に配管21の荷重が局部的にかかることになる。これを回避し、配管21の荷重をワイヤメッシュ板13の全体に均等に受けるために、ワイヤメッシュ板13と配管21との間に当接板14が介設される。
【0014】
複数のワイヤメッシュリング4が、それぞれ配管21の外周に接するように、Uボルト2の湾曲部11に、連続的に列をなして、圧縮されない状態で嵌め込まれる。湾曲部11に、筒状の単一のワイヤメッシュを湾曲させて嵌め込む場合には。湾曲の内周側が圧縮されて所期のばね特性が失われるが、これを分割させた形の複数のワイヤメッシュリング4が嵌め込まれるため、個別のワイヤメッシュリング4は圧縮されない。したがって、ワイヤメッシュリング4の所期のばね特性が失われることはない。
【0015】
ワイヤメッシュリング4の列は、それの両端のワイヤメッシュリング4が、配管21の、図1において水平方向(構造体22の第1の面22aに平行)の中心線CLを含む位置か、それよりも構造体22側に寄った位置に配置されるように形成される。
【0016】
第1及び第2の支持パイプ5,6は、ワイヤメッシュリング4の列の両端と緩衝部材3のベース板12との間に介在するように、Uボルト2の第1及び第2の軸部9,10にそれぞれに嵌め込まれ、ワイヤメッシュリング4をUボルト2の湾曲部11に保持する。
【0017】
ベース板12の貫通孔12cを介して構造体22の組み付け孔22cにUボルト2の軸部9,10が挿通される。組み付け孔22cを通して構造体22の第2の面22bから突出した1及び第2の軸部9,10のねじ部9a,10aに、それぞれ第1及び第2のナット7,8が螺合され、構造体22の第2の面22bに当接するよう締め付けられる。ナット7,8の締め付けにより、ワイヤメッシュ板13が圧縮されないように調整される。
【0018】
以上の構成からなる配管支持装置1は、緩衝部材3のワイヤメッシュ板13と複数のワイヤメッシュリング4とで、配管21の管軸に直交するあらゆる方向の振動を減衰させることができる。
【符号の説明】
【0019】
1 配管支持装置
2 Uボルト
3 緩衝部材
4 ワイヤメッシュリング
5 第1の支持パイプ
6 第2の支持パイプ
7 第1のナット
8 第2のナット
9 第1の軸部
9a ねじ部
10 第2の軸部
10a ねじ部
11 湾曲部
12 ベース板
12a 第1の面
12b 第2の面
12c 貫通孔
13 ワイヤメッシュ板
13a 第1の面
13b 第2の面
14 当接板
14a 第1の面
14b 第2の面
21 配管
22 構造体
22a 第1の面
22b 第2の面
22c 組み付け孔
CL 中心線
図1
図2