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特開2023-144690燃費可視化システム、燃費可視化方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144690
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】燃費可視化システム、燃費可視化方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20231003BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20231003BHJP
   G01M 17/007 20060101ALI20231003BHJP
   G01F 9/00 20060101ALN20231003BHJP
【FI】
G06Q50/10
F02D45/00 369
G01M17/007 J
G01F9/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051794
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000153546
【氏名又は名称】ロジスティード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】中澤 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】石川 悠
(72)【発明者】
【氏名】森屋 嘉裕
(72)【発明者】
【氏名】木村 修
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 健夫
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 貴志
【テーマコード(参考)】
2F030
3G384
5L049
【Fターム(参考)】
2F030CC14
2F030CE22
3G384BA13
3G384BA47
3G384DA41
3G384EE16
3G384FA01Z
3G384FA14Z
3G384FA18Z
3G384FA49Z
3G384FA56Z
3G384FA73Z
3G384FA85Z
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】車両の燃費を、ECUに記録されているデータから算出して可視化する燃費可視化システム、燃費可視化方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】車両20から取得した車両データに基づきから燃費を取得する複数の取得部121~124と、複数の取得部121~124のいずれか1つが燃費を取得できない場合に、燃費を車両データに基づいて算出する他の取得部に切り替える切替部13と、を備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の燃費を可視化する燃費可視化システムであって、
前記車両から取得した車両データに基づき前記燃費を取得する複数の取得部と、
前記複数の取得部のいずれか1つが燃費を取得できない場合、他の取得部に切り替える切替部と、
を備える燃費可視化システム。
【請求項2】
前記複数の取得部いずれか1つは、前記車両データに前記燃費の項目がある場合、当該燃費の項目のデータを燃費のデータとして取得する第1取得部を含み、
前記切替部が、前記第1取得部が前記車両データから前記燃費のデータを取得できない場合、前記他の取得部に切り替える請求項1に記載の燃費可視化システム。
【請求項3】
前記複数の取得部は、前記車両データに前記燃料噴射量の項目がある場合、当該燃料噴射量に基づき、燃費を算出する第2取得部を含み、
前記切替部が、前記第2取得部が前記燃料噴射量に基づき前記燃費を算出できない場合、前記他の取得部に切り替える請求項1または請求項2に記載の燃費可視化システム。
【請求項4】
前記複数の取得部は、前記車両データに前記吸気流量の項目がある場合、当該吸気流量に基づき、燃費を算出する第3取得部を含み、
前記切替部が、前記第3取得部が前記吸気流量に基づき前記燃費を算出できない場合、前記他の取得部に切り替える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の燃費可視化システム。
【請求項5】
前記取得部で取得される燃費は、前記車両がイグニッションオンされてから取得時点までの燃費、または前回給油時から取得時点までの燃費である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の燃費可視化システム。
【請求項6】
車両の燃費を可視化する燃費可視化方法であって、
前記車両から取得した車両データに基づき前記燃費を取得する複数の取得方法のいずれか1つを実行するステップと、
前記複数の取得方法のいずれか1つが燃費を取得できない場合に、他の取得方法に切り替えるステップと、
を含む方法。
【請求項7】
車両の燃費を可視化する燃費可視化システムを、
前記車両から取得した車両データに基づき前記燃費を取得する複数の取得部と、
前記複数の取得部のいずれか1つが燃費を取得できない場合に、他の取得部に切り替える切替部と、して機能させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃費可視化システム、燃費可視化方法、およびプログラム、特に、車両の燃費を可視化する燃費可視化システム、燃費可視化方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
運送業で使用されるトラック等は、いわゆるエコドライブに関する機能を持たず、燃費を確認できない車両が多く存在する。一方、普通車においては、近年、環境問題に対する社会の関心が高まっていることを受け、燃費を算出して計器類付近に表示する機能を持つ車両が存在している。
【0003】
また、燃費を表示する機能を持たない車両でも、燃費をユーザに提示することができる技術が知られている。例えば、特許文献1は、ユーザの携帯通信端末が車両から前回の給油からの走行距離を含む車両情報を自動的に取得し、ユーザが入力した今回の給油量と共にサーバへ送信して、サーバに算出させた燃費を携帯通信端末の画面に表示させる車両用装置を開示している。そして、この発明によれば、携帯通信端末が車両情報を自動的に取得するため、ユーザは簡単に燃費算出サービスを受けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013―237424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、燃費や、燃費算出に利用される走行距離と燃料消費量とは、いわゆる故障診断装置(OBDII)の機能により計測あるいは算出され、ECUに記録される場合がある。この仕組みを活用すると、ユーザは、何ら操作の必要がなく、特許文献1の装置の場合より簡便に燃費算出サービスを受けることが可能になる。しかしながら、ECUで管理するデータの管理項目はメーカで異なるため、燃費の管理項目や、燃費算出に利用される走行距離と燃料消費量の管理項目が存在しない場合がある。そのため、必要な管理項目が存在しない車両は、燃費を算出できない可能性があった。
【0006】
そこで、本発明は、ECUが管理する管理項目が異なる場合でも車両の燃費を可視化する燃費可視化システム、燃費可視化方法、およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示する第1の発明は、車両の燃費を可視化する燃費可視化システムであって、前記車両から取得した車両データに基づき前記燃費を取得する複数の取得部と、前記複数の取得部のいずれか1つが燃費を取得できない場合に、他の取得部に切り替える切替部と、を備える燃費可視化システムを提供する。
【0008】
本明細書に開示する第2の発明は、第1の発明に係る燃費可視化システムであって、前記複数の取得部は、前記車両データに前記燃費の項目がある場合、当該燃費の項目のデータを燃費のデータとして取得する第1取得部を含み、前記切替部は、前記第1取得部が前記車両データから前記燃費のデータを取得できない場合、前記他の取得部に切り替える燃費可視化システムを提供する。
【0009】
本明細書に開示する第3の発明は、第1の発明又は第2の発明に係る燃費可視化システムであって、前記複数の取得部は、前記車両データに前記燃料噴射量の項目がある場合、当該燃料噴射量に基づき、燃費を算出する第2取得部を含み、前記切替部が、前記第2取得部が前記燃料噴射量に基づき前記燃費を算出できない場合、前記他の取得部に切り替える燃費可視化システムを提供する。
【0010】
本明細書に開示する第4の発明は、第1の発明から第3の発明のいずれか1つに係る燃費可視化システムであって、前記複数の取得部は、前記車両データに前記吸気流量の項目がある場合、当該吸気流量に基づき、燃費を算出する第3取得部を含み、前記切替部が、前記第3取得部が前記吸気流量に基づき前記燃費を算出できない場合、前記他の取得部に切り替える燃費可視化システムを提供する。
【0011】
本明細書に開示する第5の発明は、第1の発明から第4の発明のいずれか1つに係る燃費可視化システムであって、前記取得部で取得される燃費は、前記車両がイグニッションオンされてから取得時点までの燃費、または前回給油時から取得時点までの燃費である燃費可視化システムを提供する。
【0012】
本明細書に開示する第6の発明は、車両の燃費を可視化する燃費可視化方法であって、前記車両から取得した車両データに基づき前記燃費を取得する複数の取得方法のいずれか1つを実行するステップと、前記複数の取得方法のいずれか1つが燃費を取得できない場合に、他の取得方法に切り替えるステップと、を含む方法を提供する。
【0013】
本明細書に開示する第7の発明は、車両の燃費を可視化する燃費可視化システムを、前記車両から取得した車両データに基づき前記燃費を取得する複数の取得部と、前記取得部のいずれか1つが燃費を取得できない場合に、他の取得部に切り替える切替部と、して機能させるプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車両の燃費を、ECUが管理する管理項目が異なる場合でも車両の燃費を可視化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る燃費可視化システム1の概要を説明する図である。
図2】本発明の実施形態に係る燃費可視化システム1の機能構成を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る燃費データDB142を模式的に示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る車両マスタDB143を模式的に示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る燃費可視化システム1の燃費可視化処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号または符号を付している。
【0017】
[基本概念/基本構成]
図1は、本発明の実施形態に係る燃費可視化システム1の概要を説明するための図である。図に示すように、燃費可視化システム1は、燃費可視化装置10と、複数の対象車両20と、車両20の運転手、車両20の整備を行う整備事業者、および車両20を管理する輸送業者といったクライアントのコンピュータ(以下、クライアントPCという)30とを含む。複数の車両20、クライアントPC30は、4GやWi-Fi(登録商標)などの無線ネットワーク40やインターネット50を介して燃費可視化装置10と接続される。
【0018】
本実施形態において、燃費可視化装置10は、クラウドサーバとするが、オンプレミスであってもよい。また、クライアントPC30は、1台以上あればよく、図に示すように、例えばラップトップコンピュータやスマートフォンなどの携帯型の端末である。また、デスクトップコンピュータなどの据え置き型の端末であってもよい。
【0019】
燃費可視化システム1は、車両20から取得したライブデータに基づいて、車両20の燃費を取得または算出し、取得または算出した燃費をクライアントPC30に提示するシステムである。ここで、ライブデータとは、車両20のECU(Electronic Control Unit)に記録されている、車両を構成する機器の稼働状況に関するデータであって、車両20に備えられたセンサが検知した検知結果や、検知結果から算出された算出結果である。
【0020】
燃費可視化装置10は、車両20から、ライブデータと、自動車登録番号(いわゆるナンバープレート番号)や車体番号といった車両20を識別するための車両識別情報と、を含む車両データを取得する。
【0021】
燃費可視化装置10は、取得した車両データのライブデータに燃費データが含まれている場合には、燃費データを取得する。
【0022】
また、ライブデータに燃費データが含まれていない場合には、燃費可視化装置10は、燃費データを算出するために利用する燃料消費量データをライブデータから取得し、取得した燃料消費量データに基づいて燃費データを算出する。詳細には、燃費可視化装置10は、ライブデータから燃料消費量データと走行距離データとを取得し、燃費データを算出する。なお、ライブデータに走行距離データが含まれない場合には、ライブデータのデータから走行距離データを算出してもよいし、車両20のナビゲーションシステムや車両のトリップメータ等から別途取得してもよい。
【0023】
さらに、ライブデータに燃料消費量データも含まれていない場合には、燃費可視化装置10は、燃料噴射量データまたは吸気流量データを取得し、取得したデータに基づいて燃費データを算出する。詳細には、燃費可視化装置10は、燃料噴射量データまたは吸気流量データに基づいて燃料消費量データを算出し、算出した燃料消費量データと走行距離データとに基づいて燃費データを算出する。
【0024】
燃費可視化装置10は、取得または算出した燃費データをクラインアントPC30に送信する。燃費可視化装置10は、クライアントPC30からの要求に応じて燃費データを送信してもよいし、取得または算出したことに応じてクライアントPC30に自動で送信してもよい。
【0025】
このように、燃費可視化装置10は、車両20から取得した車両データのライブデータに燃費データが含まれていない場合でも、燃費データの算出に利用できる燃料消費量データ、燃料噴射量データ、または吸気流量データがライブデータに含まれていれば燃費データを算出できる。
【0026】
これにより、ECUが管理する管理項目が異なる場合でも車両の燃費を可視化することができる。したがって、メーカの違いに関わらず、車両の燃費を、ECUに記録されているデータから算出して可視化することができる。
【0027】
[燃費可視化システムの機能構成]
図2は本発明の実施形態に係る燃費可視化システム1の機能構成を説明するための図である。図に示すように、燃費可視化システム1は、燃費可視化装置10と、燃費可視化装置10にネットワークを介して接続された車両20と、クライアントPC30と、を備える。
【0028】
[車両の機能構成]
図に示すように、車両20は、ECU21,22と、各センサ23~26と、送信機27と、を備える。ECU21,22は、車両20が性能を発揮するため、接続される各センサから検知結果、すなわち検知対象とする物理状態量の現在の値を所定のタイミングまたは常時取得し、検知結果に基づいて最適な制御を行う。また、ECU21,22は、各センサの検知結果をライブデータ管理項目名と対応付けて、例えば、燃料噴射量の項目に40mm3/秒を対応付けて記録する。ECU21,22は、例えば、エンジンECU、車両制御ECU、ブレーキECU等、対象車両20の機能毎に複数設けられる。
【0029】
各センサは、例えば、大気圧センサ23、吸気バルブの開度を検出する吸気バルブセンサ24、吸気管の吸気流量を検知するエアフローセンサ25、エンジン回転数センサ26、シフトポジションセンサなどがある。
【0030】
また、ECU21は内部に、OBDII(On Board Diagnostics)210を搭載する。OBDII210は、車両20の異常または故障を診断する故障診断プログラムである。OBDII210は、ECU21,22に接続されている各センサ23~26の検知結果をECUに記録し、各センサ23~26の検知結果に基づいて、車両20の異常や故障を診断する。また、OBDII210は、不具合が生じていると判断した場合に、不具合に応じて予め設定されたDTC(Diagnostic Trouble Code)を出力し、判断時のライブデータと共にETC21に記録する。ここで、DTCとは、故障コードと言われるアルファベットと4桁の数字とで構成されるコードであって、故障個所や不具合内容を示すものである。
【0031】
送信機27は、例えば、車両20に搭載されたカーナビや、CAN(Controller Area Network)の端子部に着脱可能に装着され、CANの規格に従った通信用デバイスである。送信機27は、CANなどの車内ネットワークを介してECU21,22に接続され、ECU21,22から、ライブデータや故障コードを取得する。
【0032】
また、送信機27は、ネットワークを介して燃費可視化装置10と接続され、車両識別情報およびライブデータを含む車両データを燃費可視化装置10に送信する。車両識別情報は、ECU21,22が管理していてもよいし、送信機27が管理していてもよい
【0033】
送信機27は、車両データに、送信機27を識別する送信機識別情報や、インストールされているソフトウェアのバージョン、設置日等を含めて、燃費可視化装置10に送信していてもよい。燃費可視化装置10が車両毎にこれらの情報を予め管理している場合、送信機27から取得した情報と燃費可視化装置10が予め管理している情報とを照合することで、燃費可視化装置10へのアクセス認証に用いることができる。
【0034】
[燃料可視化装置の機能構成]
燃料可視化装置10は、図2に示すように、通信部11と、燃費取得部12と、切替部13と、記憶部14と、を備える。
【0035】
記憶部14は、ライブデータデータベース(以下、この明細書および図面においてデータベースをDBと記載することがある)141と、燃費データベース142と、車両マスタデータベース143と、を含む。本実施形態において燃料可視化装置10はクラウドサーバであるので、記憶部14は、クラウドストレージや分散型台帳で構成されるのが望ましい。
【0036】
通信部11は、車両20の送信機27およびクライアントPC30と通信を行う。詳細には、通信部11は、車両20の送信機27から、車両データを取得する。また、通信部11は、燃費取得部12で取得した燃費データをクライアントPC30に送信する。
【0037】
燃費取得部12は、第1取得部121と、第2取得部122と、第3取得部123と、第4取得部124の各取得部を備える。燃費取得部12の各取得部は、車両20の送信機27から取得した車両データの車両識別情報にライブデータを対応付けてライブデータDB141に記録するとともに、ライブデータから燃費データを取得する。
【0038】
詳細には、第1取得部121は、車両識別情報にライブデータを対応付けてライブデータDB141に一時記録した後、ライブデータに燃費の項目があるか否か判断する。そして、第1取得部121は、ライブデータに燃費の項目がある場合に、燃費の項目に対応付けられた燃費データを取得する。第1取得部121は、取得した燃費データを燃費データDB142に車両識別情報と対応付けて記録する。一方、切替部13は、第1取得部121がライブデータに燃費の項目がないと判断した場合には、第2取得部122に処理を移す。
【0039】
図3は、本発明の実施形態に係る燃費データDB142を模式的に示す図である。燃費データDB142は、車両識別情報、燃費データ、算出日等を示す情報を含む。
【0040】
また、第1取得部121は、取得した燃費データを、通信部11を介してクライアントPC30に送信する。クライアントPC30への燃費データの送信は、クライアントPC30から要求があったタイミングであってもよいし、第1取得部121が燃費データを取得したタイミングであってもよい。
【0041】
例えば、クライアントPC30から要求があった場合には、クライアントPC30から取得した車両識別番号に基づいて、燃費データDB142を参照して、燃費データを取得して送信する。また、第1取得部121が燃費データを取得したタイミングの場合には、例えば、車両データの車両識別情報に基づいて、車両マスタDB143を参照して、クライアントPC30の通知先を取得し、取得した通知先に通知を送信する。この時、車両マスタDB143に記録されている車両の情報を併せて通知してもよい。
【0042】
図4は、本発明の実施形態に係る車両マスタDB143を模式的に示す図である。車両マスタDB143は、車両識別情報、メーカ、型式、製造年、ユーザ名、通知先等を示す情報を含む。
【0043】
なお、燃費取得部12は、所定期間の燃費データを算出してもよい。具体的には、燃費データDB142は、過去に算出した燃費データを記録しており、燃費取得部12は、この燃費データを用いて、例えば、直近一ヵ月間の燃費データの平均などを算出する。
【0044】
切替部13は、第1取得部121がライブデータに燃費の項目がないと判断した場合に、ライブデータから取得した、燃費データを算出するために利用するデータに応じて取得方法を切り替えて燃費データを取得する。
【0045】
切替部13は、ライブデータに応じて第1取得部121,第2取得部122,第3取得部123、および第4取得部124を切り替える。詳細には、切替部13は、ライブデータに燃料消費量の項目があって燃料消費量データを取得した場合には第2取得部122へ、ライブデータに燃料噴射量の項目があり燃料噴射量データを取得した場合には第3取得部123、ライブデータに吸気流量の項目があり吸気流量データを取得した場合には第4取得部124に切り替える。
【0046】
第2取得部122は、ライブデータから取得した燃料消費量データに基づいて燃費データを算出する。詳細には、第2取得部122は、ライブデータから取得した走行距離データを、同様にライブデータから取得した燃料消費量データで除算して算出する。
【0047】
なお、走行距離がライブデータに含まれていない場合には、車両20のトリップメータから取得する、ライブデータのエンジン回転数とシフトポジション情報および車両マスタDB143等に記憶しているタイヤのインチ数に基づいて算出する、GNSS衛星によって測位された車両の位置情報を車両に搭載されているカーナビゲーションシステムから取得して算出する等の従来技術を用いて、走行距離を取得することができる。
【0048】
第2取得部122は、ライブデータから所定期間中の燃料消費量データを取得することで、所定期間中の燃費データを算出することができる。ここで、所定期間は、イグニッションオンから算出時点としてもよいし、前回の給油時から算出時点としてもよい。給油時は、例えば、給油口カバーに開閉を検知するセンサを設置し、センサの検知結果をライブデータに含めれば、燃費可視化装置10にて給油時を検知可能である。これら所定期間に関する情報は、車両20のECU21,22が検出し、検出結果をライブデータに対応付けて記録する。そして、第2取得部12が、所定期間に関する情報を含んだライブデータをライブデータDBへ記録する。
【0049】
第3取得部123は、ライブデータから取得した燃料噴射量データに基づいて燃費データを算出する。詳細には、第3取得部123は、例えば、1秒あたりの燃料噴射量データ×(噴射時間-無効噴射時間)×{所定期間のエンジン回転数/(サイクル数/2)}×気筒数、として所定期間中の燃料消費量データを算出する。なお、所定期間は第2取得部122で説明したとおりである。
【0050】
次に、第3演算部123は、算出した燃料消費量データに基づいて燃費データを算出する。算出方法は第2取得部122が実行した方法と同様である。なお、第3取得部123は、算出した燃料消費量データを第2の取得部122に渡し、燃費の算出を第2取得部122で行ってもよい。
【0051】
第4取得部124は、ライブデータから取得した吸気流量データに基づいて燃費データを算出する。詳細には、第4取得部124は、まず、ライブデータから取得した吸気流量データに基づいて燃料消費量データを算出する。例えば、吸気流量データ/理論空燃比により、1サイクル当たりの燃料噴射量データを推定する。次に、1サイクル当たりの燃料噴射量データ×{所定期間のエンジン回転数/(サイクル数/2)}×気筒数として、所定期間中の燃料消費量データを算出する。なお、所定期間は第2取得部122で説明した通りである。
【0052】
次に、第4取得部124は、算出した燃料消費量データに基づいて燃費データを算出する。算出方法は第2取得部122と同様である。なお、第4取得部124は、算出した燃料消費量データを第2取得部122に渡し、燃費の算出を第2取得部122で行ってもよい。
【0053】
燃費取得部12の各取得部は、第1取得部121、第2取得部122、第3取得部123、および第4取得部124のいずれかで取得した燃費データを、車両データの車両識別情報と対応付けて燃費データDB142に記録する。また、第1取得部121、第2取得部122、第3取得部123、および第4取得部124の各取得部は、取得した燃費データを、通信部11を介してクライアントPC30に送信する。送信するタイミングは、クライアントPC30から要求があったタイミングであってもよいし、各取得部が燃費データを取得したタイミングであってもよい。
【0054】
上記の本システムの機能構成は、あくまで一例であり、1つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて1つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置や端末に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置(記憶部)に格納されたコンピュータ・プログラム(例えば、基幹ソフトや上述の各処理をCPUに実行させるアプリ等)を読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。
【0055】
図6を用いて、本発明の実施形態に係る燃費可視化システム1の燃費可視化処理について説明する。本処理は、燃費可視化装置10が実行する。
【0056】
まず、通信部11は、車両識別情報およびライブデータを含む車両データを車両20から取得する(S1)。次に、第1取得部121は、S1で取得したライブデータに燃費の項目があるか否か判断し、燃費の項目がある場合(YES)には、燃費の項目に対応付けられた燃費データを取得してS8に処理を進め、一方、燃費の項目がない場合(NO)には、S3に処理を進める(S2)。
【0057】
次に、切替部13は、第2取得部122を実行する。第2取得部122は、S1で取得したライブデータに燃料消費量の項目があるか否か判断し、燃料消費量の項目がある場合(YES)には、燃料消費量の項目に対応付けられた燃料消費量データを取得してS7に処理を進め、一方、燃料消費量の項目がない場合(NO)には、S4に処理を進める(S3)。
【0058】
次に、切替部13は、第3取得部123を実行する。第3取得部123は、S1で取得したライブデータに燃料噴射量の項目があるか否か判断し、燃料噴射量の項目がある場合(YES)には、燃料噴射量の項目に対応付けられた燃料噴射量データを取得してS6に処理を進め、一方、燃料噴射量の項目がない場合(NO)には、S5に処理を進める(S4)。
【0059】
次に、切替部13は、第4取得部124を実行する。S1で取得したライブデータに吸気流量の項目があるか否か判断し、吸気流量の項目がある場合(YES)には、吸気流量の項目に対応付けられた吸気流量データを取得してS6に処理を進め、一方、吸気流量の項目がない場合(NO)には処理を終了する(S5)。なお、S2、S3、S4およびS5は、順序を入れ替えてもよい。本実施形態は、計算処理が不要な第1取得部121を最初に実行する。これにより、処理速度を向上させるとともに、燃費可視化装置10の負担を軽減できる。
【0060】
次に、S4で燃料噴射量データを取得した場合には、第3取得部123が燃料噴射量データに基づいて燃料消費量データを算出し、S5で吸気流量データを取得した場合には、第4取得部124が吸気流量データに基づいて燃料消費量データを算出する(S6)。
【0061】
次に、S3で取得した燃料消費量データに基づき第2取得部122が燃費データを算出し、または、S6で算出した燃料消費量データに基づき第3取得部123が燃費データを算出し、または、S6で算出した燃料消費量データに基づき第4取得部124が燃費データを算出する(S7)。
【0062】
そして、燃費取得部12の各取得部は、第1取得部121がS2で取得した燃費データを、または、第2取得部122、第3取得部123および第4取得部124がS7で算出した燃費データを、クライアントPC30に送信する(S8)。
【0063】
以上説明したように、燃費可視化装置10は、車両20から取得した車両データのライブデータに燃費データが含まれていない場合でも、燃費データの算出に利用できる燃料消費量データ、燃料噴射量データ、または吸気流量データがライブデータに含まれていれば、切替部13がそれぞれのデータに応じて処理を切り替えるため、燃費データを取得できる。
【0064】
このように、ライブデータに含まれるデータに応じて燃費データの取得に関する処理を変更することで、ECUに記録されているデータが異なる場合でも車両の燃費データを取得することができる。したがって、車両に搭載されるECUの管理項目に関わらず、車両の燃費を、ECUに記録されているデータから算出して可視化することができる。これにより、様々なメーカの車両に対応でき、幅広い車両の燃費を提供することができる。
【0065】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。なお、上記の実施形態では、本発明を物の発明として、燃費可視化システムについて説明したが、本発明において燃費可視化システムが実行する方法や、燃費可視化システムを各手段として機能させるプログラムの発明と捉えることもできる。
【符号の説明】
【0066】
1 燃費可視化システム
10 燃費可視化装置
11 通信部
12 燃費取得部
121 第1取得部
132 第2取得部
133 第3取得部
134 第4取得部
13 切替部
14 記憶部
141 ライブデータデータベース
142 燃費データデータベース
143 車両マスタデータベース
20 車両
21,22 ECU
210 OBDII
23~26 センサ
30 クライアントPC
図1
図2
図3
図4
図5