(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144771
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】搬送システム及び自動搬送車
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20231003BHJP
【FI】
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051906
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【弁理士】
【氏名又は名称】来山 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】小島 宏志
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301AA10
5H301BB05
5H301BB07
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD06
5H301DD07
5H301DD15
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG09
5H301GG19
5H301KK19
5H301LL01
5H301LL02
5H301LL03
(57)【要約】
【課題】自動搬送車の走行時間の長大化を抑制し、作業効率の低下を抑制することが可能な搬送システムを提供する。
【解決手段】自動搬送車が移動する作業エリア内を複数の観測装置が観測する。複数の観測装置で得られた情報に基づいて、障害物位置情報生成部が、作業エリア内の障害物の位置を示す障害物位置情報を生成する。自動搬送車は、障害物位置情報生成部から障害物位置情報を取得する機能と、取得した障害物位置情報に基づいて、現在地から目標地点まで障害物を避けて移動する走行経路を求める機能と、求められた走行経路に沿って目標地点まで移動する機能と、目標地点に到達するまでの期間にも、障害物位置情報生成部から新たな障害物位置情報を取得し、現在の走行経路を、新たな障害物位置情報に基づいて修正する機能とを備えている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業エリア内で移動する自動搬送車と、
前記作業エリア内を観測する複数の観測装置と、
前記複数の観測装置で得られた情報に基づいて、前記作業エリア内の障害物の位置を示す障害物位置情報を生成する障害物位置情報生成部と
を備え、
前記自動搬送車は、
前記障害物位置情報生成部から前記障害物位置情報を取得する機能と、
取得した前記障害物位置情報に基づいて、現在地から目標地点まで障害物を避けて移動する走行経路を求める機能と、
求められた走行経路に沿って前記目標地点まで移動する機能と、
前記目標地点に到達するまでの期間にも、前記障害物位置情報生成部から新たな前記障害物位置情報を取得し、現在の走行経路を、新たな前記障害物位置情報に基づいて修正する機能と
を備えている搬送システム。
【請求項2】
前記障害物位置情報生成部は、前記障害物位置情報として、障害物の種別及び位置に基づいてコストマップを作成し、
前記自動搬送車は、前記走行経路として、前記障害物位置情報生成部で作成されたコストマップに基づいて、現在地から前記目標地点までの最小コスト経路を求める請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記障害物位置情報生成部は、前記作業エリアを、二次元的に分布する複数のゾーンに区分し、障害物の有無及び障害物の種別に応じて前記複数のゾーンのそれぞれにコスト値を割り付けてコストマップを作成する請求項2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記障害物位置情報生成部は、前記障害物位置情報として、前記複数のゾーンの少なくとも一部のゾーンのコスト値が異なる複数のコストマップを作成し、
前記自動搬送車は、複数のコストマップから選択された1つのコストマップを用いて前記走行経路を決定する請求項3に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記障害物位置情報生成部は、前記複数の観測装置で得られた情報に基づいて人を検出し、検出された人が前記複数のゾーンの境界線を横切ったことを検出すると、移動後のゾーンに人が居ると判定する請求項3または4に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記障害物位置情報生成部は、
前記複数の観測装置のそれぞれで得られた情報に基づいて、それぞれの観測装置の観測可能範囲内の障害物の座標を検出し、
前記複数の観測装置のそれぞれの観測可能範囲内の障害物の座標を合成して、前記作業エリアの全体の前記障害物位置情報を生成する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記障害物位置情報生成部は、前記複数の観測装置で得られた情報に基づいて人を検出し、人の検出の確からしさの時間移動平均が閾値を以上である場合、人であると判定する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記複数の観測装置は、前記作業エリアに固定的に配置されている観測装置、可搬型の観測装置、前記自動搬送車に搭載されている観測装置の少なくとも1つを含む請求項1乃至4のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項9】
前記自動搬送車の周囲に仮想バンパーエリアが定義されており、
前記自動搬送車は、
前記仮想バンパーエリアの内側に障害物を検出すると減速または停止する機能と、
前記仮想バンパーエリアの大きさを変化させる機能と
をさらに有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項10】
作業エリア内で移動する自動搬送車であって、
走行機構と、
前記作業エリア内の障害物の位置を示す障害物位置情報を取得する障害物位置情報取得部と、
前記障害物位置情報取得部で取得した前記障害物位置情報に基づいて、現在地から目標地点まで障害物を避けて移動する走行経路を求める走行経路探索部と、
求められた走行経路に沿って移動するように、前記走行機構を制御する制御部と
を備え、
前記走行経路探索部は、前記目標地点に到達するまでの期間にも、前記障害物位置情報取得部は、最新の前記障害物位置情報を取得し、
前記走行経路探索部は、最新の前記障害物位置情報に基づいて走行経路を修正し、
前記制御部は、修正後の走行経路に沿って移動するように、前記走行機構を制御する自動搬送車。
【請求項11】
さらに、障害物検出センサを備えており、
前記制御部は、
前記障害物検出センサで得られた情報に基づいて、周囲に定義された仮想バンパーエリアの内側に障害物を検出すると、前記走行機構に対して減速または停止の制御を行い、
前記仮想バンパーエリアの大きさを変化させることができる請求項10に記載の自動搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システム及び自動搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
作業エリア内で無人で走行する自動搬送車は、搭載されているカメラ、LiDAR等のセンサで周囲の障害物を検出しながら、障害物に接触しないように走行する。進行方向に障害物、例えば柱、他の自動搬送車、トラック、人等が検出されると、自動搬送車は減速したり停止したりする。下記の特許文献1に、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)誘導方式を用いた自動搬送車の制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動搬送車は、現在地から目標地点まで、障害物を避けて走行するように最適な走行経路を求め、予め、最適な走行経路を設定し、この走行経路に沿って目標地点まで走行する。予め設定された走行経路に、人、フォークリフト等が進入する場合がある。自動搬送車は、設定されている走行経路上に障害物を検出すると、減速するかまたは停止する。自動搬送車は、設定されている走行経路から障害物が居なくなると、走行を再開する。このため、目標地点までの走行時間が長くなり、作業効率が低下する。
【0005】
本発明の目的は、自動搬送車の走行時間の長大化を抑制し、作業効率の低下を抑制することが可能な搬送システム及び自動搬送車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によると、
作業エリア内で移動する自動搬送車と、
前記作業エリア内を観測する複数の観測装置と、
前記複数の観測装置で得られた情報に基づいて、前記作業エリア内の障害物の位置を示す障害物位置情報を生成する障害物位置情報生成部と
を備え、
前記自動搬送車は、
前記障害物位置情報生成部から前記障害物位置情報を取得する機能と、
取得した前記障害物位置情報に基づいて、現在地から目標地点まで障害物を避けて移動する走行経路を求める機能と、
求められた走行経路に沿って前記目標地点まで移動する機能と、
前記目標地点に到達するまでの期間にも、前記障害物位置情報生成部から新たな前記障害物位置情報を取得し、現在の走行経路を、新たな前記障害物位置情報に基づいて修正する機能と
を備えている搬送システムが提供される。
【0007】
本発明の他の観点によると、
作業エリア内で移動する自動搬送車であって、
走行機構と、
前記作業エリア内の障害物の位置を示す障害物位置情報を取得する障害物位置情報取得部と、
前記障害物位置情報取得部で取得した前記障害物位置情報に基づいて、現在地から目標地点まで障害物を避けて移動する走行経路を求める走行経路探索部と、
求められた走行経路に沿って移動するように、前記走行機構を制御する制御部と
を備え、
前記走行経路探索部は、前記目標地点に到達するまでの期間にも、前記障害物位置情報取得部は、最新の前記障害物位置情報を取得し、
前記走行経路探索部は、最新の前記障害物位置情報に基づいて走行経路を修正し、
前記制御部は、修正後の走行経路に沿って移動するように、前記走行機構を制御する自動搬送車が提供される。
【発明の効果】
【0008】
自動搬送車は、走行途中に新たな障害物位置情報に基づいて走行経路を修正するため、走行時間の長大化を抑制し、作業効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施例による搬送システムの概要を模式的に示す平面図である。
【
図2】
図2は、障害物位置情報生成部が行う処理の手順を示すフローチャートである。
【
図3】
図3A~
図3Eは、障害物位置情報生成部が実行する処理を説明するための模式図である。
【
図4】
図4は、自動搬送車の機能を説明するためのブロック図である。
【
図5】
図5は、自動搬送車が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図6A及び
図6Bは、作業エリア内の障害物の位置及び自動搬送車の走行経路の一例を模式的に示す平面図である。
【
図7】
図7は、コストマップで表現された障害物位置情報を示す模式図である。
【
図8】
図8A~
図8Cは、比較例による障害物位置情報を生成する方法を説明するための模式図である。
【
図9】
図9A及び
図9Bは、他の実施例による搬送システムで、障害物位置情報として生成されるゾーン別コストマップを示す模式図である。
【
図10】
図10A及び
図10Bは、さらに他の実施例による搬送システムが障害物としての人を検出する方法を説明するための模式図である。
【
図11】
図11Aは、さらに他の実施例による搬送システムが障害物としての人を検出する方法を説明するための模式図であり、
図11Bは、検出された物体の確からしさの時間変化の一例を示すグラフである。
【
図12】
図12は、さらに他の実施例による自動搬送車の機能を示すブロック図である。
【
図14】
図14A及び
図14Bは、それぞれ比較例及び
図12に示した実施例による搬送システム及び自動搬送車のゾーン別コストマップと自動搬送車との関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1~
図7を参照して一実施例による搬送システム及び自動搬送車について説明する。
図1は、一実施例による搬送システムの概要を模式的に示す平面図である。本実施例による搬送システムは、複数の観測装置21、自動搬送車30、及び上位制御装置50を含む。自動搬送車30は、上位制御装置50から取得する障害物位置情報に基づいて走行経路を決定し、作業エリア20内を自律的に走行する。例えば、作業エリア20は、自動搬送車30が移動可能で、指令に基づいてエリア内の任意の位置に荷物を搬送することができるように、予め定められたエリアである。
【0011】
複数の観測装置21は、それぞれ作業エリア20内の観測可能範囲を観測する。複数の観測装置21による観測結果が上位制御装置50に入力される。複数の観測装置21は、例えばカメラであり、作業エリア20内を撮像し、得られた画像データが上位制御装置50に入力される。なお、複数の観測装置21として、作業エリア20内の障害物の種別及び位置を検出することができる情報を取得可能な他の観測装置を用いてもよい。例えば、観測装置21としてLiDAR(light detection and ranging)を用いてもよい。複数の観測装置21は、作業エリア20内に死角が生じないように配置される。複数の観測装置21のそれぞれで観測しているエリアを統合したエリアを、作業エリア20ということもできる。
【0012】
上位制御装置50は、障害物位置情報生成部51及び入出力装置52を含む。管理者または作業者が入出力装置52を操作することにより、上位制御装置50に種々の指令を与える。障害物位置情報生成部51は、複数の観測装置21で観測された情報、例えば画像情報に基づいて、作業エリア20内の障害物の種別及び位置を検出し、障害物位置情報を生成する。
【0013】
作業エリア20内の障害物として、例えば人25A、作用者が運転するフォークリフト25B、棚25C、トラック25D等が挙げられる。人25A及びフォークリフト25Bは、作業エリア20内を移動する。棚25Cは、作業エリア20内に固定されている。トラック25Dは、荷物の積み下ろしのために作業エリア20内に進入し、作業エリア20内に停車する。積み下ろしの作業を行う期間は、トラック25Dは移動しない。
【0014】
自動搬送車30は、例えば荷物を載せて移動する無人搬送台車(Automatic Guided Vehicle)、フォークで荷物を保持して搬送する無人搬送フォークリフト(Automated Guided Forklift)等である。自動搬送車30は、WiFi等の近距離無線通信を利用して上位制御装置50と種々の情報の送受信を行う。
【0015】
次に、
図2、
図3A~
図3Eを参照して、障害物位置情報生成部51が実行する処理について説明する。
図2は、障害物位置情報生成部51(
図1)が行う処理の手順を示すフローチャートである。
図3A~
図3Eは、障害物位置情報生成部51が実行する処理を説明するための模式図である。
【0016】
まず、複数の観測装置21のそれぞれから画像データを取得する(ステップSA1)。2つの観測装置21のそれぞれから取得された画像データで定義される画像を
図3A及び
図3Bに示す。例えば、観測装置21の画界内に作業エリア20(
図1)の床面と壁面との境界、隣り合う2つの壁面の境界、及び人25Aが写りこんでいる。2つの観測装置21の観測範囲が相互に部分的に重なっている。このため、一人の人25Aが、
図3A及び
図3Bに示した2つの画像に写り込んでいる。
【0017】
障害物位置情報生成部51は、複数の観測装置21のそれぞれから取得した画像データを別々に画像解析することにより、障害物の種別及び位置を特定する(ステップSA2)。例えば、作業エリア20内に二次元直交座標系を定義する。画界内に写りこんでいる作業エリア20の床面と壁面との境界(
図3A、
図3B)等の座標は既知であり、観測装置21は作業エリア20に対して固定されているため、画界内の位置から作業エリア20内の座標を算出することができる。
【0018】
例えば、画界内に人が写り込んでいる場合、人の足元の位置に基づいて、人が居る位置の座標を算出することができる。例えば、
図3Aに示した画像から、
図3Cに示すようにx=3500、y=4000の位置に人25Aが検出される。
図3Bに示した画像からも、
図3Dに示すようにx=3500、y=4000の位置に人25Aが検出される。画界内に人以外の障害物が存在する場合にも、これらの障害物の座標を算出する。障害物の座標を定義する情報を座標情報ということとする。
【0019】
複数の観測装置21のそれぞれで取得された画像データに基づいて得られた座標情報を合成し、作業エリア20の全域をカバーする障害物位置情報を生成する(ステップSA3)。
図3Eに、合成後の座標情報の一例を示す。合成された座標情報では、
図3C及び
図3Dのそれぞれの座標情報で定義されている人25Aの座標が一つにまとめられる。合成後の座標情報から、x=3500、y=4000の位置に一人の人25Aが居ることがわかる。障害物位置情報生成部51は、合成した座標情報に基づいて障害物位置情報を作成する。
【0020】
本実施例では、障害物位置情報としてゾーン別コストマップを用いる。ゾーン別コストマップは、作業エリア20を複数のゾーンに区分し、複数のゾーンのそれぞれにコスト値を付与したものである。障害物が存在するゾーンに、相対的に高いコスト値が付与される。ゾーン別コストマップの詳細については、後に
図7を参照して説明する。
【0021】
次に、
図4を参照して自動搬送車30の機能について説明する。
図4は、自動搬送車30の機能を説明するためのブロック図である。自動搬送車30は、障害物位置情報取得部31、ゾーン別コストマップ作成更新部32、走行経路探索部33、制御部34、及び走行機構35を含む。
【0022】
障害物位置情報取得部31は、障害物位置情報生成部51から障害物位置情報を取得する。ゾーン別コストマップ作成更新部32は、障害物位置情報取得部31が取得した障害物位置情報に基づいて、ゾーン別コストマップを作成または更新する。例えば、ゾーン別コストマップの複数のゾーンのそれぞれにコスト値を付与するか、または既に付与されているコスト値を更新する。走行経路探索部33は、障害物位置情報取得部31で取得された障害物位置情報に基づいて、自動搬送車30の現在地から目標地点までの走行経路を計算する。例えば、ゾーン別コストマップ作成更新部32によって作成または更新されたゾーン別コストマップに基づいて、最小コスト経路(「最小コストの走行経路」という場合がある。)を求める。目標地点は、上位制御装置50から指令される。
【0023】
制御部34は、走行経路探索部33で求められた最小コストの走行経路に沿って移動するように、走行機構35を制御する。走行機構35は、モータ及び車輪を含み、制御部34がモータを駆動することにより、自動搬送車30が走行する。
【0024】
次に、
図5を参照して自動搬送車30が実行する処理について説明する。
図5は、自動搬送車30が実行する処理の手順を示すフローチャートである。まず、障害物位置情報取得部31(
図4)が、障害物位置情報生成部51(
図4)から障害物位置情報を取得する(ステップSB1)。取得した障害物位置情報に基づいて、ゾーン別コストマップ作成更新部32が、ゾーン別コストマップを作成または更新する(ステップSB2)。その後、走行経路探索部33(
図4)が、ゾーン別コストマップに基づいて現在地から目標地点までの最小コストの走行経路を決定する(ステップSB3)。走行経路が決定されたら、制御部34(
図4)が走行機構35(
図4)を制御することにより、走行経路に沿った走行を開始する(ステップSB4)。
【0025】
自動搬送車30が目標地点に到達するまでの走行途中の期間、自動搬送車30はステップSB1からSB4までの手順を周期的に繰り返し実行する(ステップSB5)。ステップSB3で決定された最小コストの走行経路に沿って走行している間、周期的に、例えば1秒ごとに、新しい障害物位置情報に基づいて最小コストの走行経路が再計算される(ステップSB3)。再計算された走行経路が、現時点の走行経路と異なる場合は、新たに求められた走行経路を最小コストの走行経路として設定し、新たな走行経路に沿って走行する(ステップSB4)。
【0026】
次に、
図6A及び
図6Bを参照して、自動搬送車30の移動の様子について説明する。
図6A及び
図6Bは、作業エリア20内の障害物の位置及び自動搬送車30の走行経路の一例を模式的に示す平面図である。
図6Aは、走行開始時点の作業エリア20内の障害物の位置を示している。作業エリア20内に、二人の人25A、フォークリフト25B、トラック25D、及び棚25Cが存在する。自動搬送車30は、現時点の障害物の位置に基づいて、現在地から目標地点27に至る最小コストの走行経路22Aを決定する。
【0027】
図6Bに示すように、自動搬送車30の走行中に一人の人25Aが移動して走行経路22Aに進入する。障害物位置情報生成部51(
図1)は、現時点の障害物位置情報を生成し(ステップSA3)、自動搬送車30は、新たな障害物位置情報を取得する(ステップSB1)。自動搬送車30は、新たに取得した障害物位置情報に基づいて、目標地点27に至る最小コストの走行経路を再計算する(ステップSB3)。当初の走行経路22Aに人25Aが進入しているため、人25Aを避ける新たな走行経路22Bが設定される。
【0028】
次に、
図7を参照して障害物位置情報について説明する。
図7は、コストマップで表現された障害物位置情報を示す模式図である。作業エリア20を、行列状に隈なく配置された複数のゾーン40に区分する。複数のゾーン40の各々は、例えば一辺の長さが1~2m程度の正方形である。複数のゾーン40のそれぞれが、「リスク高」、「リスク中」、「リスク低」、及び「リスク無」の4つのリスク種別のいずれかに分類される。
図7に示したコストマップにおいて、リスクの高さを灰色の濃淡で表している。「リスク高」のゾーン40を最も濃く表し、「リスク小」のゾーン40を最も淡く表し、「リスク中」のゾーン40をその中間の濃さで表している。「リスク無」のゾーン40は、白色で表している。また、フォークリフト25B、棚25C、トラック25Dの輪郭線を白い線で表している。
【0029】
図3Eに示した障害物の座標情報から、複数のゾーン40を、障害物が存在するゾーン40と障害物が存在しないゾーン40とに分類する。障害物が存在するゾーン40は、「リスク高」のリスク種別に分類する。
【0030】
人25Aが検出されたゾーン40から一定の距離以内に位置するゾーン40、例えば、人25Aが検出されたゾーン40に対して行方向、列方向、及び斜め方向に隣り合う複数のゾーン40を、「リスク中」のリスク種別に分類する。「リスク中」の複数のゾーン40は、人25Aが検出されたゾーン40を環状に取り囲むように配置される。環状に配置された「リスク中」の複数のゾーン40に対して、外側に隣り合う複数のゾーン40のリスク種別を「リスク小」に分類する。すなわち、人25Aが検出されたゾーン40を、「リスク中」のゾーン40が取り囲み、その外側を「リスク小」のゾーン40が取り囲む。
【0031】
人以外の障害物、例えばフォークリフト25B、棚25C、トラック25D等が検出されたゾーン40に対しては、「リスク中」のゾーンを配置しない。障害物のそれぞれが検出された連続する複数のゾーン40の最外周のゾーン40に対して行方向、列方向、及び斜め方向に隣り合う複数のゾーン40を、「リスク小」のリスク種別に分類する。すなわち、人以外の障害物のそれぞれが検出された連続する複数のゾーン40を、「リスク小」の複数のゾーン40が取り囲む。
【0032】
複数のゾーン40に、それぞれリスクの高さに応じてコスト値を付与する。例えば、「リスク高」のゾーン40にコスト値「30,000」を付与し、「リスク中」のゾーン40にコスト値「10」を付与し、「リスク小」のゾーン40にコスト値「5」を付与し、「リスク無」のゾーン40にコスト値「1」を付与する。複数のゾーン40に区分され、ゾーン40ごとにコスト値を付与したコストマップを、「ゾーン別コストマップ」ということとする。ステップSB3(
図5)において、
図7に示したゾーン別コストマップの最小コスト経路を計算する。最小コスト経路は、例えばダイクストラ法を用いて探索することができる。
【0033】
次に、
図1~
図7に示した実施例の優れた効果について説明する。
上記実施例では、自動搬送車30(
図1)が目標地点に到達するまで走行している間、周期的に、例えば1秒ごとに、新たな障害物位置情報を取得し(ステップSB1)、最小コストの走行経路の見直しを行う(ステップSB3)。
図6Bに示したように、現時点の最小コストの走行経路22A上に障害物(人25A)が進入した場合、進入した障害物を検出可能な距離まで近づくことなく、現在の走行経路22Aを修正し、障害物を避けることができる新しい走行経路22Bを決定することができる。例えば、目標地点の近くにおいて、現時点の最小コストの走行経路を障害物が塞いだ場合、その障害物の位置に到達する前に、最小コストの走行経路を修正することができる。このため、自動搬送車30の減速や停止等の無駄な時間を回避し、作業の効率化を図ることができる。
【0034】
また、上記実施例では、作業エリア20に複数の観測装置21(
図1)が設置されているため、自動搬送車30のみに観測装置を搭載する場合と比べて、作業エリア20内のより広い範囲を観測することができる。自動搬送車30に搭載された観測装置では観測できない範囲の障害物の種別及び位置を検出することができる。これらの障害物の種別及び位置を考慮して、最小コストの走行経路を決定することができる。
【0035】
上記実施例では、
図7に示したように障害物位置情報として複数のゾーン40に区分したゾーン別コストマップを用いている。このため、微小な点群で定義されるコストマップを用いる場合と比べて障害物位置情報のデータ量が少なくなる。その結果、最小コストの走行経路を探索するための計算負荷を少なくすることができる。これにより、走行途中にも迅速に最小コストの走行経路を探索することができる。
【0036】
上記実施例では
図7に示したように、人25A以外の障害物が検出されたゾーン40が、「リスク小」のゾーン40で一重に取り囲まれている。これに対して人25Aが検出されたゾーン40は、「リスク中」のゾーン40と「リスク小」のゾーン40とで二重に取り囲まれている。このため、人25Aの近傍を走行しないように、最小コストの走行経路が決定される。これにより、人25Aの安全度をより高めることができる。
【0037】
次に、
図8A~
図8Cに示した比較例と比較して、上記実施例のさらに他の優れた効果について説明する。
図8A~
図8Cは、比較例による障害物位置情報を生成する方法を説明するための模式図である。2つの観測装置21により、
図8A及び
図8Bに示した画像が取得される。同一の人25Aが、2つの画像に写り込んでいる。この2つの画像を合成して、
図8Cに示した1つの画像を生成する。合成後の画像を解析することにより、人25A等の障害物の種別及び位置(座標)を特定する。
【0038】
これに対して上記実施例では、
図3A及び
図3Bに示した個々の画像の解析を行って
図3C及び
図3Dに示した座標情報を生成し、2つの座標情報を合成して障害物の位置(座標)を特定する。複数の座標情報を合成する処理の計算負荷は、複数の画像を合成する処理の計算負荷より小さい。このため、障害物位置情報を生成するための計算負荷を低減させ、より短時間で障害物位置情報を生成することができる。
【0039】
次に、
図1~
図7を参照して説明した実施例の変形例について説明する。
図1~
図7に示した実施例では、自動搬送車30(
図1)が上位制御装置50(
図1)から障害物位置情報を取得し(ステップSB1)、目標地点までの最小コストの走行経路を決定する(ステップSB3)。その変形例として、上位制御装置50が、自動搬送車30の現在位置を入手し、現在位置から目標地点までの最小コストの走行経路を決定してもよい。この場合、上位制御装置50から自動搬送車30に、最小コストの走行経路を指定する情報を送信するとよい。
【0040】
上記実施例では、障害物位置情報としてゾーン別コストマップ(
図7)を用い、最小コストの走行経路を計算している。その他に、ゾーン別コストマップ以外の障害物位置情報を用いて、障害物を避けて走行する走行経路を探索するようにしてもよい。走行経路の探索に際に、障害物の種別や、経路上の走行可能な領域の幅等を考慮して、走行経路を決定するようにしてもよい。この場合でも、自機の周囲のみではなく、作業エリア20(
図1)の全域の障害物位置情報を周期的に取得することにより、自動搬送車30が目標地点に到達するまでの間に、周期的に走行経路を修正することが可能である。
【0041】
上記実施例では、自動搬送車30が目標地点に到達するまでの間、周期的に最小コストの走行経路を見直している(ステップSB3)。その他の方法として、周期的ではなく、必要に応じて最小コストの走行経路を見直すようにしてもよい。例えば、ゾーン別コストマップの複数のゾーンの少なくとも1つでコスト値に変更が発生したときに、上位制御装置50から自動搬送車30に新しいゾーン別コストマップを送信するようにしてもよい。自動搬送車30は、新しいゾーン別コストマップを受信したら、最小コストの走行経路を見直す処理を行うとよい。その他に、予め決められた走行距離だけ走行するごとに、最小コストの走行経路の見直しを行うようにしてもよい。このように、自動搬送車30が目標地点に向かって走行している途中に、少なくとも1回、好ましくは複数回、最小コストの走行経路の見直しを行うとよい。
【0042】
上記実施例では、作業エリア20内に固定的に配置された複数の観測装置21の観測結果に基づいて、障害物位置情報、すなわちゾーン別コストマップを作成または更新しているが、その他の観測装置を併用してもよい。例えば、可搬型の観測装置、自機に搭載されている観測装置、作業エリア20内を移動する他の車両に搭載されている観測装置等の観測結果を併用して、障害物位置情報を作成するようにしてもよい。
【0043】
次に、
図9A及び
図9Bを参照して他の実施例による搬送システム及び自動搬送車について説明する。以下、
図1~
図7を参照して説明した実施例による搬送システム及び自動搬送車と共通の構成については説明を省略する。
【0044】
図9A及び
図9Bは、本実施例による搬送システムで、障害物位置情報として生成されるゾーン別コストマップを示す模式図である。障害物位置情報生成部51(
図1)は、複数の観測装置21で取得された同じ画像に基づいて複数、例えば2つのゾーン別コストマップ(
図9A、
図9B)を生成する。2つのゾーン別コストマップのリスク種別の分布は同一である。ただし、複数のゾーン40のそれぞれに付与されるコスト値が異なる。
【0045】
例えば、
図9Aに示したゾーン別コストマップでは、「リスク高」のゾーン40にリスク値「30,000」を付与し、「リスク中」のゾーン40にリスク値「10」を付与し、「リスク低」のゾーン40にリスク値「5」を付与し、「リスク無」のゾーン40にリスク値「1」を付与する。
図9Aに示したゾーン別コストマップを、「通常モード」のゾーン別コストマップという。
図9Bに示したもう一方のゾーン別コストマップでは、「リスク中」のゾーン40に付与するコスト値を「10」から「7」に低下させ、「リスク小」のゾーン40に付与するリスク値を「5」から「1」に低下させて「リスク無」のゾーン40のコスト値「1」と同一にする。
図9Bに示したゾーン別コストマップを「サイクルタイム優先モード」のゾーン別コストマップという。
【0046】
障害物位置情報生成部51(
図1)は、「通常モード」及び「サイクルタイム優先モード」の2つのゾーン別コストマップのうち一方のゾーン別コストマップを自動搬送車30に送信する。どちらのゾーン別コストマップを送信するかは、管理者または作業者が入出力装置52(
図1)を操作することによって指定する。
【0047】
「通常モード」のゾーン別コストマップにおいては、「リスク無」のゾーン40のコスト値が他のゾーン40のコスト値より小さいため、最小コストの走行経路22Aは、「リスク無」のゾーン40を優先的に通過するように決定される。これに対して「サイクルタイム優先モード」のゾーン別コストマップにおいて、「リスク無」のゾーン40と「リスク小」のゾーン40とに同じ値のコスト値が付与されているため、「リスク小」のゾーン40が「リスク無」のゾーン40と区別されることなく、最小コストの走行経路22Aが決定される。このため、「サイクルタイム優先モード」のゾーン別コストマップを用いると、「通常モード」のゾーン別コストマップを用いた場合と比べて、最短コスト経路として、より短い経路が決定され得る。
【0048】
例えば、夜間などで、作業エリア20内に一般人が居ないことが保証されている場合、「通常モード」のゾーン別コストマップに代えて「サイクルタイム優先モード」のゾーン別コストマップを、自動搬送車30に送信するとよい。自動搬送車30は、「通常モード」のゾーン別コストマップを使用する場合と比べて、より短い走行経路に沿って走行することになる。
【0049】
次に、
図9A及び
図9Bに示した実施例の優れた効果について説明する。
本実施例では、作業エリア20内に一般人が居ないことが保証され、十分な安全が確保されている場合、「サイクルタイム優先モード」のゾーン別コストマップを用いて最小コストの走行経路を決定することができる。その結果、自動搬送車30の走行経路を短くし、作業効率を高めることができる。
【0050】
次に、
図10A及び
図10Bを参照して、さらに他の実施例による搬送システムについて説明する。以下、
図1~
図7を参照して説明した実施例による搬送システム及び自動搬送車と共通の構成については説明を省略する。
【0051】
図10A及び
図10Bは、本実施例による搬送システムが障害物としての人を検出する方法を説明するための模式図である。
図10Aに示すように、ゾーン別コストマップの1つのゾーン40A内に人25Aが検出されている。上位制御装置50は、人25Aがゾーン40の境界線を横切って隣のゾーン40に移動したことを検出する機能を有する。
図10Bに示すように、人25Aがゾーン40Aから隣のゾーン40Bに移動すると、上位制御装置50は、ゾーン40Aからゾーン40Bに人25Aが移動したことを検出する。例えば、作業エリア20(
図1)の天井等に観測装置21を配置し、人25Aの移動を監視するとよい。上位制御装置50は、移動先のゾーン40Bに人25Aが居ると判定する。
【0052】
次に、
図10A及び
図10Bに示した実施例の優れた効果について説明する。
観測装置21(
図1)で取得された画像を解析することによって、画像内の人を検出する処理は、人工知能(AI)を用いて行うことができる。ただし、AIによる人の検出精度は100%ではなく、人が居るにもかかわらず人として検出できない場合もある。例えば、画像に写り込んでいる人の撮影角度や人の姿勢によって、検出が困難な場合がある。
【0053】
本実施例では、あるゾーン40Aに人25Aが検出され、その人25Aが他のゾーン40Bに移動したことを検出すると、ゾーン40B内に人が検出されなくても、ゾーン40B内に人25Aが居ると判定する。このため、AIによる人の検出が安定しない場合でも、人25Aの検出精度を高めることができる。
【0054】
次に、
図11A及び
図11Bを参照して、さらに他の実施例による搬送システムについて説明する。以下、
図1~
図7を参照して説明した実施例による搬送システム及び自動搬送車と共通の構成については説明を省略する。
【0055】
図11Aは、本実施例による搬送システムが障害物としての人を検出する方法を説明するための模式図である。ゾーン別コストマップの1つのゾーン40Aに人25Aが検出されている。画像解析による人の検出を行うと、通常、検出された物体が人である確率(以下、「確からしさ」という。)が算出される。確からしさがある閾値以上の場合には、検出された物体を人と判定する。
【0056】
図11Bは、検出された物体の確からしさの時間変化の一例を示すグラフである。横軸は時間を表し、縦軸は確からしさを表す。
図11Bのグラフ中の実線は、確からしさの瞬時値を示し、破線は時間移動平均を示す。確からしさが閾値Th以上であるとき、検出された物体は人であると判定される。確からしさは、人の撮影角度や姿勢によって変動する。例えば、人がしゃがむ、寝そべる等の姿勢をとると、確からしさが低下し閾値Th未満になる場合がある。確からしさが閾値Th未満になると、検出された物体が人ではないと判定されてしまう。
図11Bに示した例において、確からしさの瞬時値を用いて人を検出する場合、期間T1、T2で検出された物体は人ではないと判定される。
【0057】
本実施例では、確からしさの時間移動平均を求め、時間移動平均に基づいて人の判定を行う。例えば、確からしさの時間移動平均が閾値Th以上のとき、検出された物体は人であると判定する。
【0058】
次に、
図11A及び
図11Bに示した実施例の優れた効果について説明する。
人の姿勢が変化して確からしさが一時的に閾値Th未満になっても、閾値Th未満の時間が短ければ、確からしさの時間移動平均は閾値以上を維持する。このため、人が姿勢を変化させて一時的に確からしさが低下しても、人を検出することができる。
【0059】
次に、
図12~
図14Bを参照して、さらに他の実施例による搬送システム及び自動搬送車について説明する。以下、
図1~
図7を参照して説明した実施例による搬送システム及び自動搬送車と共通の構成については説明を省略する。
【0060】
図12は、本実施例による自動搬送車30の機能を示すブロック図であり、
図13は、自動搬送車30を模式的に表した平面図である。自動搬送車30は、
図4に示した障害物位置情報取得部31、走行経路探索部33、制御部34、及び走行機構35の他に、障害物検出センサ36及びモード指令受信部38を備えている。障害物検出センサ36(
図13)は、例えば平面視において自動搬送車30の対角の位置にそれぞれ取り付けられており、自動搬送車30の周囲の障害物までの距離を検出する。
【0061】
モード指令受信部38は、上位制御装置50から自動搬送車30の走行モードを受信する。走行モードには、
図9A及び
図9Bを参照して説明した実施例と同様に、「通常モード」及び「サイクルタイム優先モード」が含まれる。
【0062】
自動搬送車30の周囲に、仮想バンパーエリア37(
図13)が設定されている。制御部34は、障害物検出センサ36で検出された障害物が仮想バンパーエリア37の内側に位置するか否かを判定する。仮想バンパーエリア37の内側に障害物が検出されると、制御部34は走行機構35を制御して自動搬送車30を減速または停止させる。
【0063】
制御部34は、走行モードによって仮想バンパーエリア37の大きさを変更する。走行モードがサイクルタイム優先モードのときは、通常モードのときより仮想バンパーエリア37を小さくする。
【0064】
次に、
図14A及び
図14Bを参照して本実施例の優れた効果について説明する。
図14A及び
図14Bは、ゾーン別コストマップと自動搬送車30との関係を示す模式図である。作業エリア20(
図1)が複数のゾーン40に区分されており、ゾーン40のそれぞれが「リスク高」、「リスク低」、「リスク無」のリスク種別に分類されている。
図14A及び
図14Bには、
図7に示した「リスク中」のゾーン40は存在しない。
図14A及び
図14Bにおいて、「リスク高」のゾーン40を最も濃く表し、「リスク中」のゾーン40をそれより淡く表し、「リスク無」のゾーン40を白色で表している。
【0065】
走行モードが「サイクルタイム優先モード」であるとき、
図9Bに示したように、「リスク低」のゾーン40と「リスク無」のゾーン40とに、同一のリスク値「1」が付与される。このため、「リスク低」のゾーン40も、最小コストの走行経路として選択される。「リスク低」のゾーン40の近傍には、障害物、例えばフォークリフト25B、トラック25D等が存在する。このため、自動搬送車30は、これらの障害物の近傍を通過することになる。
【0066】
障害物の近傍を通過するとき、
図14Aに示したように、仮想バンパーエリア37の内側に障害物が検出されると、自動搬送車30は、減速または停止する。本実施例では、
図14Bに示したように、「サイクルタイム優先モード」のときに仮想バンパーエリア37を小さくするため、障害物が仮想バンパーエリア37の内側に検出されにくくなり、自動搬送車30は、障害物の近傍を減速することなく通過することができる。
【0067】
作業エリア20内に一般人が居ないことが保証され、安全が確保されている場合に、走行モードを「サイクルタイム優先モード」に設定する。これにより、自動搬送車30の不要な減速や停止を避け、作業効率を高めることができる。
【0068】
上述の各実施例は例示であり、異なる実施例で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。複数の実施例の同様の構成による同様の作用効果については実施例ごとには逐次言及しない。さらに、本発明は上述の実施例に制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【符号の説明】
【0069】
20 作業エリア
21 観測装置
22A、22B 走行経路
25A 人
25B フォークリフト
25C 棚
25D トラック
27 目標地点
30 自動搬送車
31 障害物位置情報取得部
32 ゾーン別コストマップ作成更新部
33 走行経路探索部
34 制御部
35 走行機構
36 障害物検出センサ
37 仮想バンパーエリア
38 モード指令受信部
40、40A、40B ゾーン
50 上位制御装置
51 障害物位置情報生成部
52 入出力装置