(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144666
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】顕微観察装置及びカートリッジ
(51)【国際特許分類】
G02B 21/34 20060101AFI20231003BHJP
G02B 21/36 20060101ALI20231003BHJP
G02B 21/26 20060101ALI20231003BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20231003BHJP
【FI】
G02B21/34
G02B21/36
G02B21/26
H04N5/225 100
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051762
(22)【出願日】2022-03-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-29
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター「令和3年度イノベーション創出強化研究推進事業 基礎ステージ事業(うちAI画像認識による幼生同定技術の開発と幼生輸送予測によるマガキ養殖業の効率化・安定化プロジェクト)」、産業技術力強化法第17条の適用を受けるもの)
(71)【出願人】
【識別番号】518240369
【氏名又は名称】株式会社IDDK
(74)【代理人】
【識別番号】100109841
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 健史
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(72)【発明者】
【氏名】上野 宗一郎
【テーマコード(参考)】
2H052
5C122
【Fターム(参考)】
2H052AC05
2H052AD13
2H052AD25
2H052AE05
2H052AE13
2H052AF14
5C122DA12
5C122EA42
5C122FA05
5C122GE11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】一定量以上の液体サンプル中の観察対象物の拡大観察に伴う作業を効率化する。
【解決手段】ステージと、ステージに着脱可能に設けられたカートリッジと、を含み、カートリッジは、切り欠きが形成されているベースプレートと、ベースプレートに形成された切り欠きに設けられた複数の光電変換素子を含むデバイスと、ベースプレート上に設けられ且つ前記デバイスに液体サンプルを供給する流路を形成するための溝が流路長手方向に設けられている流路支持部材と、を有し、流路支持部材は、流路長手方向に沿って当該デバイスに近づくに従って、当該溝の流路長手方向に傾斜が設けられている。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージと、
前記ステージに着脱可能に設けられたカートリッジと、
を備え、
前記カートリッジは、
切り欠きが形成されているベースプレートと、
前記ベースプレートに形成された切り欠きに設けられた複数の光電変換素子を含むデバイスと、
前記ベースプレート上に設けられ且つ前記デバイスに液体サンプルを供給する流路を形成するための溝が流路長手方向に設けられている流路支持部材と、
を有し、
前記流路支持部材は、流路長手方向に沿って当該デバイスに近づくに従って、当該溝の底面が下降するように流路長手方向に傾斜が設けられている
顕微観察装置。
【請求項2】
前記流路支持部材の上方に当該流路支持部材と対向するように設けられて前記流路の上面を形成する流路上面部材と、
前記流路上面部材の液体供給側の端部の高さが、前記デバイス側の高さより高い
請求項1に記載の顕微観察装置。
【請求項3】
前記流路上面部材は前記デバイスから離れるに従って内上面の高さが上昇するように傾斜が設けられている
請求項2に記載の顕微観察装置。
【請求項4】
前記流路上面部材の流体供給側の端部に設けられ且つサンプル容器を逆さにした状態で当該サンプル容器の口が着脱可能な接続アダプタを更に備え、
前記接続アダプタの開口の下端の高さは、前記流路上面部材の流体供給側の端部の高さとほぼ同じである
請求項1から3のいずれか一項に記載の顕微観察装置。
【請求項5】
光を出射する光源と、
前記光電変換素子を基準に所定の視野角に収まるように入射した光の進行角度を制御する複数の視野角制御層と、
を備え、
前記光源からの光の入射角が前記視野角制御層の視野角以下になるように、前記光源の指向性角度及び前記光源と前記デバイスの間の照明距離が設定されている。
請求項1から4のいずれか一高に記載の顕微観察装置。
【請求項6】
前記光源は、単一のLEDである
請求項5に記載の顕微観察装置。
【請求項7】
前記流路上面部材は、当該デバイスと空間を空けて対向する位置に設けられた光透過性の窓部材を有する
請求項1から6のいずれか一項に記載の顕微観察装置。
【請求項8】
顕微観察装置の本体に着脱可能に設けられるカートリッジであって、
ベースプレートと、
前記ベースプレートに形成された切り欠きに設けられた複数の光電変換素子を含むデバイスと、
前記ベースプレート上に設けられ且つ前記デバイスに液体サンプルを供給する流路を形成するための溝が流路長手方向に設けられている流路支持部材と、
を有し、
前記流路支持部材は、前記流路長手方向に前記デバイスに近づくに従って、前記溝の高さが下降するように傾斜が設けられている
カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微観察装置及び当該顕微観察装置のステージに着脱可能に設けられるカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顕微撮影装置の載置部に配置された観察対象の全体を一度に表示する顕微撮影装置が知られている(特許文献1参照)。例えば特許文献1では、光を集光するマイクロレンズおよび前記マイクロレンズにより集光される前記光を受光する受光部、を含む画素が所定の間隔で複数個配列された固体撮像装置とこの固体撮像装置上に設けられた載置部とを有する顕微撮影装置が開示されている。そしてこの載置部に観察対象を配置し、前記載置部に配置された前記観察対象を前記固体撮像装置によって撮影することで、観察対象の全体を一度に表示することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、液体サンプルを1滴ほど受光部に滴下することによって、液体サンプル中の対象物を拡大して観察することができる。しかしながら、一定量以上の液体サンプル中の対象物を拡大して観察するには、毎回、滴下したサンプルをスポイト等で回収容器に移した後に新たなサンプルを滴下する作業を繰り返す必要があり、作業が繁雑になるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、一定量以上の液体サンプル中の観察対象物の拡大観察に伴う作業を効率化することを可能とする顕微観察装置及びカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る顕微観察装置は、ステージと、前記ステージに着脱可能に設けられたカートリッジと、を備え、前記カートリッジは、切り欠きが形成されているベースプレートと、前記ベースプレートに形成された切り欠きに設けられた複数の光電変換素子を含むデバイスと、前記ベースプレート上に設けられ且つ前記デバイスに液体サンプルを供給する流路を形成するための溝が流路長手方向に設けられている流路支持部材と、を有し、前記流路支持部材は、流路長手方向に沿って当該デバイスに近づくに従って、当該溝の底面が下降するように流路長手方向に傾斜が設けられている。
【0007】
本発明の第2の態様に係る顕微観察装置は、第1の態様に係る顕微観察装置であって、前記流路支持部材の上方に当該流路支持部材と対向するように設けられて前記流路の上面を形成する流路上面部材と、前記流路上面部材の液体供給側の端部の高さが、前記デバイス側の高さより高い。
【0008】
本発明の第3の態様に係る顕微観察装置は、第2の態様に係る顕微観察装置であって、前記流路上面部材は前記デバイスから離れるに従って内上面の高さが上昇するように傾斜が設けられている。
【0009】
本発明の第4の態様に係る顕微観察装置は、第1から3のいずれかの態様に係る顕微観察装置であって、前記流路上面部材の流体供給側の端部に設けられ且つサンプル容器を逆さにした状態で当該サンプル容器の口が着脱可能な接続アダプタを更に備え、前記接続アダプタの開口の下端の高さは、前記流路上面部材の流体供給側の端部の高さとほぼ同じである。
【0010】
本発明の第5の態様に係る顕微観察装置は、第1から4のいずれかの態様に係る顕微観察装置であって、光を出射する光源と、前記光電変換素子を基準に所定の視野角に収まるように入射した光の進行角度を制御する複数の視野角制御層と、を備え、前記光源からの光の入射角が前記視野角制御層の視野角以下になるように、前記光源の指向性角度及び前記光源と前記デバイスの間の照明距離が設定されている。
【0011】
本発明の第6の態様に係る顕微観察装置は、第5の態様に係る顕微観察装置であって、前記光源は、単一のLEDである。
【0012】
本発明の第7の態様に係る顕微観察装置は、第1から6のいずれかの態様に係る顕微観察装置であって、前記流路上面部材は、当該デバイスと空間を空けて対向する位置に設けられた光透過性の窓部材を有する。
【0013】
本発明の第8の態様に係るカートリッジは、顕微観察装置の本体に着脱可能に設けられるカートリッジであって、ベースプレートと、前記ベースプレートに形成された切り欠きに設けられた複数の光電変換素子を含むデバイスと、前記ベースプレート上に設けられ且つ前記デバイスに液体サンプルを供給する流路を形成するための溝が流路長手方向に設けられている流路支持部材と、を有し、前記流路支持部材は、流路長手方向に沿って当該デバイスに近づくに従って、当該溝の底面が下降するように流路長手方向に傾斜が設けられている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、液体サンプルが流路を通ってデバイス10に供給されるので、液体サンプル中の観察対象物を順次拡大観察することができる。よって、一定量以上の液体サンプル中の観察対象物の拡大観察に伴う作業を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】本実施形態に係る顕微観察装置の斜視図である。
【
図1B】本実施形態に係る顕微観察装置からカードリッジがはずされた場合の斜視図である。
【
図1C】本実施形態に係るカードリッジの斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る顕微観察装置の概略構成を示す断面図である。
【
図3】本実施形態に係るデバイスの断面図の一例である。
【
図4】本実施形態に係るデバイスを用いた観察システムを模式的に示す電気ブロック図である。
【
図5】デバイスの載置部上に観察対象が配置された様子を示す上面図である。
【
図6】本実施形態に係る顕微観察装置を横から見た概略図である。
【
図8】本実施形態に係る顕微観察装置を上から見た図である。
【
図10】本実施形態に係る光源のスペクトル分布特性の一例である。
【
図11】本実施形態に係るデバイスの一部縦断面図である。
【
図12A】本実施形態に係る光源の指向性を表す図である。
【
図12B】本実施形態に係る光源の照明距離と照射範囲の関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0017】
図1Aは、本実施形態に係る顕微観察装置の斜視図である。
図1Bは、本実施形態に係る顕微観察装置からカードリッジがはずされた場合の斜視図である。
図1Cは、本実施形態に係るカードリッジの斜視図である。
図2は、本実施形態に係る顕微観察装置の概略構成を示す断面図である。
【0018】
図1A~
図1Cに示すように、顕微観察装置Sは、ステージ2と、ステージ2上に設けられ光を出射する光源3とを有する本体1を備える。更に顕微観察装置Sは、本体1(具体的には例えばステージ2)に着脱可能に設けられたカートリッジ9を備える。
【0019】
図1Cに示すように、カートリッジ9は、切り欠きが形成されているベースプレート7と、ベースプレート7に形成された切り欠きに設けられた複数の光電変換素子を含むデバイス10とを備える。これにより
図2の矢印A1に示すように光源3は、カートリッジ9に設けられたデバイス10に向かって光を照射可能である。ここでデバイス10は、マイクロイメージングデバイス(Micro Imaging Device:MID)ともいう。
【0020】
図1C及び
図2に示すように、カートリッジ9は、ベースプレート7上に設けられ且つデバイス10に液体サンプルを供給する流路を形成するための溝が流路長手方向に設けられている流路支持部材61と、流路支持部材61の上方に当該流路支持部材と対向するように設けられて前記流路の上面を形成する流路上面部材62を備える。
【0021】
図1C及び
図2に示すように、カートリッジ9は、サンプル容器4を逆さにした状態で当該サンプル容器4の口が着脱可能な接続アダプタ5を更に備える。サンプル容器4に、液体サンプルが滴下されることによって接続アダプタ5を介して、流路支持部材61と流路上面部材62によって形成される流路に液体サンプルが流れ込む。この流路を通ってデバイス10に液体サンプルが供給され、次に供給される液体サンプルによって押し流され、液体サンプルされた液体サンプルは流路を通って、サンプル回収容器8の中に落ちる。
【0022】
図3は、本実施形態に係るデバイスの断面図の一例である。
図3に示すように、デバイス10は、固体撮像装置11と、撮影対象を配置することができる載置部12と、を具備する。固体撮像装置11は、光を集光するマイクロレンズ13、およびマイクロレンズ13により集光される光を受光する受光部、を含む画素14が、所定の間隔で複数個配列されることにより構成されるセンサ部を有するものである。以下に、この固体撮像装置11について具体的に説明する。
【0023】
図3に示す固体撮像装置11において、例えばシリコン等からなる半導体基板15には、複数の不純物層である複数のフォトダイオード層16が、配列形成されている。本実施形態においては、例えばフォトダイオード層16が受光部となるが、受光部は、入射される光を受光して光電変換することができる光電変換素子であればよく、必ずしもフォトダイオード層16である必要はない。
【0024】
また、複数のフォトダイオード層16が設けられた半導体基板15の表面上には、中間層17が設けられており、中間層17の表面上には、複数のマイクロレンズ13が、配列された複数のフォトダイオード層16の位置に対応して、配列形成されている。マイクロレンズ13は、フォトダイオード層16を基準に所定の視野角に収まるように入射した光の進行角度を制御する視野角制御層の一例である。
【0025】
なお、中間層17は、例えばカラーフィルタ層等のような波長選択層、中間層の表面上を平坦にするための平坦化層等である。
【0026】
このような固体撮像装置11は、フォトダイオード層16と、このフォトダイオード層16に光を集光するためのマイクロレンズ13と、を含む画素14を複数個有している。固体撮像装置11において、複数の画素14を所定の間隔で配列することによりセンサ部が構成されている。
【0027】
このようなデバイス10は、光源3下に配置された状態で載置部12に観察対象を配置し、具体的には、光源3下に配置された状態で載置部12の表面上あるいは内部に観察対象を配置し、このように配置された観察対象を固体撮像装置11において撮影することにより、観察対象を観察することができるものである。なお、ここでは一例として光源3は、観察対象をより詳細に撮影するために設けられた撮影専用の光源であるとして説明するが、例えばデバイス10が配置される部屋の蛍光灯等であってもよい。
【0028】
図4は、本実施形態に係るデバイスを用いた観察システムを模式的に示す電気ブロック図である。
図4に示す観察システムは、デバイス10、信号処理回路であるロジック回路部19、および表示部20、によって構成される。
【0029】
ロジック回路部19は、デバイス10により得られた電圧信号(raw data)に対して色補正(ホワイトバランス、カラーマトリクス)、ノイズ補正(ノイズリダクション、傷補正)、画質補正(エッジ強調、ガンマ補正)等の所定の信号処理を施し、信号処理された電圧信号を画像信号として出力する。本実施形態においては、デバイス10に、像を結像するためのレンズや拡大縮小を目的とするレンズ等の光学レンズ系を含まないため、ロジック回路部19には、このようなレンズ収差の補正やシェーディング補正するための補正回路は含まれていない。
【0030】
このようなロジック回路部19は、例えば画素14が配列された領域であるセンサ部の周囲の半導体基板15に設けることによって固体撮像装置11に内蔵させてもよいし、固体撮像装置11とは別基板に設けられた、固体撮像装置11とは別部品あってもよい。
【0031】
次に、表示部20は、例えばディスプレイ装置であり、ロジック回路部19から出力される画像信号に基づいて観察対象の画像を形成し、表示する。表示部20は、デバイス10の載置部12に配置された観察対象の全体を一度に表示することができる。
【0032】
このような観察システムは、表示部20に、デバイス10の載置部12に配置された観察対象の全体を一度に表示することができるため、このようなシステムを用いることにより、観察対象の全体を同時にリアルタイムで観察することができる。
【0033】
図5は、デバイスの載置部上に観察対象が配置された様子を示す上面図である。
図5では液体サンプルが供給されて、ある瞬間において液体サンプル中の観察対象物21が配置されたものとする。本実施例においては、例えば画素14の間隔Pが1μm、マイクロレンズ13の視野角θが10deg、固体撮像装置11のセンサ部22内に1000個×1000個の画素14が形成された10Mセンサを有するデバイス10の載置部12の表面上に、1000μmの観察対象物21が配置されたものとする。なお、
図5においては、センサ部22内に配置される画素14の数については省略している。また、
図5に示すセンサ部22は、この周囲に設けられたワイヤー23により、例えばロジック回路部19が設けられた基板24に電気的に接続されている。
【0034】
図6は、本実施形態に係る顕微観察装置を横から見た概略図である。
図7Aは、
図6のB-B断面図である。
図7Bは、
図6のC-C断面図である。
図7Cは、
図6のD-D断面図である。
図7Dは、流路支持部材61を上から見た図である。
図8は、本実施形態に係る顕微観察装置を上から見た図である。
図9は、
図8のA-A断面図である。
【0035】
図6及び
図9に示すように接続アダプタ5は、流路上面部材62の流体供給側の端部に設けられている。
図6及び
図9に示すように接続アダプタ5は例えば、サンプル容器4の口が接続するための開口がベースプレート7に対して略垂直に設けられている。これにより、サンプル容器4の口を下方に向けて開口に嵌めることにより、容易に流路に、サンプル容器4に滴下した液体サンプルを流しこむことができる。
【0036】
図7Aに示すように、流路支持部材61の内面と流路上面部材62の内面で囲まれた領域として流路が形成されている。
図7Aに示すように、流路支持部材61には、溝R1が流路長手方向に設けられている。
図7A~
図7Cに示すように溝の幅はL1である。
【0037】
図7B及び
図7Dに示すように、デバイス10の載置部12の上方において、流路支持部材61には貫通孔611が設けられている。貫通孔611は一例として流路の長手方向の幅がL3で流路の横幅L1と同じ横幅L1である。これにより、貫通孔611を介してデバイス10の載置部12に液体サンプルが供給される。流路支持部材61には、デバイス10から液体を排出する流路を形成するための溝が長手方向に設けられている。これにより、液体サンプルが流路支持部材61の端部方向に排出される。
図7Cに示すように、流路支持部材61の端部に、一例として幅L1の貫通孔612が設けられ、この貫通孔612から液体サンプルが流れ落ちることにより、液体サンプルがサンプル回収容器8に落ちて回収される。
【0038】
図5及び
図9に示すように、流路支持部材61は、流路長手方向にデバイス10に近づくに従って、溝R1の底面高さが下降するように傾斜が設けられている。これにより、液体サンプルが流路を通ってデバイス10に供給される。
【0039】
図8に示すように、流路上面部材62は、当該デバイス10と空間を空けて対向する位置に設けられた光透過性(例えば透明)の窓部材63を有する。これにより、この窓部材63を通って、デバイス10に光が供給される。
【0040】
図9に示すように、流路上面部材62の液体供給側の端部の高さH2が、デバイス10側の高さH1より高い。これによって、気泡が流路上面部材62の液体供給側の端部側の溜まることが促進され、気泡がデバイス10面の上に供給されるのを防止することができる。
【0041】
また
図9に示すように、流路上面部材62はデバイス10から離れるに従って内上面の高さが上昇するように傾斜が設けられている。これにより、流路上面部材62の内上面が、角がないスロープ状になるので、角に気泡が付着するのを防止することができる。
【0042】
図9に示すように接続アダプタ5は、流路上面部材の流体供給側の端部に連結されている。
図9に示すように接続アダプタ5の開口の下端の高さは、
図9では一例として高さH2であり、流路上面部材の流体供給側の端部の高さH2とほぼ同じである。これにより、液体サンプルがスムーズに流路に供給される。
【0043】
図10は、本実施形態に係る光源のスペクトル分布特性の一例である。
図10Aに示すように本実施形態に係る光源3は例えば単一の白色LEDである。光源3は例えば全可視光タイプで、光度は例えば1560mcdである。
【0044】
図11は、本実施形態に係るデバイスの一部縦断面図である。
図12Aは、本実施形態に係る光源の指向性を表す図である。
図12Bは、本実施形態に係る光源の照明距離と照射範囲の関係の一例を示す図である。
特許文献1で説明されているように、デバイス10は、マイクロレンズ13の頂点から所定の距離L以内に配置される観察対象を撮影することができるものである。ここで、所定の距離Lとは、固体撮像装置11のマイクロレンズ13の視野角θおよび固体撮像装置11に配列される画素14の間隔Pにより決定される距離である。
【0045】
デバイス10によって観察対象を撮影することができる条件は、
図11に示すように、観察対象の撮影面の距離をS、画素14の間隔をPとして、以下のように表現される。
2×S≦P・・・(式1)
【0046】
撮影面の距離Sが上記式1を満足しない場合、観察対象からの光は、本来受光される画素14において受光される他、当該画素14に隣接する他の画素14においても受光され
てしまうこととなり、デバイス10は観察対象を、いわゆるピンボケした状態で撮影してしまう。ここで、観察対象の撮影面の距離Sは、マイクロレンズ13の視野角をθ、マイクロレンズ13の頂点から観察対象までの距離をLとして、以下のように表現される。
tanθ=S/L・・・(式2)
【0047】
以上の式1および式2より、マイクロレンズ13の頂点から観察対象までの距離Lは、以下のように表現される。
L≦P/(2×tanθ)・・・(式3)
【0048】
式3より、本実施形態に係るデバイス10は、マイクロレンズ13の頂点からの距離Lが、P/(2×tanθ)以内に配置される観察対象を撮影することができるものである。
【0049】
ここで光源3からの光の入射角がマイクロレンズ13の視野角以下になるように、光源3の指向性角度及び光源3とデバイス10の間の照明距離が設定されている。具体的には光源3からの光の入射角がマイクロレンズ13の視野角以下になるように例えば
図12Aに示すように光源指向性角は例えば70degであり、
図12Bに示すようように光源3とデバイス10の表面との間の距離である照明距離は36.5mmに設定される。この場合に上記スペックの光源3は、光源3から垂直下方に36.5mm離れた点を含み且つ光線に対して垂直な面における照射範囲R2は縦が3.2mm、横が4.7mmである。複数のマイクロレンズ13全体がこの照射範囲に収まるように、光源指向性角と照明距離が設定されている。
なお照明配置垂直角は0degである。
【0050】
以上、本実施形態に係る顕微観察装置Sは、ステージ2と、ステージ2に着脱可能に設けられたカートリッジ9と、を備える。このカートリッジ9は、切り欠きが形成されているベースプレート7と、ベースプレート7に形成された切り欠きに設けられた複数の光電変換素子を含むデバイス10と、ベースプレート7上に設けられ且つデバイス10に液体サンプルを供給する流路を形成するための溝が流路長手方向に設けられている流路支持部材61と、を有する。この流路支持部材61は、流路長手方向に沿ってデバイス10に近づくに従って、当該溝の底面が下降するように流路長手方向に傾斜が設けられている。
【0051】
この構成により、液体サンプルが流路を通ってデバイス10に供給されるので、液体サンプル中の観察対象物を順次拡大観察することができる。よって、一定量以上の液体サンプル中の観察対象物の拡大観察に伴う作業を効率化することができる。
【0052】
以上、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0053】
S 顕微観察装置
1 本体
10 デバイス
11 固体撮像装置
12 載置部
13 マイクロレンズ
14 画素
15 半導体基板
16 フォトダイオード層
17 中間層
18 ロジック回路部
19 ロジック回路部
2 ステージ
20 表示部
21 観察対象物
22 センサ部
23 ワイヤー
24 基板
3 光源
4 サンプル容器
5 接続アダプタ
61 流路支持部材
611、612 貫通孔
62 流路上面部材
63 窓部材
7 ベースプレート
8 サンプル回収容器
9 カートリッジ
【手続補正書】
【提出日】2022-08-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージと、
前記ステージに着脱可能に設けられたカートリッジと、
を備え、
前記カートリッジは、
切り欠きが形成されているベースプレートと、
前記ベースプレートに形成された切り欠きに設けられた複数の光電変換素子を含むデバイスと、
前記ベースプレート上に設けられ且つ前記デバイスに液体サンプルを供給する流路を形成するための溝が流路長手方向に設けられている流路支持部材と、
を有し、
前記流路支持部材は、流路長手方向に沿って当該デバイスに近づくに従って、当該溝の底面が下降するように流路長手方向に傾斜が設けられており、
前記流路支持部材の流体供給側の端部に設けられ且つサンプル容器の口が着脱可能な開口が設けられている接続アダプタを更に有する
顕微観察装置。
【請求項2】
前記流路支持部材の上方に当該流路支持部材と対向するように設けられて前記流路の上面を形成する流路上面部材と、
前記流路上面部材の液体供給側の端部の高さが、前記デバイス側の高さより高い
請求項1に記載の顕微観察装置。
【請求項3】
前記流路上面部材は前記デバイスから離れるに従って内上面の高さが上昇するように傾斜が設けられている
請求項2に記載の顕微観察装置。
【請求項4】
前記接続アダプタの開口の下端の高さは、前記流路上面部材の流体供給側の端部の高さとほぼ同じである
請求項1から3のいずれか一項に記載の顕微観察装置。
【請求項5】
光を出射する光源と、
前記光電変換素子を基準に所定の視野角に収まるように入射した光の進行角度を制御する複数の視野角制御層と、
を備え、
前記光源からの光の入射角が前記視野角制御層の視野角以下になるように、前記光源の指向性角度及び前記光源と前記デバイスの間の照明距離が設定されている
請求項1から4のいずれか一項に記載の顕微観察装置。
【請求項6】
前記光源は、単一のLEDである
請求項5に記載の顕微観察装置。
【請求項7】
前記流路上面部材は、当該デバイスと空間を空けて対向する位置に設けられた光透過性の窓部材を有する
請求項1から6のいずれか一項に記載の顕微観察装置。
【請求項8】
顕微観察装置の本体に着脱可能に設けられるカートリッジであって、
ベースプレートと、
前記ベースプレートに形成された切り欠きに設けられた複数の光電変換素子を含むデバイスと、
前記ベースプレート上に設けられ且つ前記デバイスに液体サンプルを供給する流路を形成するための溝が流路長手方向に設けられている流路支持部材と、
を有し、
前記流路支持部材は、前記流路長手方向に前記デバイスに近づくに従って、前記溝の高さが下降するように傾斜が設けられており、
前記流路支持部材の流体供給側の端部に設けられ且つサンプル容器の口が着脱可能な開口が設けられている接続アダプタを更に有する
カートリッジ。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージと、
前記ステージに着脱可能に設けられたカートリッジと、
を備え、
前記カートリッジは、
切り欠きが形成されているベースプレートと、
前記ベースプレートに形成された切り欠きに設けられた複数の光電変換素子を含むデバイスと、
前記ベースプレート上に設けられ且つ前記デバイスに液体サンプルを供給する流路を形成するための溝が流路長手方向に設けられている流路支持部材と、
を有し、
前記流路支持部材は、流路長手方向に沿って当該デバイスに近づくに従って、当該溝の底面が下降するように流路長手方向に傾斜が設けられており、
前記流路支持部材の流体供給側の端部に設けられ且つサンプル容器の口が着脱可能な開口が設けられている接続アダプタを更に有し、
前記流路支持部材の上方に当該流路支持部材と対向するように設けられて前記流路の上面を形成する流路上面部材を更に有し、
前記流路上面部材の液体供給側の端部の高さが、前記デバイス側の高さより高い
顕微観察装置。
【請求項2】
前記流路上面部材は前記デバイスから離れるに従って内上面の高さが上昇するように傾斜が設けられている
請求項1に記載の顕微観察装置。
【請求項3】
前記接続アダプタの開口の下端の高さは、前記流路上面部材の流体供給側の端部の高さとほぼ同じである
請求項1または2に記載の顕微観察装置。
【請求項4】
光を出射する光源と、
前記光電変換素子を基準に所定の視野角に収まるように入射した光の進行角度を制御する複数の視野角制御層と、
を備え、
前記光源からの光の入射角が前記視野角制御層の視野角以下になるように、前記光源の指向性角度及び前記光源と前記デバイスの間の照明距離が設定されている
請求項1から3のいずれか一項に記載の顕微観察装置。
【請求項5】
前記光源は、単一のLEDである
請求項4に記載の顕微観察装置。
【請求項6】
前記流路上面部材は、当該デバイスと空間を空けて対向する位置に設けられた光透過性の窓部材を有する
請求項1から5のいずれか一項に記載の顕微観察装置。
【請求項7】
顕微観察装置の本体に着脱可能に設けられるカートリッジであって、
ベースプレートと、
前記ベースプレートに形成された切り欠きに設けられた複数の光電変換素子を含むデバイスと、
前記ベースプレート上に設けられ且つ前記デバイスに液体サンプルを供給する流路を形成するための溝が流路長手方向に設けられている流路支持部材と、
を有し、
前記流路支持部材は、前記流路長手方向に前記デバイスに近づくに従って、前記溝の高さが下降するように傾斜が設けられており、
前記流路支持部材の流体供給側の端部に設けられ且つサンプル容器の口が着脱可能な開口が設けられている接続アダプタを更に有し、
前記流路支持部材の上方に当該流路支持部材と対向するように設けられて前記流路の上面を形成する流路上面部材を更に有し、
前記流路上面部材の液体供給側の端部の高さが、前記デバイス側の高さより高い
カートリッジ。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージと、
前記ステージに着脱可能に設けられたカートリッジと、
を備え、
前記カートリッジは、
切り欠きが形成されているベースプレートと、
前記ベースプレートに形成された切り欠きに設けられた複数の光電変換素子を含むデバイスと、
前記ベースプレート上に設けられ且つ前記デバイスに液体サンプルを供給する流路を形成するための溝が流路長手方向に設けられている流路支持部材と、
前記流路支持部材の上方に当該流路支持部材と対向するように設けられて前記流路の上面を形成する流路上面部材と、
前記流路支持部材の流体供給側の端部に設けられ且つサンプル容器の口が着脱可能な開口が設けられている接続アダプタと、
を有し、
前記溝の底面は前記接続アダプタ側に設けられデバイス側に対して平行な面と、前記デバイス側に設けられ前記デバイスに近づくに従って下降するように流路長手方向に傾斜が設けられた面により形成され、
前記流路の上面は流路の長手方向に前記流体供給側の端部が高くなるように傾斜が設けられている顕微観察装置。
【請求項2】
前記流路上面部材は前記デバイスから離れるに従って内上面の高さが上昇するように傾斜が設けられている
請求項1に記載の顕微観察装置。
【請求項3】
前記接続アダプタの開口の下端の高さは、前記流路上面部材の流体供給側の端部の高さとほぼ同じである
請求項1または2に記載の顕微観察装置。
【請求項4】
光を出射する光源と、
前記光電変換素子を基準に所定の視野角に収まるように入射した光の進行角度を制御する複数の視野角制御層と、
を備え、
前記光源からの光の入射角が前記視野角制御層の視野角以下になるように、前記光源の指向性角度及び前記光源と前記デバイスの間の照明距離が設定されている
請求項1から3のいずれか一項に記載の顕微観察装置。
【請求項5】
前記光源は、単一のLEDである
請求項4に記載の顕微観察装置。
【請求項6】
前記流路上面部材は、当該デバイスと空間を空けて対向する位置に設けられた光透過性の窓部材を有する
請求項1から5のいずれか一項に記載の顕微観察装置。
【請求項7】
顕微観察装置の本体に着脱可能に設けられるカートリッジであって、
ベースプレートと、
前記ベースプレートに形成された切り欠きに設けられた複数の光電変換素子を含むデバイスと、
前記ベースプレート上に設けられ且つ前記デバイスに液体サンプルを供給する流路を形成するための溝が流路長手方向に設けられている流路支持部材と、
前記流路支持部材の上方に当該流路支持部材と対向するように設けられて前記流路の上面を形成する流路上面部材と、
前記流路支持部材の流体供給側の端部に設けられ且つサンプル容器の口が着脱可能な開口が設けられている接続アダプタと、
を有し、
前記溝の底面は前記接続アダプタ側に設けられデバイス側に対して平行な面と、前記デバイス側に設けられ前記デバイスに近づくに従って下降するように流路長手方向に傾斜が設けられた面により形成され、
前記流路の上面は流路の長手方向に前記流体供給側の端部が高くなるように傾斜が設けられているカートリッジ。