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特開2023-144668移動端末試験システム及び移動端末試験方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144668
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】移動端末試験システム及び移動端末試験方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/17 20150101AFI20231003BHJP
   H04B 17/29 20150101ALI20231003BHJP
【FI】
H04B17/17
H04B17/29 200
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051764
(22)【出願日】2022-03-28
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 誠也
(72)【発明者】
【氏名】珍部 涼太
(57)【要約】
【課題】複数のテストケースのパラメータ設定に要していた時間を大幅に短縮することができるとともに、パラメータの設定漏れなどのミスを防ぐことができる移動端末試験システム及び移動端末試験方法を提供する。
【解決手段】操作部26により選択された複数のテストケースに含まれる複数のパラメータのうち、同種のパラメータを複数の共通パラメータとして抽出する共通パラメータ抽出部22aと、共通パラメータ抽出部22aにより抽出された複数の共通パラメータの一覧を表示部27に表示させる表示制御部25と、操作部26により入力された変更値を複数の共通パラメータにそれぞれ一括設定する共通パラメータ設定部22bと、共通パラメータ設定部22bにより設定された複数の共通パラメータを用いて、複数のテストケースの試験を実行する試験実行部10と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末(200)の3GPP規格で規定されたコンフォーマンステストにおけるテストケースの試験を実行する移動端末試験システム(1)であって、
複数のテストケースを選択するテストケース選択部(26)と、
前記テストケース選択部により選択された複数のテストケースに含まれる複数のパラメータのうち、同種のパラメータを複数の共通パラメータとして抽出する共通パラメータ抽出部(22a)と、
前記共通パラメータ抽出部により抽出された前記複数の共通パラメータの一覧を表示部(27)に表示させる共通パラメータ表示制御部(25)と、
前記複数の共通パラメータの設定値の変更値をそれぞれ入力する共通パラメータ変更入力部(26,30)と、
前記共通パラメータ変更入力部により入力された変更値を前記複数の共通パラメータにそれぞれ一括設定する共通パラメータ設定部(22b)と、
前記共通パラメータ設定部により設定された前記複数の共通パラメータを用いて、前記複数のテストケースの試験を実行する試験実行部(10)と、を備えることを特徴とする移動端末試験システム。
【請求項2】
前記共通パラメータ設定部により前記共通パラメータに前記変更値を設定させるテストケースを前記複数のテストケースの中から指定するテストケース指定部(26,31)を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の移動端末試験システム。
【請求項3】
移動端末(200)の3GPP規格で規定されたコンフォーマンステストにおけるテストケースの試験を実行する移動端末試験方法であって、
複数のテストケースを選択するテストケース選択ステップ(S2)と、
前記テストケース選択ステップにより選択された複数のテストケースに含まれる複数のパラメータのうち、同種のパラメータを複数の共通パラメータとして抽出する共通パラメータ抽出ステップ(S5)と、
前記共通パラメータ抽出ステップにより抽出された前記複数の共通パラメータの一覧を表示部(27)に表示させる共通パラメータ表示ステップ(S6)と、
前記複数の共通パラメータの設定値の変更値をそれぞれ入力する共通パラメータ変更入力ステップ(S7)と、
前記共通パラメータ変更入力ステップにより入力された変更値を前記複数の共通パラメータにそれぞれ一括設定する共通パラメータ設定ステップ(S8)と、
前記共通パラメータ設定ステップにより設定された前記複数の共通パラメータを用いて、前記複数のテストケースの試験を実行する試験実行ステップ(S11)と、を含むことを特徴とする移動端末試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動端末試験システム及び移動端末試験方法に関し、特に、移動端末と通信接続可能な疑似基地局機能を有し、移動端末の3GPP規格に準拠したコンフォーマンステストを実行する移動端末試験システム及び移動端末試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各国でミリ波帯の周波数を運用する5Gのサービスが開始され、5Gスマートフォンなどの5G用移動端末の生産が本格化している。5G用移動端末の設計開発会社又はその製造工場においては、5G用移動端末が備えている無線通信アンテナを介して送信電波の出力レベルや受信感度を測定し、5G用移動端末が所定の基準を満たしているか否かを判定する性能試験が行われる。
【0003】
このような性能試験の中には、移動端末や基地局装置が3GPP(3rd Generation Partnership Project)規格に準拠しているか否かを確認するコンフォーマンステストがある。コンフォーマンステストでは、試験目的、合否判定基準、試験条件、Test IDで識別される試験項目、及び試験手順が定義されたテストケース(Test Case:TC)が実行される。
【0004】
特許文献1には、連続して実行される複数のテストケース間で重複する処理項目の実行を省略することにより、試験時間を短縮する処理手順が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5112463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
移動端末のコンフォーマンステストにおける各テストケースは、それぞれが測定に必要な多くのパラメータを有している。例えば、3GPPで規定されているBand Combination、Temperature Voltage Combination、Channel Bandwidth、Subcarrier Spacing(SCS)などのパラメータがある。これらのパラメータのうち、Band Combinationは、移動端末が通信に使用する周波数帯域の組合せを示すパラメータである。Channel Bandwidthは、移動端末が通信に使用する周波数の帯域幅を示すパラメータである。SCSは、移動端末で用いられるOFDM伝送のサブキャリア間の周波数の幅を示すパラメータである。
【0007】
一般に、特許文献1に開示されたようなコンフォーマンステストに対応した試験システムで測定対象である移動端末の性能をテストする際には、数十種に及ぶテストケースで試験を行う必要があり、ユーザはシステムソフトウェア上でそれぞれのテストケースにおいて上記のようなパラメータを個別に設定しなければならない。そのため、ユーザが、移動端末の試験リスト(以下、「シーケンス」とも記載する)の作成に多大な労力と時間を要するという問題があった。また、ユーザがテストケースごとに個別にパラメータを設定する際に、パラメータの設定漏れが発生するという問題もあった。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、複数のテストケースのパラメータ設定に要していた時間を大幅に短縮することができるとともに、パラメータの設定漏れなどのミスを防ぐことができる移動端末試験システム及び移動端末試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る移動端末試験システムは、移動端末の3GPP規格で規定されたコンフォーマンステストにおけるテストケースの試験を実行する移動端末試験システムであって、複数のテストケースを選択するテストケース選択部と、前記テストケース選択部により選択された複数のテストケースに含まれる複数のパラメータのうち、同種のパラメータを複数の共通パラメータとして抽出する共通パラメータ抽出部と、前記共通パラメータ抽出部により抽出された前記複数の共通パラメータの一覧を表示部に表示させる共通パラメータ表示制御部と、前記複数の共通パラメータの設定値の変更値をそれぞれ入力する共通パラメータ変更入力部と、前記共通パラメータ変更入力部により入力された変更値を前記複数の共通パラメータにそれぞれ一括設定する共通パラメータ設定部と、前記共通パラメータ設定部により設定された前記複数の共通パラメータを用いて、前記複数のテストケースの試験を実行する試験実行部と、を備える構成である。
【0010】
この構成により、本発明に係る移動端末試験システムは、シーケンスに追加された複数のテストケースに含まれる共通パラメータを抽出し、ユーザにより入力された変更値を複数の共通パラメータにそれぞれ一括設定する構成である。この構成により、本発明に係る移動端末試験システムは、ユーザがテストケースごとに各種パラメータを個別に設定する必要がなくなるので、複数のテストケースのパラメータ設定に要していた時間を大幅に短縮することができる。さらに、本発明に係る移動端末試験システムは、ユーザによるパラメータの設定漏れやミスを防ぐことができるため、短時間かつ最小の操作で多数のテストケースの測定を完了することが可能である。
【0011】
また、本発明に係る移動端末試験システムは、前記共通パラメータ設定部により前記共通パラメータに前記変更値を設定させるテストケースを前記複数のテストケースの中から指定するテストケース指定部を更に備える構成であってもよい。
【0012】
この構成により、本発明に係る移動端末試験システムは、共通パラメータに変更値を一括設定させるテストケースを複数のテストケースの中から任意に指定できる構成になっている。この構成により、本発明に係る移動端末試験システムは、複数のテストケースのうちの一部のテストケースで、他のテストケースと異なる値を共通パラメータに設定することが可能である。
【0013】
また、本発明に係る移動端末試験方法は、移動端末の3GPP規格で規定されたコンフォーマンステストにおけるテストケースの試験を実行する移動端末試験方法であって、複数のテストケースを選択するテストケース選択ステップと、前記テストケース選択ステップにより選択された複数のテストケースに含まれる複数のパラメータのうち、同種のパラメータを複数の共通パラメータとして抽出する共通パラメータ抽出ステップと、前記共通パラメータ抽出ステップにより抽出された前記複数の共通パラメータの一覧を表示部に表示させる共通パラメータ表示ステップと、前記複数の共通パラメータの設定値の変更値をそれぞれ入力する共通パラメータ変更入力ステップと、前記共通パラメータ変更入力ステップにより入力された変更値を前記複数の共通パラメータにそれぞれ一括設定する共通パラメータ設定ステップと、前記共通パラメータ設定ステップにより設定された前記複数の共通パラメータを用いて、前記複数のテストケースの試験を実行する試験実行ステップと、を含む構成である。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、複数のテストケースのパラメータ設定に要していた時間を大幅に短縮することができるとともに、パラメータの設定漏れなどのミスを防ぐことができる移動端末試験システム及び移動端末試験方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る移動端末試験システムの構成を示すブロック図である。
図2】(a)はシーケンスに追加されたテストケースとパラメータの一覧の例を示す図であり、(b)は共通パラメータの一覧の例を示す図であり、(c)は共通パラメータに変更値が設定された状態のテストケースとパラメータの一覧の例を示す図であり、(d)は共通パラメータの変更値が入力された状態の共通パラメータの一覧の例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る移動端末試験システムを用いる移動端末試験方法の処理を示すフローチャートである。
図4図3のフローチャートにおける共通パラメータ抽出ステップの処理を示すフローチャートである。
図5図3のフローチャートにおける共通パラメータ設定ステップの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る移動端末試験システム及び移動端末試験方法の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0017】
図1に示す本実施形態に係る移動端末試験システム1は、主に疑似基地局として動作して、移動端末200の3GPP規格で規定されたコンフォーマンステストにおけるテストケースの試験を移動端末200に対して実行するものであり、試験実行部10と、制御装置20と、を備える。
【0018】
試験実行部10は、疑似基地局部11と、結合器12と、測定装置100と、を有する。疑似基地局部11は、制御装置20の制御により、移動端末200との間で無線通信接続又は有線通信接続を行い、呼接続・シグナリングメッセージのやり取りを行う。また、疑似基地局部11は、移動端末200との通信の状態などを制御装置20に出力する。疑似基地局部11と移動端末200とは、RFポートとして機能する結合器12と不図示のRFケーブル等を介して結合されている。
【0019】
測定装置100は、移動端末200の送受信特性を測定するものである。測定装置100は、移動端末200の送信特性として、例えば、送信電力、エラーベクトル振幅(Error Vector Magnitude:EVM)、IQコンスタレーション、スペクトラム等を測定可能である。また、測定装置100は、移動端末200の受信特性として、例えば、パケットエラーレート(Packet Error Rate:PER)やフレーム受信レート(Frame Reception Rate:FRR)等を測定可能である。
【0020】
制御装置20は、テストケース記憶部21と、試験実行制御部22と、表示制御部25と、操作部26と、表示部27と、を備える。
【0021】
テストケース記憶部21は、3GPP規格に準拠したコンフォーマンステストのテストケースの一覧と、試験条件や試験項目などのテストケースごとの複数のパラメータと、を記憶している。
【0022】
試験条件は、移動端末200が送受信するRF信号の周波数、強度、及び位相に関する試験を行うために、測定装置100に設定される条件である。試験条件のパラメータは、例えば、試験環境(Test Environment、Temperature Voltage Combination)、周波数(Band Combination、Test Frequency、Operating Band、Downlink Frequency、Uplink Frequency、Downlink Point A、Uplink Point A)、試験帯域幅BW(Test Channel Bandwidth、Test EN-DC bandwidth combination)、SCS(Subcarrier Spacing)、SSB(Synchronization Signal/PBCH Block)などである。
【0023】
試験項目は、Test IDで識別され、変調方式(OFDM)、リソースブロック配置(RB Allocation、RB Allocation Pattern)などの試験パラメータで定義される。各試験項目は、上記の試験条件のパラメータの組合せごとに実行される。
【0024】
表示制御部25は、画像を表示部27に表示させるものであり、試験実行制御部22の指示により画像の生成と表示の制御を行うようになっている。また、表示制御部25は、操作部26に入力された情報に基づいて表示部27の表示を変更させたり、操作部26に入力された情報を試験実行制御部22に送信したりする。
【0025】
表示制御部25は、操作部26によりシーケンスに追加された複数のテストケースとパラメータの一覧を表示部27に表示させる。ここで、シーケンスとは、複数のテストケースをどのような順序で実行するかの情報や、各テストケースで用いられるパラメータの情報を含んだ試験リストである。また、表示制御部25は、後述する共通パラメータ抽出部22aにより抽出された複数の共通パラメータの一覧を表示部27に表示させる共通パラメータ表示制御部を構成する。
【0026】
操作部26は、ユーザによる操作入力を受け付けるためのものであり、例えば表示部27の表示画面に対応する入力面への接触操作による接触位置を検出するためのタッチセンサを備えるタッチパネルで構成される。あるいは、操作部26は、キーボード又はマウスのような入力デバイスを含んで構成されてもよい。操作部26への操作入力は、表示制御部25により検知されるようになっている。
【0027】
操作部26は、シーケンスに追加する複数のテストケースをユーザが選択するためのテストケース選択部を構成する。また、操作部26は、表示部27に表示された複数の共通パラメータの設定値の変更値をそれぞれ入力する共通パラメータ変更入力部を構成する。ここで、共通パラメータとは、複数のテストケースに含まれる複数のパラメータのうち、同種のパラメータを指している。また、操作部26は、後述する共通パラメータ設定部22bにより共通パラメータに変更値を設定させるテストケースを複数のテストケースの中から指定するテストケース指定部を構成する。
【0028】
表示部27は、液晶ディスプレイやCRT等の表示機器で構成され、表示制御部25による表示制御に基づき、測定装置100による移動端末200に対するテストケースの試験の測定に関わる設定画面や試験結果などの各種表示内容を表示画面に表示するようになっている。さらに、表示部27は、各種条件を設定するためのボタン、ソフトキー、プルダウンメニュー、テキストボックスなどの操作対象の表示を行うようになっている。
【0029】
試験実行制御部22は、ユーザによる操作部26への操作入力によりシーケンスに追加された複数のテストケースをテストケース記憶部21から読み出す。また、試験実行制御部22は、後述する共通パラメータ設定部22bにより設定された複数の共通パラメータを含む各種パラメータを用いて、テストケース記憶部21から読み出した複数のテストケースの試験の測定を測定装置100に実行させる制御を行うようになっている。
【0030】
また、試験実行制御部22は、共通パラメータ抽出部22aと、共通パラメータ設定部22bと、を含む。
【0031】
共通パラメータ抽出部22aは、操作部26により選択された複数のテストケースに含まれる複数のパラメータのうち、同種のパラメータを複数の共通パラメータとして抽出するようになっている。なお、試験実行制御部22は、同種のパラメータをクラスという単位で処理している。例えば、共通パラメータ抽出部22aは、クラスの持つ型情報から自動的にその共通点を抽出するソフトウェア処理を行うことにより、共通パラメータを抽出する。
【0032】
共通パラメータ設定部22bは、操作部26により入力された変更値を複数の共通パラメータにそれぞれ一括設定するようになっている。例えば、共通パラメータ設定部22bは、共通パラメータ抽出部22aにより抽出されたクラスの持つ型情報の共通点に対するユーザの変更を抽出元に反映するソフトウェア処理を行うことにより、共通パラメータを設定する。
【0033】
試験実行制御部22は、例えばCPU、ROM、RAM、HDDなどを含むマイクロコンピュータ又はパーソナルコンピュータ等で構成され、移動端末試験システム1を構成する上記各部の動作を制御するようになっている。また、試験実行制御部22は、ROM等に記憶された所定のプログラムをRAMに移してCPUで実行することにより、共通パラメータ抽出部22a及び共通パラメータ設定部22bの少なくとも一部をソフトウェア的に構成することが可能である。なお、共通パラメータ抽出部22a及び共通パラメータ設定部22bの少なくとも一部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのディジタル回路で構成することも可能である。あるいは、共通パラメータ抽出部22a及び共通パラメータ設定部22bの少なくとも一部は、ディジタル回路によるハードウェア処理と所定のプログラムによるソフトウェア処理とを適宜組み合わせて構成することも可能である。
【0034】
以下、図2を参照しながら、試験実行制御部22の処理を説明する。
【0035】
図2(a)は、ユーザによる操作部26への操作入力によりシーケンスに追加された複数のテストケースとパラメータの一覧の表示部27における表示例を簡易的に示す図である。ここでは、シーケンスに追加されたテストケースをTC1、TC2、及びTC3の3種類としているが、実際にシーケンスに追加されるテストケースの数は上記に限定されない。また、TC1、TC2、及びTC3のいずれかに含まれるパラメータをParameter A、Parameter B、Parameter C、及びParameter Eの4種類としているが、実際に各テストケースに含まれるパラメータの数は上記に限定されない。
【0036】
図2(a)の例では、TC1はParameter A、Parameter B、及びParameter Eを含み、それらの初期値はa1、b1、及びe1である。TC2はParameter A及びParameter Cを含み、それらの初期値はa2及びc2である。TC3はParameter A及びParameter Cを含み、それらの初期値はa3及びc3である。共通パラメータ抽出部22aは、Parameter A、Parameter B、Parameter C、及びParameter Eを共通パラメータとして抽出する。
【0037】
図2(b)は、共通パラメータ抽出部22aにより抽出された共通パラメータの一覧の表示部27における表示例を簡易的に示す図である。共通パラメータリストの欄には、共通パラメータである、Parameter A、Parameter B、Parameter C、及びParameter Eの一覧が表示される。共通パラメータリストの各共通パラメータの欄には、各共通パラメータに共通に設定する変更値をユーザが操作部26を介して入力できる共通パラメータ変更入力部としてのテキストボックス30が設けられている。
【0038】
また、図2(b)に示すように、TC1、TC2、及びTC3の欄には、共通パラメータごとにテストケース指定部としてのチェックボックス31が設けられていてもよい。ユーザは、操作部26を介してチェックボックス31にチェックマークの入力あり(オン)/入力なし(オフ)を切り替えられるようになっている。例えば、Parameter AについてTC1、TC2、及びTC3のチェックボックス31がオンになっている状態は、Parameter Aに同一の変更値を設定できるテストケースとしてTC1、TC2、及びTC3が指定されていることを示す。なお、デフォルトの表示状態では、各テストケースに存在する全ての共通パラメータのチェックボックス31がオンになっていてもよい。
【0039】
図2(d)は、共通パラメータリストの欄において、Parameter Aに変更値a'、Parameter Bに変更値b'、Parameter Cに変更値c'が入力され、Parameter Eには変更値が入力されていない状態を示している。また、図2(d)は、TC1、TC2、及びTC3の欄において、Parameter AについてTC1及びTC2のチェックボックス31がオン、Parameter BについてTC1のチェックボックス31がオン、Parameter CについてTC2及びTC3のチェックボックス31がオン、Parameter EについてTC1のチェックボックス31がオンになっている状態を示している。
【0040】
図2(c)は、図2(d)に示した共通パラメータの一覧に入力された内容を反映した状態のテストケースとパラメータの一覧を示している。TC1及びTC2におけるParameter Aには変更値a'が設定され、TC3におけるParameter Aには初期値のa3がそのまま設定される。TC1におけるParameter Bには変更値b'が設定される。TC2及びTC3におけるParameter Cには変更値c'が設定される。TC1におけるParameter Eには初期値のe1がそのまま設定される。
【0041】
なお、図2(c)に示したテストケースとパラメータの一覧において、ユーザによる操作部26への操作入力により、表示されているパラメータの値(a'、a3、b'、c'、e1)を個別に変更することも可能である。
【0042】
以下、移動端末試験システム1を用いる移動端末試験方法について、図3図5のフローチャートを参照しながら説明する。
【0043】
まず、試験実行制御部22は、テストケース記憶部21に保存されているテストケースと各種パラメータの初期値を読み込む(ステップS1)。
【0044】
次に、ユーザが操作部26を介して、複数のテストケースを選択してシーケンスに追加する(テストケース選択ステップS2)。
【0045】
次に、試験実行制御部22は、シーケンスに追加されたテストケースとパラメータの一覧を、表示制御部25を介して表示部27に表示させる(ステップS3)。
【0046】
次に、ユーザが操作部26を介して、共通パラメータ抽出処理の実行指示を行う(ステップS4)。
【0047】
次に、試験実行制御部22の共通パラメータ抽出部22aは、テストケース選択ステップS2により選択された複数のテストケースに含まれる複数のパラメータのうち、同種のパラメータを複数の共通パラメータとして抽出する共通パラメータ抽出処理を実行する(共通パラメータ抽出ステップS5)。なお、共通パラメータ抽出ステップS5の詳細については後述する。
【0048】
次に、試験実行制御部22は、共通パラメータ抽出ステップS5により抽出された複数の共通パラメータの一覧(例えば、図2(b)参照)を、表示制御部25を介して表示部27に表示させる(共通パラメータ表示ステップS6)。
【0049】
次に、ユーザが操作部26を介して、表示部27に表示された共通パラメータの一覧において、複数の共通パラメータの設定値の変更値をそれぞれ入力する(例えば、図2(d)参照)(共通パラメータ変更入力ステップS7)。
【0050】
次に、試験実行制御部22の共通パラメータ設定部22bは、共通パラメータ変更入力ステップS7により入力された変更値を複数の共通パラメータにそれぞれ一括設定する(共通パラメータ設定ステップS8)。なお、共通パラメータ設定ステップS8の詳細については後述する。
【0051】
次に、試験実行制御部22は、共通パラメータ設定ステップS8により変更値が一括設定された複数の共通パラメータとテストケースの一覧(例えば、図2(c)参照)を、表示制御部25を介して表示部27に表示させる(ステップS9)。
【0052】
次に、試験実行制御部22は、共通パラメータ設定ステップS8により変更値が一括設定された複数の共通パラメータとテストケースの一覧を、テストケース記憶部21に保存する(ステップS10)。
【0053】
次に、ユーザが操作部26を介して、コンフォーマンステストの実行指示を行う。これにより、試験実行制御部22は、共通パラメータ設定ステップS8により設定された複数の共通パラメータを含む各種パラメータを用いて、コンフォーマンステストにおける複数のテストケースの試験の測定を測定装置100に実行させる(試験実行ステップS11)。
【0054】
以下、図4のフローチャートを参照しながら、共通パラメータ抽出ステップS5の処理について説明する。
【0055】
まず、試験実行制御部22の共通パラメータ抽出部22aは、空の共通パラメータリストを作成する(ステップS21)。
【0056】
次に、共通パラメータ抽出部22aは、シーケンスに追加された複数のテストケースの中からテストケース(仮に、「テストケースX」とする)を1つ選択する(ステップS22)。
【0057】
次に、共通パラメータ抽出部22aは、ステップS22で選択されたテストケースXに含まれるパラメータ(仮に、「パラメータY」とする)を1つ選択する(ステップS23)。
【0058】
次に、共通パラメータ抽出部22aは、ステップS23で選択されたパラメータYが共通パラメータリストに含まれているか否かを判断する(ステップS24)。パラメータYが共通パラメータリストに含まれていない場合には、共通パラメータ抽出部22aは、ステップS25の処理を実行する。一方、パラメータYが共通パラメータリストに含まれている場合には、共通パラメータ抽出部22aは、ステップS26の処理を実行する。
【0059】
ステップS25において共通パラメータ抽出部22aは、ステップS23で選択されたパラメータYを共通パラメータリストに追加する(ステップS25)。
【0060】
ステップS26において共通パラメータ抽出部22aは、ステップS22で選択されたテストケースXに含まれるパラメータのうち、ステップS23で選択されていないパラメータがあるか否かを判断する(ステップS26)。ステップS23で選択されていないパラメータがある場合には、共通パラメータ抽出部22aは、再びステップS23以降の処理を実行する。一方、ステップS23で選択されていないパラメータがない場合には、共通パラメータ抽出部22aは、ステップS27の処理を実行する。
【0061】
ステップS27において共通パラメータ抽出部22aは、シーケンスに追加された複数のテストケースの中で、ステップS22で選択されていないテストケースがあるか否かを判断する(ステップS27)。ステップS22で選択されていないテストケースがある場合には、共通パラメータ抽出部22aは、再びステップS22以降の処理を実行する。一方、ステップS22で選択されていないテストケースがない場合には、共通パラメータ抽出部22aは、共通パラメータ抽出ステップS5の処理を終了する。
【0062】
以下、図5のフローチャートを参照しながら、共通パラメータ設定ステップS8の処理について説明する。
【0063】
まず、試験実行制御部22の共通パラメータ設定部22bは、シーケンスに追加された複数のテストケースの中からテストケース(仮に、「テストケースX'」とする)を1つ選択する(ステップS31)。
【0064】
次に、共通パラメータ設定部22bは、共通パラメータリストに含まれる共通パラメータ(仮に、「共通パラメータY'」とする)を1つ選択する(ステップS32)。
【0065】
次に、共通パラメータ設定部22bは、ステップS32で選択された共通パラメータY'が、ステップS31で選択されたテストケースX'に含まれているか否かを判断する(ステップS33)。共通パラメータY'がテストケースX'に含まれている場合には、共通パラメータ設定部22bは、ステップS34の処理を実行する。一方、共通パラメータY'がテストケースX'に含まれていない場合には、共通パラメータ設定部22bは、ステップS35の処理を実行する。
【0066】
ステップS34において共通パラメータ設定部22bは、共通パラメータ変更入力ステップS7でユーザが入力した共通パラメータY'の変更値を共通パラメータY'に設定する(ステップS34)。
【0067】
ステップS35において共通パラメータ設定部22bは、共通パラメータリストに含まれる共通パラメータのうち、ステップS32で選択されていない共通パラメータがあるか否かを判断する(ステップS35)。ステップS32で選択されていない共通パラメータがある場合には、共通パラメータ設定部22bは、再びステップS32以降の処理を実行する。一方、ステップS32で選択されていない共通パラメータがない場合には、共通パラメータ設定部22bは、ステップS36の処理を実行する。
【0068】
ステップS36において共通パラメータ設定部22bは、シーケンスに追加された複数のテストケースの中で、ステップS31で選択されていないテストケースがあるか否かを判断する(ステップS36)。ステップS31で選択されていないテストケースがある場合には、共通パラメータ設定部22bは、再びステップS31以降の処理を実行する。一方、ステップS31で選択されていないテストケースがない場合には、共通パラメータ設定部22bは、共通パラメータ設定ステップS8の処理を終了する。
【0069】
以上説明したように、本実施形態に係る移動端末試験システム1は、シーケンスに追加された複数のテストケースに含まれる共通パラメータを抽出し、ユーザにより操作部26を介して入力された変更値を複数の共通パラメータにそれぞれ一括設定する構成である。この構成により、本実施形態に係る移動端末試験システム1は、ユーザがテストケースごとに各種パラメータを個別に設定する必要がなくなるので、複数のテストケースのパラメータ設定に要していた時間を大幅に短縮することができる。さらに、本実施形態に係る移動端末試験システム1は、ユーザによるパラメータの設定漏れやミスを防ぐことができるため、短時間かつ最小の操作で多数のテストケースの測定を完了することが可能である。
【0070】
また、本実施形態に係る移動端末試験システム1は、共通パラメータに変更値を一括設定させるテストケースを複数のテストケースの中から任意に指定できる構成になっている。この構成により、本実施形態に係る移動端末試験システム1は、複数のテストケースのうちの一部のテストケースで、他のテストケースと異なる値を共通パラメータに設定することも可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 移動端末試験システム
10 試験実行部
11 疑似基地局部
12 結合器
20 制御装置
21 テストケース記憶部
22 試験実行制御部
22a 共通パラメータ抽出部
22b 共通パラメータ設定部
25 表示制御部(共通パラメータ表示制御部)
26 操作部(テストケース選択部、共通パラメータ変更入力部、テストケース指定部)
27 表示部
30 テキストボックス(共通パラメータ変更入力部)
31 チェックボックス(テストケース指定部)
100 測定装置
200 移動端末
図1
図2
図3
図4
図5