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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144790
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】穀物乾燥調製機施設
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20120101AFI20231003BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051931
(22)【出願日】2022-03-28
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西野 栄治
(72)【発明者】
【氏名】岩井 通和
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 政司
(72)【発明者】
【氏名】清家 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】大家 生裕
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】荷受け穀物を自動で判別することが可能となり、乾燥~玄米タンクに至るまでの各機械のデータを自動で関連付けることが可能な穀物乾燥調製機施設のデータ利用や評価方法を提供する。
【解決手段】方法は、張込時の映像より、穀物を収容するコンテナと車両番号、張込時の時刻から穀物の識別番号を自動作成し、時系列で各機材のデータを取り出し、穀物の識別番号に自動登録し、あらかじめ登録された作業工程データと比較することで、穀物の価値を早期に算出することが可能となる。また取得したデータをサーバーに蓄積し、外部データを加え、データ共有することで精度の高い乾燥調製システムを構築する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥機への荷受部に設置する撮像手段により、荷受穀物を収容するコンテナに設けるコンテナ番号を読み取り、前記コンテナ番号と、前記コンテナを荷受した時刻とを組み合わせて荷受番号を作成し、
前記荷受番号に、乾燥機による乾燥運転のデータや、乾燥機で乾燥した後の調製機の調製運転データを時系列的に追加で登録して管理用データ群とし、
該管理用データ群により、前記コンテナ毎の穀物のデータを管理することを特徴とする乾燥調製システム。
【請求項2】
前記乾燥運転データや、前記調製運転データについて、予め標準とする作業工程データ(36A)をデータベースに格納し、
前記管理用データ群と作業工程データ(36A)を比較照合し、荷受した穀物の価値を算定することを特徴とする請求項1記載の乾燥調製システム。
【請求項3】
前記乾燥運転データや調製運転データを共通の情報処理用データに変換して、前記荷受番号に時系列で登録して管理用データ群を生成することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の乾燥調製システム。
【請求項4】
前記乾燥運転データとして乾燥機のコントローラから出力されるデータログと、調製運転データとして調製機のコントローラから出力されるデータログとを、データログ用読み込みソフトで読み込み、
前記データログの形式のままの乾燥運転データと調製運転データとを前記荷受番号に追加で登録して管理用データ群を生成することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の乾燥調製システム。
【請求項5】
管理用データ群の登録の認証システムをインターネット上の外部サーバーであるクラウドサーバー(121)と乾燥調製施設の統括端末(36)の両方に置き、
ユーザー端末の認証(103)、(104)、(105)や乾燥調製施設の定期データの送信(108)、(109)は統括端末(36)で行い、
荷受け番号に新規に取得した時系列ごとの共有データを、外部サーバーに登録する場合は、外部サーバーの認証システム(122)が作動し、認証された場合において、統括端末(36)からリクエストデータ送信(107)をユーザー端末に送り、
同時に(150)、(144)で外部サーバーにアクセスし共有データのリクエスト送信として他の端末にも送信し(145)、(146)情報共有することを特徴とする請求項1、2、3、4記載の乾燥調製システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物乾燥調製機施設のデータ利用や評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
穀物乾燥調製施設において、乾燥機、籾摺選別機、色彩選別機、食味計(登録商標)、玄米タンクへの排出の作業行程より自動でデータを取得しても、これに関する荷受け穀物との関係が手動入力であるため、データ管理が十分できない場合がある。この問題の背景には、自動で荷受け穀物を判別することができないことや、乾燥調製機においては各種メーカでデータ形式が異なることや、同じメーカでも新旧の機械でデータの互換性が薄くなっていることが要因として上げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-87274
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の従来技術では、荷受するときの生産者氏名、IDコード、荷受番号、サンプル籾の重量が一致するか否かを照合するという記載事項はあるが、そのデータの入力方法等については記載されていない。本発明においては、荷受けの穀物を識別するためのコンテナ番号、及び搬送する車両番号の登録データと、荷受けの時の映像データより、これらの識別を自動判定し、荷受けした時刻を同時に登録することで荷受けを自動判別する。
【0005】
また各乾燥調製機のデータは共通性が無い場合が多いが、各コントローラから発するデータログを読み取り、時系列的に登録することで、異常が発生した時等にこれらのデータログを読み出しすることができることで、対応の補助を可能とする。また共通データとして変換対応ができるデータにおいては、あらかじめ登録された作業行程データと比較することで、基準値に対しての評価を行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、次の技術手段により解決される。
【0007】
乾燥機への荷受部に設置する撮像手段により、荷受穀物を収容するコンテナに設けるコンテナ番号を読み取り、前記コンテナ番号と、前記コンテナを荷受した時刻とを組み合わせて荷受番号を作成し、荷受番号に、乾燥機による乾燥運転のデータや、乾燥機で乾燥した後の調製機の調製運転データを時系列的に追加で登録して管理用データ群とし、該管理用データ群により、前記コンテナ毎の穀物のデータを管理する。
【0008】
請求項2の発明は、次の技術手段により解決される。
【0009】
乾燥運転データや調製運転データについて、予め標準とする作業工程データ36Aをデータベースに格納し、管理用データ群と作業工程データ36Aを比較照合し、荷受した穀物の価値を算定する。
【0010】
請求項3の発明は、次の技術手段により解決される。
【0011】
乾燥運転データや調製運転データを共通の情報処理用データに変換して、荷受番号に時系列で登録して管理用データ群を生成することを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、次の技術手段により解決される。
【0013】
乾燥運転データとして乾燥機のコントローラから出力されるデータログと、調製運転データとして調製機のコントローラから出力されるデータログとを、データログ用読み込みソフトで読み込み、データログの形式のままの乾燥運転データと調製運転データとを荷受番号に追加で登録して管理用データ群を生成する。
【0014】
請求項5の発明は、次の技術手段により解決される。
【0015】
管理用データ群の登録の認証システムをインターネット上の外部サーバーであるクラウドサーバー121と乾燥調製施設の統括端末36の両方に置き、ユーザー端末の認証103、104、105や乾燥調製施設の定期データの送信108、109は統括端末36で行い、荷受け番号に新規に取得した時系列ごとの共有データを、外部サーバーに登録する場合は、外部サーバーの認証システム122が作動し、認証された場合において、統括端末36からリクエストデータ送信107をユーザー端末に送り、同時に150、144で外部サーバーにアクセスし共有データのリクエスト送信として他の端末にも送信し145、146情報共有する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明で、荷受け穀物を自動で判別することが可能となり、乾燥~玄米タンクに至るまでの各機械のデータを自動で関連付けられる。
【0017】
請求項2の発明で、標準の作業データと比較することで、荷受け穀物の品位が明確に判断でき、早期に穀物の価値を推定することが可能となる。
【0018】
請求項3と4の発明で、各メーカ間、新旧機種間を超えて、データの保管、分析が可能となる。データ形式が共通化されないものに関しても、その機械において時系列でデータログは出されており、このデータログを抽出し保管しておくことで、後に不具合が発生した場合は、この保管データを各機械メーカ等で分析を依頼することで、不具合原因を解明することも可能である。
【0019】
請求項5の発明により、最新のデータを追加することでデータ改正され、翌年度の基礎データをより適切な状態に保つことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態における、乾燥調製施設の模式図
図2】ユーザーの携帯端末とクラウドサーバー、WAGRIとのデータ通信図
図3】クラウドサーバー、統括端末への認証の流れとデータ通信図
図4】荷受け番号の作成図
図5】籾摺機の選別板の青米の分布状態図
図6】オープンAPI対応されたデータを荷受け番号に登録するデータ配置図
図7】オープンAPI対応されていないデータを荷受け番号に登録するデータ配置図
図8】作業工程データ36Aの活用事例
図9】本発明の実施の形態における、乾燥調製施設の荷受け模式図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に示す実施例に基づき本発明を説明する。
【0022】
図1に示す乾燥調製施設は、穀物用循環式乾燥機1(以下、乾燥機)、籾摺機2を配備し、穀物の荷受け、乾燥、籾摺り、選別、精米等を行う。乾燥機1は、穀物を貯留するタンク1Aを上方に備え、下方に乾燥室1Bを備え、この乾燥室の片側に燃焼部1C、乾燥室を通して反対側に送風ファン1Dを備え、穀物を乾燥室とタンク内で循環させるべく、上下に搬送装置を備え、この間をエレベータ1Eで連結している。エレベータには自動水分計1Fが装着しており定期的に循環中の穀物水分を測定する。
【0023】
籾摺機2は、回転式のゴムロールの回転差、あるいは遠心力を利用した衝撃により、乾燥籾の籾殻を脱桴させ、特殊穴を多数配備した選別板2Aの運動と風選により玄米と籾殻を選別する。
【0024】
以下、乾燥調製施設に配備する機材について簡潔に説明する。
【0025】
乾燥した籾を一時保管し、連続的に籾摺り作業を可能とする籾タンク3
玄米を選別網に通すことで、粒径の大きさで整粒、未熟粒等を選別する選別機4。
【0026】
選別された玄米の色を色別して異物除去を行う色彩選別機5。
【0027】
玄米を光分光の判別で食味度合いを評価する穀物用食味計(登録商標)6。
【0028】
選別した玄米を一時的に保管する玄米タンク7。
【0029】
玄米から表面の糠部を分離させ、白米とする精米機8。
【0030】
各機械を連結する搬送装置9や袋詰め機10、計量機器11。
【0031】
乾燥機のコントローラのデータを通信するオフラインコントローラ21
籾摺機のコントローラのデータを通信するオフラインコントローラ22
色彩選別機、食味計(登録商標)のデータを通信するオフラインコントローラ23
精米機のコントローラのデータを通信するオフラインコントローラ24
各オフラインコントローラからのデータを受ける中間端末として、乾燥機用の中間端末31と、籾摺機用の中間端末32と、精米機用の中間端末33と、トラクタ等の移動機のデータ用の中間端末34がある。
【0032】
またこれらの中間端末のデータを管理保管し、外部のデータ管理装置35とデータ送受信を行う総括端末36と、ユーザーの携帯端末37とを無線で通信するための通信装置38を備える。これらの機器の一部、あるいはすべてを有する乾燥調製施設における各機材の相互データの管理とシステム構成である。
【0033】
さらに図4のように乾燥調製施設へ穀物を搬入する場合の穀物40を収納するコンテナ41、荷受けの識別をするコンテナ番号42と、搬入車43の車両番号44の映像より番号を自動で判別する装置からのデータ45に、荷受けした時刻46を組み合わせて荷受け番号47を作成する。この荷受け番号47へ、乾燥機による乾燥運転のデータや、乾燥機で乾燥した後の調製機の調製運転データ、本発明では籾摺機、選別機、色彩選別機、食味計(登録商標)、精米機が該当するが、これらの取得データを時系列的に追加で登録して管理用データ群とし、該管理用データ群により、前記コンテナ毎の穀物のデータを管理することを特徴とする乾燥調製システムである。
【0034】
本発明の荷受け穀物を識別する番号の自動作成について説明する。
【0035】
搬入車43にコンテナ41を搭載した画像、あるいは搬入車43にフレキシブルコンベア搭載した画像を登録しておき、この画像と近似する物体を確認した場合、統括端末36内にある荷受けの番号検索システムが作動する。施設内にある音声装置より選択された乾燥機1へ誘導する。乾燥機エレベータ1Eに備えられたカメラ1Gにより、コンテナ番号42と、搬送用の車両番号45を読み取る。またこの荷受けした時刻46を組み合わせて荷受け番号47を作成し、以後の乾燥調製データを自動作成された荷受け番号47に時系列的に登録していくシステムである。
【0036】
番号作成の事例では、コンテナ番号 111、車両番号1212、荷受け時刻 2021年9月1日の13時の時 (202109011300)であれば、1111212202109011300が自動作成される仕組みである。
【0037】
コンテナ番号42は、コンテナ41や荷受けフレキシブルコンテナに個々につけられており、画像で番号認識するシステムやQRコード(登録商標)による識別も可能である。また搬送車43の車両番号45は、あらかじめユーザー名が登録されており、番号認識の際にユーザー名の照合等を行い、荷受けのミスがないか、あるいは登録データに対する変更がある場合は、変更データを受け付けるシステムを用意している。こうしたデータ変更する場合などは手動入力が必要であり、自動認識ができない場合の対応として、統括端末36から自分の氏名を検索して、あらかじめ登録された作業工程データ36Aを読みだすことで照合させて荷受け番号47を手動で作成するも可能とする。またコンテナ番号42は、ユーザー番号とし、カード番号をカードリーダーで読み込みする装置でも良い。
【0038】
本発明の登録された作業工程データ36の活用について説明する。
【0039】
乾燥調製施設の総括端末36には、荷受け番号47やユーザー情報が作業工程データ36Aに保管されているが、この作業行程データ36Aには、過去の作業データが登録されており、この過去作業データと比較することで、差分を分析し、早期に本年の穀物状態を分析することが可能となる。
【0040】
図8では作業工程データ36Aの活用事例を説明している。荷受け番号47の過去の作業工程の流れ、乾燥機の号機選択や設定、籾摺時に混合するか個別摺りにするか、精米作業をするか等の基本的な作業の流れが登録してあり、自動選択しておけば、このルートで作業が行われる。しかし穀物の品質が良好でない場合は、早期に業者米等で出荷した方が価格が良い場合もあり、この事例では穀物品質がやや悪く、個別の玄米出荷から作業工程変更が入った内容で説明している。例えば昨年の張込時の初期水分が20%であったものが、本年は25%あり荷受け時期も同等であるならば、高水分荷受けとして乾燥の燃料代への加算や穀物の青米が多い可能性があると判断し、品位判定を下方側にする等を即時に推測することが可能となる。この早期判定によって出荷形態を籾摺作業前に変更している。このように作業行程データ36Aに、作業形態を登録しておくことで、荷受けから玄米の袋つめ、精米まで最良の流れで作業することが可能である。特に乾燥速度、仕上がり水分、混ぜ合わせ可能コンテナ、籾摺の目合いと選別度合い、食味計(登録商標)による判別等の基礎データに合致するようにする流れなら作業を無人で行うことが可能となる。
【0041】
本発明の撮像データの活用について説明する。
【0042】
荷受けの確認が終了すると、安全センサー等の確認を行い自動で張込運転に入る。乾燥機の張込ホッパに張り込まれる穀物の状態をカメラ1Gで撮影する。張込中の穀物の状態を連続撮影し、映像の判別より青米量を推定する機能を有している。作業行程データ36Aに過去の映像データの青米量が登録されており、この映像と比較することで、過去の穀物データと比較することが可能であり、図8の流れのように張込時で穀物単価も推定することが可能である。
【0043】
カメラ1Gは、車両が立ち去ったことも確認でき、所定時間経過した時に自動で通風運転に入る行程も設定できる。なお自動で通風運転に入った乾燥機においては、カメラIGで再び車両を検出すると通風運転を停止し、張込運転に変更する。
【0044】
重量計測はコンテナごとに計測する。各乾燥機には重量測定装置1Hが備えられており、張込終了ごとに追加分を演算することが可能となっており、荷受けごとに時系列的に重量を登録していく。カメラIGにおいて、コンテナの大きさと張込具合から推定張込量を算出し、乾燥機重量計の計測重量と比較することで荷受け時のトラブルを防止することもできる。
【0045】
カメラ1Gで、ユーザーの顔を確認する機能を有しておれば、顔認識でデータ照合する機能を有することも可能である。あらかじめユーザーの顔は登録されており、ユーザー確認ができる場合は、手動による乾燥機の停止、乾燥の開始等も可能とする。自動運転による対応では、張込量以外は登録されたデータで設定される。乾燥温度を決定する張込量設定は重量測定装置1Hによる自動計測による設定とするが、不明な場合は中量設定で開始し、乾燥速度による補正制御とする。
【0046】
乾燥機エレベータ1Eのカメラ1Gは乾燥中も定期的に映像を撮影し、荷受け番号47へ自動登録することで、無人運転中での機材のトラブルや盗難防止への対応も行う。カメラ2Bは籾摺機の選別板の玄米の広がり具合を撮影するもので、選別板の傾き制御以外にも青米の含有量を映像判定し、穀物の品位を推定するデータとしても活用されるシステムであり、映像データと映像からの青米の推定含有量は荷受け番号47へ自動登録される。
【0047】
本発明の乾燥データ転送、管理システムについて説明する。
【0048】
各乾燥機にはオフラインコントローラ21が設定され、複数台ある乾燥機にはそれぞれのオフラインコントローラ番号が振られている。地区を超えたデータ管理や製造メーカが異なる場合もあるためこれらを考慮して、UUID(Universally Unique Identifier) 番号とする。
【0049】
一例を上げれば、製造メーカの番号に、型式番号、製造番号、オフラインコントローラ番号を組み合わせた番号とすることで唯一の番号となる。この機種番号の設定は、乾燥機以外の籾摺機、選別機、玄米タンク、色彩選別機、食味計(登録商標)などの機械にも同様な考え方で番号がふられ、オープンAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)によるデータ活用において唯一の番号となるため、機種データなどでの重複することはない。
【0050】
乾燥機のオフラインコントローラ21のデータは、Bluetoothによって中間端末31に情報が集められる。中間端末は、定期的、異常時発生時、乾燥開始終了時に自動で乾燥機のデータを携帯端末37に配信するシステムとなっている。配信内容等は、端末によって選択できる機能を有しており、施設内や各機械に備えられたカメラからの映像データの配信も可能である。中間端末31は、有線あるいはWi-Hi等の無線で統括端末36に繋がっており、その他の中間端末32、33、34のデータも確認できる。中間端末32、33、34においても中間端末31と同じ通信形態を取ることで、あらかじめ登録した作業工程データ36Aとの比較分析等を統括端末36によって行うことが可能である。
【0051】
また乾燥中の安全管理においては、各機械の安全センサーによるものである。個別機械の異常は、中間端末32、33、34より携帯端末37へデータ配信をするが、電源の異常や施設内全体に関する異常においては、統括端末36を介して携帯端末37へデータ配信する場合もある。一例では、施設内の空気圧差を測定する装置を有しており、所定値以上、施設内が減圧された場合は、施設内全体の空気不足と判断し、水分の低い乾燥機より順次乾燥を停止する。乾燥機を順次停止させ、基準値を上回ると乾燥機の運転停止を解除する機能を有するなどの機能を持っており、換気口のつまり等の対応を行うことを自動で対応すると同時に携帯端末37に即時配信することで異常時の対応を可能とする。
【0052】
乾燥機により設定した水分まで乾燥が進むと、乾燥機は自動停止する。あらかじめ登録された作業工程データ36Aより排出先を決定しておき、排出先に穀物が入っていないことをセンサーで確認し、乾燥終了後に自動排出する機能を有している。
【0053】
本発明の荷受け番号47の管理用データ群と作業工程データ36Aを分析する内容について説明する。
【0054】
乾燥調製システムにおいて、乾燥~籾摺選別、精米行程において、あらかじめ登録された作業工程データ36Aとユーザーの持ち込みコンテナ、あるいはフレキシブルコンベアのコンテナ番号42、車両番号45、荷受け時刻46の各番号で作成された荷受け番号47と作業行程データ36Aの照合を行い、今回の荷受けの作業行程を自動で選択する機能をもつ。
【0055】
乾燥機の荷受けにおける自動制御においては、一台の乾燥機に複数のコンテナを混ぜ合わすため、他のコンテナとの順番を自動で組み合わせする管理が必要である。あらかじめ登録された作業行程データ36Aにより、同じコンテナ番号42と車両番号45の荷受けは同一の乾燥機で行う設定の場合は、荷受けの段階で同じ乾燥機に荷受けするように施設内の音声装置の誘導が行われる。また何れかの乾燥機のタンクの空きを利用して、混ぜ合わせ乾燥が可能なものにおいては、荷受け重量や荷受け水分を荷受け番号47に登録することで、混ぜ合わせの乾燥も自動制御で可能とする。
【0056】
乾燥が終了に近づき、複数の乾燥機の仕上がり時刻の推定がついた場合、籾摺機2への投入や籾摺り用の籾タンク3への投入の順番についても作業工程データ36Aに登録された順番で行う。作業工程データ36Aで、優先して作業する荷受けが決められており、実際の作業の流れでは、乾燥終了が後になると推定されても、作業工程データ36Aを重視してその工程通りで乾燥機からの籾排出を行うものである。しかし実作業を優先した対応も可能であり、乾燥仕上がり順番で変更する設定となっている場合では、乾燥が仕上がる順番で排出するように自動制御する。乾燥機1が複数台あり、籾摺機2がその台数よりも少ない場合が多く、この順番の自動化を行うことで無人化や省力化を行うことが可能となる。
【0057】
また乾燥後の籾を混ぜ合わせても問題のないものを一つのグループとして、グループ集合を自動作成し、そのグループの仕上がり順番に籾摺機2への順位を決めることも可能である。グループ集合を自動作成の場合、大口のグループができる場合は、夜間を利用した籾摺り作業も可能であり、籾タンク3→籾摺機2・選別機4→玄米タンク7の工程に変更する自動制御も可能とする。また小口グループでまとめる場合では、玄米タンクへの排出を見送り、日中の袋つめ工程を選択することも自動制御で判断するなど、登録された作業工程データ36Aの優先順位を、作業効率を基準にして自動選択する人口知能機能を織り込んだ制御とするも可能である。
【0058】
こうした施設全体の作業工程は、統括端末36から携帯端末37にメール配信され、ユーザーの承認を得てから作動を開始する機能も有している。特にあらかじめ登録された作業行程データ36Aの優先順位が低いものを選択するようになった場合は、ユーザー承認がなければ自動作業しないようにすることで、自動運転のトラブルを防止することが可能である。この機能によって玄米の袋つめ作業時刻に合わせてユーザーが施設内に戻ることも可能であり、各乾燥の終了や排出の推定時刻、籾摺機の作業状態を配信し、ユーザー承認を外部から行えることで省力化を行うことができる。
【0059】
このように管理用データ群と作業工程36Aのデータ分析を自動で行うことで作業の最適化、省力化を可能とする。
【0060】
籾摺機の携帯端末へのデータ転送システム
乾燥機における乾燥データを携帯端末に送信するシステムの技術は広く知られているが、籾摺機2においても籾摺機の後に選別機3を連結したものにおいて、選別機3のデータを取り込み籾摺機2に備えられたオフラインコントローラで、Bluetoothを利用して中間端末32へ送信する機能を有している。中間端末32より籾摺・選別機の情報は携帯端末37に定期的、作業開始終了時あるいは緊急時にメール発信する。また中間端末32は総括端末36と相互通信しており、籾摺・選別のデータは総括端末36へ転送され登録される。代表的なデータとしては、以下のものが上げられる。
・初期の電圧測定値と、籾摺りの開始時刻と終了時刻
・所定時間ごとの能率
・累積処理量
・選別板角度、風選の風量の設定値
・エラー情報を送信する
これらの籾摺機のデータは、荷受け番号47にデータ登録する。
【0061】
データ活用としては、所定時間ごとの能率を確認することによって、籾摺機の供給量等の調整を遠隔操作で対応する。エラー情報はエラー内容ごとに、データ送信の可否の選択ができるようになっており、緊急性の高いエラーの場合は、即時に携帯端末37に情報を発信する。選別機4と籾タンク3は、籾摺機2と情報連動しており有線、無線のどちらとも構成可能であり籾摺機のデータとして取り込む。選別機4は、籾摺機2の計測器という位置づけであり、選別機の能率が籾摺機の性能として登録される。未熟米の量も重量測定する構成であり、整粒との重量比率を籾摺データとする。
【0062】
本発明の籾摺機での青米量を利用した穀物の品位評価について説明する。
【0063】
図5のように籾摺機の選別板2Aの状態を確認するためのカメラ2Bを設置し、選別板2Aの青米の範囲を感知する方法もある。青米の範囲より青米含有量を推定算出する。先述の未熟米量は青米含有量と相関関係があるため、未熟米の重量測定が無い構成では、この映像データより推定未熟米量を算出することが可能である。この青米量を作業工程データ36Aにある過去データと比較することで、過去の青米量と穀物の単価の関係より、穀物単価を推定判断する。これによって、籾摺の段階で、穀物品位を推定することが可能であり、図8のような評価対応が可能となる。
【0064】
なお大きな施設では、籾摺機も複数台設置している場合もあり、乾燥調製システムにおいては籾摺り作業が流れを決める場合が多く、籾摺機の作業工程に合わせて乾燥機の仕上がり穀物の排出順番を変更する自動制御方法もある。一例では、荷受けユーザーが複数名あり、通常であれば乾燥終了の順番に、別々の籾摺機で対応するが、特定ユーザーの出荷を急ぐ場合では複数台の籾摺機を利用して、該当ユーザーの荷受け穀物を分配して籾摺りする工程変更も可能である。
【0065】
籾タンク3の籾の有無をセンサーで確認し、籾摺機のオフラインコントローラ22から籾摺機の中間端末32へ情報送信するシステムを備えれば、乾燥収量後の籾を自動排出でき、また籾タンクにある荷受け番号47が明確であるため混ぜ合わせのトラブルもなく、工程変更の場合は総括端末36より自動変更することが容易となる。
【0066】
籾摺りの能率の得点化について説明する。
【0067】
籾摺の能率を、品質の良さの指標としてデータ化する。それぞれの機械の基本能率に対して、相対的に現在の能率がどれだけ高いかを判定する仕組みである。一例では、機械の基本能率が40俵/時であれば、実際の籾摺りした能率が44俵/時出ていれば10%増しの性能である。指標として、-15%以下は不良、-15~10%はやや不良、-9~+4は標準、+5~7%はやや良好、8%以上は良好という基準を設定してあり、この事例では良好と判断される。同時に籾が摺りやすいことは、水分差も小さく、穀物表面の肌ずれも少なく、また未熟米も少なく、品位は良好と推定するものである。
【0068】
またこれらの評価には補正も必要である。籾摺機においては、品種によって摺りやすさと摺りにくさがある。籾摺の能力として、データ分析においては、品種による基準を設け、実際の性能に対して、品種による補正率をかけて能率評価する方法もある。摺りやすい品種は98%、摺りにくい品種は102%とする等の補正率を設ける。
【0069】
地域よる基準を設け、実際の性能に対して、補正率をかけて能率評価する方法もある。これは水温や土壌の差によるものであり、品種以外の指標として補正する。
【0070】
刈り取り時期による基準を設け、実際の性能に対して、補正率をかけて能率評価する方法もある。早稲は水分差が大きく、能率が上がらない場合も多く、刈り取り時期が早いものは補正率を高くする。
【0071】
籾の穀温基準を設け、実際の性能に対して、この穀温による補正率をかけて穀物評価する方法がある。穀温が高いと表面が柔らかく、肌ずれの可能性が高くなる。そのため能率を落として作業する場合もあり、低めの能率を基準とする補正を行う。
【0072】
穀物評価として、玄米の食味計(登録商標)評価得点に、上記の籾摺能率の得点も加味して評価するとより情報量の多い評価となる。
【0073】
青米の得点化方法について説明する。
【0074】
乾燥機1において、張込時に水分計1Fで連続的に測定し、水分ばらつきを検出する。基準の水分偏差があり、所定値以上の上側の偏差を超えるものを青米扱いとする。この水分計1Fの青米評価とコンテナの画像による青米評価の両方で重みをつけて青米含有量を評価する評価方法である。「実入りはあるが水分の高いもの」「実入りはなく、水分の高いもの」がある。コンテナ映像での青米量が多く、乾燥機の水分値では青米量が低い場合は、未熟粒が多いと判断し、より評価点を下げる。逆にコンテナ映像の青米量が多く、乾燥機の水分値での青米量が高い場合は実入りのある青米が多いとして評価点は大きく低下させないようにする。
【0075】
本発明の共通の情報処理用データに変換する対応について説明する。
【0076】
共通の情報処理用データに変換とは、オープンAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)で対応されたデータのことである。
【0077】
施設関係の機材にもなると、各社の機械があり、同メーカであっても機種違いや生産時期の違いでコントローラから発するデータ形式やデータ配列が異なっており、同じ読み出しソフトでは、データ変換することは困難である。こうした中で共通データとして対応しているオープンAPIデータと、対応されていないデータの処理の仕方について説明する。
【0078】
共通データとして公開されたデータは、図6のようにCSVデータファイルとして、そのデータの項目と配列が明確になっている。そのため中間端末31、あるいは統括端末36において専用ソフトにてCSVファイルより所定のデータを切り出し専用ソフトで、項目や配列別で自動成形する。また機械によっては、その機械における専用読み出しソフトがあり、これによってCSV出力されるものも存在するため、このデータから所定のデータを切り出し専用ソフトで成形することも可能である。
【0079】
これらのデータは、各機械から一方的にデータが出力されるものであり、双方対応によるデータ処理ではない。いわゆる垂れ流しデータである。したがって受け取り側の専用ソフトとして、データが発信される都度でデータを取り込み、データ成形し、その時刻をスタンプして登録するシステムが必要である。
【0080】
このスタンプとして、荷受け番号47のデータ内に自動で時刻を打刻し、ユーザーがテキストデータの追加し登録する機能を持たせる。一般的には、データ取得完了後にCVSデータファイルを専用ソフトで成形する方法をとるが、施設での作業工程は1サイクルの時間が長く、尚且つ複数台の機械のデータを横並びに分析する必要があるため、リアルタイムで取得データ内にユーザーが書き込む必要がある。スタンプ機能として、読み込みファイルと登録ファイルの2種を設けるなどの手段もあり、その電子データの処理においては既存技術の利用とする。またテキストデータをあらかじめスタンプとして幾種類か登録しておき、これを選択してスタンプするのが容易である。事例としては、「良好」、「穀物問題あり」、「機械問題あり」、「データ確認必要」、「作業遅れ気味」等のスタンプがある。所定時刻内にユーザーのスタンプ対応が無い場合は、取得データの時刻を自動スタンプしたのみとする。またCSVデータのみならず、乾燥機、籾摺機に備えたカメラの映像データもあり、同スタンプ機能の中に映像データにおいても取得時刻に関連する映像を同時に関連づけで登録する機能を有している。いずれのデータも荷受け番号47にオープンAPI情報が登録されることで、製造メーカ間を超えてデータ処理が行われ統括端末36でデータ管理ができるシステムである。
【0081】
本発明の共通の情報処理用データに変換されてないデータの処理について説明する。
【0082】
いわゆるオープンAPI化されていないもので、大きく2大別される。図7のA項目のように、CSV出力はされているがデータ項目、データ順番が不明なものと、B項目のようにデータログでしか取り出しできないものがある。いずれも専用ソフトでは成形することは困難である。しかしこのデータは、各機械メーカでは解読可能なものである。したがって安全対応として、その場でのデータ内容は不明ながらも、その時刻に該当するデータを所得し、自動で時刻をスタンプし、データを登録する。こうしたことで、後に不具合が発生した場合は、該当のCSVデータやデータログをメーカにて解読していただくことで不具合を究明することも可能となる。いずれのデータも荷受け番号47にオープンAPI化されていない情報もそのデータ形式のまま登録することで、統括端末36でデータ管理し、データ検証しなければならない場合に容易に検索できることに利点がある。
【0083】
この機能は、乾燥調製施設のデータ管理に留まらず、トラクタ、田植え機、コンバイン、管理機等の移動機のデータ処理法としても利用できる。移動機の中間端末34よりデータを取り出すことで対応する。しかし機種が異なると、さらにデータの統一化は困難である。こういった場合では、本発明の内容にしたがってオープンAPI化されていないデータも取り込んでおき、荷受け番号47に関連づけられ検索できるという点は後に有効となる。最終商品となる穀物から機械データを検索できるというシステムであるため、穀物が品位不良の場合は、関連する機械のデータをすべて検索し、耕運、代掻き、育苗、植え付け、施肥、消毒、刈取、乾燥、籾摺り等の機械データから分析が可能となる。多くの営農集団では乾燥調製施設でその他の機械管理、データ管理する場合も多く、乾燥調製施設のデータ管理の一環で対応するも可能である。
【0084】
乾燥調製施設での営農管理について説明する。
【0085】
各種の農業機械でコントローラを有し、機械の動作をデータログとして残す前述の機能を持つものにおいて、営農専用ソフト36Bでデータログを読み出し、時系列で登録するシステムについて説明する。この機能により、乾燥調製施設を利用して各種の農業機械の管理を行う。農業機械では異なるメーカや新旧の機種があり、データの共通管理は困難であるが、各機械が持つデータログを残すことで不具合発生時では解明の足がかりとなる場合があり、営農管理として乾燥調製施設で管理することを可能とする。これにより最終的な生産物となる穀物の出来栄えから問題を解明することで、翌年の対応を検討することが可能となる。
【0086】
定置にある乾燥調製施設では、圃場との距離感覚が確認しやすい環境にある。各移動機にはGPS等が装備され位置情報の確認ができやすい。しかし個々の移動機では、その他の移動機をはじめ多くのデータ分析や管理はできない。よって中心位置となる乾燥調製施設から必要データを配信することで、作業の合理化を推進することが可能である。営農管理ソフト36Bにおいて、ユーザー別で生産物の情報を管理できるシステムにおいて、データ蓄積を行う。「田植えをした時期と圃場場所」、「昨年に消毒した時期と圃場場所」、「刈り取りした時期と圃場場所」、「乾燥した時期と圃場場所」等で今年の月日と整合させ、実施時期に遅れ等がないことを確認し、これらを携帯端末37に送信することで作業者の作業もれや穀物生産者への対応も可能となる。
【0087】
農業データ連携基盤「WAGRI」からの情報と人口知能を用いれば、田植え等の前段の工程が遅れた場合は、その後の工程が遅れた場合における乾燥調製を含めた計画の立て直しの計算もでき、リスク等も想定することが可能となる。一例としては、天候等の条件は例年と同等であるデータ分析が出た場合では、田植えの時期が遅れた場合で、刈り取り時期は例年と同じ時期に対応する必要が生じた場合、過去のユーザーごとの評価情報の蓄積より、AIにより収量を推定させることができる。
・籾の搬入状態は、高水分となり、乾燥における灯油代がいくら増加するか。
・青米の増加量を推定し、籾摺歩留まりはどのくらいになり、例年らかの損失はどのくらいか。
・食味値がどのくらいの値となるか。
等の情報を算出して、推定評価を出すことも可能である。
【0088】
基準となる出来高算出額をもとにユーザーへの支払い金額も算出でき、毎年のデータをもとに、早期の段階でユーザーへの支払い金額の推測値を算出することで営農管理することができる。
【0089】
圃場データ評価への展開について説明する。
【0090】
荷受け番号47登録されたものが、作業行程データ36へリンクし、圃場データとしても管理する。圃場データでは、農産物の生産高と、これにかかる生産材データとして「苗」、「施肥量」、「消毒費用」、「人件費」、「運搬費」、「燃料費」などがリンクされる。これらより、一人あたりの生産費を算出し、人ごとの儲け内容と、圃場ごとの儲けを算出することができる。
【0091】
これとは別にユーザー別の儲けも算出する。生産者、施設管理者、圃場の各項目での儲けを算出できる。これらの算出データをメーカの管理データ等に照合させることで、全国的なレベルとの差異を確認し、またデータ管理者として適切な指標を提出できるデータ管理システムを構築する。
【0092】
圃場別の収益データ管理において、穀物の不良か、天候などの条件不良か、人による管理不良か、農業機械の効率化不良かを算出して出すことも可能である。天候不良、穀物不良などの統制できない項目を外し、人や機械等で改善できる項目にし、改善案としてデータ表示する。
【0093】
乾燥調製の複数配備について図9で説明する。
【0094】
前述に記載した乾燥機は、映像用のカメラと重量測定できる機能を有しており、これをすべての乾燥機に配備すれば高額な設備となる。そのため乾燥機を機能別に配備するシステムとする安価な設備にする場合を説明する。
【0095】
乾燥機は、カメラ1Gと重量計1Hを配備したものを1次乾燥機として、荷受けを主体とする乾燥機とする。2次乾燥機は中間水分までの乾燥を行う、いわゆる半乾用の乾燥機とする。3次乾燥機は本乾燥用の乾燥機で完全乾燥するものである。2と3次乾燥機にはカメラ1Gと重量計1Hの装備はないが、オフラインコントローラ21は有しておりデータ通信は可能である。この配備の施設では、荷受けの重量は測定可能であるが、乾燥終了時の仕上がり重量データは計測することはできない。乾燥終了時の仕上がり重量データは、乾燥機の水分計1Fの水分変化量と初期重量からの演算値となる。
【0096】
各乾燥機は統括端末36で作動も可能であるが、相互間のエラーについては、直接エラーを連携先の乾燥機に送ることで事故防止する。各乾燥機間の穀物の搬送による異常の場合は、双方の乾燥機を自動で緊急停止し、異常の即時対応として、統括端末36、中間端末31,32,33に送られる異常データをユーザーが有する携帯端末37にも送信する。
【0097】
搬送エラーの自動回復機能では、排出シャッターが開かない等のシャッター開閉異常においては、ユーザーの携帯端末からの操作を可能とし、リトライすることを可能とした。また、排出シャッターが開かない等のシャッター開閉異常ではなく、モータ過負荷や籾つまり等が確認された場合は、排出シャッターの閉めを自動で行う。ユーザーの携帯端末に、排出から張込に切り替えを可否とするかの連絡を行い、許可された場合は、張込モードに自動で移行する。遠隔操作によって、排出や張込作業を変更する場合は、乾燥機の異常ブザーを発して現場にいる作業者への警告を行う。
【0098】
乾燥機の搬送系のトラブルにおいて、排出モードで詰まり、張込モードで復旧できた場合において、搬送系の能力不足や電動系の劣化が想定される。この場合、搬送能力を変更する必要がある。こうしたエラー排出能力の変更を自動で行うか、あるいは遠隔で操作できることを可能とし対応する。
【0099】
乾燥機の台数や容量においては、3次受け用は2次受け用と同じかそれより多い台数とする。3次受けの乾燥機の容量は、2次受けの乾燥機の容量と同じか、あるいは少ない容量とする。1次乾燥機は、高速循環、高速排出を可能とし、1循環の間に泥状の塵埃除去、表面水分除去、粃除去を行う。初期サンプルで食味計(登録商標)と連携し食味判断できる機能も可能である。この1次乾燥機で食味分析できたものにおいては、2次乾燥機への搬送を自動とし、区分けするシステムとなっている。「水分による分配」、「食味計(登録商標)のタンパク含有量」によって2次乾燥機への分配を行う。
【0100】
2次乾燥においては、半乾燥を目的として、3次乾燥機が空になっており張込が可能な状態であるか、あるは所定値水分以下になるまで乾燥を行う。3次乾燥機が空いていない場合は、3次乾燥機が空になるまでの間、2次乾燥機で乾燥させる。また2次乾燥機で仕上げ乾燥を行い、3次乾燥機を放冷タンクとして使用する方法もある。この場合、乾燥機であることを有効利用して、3次乾燥機においては、通風しないで穀物循環させる制御とする。3次乾燥機を利用した放冷システムにおいて、穀物の温度を計測できるようにしてあり、この温度表示を行うとともに、所定温度に達すると循環運転を停止する。
【0101】
農業データ連携基盤「WAGRI」のデータの取り込みについて説明する。
【0102】
前述までの乾燥調製システムのデータ管理において、外部データを取り込み、施設内データを追加登録することで、さらに情報量を拡大した営農管理データとして構築していくことが可能となる。図2はこれを示すものである。
【0103】
外部データとしては、前述の農業データ連携基盤「WAGRI」61がある。WAGRI61のプラットフォームでは、気象情報、農地情報、地図情報、生育予測、土壌情報等のデータベースがあり、過去のデータも検索することが可能である。これらのデータはアプリケーションプログラミングインターフェース「API」の形式で提供される。これらのデータ形式、データ配列に適合した読み込み変換アプリケーションによりデータを相互に取り入れる。このデータ変換し、データの相互活用においてはICTベンダ62,63,64で対応することも可能である。
【0104】
一例では、乾燥調製施設71は、乾燥機から精米までの作業を行う施設である。また乾燥調製施設72は、乾燥機から籾摺りまでの作業を行う施設であるが、整地、田植え、刈取という稲作作業も一貫で行う総合的な営農施設である。図2ではトラクタ72A、72Bより情報を取り込んでいる様子を示している。
【0105】
どちらの施設もクラウドサーバー121を通して、WAGRI61へ共用するデータを送信している。図2図3ではクラウドサーバーで定義しているが、外部のデータ管理部であり、通信会社のレンタルサーバーや農機メーカのサーバーでも良い。
【0106】
この共有できる外部データは、ICTベンダ62,63,64のプログラムを通じて、登録ユーザーが情報を取り出すことが可能である。これによって71の施設では、耕運から刈取に至る一般的な情報を手に入れることができる。また72の施設では、精米データや米の販売データを入手できる。ユーザー端末の66、67、68、69は、それぞれの施設の全データは各施設の統括端末よりデータを得ながらも、ICTベンダの情報より共通データを活用することができる。
【0107】
気象情報と農地情報の取り組みでは、WAGRI61より、外気温度、湿度、天候等の情報を取得し、荷受け番号47にデータを登録する。信頼性の高いデータであるため、荷受けデータにWAGRI61からの取得データとして登録することで、商品価値の高い生産物となる。これらは販売時のバックデータとして利用することも可能である。また気象情報は小さなエリアでは異なる場合もあるため、ユーザーが変更することも可能とする。この場合、該当メンバーに承認、確認するシステムが必要となる。刈取時の天候では気象データでは晴れであっても、圃場周辺では雨も降る時があり、こうした違いを複数名のメンバーと確認しデータ登録する。
【0108】
また現地施設のデータとして資材情報がある。苗、肥料、消毒材、運搬費、作業燃料費を管理者が入力する項目としているが、これらのデータを施設内の共有データとして登録し、外部からのデータ確認により承認するシステムを持つことで安全な運営を行える。さらに大きなエリアで対応する場合では、WAGRIのデータデースを利用して資材費の管理、承認することも可能となる。
【0109】
なお資材情報は、各資材の総費用であるため、トータル費用を圃場の大きさで自動分配する。あるいは、穀物の取れ高で自動分配でき、これらも承認システムの中で実施される。人件費においては、トラクタ、田植機、コンバインはGPSを装着しており、位置関係と作業時間が明確にわかるようになっている。作業時間データより各圃場における資材費と人件費を分配して、各圃場の生産材費用として算出する。データを活用することで、単位面積あたりの作業時間のかかる圃場の検出や、作業員の作業能率も算出することができる。
【0110】
本発明の認証システムについて図3で説明する。
【0111】
施設のデータ管理している統括端末36には、簡易な認証システム101を設定する。ユーザーの携帯端末102からのログイン103により通信会社において通信可能な端末であるかの確認を行う。このログイン情報は認証照合104となり認証システム101と照合を行う。この照合が取れない以上、携帯端末102からのデータ読み出しや書き換え等の作業はできない。認証確認できた場合は、認証照合105で携帯端末102の認証を終えデータリクエスト106の受付を許可する。統括端末36はリクエストデータを検索し、リクエストデータ送信107を行う。このデータの送受信により携帯端末102は、統括端末36のデータの読み書きを外部から行うことが可能である。
【0112】
乾燥調製システムであらかじめ定期的に送信するデータは、定期 異常時データ送信108で統括データから送信される。定期データは中間端末31からも送信されるが、このデータは籾摺機や精米機等のデータも含めた統括した定期データである。このデータは通信会社111によって、定期 異常時データ送信109で、携帯端末102にメールで送信される。
【0113】
次に前述で記載した共有データの読み書きについて説明する。共有データはクラウドサーバー121に登録されている。このクラウドサーバー121は、農機メーカが所有しユーザーの農機情報の共有データの登録としたサーバーや、通信会社がユーザー向けに貸し出すレンタルサーバーでも良い。このサーバーには認証システムが備えられている。一例を上げればシステムとしてはOAuthシステムが上げられる。OAuthシステム122では簡易なパスワードシステムで認証するシステムであり、このパスワード発行に相当するものではトークンを利用するものである。
【0114】
認証確認のため、トークン発行124を行う。通信会社には認証確認123を備えており、トークン認証125と トークン保管を実行し、ユーザーの携帯端末102へクラウドアクセスの認証作業128を行う。認証確認としてユーザインターフェイス127画面にてユーザーの情報入力を行う。通信会社が情報入力を確認できた場合は、保管されたトークン126を付与してトークン確認129にてOAuthシステム122に発行トークンの認証を行いデータ発行指示131を行う。これの認証がとれた状態に限り、クラウドサーバーのデータの読み書き、総括端末38の重要データの更新を可能とする。
【0115】
認証確認が終わると、共有データリクエスト143、144でクラウドサーバーにアクセスする。これらの作業で単純にデータ検索するのみである場合は、リクエスト送信145、146の流れでデータを携帯端末102に送信する。しかし前述で記載したように、地区における気象データの変更や、苗、肥料、消毒材、運搬費、作業燃料費を管理者が入力する項目としているが、これらのデータを施設内の共有データとして登録し、外部からのデータ確認により承認する場合ではリクエスト送信は149の流れをとり、統括端末36のデータの読み書きに対応する。変更されたデータは共有データリクエスト150、144にて再度、クラウドサーバーへの照合が行われ、リクエストデータ送信145、146の流れで携帯端末に情報が送信される。この一連のクラウドアクセスは、他に携帯端末にも送信され、メンバー間で情報共有され、共有データの登録、変更がされることが事前に案内されることになる。その後は、他の端末がそれぞれ認証システムに入り、クラウドサーバーの変更点を確認し、承認を行うことで共有データの登録、変更が可能となる。
【符号の説明】
【0116】
1 乾燥機
1G カメラ(乾燥機荷受け)
2 籾摺機
2A 選別板
2B カメラ(籾摺機選別板)
31 中間端末
29 水分計
31 外気温度センサー
36 統括端末
36A 作業行程データ
42 コンテナ番号
47 荷受け番号
61 WAGRI
121 クラウドサーバー
122 認証システム OAuth トークン発行
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9