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特開2023-144785使用済み衛生用品の収集・処理ステーション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144785
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】使用済み衛生用品の収集・処理ステーション
(51)【国際特許分類】
   B09B 5/00 20060101AFI20231003BHJP
   B65F 1/00 20060101ALI20231003BHJP
   B09B 101/67 20220101ALN20231003BHJP
【FI】
B09B5/00 Z ZAB
B65F1/00 A
B09B101:67
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051926
(22)【出願日】2022-03-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】507394639
【氏名又は名称】株式会社サムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪田 勇
(72)【発明者】
【氏名】岡野 公美
(72)【発明者】
【氏名】鴨沢 卓郎
(72)【発明者】
【氏名】阪田 乾仁
(72)【発明者】
【氏名】阪田 光子
【テーマコード(参考)】
3E023
4D004
【Fターム(参考)】
3E023AA20
3E023MA04
3E023MB02
4D004AB10
4D004AC04
4D004CA12
(57)【要約】
【課題】本発明は、介護施設、病院等から廃棄される使用済み衛生用品を処理しリサイクル資源を回収できると共に、一般家庭、小規模保育施設等から廃棄される使用済み衛生用品もいつでも処理し、リサイクル資源を回収することが可能な使用済み衛生用品の収集・処理ステーションを提供する。
【解決手段】本発明の使用済み衛生用品の収集・処理ステーション1は、所定の敷地2内に設置されて、個々に持ち込まれて収集された使用済み紙おむつ3を処理しリサイクル資源を回収する使用済み衛生用品の収集・処理ステーション1であり、持ち込まれた使用済み紙おむつ3を収集する回収部4と、回収部4に収集された使用済み紙おむつ3を処理しリサイクル資源を回収する処理部5と、処理部5で処理されてリサイクル資源を回収した後の廃液を処理して下水道に排出する廃液処理部6と、からなる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個々に持ち込まれて収集された使用済み衛生用品(3)を処理しリサイクル資源を回収する使用済み衛生用品の収集・処理ステーション(1)であって、
前記使用済み衛生用品の収集・処理ステーション(1)は所定の敷地(2)内に設置され、
持ち込まれた前記使用済み衛生用品(3)を収集する回収部(4)と、
前記回収部(4)に収集された前記使用済み衛生用品(3)を処理しリサイクル資源を回収する処理部(5)と、
前記処理部(5)で処理されて前記リサイクル資源を回収した後の廃液を処理して下水道に排出する廃液処理部(6)と、からなることを特徴とする使用済み衛生用品の収集・処理ステーション(1)。
【請求項2】
前記回収部(4)は、持ち込まれた使用済み衛生用品(3)が投入される投入口(14)を有する回収ボックス(15)と、この回収ボックス(15)内に投入された使用済み衛生用品(3)を取り出して前記処理部(5)に送る取出送り装置(16)と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の使用済み衛生用品の収集・処理ステーション(1)。
【請求項3】
前記処理部(5)は、前記回収部(4)から取り出された使用済み衛生用品(3)を、衛生用品を構成する素材に処理液により分離する分離機(20)と、前記分離機(20)内で固形物と分離された廃液中からパルプを回収するパルプ回収装置(21)と、前記分離機(20)内で廃液と分離された固形物からパルプとプラスチックを選別する選別機(22)と、前記選別機(22)によってパルプと選別されプラスチックが付着したプラパルを回収するプラパル回収装置(23)と、を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の使用済み衛生用品の収集・処理ステーション(1)。
【請求項4】
前記廃液処理部(6)は、前記パルプ回収装置(21)によってパルプが回収された後の廃液を処理する浄化槽(30)を有することを特徴とする請求項3に記載の使用済み衛生用品の収集・処理ステーション(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済み紙おむつ等の使用済み衛生用品を収集し、収集した使用済み衛生用品を処理してリサイクル資源を回収する使用済み衛生用品の収集・処理ステーションに関する。
【背景技術】
【0002】
介護施設、病院、一般家庭で被介護者や幼児に紙おむつが広く用いられている。このような紙おむつ等を使用した後の使用済み衛生用品は、可燃ごみとして収集されてごみ焼却場で焼却処理されている。介護施設や病院等では、施設内の特定の場所に使用済み衛生用品を保管し、ごみ回収を行う処理業者が回収しているが、一般家庭で使用した使用済み衛生用品は、他の可燃ごみとともにごみ箱に廃棄され、自治体等で定められたごみ回収袋に収納した状態で、自治体のごみ集積所に廃棄され、ごみ回収業者によって回収されてごみ焼却場に搬送されて焼却処理されている。
【0003】
介護施設や病院等では、使用済み衛生用品を保管しておく保管場所を設置することができるので、菌が繁殖しても特に問題はなく、臭気も環境に影響を与えることはないが、一般家庭や小規模の保育施設で使用された使用済み衛生用品は、他の可燃ごみとともに家庭内や施設内で保管されるため、菌の繁殖によって家庭内や施設内での保管場所の周囲に菌が付着したり、臭気が家庭内や施設内に蔓延したりする。
【0004】
このため、家庭内や施設内で使用済み衛生用品を保管する際には、ビニール製等の密封性の良い袋に密封した状態で保管され、一般可燃ごみとして地域のごみ集積場に集積され、ごみ集積場に集積された使用済み衛生用品は他の可燃ごみ等と一緒にごみ回収業者によって収集されてごみ焼却場に搬送されて焼却処理される。また、介護施設や病院等から廃棄された使用済み衛生用品も最終的にごみ焼却場に搬送されて焼却処理される。このため、ごみ焼却場で可燃ごみとともに使用済み衛生用品を焼却処理する際に燃料代等が高くなり、焼却コストが高くなる。
【0005】
一方、近年では使用済み衛生用品を分解処理することによってパルプ、プラスチック等のリサイクル資源を回収することが特許文献1等で提案されている。使用済み衛生用品からパルプ、プラスチック等のリサイクル資源を回収する場合、比較的大量の使用済み衛生用品を分解処理した方が処理コストが低減し、リサイクル資源の回収量も多くなるので、毎日使用済み衛生用品が廃棄される介護施設や病院からの使用済み衛生用品を分解処理した方がコスト、回収効率の面から良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-034268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、介護施設や病院等では、保管場所を設置することができ、使用済み衛生用品の臭気も外部に影響を与えることはないが、一般家庭や小規模の保育施設では、上記のように可燃ごみを廃棄するごみ箱に使用済み衛生用品を廃棄すると、菌の増殖や臭気の問題が発生する。このため、使用済み衛生用品を早期にごみ集積場やごみ焼却場に廃棄することが必要となる。
【0008】
また、近年、一般的に行われているペットボトルの回収や、使用済み油の回収、びん・缶類の回収によりリサイクル資源とすることが、ごみ焼却場において焼却処理するよりも焼却のための処理費用を削減でき、自然環境への影響も少なくすることができることが周知となっているが、使用済み衛生用品については、このように回収し、リサイクル資源とすることがなされていない。
【0009】
そこで、本発明は、介護施設、病院等から廃棄される使用済み衛生用品を処理しリサイクル資源を回収できると共に、一般家庭、小規模保育施設等から廃棄される使用済み衛生用品もいつでも処理し、リサイクル資源を回収することが可能な使用済み衛生用品の収集・処理ステーションの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の第1の態様は、個々に持ち込まれて収集された使用済み衛生用品を処理しリサイクル資源を回収する使用済み衛生用品の収集・処理ステーションであって、前記使用済み衛生用品の収集・処理ステーションは所定の敷地内に設置され、持ち込まれた前記使用済み衛生用品を収集する回収部と、前記回収部に収集された前記使用済み衛生用品を処理しリサイクル資源を回収する処理部と、前記処理部で処理されて前記リサイクル資源を回収した後の廃液を処理して下水道に排出する廃液処理部と、からなることを特徴とする。
【0011】
本発明の第2の態様は、前記回収部は、持ち込まれた使用済み衛生用品が投入される投入口を有する回収ボックスと、この回収ボックス内に投入された使用済み衛生用品を取り出して前記処理部に送る取出送り装置と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明の第3の態様は、前記処理部は、前記回収部から取り出された使用済み衛生用品を、紙おむつを構成する素材に処理液により分離する分離機と、前記分離機内で固形物と分離された廃液中からパルプを回収するパルプ回収装置と、前記分離機内で廃液と分離された固形物からパルプとプラスチックを選別する選別機と、前記選別機によってパルプと選別されプラスチックが付着したプラパルを回収するプラパル回収装置と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
本発明の第4の態様は、前記廃液処理部は、前記パルプ回収装置によってパルプが回収された後の廃液を処理する浄化槽を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る使用済み衛生用品の収集・処理ステーションによれば、所定の敷地内に設置された使用済み衛生用品の収集・処理ステーションに、使用済み衛生用品を個々に持ち込むと、使用済み衛生用品の収集・処理ステーション内の回収部により収集され、処理部により処理されリサイクル資源が回収される。所定の敷地内に設置されたこの使用済み衛生用品の収集・処理ステーションで介護施設、病院等から廃棄される使用済み衛生用品を処理しリサイクル資源を回収できると共に、一般家庭、小規模保育施設等から廃棄される使用済み衛生用品もいつでも処理し、リサイクル資源を回収することが可能となる。
【0015】
また、一般家庭や小規模の保育施設で使用した使用済み衛生用品を使用済み衛生用品の収集・処理ステーションに持ち込むことで使用済み衛生用品を廃棄することができる。また、一般家庭や小規模の保育施設内に使用済み衛生用品を保管する期間が短くなるので、一般家庭や小規模の保育施設内での使用済み衛生用品による菌の増殖や臭気の問題を解決することができる。
【0016】
さらに、介護施設や病院等から廃棄される使用済み衛生用品を、使用済み衛生用品の収集・処理ステーションに持ち込むことにより、介護施設や病院内に保管場所を設置する必要がなくなり、使用済み衛生用品を早期に処理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本実施の形態に係る使用済み衛生用品の収集・処理ステーションの構成を示すブロック図である。
図2図2は、本実施の形態に係る使用済み衛生用品の収集・処理ステーションを示す斜視図である。
図3図3は、本実施の形態に係る使用済み衛生用品の収集・処理ステーションの分離機と取出送り装置を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図4図4は、分離機と取出送り装置を示し、(a)は搬送台車上の使用済み紙おむつを分離機内に投入する状態を示す側面図、(b)は分離機内のプラパル、その他を搬送台車に排出する状態を示す側面図である。
図5図5は、開閉扉で投入口を閉塞した状態の分離機を示し、(a)は側面図、(b)は正面図である。
図6図6は、開閉扉が投入口を開放した状態の分離機を示し、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る使用済み衛生用品の収集・処理ステーションの実施形態について説明する。本実施の形態では、使用済み衛生用品として使用済み紙おむつを例にとって説明する。図1に示すように、本実施の形態の使用済み衛生用品の収集・処理ステーション(以下「おむつステーション」という)1は、所定の敷地2内に設置され、個々に持ち込まれた使用済み紙おむつ3を収集する回収部4と、回収部4に収集された使用済み紙おむつ3を処理しリサイクル資源を回収する処理部5と、処理部5で処理されてリサイクル資源を回収した後の廃液を処理して下水道に排出する廃液処理部6と、からなる。
【0019】
図1及び図2に示すように、所定の敷地2は、一般道路7沿いに設けられ、ガードレール8に設けた入口9から敷地2内に入り、使用済み紙おむつ3をおむつステーション1に廃棄した後に出口10から一般道路7に出るようになっている。敷地2内には、車両が一般道路7から入り、車両が搭載してきた使用済み紙おむつ3をおむつステーション1に廃棄した後に出口10から一般道路7に出られるようになっている。このため、敷地2には、おむつステーション1の一般道路7側に、駐車スペース11が設けられ、いわゆるドライブスルー方式で使用済み紙おむつをおむつステーション1に廃棄することができる。
【0020】
おむつステーション1は、敷地2内に建てられた密封性の良い建屋12として形成されており、建屋12内に回収部4、処理部5、廃液処理部6が設けられている。また、建屋12の駐車スペース11側には、使用済み紙おむつ3を廃棄する際の手続等を行うための受付用の受付窓13と、廃棄するための使用済み紙おむつ3をおむつステーション1内に廃棄する投入口14が設けられている。この投入口14からおむつステーション1内の回収部4に使用済み紙おむつ3が投入される。
【0021】
回収部4は、持ち込まれた使用済み紙おむつ3が投入される投入口14を有する回収ボックス15と、この回収ボックス15内に投入された使用済み紙おむつ3を取り出して処理部5に送る取出送り装置16と、を備えている。
【0022】
回収ボックス15内には、予め決められた密封性の良い回収袋内に収集された状態の使用済み紙おむつ3が投入される。回収袋として溶解性の回収袋が用いられている。溶解性の回収袋としては、例えばPVA(ポリビニルアルコール)を主成分にした水溶性フィルムで形成されたソルバッグ(登録商標 株式会社 アイセロ製)が用いられる。この溶解性回収袋は、温水(例えば、70℃以上)で溶けるフィルムから作られており、細菌、ウイルス等を通さない性質を持っている。この溶解性回収袋に使用済み紙おむつ3を収納させて収集する。
【0023】
この場合、おむつステーション1に使用済み紙おむつ3を廃棄すると、無料で溶解性の回収袋を、使用済み紙おむつ3を廃棄する人に配布しても良いし、他のビニール袋内に収集された使用済み紙おむつ3持ち込んだときは、受付にて溶解性の回収袋におむつステーション1の担当者が入れ替えても良い。溶解性の回収袋に収集された使用済み紙おむつ3は、回収ボックス15に隣接して設けられた取出送り装置16の搬送台車17上に送られる。使用済み紙おむつ3を取出送り装置16の搬送台車17上に送る場合、人力により回収ボックス15を傾けても良く、自動的に回収ボックス15が傾斜して搬送台車17上に使用済み紙おむつを送っても良い。
【0024】
取出送り装置16は、図3(a)、(b)に示すように、ベルトコンベア18が底部に設けられた搬送台車17と、この搬送台車17を昇降させる昇降装置19とで形成されている。搬送台車17が下部側に位置している状態で、搬送台車17の底部側のベルトコンベア18上に、回収ボックス15によって回収された使用済み紙おむつ(溶解性回収袋に密封されて収集されている)3が送られる。搬送台車17のベルトコンベア18上に使用済み紙おむつ3が送られると、図4(a)に示すように、昇降装置19が、搬送台車17を上部側へ引き上げる。この状態から、ベルトコンベア18が稼動して、傾斜している処理部5の分離機20内に使用済み紙おむつ3を搬送し、処理部5の分離機20内に使用済み紙おむつを投入する。
【0025】
処理部5は、回収部4から取り出された使用済み紙おむつ3を、紙おむつを構成する素材に処理液により分離する分離機20と、分離機20内で固形物と分離された廃液中からパルプを回収するパルプ回収装置21と、分離機20内で廃液と分離された固形物からパルプとプラスチックを選別する選別機22と、選別機22によってパルプと選別されたプラスチックが付着したプラパルを回収するプラパル回収装置23と、を備えている。
【0026】
分離機20は、箱体形状の筐体24内に、外胴分離槽と、外胴分離槽内に回転自在に配置された内胴分離槽と、内胴分離槽を回転駆動する駆動部とが設けられている。筐体24の一側には、円形状の投入口25が設けられている。筐体24の一側には円形状の開閉扉26が設けられており、投入口25を開閉する(図5図6参照)。また、筐体24の一側には、投入口25の外側に、投入口25の下部側形状に沿って湾曲した案内板27が設けられている。筐体24は、図4に示すように、投入口25側が床28に対して上方に位置するように傾斜した投入位置と、投入口25側が床28に接触した状態で筐体24の他側が床28に対して上方に位置するように傾斜した排出位置とに傾斜可能となっている。
【0027】
そして、筐体24が投入位置に傾斜した状態で、取出送り装置16のベルトコンベア18上の使用済み紙おむつ3が案内板27を通して分離機20の内胴分離槽内に投入される。このとき、搬送台車17は、昇降装置19により上部に位置している。また、分離機20内で使用済み紙おむつ3が処理液とともに攪拌されて分解処理された後に、筐体24が排出位置に傾斜した状態で、内胴分離槽内の固形物として残ったパルプ、プラスチックが搬送台車17上に排出される。
【0028】
分離機20によって使用済み紙おむつを処理液とともに攪拌して分解処理した後には、廃液がパルプ回収装置21に送られて廃液中のパルプが回収される。パルプ回収装置21によってパルプが回収された後の廃液は、廃液処理部6の高分子除去装置29で廃液中の高分子吸収体が除去された後に浄化槽30内に送られ、薬剤やバクテリア等によって処理されるとともに、貯留される。分離機20内から取出送り装置16によって取り出された固形物であるパルプ、プラスチックは、選別機22に送られる。
【0029】
選別機22は、外胴選別槽と、この外胴選別槽内に回転自在に設けられた内胴選別槽と、内胴選別槽内に乾燥風を供給する乾燥風供給部と、内胴選別槽を回転駆動する駆動部とが設けられている。そして、分離機20から取出送り装置16によって取り出された固形物のパルプ、プラスチックが内胴選別槽内で乾燥されてパルプとプラスチックとが選別される。
【0030】
この場合、プラスチックの表面にはパルプが付着した状態で分離機20から選別機22に送られるため、内胴選別槽を回転駆動させながら乾燥風を吹き付けることでプラスチックの表面のパルプが剥がれる。選別機22によってパルプとプラスチックとが選別されると、パルプは乾燥風がフィルターを通過することで捕捉され、表面にパルプが付着した状態のプラスチック(プラパル)はプラパル回収装置23によって回収される。
【0031】
そして、パルプ回収装置21で回収されたパルプ、プラパル回収装置23で回収されたプラパルは、リサイクル資源としてリサイクル資源貯留部31に集められ保管される。さらに、高分子除去装置29にて高分子吸収体が除去された廃液は、浄化槽30内に貯留された後に、リサイクル資源としてリサイクル資源貯留部31に集められ貯留される。これらのリサイクル資源である、パルプ、プラパル、廃液は、リサイクル資源搬送・回収車32によっておむつステーションから運び出される。なお、おむつステーション1から運び出された廃液は、メタン発酵の発酵原料として用いたり、液体肥料として用いたりする。
【0032】
おむつステーション1から運び出されたリサイクル資源としてのパルプは、再び紙おむつの原料や、段ボールの原料、その他に利用される。おむつステーション1から運び出されたプラパルは、固形燃料の材料や、付着しているパルプをさらに除去したプラスチックをペレット状にしてごみ箱等に再成形される。この場合、おむつステーション1で回収されるプラパルから付着しているパルプを取り除いたプラスチックで、使用済み紙おむつ3を収納する密封性の回収袋を成形しても良く、他のプラスチック製品を成形しても良い。
【0033】
また、おむつステーション1の建屋12内には、使用済み紙おむつ3を処理するために必要な資材、例えば処理液を生成する薬剤、装置をメンテナンスするための機材等を保管するとともに、おむつステーション1を維持管理するための作業を行う作業スペースが設けられた作業スペース資材置場33が設けられている。さらに、建屋12内には、このおむつステーション1を維持管理する管理室34が設けられており、管理作業員が24時間駐在する。また、管理室34の駐車スペース11側の受付に、受付窓13が設けられている。
【0034】
次に、おむつステーション1の利用方法と、おむつステーション1内での使用済み紙おむつ3の処理方法、及び回収方法について以下に説明する。
一般家庭や小規模保育所等で使用された後の使用済み紙おむつ3は、家庭内や保育施設内で密封性の良い収集袋、例えばビニール袋等や密封性のある回収箱等に廃棄される。収集袋や回収箱に収集された使用済み紙おむつ3を車両あるいは徒歩にておむつステーション1の敷地2内に搬送する。車両を用いた場合は、敷地2の入口9から車両ごと敷地2内に入り、駐車スペース11に車両を止める。
【0035】
次に、収集袋や回収箱に集積された使用済み紙おむつ3を、おむつステーション1の受付にて廃棄することを申し出る。受付では、収集袋や回収箱内に使用済み紙おむつ3以外のものが混入されていないか確認し、使用済み紙おむつ3のみであることが確認されると、そのまま、投入口14から回収ボックス15内に、持ってきた使用済み紙おむつ3を投入する。使用済み紙おむつ3を投入口14から投入した後は、車両あるいは徒歩にて出口10から一般道路7に出る。以上により、一般家庭や小規模保育所内から出る使用済み紙おむつ3をおむつステーション1にて廃棄処理することができる。
【0036】
なお、一般家庭や小規模保育施設にて使用した後の使用済み紙おむつ3は、おむつステーション1に、個々に持ち込むことで廃棄処理することができるが、このおむつステーション1に、病院や介護施設等にて使用した後の使用済み紙おむつ3を持ち込んでも良い。この場合、病院や介護施設等で使用した後の使用済み紙おむつ3は大量となるが、病院や介護施設等からは、一日に廃棄する使用済み紙おむつの量がおおよそ決まっている。したがって、おむつステーション1の処理能力を超えない範囲内で、病院や介護施設からの使用済み紙おむつ3を処理することができる。
【0037】
また、大規模な病院や介護施設の敷地内におむつステーション1を設置することで、病院や介護施設からの使用済み紙おむつ3を処理するとともに、一般家庭や小規模保育施設等からの使用済み紙おむつ3を持ち込むことで、使用済み紙おむつ3を処理することが可能となる。
【0038】
投入口14から回収ボックス15内に投入された使用済み紙おむつ3は、搬送台車17上に載置された状態で昇降装置19によって上部に移動され、これとともに図4に示すように分離機20が投入位置に傾斜する。この状態からベルトコンベア18が稼動して搬送台車17上の使用済み紙おむつ3を分離機20の内胴分離槽内に投入する。内胴分離槽内に使用済み紙おむつ3が投入され、開閉扉26にて投入口25を閉じた後に、分離機20が稼動する。この分離機20の外胴分離槽内には、水、消毒剤、石灰からなる処理液が供給され、処理液と共に使用済み紙おむつ3が内胴分離槽の回転によって掻き上げられて処理液により使用済み紙おむつ3が分解処理される。
【0039】
所定の回転数で内胴分離槽が回転し、所定時間経過した後に、外胴分離槽内から廃液をパルプ回収装置21に排出する。廃液をパルプ回収装置21に排出した後に内胴分離槽を回転させて脱水し、廃液を全てパルプ回収装置21に排出する。このとき、内胴分離槽内には、固形物としてプラスチックとその他が残り、プラスチックには少量のパルプが付着している。以下、少量のパルプが付着したプラスチックをプラパルという。パルプ回収装置21に排出された廃液からは、パルプが回収され、パルプが回収された後の廃液は、高分子除去装置29によって高分子吸収体が除去される。高分子除去装置29によって高分子吸収体が除去された廃液は、浄化槽30に貯留される。
【0040】
パルプ回収装置21にて回収されたパルプは、リサイクル資源としてリサイクル資源貯留部31に運ばれ、保管される。また、浄化槽30に貯留された最終的な廃液は、し尿等の汚物成分が含まれたリサイクル資源となっており、リサイクル資源貯留部31にて貯留される。これらの、パルプや最終的な廃液は、リサイクル資源貯留部31に一旦貯留された後に、リサイクル資源搬送回収車32によりリサイクル資源として再利用される施設に搬送される。
【0041】
廃液が排出された後の内胴分離槽内には、固形物であるプラパル、その他が残り、これらのプラパル、その他は、分離機20が排出位置に傾斜して搬送台車17上に排出される。搬送台車17に排出されたプラパル、その他は、選別機22に投入される、選別機22に投入されたプラパル、その他は、温風にて乾燥される。選別機22にて乾燥されると、プラスチックの表面に付着しているパルプが剥がれ、プラスチックから剥がれたパルプは乾燥機22内で回収される。回収されたパルプは、リサイクル資源としてリサイクル資源貯留部31に貯留される。
【0042】
おむつステーション1内では、複数人の作業者が使用済み紙おむつ3を処理するための作業を行っている。受付では、集積された使用済み紙おむつ3内に、使用済み紙おむつ以外のものが含まれているか否かを検査する検査員、投入口14から回収ボックス15内に投入された使用済み紙おむつ3が分離機20にて分解処理可能か否かを確認する確認員、分離機20内に投入する処理液を調合し分離機20のメンテナンスを行う整備員、パルプ回収装置21、プラパル回収装置23から回収されたパルプをリサイクル資源貯留部31に貯留するためのリサイクル資源収集員がおむつステーション1内で24時間勤務している。
【0043】
おむつステーション1内で各種の作業を行う検査員、確認員、整備員、リサイクル資源収集員は、例えばシルバー人材として高齢者や、ユニバーサル雇用(登録商標 株式会社サムズ)として障害者を雇用することで、おむつステーション1を稼動することができる。また、交代性で勤務シフトを組むことで、一人の高齢者や障害者が勤務する時間を短くし、24時間休むことなくおむつステーション1を稼動することで、一般家庭や小規模保育所にて使用した使用済み紙おむつ3をいつでも廃棄処理することができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態のおむつステーション1によれば、所定の敷地2内に設置された使用済み紙おむつ3のおむつステーション1に、使用済み紙おむつ3を個々に持ち込むと、おむつステーション1内の回収部4により収集され、処理部5により処理されリサイクル資源が回収される。これにより、介護施設、病院等から廃棄される使用済み紙おむつ3を処理しリサイクル資源を回収できると共に、一般家庭、小規模保育施設等から廃棄される使用済み紙おむつ3もいつでも処理し、リサイクル資源を回収することが可能となる。
【0045】
また、一般家庭や小規模の保育施設で使用した使用済み紙おむつ3をおむつステーション1に持ち込むことで使用済み紙おむつ3を廃棄することができる。また、一般家庭や小規模の保育施設内に使用済み紙おむつ3を保管する期間が短くなるので、一般家庭や小規模の保育施設内での使用済み紙おむつ3による菌の増殖や臭気の問題を解決することができる。
【0046】
さらに、介護施設や病院等から廃棄される使用済み紙おむつ3を、使用済み紙おむつの収集・処理ステーションに持ち込むことにより、介護施設や病院内に保管場所を設置する必要がなくなり、使用済み紙おむつ3を早期に処理することが可能となる。
【0047】
さらに、おむつステーション1内で作業を行う作業者として、高齢者や障害者を雇用することで、高齢者や障害者の雇用を増やすことが可能となる。
【0048】
なお、上記実施の形態において、所定の敷地として一般道路7に隣接した土地に設けた例を示したが、おむつステーション1の設置場所として、自治会、町会等の近隣住民組織の敷地(公民館の敷地)、道の駅の敷地、スーパーマーケットや量販店の敷地、病院、介護施設等の敷地、コンビニエンスストア、ガソリンスタンドの敷地、高速道路のサービスエリアの敷地、下水処理場の敷地に設けても良い。おむつステーション1を設ける敷地は、おむつステーション1を利用する利用者にとって使用済み紙おむつ3を処理する手間を省くことができる場所であれば、いずれの場所に設置しても良い。
【0049】
また、上記実施の形態において、おむつステーション1の処理部5、廃液処理部6等の施設を敷地2の地上に設けた例を示したが、建屋12の地下に、処理部5、廃液処理部6等の施設を設けても良い。この場合、建屋12の地上部分に、新規な紙おむつを販売する売店や、使用済み紙おむつ3を廃棄するための回収袋の販売を行う売店等を設けても良い。また、敷地2の地下部分に処理部5や、廃液処理部6等の施設を設けて、地上部分を公園や公共施設に利用しても良い。
【0050】
また、上記実施の形態では、廃液処理部6では、浄化槽30に貯留された廃液をリサイクル資源としてメタン発酵の発酵原料や液体肥料として利用する例を示したが、浄化槽30内で薬剤やバクテリア等によって処理することで下水道に放流するようにしても良い。
【0051】
さらに、おむつステーション1は、使用済み紙おむつ3を処理し、リサイクル資源を回収する以外に、災害時の避難場所としても利用することができる。この場合、おむつステーションの屋上に太陽光発電設備を設けて、おむつステーション1内で使用する電力を発電させるとともに、雨水タンクを設けて雨水を貯留し、おむつステーション1内で使用する水を雨水で賄っても良い。このように、太陽光発電設備や雨水タンクを設けることで、災害時の電力、水道等のインフラが停止した際に、避難者へ電力や、水を供給することが可能となるとともに、公共のトイレとしての機能を発揮することができる。
【0052】
また、おむつステーション1に、使用済み紙おむつ3を持ち込むごとにポイントを付与し、一定のポイントが貯まると新規な紙おむつと交換できるようにしても良い。
【0053】
また、上記実施の形態における分離機20の内胴分離槽内に設けられて、内胴分離槽の回転によって使用済み紙おむつ3が掻き上げられる突起に、切断刃を設けても良い。内胴分離槽内の突起に切断刃を設けることにより、例えば使用済み紙おむつ3がビニール袋内に収納されていても切断刃によってビニール袋を破断することができる。また、紙おむつがパンツ型の場合でも、切断刃により使用済み紙おむつ3を破断することで、使用済み紙おむつ3を確実に分解処理することが可能となる。
【0054】
上述の通り、本発明の実施の形態を開示したが、当業者によって本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が請求項に含まれることが意図されている。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明に係る使用済み紙おむつの収集・処理ステーションは、使用済み紙おむつ以外に尿取りパッドや、下着ライナー等の使用済み衛生用品も処理することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 使用済み衛生用品の収集・処理ステーション(おむつステーション)
2 所定の敷地
3 使用済み紙おむつ
4 回収部
5 処理部
6 廃液処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の第1の態様は、個々に持ち込まれて収集された使用済み衛生用品を処理しリサイクル資源を回収する使用済み衛生用品の収集・処理ステーションであって、前記使用済み衛生用品の収集・処理ステーションは所定の敷地内に設置され、持ち込まれた前記使用済み衛生用品を収集する回収部と、前記回収部に収集された前記使用済み衛生用品を処理しリサイクル資源を回収する処理部と、前記処理部で処理されて前記リサイクル資源を回収した後の廃液を処理して下水道に排出する廃液処理部と、からなり、前記処理部は、前記回収部から取り出された前記使用済み衛生用品を、衛生用品を構成する素材に処理液により分離する分離機と、前記分離機内で固形物と分離された廃液中からパルプを回収するパルプ回収装置と、前記分離機内で廃液と分離された固形物からパルプとプラスチックを選別する選別機と、前記選別機によってパルプと選別されプラスチックが付着したプラパルを回収するプラパル回収装置と、を備えていることを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明の第の態様は、前記廃液処理部は、前記パルプ回収装置によってパルプが回収された後の廃液処理する浄化槽を有することを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個々に持ち込まれて収集された使用済み衛生用品(3)を処理しリサイクル資源を回収する使用済み衛生用品の収集・処理ステーション(1)であって、
前記使用済み衛生用品の収集・処理ステーション(1)は所定の敷地(2)内に設置され、
持ち込まれた前記使用済み衛生用品(3)を収集する回収部(4)と、
前記回収部(4)に収集された前記使用済み衛生用品(3)を処理しリサイクル資源を回収する処理部(5)と、
前記処理部(5)で処理されて前記リサイクル資源を回収した後の廃液を処理して下水道に排出する廃液処理部(6)と、からなり、
前記処理部(5)は、前記回収部(4)から取り出された前記使用済み衛生用品(3)を、衛生用品を構成する素材に処理液により分離する分離機(20)と、前記分離機(20)内で固形物と分離された廃液中からパルプを回収するパルプ回収装置(21)と、前記分離機(20)内で廃液と分離された固形物からパルプとプラスチックを選別する選別機(22)と、前記選別機(22)によってパルプと選別されプラスチックが付着したプラパルを回収するプラパル回収装置(23)と、を備えていることを特徴とする使用済み衛生用品の収集・処理ステーション(1)。
【請求項2】
前記回収部(4)は、持ち込まれた使用済み衛生用品(3)が投入される投入口(14)を有する回収ボックス(15)と、この回収ボックス(15)内に投入された使用済み衛生用品(3)を取り出して前記処理部(5)に送る取出送り装置(16)と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の使用済み衛生用品の収集・処理ステーション(1)。
【請求項3】
前記廃液処理部(6)は、前記パルプ回収装置(21)によってパルプが回収された後の廃液を処理する浄化槽(30)を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の使用済み衛生用品の収集・処理ステーション(1)。