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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144754
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】加熱装置
(51)【国際特許分類】
   D02J 1/22 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
D02J1/22 301C
D02J1/22 304
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051884
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】502455511
【氏名又は名称】TMTマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】堀本 尭幸
(72)【発明者】
【氏名】北川 重樹
【テーマコード(参考)】
4L036
【Fターム(参考)】
4L036AA01
4L036MA06
4L036MA33
4L036PA05
4L036PA18
4L036PA42
4L036PA49
(57)【要約】
【課題】接糸面への糸の接触長さが適切になるように糸ガイドを容易且つ精度よく配置する。
【解決手段】第1加熱装置13は、熱源51と、熱源51によって加熱されるように構成され、且つ、糸Yが走行する糸走行方向に延びた糸走行空間61と、糸走行空間61を走行する糸Yが接触可能な接糸面56とが形成された接糸部54と、糸走行空間61を走行する糸Yを案内する糸ガイド70と、を含む。糸ガイド70は、接糸部54に取り付けられている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源と、
前記熱源によって加熱され、且つ、糸が走行する糸走行方向に延びた糸走行空間と、前記糸走行空間を走行する前記糸が接触可能な接糸面とが形成された接糸部と、
前記糸走行空間を走行する前記糸を案内する少なくとも一つの糸ガイドと、
を備え、
前記糸ガイドは、前記接糸部に取り付けられていることを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
前記糸ガイドは、接糸部に直接取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記接糸部には、前記糸ガイドが取り付けられる位置を決めるための位置決め部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記位置決め部は、前記糸ガイドの前記糸走行方向への移動を規制する規制部を有することを特徴とする請求項3に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記規制部は、前記糸走行方向において間隔を空けて形成される1組の壁部であって、
前記糸ガイドは、前記1組の壁部の間に配置されることを特徴とする請求項4に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記1組の壁部の前記糸走行方向における間隔は、前記糸ガイドの前記糸走行方向における最大寸法よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記位置決め部は、前記糸ガイドが当接する当接部分を有し、
前記糸ガイドを前記当接部分に押し付ける押さえ部をさらに備え、
前記押さえ部は、前記糸が前記接糸面に押し付けられる第1方向と反対方向に向かって前記糸ガイドを前記当接部分に押し付けることを特徴とする請求項3~6の何れか1項に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記押さえ部は、板ばねであることを特徴とする請求項7に記載の加熱装置。
【請求項9】
前記糸ガイドは、前記接糸面の前記糸走行方向における端点よりも外側に配置されていることを特徴とする請求項1~8の何れか1項に記載の加熱装置。
【請求項10】
前記糸ガイドは、前記接糸面の前記糸走行方向における一方側の端点よりも外側に配置された第1糸ガイドと、前記接糸面の前記糸走行方向における他方側の端点よりも外側に配置された第2糸ガイドとを含むことを特徴とする請求項9に記載の加熱装置。
【請求項11】
前記接糸面は、前記糸走行方向に沿った断面において前記糸走行空間がある一方側に凸の湾曲した形状であって、
前記糸ガイドと前記糸との接触点は、前記糸走行方向に沿った断面と直交する直交方向から見たときに、前記接糸面の前記糸走行方向における端点における接線よりも前記糸走行空間がある前記一方側に位置していることを特徴とする請求項9又は10に記載の加熱装置。
【請求項12】
前記糸ガイドは、前記接糸部から着脱可能であることを特徴とする請求項1~11の何れか1項に記載の加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸を加熱する加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、仮撚加工機において、糸を高温の接糸部に接触させて加熱する接触式の加熱装置が知られている。例えば、特許文献1には、熱源と接糸部(特許文献1の伝熱体)とを含み、糸走行空間が形成された接触式の加熱装置(特許文献1の二次ヒータ)が記載されている。接糸部には、走行する糸が接触する接糸面が形成されている。接糸面は糸が走行する糸走行方向に延びており、熱源から発生した熱が接糸部を伝わって接糸面から糸へと供給される。
【0003】
特許文献1の加熱装置では、糸を案内する糸ガイドが糸走行空間の糸入口に設けられている。糸入口から糸走行空間に導入される糸は、糸ガイドによって接糸部の接糸面に接触するように案内される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9―296330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
糸ガイドの設置位置によっては、糸ガイドによって案内される糸と接糸面とが接触する接触長さが長くなりすぎたり短くなりすぎたりして、糸の加熱が適切に行われず糸品質が低下するおそれがある。よって、糸を接糸面と適切に接触させるように案内可能な位置に、糸ガイドを設置することが必要である。
【0006】
しかしながら、糸ガイドの設置位置の僅かなずれによって、糸の接触長さが大きく変動してしまうおそれがある。このため、糸の接触長さが適切になるように、糸ガイドを精度よく配置しなければならない。しかし、一般的な加熱装置では、糸ガイドは、加熱装置の筐体等に配置されることが多い。このため、糸ガイドと接糸部との間には複数の部材が介在することになり、各部材の製造誤差や組付誤差の影響によって、糸ガイドを接糸部に対して精度よく配置することが困難である。作業者が専用の治具を用いて糸ガイドの位置を調整することも考えられるが、作業者にとって非常に手間となる。
【0007】
本発明は、接糸面への糸の接触長さが適切になるように糸ガイドを容易且つ精度よく配置することができる加熱装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の加熱装置は、熱源と、前記熱源によって加熱され、且つ、糸が走行する糸走行方向に延びた糸走行空間と、前記糸走行空間を走行する前記糸が接触可能な接糸面とが形成された接糸部と、前記糸走行空間を走行する前記糸を案内する少なくとも一つの糸ガイドと、を備え、前記糸ガイドは、前記接糸部に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、糸ガイドは接糸部に取り付けられている。このため、糸ガイドは接糸部と一体的に配置されることとなり、糸ガイドと接糸部との間に介在する部材をなくす又は大幅に減らすことができる。このため、他の部材の製造誤差や組付誤差の影響を抑えることができ、接糸面への糸の接触長さが適切になるように糸ガイドを容易且つ精度良く配置することができる。
【0010】
本発明の加熱装置において、前記糸ガイドは、接糸部に直接取り付けられていることが好ましい。
【0011】
本発明によれば、糸ガイドと接糸部との間に介在する部材をなくすことができる。これにより、他の部材の製造誤差や組付け誤差の影響を除外することができ、接糸面への糸の接触長さが適切になるように糸ガイドをさらに精度良く配置することができる。
【0012】
本発明の加熱装置において、前記接糸部には、前記糸ガイドが取り付けられる位置を決めるための位置決め部が形成されていることが好ましい。
【0013】
本発明によれば、位置決め部によって糸ガイドが配置される位置を規定することができる。このため、接糸面への糸の接触長さが適切になるような位置に糸ガイドをさらに容易に配置することができる。
【0014】
本発明の加熱装置において、前記位置決め部は、前記糸ガイドの前記糸走行方向への移動を規制する規制部を有することが好ましい。
【0015】
本発明によれば、接糸部に取り付けられた糸ガイドが糸走行方向に大きくずれることを抑制することができる。このため、糸ガイドによって案内される糸と接糸面との接触長さが適切な長さからずれることを抑制することができる。
【0016】
本発明の加熱装置において、前記規制部は、前記糸走行方向において間隔を空けて形成される1組の壁部であって、前記糸ガイドは、前記1組の壁部の間に配置されることが好ましい。
【0017】
本発明によれば、糸ガイドの糸走行方向の一方側への移動及び他方側への移動の両方が、1組の壁部によって規制される。このため、糸ガイドが糸走行方向に大きくずれることをより確実に抑制することができ、糸ガイドによって案内される糸と接糸面との接触長さが適切な長さからずれることをさらに抑制することができる。
【0018】
本発明の加熱装置において、前記1組の壁部の前記糸走行方向における間隔は、前記糸ガイドの前記糸走行方向における最大寸法よりも大きいことが好ましい。
【0019】
本発明によれば、製造誤差の影響で、糸ガイドの糸走行方向における最大寸法にばらつきがあったとしても、糸ガイドを1組の壁部の間に確実に配置させることができる。
【0020】
本発明の加熱装置において、前記位置決め部は、前記糸ガイドが当接する当接部分を有し、前記糸ガイドを前記当接部分に押し付ける押さえ部をさらに備え、前記押さえ部は、前記糸が前記接糸面に押し付けられる第1方向と反対方向に向かって前記糸ガイドを前記当接部分に押し付けることが好ましい。
【0021】
糸の張力は第1方向に向かって働く。このため、糸と接触した糸ガイドは、糸の張力によって当接部分から離れようとする。本発明によれば、押さえ部によって、糸ガイドを反対方向に向かって当接部分に押し付けることで、糸ガイドが当接部分から離れることを抑制することができる。これにより、糸ガイドによる糸の案内を確実に行うことができる。
【0022】
本発明の加熱装置において、前記押さえ部は、板ばねであることが好ましい。
【0023】
本発明によれば、簡易な構成で、糸ガイドが当接部分から離れることを抑制することができる。
【0024】
本発明の加熱装置において、前記糸ガイドは、前記接糸面の前記糸走行方向における端点よりも外側に配置されていることが好ましい。
【0025】
本発明によれば、糸は接糸面の糸走行方向における端点よりも外側に配置された糸ガイドによって案内されるため、糸と接糸面との接触長さをできるだけ長く確保することができる。これにより、糸の加熱が不十分となることを抑制することができる。
【0026】
本発明の加熱装置において、前記糸ガイドは、前記接糸面の前記糸走行方向における一方側の端点よりも外側に配置された第1糸ガイドと、前記接糸面の前記糸走行方向における他方側の端点よりも外側に配置された第2糸ガイドとを含むことが好ましい。
【0027】
本発明によれば、糸は、接糸面の糸走行方向における一方側の端点よりも外側に配置された第1糸ガイドと、接糸面の糸走行方向における他方側の端点よりも外側に配置された第2ガイドとによって案内されるため、糸と接糸面との接触長さをより確実に長く確保することができる。これにより、糸の加熱が不十分となることをさらに抑制することができる。
【0028】
本発明の加熱装置において、前記接糸面は、前記糸走行方向に沿った断面において前記糸走行空間がある一方側に凸の湾曲した形状であって、前記糸ガイドと糸との接触点は、前記糸走行方向に沿った断面と直交する直交方向から見たときに、前記接糸面の前記糸走行方向における端点における接線よりも前記糸走行空間がある前記一方側に位置していることが好ましい。
【0029】
糸は、接糸面の端点との接触によって擦れることで摩耗しやすい。本発明によれば、糸ガイドによって案内される糸は、端点から浮くこととなる。このため、糸を、接糸面の途中から、接糸面に接触させることができる。これにより、糸ガイドとの接触点を通って案内される糸が、接糸面の端点と接触することを回避することができ、糸の摩耗を抑制することができる。
【0030】
本発明の加熱装置において、前記糸ガイドは、前記接糸部から着脱可能であることが好ましい。
【0031】
本発明によれば、糸との連続的な接触によって劣化した糸ガイドの交換作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本実施形態に係る仮撚加工機の概略側面図である。
図2】糸の経路に沿って仮撚加工機を展開した模式図である。
図3】第1加熱装置を示す説明図である。
図4図3のIV-IV線断面図である。
図5図3のV-V線から見たときの図である。
図6図4のVI-VI線断面図である。
図7】接糸部の糸ガイドが取り付けられている部分を示す斜視図である。
図8図7を機台長手方向から見たときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0034】
(仮撚加工機の全体構成)
図1は、本実施形態に係る仮撚加工機1の概略構成を示す側面図である。以下、図1の紙面垂直方向を機台長手方向とし、紙面左右方向を機台幅方向とする。機台長手方向と機台幅方向の両方が直交する方向を、重力の作用する上下方向(鉛直方向)とする。機台長手方向及び機台幅方向は、水平方向と略平行な方向である。以下、上記の方向語を適宜使用して説明する。
【0035】
仮撚加工機1は、例えばナイロン(ポリアミド系繊維)等の合成繊維からなる糸Yを仮撚加工可能に構成されている。仮撚加工機1は、糸Yを供給するための給糸部2と、給糸部2から供給された糸Yを仮撚加工する加工部3と、加工部3によって加工された糸YをボビンBwに巻き取る巻取部4と、を含んでいる。給糸部2、加工部3及び巻取部4が有する各構成要素は、給糸部2から加工部3を通って巻取部4に至る糸道が配置される糸の走行面(図1の紙面)と直交する機台長手方向において、複数配列されている。
【0036】
給糸部2は、複数の給糸パッケージPsを保持するクリールスタンド7を有し、加工部3に複数の糸Yを供給する。加工部3は、糸走行方向の上流側から順に、第1フィードローラ11、撚止ガイド12、第1加熱装置13(本発明の加熱装置)、冷却装置14、仮撚装置15、第2フィードローラ16、交絡装置17、第3フィードローラ18、第2加熱装置19、第4フィードローラ20が配置された構成となっている。巻取部4は、加工部3で仮撚加工された糸Yを巻取装置21でボビンBwに巻き取って巻取パッケージPwを形成する。
【0037】
また、仮撚加工機1は、機台幅方向に間隔を置いて配置された主機台8及び巻取台9を有する。主機台8及び巻取台9は、機台長手方向に略同じ長さに延設されており、互いに対向するように配置されている。主機台8の上部と巻取台9の上部とは、支持フレーム10によって連結されている。加工部3を構成する各装置は、主に主機台8や支持フレーム10に取り付けられている。主機台8と巻取台9と支持フレーム10とによって、作業者が各装置に対して糸掛け等の作業を行うための作業空間22が形成されている。糸道は、糸Yが主に作業空間22の周りを走行するように形成されている。
【0038】
仮撚加工機1は、互いに対向配置された1組の主機台8及び巻取台9を含むスパンと呼ばれる単位ユニットを有する。1つのスパンでは、機台長手方向に並んだ状態で走行する複数の糸Yに対して、同時に仮撚加工を施すことができるように各装置が配置されている。一例として、1つのスパンに含まれる巻取台9には、4段4列の計16個の巻取装置21が設けられている。そして、仮撚加工機1は、このスパンが、主機台8の機台幅方向の中心線Cを対称軸として、紙面左右対称に配置される(主機台8は左右のスパンで共通のものとなっている)とともに、機台長手方向に複数配列された構成となっている。
【0039】
(加工部の構成)
次に、加工部3の構成について、図1及び図2を参照しつつ説明する。第1フィードローラ11は、給糸部2に装着された給糸パッケージPsから糸Yを解舒して第1加熱装置13へ送るように構成されている。第1フィードローラ11は、巻取台9の上方に配置されている(図1参照)。第1フィードローラ11は、例えば、図2に示すように、1本の糸Yを第1加熱装置13へ送るように構成されている。或いは、第1フィードローラ11は、隣り合う複数の糸Yをそれぞれ糸走行方向における下流側へ送ることが可能に構成されていても良い。
【0040】
撚止ガイド12は、後述する仮撚装置15で糸Yに付与された撚りが、撚止ガイド12よりも糸走行方向上流側に伝播しないようにするためのものである。撚止ガイド12は、第1フィードローラ11の糸走行方向下流側、且つ、第1加熱装置13の糸走行方向上流側に配置されている。撚止ガイド12は、例えば、図2に示すように、給糸部2から供給される複数の糸Yに対して個別に設けられており、機台長手方向に1列に配列されている。
【0041】
第1加熱装置13は、第1フィードローラ11から送られてきた糸Yを所定の加工温度に加熱するためのものであり、支持フレーム10に設置されている(図1参照)。第1加熱装置13は、例えば、図2に示すように、2本の糸Yを加熱可能に構成されている。第1加熱装置13のより詳細については後述する。
【0042】
冷却装置14は、第1加熱装置13で加熱された糸Yを冷却するためのものである。冷却装置14は、第1加熱装置13の糸走行方向下流側、且つ、仮撚装置15の糸走行方向上流側に配置されている。冷却装置14は、例えば、図2に示すように、1本の糸Yを冷却するように構成されており、複数の冷却装置14が機台長手方向に1列に配列されている。或いは、冷却装置14は、複数の糸Yを同時に冷却可能に構成されていても良い。
【0043】
仮撚装置15は、糸Yに撚りを付与するための装置である。仮撚装置15は、冷却装置14の糸走行方向におけるすぐ下流側に配置されている。仮撚装置15は、例えば、図2に示すように、1本の糸Yに撚りを付与するためのものであり、機台長手方向において複数配列されている。例えば、仮撚装置15は、1つのスパンにつき16個設けられている。
【0044】
第2フィードローラ16は、仮撚装置15で撚りが付与された糸Yを、交絡装置17に向けて送るローラである。第2フィードローラ16は、主機台8において仮撚装置15の糸走行方向下流側に配置されている。第2フィードローラ16による糸Yの搬送速度は、第1フィードローラ11による糸Yの搬送速度よりも速い。このため、糸Yは、第1フィードローラ11と第2フィードローラ16との間で延伸される。
【0045】
交絡装置17は、糸Yに対して空気を噴射することによって交絡を付与する装置である。交絡装置17は、主機台8において第2フィードローラ16の下方に配置されている。
【0046】
第3フィードローラ18は、交絡装置17によって交絡が付与された糸Yを、第2加熱装置19に向けて送るローラである。第3フィードローラ18は、主機台8において交絡装置17の下方に配置されている。第3フィードローラ18による糸Yの搬送速度は、第2フィードローラ16による糸Yの搬送速度よりも遅い。このため、糸Yは、第2フィードローラ16と第3フィードローラ18との間で弛緩される。
【0047】
第2加熱装置19は、第3フィードローラ18から送られてきた糸Yを加熱するための装置である。第2加熱装置19は、主機台8において第3フィードローラ18の下方に配置されている。第2加熱装置19は、図1に示すように、上下方向に沿って延びており、1つのスパンに1つずつ設けられている。また、第2加熱装置19は、図2に示すように、機台長手方向に沿って延びており、複数の糸Yを同時に加熱可能に構成されている。
【0048】
第4フィードローラ20は、第2加熱装置19によって熱処理された糸Yを、巻取装置21に向けて送るローラである。第4フィードローラ20は、巻取台9の下部に配置されている。第4フィードローラ20による糸Yの搬送速度は、第3フィードローラ18による糸Yの搬送速度よりも遅い。このため、糸Yは、第3フィードローラ18と第4フィードローラ20との間で弛緩される。
【0049】
以上のように構成された加工部3では、第1フィードローラ11と第2フィードローラ16との間で延伸された糸Yに、仮撚装置15によって撚りが付与される。仮撚装置15によって形成される撚りは、撚止ガイド12までは伝播するが、撚止ガイド12よりも糸走行方向上流側には伝播しない。延伸されつつ撚りが付与された糸Yは、第1加熱装置13で加熱されて熱固定された後、冷却装置14で冷却される。仮撚装置15から下流では糸Yは解撚されるが、上記の熱固定によって各フィラメントが波状に仮撚りされた状態が維持される。仮撚装置15によって仮撚りが施された糸Yは、第2フィードローラ16と第3フィードローラ18との間で弛緩されながら、交絡装置17によって交絡が付与され、糸走行方向における下流側へ案内される。さらに、糸Yは、第3フィードローラ18と第4フィードローラ20との間で弛緩されながら、第2加熱装置19で熱固定される。最後に、第4フィードローラ20から送られた糸Yは、巻取装置21によって巻き取られ、巻取パッケージPwが形成される。
【0050】
(巻取部の構成)
次に、巻取部4の構成について、図2を参照しつつ説明する。巻取部4は、複数の巻取装置21を有する。各巻取装置21は、1つのボビンBwに糸Yを巻取可能に構成されている。巻取装置21は、支点ガイド41と、トラバース装置42と、クレードル43とを有する。支点ガイド41は、糸Yが綾振りされる際の支点となるガイドである。トラバース装置42は、トラバースガイド45によって糸Yを綾振りすることが可能に構成されている。クレードル43は、ボビンBwを回転自在に支持するように構成されている。クレードル43の近傍には、接触ローラ46が配置されている。接触ローラ46は、巻取パッケージPwの表面に接触して接圧を付与する。以上のように構成された巻取部4では、上述した第4フィードローラ20から送られた糸Yが各巻取装置21によってボビンBwに巻き取られ、巻取パッケージPwが形成される。
【0051】
(第1加熱装置)
次に、第1加熱装置13のより具体的な構成について、図3図8を参照しつつ説明する。図3は、第1加熱装置13を機台長手方向から見た図であり、且つ、第1加熱装置13が延びる方向(以下、延在方向)が紙面左右方向を向くように第1加熱装置13を記載した図である。なお、本実施形態において、糸走行方向と延在方向とは略一致する。図4は、図3のIV-IV線断面図である。図5は、第1加熱装置13を延在方向から見たときの図である。図6は、図4のVI-VI線断面図である。図7は、接糸部54の糸ガイド70が取り付けられている部分を示す斜視図である。図8は、図7を機台長手方向から見たときの図である。機台長手方向及び延在方向の両方と直交する方向を高さ方向とする(図3等参照)。図3及び図6において、紙面左側を延在方向における一方側、紙面右側を延在方向における他方側とする。延在方向における一方側は、例えば、糸走行方向における上流側であっても良いが、これには限られない。図4において、紙面下側を高さ方向における一方側とし、紙面上側を高さ方向における他方側とする。
【0052】
第1加熱装置13は、走行する糸Yを加熱するように構成されている。本実施形態では、加熱装置13は、例えば2本の糸Yを加熱可能に構成されている(図4参照)。第1加熱装置13は、機台長手方向と直交する所定の延在方向に延びている(図3等参照)。第1加熱装置13は、熱源51と、加熱部52と、糸ガイド70と、ガイド固定部材90とを有する。第1加熱装置13は、熱源51によって加熱された加熱部52に、走行中の糸Yを接触させることによって、2本の糸Yを同時に加熱する。
【0053】
熱源51は、例えば公知のシーズヒータ(電熱ヒータ)である。シーズヒータは、電熱線(例えばコイル)と、電熱線を囲むパイプとを有する装置である。シーズヒータは、電熱線に電流が流れているときにジュール熱を発生させる。熱源51は、延在方向に沿って延びている(図3参照)。熱源51は、加熱温度を制御する制御装置100(図3参照)と電気的に接続されている。制御装置100は、第1加熱装置13の加熱温度を設定可能に構成されている。制御装置100は、設定された温度の値に基づいて第1加熱装置13を制御する。制御装置100は、例えば、上記設定温度と、加熱部52の実際の温度を検知する温度センサ(不図示)による検知結果と、を考慮して第1加熱装置13を制御しても良い。制御装置100は、第1加熱装置13の他にも、仮撚加工機1を構成する装置と電気的に接続されていても良い。
【0054】
加熱部52は、熱源51が生成する熱によって加熱されるように構成されている。加熱部52は、熱源51に沿って延在方向に延びている(図3参照)。加熱部52は、例えば、2つの加熱部材53と、2つの接糸部54(本発明の接糸部)とを有する。図4に示すように、2つの加熱部材53及び接糸部54は、機台長手方向において、熱源51を挟んで反対側の位置に配置されている。機台長手方向における一方側(図4の紙面左側)の加熱部材53及び接糸部54が、機台長手方向における一方側にある糸Yを加熱するための部材である。機台長手方向における他方側(図4の紙面右側)の加熱部材53及び接糸部54が、機台長手方向における他方側にある糸Yを加熱するための部材である。
【0055】
加熱部材53は、例えば、黄銅などの比熱が大きい金属材料によって構成されている。加熱部材53は、熱源51に沿って延在方向に延びている。図4に示すように、加熱部材53は、熱源51に接触するように配置されている。加熱部材53は、延在方向に延びたスリット55を有する。図4に示すように、スリット55は、延在方向と直交する断面において逆U字状のスリットである。スリット55は、高さ方向における一方側が開口している。スリット55内には、接糸部54が収容されている。
【0056】
接糸部54は、糸Yが走行する糸走行方向に延びる糸走行空間61を形成する部材である。接糸部54は、例えばSUS製の長尺の部材である。接糸部54は、延在方向に延びている。図4に示すように、接糸部54は、延在方向と直交する断面において逆U字形状である。図4に示すように、接糸部54は、スリット55内に収容されている。接糸部54は、加熱部材53と接触した状態で加熱部材53に固定されている。接糸部54は、加熱部材53を介して熱源51から伝わる熱によって昇温される。接糸部54は、加熱部52に対して着脱可能に構成されている。
【0057】
接糸部54は、糸Yを接触させるための接糸面56を有する。接糸面56は、少なくとも高さ方向における一方側を向いている。糸走行空間61を走行する糸Yは、高さ方向の他方側に向かって接糸面56に押し付けられる。なお、高さ方向の他方側に向かう方向が、本発明の第1方向に相当する。接糸面56は、機台長手方向と直交する断面において略U字状に緩やかに湾曲している(図6参照)。すなわち、接糸面56は、機台長手方向と直交する断面において、糸走行空間61がある側である高さ方向の一方側に凸の湾曲した形状である。言い換えれば、接糸面56は、機台長手方向から見たときに、延在方向における両端が中央部分よりも高さ方向の他方側となるように湾曲した形状である。なお、機台長手方向と直交する断面が、本発明の糸走行方向に沿った断面に相当する。また、接糸面56は、延在方向と直交する断面において例えば逆U字状に湾曲している(図4参照)。
【0058】
図6及び図8に示すように、接糸面56の延在方向における一方側の端点74は、第1加熱装置13の延在方向における一方側の端部よりも他方側にある。接糸面56の延在方向における他方側の端点75は、第1加熱装置13の延在方向における他方側の端部よりも一方側にある。そして、接糸部54の延在方向における両端部は、高さ方向の一方側及び他方側の両方が開口している。
【0059】
また、接糸部54には、位置決め部81が形成されている(図7及び図8参照)。位置決め部81は、糸ガイド70が取り付けられる位置を決めるためのものである。位置決め部81は、接糸部54の延在方向における一方側の端部と他方側の端部に形成されている。より具体的には、位置決め部81は、接糸部54のうちの接糸面56の端点74よりも延在方向における一方側の部分と、接糸部54のうちの接糸面56の端点75よりも延在方向における他方側の部分に形成されている。
【0060】
図7及び図8に示すように、位置決め部81は、糸ガイド70の延在方向への移動を規制する規制部として、1組の壁部82、83を有する。1組の壁部82、83は、延在方向において間隔を空けて形成される。1組の壁部82、83の延在方向における間隔は、糸ガイド70の延在方向における最大寸法よりも大きい。
【0061】
また、図7及び図8に示すように、位置決め部81は、当接部分84を有している。当接部分84は、糸ガイド70の高さ方向の一方側の部分が当接する部分である。当接部分84は、延在方向と平行となるように平坦に延びている。当接部分84は、高さ方向の他方側を向いている。本実施形態において、当接部分84の延在方向における両端と、1組の壁部82、83とが接続している。
【0062】
糸ガイド70は、糸走行空間61を走行する糸Yを案内するためのガイドである。糸ガイド70は、接糸部54に直接取り付けられている。具体的には、糸ガイド70は、接糸部54と接触した状態で取り付けられている。糸ガイド70は、接糸部54から着脱可能に構成されている。糸ガイド70は、例えば、セラミック製の部材である。糸ガイド70は、例えば、機台長手方向を軸心とする円柱形状である(図7参照)。糸ガイド70の直径は、例えば2mmである。図7及び図8に示すように、糸ガイド70は、1組の壁部82、83の間に配置される。糸ガイド70は、高さ方向の一方側が当接部分84に当接する。
【0063】
また、図6に示すように、糸ガイド70は、第1糸ガイド70aと第2糸ガイド70bとを含む。第1糸ガイド70aは、1つの接糸部54につき1つ配置されている。第2糸ガイド70bは、1つの接糸部54につき1つ配置されている。第1糸ガイド70aは、接糸面56の延在方向における一方側の端点74よりも外側に配置されている。第2糸ガイド70bは、接糸面56の延在方向における他方側の端点75よりも外側に配置されている。
【0064】
図7及び図8に示すように、第1糸ガイド70aは、接糸部54の延在方向における一方側の端部に形成された位置決め部81の1組の壁部82、83の間に配置されるとともに、高さ方向の一方側で当接部分84に当接している。また、図8に示すように、第1糸ガイド70aの糸Yとの接触点Xは、機台長手方向から見たときに、接糸面56の端点74における接線Tよりも高さ方向の一方側に位置している。なお、高さ方向の一方側が、本発明の糸走行空間がある一方側に相当する。
【0065】
図示はしていないが、第2糸ガイド70bは、接糸部54の延在方向における他方側の端部に形成された位置決め部81の1組の壁部82、83の間に配置されるとともに、高さ方向の一方側で当接部分84に当接している。また、図示はしていないが、第2糸ガイド70bと糸Yとの接触点は、機台長手方向から見たときに、接糸面56の端点75における接線よりも高さ方向の一方側に位置している。
【0066】
ガイド固定部材90は、糸ガイド70を固定するためのものである。ガイド固定部材90は、例えばSUS製の部材である。図7及び図8に示すように、ガイド固定部材90は、延在方向及び高さ方向に延びた2つの側壁90a、90bと、延在方向及び機台長手方向に延びた天板90cとを含む。天板90cは、2つの側壁90a、90bの高さ方向における他方側の端部と接続している。ガイド固定部材90は、接糸部54の延在方向における両端部に取り付けられている。図5に示すように、接糸部54に取り付けられたガイド固定部材90は、延在方向と直交する断面において逆U字形状を有している。
【0067】
図7に示すように、ガイド固定部材90は、高さ方向の一方側に向かって糸ガイド70を当接部分84に押し付ける押さえ部91を有している。なお、高さ方向の一方側に向かう方向が、本発明の反対方向に相当する。押さえ部91は、板ばねである。図8に示すように、押さえ部91は、天板90cと一体的に形成されており、機台長手方向から見たときに屈曲した形状となっている。例えば、第1糸ガイド70aを当接部分84に押し付ける押さえ部91は、機台長手方向から見たとき、延在方向の一方側が開いたコの字に屈曲している(図8参照)。また、図示していないが、第2糸ガイド70bを当接部分84に押し付ける押さえ部91は、機台長手方向から見たとき、延在方向の他方側が開いたコの字に屈曲している。
【0068】
また、図7に示すように、ガイド固定部材90の側壁90a及び90bには、機台長手方向に貫通する貫通孔92が形成されている。貫通孔92は、当接部分84に当接する糸ガイド70を機台長手方向に貫通させるものである。貫通孔92の直径は、糸ガイド70の直径よりも大きく、例えば2.5mmである。
【0069】
(効果)
本実施形態の第1加熱装置13は、熱源51によって加熱されるように構成され、且つ、糸走行空間61と接糸面56とが形成された接糸部54と、糸走行空間61を走行する糸Yを案内する糸ガイド70と、を含む。そして、糸ガイド70は、接糸部54に取り付けられている。これによれば、糸ガイド70は接糸部54に取り付けられているため、糸ガイド70は接糸部54と一体的に配置されることとなり、糸ガイド70と接糸部54との間に介在する部材をなくす又は大幅に減らすことができる。このため、他の部材の製造誤差や組付誤差の影響を抑えることができ、接糸面56への糸Yの接触長さが適切になるように糸ガイド70を容易且つ精度良く配置することができる。
【0070】
本実施形態の第1加熱装置13では、糸ガイド70は、接糸部54に直接取り付けられている。これによれば、糸ガイド70は接糸部54に直接取り付けられている。このため、糸ガイド70と接糸部54との間に介在する部材をなくすことができる。これにより、他の部材の製造誤差や組付け誤差の影響を除外することができ、接糸面56への糸Yの接触長さが適切になるように糸ガイド70をさらに精度良く配置することができる。
【0071】
本実施形態の第1加熱装置13では、接糸部54には、糸ガイド70が取り付けられる位置を決めるための位置決め部81が形成されている。これによれば、位置決め部81によって糸ガイド70が配置される位置を規定することができる。このため、接糸面56への糸Yの接触長さが適切になるような位置に糸ガイドをさらに容易に配置することができる。
【0072】
本実施形態の第1加熱装置13では、位置決め部81は、糸ガイドの糸走行方向への移動を規制する規制部として、1組の壁部82、83を有する。そして、糸ガイド70は、1組の壁部82、83の間に配置される。これによれば、糸ガイド70の糸走行方向(延在方向)の一方側への移動及び他方側への移動の両方が、1組の壁部82、83によって規制される。このため、接糸部54に取り付けられた糸ガイド70が糸走行方向に大きくずれることをより確実に抑制することができ、糸ガイド70によって案内される糸Yと接糸面56との接触長さが適切な長さからずれることを抑制することができる。
【0073】
本実施形態の第1加熱装置13では、1組の壁部82、83の糸走行方向(延在方向)における間隔は、糸ガイド70の糸走行方向(延在方向)における最大寸法よりも大きい。これによれば、製造誤差の影響で、糸ガイド70の糸走行方向における最大寸法にばらつきがあったとしても、糸ガイド70を1組の壁部82、83の間に確実に配置させることができる。
【0074】
本実施形態の第1加熱装置13では、位置決め部81は、糸ガイド70が当接する当接部分84を有する。また、第1加熱装置13は、糸ガイド70を高さ方向の一方側に向かって当接部分84に押し付ける押さえ部91をさらに有している。糸Yの張力は高さ方向の他方側に向かって働く。このため、糸Yと接触した糸ガイド70は、糸Yの張力によって当接部分84から離れようとする。本実施形態によれば、押さえ部91によって、糸ガイド70を高さ方向の一方側に向かって当接部分84に押し付けることで、糸ガイド70が当接部分84から離れることを抑制することができる。これにより、糸ガイド70による糸Yの案内を確実に行うことができる。
【0075】
また、本実施形態の第1加熱装置13では、当接部分84は、延在方向と平行となるように平坦に延びている。当接部分84が平坦でない場合、製造誤差によって糸ガイド70の直径にばらつきがあると、高さ方向において糸ガイド70と当接部分84とが当接する位置がばらつく。そうすると、糸ガイド70が配置される位置が、接糸面56への糸Yの接触長さが適切になるような位置からずれてしまうおそれがある。本実施形態によれば、製造誤差によって糸ガイド70の直径にばらつきがあったとしても、高さ方向において糸ガイド70と当接部分84とが当接する位置は一定となる。このため、糸ガイド70の製造誤差の影響によらず、接糸面56への糸Yの接触長さが適切になるように糸ガイド70を精度良く配置することができる。
【0076】
本実施形態の第1加熱装置13では、押さえ部91は、板ばねである。接糸部54が高温となるため、糸ガイド70と接糸部54とを接着することが難しい。また、糸ガイド70のサイズが小さいため、ボルトなどを用いて糸ガイド70を接糸部54に取り付けようとしても、ボルトによって糸ガイド70が割れてしまうおそれがある。本実施形態によれば、板ばねという簡易な構成によって、糸ガイド70が当接部分84から離れることを抑制することができる。
【0077】
本実施形態の第1加熱装置13では、糸ガイド70は、接糸面56の糸走行方向(延在方向)における一方側の端点74よりも外側に配置された第1糸ガイド70aと、接糸面56の糸走行方向(延在方向)における他方側の端点75よりも外側に配置された第2糸ガイド70bとを含む。これによれば、糸Yは、接糸面56の端点74よりも外側に配置された第1糸ガイド70aと、接糸面56の端点75よりも外側に配置された第2ガイド70bとによって案内されるため、糸Yと接糸面56との接触長さを長く確保することができる。これにより、糸Yの加熱が不十分となることを抑制することができる。
【0078】
本実施形態の第1加熱装置13では、接糸面56は、高さ方向の一方側に凸の湾曲した形状であって、糸ガイド70と糸Yとの接触点Xは、接糸面56の端点74(又は端点75)における接線Tよりも高さ方向の一方側に位置している。糸Yは、接糸面56の端点74(又は端点75)との接触によって擦れることで摩耗しやすい。本実施形態によれば、糸ガイド70によって案内される糸Yは、端点74(又は端点75)から浮くこととなる。このため、糸Yを、接糸面56の途中から、接糸面56に接触させることができる。これにより、糸ガイド70との接触点Xを通って案内される糸Yが、接糸面56の端点74(又は端点75)と接触することを回避することができ、糸Yの摩耗を抑制することができる。
【0079】
本実施形態の第1加熱装置13では、糸ガイド70は、接糸部54から着脱可能である。これによれば、糸Yとの連続的な接触によって劣化した糸ガイド70の交換作業を容易に行うことができる。
【0080】
(変形例)
以下に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0081】
上記実施形態では、糸ガイド70は、接糸部54に直接取り付けられている。しかしながら、糸ガイド70は、接糸部54に間接的に取り付けられていてもよい。例えば、適当なブラケットを介して糸ガイド70が接糸部54に取り付けられてもよい。
【0082】
上記実施形態では、第1糸ガイド70aは、接糸面56の延在方向における一方側の端点74よりも外側に配置されており、第2糸ガイド70bは、接糸面56の延在方向における他方側の端点75よりも外側に配置されている。しかしながら、第1糸ガイド70a及び第2糸ガイド70bが配置される位置は、上記に限られない。例えば、第1糸ガイド70aが接糸面56の端点74よりも延在方向の内側に配置され、第2糸ガイドが接糸面56の端点75よりも延在方向の内側に配置されていてもよい。また、第1糸ガイド70aが接糸面56の端点74よりも延在方向の内側に配置され、第2糸ガイドが接糸面56の端点75よりも延在方向の外側に配置されていてもよい。さらに、第1糸ガイド70aが接糸面56の端点74よりも延在方向の外側に配置され、第2糸ガイドが接糸面56の端点75よりも延在方向の内側に配置されていてもよい。これらの場合において、糸ガイド70は、接糸面56の延在方向における端点にできるだけ近い位置にあることが好ましい。
【0083】
上記実施形態では、接糸部54には、糸ガイド70が取り付けられる位置を決めるための位置決め部81が形成されている。しかしながら、接糸部54に位置決め部81が形成されていなくてもよい。この場合、例えば、糸ガイド70は、接糸部54の任意の位置に取り付けられる。
【0084】
上記実施形態では、位置決め部81は、糸ガイド70の糸走行方向への移動を規制する規制部として、1組の壁部82、83を有している。しかしながら、規制部は、糸ガイド70の糸走行方向への移動を規制する構成であれば、1組の壁部82、83に限定されない。また、位置決め部81は、規制部を有していなくてもよい。
【0085】
上記実施形態では、押さえ部91は板ばねである。しかしながら、押さえ部91は、板ばね以外のばねでもよく、例えば、圧縮ばね、ボールプランジャー、トーションスプリングなどが挙げられる。あるいは、押さえ部91は、高さ方向の一方側に向かって糸ガイド70を当接部分84に押し付けるアクチュエータでもよい。
【0086】
上記実施形態では、当接部分84は、延在方向と平行となるように平坦に延びている。しかしながら、当接部分84は、V字形状やU字形状であってもよい。
【0087】
上記実施形態では、糸ガイド70は機台長手方向を軸心とする円柱形状である。しかしながら、糸ガイド70は楕円柱形状や半円柱形状でもよい。
【0088】
上記実施形態では、押さえ部91を有するガイド固定部材90は、接糸部54とは別の部材である。しかしながら、押さえ部91は接糸部54と一体形成されていてもよい。
【0089】
上記実施形態では、第1加熱装置13はシーズヒータである。しかしながら、本発明の加熱装置は、ダウサムヒータ(熱媒ヒータ)にも適用可能である。また、本発明の加熱装置は、第2加熱装置19にも適用可能である。
【0090】
本実施形態の第1加熱装置13は、仮撚加工機1に限らず、他の構成を有する公知の仮撚加工機(不図示)にも適用可能である。或いは、第1加熱装置13は、仮撚加工機の他に、例えば公知のエア加工機(不図示)等、糸(不図示)を走行させながら加工する糸加工機にも適用可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 仮撚加工機
13 第1加熱装置(加熱装置)
51 熱源
54 接糸部
56 接糸面
61 糸走行空間
70 糸ガイド
70a 第1糸ガイド
70b 第2糸ガイド
74 端点
75 端点
81 位置決め部
82 壁部
84 当接部分
91 押さえ部
Bw ボビン
T 接線
X 接触点
Y 糸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
第1加熱装置13は、走行する糸Yを加熱するように構成されている。本実施形態では、第1加熱装置13は、例えば2本の糸Yを加熱可能に構成されている(図4参照)。第1加熱装置13は、機台長手方向と直交する所定の延在方向に延びている(図3等参照)。第1加熱装置13は、熱源51と、加熱部52と、糸ガイド70と、ガイド固定部材90とを有する。第1加熱装置13は、熱源51によって加熱された加熱部52に、走行中の糸Yを接触させることによって、2本の糸Yを同時に加熱する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
本実施形態の第1加熱装置13では、接糸部54には、糸ガイド70が取り付けられる位置を決めるための位置決め部81が形成されている。これによれば、位置決め部81によって糸ガイド70が配置される位置を規定することができる。このため、接糸面56への糸Yの接触長さが適切になるような位置に糸ガイド70をさらに容易に配置することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
本実施形態の第1加熱装置13では、位置決め部81は、糸ガイド70の糸走行方向への移動を規制する規制部として、1組の壁部82、83を有する。そして、糸ガイド70は、1組の壁部82、83の間に配置される。これによれば、糸ガイド70の糸走行方向(延在方向)の一方側への移動及び他方側への移動の両方が、1組の壁部82、83によって規制される。このため、接糸部54に取り付けられた糸ガイド70が糸走行方向に大きくずれることをより確実に抑制することができ、糸ガイド70によって案内される糸Yと接糸面56との接触長さが適切な長さからずれることを抑制することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0082
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0082】
上記実施形態では、第1糸ガイド70aは、接糸面56の延在方向における一方側の端点74よりも外側に配置されており、第2糸ガイド70bは、接糸面56の延在方向における他方側の端点75よりも外側に配置されている。しかしながら、第1糸ガイド70a及び第2糸ガイド70bが配置される位置は、上記に限られない。例えば、第1糸ガイド70aが接糸面56の端点74よりも延在方向の内側に配置され、第2糸ガイド70bが接糸面56の端点75よりも延在方向の内側に配置されていてもよい。また、第1糸ガイド70aが接糸面56の端点74よりも延在方向の内側に配置され、第2糸ガイド70bが接糸面56の端点75よりも延在方向の外側に配置されていてもよい。さらに、第1糸ガイド70aが接糸面56の端点74よりも延在方向の外側に配置され、第2糸ガイド70bが接糸面56の端点75よりも延在方向の内側に配置されていてもよい。これらの場合において、糸ガイド70は、接糸面56の延在方向における端点にできるだけ近い位置にあることが好ましい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
上記実施形態では、第1加熱装置13はシーズヒータである。しかしながら、本発明の加熱装置は、ダウサム(登録商標)ヒータ(熱媒ヒータ)にも適用可能である。また、本発明の加熱装置は、第2加熱装置19にも適用可能である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0091】
1 仮撚加工機
13 第1加熱装置(加熱装置)
51 熱源
54 接糸部
56 接糸面
61 糸走行空間
70 糸ガイド
70a 第1糸ガイド
70b 第2糸ガイド
74 端点
75 端点
81 位置決め部
82 壁部
83 壁部
84 当接部分
91 押さえ部
Bw ボビン
T 接線
X 接触点
Y 糸