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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144656
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】収納用具
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/994 20170101AFI20231003BHJP
   A47B 88/975 20170101ALI20231003BHJP
【FI】
A47B88/994
A47B88/975
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051746
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】313014077
【氏名又は名称】トクラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002033
【氏名又は名称】弁理士法人東名国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 拓人
【テーマコード(参考)】
3B160
【Fターム(参考)】
3B160AA03
3B160AB02
3B160CA12
3B160DA62
(57)【要約】
【課題】容器内の収納幅を無段階に調整可能として収納対象物の大きさに合わせた収納幅を形成することができる収納用具を提供すること。
【解決手段】上部を開放する箱状をなす容器33内に仕切部材34を配置可能として収納用具が構成されている。仕切部材34は容器33内に位置する板状の仕切面40を含み、その一方の側端40Aにはフック部42が設けられている。このフック部42は、引き出し16内に設けられた第1、第2フレーム25、26に対して移動可能に支持され、このフック部42をフレームに沿って移動させることで、仕切面40による容器内収納幅が無段階に調整可能となっている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部を開放する容器と、当該容器内に配置可能な仕切部材とを含む収納用具において、
前記仕切部材は前記容器内の収納幅を調整する方向にスライド移動可能に設けられていることを特徴とする収納用具。
【請求項2】
前記容器の外側に位置するフレームを更に含み、当該フレームに前記仕切部材がスライド移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1記載の収納用具。
【請求項3】
前記容器内に前記仕切部材を配置した状態で、前記容器内面と前記仕切部材の一方の側端との間に非仕切空間が形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の収納用具。
【請求項4】
前記容器は、所定の引き出し内に配置され、当該引き出しの前板、後板又は側壁と、引き出しに支持されたフレームを利用して位置規制可能に設けられることを特徴とする請求項1又は2記載の収納用具。
【請求項5】
前板、後板、左右の側板と、これら各板に沿って配置されたフレームとを有する、キッチンの引き出し内に配置される収納用具であって、
平面視略矩形の輪郭を有する容器と、
前記容器内で略鉛直面内に配置される板状の仕切面と、当該仕切面の側端部に設けられたフック部とを有する仕切部材とを備え、
前記フック部を前記フレームに沿ってスライド移動させることで前記容器内の収納幅が調整可能に設けられていることを特徴とする収納用具。
【請求項6】
前記容器は、長手方向の少なくとも一端側の端壁に切欠部を備えた形状を有し、前記仕切部材は前記切欠部を通って容器の内外に位置可能に設けられていることを特徴とする請求項5記載の収納用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は収納用具に係り、更に詳しくは、キッチン等の引き出し内に配置して利用され、調理器具等を収納するスペースを無駄なく形成して収納を行うことができる収納用具に関する。
【背景技術】
【0002】
キッチンのベースキャビネットに用いられる引き出しは、内部に適宜な仕切部材等を配置して各種の調理器具等を区分して収納できる構成が採用されている。
このような収納を補助するための収納用具としては、例えば、特許文献1に記載されたポケットが知られている。このポケットは上端を開放した箱状をなし、相対する側壁内面側の上下方向に設けられたリブに板状の仕切部材を挿抜することでポケット内の収納幅を調整することができるようになっている。
また、特許文献2には、前述した引き出し内に配置可能な収納用具として、鍋蓋収納具が開示されている。この収納用具は、複数の鍋蓋が互いに略平行となるように収納可能な第1収納部及び第2収納部を備え、鍋蓋の上面及び下面の向きが互いに反対向きとなるように鍋蓋の掴み部を支持した際に、鍋蓋の掴み部を掴むための空間が一方の鍋蓋の上面と他方の鍋蓋の掴み部との間に形成されるように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019―195390号公報
【特許文献2】特許第6501197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の収納用具にあっては、仕切部材をリブ間に挿し込んでポケット内の収納空間を仕切る構成であり、ポケット内の収納幅がリブの位置によって決定され、任意の位置で仕切りを行うことができない。従って、収納対象物の大きさ若しくは厚みに合わせて収納幅を変更する必要があるときに、これに対応することができない。このような場合、例えば、収納幅に対して収納対象物の厚み等が相対的に小さいと、当該収納対象物がポケット内でがたついてしまったり、転倒させたりする要因となる。更に、仕切部材を必要としない場合には、当該仕切部材を保管しておかなければならず、必要とするときの所在が不明となるような不都合もある。
また、特許文献2記載の収納用具にあっては、第1、第2支持部に鍋蓋の掴み部を互いに干渉させずに支持する専用タイプであり、鍋蓋以外の収納対象物への適性がなく汎用性に欠ける、という不都合がある。
【0005】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、容器内の空間を仕切部材で仕切ることができるとともに、収納幅を無段階に調整可能として収納対象物の大きさや厚み等に合わせた収納幅を形成することができる収納用具を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、引き出し内の構成を利用して仕切部材をスライド可能に支持することができ、容器自体の構造をシンプルにすることができる汎用性を備えた収納用具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、特許請求の範囲記載の構成を採用したものである。具体的には、上部を開放する容器と、当該容器内に配置可能な仕切部材とを含む収納用具において、
前記仕切部材は前記容器内の収納幅を調整する方向にスライド移動可能に設けられる、という構成を採っている。
【0007】
本発明において、前記容器の外側に位置するフレームを更に含み、当該フレームに前記仕切部材がスライド移動可能に支持される、という構成を採ることができる。
【0008】
また、前記容器内に前記仕切部材を配置した状態で、前記容器内面と前記仕切部材の一方の側端との間に非仕切空間が形成される、という構成を採ることが好ましい。
【0009】
更に、前記容器は、所定の引き出し内に配置され、当該引き出しの前板、後板又は側壁と、引き出しに支持されたフレームを利用して位置規制可能に設けられる、という構成を採ることができる。
【0010】
また、本発明は、前板、後板、左右の側板と、これら各板に沿って配置されたフレームとを有する、キッチンの引き出し内に配置される収納用具であって、
平面視略矩形の輪郭を有する容器と、
前記容器内で略鉛直面内に配置される板状の仕切面と、当該仕切面の側端部に設けられたフック部とを有する仕切部材とを備え、
前記フック部を前記フレームに沿ってスライド移動させることで前記容器内の収納幅が調整可能に設けられる、という構成を採ることができる。
【0011】
この際、前記容器は、長手方向の少なくとも一端側の端壁に切欠部を備えた形状を有し、前記仕切部材は前記切欠部を通って容器の内外に位置可能に設けられる構成を採用するとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、容器内に配置される仕切部材がスライド移動可能に設けられているため、スライド方向において仕切部材の容器内位置が無段階に調整できるようになる。従って、容器内面と仕切部材との間の収納幅が、収納対象物の大きさ等に合わせて調整可能となり、収納空間を有効に利用することができる。
【0013】
また、フレームに仕切部材が支持される構成によれば、容器にフレームの支持部を設ける必要性がなく、容器の構成を簡易なものとすることができる。
【0014】
更に、容器内面と仕切部材の一方の側端との間に非仕切空間が形成される構成では、容器内に相対的に大きな収納幅を有する領域を形成でき、当該領域に応じた収納対象物の収納が可能となり、収納バリエーションを多様化できる。
【0015】
また、容器内で仕切部材を必要としない場合であっても、仕切部材はフレームに支持される構成であるため、引き出し内の収納スペースを仕切るための仕切として汎用的に活用することができる。
更に、引き出しの前板、フレーム等の構成部分を利用することで引き出し内における容器位置を一定の位置に保つことができる。従って、容器内に収納された対象物によって容器重心位置が高くなっても引き出しの出し入れに伴う容器転倒のおそれもない。
なお、容器の端壁に切欠部を備えた形状では、仕切部材を取り外すことなく容器の配置変更等を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】収納用具が適用されるキッチンの概略斜視図。
図2】前記キッチンの引き出しの概略平面図。
図3図2の右側面図。
図4】収納用具が内部に配置された引き出しの要部概略斜視図。
図5】(A)は容器の平面図、(B)は容器の正面図、(C)はその右側面図。
図6】(A)は仕切部材の正面図、(B)はその右側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、位置若しくは方向を示す用語は、特に明示しない限り、図1に示されるキッチンを矢印Aから見た場合を基準とし、引き出しの前面側(図2中下)を「前」、引き出しの奥行側(図2中上)を「後」とする。また、これらの位置若しくは方向を示す用語は、発明の理解を容易にする目的のためのものに過ぎず、見る方向を変えた場合には必然的に異なるものとなる。
【0018】
図1に示されるように、キッチン10は、シンク11及び加熱調理器具12が配置される天板14と、当該天板14を支持する箱状のキャビネット15とからなる。キャビネット15は前後に出し入れ可能な複数の引き出し16を備えて構成されている。
【0019】
図1において、加熱調理器具12の下方に位置する引き出し16は、図2ないし図4に示されるように、平面視矩形の底板20と、当該底板20の前端及び後端に位置する前板21及び後板22と、底板20の左右に位置する側板23と、各側板23の上方で前後方向に掛け渡された第1フレーム25と、これら第1フレーム25間に掛け渡されるとともに当該第1フレーム25に沿って前後方向に移動可能に設けられた第2フレーム26とにより構成されている。
引き出し16は、前板21の上下寸法すなわち高さが、後板22等のそれよりも大きいものとされている。また、第1、第2フレーム25、26は、パイプ材を用いて構成されている。
前記側板23の高さは後板22の高さよりも低く設けられており、第1、第2フレーム25、26は、後板23の上端部の高さとほぼ同一の高さに位置するように設けられている。
後板22には樹脂製のキャップ28が装着されており、このキャップ28と、前板21の内面に設けられた軸受片29に第1フレーム25の端部がそれぞれ嵌合して当該第1フレーム25が支持されようになっている。
また、第2フレーム26の両端にはエンド部材30が装着されており、当該エンド部材30が第1フレーム25に係合若しくは第1フレーム25が貫通する構成とされ、これにより、第2フレーム26が第1フレーム25に沿って前後方向に移動可能となっている。
【0020】
前記引き出し16内には収納用具を構成する容器33と、当該容器33の内部を仕切る仕切部材34が配置されている。
容器33は、好ましくは適宜な樹脂材料、例えば、アクリル等の樹脂成形品からなり、平面視略矩形となる上部開放型の箱状に設けられている。すなわち、容器33は、図4図5に示されるように底壁35と、この底壁35の長手方向に沿う端部から立ち上がる一対の側壁37と、これら側壁37の端部間に位置するとともに側壁37と同一の高さを有する端壁38とにより構成されている。端壁38のうち、一方の端壁38には、中央部の上下方向全域に亘る切欠部39が設けられている。切欠幅は、後述するフック部42を任意にスライドできる程度に設けることが好ましい。
本発明における容器33の大きさは、特に限定されるものではないが、例示すると、側壁37の長さが320mm、端壁38の幅が90mm、高さが122.5mmのものが用いられている。容器33は、引き出し16の底面積或いは容積等に応じて決定するとよい。なお、容器33の上記寸法は例示ではあるが、容器33の上縁に関しては、第1、第2フレーム25、26の軸線中心と略同じ高さ以上に位置するように設けることが好ましい。
【0021】
前記仕切部材34は、適宜な樹脂材料により形成されている。この仕切部材34は、図4図6に示されるように、使用時に略鉛直面内に位置する略矩形の仕切面40と、この仕切面40の一方の側端(基端)40Aの上部に設けられたフック部42とにより構成されている。仕切面40において前記基端40Aとは反対側の側端となる先端40Bは、その下端部に凸部40Cが設けられており、当該凸部40Cを除く下縁40Dは、容器33の底壁35に非接触に保たれ、これにより、容器33内で仕切面40を移動させる場合の動作がスムースに行えるようになっている。
前記仕切面40の長さは、容器33の側壁37の長さよりも短く設定されている。具体的には、約258mmに設定されている。これにより、仕切面40を容器33内に位置させて内部を仕切ったときに、仕切面40の先端40Bと容器33の一方の端壁38の内面との間に、非仕切空間Cが形成されるようになっている。なお、仕切面40の高さは約128mmが例示できる。
フック部42は、図6に示されるように仕切面40と直交する面内に位置する基板42Aと、この基板42の上方に連なって反転U字状に設けられた湾曲部42Bとを含み、当該湾曲部42Bが前記第1、第2フレーム25、26に対してスライド移動可能に係合できるようになっている。フック部42の幅(図6(B)中左右方向の長さ)は約45mmである。
【0022】
前記容器33は、例えば、図4に示されるように、前板21の直後において、長手方向を左右方向に向けるとともに、切欠部39が右側の側板23に相対するように配置して用いることができる。また、図2中二点鎖線で示すように長手方向が前後方向に向くように配置して利用する他、前板21の直後の左側に配置する利用形態等が例示できる。
【0023】
以上の構成において、引き出し16内で収納用具を利用する場合には、例えば、図2中実線で示されるように、容器33を前板21の直後に配置して利用すればよい。この配置例では、容器33は、前後方向に収納幅を有する2つの収納空間が形成され、容器33の左側に非仕切空間Cが形成されることとなる。この配置例では、容器33は前板21と第2フレーム26とで挟まれるように位置するため、引き出し16を出し入れ操作した際に、容器33が転倒するといった不都合は生じない。
他の配置例としては、例えば、図2中二点鎖線で示される位置に配置することもできる。この配置例では、容器33は左右両側に収納幅を有する収納空間が形成され、容器33の図中上部側に非仕切空間Cが形成されることとなる。この配置例では、容器33は、長手方向が前後方向に向けられた状態となるため、もとより安定性を有し、引き出しの出し入れによって転倒するようなおそれは生じない。
このように、本実施形態によれば、フック部42を移動させることで、容器33内の収納幅の調整を無段階で、容易且つ迅速に行えるとともに、収納対象物の大きさ、厚み等に応じて無駄なスペースを生じることなく収納を行うことができる、という効果を得る。
【0024】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施形態に対し、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
【0025】
例えば、前記実施形態では、第1フレーム25、第2フレーム26にフック部42を係合させて仕切部材34をスライド移動可能としたが、容器33の端壁38を利用して仕切部材をスライド移動可能とすることもできる。この場合には、引き出し16内における容器33の配置に自由度を付与することができる。
また、容器33の切欠部39は、一方の端壁38に設けたが、両方の端壁38に切欠部を設ける形状としてもよい。これによれば、容器33の長手方向における向きを考慮することなく配置することができる。
更に、仕切部材34は、高さをより高く設けることで、容器33の切欠部を設けることなくフック部42を第1、第2フレーム25、26に係合させるようにしてもよい。
更に、前記実施形態で示した引き出しの内部構造は図示構成例に限定されるものではなく、中間に位置する仕切壁や、フレーム等の増設を妨げない。
【符号の説明】
【0026】
10…キッチン、15…キャビネット、16…引き出し、21…前板、22…後板、23…側板、25…第1フレーム、26…第2フレーム、33…容器、34…仕切部材、37…側壁、38…端壁、39…切欠部、40…仕切面、40A…側端(基端)、40B…側端(先端)、42…フック部、C…非仕切空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6