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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144723
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】積降ろし玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 18/16 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
A63H18/16 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051843
(22)【出願日】2022-03-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大江 翼
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 広幸
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150CA06
2C150CA08
2C150DA16
2C150DA38
2C150DK17
2C150EA03
2C150EA05
2C150EB01
2C150EB37
2C150EB41
(57)【要約】
【課題】同一場所で荷の積降ろしができる簡易な構造の積降ろし玩具を提供すること。
【手段】 前端に起倒可能なフラップを有する積降ろし具を往復動作させることにより荷の積降ろしを行うように構成された積降ろし玩具であって、荷積みをする際に荷を押し出すように構成され、押し出す荷があるときにはフラップを起立させずに初期位置に積降ろし具を引き戻して荷を積載部に荷積みし、押し出す荷がないときには積載部奥まで進入したフラップを起立させて積載部にある荷を掻き出して荷降ろしするように構成した。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送面上で荷を摺動させて積降ろしする積降ろし玩具であって、
前後方向の往復動作によって積載部に対して進退可能に構成された積降ろし具と、
前記積降ろし具を往復動作させる積降ろし具移動装置と、
固定部に設けられた第1係合部と、
を備え、
前記積降ろし具の筐体に設けられ、前記筐体に対して起伏可能なフラップと、
前記積降ろし具の前進位置で前記第1係合部に係合する第2係合部を有し、前記第1係合部と前記第2係合部との係合によって、前記フラップを初期位置である伏せ位置から起立させるフラップ操作部材と、
前記筐体に対して、初期位置である第1位置と第2位置とを選択的に取り得且つ荷の前方押出し時に荷から受ける反力により第1位置から第2位置に移動可能に構成されたフラップ係止部材を有し、前記フラップ係止部材が前記第2位置にあるとき前記フラップを伏せさせ、押し出した荷を前記積載部に残したまま前記積降ろし具が後退することを許容し、前記第1位置にあるとき前記フラップを起立位置に係止し、前記積降ろし具の後退時に前記フラップに荷の掻出し動作をさせるフラップ係止機構と、
前記積降ろし具が後退位置に戻ったときに前記フラップ及び前記フラップ係止部材を初期位置に戻すリセット機構と、
を備える、ことを特徴とする積降ろし玩具。
【請求項2】
前記積降ろし具は荷の下で進退動作するように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の積降ろし玩具。
【請求項3】
前記フラップの基端部には爪が設けられ、前記フラップ係止機構には、前記爪を係止可能な第3係合部が設けられ、
前記フラップ係止部材は、
前記第1位置にあるとき、前記第3係合部がばね付勢により前記爪の移動経路内に進入した状態となり、前記フラップが起立する際に前記爪の摺接によって前記第3係合部がばね付勢に抗して移動経路から一旦退き、前記フラップが起立状態となったときに前記第3係合部がばね付勢によって移動経路内に再び進入して前記爪の戻りを阻止し、
前記第2位置にあるとき、前記第3係合部がばね付勢により前記爪の移動経路から退避した状態となり、起立した前記フラップの初期位置への戻りを許容するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積降ろし玩具。
【請求項4】
前記フラップ係止部材と前記筐体とは、前記筐体に設けられ前後方向に長尺な長孔と、前記フラップ係止部材に立設され前記長孔の中をスライド可能なピンとによって、互いに係合しており、前記ピンは、荷積みの際の荷押出し部を構成し、
前記フラップ係止部材は、前記長孔の中を前記ピンがスライドすることにより、前記フラップ係止部材が前記筐体に対して前後方向に移動するように構成され、前記第1状態にあるときに、前記ピンを中心に回動可能となっている、ことを特徴とする請求項3記載の積降ろし玩具。
【請求項5】
前記筐体の内部には、ボスに巻回されたトーションばねが設けられ、
前記トーションばねの一端は前記フラップ操作部材に係合され、他端は前記フラップ係止部材に係合されている、ことを特徴とする請求項4記載の積降ろし玩具。
【請求項6】
前記積載部は、走行玩具に形成され、前記走行玩具の床には、前記積降ろし具が挿通される凹部が形成されている、ことを特徴とする請求項5に記載の積降ろし玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積降ろし玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、積降ろし玩具として、特許文献1に記載のリフト装置玩具が知られている。このリフト装置玩具は、荷台に荷を積んだ走行玩具を荷降ろし場所に着け、荷台を傾けて荷を荷上げ部材の収容部に移し、ハンドルを操作して、荷上げ部材を上昇させ、上昇位置で荷上げ部材を回動させて荷を降ろす。そして、荷を転動させて荷積み場に移動させ、荷積み場に入ってきた走行玩具の動力によって放出部材を動作させ、当該走行玩具の荷台に荷を積むように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平7-51118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の積降ろし玩具によれば、荷降ろし場所と荷積み場とを別個設ける必要があった。また、荷降ろし機構と荷積み機構とを別個に設ける必要があり構成や操作が複雑なものとなっていた。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みなされたもので、同一場所で荷の積降ろしができる簡易な構造の積降ろし玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、
搬送面上で荷を摺動させて積降ろしする積降ろし玩具であって、
前後方向の往復動作によって積載部に対して進退可能に構成された積降ろし具と、
前記積降ろし具を往復動作させる積降ろし具移動装置と、
固定部に設けられた第1係合部と、
を備え、
前記積降ろし具の筐体に設けられ、前記筐体に対して起伏可能なフラップと、
前記降ろし具の前進位置で前記第1係合部に係合する第2係合部を有し、前記第1係合部と前記第2係合部との係合によって、前記フラップを初期位置である伏せ位置から起立させるフラップ操作部材と、
前記筐体に対して、初期位置である第1位置と第2位置とを選択的に取り得且つ荷の前方押出し時に荷から受ける反力により第1位置から第2位置に移動可能に構成されたフラップ係止部材を有し、前記フラップ係止部材が前記第2位置にあるとき前記フラップを伏せさせ、押し出した荷を前記積載部に残したまま前記積降ろし具が後退することを許容し、前記第1位置にあるとき前記フラップを起立位置に係止し、前記積降ろし具の後退時に前記フラップに荷の掻出し動作をさせるフラップ係止機構と、
前記積降ろし具が後退位置に戻ったときに前記フラップ及び前記フラップ係止部材を初期位置に戻すリセット機構と、
を備える、ことを特徴とする積降ろし玩具である。
【0007】
第2の手段は、第1の手段であって、前記積降ろし具は荷の下で進退動作するように構成されている、ことを特徴とする。
【0008】
第3の手段は、第1または第2の手段であって、
前記フラップの基端部には爪が設けられ、前記フラップ係止機構には、前記爪を係止可能な第3係合部が設けられ、
前記フラップ係止部材は、
前記第1位置にあるとき、前記第3係合部がばね付勢により前記爪の移動経路内に進入した状態となり、前記フラップが起立する際に前記爪の摺接によって前記第3係合部がばね付勢に抗して移動経路から一旦退き、前記フラップが起立状態となったときに前記第3係合部がばね付勢によって移動経路内に再び進入して前記爪の戻りを阻止し、
前記第2位置にあるとき、前記第3係合部がばね付勢により前記爪の移動経路から退避した状態となり、起立した前記フラップの初期位置への戻りを許容するように構成されている、
ことを特徴とする。
【0009】
第4の手段は、第3の手段であって、
前記フラップ係止部材と前記筐体とは、前記筐体に設けられ前後方向に長尺な長孔と、前記フラップ係止部材に立設され前記長孔の中をスライド可能なピンとによって、互いに係合しており、前記ピンは、荷積みの際の荷押出し部を構成し、
前記フラップ係止部材は、前記長孔の中を前記ピンがスライドすることにより、前記フラップ係止部材が前記筐体に対して前後方向に移動するように構成され、前記第1状態にあるときに、前記ピンを中心に回動可能となっている、ことを特徴とする。
【0010】
第5の手段は、第4の手段であって、前記筐体の内部には、ボスに巻回されたトーションばねが設けられ、前記トーションばねの一端は前記フラップ操作部材に係合され、他端は前記フラップ係止部材に係合されている、ことを特徴とする。
【0011】
第6の手段は、第5の手段であって、前記積載部は、走行玩具に形成され、前記走行玩具の床には、前記積降ろし具が挿通される凹部が形成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の手段によれば、荷積みのときには、積降ろし具を前進させる。これにより、当該荷によってフラップ係止部材が初期位置である第1位置から第2位置に移動し、積降ろし具は、荷を積載部に残したまま、引き戻される。
一方、荷を降ろすときには、押し出す荷がないため、フラップ係止部材が第1位置を保持しながら前進し、フラップが起立し、その起立状態が保持される。その結果、積降ろし具を後退させたとき、積載部に積まれていた荷がフラップによって掻き出され、荷降ろしされる。
したがって、同一場所で荷の積降ろしができる簡易で操作容易な構造の積降ろし玩具が実現できる。
この積降ろし玩具は、平面的構造玩具だけでなく、立体的構造玩具の側壁や天井にも配設できる。
【0013】
第2の手段によれば、積降ろし具が荷の下で進退動作するので、鉄道玩具その他の軌道玩具等の床に容易に組み込むことができる。つまり、積降ろし玩具を立体的構造玩具に限らず、平面的構造玩具にも適用し得る。
【0014】
第3の手段によれば、荷積みのときには、積降ろし具を前進させる。これにより、当該荷によってフラップ係止部材が初期位置である第1位置から第2位置に移動し、荷が積載部まで運ばれ、第1係合部が第2係合部に係合するとフラップが起立するが、フラップ係止部材が第2位置にあるため、フラップが起立状態を保てず伏せるので、積降ろし具は、荷を積載部に残したまま、引き戻される。
一方、荷を降ろすときには、押し出す荷がないため、フラップ係止部材が第1位置を保持しながら前進し、第1係合部が第2係合部に係合するとフラップが起立し、フラップ係止部材が第1位置にあるためフラップ係止部材によってその起立状態が保持される。その結果、積降ろし具を後退させたとき、積載部に積まれていた荷がフラップによって掻き出され、荷降ろしされる。
【0015】
第4の手段によれば、荷積みの際にピンによって荷を押し出すと、長孔の中をピンがスライドし、フラップ係止部材が第2位置に移動する。
【0016】
第5の手段によれば、フラップ操作部材及びフラップ係止部材のばね付勢を1つのトーションばねで行うことができる。
【0017】
第6の手段によれば、走行玩具の床の積載部に対して荷の積降ろしができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】鉄道玩具を示す斜視図である。
図2】駅舎玩具の斜視図である。
図3】貨物列車玩具の斜視図である。
図4】機関車の裏面側の斜視図である。
図5】機関車に牽引される貨車の斜視図である。
図6】積降ろし具を右側面側から見た斜視図である。
図7】積降ろし具の内部機構を示す斜視図である。
図8】積降ろし具の内部機構の下面図である。
図9】積降ろし具の内部機構及びリセット機構を右側から見た斜視図である。
図10】フォークリフト模型を下側から見た斜視図である。
図11】貨物列車玩具の停車機構を示す斜視図である。
図12】貨物列車玩具の停車機構を示す下面図である。
図13】自動車玩具の停車機構及び積降ろし具の移動機構を示した平面図である。
図14】荷積み時の積降ろし具の側面図である。
図15】荷積み時のフラップ係止部材の状態を示す上面図である。
図16】荷降ろし時の積降ろし具の側面図である。
図17】荷降ろし時のフラップ係止部材の状態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態の積降ろし玩具について説明する。なお、以下の説明において、前後、左右は遊戯者から見た場合の前後、左右を言うものとする。すなわち、積降ろし玩具の正面視で奥側を前、手前側を後ろとし、正面視左右を左右とする。
【0020】
《全体構成》
図1は、鉄道玩具100を示す斜視図、図2は、駅舎玩具30の斜視図である。
この鉄道玩具100は、積荷となる自動車玩具10と、自動車玩具10の積載部を構成する貨物列車玩具20と、自動車玩具10の積降ろし場30aを構成する駅舎玩具30と、を備えている。
【0021】
《各玩具の構成》
〈自動車玩具10〉
自動車玩具10は手転がしによって走行するものである。実施形態では、この自動車玩具10は積荷を構成している。ただし、積荷は自動車玩具10には限定されない。例えば、箱形の荷であってもよい。
【0022】
〈貨物列車玩具20〉
図3は、貨物列車玩具20の斜視図、図4は、機関車21の裏面側の斜視図である。
貨物列車玩具20は、3両編成となっており、先頭の機関車21と、機関車21に牽引される貨車22a、22b(総称する際には符号22を用いる。)とから構成されている。勿論、牽引される貨車22の台数は、2両に限定されない。
機関車21には、図示はしないが、電源となる電池と、動力源となるモータと、モータ動力を動輪21aに伝達する歯車列とが搭載されている。また、機関車21の車台下には、後述のレール31の第1のストッパ32a及び第2のストッパ32bに係合し貨物列車玩具20を停止させる係合部23が形成されている。
【0023】
図5は、機関車21に牽引される貨車22a、22bの斜視図である。
各貨車22はコンテナ車となっている。各貨車22の左壁24a及び天井壁24bは扉24となっており、本体25に対してヒンジ(図示せず)を介して上下に開閉可能に構成されている。また、扉24の基端部前方には貨車22の右方に突出する突片24cが形成されている。この突片24cは、後述の壁38のガイド部40に係合可能となっている。
【0024】
各貨車22の床26には、後述の積降ろし具37が挿通可能な凹部27が形成されている。凹部27は、扉24を開いたときに露出し、積降ろし具37を受容する。この凹部27は、床26の側方及び上方に開口している。なお、右壁〈符号省略〉の開口は、後述のフラップ44が起立しても戻れる大きさとなっている。
【0025】
なお、各貨車22の床26は、自動車玩具10の積載部を構成し、自動車玩具10は、前輪と後輪とで凹部27を跨いだ形で収容される。また、貨車22の床26の上面と積降ろし場30aの床の上面は、荷(自動車玩具10)の載置面を構成し、面一となっている。
【0026】
〈駅舎玩具30〉
1.外観構成
駅舎玩具30には、貨物列車玩具20が走行するレール31が左右方向に延在するように設けられている。レール31には第1のストッパ32aと第2のストッパ32bとが所定の間隔で設けられている。また、レール31には、第1のストッパ32aと第2のストッパ32bの両脇に、貨物列車玩具20の停車時に動輪21aを空転させるためのローラ33a,33b(図11参照)が設けられている。
【0027】
また、駅舎玩具30には、レール31の手前側に自動車玩具10が通行する通路34が設けられている。通路34は、積降ろし場30aに自動車玩具10を導入したり、積降ろし場30aから自動車玩具10を導出させたりするためのものである。通路34には、積降ろし位置で自動車玩具10を停車させるためのストッパ35が設けられている。
【0028】
また、駅舎玩具30には、積降ろし場30aにフォークリフト模型36が着脱可能に設けられている。フォークリフト模型36は、通路34の手前側に設けられており、前側がレール31に向けられている。さらに、駅舎玩具30には、フォークリフト模型36とレール31との間に、積降ろし具37が設けられている。フォークリフト模型36及び積降ろし具37は、一体的にレール31に対して進退する方向に動作可能となっている。また、駅舎玩具30には、レール31を挟んで積降ろし場30aに対峙する位置に壁38が立設されている。
【0029】
壁38には、貨車22の凹部27に対応した位置に凹部38aが設けられている。凹部38aには、積降ろし具37が前進した際に積降ろし具37の先端部が挿入される。凹部38aの奥には後述の突起部45aが突き当たる突当て部(第1係合部)39を構成している。
壁38には、貨車22の突片24cに係合するガイド部40が形成されている。ガイド部40は、貨物列車玩具20の走行方向前側に行くに従って高さが低くなっている。このガイド部40は、貨車22が積降ろし場30aに進入する際に当該貨車22の突片24cの上面に下面が摺接して、扉24を開放させる。また、ガイド部40は、貨車22が積降ろし場30aから離れる際には突片24cとの係合を解除し、扉24を自重によって閉じさせる。
【0030】
また、駅舎玩具30には、積降ろし場30aの左側にハンドル41a、中央に押しボタン41b、右側にレバー41cが付設されている。
【0031】
ハンドル41aは、上下方向に回動可能となっており、回動によって、上段位置、中段位置及び下段位置の3つのポジションを取る。
ハンドル41aが上段位置にあるとき、第1のストッパ32aがレール31の上面から突出し、且つ、第2のストッパ32bはレール31の上面から没する。その結果、貨車22aが積降ろし具37に対峙することになる。このとき、当該貨車22aの扉24が開かれている。
また、ハンドル41aが中段位置にあるとき、第2のストッパ32bがレール31の上面から突出し、且つ、第1のストッパ32aはレール31の上面から没する。その結果、次の貨車22bが積降ろし具37に対峙することになる。このとき、当該貨車22bの扉24は開かれている。
また、ハンドル41aが下段位置にあるとき、第1のストッパ32a及び第2のストッパ32bはレール31の上面から没する。その結果、貨物列車玩具20は走り去ることになる。
【0032】
押しボタン41bは、押し下げたときにストッパ35を通路34の路面から没しさせる。押しボタン41bから手指を離すと、ストッパ35は自動的に路面から突出する。
【0033】
レバー41cは、左右に回動可能となっており、常態では、左側に位置している。レバー41cを右側に動作させると、フォークリフト模型36及び積降ろし具37がレール31に向けて前進し、レバー41cから手指を離すと、フォークリフト模型36及び積降ろし具37が後退し元位置に自動的に戻る。
【0034】
2.内部機構
(1)積降ろし具37
図6は、積降ろし具37を右側面側から見た斜視図である。
積降ろし具37は筐体43を備えている。筐体43はスティック状となっている。この積降ろし具37の幅は、自動車玩具10のホイルベースよりも小さく、積降ろしの際には自動車玩具10の前後の車輪は、積降ろし具37を跨いだ形で載置面上に乗る。
筐体43の前端部上面にはフラップ44が設けられている。フラップ44は、軸44aを中心に回動可能に設けられ、回動によって、筐体43に対して起倒するように構成されている。このフラップ44は、積降ろし具37を前進させた際に積載部を超えた位置まで進入する。
【0035】
図7は、積降ろし具37の内部機構を示す斜視図、図8は、積降ろし具37の内部機構の下面図である。
また、フラップ44の基端部には、軸44aと偏心した位置に軸44aと平行なピン44bが設けられている。さらに、フラップ44の基端部には三角状の爪44cが設けられている。
【0036】
フラップ44の横には、フラップ44を軸44aを中心に回動させて起倒させるフラップ操作部材45が設けられている。このフラップ操作部材45は、前後方向に移動可能に構成され、前端部には、筐体43の前端面から出没可能な突起部(第2係合部)45aが設けられている。また、フラップ操作部材45には、C字状の係合部45bが設けられ、係合部45bの開口縁には上記ピン44bが係合し、フラップ操作部材45が筐体43に対して前後に動作することにより、フラップ44が転倒したり起立したりする。さらに、フラップ操作部材45の後端部には、後述のトーションばね46の一端46aが掛けられ、突起部45aは、このトーションばね46の付勢力によって筐体43の前端面から突出している。
【0037】
また、筐体43の内部には、フラップ44の後方位置に、フラップ係止部材を構成する揺動板47が設けられている。
揺動板47の後端部にはピン47aが付設され、ピン47aの上下部は筐体43の長孔48に係合している。揺動板47は、長孔48の中をピン47aがスライドすることで、筐体43内で前後に移動可能となっているとともに、ピン47aを中心に回動可能となっている。この揺動板47には、揺動板47の隣に設けられたボス49(図8参照)に巻回されたトーションばね46の他端46bが掛けられている。そして、揺動板47は、ピン47aが長孔48の前端位置にあるとき、前端の係合部47cがフラップ44の爪44cに係合可能な位置を取る。すなわち、揺動板47は、ピン47aが長孔48の前端位置にあるとき、前端の係合部47cがフラップ44の爪44cの移動経路中に位置する。
なお、トーションばね46の他端部は一部が屈曲され、揺動板47が前後動する毎に、その屈曲部46dを揺動板47の突起47dが乗り越えることにより、ピン47aを長孔48の前端位置と後端位置とに、つまり、揺動板47を前方の第1位置と後方の第2位置とに選択的に保持する働きをもしている。この場合の保持は、筐体43に配した板ばねによって行ってもよい。また、ピン47aと長孔48の縁との摺接抵抗を利用して行ってもよい。
【0038】
図9は、積降ろし具37の内部機構及びリセット機構50を右側から見た斜視図である。
揺動板47のピン47a近くには突片47bが設けられている。この突片47bは筐体43の側面から突出している。一方、図9に示すように、積降ろし具37の移動経路脇には、積降ろし具37が後退したときに上記突片47bが突き当たるストッパ50aが固定して設けられている。突片47b及びストッパ50aはリセット機構50を構成している。
ストッパ50aは、積降ろし具37が後退したときに、突片47bが突き当たり、揺動板47が後方位置にあるときには、揺動板47を前方位置に押し出すとともに、ピン47aを中心に揺動板47を回転させ、係合部47cとフラップ44の爪44cとが係合しているときには、その係合を解除させる。
【0039】
筐体43の上面には、図6に示すように、長孔48の直後にボス51が立設されている。このボス51にはフォークリフト模型36が着脱可能に取り付けられている。
図10は、フォークリフト模型36を下側から見た斜視図である。
フォークリフト模型36の本体下には孔36aが形成されている。このフォークリフト模型36の孔36aが上記ボス51に嵌合することで、筐体43にフォークリフト模型36が着脱可能に取り付けられる。
フォークリフト模型36のバックレスト36bは、フォークリフト模型36の本体に対して前後に所定範囲で移動可能に構成されている。そして、筐体43にフォークリフト模型36を取り付けたときに、バックレスト36bとフォークリフト模型36の本体との間に、ピン47aが配置される。バックレスト36bは、荷積みの際に荷(自動車玩具10)を押し出す押圧板となっており、荷積みの際に荷から受ける反力によって本体側に移動し、ピン47aを長孔48の前方位置から後方位置まで移動させる。
【0040】
(2)貨物列車玩具20の停車機構
図11は、貨物列車玩具20の停車機構を示す斜視図、図12は、貨物列車玩具20の停車機構を示す下面図である。
貨物列車玩具20の停車機構は、ハンドル41aの操作によって動作する。
ハンドル41aは、軸52aを中心に上下方向に回動する。ハンドル41aの基端部近くには、ハンドル41aを上段位置、中段位置及び下段位置にクリック感を持って位置決めする位置決め装置52が設けられている。
ハンドル41aは、基端部の偏心位置で、前後方向に移動可能なスライダ53の後端部に係合している。一方、スライダ53の前端部は、レール31の下に設けられ且つ左右方向に移動可能なスライダ54の右端部に係合している。すなわち、スライダ53の前端部には、前後方向に対して傾斜するガイド溝53aが形成され、このガイド溝53aにスライダ54のピン54dが係合している。これにより、スライダ53が前後方向に動作すると、スライダ54が左右方向に動作する。
【0041】
スライダ54の縁壁54aは、スライダ54の本体に対して垂れ下がっており、この縁壁54aには凹部54b、54cが形成されている。一方、スライダ54の隣には第1の回動部材55及び第2の回動部材56が設けられている。
第1の回動部材55は軸55aを中心に上下方向に回動可能に構成され、コイルばね55bによって上方に向けて付勢されている。この第1の回動部材55の先端には第1のストッパ32aが設けられている。この第1の回動部材55には、スライダ54の縁壁54aに下側から摺接する突起55cが形成されている。そして、突起55cが凹部54bに係合するときに、第1のストッパ32aがレール31の上面から突出する。
一方、第2の回動部材56は軸56aを中心に上下方向に回動可能に構成され、コイルばね56bによって上方に向けて付勢されている。この第2の回動部材56の先端には第2のストッパ32bが設けられている。この第2の回動部材56には、スライダ54の縁壁54aに下側から摺接する突起56cが形成されている。そして、突起56cが凹部54cに係合するときに、第2のストッパ32aがレール31の上面から突出する。
【0042】
3.自動車玩具10の停車機構
図13は、自動車玩具10の停車機構及び積降ろし具37の移動機構を示した平面図である。
自動車玩具10の停車機構は、押しボタン41bの操作によって動作する。押しボタン41bは、軸57aを中心に上下方向に回動する回動部材57の基端部近くに設けられている。また、回動部材57の先端にはストッパ35が設けられている。回動部材57はコイルばね(図示せず)によって上方に向けて付勢されており、ストッパ35は、常態では、通路34の路面から突出している。そして、ストッパ35は、押しボタン41bが押されたときだけ、通路34の路面から没する。
【0043】
4.積降ろし具37の移動機構
積降ろし具37の移動機構は、レバー41cの操作によって動作する。レバー41cは、軸58aを中心に左右方向に回動する連接棒58の一端に設けられている。そして、レバー41cの操作動力は、連接棒58、59、60を介して積降ろし具37に伝達される。連接棒59、60は図示しないトーションばねで連結され軸61を中心に一体的に回転する。連接棒60と積降ろし具37とは、連接棒60に形成した長孔60aと積降ろし具37下のピン37a(図6参照)とを係合することにより連結されている。
なお、連接棒60と固定部との間には、コイルばね62が掛けられている。このコイルばね62は、レバー41cの操作によって前進させた積降ろし具37を引き戻す働きをする。また、図13において、符号63は機械音を発する音出し機構を示している。
【0044】
(積降ろし具37の動作)
図14は、荷積み時の積降ろし具37の側面図、図15は、荷積み時のフラップ係止部材47の状態を示す上面図である。
荷積み時には、自動車玩具10をフォークリフト模型36のバックレスト36bが押し出すが、自動車玩具10からの反力を受けてバックレスト36bがフォークリフト模型36の本体側に寄る。これにより、ピン47aが押されて後方に移動し、フラップ係止部材47が後方の第2位置に移動し、フラップ係止部材47の係合部47cがフラップ44の爪44cの移動経路から退く。そのため、突起部45aが突当て部39に当たっても、フラップ44が起立状態に保持されない。
つまり、フラップ係止部材47が後方位置にあるとき、係合部47cがばね付勢により爪44cの移動経路から退避した状態となり、起立したフラップ44の初期位置への戻りを許容するので、フラップ44が起立状態に保持されない。
この場合、バックレスト36bで押し出した荷〈自動車玩具10〉は、積降ろし具37が前進して止まった後、慣性力によって積載部の奥(貨車22の右壁に当たる位置)まで移動する。そして、フラップ44が起立状態を保持しないので、積載した荷を積載部に残したまま積降ろし具37が元に戻る。
【0045】
図16は、荷降ろし時の積降ろし具37の側面図、図15は、荷降ろし時のフラップ係止部材47の状態を示す上面図である。
一方、荷降ろし時には、自動車玩具10をフォークリフト模型36のバックレスト36bが押されないので、バックレスト36bがフォークリフト模型36の本体から離れた位置にある。これにより、ピン47aが前方位置を保持したまま前進する。このときには、フラップ係止部材47の係合部47cがフラップ44の爪44cの移動経路中に置かれるので、突起部45aが突当て部39に当たると、フラップ44が起立状態に保持される。
つまり、フラップ係止部材47が前方位置にあるとき、係合部47cがばね付勢により爪44cの移動経路内に進入した状態となり、フラップ44が起立する際に爪44cの摺接によって係合部47cがばね付勢に抗して移動経路から一旦退き、フラップ44が起立状態となったときに係合部47cがばね付勢によって移動経路内に再び進入して爪44cの戻りを阻止するので、フラップ44が起立状態に保持される。
この場合、積載部の奥(貨車22の右壁に当たる位置)に積載部に荷があると、積降ろし具37が起立状態に保持されたフラップ44で荷を掻き出し、元に戻る。
【0046】
(変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、以下のように変形して用いることができる。
【0047】
例えば、上記実施形態では、第1係合部を突当て部39とし、第2係合部を突起部45aとしたが、第1係合部及び第2係合部を共に互いに摺接係合する摺接部としてもよい。要は、第2係合部と第1係合部との係合により、第2係合部が第1係合部から力を受けて動作するようになっていればよい。また、第2係合部は筐体43の前端部に設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 自動車玩具(荷)
20 貨物列車玩具
26 床(積載部)
27 凹部
30 駅舎玩具
36 フォークリフト模型
36b バックレスト
40 ガイド部
41a ハンドル
41b ボタン
41c レバー
43 筐体
44 フラップ
44a 軸
44b ピン
44c 爪
45 フラップ操作部材
45a 突起部
47 揺動板(フラップ係止部材)
47a ピン
47b 突片
47c 係合部
48 長孔
49 ボス
50 リセット機構
100 鉄道玩具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2022-07-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
第4の手段は、第3の手段であって、
前記フラップ係止部材と前記筐体とは、前記筐体に設けられ前後方向に長尺な長孔と、前記フラップ係止部材に立設され前記長孔の中をスライド可能なピンとによって、互いに係合しており、前記ピンは、荷積みの際の荷押出し部を構成し、
前記フラップ係止部材は、前記長孔の中を前記ピンがスライドすることにより、前記フラップ係止部材が前記筐体に対して前後方向に移動するように構成され、前記第1位置にあるときに、前記ピンを中心に回動可能となっている、ことを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送面上で荷を摺動させて積降ろしする積降ろし玩具であって、
前後方向の往復動作によって積載部に対して進退可能に構成された積降ろし具と、
前記積降ろし具を往復動作させる積降ろし具移動装置と、
固定部に設けられた第1係合部と、
を備え、
前記積降ろし具の筐体に設けられ、前記筐体に対して起伏可能なフラップと、
前記積降ろし具の前進位置で前記第1係合部に係合する第2係合部を有し、前記第1係合部と前記第2係合部との係合によって、前記フラップを初期位置である伏せ位置から起立させるフラップ操作部材と、
前記筐体に対して、初期位置である第1位置と第2位置とを選択的に取り得且つ荷の前方押出し時に荷から受ける反力により第1位置から第2位置に移動可能に構成されたフラップ係止部材を有し、前記フラップ係止部材が前記第2位置にあるとき前記フラップを伏せさせ、押し出した荷を前記積載部に残したまま前記積降ろし具が後退することを許容し、前記第1位置にあるとき前記フラップを起立位置に係止し、前記積降ろし具の後退時に前記フラップに荷の掻出し動作をさせるフラップ係止機構と、
前記積降ろし具が後退位置に戻ったときに前記フラップ及び前記フラップ係止部材を初期位置に戻すリセット機構と、
を備える、ことを特徴とする積降ろし玩具。
【請求項2】
前記積降ろし具は荷の下で進退動作するように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の積降ろし玩具。
【請求項3】
前記フラップの基端部には爪が設けられ、前記フラップ係止機構には、前記爪を係止可能な第3係合部が設けられ、
前記フラップ係止部材は、
前記第1位置にあるとき、前記第3係合部がばね付勢により前記爪の移動経路内に進入した状態となり、前記フラップが起立する際に前記爪の摺接によって前記第3係合部がばね付勢に抗して移動経路から一旦退き、前記フラップが起立状態となったときに前記第3係合部がばね付勢によって移動経路内に再び進入して前記爪の戻りを阻止し、
前記第2位置にあるとき、前記第3係合部がばね付勢により前記爪の移動経路から退避した状態となり、起立した前記フラップの初期位置への戻りを許容するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積降ろし玩具。
【請求項4】
前記フラップ係止部材と前記筐体とは、前記筐体に設けられ前後方向に長尺な長孔と、前記フラップ係止部材に立設され前記長孔の中をスライド可能なピンとによって、互いに係合しており、前記ピンは、荷積みの際の荷押出し部を構成し、
前記フラップ係止部材は、前記長孔の中を前記ピンがスライドすることにより、前記フラップ係止部材が前記筐体に対して前後方向に移動するように構成され、前記第1位置にあるときに、前記ピンを中心に回動可能となっている、ことを特徴とする請求項3記載の積降ろし玩具。
【請求項5】
前記筐体の内部には、ボスに巻回されたトーションばねが設けられ、
前記トーションばねの一端は前記フラップ操作部材に係合され、他端は前記フラップ係止部材に係合されている、ことを特徴とする請求項4記載の積降ろし玩具。
【請求項6】
前記積載部は、走行玩具に形成され、前記走行玩具の床には、前記積降ろし具が挿通される凹部が形成されている、ことを特徴とする請求項5に記載の積降ろし玩具。