(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144758
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】労災保険更新装置、労災保険更新方法、および、労災保険更新プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/08 20120101AFI20231003BHJP
【FI】
G06Q40/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051888
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】雨森 則人
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB61
(57)【要約】
【課題】翌年の概算保険料支払い時に、前年度の充当額・不足額を加味することができる労災保険更新装置、労災保険更新方法、および、労災保険更新プログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】年度、労働保険番号、および、概算保険料の納付額を紐付けて設定した労災保険支払データを取得し、プロジェクト完工時に、労災保険番号マスタ、労災保険料率マスタおよびプロジェクト基本データに基づいて、労災保険料の発生額を取得し、年度、労働保険番号、発生額、納付額、および、発生額から納付額を差し引いた労災保険料差額を紐付けて設定した労災保険年度更新データを取得し、労災保険支払データ、および、労災保険年度更新データに基づいて、年度の翌年度、労働保険番号、および、労災保険料差額を反映させた翌年度概算保険料を設定した翌年度労災保険料データを取得する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と制御部とを備えた労災保険更新装置であって、
前記記憶部は、
労働保険番号、および、労災事業を紐付けて設定した労災保険番号マスタと、
前記労災事業、労務費率、および、労災保険料率を紐付けて設定した労災保険料率マスタと、
プロジェクトの請負金額、前記労働保険番号、および、前記労災事業を紐付けて設定したプロジェクト基本データを記憶するプロジェクト記憶手段と、
を備え、
前記制御部は、
年度、前記労働保険番号、および、概算保険料の納付額を紐付けて設定した労災保険支払データを取得する労災保険支払取得手段と、
前記プロジェクト完工時に、前記労災保険番号マスタ、前記労災保険料率マスタおよび前記プロジェクト基本データに基づいて、労災保険料の発生額を取得する労災保険料取得手段と、
前記年度、前記労働保険番号、前記発生額、前記納付額、および、前記発生額から前記納付額を差し引いた労災保険料差額を紐付けて設定した労災保険年度更新データを取得する労災保険年度更新取得手段と、
前記労災保険支払データ、および、前記労災保険年度更新データに基づいて、前記年度の翌年度、前記労働保険番号、および、前記労災保険料差額を反映させた翌年度概算保険料を設定した翌年度労災保険料データを取得する翌年度保険料取得手段と、
を備えたことを特徴とする労災保険更新装置。
【請求項2】
前記労災保険支払データに設定された前記概算保険料の納付額は、
前記年度の前年度の概算保険料の納付額であることを特徴とする請求項1に記載の労災保険更新装置。
【請求項3】
前記発生額は、
前記請負金額と前記労務費率と前記労災保険料率とを乗じた金額であることを特徴とする請求項1または2に記載の労災保険更新装置。
【請求項4】
前記記憶部は、
前記納付額に対する前記発生額の充当または不足を示す振替区分、および、振替科目区分を紐付けて設定した振替科目マスタ、
を更に備え、
前記制御部は、
前記労災保険年度更新データ、および、前記振替科目マスタに基づいて、前記労災保険料差額の差額仕訳データを作成する仕訳作成手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の労災保険更新装置。
【請求項5】
前記差額仕訳データは、
前記発生額より前記納付額が多い場合、借方の勘定科目が未収入金、且つ、貸方の勘定科目が前払費用であることを特徴とする請求項4に記載の労災保険更新装置。
【請求項6】
前記差額仕訳データは、
前記発生額より前記納付額が少ない場合、借方の勘定科目が前払費用、且つ、貸方の勘定科目が未払金であることを特徴とする請求項4に記載の労災保険更新装置。
【請求項7】
前記労災保険支払取得手段は、
労災保険支払入力画面を表示させ、前記労災保険支払入力画面に前記年度、前記労働保険番号、および、前記概算保険料の納付額が設定された場合、前記労災保険支払データを取得することを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の労災保険更新装置。
【請求項8】
前記労災保険支払取得手段は、
更に、前記翌年度労災保険料データに基づいて、前記翌年度概算保険料を設定した労災保険支払入力画面を表示させ、前記労災保険支払入力画面に前記年度の翌年度、前記労働保険番号、および、前記翌年度概算保険料の納付額が設定された場合、前記翌年度の労災保険支払データを取得することを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の労災保険更新装置。
【請求項9】
記憶部と制御部とを備えた労災保険更新装置に実行させるための労災保険更新方法であって、
前記記憶部は、
労働保険番号、および、労災事業を紐付けて設定した労災保険番号マスタと、
前記労災事業、労務費率、および、労災保険料率を紐付けて設定した労災保険料率マスタと、
プロジェクトの請負金額、前記労働保険番号、および、前記労災事業を紐付けて設定したプロジェクト基本データを記憶するプロジェクト記憶手段と、
を備え、
前記制御部で実行させる、
年度、前記労働保険番号、および、概算保険料の納付額を紐付けて設定した労災保険支払データを取得する労災保険支払取得ステップと、
前記プロジェクト完工時に、前記労災保険番号マスタ、前記労災保険料率マスタおよび前記プロジェクト基本データに基づいて、労災保険料の発生額を取得する労災保険料取得ステップと、
前記年度、前記労働保険番号、前記発生額、前記納付額、および、前記発生額から前記納付額を差し引いた労災保険料差額を紐付けて設定した労災保険年度更新データを取得する労災保険年度更新取得ステップと、
前記労災保険支払データ、および、前記労災保険年度更新データに基づいて、前記年度の翌年度、前記労働保険番号、および、前記労災保険料差額を反映させた翌年度概算保険料を設定した翌年度労災保険料データを取得する翌年度保険料取得ステップと、
を含むことを特徴とする労災保険更新方法。
【請求項10】
記憶部と制御部とを備えた労災保険更新装置に実行させるための労災保険更新プログラムであって、
前記記憶部は、
労働保険番号、および、労災事業を紐付けて設定した労災保険番号マスタと、
前記労災事業、労務費率、および、労災保険料率を紐付けて設定した労災保険料率マスタと、
プロジェクトの請負金額、前記労働保険番号、および、前記労災事業を紐付けて設定したプロジェクト基本データを記憶するプロジェクト記憶手段と、
を備え、
前記制御部において、
年度、前記労働保険番号、および、概算保険料の納付額を紐付けて設定した労災保険支払データを取得する労災保険支払取得ステップと、
前記プロジェクト完工時に、前記労災保険番号マスタ、前記労災保険料率マスタおよび前記プロジェクト基本データに基づいて、労災保険料の発生額を取得する労災保険料取得ステップと、
前記年度、前記労働保険番号、前記発生額、前記納付額、および、前記発生額から前記納付額を差し引いた労災保険料差額を紐付けて設定した労災保険年度更新データを取得する労災保険年度更新取得ステップと、
前記労災保険支払データ、および、前記労災保険年度更新データに基づいて、前記年度の翌年度、前記労働保険番号、および、前記労災保険料差額を反映させた翌年度概算保険料を設定した翌年度労災保険料データを取得する翌年度保険料取得ステップと、
を実行させるための労災保険更新プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、労災保険更新装置、労災保険更新方法、および、労災保険更新プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、算定基礎額および労災保険料率に基づいて、労災保険の概算保険料を算出し、概算保険料と確定保険料額との差額を不足額または還付・充当額として自動算出し、労災保険の概算保険料、不足額、還付・充当額の仕訳作成する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の発明においては、前年度の充当額・不足額を加味した概算保険料の算出ができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、翌年の概算保険料支払い時に、前年度の充当額・不足額を加味することができる労災保険更新装置、労災保険更新方法、および、労災保険更新プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る労災保険更新装置は、記憶部と制御部とを備えた労災保険更新装置であって、前記記憶部は、労働保険番号、および、労災事業を紐付けて設定した労災保険番号マスタと、前記労災事業、労務費率、および、労災保険料率を紐付けて設定した労災保険料率マスタと、プロジェクトの請負金額、前記労働保険番号、および、前記労災事業を紐付けて設定したプロジェクト基本データを記憶するプロジェクト記憶手段と、を備え、前記制御部は、年度、前記労働保険番号、および、概算保険料の納付額を紐付けて設定した労災保険支払データを取得する労災保険支払取得手段と、前記プロジェクト完工時に、前記労災保険番号マスタ、前記労災保険料率マスタおよび前記プロジェクト基本データに基づいて、労災保険料の発生額を取得する労災保険料取得手段と、前記年度、前記労働保険番号、前記発生額、前記納付額、および、前記発生額から前記納付額を差し引いた労災保険料差額を紐付けて設定した労災保険年度更新データを取得する労災保険年度更新取得手段と、前記労災保険支払データ、および、前記労災保険年度更新データに基づいて、前記年度の翌年度、前記労働保険番号、および、前記労災保険料差額を反映させた翌年度概算保険料を設定した翌年度労災保険料データを取得する翌年度保険料取得手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る労災保険更新装置において、前記労災保険支払データに設定された前記概算保険料の納付額は、前記年度の前年度の概算保険料の納付額であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る労災保険更新装置において、前記発生額は、前記請負金額と前記労務費率と前記労災保険料率とを乗じた金額であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る労災保険更新装置において、前記記憶部は、前記納付額に対する前記発生額の充当または不足を示す振替区分、および、振替科目区分を紐付けて設定した振替科目マスタ、を更に備え、前記制御部は、前記労災保険年度更新データ、および、前記振替科目マスタに基づいて、前記労災保険料差額の差額仕訳データを作成する仕訳作成手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る労災保険更新装置において、前記差額仕訳データは、前記発生額より前記納付額が多い場合、借方の勘定科目が未収入金、且つ、貸方の勘定科目が前払費用であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る労災保険更新装置において、前記差額仕訳データは、前記発生額より前記納付額が少ない場合、借方の勘定科目が前払費用、且つ、貸方の勘定科目が未払金であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る労災保険更新装置において、前記労災保険支払取得手段は、労災保険支払入力画面を表示させ、前記労災保険支払入力画面に前記年度、前記労働保険番号、および、前記概算保険料の納付額が設定された場合、前記労災保険支払データを取得することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る労災保険更新装置において、前記労災保険支払取得手段は、更に、前記翌年度労災保険料データに基づいて、前記翌年度概算保険料を設定した労災保険支払入力画面を表示させ、前記労災保険支払入力画面に前記年度の翌年度、前記労働保険番号、および、前記翌年度概算保険料の納付額が設定された場合、前記翌年度の労災保険支払データを取得することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る労災保険更新方法は、記憶部と制御部とを備えた労災保険更新装置に実行させるための労災保険更新方法であって、前記記憶部は、労働保険番号、および、労災事業を紐付けて設定した労災保険番号マスタと、前記労災事業、労務費率、および、労災保険料率を紐付けて設定した労災保険料率マスタと、プロジェクトの請負金額、前記労働保険番号、および、前記労災事業を紐付けて設定したプロジェクト基本データを記憶するプロジェクト記憶手段と、を備え、前記制御部で実行させる、年度、前記労働保険番号、および、概算保険料の納付額を紐付けて設定した労災保険支払データを取得する労災保険支払取得ステップと、前記プロジェクト完工時に、前記労災保険番号マスタ、前記労災保険料率マスタおよび前記プロジェクト基本データに基づいて、労災保険料の発生額を取得する労災保険料取得ステップと、前記年度、前記労働保険番号、前記発生額、前記納付額、および、前記発生額から前記納付額を差し引いた労災保険料差額を紐付けて設定した労災保険年度更新データを取得する労災保険年度更新取得ステップと、前記労災保険支払データ、および、前記労災保険年度更新データに基づいて、前記年度の翌年度、前記労働保険番号、および、前記労災保険料差額を反映させた翌年度概算保険料を設定した翌年度労災保険料データを取得する翌年度保険料取得ステップと、を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る労災保険更新プログラムは、記憶部と制御部とを備えた労災保険更新装置に実行させるための労災保険更新プログラムであって、前記記憶部は、労働保険番号、および、労災事業を紐付けて設定した労災保険番号マスタと、前記労災事業、労務費率、および、労災保険料率を紐付けて設定した労災保険料率マスタと、プロジェクトの請負金額、前記労働保険番号、および、前記労災事業を紐付けて設定したプロジェクト基本データを記憶するプロジェクト記憶手段と、を備え、前記制御部において、年度、前記労働保険番号、および、概算保険料の納付額を紐付けて設定した労災保険支払データを取得する労災保険支払取得ステップと、前記プロジェクト完工時に、前記労災保険番号マスタ、前記労災保険料率マスタおよび前記プロジェクト基本データに基づいて、労災保険料の発生額を取得する労災保険料取得ステップと、前記年度、前記労働保険番号、前記発生額、前記納付額、および、前記発生額から前記納付額を差し引いた労災保険料差額を紐付けて設定した労災保険年度更新データを取得する労災保険年度更新取得ステップと、前記労災保険支払データ、および、前記労災保険年度更新データに基づいて、前記年度の翌年度、前記労働保険番号、および、前記労災保険料差額を反映させた翌年度概算保険料を設定した翌年度労災保険料データを取得する翌年度保険料取得ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、年度更新処理の簡略化をすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、ミスの防止、業務効率化することが可能となるという効果を奏する。また、本発明によれば、労災保険料に対する過払金および未払金に関する仕訳作成に掛かる会計処理をすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、過払と未払とを加味した翌年度の労災保険支払での調整をすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本実施形態における労災保険更新装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施形態における労災保険番号マスタの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態における労災保険料率マスタの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態における振替科目マスタの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態におけるプロジェクトの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態における労災保険更新装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本実施形態における労災保険更新処理の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態における労災保険更新処理の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態における労災保険更新処理の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本実施形態における労災保険更新処理の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本実施形態における労災保険更新処理の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本実施形態における労災保険更新処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0019】
[1.概要]
まず、本発明の概要を説明する。
【0020】
一括有期事業では、今期分の労災の概算保険料として、前払をする運用があり(概算保険料支払時:前払費用/普通預金)、前払した労災の概算保険料を前払費用として管理し、完工した工事に対して発生する労災保険料との取崩を行うため(労災保険料の計上:労災保険料/前払費用)、概算保険料の支払と、労災保険料の実際発生額の差額とを把握する必要がある。
【0021】
従来は、労災保険の概算保険料と実際に発生した工事の労災保険料とを手動算出し、差分を手動計上しており、翌期の概算保険料の支払時も、差分を手動で計上していた。
【0022】
しかし、従来は、概算保険料と実際の労災保険料との値が異なるため、年間の労災保険料を算出し、振替処理を行う必要があり、振替後、翌期に支払する概算保険料には、振り替えた金額を加味して概算保険料の支払を行う必要があった。
【0023】
そこで、本実施形態においては、事業所別(部門別)労災事業別の、年間の労災保険料を算出し、概算保険料と実際の労災保険料との差を算出し、振替処理を自動で行い、翌年の概算保険料支払い時に、前年度の充当額・不足額を加味する仕組みを提供している。
【0024】
[2.構成]
本実施形態に係る労災保険更新装置100の構成の一例について、
図1を参照して説明する。
図1は、本実施形態における労災保険更新装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
図1に示すように、労災保険更新装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、労災保険更新装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0026】
労災保険更新装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。労災保険更新装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0027】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、労災保険更新装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、労災保険更新装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0028】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0029】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、労災保険番号マスタ106aと労災保険料率マスタ106bと振替科目マスタ106cとプロジェクトデータベース106dとを備えている。
【0030】
労災保険番号マスタ106aは、労働保険番号、および、労災事業を紐付けて設定したマスタである。ここで、労災保険番号マスタ106aは、労働保険番号、(担当)部門、および、労災事業が紐付けて設定されていてもよい。
【0031】
ここで、
図2を参照して、本実施形態における労災保険番号マスタ106aの一例を説明する。
図2は、本実施形態における労災保険番号マスタ106aの一例を示す図である。
【0032】
図2に示すように、本実施形態における労災保険番号マスタ106aにおいては、労働保険番号、(担当)部門、および、労災事業が紐付けて設定されている。
【0033】
図1に戻り、労災保険料率マスタ106bは、労災事業、労務費率、および、労災保険料率を紐付けて設定したマスタである。ここで、労災保険料率マスタ106bは、労災事業、適用開始日、労務費率、および、労災保険料率が紐付けて設定されていてもよい。
【0034】
ここで、
図3を参照して、本実施形態における労災保険料率マスタ106bの一例を説明する。
図3は、本実施形態における労災保険料率マスタ106bの一例を示す図である。
【0035】
図3に示すように、本実施形態における労災保険料率マスタ106bにおいては、労災事業、適用開始日、労務費率、および、労災保険料率が紐付けて設定されている。
【0036】
図1に戻り、振替科目マスタ106cは、納付額に対する発生額の充当または不足を示す振替区分、および、振替科目区分を紐付けて設定したマスタである。
【0037】
ここで、
図4を参照して、本実施形態における振替科目マスタ106cの一例を説明する。
図4は、本実施形態における振替科目マスタ106cの一例を示す図である。
【0038】
図4に示すように、本実施形態における振替科目マスタ106cにおいては、振替区分、および、振替科目区分が紐付けて設定されている。
【0039】
図1に戻り、プロジェクトデータベース106dは、プロジェクトのプロジェクトデータを記憶する。ここで、プロジェクトデータベース106dは、(建設工事の)プロジェクトの請負金額、労働保険番号、および、労災事業を紐付けて設定したプロジェクト基本データを記憶していてもよい。また、プロジェクトデータベース106dは、プロジェクト番号、プロジェクト名、(担当)部門、受注日、請負金額、有期事業種類区分、労働保険番号、および/または、労災事業を紐付けて設定したプロジェクト基本データを記憶していてもよい。また、プロジェクトデータベース106dは、プロジェクト番号、プロジェクト名、(担当)部門、売上日、および/または、売上金額を紐付けて設定したプロジェクト売上データを記憶していてもよい。
【0040】
ここで、
図5を参照して、本実施形態におけるプロジェクトの一例を説明する。
図5は、本実施形態におけるプロジェクトの一例を示す図である。
【0041】
図5に示すように、本実施形態におけるプロジェクトにおいては、有期事業種類区分=「0:一括」を対象としている。
【0042】
図1に戻り、制御部102は、労災保険更新装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、プロジェクト取得部102aと労災保険支払取得部102bと労災保険料取得部102cと労災保険年度更新取得部102dと仕訳作成部102eと翌年度保険料取得部102fとを備えている。
【0043】
プロジェクト取得部102aは、プロジェクトデータを取得する。ここで、プロジェクト取得部102aは、プロジェクト基本データを取得してもよい。また、プロジェクト取得部102aは、プロジェクト売上データを取得してもよい。
【0044】
労災保険支払取得部102bは、年度、労働保険番号、および、概算保険料の納付額を紐付けて設定した労災保険支払データを取得する。ここで、労災保険支払データに設定された概算保険料の納付額は、年度の前年度の概算保険料の納付額であってもよい。また、労災保険支払取得部102bは、労災保険支払入力画面を表示させ、労災保険支払入力画面に年度、労働保険番号、および、概算保険料の納付額が設定された場合、労災保険支払データを取得してもよい。また、労災保険支払取得部102bは、翌年度労災保険料データに基づいて、労災保険料差額を反映させた翌年度概算保険料を設定した労災保険支払入力画面を表示させ、労災保険支払入力画面に年度の翌年度、労働保険番号、および、翌年度概算保険料の納付額が設定された場合、翌年度の労災保険支払データを取得してもよい。
【0045】
労災保険料取得部102cは、プロジェクト完工時に、労災保険料の発生額を取得する。ここで、労災保険料取得部102cは、プロジェクト完工時に、労災保険番号マスタ106a、労災保険料率マスタ106bおよびプロジェクト基本データに基づいて、労災保険料の発生額を取得してもよい。ここで、発生額は、請負金額と労務費率と労災保険料率とを乗じた金額であってもよい。
【0046】
労災保険年度更新取得部102dは、年度、労働保険番号、発生額、および、納付額を紐付けて設定した労災保険年度更新データを取得する。ここで、労災保険年度更新取得部102dは、年度、労働保険番号、労災保険料の発生額、労災保険料の納付額、および、発生額から納付額を差し引いた労災保険料差額を紐付けて設定した労災保険年度更新データを取得してもよい。
【0047】
仕訳作成部102eは、仕訳データを作成する。ここで、仕訳作成部102eは、労災保険年度更新データ、および、振替科目マスタ106cに基づいて、労災保険料差額の差額仕訳データを作成してもよい。ここで、差額仕訳データは、発生額より納付額が多い場合、借方の勘定科目が未収入金、且つ、貸方の勘定科目が前払費用であってもよい。また、差額仕訳データは、発生額より納付額が少ない場合、借方の勘定科目が前払費用、且つ、貸方の勘定科目が未払金であってもよい。
【0048】
翌年度保険料取得部102fは、年度の翌年度、労働保険番号、および、労災保険料差額を反映させた翌年度概算保険料を設定した翌年度労災保険料データを取得する。ここで、翌年度保険料取得部102fは、労災保険支払データ、および、労災保険年度更新データに基づいて、年度の翌年度、労働保険番号、および、労災保険料差額を反映させた翌年度概算保険料を設定した翌年度労災保険料データを取得してもよい。
【0049】
[3.具体例]
本実施形態の具体例について、
図6から
図11を参照して説明する。
【0050】
[労災保険更新処理]
ここで、
図6を参照して、本実施形態における労災保険更新処理の一例について説明する。
図6は、本実施形態における労災保険更新装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【0051】
図6に示すように、労災保険支払取得部102bは、本年度の労災保険支払入力時に、前年度の概算保険料の納付額を設定した労災保険支払入力画面を出力装置114に表示させ、ユーザにより入力装置112を介して労災保険支払入力画面に年度、労働保険番号、および、概算保険料の納付額が設定された場合、労災保険支払データを取得する(ステップSA-1)。
【0052】
そして、労災保険料取得部102cは、プロジェクト完工時に、労災保険番号マスタ106a、労災保険料率マスタ106bおよびプロジェクトデータベース106dに記憶されたプロジェクト基本データに基づいて、請負金額と労務費率と労災保険料率とを乗じた金額である労災保険料の発生額を取得する(ステップSA-2)。
【0053】
そして、労災保険年度更新取得部102dは、年度、労働保険番号、労災保険料の発生額、労災保険料の納付額、および、発生額から納付額を差し引いた労災保険料差額を紐付けて設定した労災保険年度更新データを取得する(ステップSA-3)。
【0054】
そして、仕訳作成部102eは、労災保険年度更新データ、および、振替科目マスタ106cに基づいて、労災保険料差額の差額仕訳データを作成する(ステップSA-4)。
【0055】
そして、翌年度保険料取得部102fは、労災保険支払データ、および、労災保険年度更新データに基づいて、年度の翌年度、労働保険番号、および、労災保険料差額を反映させた翌年度概算保険料を設定した翌年度労災保険料データを取得する(ステップSA-5)。
【0056】
そして、労災保険支払取得部102bは、翌年度の労災保険支払入力時に、翌年度労災保険料データに基づいて、翌年度概算保険料を設定した労災保険支払入力画面を出力装置114に表示させ、労災保険支払入力画面に翌年度、労働保険番号、および、翌年度概算保険料の納付額が設定された場合、翌年度の労災保険支払データを取得し(ステップSA-6)、処理を終了する。
【0057】
ここで、
図7から
図12を参照して、本実施形態における労災保険更新処理の一例について説明する。
図7から
図12は、本実施形態における労災保険更新処理の一例を示す図である。
【0058】
図7に示すように、本実施形態においては、ユーザによるプロジェクト(PJ)基本データ入力より、プロジェクト基本データが登録される。ここで、本実施形態においては、メリット制度、一般拠出金の算出、および、支給材料額が省略されている。
【0059】
そして、
図8に示すように、本実施形態においては、2020年度の充当額・不足額が0円として労災保険支払入力画面が表示され、ユーザにより2021年度の労災保険料の納付額が3分割で支払われる。ここで、
図8に示すように、本実施形態においては、「充当額・不足額=前年度の納付額と保険料額の差額」、および、「納付額=概算保険料+充当額・不足額+一般拠出金額」であってもよい。
【0060】
そして、
図9に示すように、本実施形態においては、2021年度における売上入力により、プロジェクトの売上処理が行われる。
【0061】
そして、
図10に示すように、本実施形態においては、保険料の計算として、「賃金総額=請負金額×労務費率」および「労災保険料=賃金総額×労災保険料率」の計算により、労災保険料の発生額が算出され、「差額=発生額-納付額」の計算により労災保険年度更新データが取得される。なお、本実施形態においては、計算により生じる端数を切り捨てしてもよい。
【0062】
そして、
図11に示すように、本実施形態においては、2021年度の年度末の振替処理として、振替科目マスタ106cに設定された勘定科目、および、労災保険年度更新データより、仕訳データが作成される。
【0063】
そして、
図12に示すように、本実施形態においては、2021年度の充当額・不足額が、2022年度の労災保険の概算保険料の初回支払時に加味された労災保険支払入力画面が表示され、ユーザにより2022年度の労災保険料の納付額が3分割で支払われる。
【0064】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0065】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0066】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0067】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0068】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0069】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0070】
また、労災保険更新装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0071】
例えば、労災保険更新装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて労災保険更新装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0072】
また、このコンピュータプログラムは、労災保険更新装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0073】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0074】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0075】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0076】
また、労災保険更新装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、労災保険更新装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0077】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、建設工事業界等の業界において有用である。
【符号の説明】
【0079】
100 労災保険更新装置
102 制御部
102a プロジェクト取得部
102b 労災保険支払取得部
102c 労災保険料取得部
102d 労災保険年度更新取得部
102e 仕訳作成部
102f 翌年度保険料取得部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 労災保険番号マスタ
106b 労災保険料率マスタ
106c 振替科目マスタ
106d プロジェクトデータベース
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク