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2023-144773計測システム、計測方法および計測プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144773
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】計測システム、計測方法および計測プログラム
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/06 20060101AFI20231003BHJP
   G04F 10/00 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
A63B71/06 N
G04F10/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051908
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】TOPPANエッジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 聖也
(72)【発明者】
【氏名】長本 尚志
(72)【発明者】
【氏名】伊與田 夏那
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 隆平
(57)【要約】
【課題】走者のタイム計測における人員削減と、人員に課せられる負担軽減とを実現すること。
【解決手段】本開示に係る計測システムは、被計測者に装着されているRFタグからの電波を受信し、第1の地点に設置される第1のアンテナを制御する第1の制御装置と、RFタグからの電波を受信し、第2の地点に設置される第2のアンテナを制御する第2の制御装置と、各装置から取得したデータに基づきアンテナ間のタイムを計測する情報処理装置とを含む。例えば、情報処理装置は、第1のアンテナによって第1の識別子が読み取られた際の時刻をタイムの計測における初期値として定めて計測を開始する初期化部と、第2のアンテナによって第2の識別子が読み取られた際の時刻までに経過した経過時間を、タイムの計測結果として特定する特定部とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の地点から第2の地点までの移動に要するタイムを計測するための計測システムであって、
被計測者に装着されているRFタグからの電波を受信し、前記第1の地点に設置される第1のアンテナを制御する第1の制御装置と、
前記被計測者に装着されているRFタグからの電波を受信し、前記第2の地点に設置される第2のアンテナを制御する第2の制御装置と、
前記第1の制御装置および前記第2の制御装置から取得したデータに基づき前記タイムを計測する情報処理装置と
を含み、
前記情報処理装置は、
前記第1のアンテナが前記RFタグの電波から読み取った識別子である第1の識別子が前記第1の制御装置から取得された場合に、当該第1の識別子が読み取られた際の時刻を前記タイムの計測における初期値として定めて計測を開始する初期化部と、
計測が開始された状態で、前記第2のアンテナが前記RFタグの電波から読み取った識別子である第2の識別子であって、前記第1の識別子と同一内容の第2の識別子が前記第2の制御装置から取得された場合には、初期値として定められた前記時刻から、当該第2の識別子が読み取られた際の時刻までに経過した経過時間を、前記タイムの計測結果として特定する特定部と
を有する
ことを特徴とする計測システム。
【請求項2】
第1の地点から第2の地点までの移動に要するタイムを計測するための計測システムであって、
被計測者に装着されているRFタグからの電波を受信し、前記第1の地点に設置される第1のアンテナを制御するとともに、前記被計測者に装着されているRFタグからの電波を受信し、前記第2の地点に設置される第2のアンテナを制御する一の制御装置と、
前記一の制御装置から取得したデータに基づき前記タイムを計測する情報処理装置と
を含み、
前記情報処理装置は、
前記第1のアンテナが前記RFタグの電波から読み取った識別子である第1の識別子が前記一の制御装置から取得された場合に、当該第1の識別子が読み取られた際の時刻を前記タイムの計測における初期値として定めて計測を開始する初期化部と、
計測が開始された状態で、前記第2のアンテナが前記RFタグの電波から読み取った識別子である第2の識別子であって、前記第1の識別子と同一内容の第2の識別子が前記一の制御装置から取得された場合には、初期値として定められた前記時刻から、当該第2の識別子が読み取られた際の時刻までに経過した経過時間を、前記タイムの計測結果として特定する特定部と
を有する
ことを特徴とする計測システム。
【請求項3】
前記初期化部は、
前記第1の識別子が取得された場合に、これまでに蓄積されている時刻情報のうち、当該第1の識別子と同一内容の識別子が前記第1のアンテナによって読み取られた際の時刻を示す時刻情報を削除するとともに、今回取得された当該第1の識別子が読み取られた際の時刻である最新の時刻を前記タイムの計測における初期値として定めて計測を開始する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の計測システム。
【請求項4】
前記初期化部は、
計測を開始してから、前記第1の識別子と同一内容の第2の識別子が読み取られるまでの間に経過した途中経過時間が、予め設定された制限時間に達した場合には、前記途中経過時間を無効とするとともに、計測を中止する
ことを特徴とする請求項3に記載の計測システム。
【請求項5】
第1の地点から第2の地点までの移動に要するタイムを計測するための計測システムであって、被計測者に装着されているRFタグからの電波を受信し、前記第1の地点に設置される第1のアンテナを制御する第1の制御装置と、前記被計測者に装着されているRFタグからの電波を受信し、前記第2の地点に設置される第2のアンテナを制御する第2の制御装置と、前記第1の制御装置および前記第2の制御装置から取得したデータに基づき前記タイムを計測する情報処理装置とを含む計測システムによって実行される計測方法であって、
前記情報処理装置が、
前記第1のアンテナが前記RFタグの電波から読み取った識別子である第1の識別子が前記第1の制御装置から取得された場合に、当該第1の識別子が読み取られた際の時刻を前記タイムの計測における初期値として定めて計測を開始し、
計測が開始された状態で、前記第2のアンテナが前記RFタグの電波から読み取った識別子である第2の識別子であって、前記第1の識別子と同一内容の第2の識別子が前記第2の制御装置から取得された場合には、初期値として定められた前記時刻から、当該第2の識別子が読み取られた際の時刻までに経過した経過時間を、前記タイムの計測結果として特定する
ことを特徴とする計測方法。
【請求項6】
第1の地点から第2の地点までの移動に要するタイムを計測するための計測システムであって、被計測者に装着されているRFタグからの電波を受信し、前記第1の地点に設置される第1のアンテナを制御するとともに、前記被計測者に装着されているRFタグからの電波を受信し、前記第2の地点に設置される第2のアンテナを制御する一の制御装置と、前記一の制御装置から取得したデータに基づき前記タイムを計測する情報処理装置とを含む計測システムによって実行される計測方法であって、
前記情報処理装置が、
前記第1のアンテナが前記RFタグの電波から読み取った識別子である第1の識別子が前記一の制御装置から取得された場合に、当該第1の識別子が読み取られた際の時刻を前記タイムの計測における初期値として定めて計測を開始し、
計測が開始された状態で、前記第2のアンテナが前記RFタグの電波から読み取った識別子である第2の識別子であって、前記第1の識別子と同一内容の第2の識別子が前記一の制御装置から取得された場合には、初期値として定められた前記時刻から、当該第2の識別子が読み取られた際の時刻までに経過した経過時間を、前記タイムの計測結果として特定する
ことを特徴とする計測方法。
【請求項7】
被計測者に装着されているRFタグからの電波を受信し、第1の地点に設置される第1のアンテナを制御する第1の制御装置、および、前記被計測者に装着されているRFタグからの電波を受信し、第2の地点に設置される第2のアンテナを制御する第2の制御装置から取得したデータに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの移動に要するタイムを計測する情報処理装置によって実行される計測プログラムであって、
前記第1のアンテナが前記RFタグの電波から読み取った識別子である第1の識別子が前記第1の制御装置から取得された場合に、当該第1の識別子が読み取られた際の時刻を前記タイムの計測における初期値として定めて計測を開始する初期化手順と、
計測が開始された状態で、前記第2のアンテナが前記RFタグの電波から読み取った識別子である第2の識別子であって、前記第1の識別子と同一内容の第2の識別子が前記第2の制御装置から取得された場合には、初期値として定められた前記時刻から、当該第2の識別子が読み取られた際の時刻までに経過した経過時間を、前記タイムの計測結果として特定する特定手順と
を前記情報処理装置に実行させることを特徴とする計測プログラム。
【請求項8】
被計測者に装着されているRFタグからの電波を受信し、第1の地点に設置される第1のアンテナを制御するとともに、前記被計測者に装着されているRFタグからの電波を受信し、第2の地点に設置される第2のアンテナを制御する一の制御装置から取得したデータに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの移動に要するタイムを計測する情報処理装置によって実行される計測プログラムであって、
前記第1のアンテナが前記RFタグの電波から読み取った識別子である第1の識別子が前記一の制御装置から取得された場合に、当該第1の識別子が読み取られた際の時刻を前記タイムの計測における初期値として定めて計測を開始する初期化手順と、
計測が開始された状態で、前記第2のアンテナが前記RFタグの電波から読み取った識別子である第2の識別子であって、前記第1の識別子と同一内容の第2の識別子が前記一の制御装置から取得された場合には、初期値として定められた前記時刻から、当該第2の識別子が読み取られた際の時刻までに経過した経過時間を、前記タイムの計測結果として特定する特定手順と
を前記情報処理装置に実行させることを特徴とする計測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測システム、計測方法および計測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RFIDシステムを用いた競技者管理システムおよび競技者管理方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-248703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、走者のタイムを計測する場合、走者を判別する係、タイムを計測する係、タイムの記録を行う係等の人員を確保する必要があるうえに、各人員に課せられる負担は大きいといった問題がある。
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、係る問題が解決できるとはいい難い。具体的には、上記の従来技術では、走者のタイム計測における人員削減と、人員に課せられる負担軽減とを実現することができるとは限らない。
【0006】
例えば、上記の従来技術では、審判員や補助員等が、ゴールした競技者が装着しているタグにRFIDリーダ/ライタをかざすことで、競技者を識別する情報を読み取らせる作業を求められる。また、マラソン等の大人数同時参加型の競技を想定した場合、より多くの審判員等を確保する必要があるうえに、各人員に課せられる負担も大きくなることが考えられる。さらに、上記の従来技術では、ゴールだけでなく、スタートを管理する人員も必要である。
【0007】
このようなことから、上記の従来技術では、走者のタイム計測における人員削減と、人員に課せられる負担軽減とを実現できているとはいい難い。
【0008】
そこで、本開示では、走者のタイム計測における人員削減と、人員に課せられる負担軽減とを実現することのできる計測システム、計測方法および計測プログラムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本開示に係る計測システムは、第1の地点から第2の地点までの移動に要するタイムを計測するための計測システムであって、被計測者に装着されているRFタグからの電波を受信し、前記第1の地点に設置される第1のアンテナを制御する第1の制御装置と、前記被計測者に装着されているRFタグからの電波を受信し、前記第2の地点に設置される第2のアンテナを制御する第2の制御装置と、前記第1の制御装置および前記第2の制御装置から取得したデータに基づき前記タイムを計測する情報処理装置とを含む。前記情報処理装置は、前記第1のアンテナが前記RFタグの電波から読み取った識別子である第1の識別子が前記第1の制御装置から取得された場合に、当該第1の識別子が読み取られた際の時刻を前記タイムの計測における初期値として定めて計測を開始する初期化部と、計測が開始された状態で、前記第2のアンテナが前記RFタグの電波から読み取った識別子である第2の識別子であって、前記第1の識別子と同一内容の第2の識別子が前記第2の制御装置から取得された場合には、初期値として定められた前記時刻から、当該第2の識別子が読み取られた際の時刻までに経過した経過時間を、前記タイムの計測結果として特定する特定部とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、走者のタイム計測における人員削減と、人員に課せられる負担軽減とを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る計測システムの一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る被計測者情報データベースの一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る計測結果データベースの一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る計測システムの構成パターンの一例(1)を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る計測システムの構成パターンの一例(2)を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る計測処理の一例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る計測処理手順を示すフローチャートである。
図9図9は、情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、計測システム、計測方法および計測プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)の一例について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により計測システム、計測方法および計測プログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
〔1.はじめに〕
まず、本開示の背景について説明する。例えば、子供の日々の成長記録として、以前と比べてどのくらい早く走れるようになったかといった運動記録を残したいというニーズが教育施設(例えば、保育園、幼稚園、あるいは、小学校等)や保護者の間で存在する。
【0014】
このような場合、教育施設側は、例えば、保育士や教師等の教員の中から、かけっこする子供を判別する係、かけっこタイムを計測する係、かけっこタイムの記録を行う係等の人員を確保することを求められるが、必ずしも十分な人員を確保できるとは限らない。
【0015】
また、係員は、未成熟な子供を相手にスタートやゴールを管理することとなるため、タイム計測における負担は大きくなる場合がある。例えば、合図に合わせてスタートしてくれない子や、ゴールに向かって走ってくれない子等がいることも多く、このような場合、タイム計測における負担はより大きいものとなる。
【0016】
本開示は、上記の事情に着目してなされたものであって、走者のタイム計測における人員削減と、人員に課せられる負担軽減とを実現することのできる計測システム、計測方法および計測プログラムを提案する。
【0017】
〔2.システム構成〕
まず、図1を用いて、実施形態に係る計測システムの構成を説明する。図1は、実施形態に係る計測システムの一例を示す図である。図1には、実施形態に係る計測システムの一例として、計測システムSyxが示される。
【0018】
図1に示すように、計測システムSyxは、スタートアンテナ10と、ゴールアンテナ20と、RFタグ40と、制御装置60と、情報処理装置100とを含む。また、スタートアンテナ10と、ゴールアンテナ20と、RFタグ40と、制御装置60と、情報処理装置100とは、ネットワークNを介して、有線または無線により通信可能に接続される。
【0019】
計測システムSyxは、スタート地点(第1の地点の一例)からゴール地点(第2の地点)までの移動に要するタイム(例えば、50m走等のタイム)を計測する際にグラウンド等のフィールドに設置される1つのシステムであってよい。例えば、計測システムSyxの利用者(一例として、教育施設の教員が挙げられる)は、被計測者(一例として、教育施設に属する子供たちが挙げられる)の人数や、フィールドの広さ等に合わせて、任意の数の計測システムSyxを設置することができる。
【0020】
スタートアンテナ10は、第1の地点であるスタート地点に設置されるアンテナであり、第1のアンテナに相当する。スタートアンテナ10は、被計測者が装着するRFタグ40の情報を読み取る。例えば、スタートアンテナ10は、RFタグ40からの電波を受信するたびに、受信した電波からRFタグ40の情報を読み取る。より具体的には、スタートアンテナ10は、RFタグ40のIC(Integrated Circuit)チップに記憶された情報を読み取る。
【0021】
RFタグ40に記憶される情報とは、例えば、RFタグ40を識別する識別子である。以下では、スタートアンテナ10が読み取った識別子を「第1のタグID」(第1の識別子)と表記する。
【0022】
なお、RFタグ40に記憶される情報には、これを装着する被計測者を識別する情報も含まれてよい。また、後述するが、スタートアンテナ10は、地面に対して広げて設置されるマット型のアンテナであってよい。これにより、スタートアンテナ10は、実質、スタート地点の目印も兼ねることができる。
【0023】
ゴールアンテナ20は、第2の地点であるゴール地点に設置されるアンテナであり、第2のアンテナに相当する。ゴールアンテナ20も、被計測者が装着するRFタグ40の情報を読み取る。例えば、ゴールアンテナ20は、RFタグ40からの電波を受信するたびに、受信した電波からRFタグ40の情報を読み取る。より具体的には、ゴールアンテナ20は、RFタグ40のICチップに記憶された情報を読み取る。
【0024】
RFタグ40に記憶される情報とは、例えば、RFタグ40を識別する識別子である。以下では、ゴールアンテナ20が読み取った識別子を、「第1のタグID」と区別して「第2のタグID」(第2の識別子)と表記する。また、ゴールアンテナ20も、地面に対して広げて設置されるマット型のアンテナであってよく、これによりゴールアンテナ20は、実質、ゴール地点の目印も兼ねることができる。
【0025】
RFタグ40は、被計測者に装着される識別標識である。上記の通り、RFタグ40は、自装置を識別する識別子(タグID)や、自装置を装着している被計測者を識別する情報等を記憶していてよい。例えば、RFタグ40は、スタートアンテナ10およびゴールアンテナ20が出力する特定の周波数の電波により動作する。具体的には、RFタグ40は、スタートアンテナ10およびゴールアンテナ20が出力する特定の周波数に応じて作動し、識別子等の情報を含む電波を出力する。スタートアンテナ10は、この電波からタグID(すなわち、第1のタグID)を読み取る。また、ゴールアンテナ20は、この電波からタグID(すなわち、第2のタグID)を読み取る。
【0026】
また、RFタグ40は、例えば、ICチップがシール、プラスチック、あるいは、金属に埋め込まれて加工された極薄のラベルタグであってよく、これにより被計測者は、RFタグ40を装着したままでも負担なく身体を動かすことができる。本実施形態では、RFタグ40は、被計測者の手首(あるいは足首)に装着して利用されるリストバンドタイプのものであるとする。
【0027】
制御装置60は、アンテナとの通信を制御する。例えば、制御装置60は、スタートアンテナ10と通信することで、スタートアンテナ10から電波が常時出力されるよう制御してよい。また、制御装置60は、ゴールアンテナ20と通信することで、ゴールアンテナ20から電波が常時出力されるよう制御してよい。
【0028】
また、制御装置60は、スタートアンテナ10がRFタグ40の電波から読み取った識別子である第1のタグIDを検出する。例えば、制御装置60は、スタートアンテナ10が第1のタグIDを読み取るたびに、読み取られた第1のタグIDを検出する。そして、制御装置60は、第1のタグIDを検出するたびに、検出した第2のタグIDを情報処理装置100に送信してよい。
【0029】
さらに、制御装置60は、ゴールアンテナ20がRFタグ40の電波から読み取った識別子である第2のタグIDも検出してよい。例えば、制御装置60は、ゴールアンテナ20が第2のタグIDを読み取るたびに、読み取られた第2のタグIDを検出する。そして、制御装置60は、第2のタグIDを検出するたびに、検出した第2のタグIDを情報処理装置100に送信する。
【0030】
上記によれば、制御装置60は、コンピュータを備えるリーダ、または、リーダ/ライタであってよい。また、スタートアンテナ10(ゴールアンテナ20)と、RFタグ40との間での電波を用いた近距離無線通信に応じて、制御装置60がデータを読み書きする非接触な無線通知通信システムは、一般にRFID(Radio Frequency Identification)と呼ばれる。
【0031】
ここで、制御装置60は、1つの計測システムSyxにおいて複数台導入されてよい。例えば、制御装置60は、1つの計測システムSyxにおい2台導入されてよく、係る場合、一方の制御装置60は、スタートアンテナ10に対して有線接続されるスタートアンテナ10制御用のものであってよく、他方の制御装置60は、ゴールアンテナ20に対して有線接続されるゴールアンテナ20制御用のものであってよい。また、このように制御装置60が複数台導入される場合には、各制御装置60と、情報処理装置100とは、ネットワークNを介して、無線により通信可能に接続されてよい。この点については図5で詳細に説明する。
【0032】
また、上記例に限定されず、制御装置60は、1つの計測システムSyxにおいて1台だけであってもよい。係る場合、この1台の制御装置60は、スタートアンテナ10に対して有線接続されるとともに、ゴールアンテナ20に対しても有線接続されてよい。また、この1台の制御装置60と、情報処理装置100とは、ネットワークNを介して、有線により通信可能に接続されてよい。この点については図6で詳細に説明する。
【0033】
情報処理装置100は、制御装置60から取得したデータに基づいて、被計測者のタイムを計測する装置である。具体的には、情報処理装置100は、制御装置60から取得したデータに基づいて、スタートアンテナ10が設置されるスタート地点から、ゴールアンテナ20が設置されるゴール地点までの被計測者のタイムを計測する。
【0034】
情報処理装置100は、計測システムSyxの利用者(例えば、計測システムSyxを利用して被計測者のタイムを計測したいと考える人物等)により日常的に使用されている情報処理端末であってよい。このような情報処理端末としては、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PC(Personal Computer)や、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)等が挙げられる。
【0035】
また、情報処理装置100には、実施形態に係る計測処理を実現する計測プログラムに相当する所定のアプリケーション(以下、「アプリAP」と表記する場合がある)が予め導入される。計測システムSyxの利用者は、例えば、アプリAPを介して、RFタグ40ごとに、当該RFタグ40を装着する被計測者の情報(例えば、被計測者の氏名)を登録することができる。
【0036】
なお、アプリAPは、利用者に対して計測システムSyxをサービスとして提供する提供元によって開発および管理されるプログラムであってよい。
【0037】
〔3.情報処理装置の構成〕
次に、図2を用いて、実施形態に係る情報処理装置100について説明する。図2は、実施形態に係る情報処理装置100の構成例を示す図である。図2に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0038】
(通信部110について)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部110は、ネットワークと有線または無線で接続され、例えば、制御装置60との間で情報の送受信を行う。
【0039】
(記憶部120について)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子またはハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、被計測者情報データベース121と、計測結果データベース122とを有する。
【0040】
(被計測者情報データベース121について)
被計測者情報データベース121は、被計測者に関する登録情報を記憶する。ここで、図3に、実施形態に係る被計測者情報データベース121の一例を示す。図3の例では、被計測者情報データベース121は、「管理ID」、「タグID」、「被計測者情報」といった項目を有する。
【0041】
「管理ID」は、タイム計測のためグラウンド等に設定された1つの計測システムSyxを識別する識別情報である。「管理ID」には、例えば、計測システムSyxの利用者を識別する識別情報、あるいは、情報処理装置100を識別する識別情報が用いられてよい。
【0042】
「タグID」は、RFタグ40に記憶される情報であって、RFタグ40のICチップに埋め込まれたID情報、すなわち識別子である。「タグID」の内容は、RFタグ40ごとに異なる。
【0043】
「被計測者情報」は、「タグID」で識別されるRFタグ40を装着する被計測者に関する情報である。「被計測者情報」は、被計測者の氏名をはじめとする各種属性情報であってよい。「被計測者情報」は、アプリAPを介して、例えば利用者によって予め登録されてよい。
【0044】
(計測結果データベース122について)
計測結果データベース122は、第1の地点から第2の地点までの移動に要するタイムが計測された計測結果に関する情報を記憶する。ここで、図4に、実施形態に係る計測結果データベース122の一例を示す。図4の例では、計測結果データベース122は、「管理ID」、「タグID」、「時刻情報」(スタートアンテナ)、「時刻情報」(ゴールアンテナ)、「計測結果」といった項目を有する。
【0045】
「管理ID」および「タグID」は、被計測者情報データベース121に記憶されるものと同様であってよい。
【0046】
「時刻情報」(スタートアンテナ)は、スタートアンテナ10によって「タグID」が読み取られた際の時刻を示す情報である。また、「時刻情報」(ゴールアンテナ)は、ゴールアンテナ20によって「タグID」が読み取られた際の時刻を示す情報である。
【0047】
「計測結果」は、第1の地点から第2の地点までの移動に要するタイムが計測された計測結果であって、「時刻情報」(スタートアンテナ)と、「時刻情報」(ゴールアンテナ)とに基づき算出される。
【0048】
(制御部130について)
図2に戻り、制御部130は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、情報処理装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(例えば、実施形態に係る計測プログラム)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0049】
図2に示すように、制御部130は、取得部131と、初期化部132と、特定部133と、表示制御部134とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、図2に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130が有する各処理部の接続関係は、図2に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0050】
(取得部131について)
取得部131は、スタートアンテナ10がRFタグ40の電波から読み取った識別子である第1のタグIDを取得する。
【0051】
例えば、制御装置60は、スタートアンテナ10が第1のタグIDを読み取るたびに、読み取られた第1のタグIDを検出する。そして、制御装置60は、第1のタグIDを検出するたびに、検出した第1のタグIDを情報処理装置100に送信する。このため、取得部131は、スタートアンテナ10によって第1のタグIDが読み取られるたびに、読み取られた第1のタグIDを制御装置60から取得する。
【0052】
また、取得部131は、ゴールアンテナ20がRFタグ40の電波から読み取った識別子である第2のタグIDを取得する。
【0053】
例えば、制御装置60は、ゴールアンテナ20が第2のタグIDを読み取るたびに、読み取られた第2のタグIDを検出する。そして、制御装置60は、第2のタグIDを検出するたびに、検出した第2のタグIDを情報処理装置100に送信する。このため、取得部131は、ゴールアンテナ20によって第2のタグIDが読み取られるたびに、読み取られた第2のタグIDを制御装置60から取得する。
【0054】
(初期化部132について)
初期化部132は、スタートアンテナ10による第1のタグIDの読み取りに応じて、取得部131が第1のタグIDを取得した場合には、取得された第1のタグIDがスタートアンテナ10によって読み取られた際の時刻を認識する。そして、初期化部132は、認識した時刻をタイムの計測における初期値として定めて計測を開始する。
【0055】
また、初期化部132は、取得部131によって第1のタグIDが取得された場合に、計測結果データベース122において蓄積されている時刻情報(「時刻情報」(スタートアンテナ))のうち、今回取得された第1のタグID(最新の第1のタグID)と同一内容のタグIDがスタートアンテナ10によって読み取られた際の時刻を示す時刻情報を削除してよい。
【0056】
また、初期化部132は、計測を開始してから、第1のタグIDと同一内容の第2のタグIDが読み取られるまでの間に経過した途中経過時間が、予め設定された制限時間に達した場合には、この途中経過時間を無効とするとともに、計測を中止してよい。
【0057】
(特定部133について)
特定部133は、初期化部132によって計測が開始された状態で、取得部131により取得されている最新の第1のタグIDと同一内容の第2のタグIDがさらに取得された場合には、初期値として定められた時刻から、この第2の識別子がゴールアンテナ20によって読み取られた際の時刻までに経過した経過時間を、タイムの計測結果として特定する。
【0058】
具体的には、特定部133は、計測が開始された状態であって、最新の第1のタグIDが読み取られた以降、当該最新の第1のタグIDと同一内容のタグIDが読み取られていない状態で、当該最新の第1のタグIDと同一内容の第2のタグIDが取得された場合には、初期値として定められた時刻から、当該第2のタグIDが読み取られた際の時刻までに経過した経過時間を、タイムの計測結果として特定する。
【0059】
また、特定部133は、計測結果として特定した経過時間を示す情報と、この経過時間を計測された被計測者を示す情報と紐付けた紐付けデータを、利用者に提供される提供情報として管理してよい。例えば、図3および図4の例では、タグID「TG11」によって、被計測者情報「P11」と、計測結果「T10-T4」とが紐付けられている。係る例によれば、被計測者情報「P11」と、計測結果「T10-T4」との組である紐付けデータは、管理ID「T1」で管理される計測システムSyxの利用者に提供される提供情報の一例といえる。また、計測システムSyxの利用者は、被計測者の測定結果を容易に把握できるようになるとともに、例えば、この測定結果を被計測者の運動記録として得ることができるようになる。
【0060】
(表示制御部134について)
表示制御部134は、計測結果として特定された経過時間がリアルタイムに表示されるよう表示制御する。例えば、計測システムSyxが導入された1のフィールドに複数の被計測者が存在するとする。このような場面の一例として、複数の被計測者が競争する場面が挙げられる。係る場合、表示制御部134は、複数の被計測者のうち、計測結果が得られた被計測者の順(例えば、ゴールした順)に、この被計測者の名前と、計測結果として特定された経過時間とを対応付けてリアルタイムに表示させてよい。また、このような計測システムSyxによれば、例えば、被計測者を見守る人物が、その場で測定結果や順位を把握することができるようになる。
【0061】
〔4.計測システムの具体例〕
ここからは、図5および図6を用いて、実施形態に係る計測システムSyxの具体例について説明する。
【0062】
まず、図5を用いて、実施形態に係る計測システムSyxの構成パターンの一例を説明する。図5は、実施形態に係る計測システムSyxの構成パターンの一例(1)を示す図である。
【0063】
図5には、計測システムSyxの構成パターンの一例として、計測システムSy1が示されている。図5に示すように、計測システムSy1は、1つの計測システムSyxが複数台の制御装置60を含んでよいパターンに相当する。具体的には、計測システムSy1は、第1の制御装置60-1と、第2の制御装置60-2という2台の制御装置60を含む。
【0064】
第1の制御装置60-1(第1の制御装置の一例)は、スタートアンテナ10に対して有線接続されることで、スタートアンテナ10を制御する役割を有する。また、第2の制御装置60-2(第2の制御装置の一例)は、ゴールアンテナ20に対して有線接続されることで、ゴールアンテナ20を制御する役割を有する。
【0065】
ここで、図5には、グラウンドにおいて第1のレーンL1と、第2のレーンL2とが設けられており、各レーンに対して1つのスタートアンテナ10と1つのゴールアンテナ20との組が設置されている例が示される。このような設置状況の場合、図5に示すように、第1のレーンL1に対応するスタートアンテナ10、第2のレーンL2に対応するスタートアンテナ10のそれぞれと、第1の制御装置60-1とが有線接続されてよい。また、図5に示すように、第1のレーンL1に対応するゴールアンテナ20、第2のレーンL2に対応するゴールアンテナ20のそれぞれと、第2の制御装置60-2とが有線接続されてよい。
【0066】
また、このような状態において、第1の制御装置60-1には、ルーターRT1が有線接続されてよい。ルーターRT1は、第1の制御装置60-1と情報処理装置100との間での無線通信を実現するために用いられる。同様に、第2の制御装置60-2には、ルーターRT2が有線接続されてよい。ルーターRT2は、第2の制御装置60-2と情報処理装置100との間での無線通信を実現するために用いられる。
【0067】
なお、図5図6も同様)のような設置状況の場合、任意の被計測者Pxは、RFタグ40を装着した状態で、第1のレーンL1において、スタートアンテナ10が設置されたスタート地点から、ゴールアンテナ20が設置されたゴール地点までを走ることとなる。また、別の任意の被計測者Pyは、RFタグ40を装着した状態で、第2のレーンL2において、スタートアンテナ10が設置されたスタート地点から、ゴールアンテナ20が設置されたゴール地点までを走ることとなる。
【0068】
次に、図6を用いて、実施形態に係る計測システムSyxの構成パターンの他の一例を説明する。図6は、実施形態に係る計測システムSyxの構成パターンの一例(2)を示す図である。
【0069】
図6には、計測システムSyxの構成パターンの他の一例として、計測システムSy2が示されている。図6に示すように、計測システムSy2は、1つの計測システムSyxが1台の制御装置60を含むパターンに相当する。具体的には、計測システムSy2は、1台の制御装置60を含む。
【0070】
制御装置60は、スタートアンテナ10およびゴールアンテナ20の双方に対して有線接続されることで、スタートアンテナ10およびゴールアンテナ20の双方を1台で制御する点で図5の計測システムSy1とは異なる。
【0071】
ここで、図6にも、グラウンドにおいて第1のレーンL1と、第2のレーンL2とが設けられており、各レーンに対して1つのスタートアンテナ10と1つのゴールアンテナ20との組が設置されている例が示される。このような設置状況の場合、図6に示すように、第1のレーンL1に対応するスタートアンテナ10、第1のレーンL1に対応するゴールアンテナ20、第2のレーンL2に対応するスタートアンテナ10、第2のレーンL2に対応するゴールアンテナ20の全てが、1つの制御装置60に対して有線接続されてよい。
【0072】
また、図6に示すように、計測システムSy2は、制御装置60と情報処理装置100とが有線接続される点で図5の計測システムSy1とは異なる。
【0073】
ここからは、計測システムSy1、計測システムSy2それぞれのメリットについて説明する。例えば、計測システムSy1は、無線電波範囲内であればスタートアンテナ10と、ゴールアンテナ20との間の距離に制限がないため、計測システムSy1と比較してより長距離のタイム計測に適しているメリットを有する。一方、計測システムSy2は、ルーターを用意する必要が無いため、計測システムSy1と比較して導入コストが低いメリットを有する。
【0074】
〔5.計測システムで実現される計測処理の具体例〕
続いて、図7を用いて、実施形態に係る計測処理の一例について説明する。具体的には、図5で説明した構成パターンの計測システムSy1で実現される計測処理の一例について図7を用いて説明する。図7は、実施形態に係る計測処理の一例を示す図である。図7では、計測システムSy1の利用者U1が、被計測者P11の運動記録として、被計測者P11による50m走のタイムを計測する場面を例に挙げて、実施形態に係る計測処理を説明する。
【0075】
50m走の場合、スタートアンテナ10と、ゴールアンテナ20とが50m間隔でフィールドに設置されてよい。
【0076】
このような状態で、図7に示すように、スタートアンテナ10と第1の制御装置60-1とが有線接続されてよく、この結果、第1の制御装置60-1は、スタートアンテナ10と通信することで、電波を常時出力するようスタートアンテナ10を制御する。スタートアンテナ10は、第1の制御装置60-1からの制御に応じて電波を出力する。スタートアンテナ10は、マットに対してアンテナが組み込まれたマット型のアンテナであり、地面に対して垂直上方向に電波を出力する。
【0077】
また、図7に示すように、ゴールアンテナ20と第2の制御装置60-2とが有線接続されてよく、この結果、第2の制御装置60-2は、ゴールアンテナ20と通信することで、電波を常時出力するようゴールアンテナ20を制御する。ゴールアンテナ20は、第2の制御装置60-2からの制御に応じて電波を出力する。ゴールアンテナ20もマットに対してアンテナが組み込まれたマット型のアンテナであり、同様に、地面に対して垂直上方向に電波を出力する。
【0078】
また、図7に示すように、第1の制御装置60-1とルーターRT1とが有線接続され、第2の制御装置60-2とルーターRT2とが有線接続される。この結果、情報処理装置100は、第1の制御装置60-1および第2の制御装置60-2との間で無線により情報の送受信を行うことができるようになる。
【0079】
上記のようにして、計測システムSy1がフィールドに形成されると、被計測者P11の50m走のタイムを計測する準備が整う。また、利用者U1は、情報処理装置100の画面から被計測者P11のタイムを監視している。
【0080】
タイム計測においては、まず、被計測者P11は、RFタグ40-1を装着した状態で、スタートアンテナ10の上で走り出す準備をし、そして、任意のタイミングでスタートし、ゴールアンテナ20に向けて走ればよい。そして、被計測者P11がゴールアンテナ20に到達すると、スタートしてからゴールするまでの経過時間がタイムの計測結果として得られる。この点についてより具体的に説明する。
【0081】
被計測者P11がマット状でスタート準備をしている間は、スタートアンテナ10と、被計測者P11が装着するRFタグ40-1との間で電波を用いた近距離無線通信が確立される。近距離無線通信が確立されている間は、スタートアンテナ10は、RFタグ40-1に記憶されている情報として、タグID(第1のタグID)を連続的に読み取る。具体的には、スタートアンテナ10は、RFタグ40からの電波を受信するたびに、受信した電波からRFタグ40のタグIDを読み取る。図7の例では、スタートアンテナ10は、RFタグ40-1のタグIDとして「TG11」を読み取ったものとして説明する。
【0082】
例えば、スタートアンテナ10は、被計測者P11がスタート地点にいる時刻「T1」では第1のタグID「TG11」を読み取る(ステップS11)。
【0083】
第1の制御装置60-1は、スタートアンテナ10が第1のタグID「TG11」を読み取ったことに応じて、時刻「T1」において、第1のタグID「TG11」を検出する(ステップS12)。例えば、第1の制御装置60-1は、スタートアンテナ10から第1のタグID「TG11」を取得する。
【0084】
また、第1の制御装置60-1は、時刻「T1」において、第1のタグID「TG11」を検出すると、ルーターRT1を介した無線通信により、情報処理装置100へと第1のタグID「TG11」を送信する(ステップS13)。情報処理装置100の取得部131は、第1の制御装置60-1から送信された第1のタグID「TG11」を取得する。
【0085】
初期化部132は、取得部131により第1のタグID「TG11」を取得されると、タグID「TG11」を記憶するRFタグ40-1を装着している人物、すなわち被計測者P11について、タイム計測を開始する制御を実行する(ステップS14)。例えば、初期化部132は、現時点すなわち時刻「T1」の時点で最新の第1のタグID「TG11」と、時刻「T1」とを対応付けて、計測結果データベース122に蓄積させる。
【0086】
なお、初期化部132は、情報処理装置100が有する内部時計に基づき、取得部131により第1のタグID「TG11」を取得された時刻「T1´」を、今回の第1のタグID「TG11」が実際に読み取られた時刻「T1」として認識してよい。ただし、無線通信の場合、時刻「T1´」は、スタートアンテナ10が今回の第1のタグID「TG11」を読み取った実際の時刻「T1」とは異なってしまう場合がある。このため、情報処理装置100の内部時計と、第1の制御装置60-1の内部時計とが予め同期されていることが好ましい。また、情報処理装置100の内部時計と、第2の制御装置60-2の内部時計とも同期されていることが好ましい。
【0087】
説明を戻し、初期化部132は、現時点で最新の第1のタグID「TG11」が読み取られた時刻「T1」をタイムの計測における初期値として定めてタイマーを用いた計測を開始する。具体的には、初期化部132は、時刻「T1」をタイマー「0」として計測を開始する。
【0088】
ここで、被計測者P11がスタート地点にいることで、スタートアンテナ10と、RFタグ40-1との間で電波を用いた近距離無線通信が確立されている限り、時間経過に応じてタグID「TG11」を読み取り続ける。したがって、例えば、時刻「T1」から時間が経過して時刻「T2」になった時点でも被計測者P11がスタート地点にいたとすると、スタートアンテナ10は、時刻「T2」でも第1のタグID「TG11」を読み取る(ステップS11)。
【0089】
第1の制御装置60-1は、スタートアンテナ10が第1のタグID「TG11」を読み取ったことに応じて、時刻「T2」において、第1のタグID「TG11」を検出する(ステップS12)。
【0090】
また、第1の制御装置60-1は、時刻「T2」において、第1のタグID「TG11」を検出すると、ルーターRT1を介した無線通信により、情報処理装置100へと第1のタグID「TG11」を送信する(ステップS13)。情報処理装置100の取得部131は、第1の制御装置60-1から送信された第1のタグID「TG11」を取得する。
【0091】
初期化部132は、取得部131により第1のタグID「TG11」が再び取得されたことで、被計測者P11について、タイム計測を開始する制御を実行する(ステップS14)。具体的には、初期化部132は、取得部131により第1のタグID「TG11」が再び取得されたことで、タイマーを初期化し、タイム計測を開始する制御を実行し直す。
【0092】
例えば、初期化部132は、現時点すなわち時刻「T2」の時点で最新の第1のタグID「TG11」と、時刻「T2」とを対応付けて、計測結果データベース122に蓄積させる。例えば、初期化部132は、情報処理装置100が有する内部時計に基づき、取得部131により第1のタグID「TG11」を取得された時刻「T2´」を、今回の第1のタグID「TG11」が実際に読み取られた時刻「T2」として認識し、第1のタグID「TG11」と対応付けて、計測結果データベース122に蓄積させる。このとき、初期化部132は、先に蓄積されている時刻「T1」を時刻「T2」で上書き削除してよい。
【0093】
そして、初期化部132は、現時点で最新の第1のタグID「TG11」が読み取られた時刻「T2」をタイムの計測における初期値として定めてタイマーを用いた計測を開始する。具体的には、初期化部132は、時刻「T2」をタイマー「0」として計測を開始する。
【0094】
ここで、時刻「T2」から時間が経過して時刻「T3」になった時点でも被計測者P11がスタート地点にいたとすると、スタートアンテナ10は、時刻「T3」でも第1のタグID「TG11」を読み取る(ステップS11)。
【0095】
第1の制御装置60-1は、スタートアンテナ10が第1のタグID「TG11」を読み取ったことに応じて、時刻「T3」において、第1のタグID「TG11」を検出する(ステップS12)。
【0096】
また、第1の制御装置60-1は、時刻「T3」において、第1のタグID「TG11」を検出すると、ルーターRT1を介した無線通信により、情報処理装置100へと第1のタグID「TG11」を送信する(ステップS13)。情報処理装置100の取得部131は、第1の制御装置60-1から送信された第1のタグID「TG11」を取得する。
【0097】
初期化部132は、取得部131により第1のタグID「TG11」が再び取得されたことで、被計測者P11について、タイム計測を開始する制御を実行する(ステップS14)。具体的には、初期化部132は、取得部131により第1のタグID「TG11」が再び取得されたことで、タイマーを初期化し、タイム計測を開始する制御を実行し直す。
【0098】
例えば、初期化部132は、現時点すなわち時刻「T3」の時点で最新の第1のタグID「TG11」と、時刻「T3」とを対応付けて、計測結果データベース122に蓄積させる。例えば、初期化部132は、情報処理装置100が有する内部時計に基づき、取得部131により第1のタグID「TG11」を取得された時刻「T3´」を、今回の第1のタグID「TG11」が実際に読み取られた時刻「T3」として認識し、第1のタグID「TG11」と対応付けて、計測結果データベース122に蓄積させる。このとき、初期化部132は、先に蓄積されている時刻「T2」を時刻「T3」で上書き削除してよい。
【0099】
そして、初期化部132は、現時点で最新の第1のタグID「TG11」が読み取られた時刻「T3」をタイムの計測における初期値として定めてタイマーを用いた計測を開始する。具体的には、初期化部132は、時刻「T3」をタイマー「0」として計測を開始する。
【0100】
ここまで説明してきたように、初期化部132は、被計測者P11がスタート地点にいることで、スタートアンテナ10が第1のタグID「TG11」を読み取り続けている間は、第1のタグID「TG11」を読み取られるたびに、ステップS14の計測開始制御を繰り返す。
【0101】
一方、被計測者P11がスタートしたことで、スタートアンテナ10から離れていった場合には、スタートアンテナ10は、第1のタグID「TG11」を読み取らなくなる。初期化部132は、第1のタグID「TG11」が読み取られていない間は、被計測者P11に対応するタイマーを動かし続ける。
【0102】
例えば、図7には、時刻「T3」の直後に、被計測者P11がスタート地点から離れた例が示される。このように時刻「T3」以降においては、初期化部132は、タイマーを動かし続ける。
【0103】
ここで、図7に示すように、被計測者P11は、時刻「T10」にゴール地点であるゴールアンテナ20に到達したとする。係る場合、ゴールアンテナ20と、RFタグ40-1との間で電波を用いた近距離無線通信が確立される。そうすると、ゴールアンテナ20は、被計測者P11がゴール地点に到達した時刻「T10」において、第2のタグID「TG11」を読み取る(ステップS21)。
【0104】
第2の制御装置60-2は、ゴールアンテナ20が第2のタグID「TG11」を読み取ったことに応じて、時刻「T10」において、第2のタグID「TG11」を検出する(ステップS22)。
【0105】
また、第2の制御装置60-2は、時刻「T10」において、第2のタグID「TG11」を検出すると、ルーターRT2を介した無線通信により、情報処理装置100へと第2のタグID「TG11」を送信する(ステップS23)。情報処理装置100の取得部131は、第1の制御装置60-1から送信された第2のタグID「TG11」を取得する。すなわち、取得部131は、第1のタグID「TG11」と同一内容「TG11」の第2のタグIDを取得する。
【0106】
初期化部132は、第1のタグID「TG11」と共通する第2のタグIDが取得部131により取得されたことで、被計測者P11について、タイムの計測結果が特定されるよう制御する(ステップS24)。
【0107】
例えば、初期化部132は、現時点すなわち時刻「T10」の時点で最新の第2のタグID「TG11」と、時刻「T10」とを対応付けて、計測結果データベース122に蓄積させる。例えば、初期化部132は、情報処理装置100が有する内部時計に基づき、取得部131により第2のタグID「TG11」を取得された時刻「T10´」を、今回の第2のタグID「TG11」が実際に読み取られた時刻「T10」として認識し、第2のタグID「TG11」と対応付けて、計測結果データベース122に蓄積させてよい。
【0108】
また、初期化部132は、これまで動かしていたタイマーを停止させる。ここで、特定部133は、タイマーが停止された時点でのタイマーの数値を、被計測者P11が50mを走った際のタイムの測定結果として特定する。すなわち、特定部133は、スタートアンテナ10によってタグID「TG11」が最後に読み取られた時刻「T3」から、ゴールアンテナ20によってタグID「TG11」が最初に読み取られた時刻「T10」までに経過した経過時間(時刻「T10」-時刻「T3」)を計測結果として特定する。
【0109】
さて、ここまで複数台(例えば、2第)の制御装置60を用いた構成パターンの計測システムSy1を例に、情報処理装置100が実行する計測処理の一例を説明してきた。しかしながら、情報処理装置100は、制御装置60が1台だけ用いられる構成パターンの計測システムSy2においても、同様に動作する。
【0110】
具体的には、複数の制御装置60それぞれからデータを取得するか、あるいは、1の制御装置60からデータを取得するかの違いだけであり、取得されるデータ自体は双方で共通することから、情報処理装置100は、計測システムSy1、計測システムSy2のいずれにおいても同様の計測処理を行うことができる。
【0111】
また、図7で説明したように、実施形態に係る計測システムで実現される計測処理によれば、例えば、被計測者がどのようなタイミングでスタートしようともそのタイミングがタイム計測の開始として自動で認識され、また、被計測者がゴールしたタイミングも自動で認識される。このようなことから、実施形態に係る計測システムでは、例えば、走者を判別する係、スタート合図の係、タイムを計測する係、タイムの記録を行う係等の人員が不要となり、したがって、タイム計測における人員削減と、人員に課せられる負担軽減とを実現することができるようになる。また、実施形態に係る計測システムによれば、例えば、子供の日々の成長記録として運動記録を残したいというニーズにも対応することができる。
【0112】
また、図7では、説明を簡単にするために、1人の被計測者P11を例に挙げて、実施形態に係る計測処理を説明したが、被計測者が複数であっても(例えば、複数の被計測者の間で走り競技が行われる場合であっても)、各被計測者が装着しているRFタグ40それぞれのタグIDについて図7の例と同様の計測処理が行われる。このようなことから、実施形態に係る計測処理は、運動記録を取得するシーンだけでなく、競技のシーンにも応用可能である。例えば、競技のシーンでは、少ない人員で高精度なタイム計測および順位管理を実現することができるというメリットがある。
【0113】
〔6.処理手順〕
続いて、図8を用いて、実施形態に係る計測システムにおいて、情報処理装置100が実行する計測処理の手順について説明する。図8は、実施形態に係る計測処理手順を示すフローチャートである。なお、図8では、第1の制御装置60-1と、第2の制御装置60-2(第2の制御装置)とを含む計測システムSy1で実現される計測処理手順について説明する。
【0114】
また、図8では、図7の例と同様に、1つのタグIDが読み取られた場合の計測処理手順を説明するが、例えば、複数の異なるタグIDが読み取られた場合であっても読み取られたタグIDそれぞれについて同様の計測処理手順が進むこととなる。
【0115】
例えば、計測システムSy1がグラウンド等のフィールドに設置され、第1の制御装置60-1が、スタートアンテナ10に対して常時電波を出力するよう制御し、また、第2の制御装置60-2が、ゴールアンテナ20に対して常時電波を出力するよう制御しているとする。
【0116】
このような状態では、取得部131は、スタートアンテナ10によってタグIDが読み取られたか否かを判定する(ステップS801)。例えば、取得部131は、第1の制御装置60-1からのアクセス(例えば、ルーターRT1を介したタグIDの送信)がなく、スタートアンテナ10によってタグIDが読み取られていないと判定している間は(ステップS801;No)、スタートアンテナ10によってタグIDが読み取られたと判定できるまで待機する。
【0117】
一方、取得部131は、第1の制御装置60-1からのアクセス(例えば、ルーターRT1を介したタグIDの送信)があったことで、スタートアンテナ10によってタグIDが読み取られたと判定できた場合には(ステップS801;Yes)、読み取られたタグID(第1のタグID)を第1の制御装置60-1から取得する(ステップS802)。
【0118】
以下では、スタートアンテナ10によって第1のタグIDとして「TG11」(第1のタグID「TG11」)が読み取られたことで、取得部131が、第1のタグID「TG11」を取得したものとして説明する。また、スタートアンテナ10によって、今回、第1のタグID「TG11」が読み取られた時刻を時刻「T3」とする。
【0119】
初期化部132は、取得部131により第1のタグID「TG11」が取得されたことで、タグID「TG11」に対応するタイマー制御に関する処理を実行する。例えば、初期化部132は、時刻「T3」で読み取られた今回の第1のタグID「TG11」と、時刻「T3」とを対応付けて、計測結果データベース122に蓄積させる(ステップS803)。このとき、例えば、第1のタグID「TG11」に対して既に時刻が対応付けられている場合、すなわち時刻「T3」よりも前の時刻にもタグID「TG11」が読み取られている場合には、初期化部132は、既に対応付けられている時刻を現在の時刻「T3」で上書き削除してよい。
【0120】
また、初期化部132は、第1のタグID「TG11」に対応するタイマーを初期化し、タイム計測を開始する(ステップS804)。例えば、初期化部132は、第1のタグID「TG11」が読み取られた時刻「T3」をタイム計測における初期値として定めてタイマーを作動させる。例えば、初期化部132は、時刻「T3」の時点でタイマーを「0」に初期化して作動させる。
【0121】
このような状態において、初期化部132は、時刻「T3」からの時間経過に応じて、第1のタグID「TG11」が再びスタートアンテナ10によって読み取られたか否かを判定する(ステップS805)。例えば、時刻「T3」以降の時刻において、取得部131により第1のタグID「TG11」が取得されたとする。係る場合、初期化部132は、スタートアンテナ10によってタグID「TG11」が再び読み取られたと判定し(ステップS805;Yes)、時刻「T3」以降の時刻を用いて、ステップS804から処理をやり直す。
【0122】
一方、時刻「T3」以降の時刻において、取得部131により第1のタグID「TG11」が取得されていない状態が続く限り、初期化部132は、スタートアンテナ10によってタグID「TG11」が読み取られていないと判定し続け(ステップS805;No)、そしてこの間、途中経過時間が制限時間を超えたか否かを判定する(ステップS806)。具体的には、初期化部132は、ステップS804でタイマーを作動させてから現時点までに経過している経過時間である途中経過時間(すなわち、現時点でのタイマーの数値)が制限時間を超えたか否かを判定する。
【0123】
初期化部132は、途中経過時間が制限時間を超えたと判定した場合には(ステップS806;Yes)、これまでの記録として得られているタイマーの数値をクリアし、記録無効とする(ステップS807)。
【0124】
一方、初期化部132は、途中経過時間が制限時間を超えていないと判定している間は(ステップS806;No)、第1のタグID「TG11」と同一内容の第2のタグIDがゴールアンテナ20によって読み取られたか否かを判定する(ステップS808)。具体的には、初期化部132は、ゴールアンテナ20によって第2のタグIDとして「TG11」(第2のタグID「TG11」)が読み取られたか否かを判定する。
【0125】
初期化部132は、タグID「TG11」がゴールアンテナ20によって読み取られていないと判定した場合には(ステップS808;No)、ステップS805へと処理を戻す。このように、ステップS805からステップS808にかけての処理がループされることで、例えば、スタート地点から一旦離れたものの、再度スタート地点に戻ってきてしまった場合でも、自動で計測がやり直しされることとなる。
【0126】
一方、初期化部132は、取得部131が第2の制御装置60-2からタグID「TG11」を取得したことで、第1のタグID「TG11」と同一内容の第2のタグIDがゴールアンテナ20によって読み取られたと判定した場合には(ステップS808;Yes)、タグID「TG11」に対応する作動中のタイマーを停止させ、タイム計測を終了とする(ステップS809)。
【0127】
特定部133は、タイム計測が終了すると、タイマーが停止された時点でのタイマーの数値を、タグID「TG11」で識別される被計測者の測定結果として特定する(ステップS810)。例えば、タイマーが停止された時刻が時刻「T10」であったとする。係る場合、特定部133は、スタートアンテナ10によって第1のタグID「TG11」が最後に読み取られた時刻「T3」から、ゴールアンテナ20によって第2のタグID「TG11」が最初に読み取られた時刻「T10」までに経過した経過時間(時刻「T10」-時刻「T3」)を計測結果として特定してよい。
【0128】
また、特定部133は、計測結果として特定した経過時間を示す情報と、この経過時間を計測された被計測者(タグID「TG11」で識別される被計測者)を示す情報と紐付けた紐付けデータを、利用者に提供される提供情報として計測結果データベース122で管理する(ステップS811)。
【0129】
また、表示制御部134は、特定部133によりステップS811のように管理されることで、例えば、タグID「TG11」の人物の人物名と、ステップS811で特定された計測結果とを対応付けてリアルタイムに表示させてよい(ステップS812)。
【0130】
〔7.限定解除〕
常時実施形態では、実施形態に係る計測システムSyxの利用シーンとして、個々の運動能力の測定や、競技としてのタイムの競い合いを例示した。しかしながら、実施形態に係る計測システムSyxが適用されるシーンは係る例に限定されない。
【0131】
例えば、実施形態に係る計測システムSyxは、出退勤の管理にも適用され得る。この場合、スタートアンテナ10およびゴールアンテナ20は、例えば、社員専用の出入り口に設置されることが想定される。また、情報処理装置100は、出退勤の管理者によって利用される情報処理端末であってよい。
【0132】
〔8.効果〕
上述してきたように、本開示に係る計測システム(実施形態では計測システムSy1)は、第1の地点から第2の地点までの移動に要するタイムを計測するための計測システムであって、被計測者に装着されているRFタグ(実施形態ではRFタグ40)からの電波を受信し、第1の地点に設置される第1のアンテナ(実施形態ではスタートアンテナ10)を制御する第1の制御装置(実施形態では第1の制御装置60-1)と、被計測者に装着されているRFタグからの電波を受信し、第2の地点に設置される第2のアンテナ(実施形態ではゴールアンテナ20)を制御する第2の制御装置(実施形態では第2の制御装置60-2)と、第1の制御装置および第2の制御装置から取得したデータに基づきタイムを計測する情報処理装置(実施形態では情報処理装置100)とを含む。情報処理装置は、第1のアンテナがRFタグの電波から読み取った識別子である第1の識別子が第1の制御装置から取得された場合に、当該第1の識別子が読み取られた際の時刻をタイムの計測における初期値として定めて計測を開始する初期化部(実施形態では初期化部132)と、計測が開始された状態で、第2のアンテナがRFタグの電波から読み取った識別子である第2の識別子であって、第1の識別子と同一内容の第2の識別子が第2の制御装置から取得された場合には、初期値として定められた時刻から、当該第2の識別子が読み取られた際の時刻までに経過した経過時間を、タイムの計測結果として特定する特定部(実施形態では初期化部132)とを有する。
【0133】
このような計測システムによれば、例えば、被計測者がどのようなタイミングでスタートしようともそのタイミングがタイム計測の開始として自動で認識され、また、被計測者がゴールしたタイミングも自動で認識される。このようなことから、実施形態に係る計測システムによれば、例えば、走者を判別する係、スタート合図の係、タイムを計測する係、タイムの記録を行う係等の人員が不要となるため、タイム計測における人員削減と、人員に課せられる負担軽減とを実現することができるようになる。
【0134】
また、上述してきたように、本開示に係る他の計測システム(実施形態では計測システムSy2)は、第1の地点から第2の地点までの移動に要するタイムを計測するための計測システムであって、被計測者に装着されているRFタグ(実施形態ではRFタグ40)からの電波を受信し、第1の地点に設置される第1のアンテナ(実施形態ではスタートアンテナ10)を制御するとともに、被計測者に装着されているRFタグからの電波を受信し、第2の地点から第2のアンテナ(実施形態ではゴールアンテナ20)を制御する1の制御装置(実施形態では制御装置60)と、一の制御装置から取得したデータに基づきタイムを計測する情報処理装置(実施形態では情報処理装置100)とを含む。情報処理装置は、第1のアンテナがRFタグの電波から読み取った識別子である第1の識別子が一の制御装置から取得された場合に、当該第1の識別子が読み取られた際の時刻をタイムの計測における初期値として定めて計測を開始する初期化部(実施形態では初期化部132)と、計測が開始された状態で、第2のアンテナがRFタグの電波から読み取った識別子である第2の識別子であって、第1の識別子と同一内容の第2の識別子が一の制御装置から取得された場合には、初期値として定められた時刻から、当該第2の識別子が読み取られた際の時刻までに経過した経過時間を、タイムの計測結果として特定する特定部(実施形態では特定部133)とを有する。
【0135】
このような計測システムによれば、例えば、被計測者がどのようなタイミングでスタートしようともそのタイミングがタイム計測の開始として自動で認識され、また、被計測者がゴールしたタイミングも自動で認識される。このようなことから、実施形態に係る計測システムによれば、例えば、走者を判別する係、スタート合図の係、タイムを計測する係、タイムの記録を行う係等の人員が不要となるため、タイム計測における人員削減と、人員に課せられる負担軽減とを実現することができるようになる。
【0136】
また、初期化部は、第1の識別子が取得された場合に、これまでに蓄積されている時刻情報のうち、当該第1の識別子と同一内容の識別子が第1のアンテナによって読み取られた際の時刻を示す時刻情報を削除するとともに、今回取得された当該第1の識別子が読み取られた際の時刻である最新の時刻をタイムの計測における初期値として定めて計測を開始する。
【0137】
このような計測システムによれば、第1のアンテナや第2のアンテナによる読み取りに応じた記録を逐一保持する必要がなくなるため、多くの記録が蓄積されてゆくことによる負荷を軽減させることができる。
【0138】
また、初期化部は、計測を開始してから、第1の識別子と同一内容の第2の識別子が読み取られるまでの間に経過した途中経過時間が、予め設定された制限時間に達した場合には、途中経過時間を無効とするとともに、計測を中止する。
【0139】
このような計測システムによれば、例えば、被計測者がコースから外れてしまったり、スタート地点に戻ってしまったりする等の意図しないシーンでのタイムが正当な測定結果として記録されてしまうことを防止することができる。
【0140】
〔9.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る情報処理装置100は、例えば、図9に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。図9は、情報処理装置100の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0141】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0142】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、所定の通信網を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを所定の通信網を介して他の機器へ送信する。
【0143】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0144】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0145】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る情報処理装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から所定の通信網を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0146】
〔10.その他〕
また、上記各実施形態において説明した処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0147】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0148】
また、上記各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0149】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0150】
10 スタートアンテナ
20 ゴールアンテナ
40 RFタグ
60 制御装置
100 情報処理装置
120 記憶部
121 被計測者情報データベース
122 計測結果データベース
130 制御部
131 取得部
132 初期化部
133 特定部
134 表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9