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特開2023-144823情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144823
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20231003BHJP
   G16H 80/00 20180101ALI20231003BHJP
【FI】
G16H50/30
G16H80/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051982
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】柏本 幸俊
(72)【発明者】
【氏名】酒井 智弘
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】ユーザの向社会的行動を促進させる。
【解決手段】情報処理装置2は、ユーザから、効力感情報と価値情報とを取得する取得部231と、効力感情報に基づいて効力感スコアを算出し、価値情報に基づいて価値スコアを算出する第1算出部232と、効力感スコアと、予め定められた効力感係数とを乗算することにより、効力感有効度を算出し、価値スコアと、予め定められた価値係数とを乗算することにより、価値有効度を算出する第2算出部233と、効力感有効度と、価値有効度とを比較することにより、効力感メッセージと、価値メッセージとのうちのいずれかのメッセージを送信するかを決定する決定部234と、決定部234が決定したメッセージをユーザに送信する送信部235と、を有する。
【選択図】図2


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザから、前記ユーザの自己効力感の度合いを特定するための効力感情報と、前記ユーザの社会的価値の度合いを特定するための価値情報とを取得する取得部と、
前記効力感情報に基づいて自己効力感の度合いを示す効力感スコアを算出し、前記価値情報に基づいて社会的価値の度合いを示す価値スコアを算出する第1算出部と、
前記効力感スコアと、予め定められた効力感係数とを乗算することにより、自己効力感と向社会的行動との結びつきの強さを示す効力感有効度を算出し、前記価値スコアと、予め定められた価値係数とを乗算することにより、社会的価値と向社会的行動との結びつきの強さを示す価値有効度を算出する第2算出部と、
前記効力感有効度と、前記価値有効度とを比較することにより、自己効力感と向社会的行動との結びつきが強いユーザに対して自己効力感を刺激するための効力感メッセージと、社会的価値と向社会的行動との結びつきが強いユーザに対して社会的価値を刺激するための価値メッセージとのうちのいずれかのメッセージを送信するかを決定する決定部と、
前記決定部が決定した前記メッセージを前記ユーザに送信する送信部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記送信部が所定の期間にメッセージを送信する送信回数が予め定められており、
前記決定部は、前記効力感有効度と、前記価値有効度とを比較することにより、前記送信回数における前記効力感メッセージを送信する回数と前記価値メッセージを送信する回数とを決定し、
前記送信部は、前記所定の期間において、前記決定部が決定した回数の前記効力感メッセージと前記価値メッセージとを送信する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記効力感情報は、自己効力感の度合いを特定するための複数の質問が設けられた効力感アンケートの結果を示す情報であり、
前記価値情報は、社会的価値の度合いを特定するための複数の設問が設けられた価値アンケートの結果を示す情報であり、
前記決定部は、前記効力感アンケートにおいて前記ユーザが回答しなかった質問の数と、前記価値アンケートにおいて前記ユーザが回答しなかった質問の数とを合計した未回答数に基づいて、自己効力感を上昇させるための上昇メッセージの送信回数をさらに決定し、
前記送信部は、前記所定の期間において、前記決定部が決定した回数の前記効力感メッセージと前記価値メッセージと前記上昇メッセージとを送信する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記取得部は、所定の期間が経過するごとに、前記効力感情報と、前記価値情報と、前記ユーザの向社会的行動の度合いを特定するための行動情報とを含むデータセットを取得し、
前記第1算出部は、前記取得部が前記データセットを取得するごとに、前記効力感スコアと、前記価値スコアと、前記行動情報に基づく向社会的行動の度合いを示す行動スコアとを算出し、
前記第2算出部が用いる前記効力感係数を、前記第2算出部が前記効力感有効度を算出するごとに異なる値に設定し、前記第2算出部が用いる前記価値係数を、前記第2算出部が前記価値有効度を算出するごとに異なる値に設定する設定部と、
前記設定部が設定した各効力感係数と前記取得部が取得した各データセットに含まれる前記行動情報に基づく前記行動スコアとの関係に基づいて、前記行動スコアが最大になる前記効力感係数の値を特定する第1特定部と、
前記設定部が設定した各価値係数と前記取得部が取得した各データセットに含まれる前記行動情報に基づく前記行動スコアとの関係に基づいて、前記行動スコアが最大になる前記価値係数の値を特定する第2特定部と、
前記効力感係数を前記第1特定部が特定した値に更新し、前記価値係数を前記第2特定部が特定した値に更新する更新部と、
をさらに有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記効力感情報は、自己効力感の度合いを特定するための複数の質問が設けられた効力感アンケートの結果を示す情報であり、
前記価値情報は、社会的価値の度合いを特定するための複数の設問が設けられた価値アンケートの結果を示す情報であり、
前記第1算出部は、前記効力感アンケートの結果を統計することにより前記効力感スコアを算出し、前記価値アンケートの結果を統計することにより前記価値スコアを算出する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータが実行する、
ユーザから、前記ユーザの自己効力感の度合いを特定するための効力感情報と、前記ユーザの社会的価値の度合いを特定するための価値情報とを取得するステップと、
前記効力感情報に基づいて自己効力感の度合いを示す効力感スコアを算出するステップと、
前記価値情報に基づいて社会的価値の度合いを示す価値スコアを算出するステップと、
前記効力感スコアと、予め定められた効力感係数とを乗算することにより、自己効力感と向社会的行動との結びつきの強さを示す効力感有効度を算出するステップと、
前記価値スコアと、予め定められた価値係数とを乗算することにより、社会的価値と向社会的行動との結びつきの強さを示す価値有効度を算出するステップと、
前記効力感有効度と、前記価値有効度とを比較することにより、自己効力感と向社会的行動との結びつきが強いユーザに対して自己効力感を刺激するための効力感メッセージと、社会的価値と向社会的行動との結びつきが強いユーザに対して社会的価値を刺激するための価値メッセージとのうちのいずれかのメッセージを送信するかを決定するステップと、
決定した前記メッセージを前記ユーザに送信するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータを、
ユーザから、前記ユーザの自己効力感の度合いを特定するための効力感情報と、前記ユーザの社会的価値の度合いを特定するための価値情報とを取得する取得部、
前記効力感情報に基づいて自己効力感の度合いを示す効力感スコアを算出し、前記価値情報に基づいて社会的価値の度合いを示す価値スコアを算出する第1算出部、
前記効力感スコアと、予め定められた効力感係数とを乗算することにより、自己効力感と向社会的行動との結びつきの強さを示す効力感有効度を算出し、前記価値スコアと、予め定められた価値係数とを乗算することにより、社会的価値と向社会的行動との結びつきの強さを示す価値有効度を算出する第2算出部、
前記効力感有効度と、前記価値有効度とを比較することにより、自己効力感と向社会的行動との結びつきが強いユーザに対して自己効力感を刺激するための効力感メッセージと、社会的価値と向社会的行動との結びつきが強いユーザに対して社会的価値を刺激するための価値メッセージとのうちのいずれかのメッセージを送信するかを決定する決定部、及び
前記決定部が決定した前記メッセージを前記ユーザに送信する送信部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
感謝しやすい人は、他人に対して親切にする行動、いわゆる、向社会的行動をとりやすい傾向がある。特許文献1には、感謝を伝える対象となる行動に対して、ユーザに感謝を促す技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-053624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術を用いることにより、感謝を促されたユーザは、他のユーザに感謝を伝え、これによって向社会的行動が促されるように思える。しかしながら、ユーザの心理状態によっては、感謝を促されても他人に感謝を伝えず、向社会的行動が促されない場合があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザの向社会的行動を促進させることができる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、ユーザから、前記ユーザの自己効力感の度合いを特定するための効力感情報と、前記ユーザの社会的価値の度合いを特定するための価値情報とを取得する取得部と、前記効力感情報に基づいて自己効力感の度合いを示す効力感スコアを算出し、前記価値情報に基づいて社会的価値の度合いを示す価値スコアを算出する第1算出部と、前記効力感スコアと、予め定められた効力感係数とを乗算することにより、自己効力感と向社会的行動との結びつきの強さを示す効力感有効度を算出し、前記価値スコアと、予め定められた価値係数とを乗算することにより、社会的価値と向社会的行動との結びつきの強さを示す価値有効度を算出する第2算出部と、前記効力感有効度と、前記価値有効度とを比較することにより、自己効力感と向社会的行動との結びつきが強いユーザに対して自己効力感を刺激するための効力感メッセージと、社会的価値と向社会的行動との結びつきが強いユーザに対して社会的価値を刺激するための価値メッセージとのうちのいずれかのメッセージを送信するかを決定する決定部と、前記決定部が決定した前記メッセージを前記ユーザに送信する送信部と、を有する。
【0007】
前記送信部が所定の期間にメッセージを送信する送信回数が予め定められていてもよいし、前記決定部は、前記効力感有効度と、前記価値有効度とを比較することにより、前記送信回数における前記効力感メッセージを送信する回数と前記価値メッセージを送信する回数とを決定してもよいし、前記送信部は、前記所定の期間において、前記決定部が決定した回数の前記効力感メッセージと前記価値メッセージとを送信してもよい。
【0008】
前記効力感情報は、自己効力感の度合いを特定するための複数の質問が設けられた効力感アンケートの結果を示す情報であってもよいし、前記価値情報は、社会的価値の度合いを特定するための複数の設問が設けられた価値アンケートの結果を示す情報であってもよいし、前記決定部は、前記効力感アンケートにおいて前記ユーザが回答しなかった質問の数と、前記価値アンケートにおいて前記ユーザが回答しなかった質問の数とを合計した未回答数に基づいて、自己効力感を上昇させるための上昇メッセージの送信回数をさらに決定してもよいし、前記送信部は、前記所定の期間において、前記決定部が決定した回数の前記効力感メッセージと前記価値メッセージと前記上昇メッセージとを送信してもよい。
【0009】
前記取得部は、所定の期間が経過するごとに、前記効力感情報と、前記価値情報と、前記ユーザの向社会的行動の度合いを特定するための行動情報とを含むデータセットを取得してもよいし、前記第1算出部は、前記取得部が前記データセットを取得するごとに、前記効力感スコアと、前記価値スコアと、前記行動情報に基づく向社会的行動の度合いを示す行動スコアとを算出してもよいし、前記情報処理装置は、前記第2算出部が用いる前記効力感係数を、前記第2算出部が前記効力感有効度を算出するごとに異なる値に設定し、前記第2算出部が用いる前記価値係数を、前記第2算出部が前記価値有効度を算出するごとに異なる値に設定する設定部と、前記設定部が設定した各効力感係数と前記取得部が取得した各データセットに含まれる前記行動情報に基づく前記行動スコアとの関係に基づいて、前記行動スコアが最大になる前記効力感係数の値を特定する第1特定部と、前記設定部が設定した各価値係数と前記取得部が取得した各データセットに含まれる前記行動情報に基づく前記行動スコアとの関係に基づいて、前記行動スコアが最大になる前記価値係数の値を特定する第2特定部と、前記効力感係数を前記第1特定部が特定した値に更新し、前記価値係数を前記第2特定部が特定した値に更新する更新部と、をさらに有してもよい。
【0010】
前記効力感情報は、自己効力感の度合いを特定するための複数の質問が設けられた効力感アンケートの結果を示す情報であってもよいし、前記価値情報は、社会的価値の度合いを特定するための複数の設問が設けられた価値アンケートの結果を示す情報であってもよいし、前記第1算出部は、前記効力感アンケートの結果を統計することにより前記効力感スコアを算出し、前記価値アンケートの結果を統計することにより前記価値スコアを算出してもよい。
【0011】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する、ユーザから、前記ユーザの自己効力感の度合いを特定するための効力感情報と、前記ユーザの社会的価値の度合いを特定するための価値情報とを取得するステップと、前記効力感情報に基づいて自己効力感の度合いを示す効力感スコアを算出するステップと、前記価値情報に基づいて社会的価値の度合いを示す価値スコアを算出するステップと、前記効力感スコアと、予め定められた効力感係数とを乗算することにより、自己効力感と向社会的行動との結びつきの強さを示す効力感有効度を算出するステップと、前記価値スコアと、予め定められた価値係数とを乗算することにより、社会的価値と向社会的行動との結びつきの強さを示す価値有効度を算出するステップと、前記効力感有効度と、前記価値有効度とを比較することにより、自己効力感と向社会的行動との結びつきが強いユーザに対して自己効力感を刺激するための効力感メッセージと、社会的価値と向社会的行動との結びつきが強いユーザに対して社会的価値を刺激するための価値メッセージとのうちのいずれかのメッセージを送信するかを決定するステップと、決定した前記メッセージを前記ユーザに送信するステップと、を有する。
【0012】
本発明の第3の態様に係るプログラムは、コンピュータを、ユーザから、前記ユーザの自己効力感の度合いを特定するための効力感情報と、前記ユーザの社会的価値の度合いを特定するための価値情報とを取得する取得部、前記効力感情報に基づいて自己効力感の度合いを示す効力感スコアを算出し、前記価値情報に基づいて社会的価値の度合いを示す価値スコアを算出する第1算出部、前記効力感スコアと、予め定められた効力感係数とを乗算することにより、自己効力感と向社会的行動との結びつきの強さを示す効力感有効度を算出し、前記価値スコアと、予め定められた価値係数とを乗算することにより、社会的価値と向社会的行動との結びつきの強さを示す価値有効度を算出する第2算出部、前記効力感有効度と、前記価値有効度とを比較することにより、自己効力感と向社会的行動との結びつきが強いユーザに対して自己効力感を刺激するための効力感メッセージと、社会的価値と向社会的行動との結びつきが強いユーザに対して社会的価値を刺激するための価値メッセージとのうちのいずれかのメッセージを送信するかを決定する決定部、及び前記決定部が決定した前記メッセージを前記ユーザに送信する送信部、として機能させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ユーザの向社会的行動を促進させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】情報処理システムの構成を示す図である。
図2】情報処理装置の構成を示す図である。
図3】メッセージ管理データベースの構成の一例を示す図である。
図4】効力感アンケートを模式的に表した図である。
図5】行動アンケートを模式的に表した図である。
図6】情報処理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[情報処理システムSの概要]
図1は、情報処理システムSの構成を示す図である。情報処理システムSは、ユーザに所定のメッセージを配信するために用いられるシステムである。所定のメッセージは、他人に感謝を伝えることを促すためのメッセージを含む。情報処理システムSは、ユーザ端末1と、情報処理装置2とを有する。
【0016】
ユーザ端末1は、ユーザが使用する端末であり、例えば、スマートフォン、タブレット又はパーソナルコンピュータ等である。ユーザ端末1には、当該ユーザ端末1を使用するユーザを識別するためのユーザ識別情報(以下、「ユーザID(identifier)」という。)が関連付けられている。情報処理装置2は、ユーザに配信する所定のメッセージを管理する装置であり、例えば、サーバである。
【0017】
本願の発明者は、ユーザが有する自己効力感及び社会的価値が向社会的行動に対して有効に作用することを見出した。自己効力感は、目標を達成するための能力を自らが持っていると認識することを示す。社会的価値は、自身が社会に求められる存在であることを認識することを示す。そのため、ユーザは、配信されたメッセージによって自己効力感又は社会的価値が刺激されると向社会的行動を取りやすくなるが、自己効力感と向社会的行動との結びつきの強さ、及び社会的価値と向社会的価値との結びつきの強さは、ユーザごとに異なる。
【0018】
例えば、自己効力感の度合いが高いユーザにおいては、自己効力感が刺激されると向社会的行動を取りやすくなるが、社会的価値が刺激されても向社会的行動を取りやすくなるとは限らない。反対に、社会的価値の度合いが高いユーザにおいては、社会的価値が刺激されると向社会的行動を取りやすくなるが、自己効力感が刺激されても向社会的行動を取りやすくなるとは限らない。そのため、ユーザの向社会的行動を促進させるためには、ユーザの心理状態(自己効力感の度合いが高いか、社会的価値の度合いが高いか)を考慮することが必要である。そこで、情報処理システムSは、ユーザの心理状態を考慮して所定のメッセージを配信する。
以下、情報処理システムSが所定のメッセージを配信するための処理について説明する。
【0019】
まず、ユーザ端末1は、ユーザの心理状態を特定するための情報として、効力感情報及び価値情報を情報処理装置2に送信する(図1における(1))。効力感情報は、ユーザの自己効力感の度合いを特定するための情報である。価値情報は、ユーザの社会的価値の度合いを特定するための情報である。詳細については後述するが、効力感情報及び価値情報は、アンケートの結果を示す情報である。
【0020】
情報処理装置2は、効力感情報と価値情報とを取得すると、効力感情報に基づいて効力感スコアを算出し、価値情報に基づいて価値スコアを算出する(図1における(2))。効力感スコアは、ユーザの自己効力感の度合いを示す数値である。価値スコアは、社会的価値の度合いを示す数値である。
【0021】
情報処理装置2は、効力感スコアと予め定められた効力感係数とを乗算することにより、効力感有効度を算出し、価値スコアと予め定められた価値係数とを乗算することにより、価値有効度を算出する(図1における(3))。効力感有効度は、自己効力感と向社会的行動との結びつきの強さを示す数値である。効力感有効度は、例えば、数値が高いほどユーザが自己効力感を刺激されることによって向社会的行動をとりやすくなることを示す。価値有効度は、社会的価値と向社会的行動との結びつきの強さを示す数値である。価値有効度は、例えば、数値が高いほどユーザが社会的価値を刺激されることによって向社会的行動をとりやすくなることを示す。
【0022】
情報処理装置2は、効力感有効度と価値有効度とを比較することにより、効力感メッセージと価値メッセージのうちのいずれかのメッセージを送信するかを決定する(図1における(4))。効力感メッセージは、自己効力感と向社会的行動との結びつきが強いユーザに対して自己効力感を刺激するためのメッセージである。価値メッセージは、社会的価値と向社会的行動との結びつきが強いユーザに対して社会的価値を刺激するためのメッセージである。
【0023】
そして、情報処理装置2は、決定したメッセージをユーザが使用するユーザ端末1に送信する(図1における(5))。このようにすることで、情報処理システムSは、ユーザの心理状態に応じたメッセージを配信することができる。これにより、情報処理システムSは、自己効力感及び社会的価値のうち、向社会的行動との結びつきが強い方を刺激することができる。その結果、情報処理システムSは、ユーザの向社会的行動を促進させることができる。
以下、情報処理装置2の構成について説明する。
【0024】
[情報処理装置2の構成]
図2は、情報処理装置2の構成を示す図である。情報処理装置2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを有する。制御部23は、取得部231と、第1算出部232と、第2算出部233と、決定部234と、送信部235と、設定部236と、第1特定部237と、第2特定部238と、更新部239とを有する。
【0025】
通信部21は、ネットワークに接続するためのインターフェイスであり、例えば通信コントローラを含んで構成されている。記憶部22は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体である。記憶部22は、制御部23が実行するプログラムを記憶している。記憶部22は、ユーザに送信するメッセージを管理するメッセージ管理データベースを記憶している。
【0026】
図3は、メッセージ管理データベースの構成の一例を示す図である。図3に示すように、メッセージ管理データベースは、メッセージIDと、メッセージ種類と、メッセージ内容とを関連付けて記憶している。メッセージIDは、メッセージを識別するための情報である。メッセージ種類は、少なくとも、効力感メッセージと、価値メッセージとを含むが、これに限らず、上昇メッセージをさらに含んでもよい。上昇メッセージは、自己効力感を上昇させるためのメッセージである。
【0027】
図2に戻り、制御部23は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部23は、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部231、第1算出部232、第2算出部233、決定部234、送信部235、設定部236、第1特定部237、第2特定部238及び更新部239として機能する。
【0028】
取得部231は、ユーザから、ユーザの自己効力感の度合いを特定するための効力感情報と、ユーザの社会的価値の度合いを特定するための価値情報とを取得する。効力感情報は、例えば、自己効力感の度合いを特定するための複数の質問が設けられた効力感アンケートの結果を示す情報である。価値情報は、例えば、社会的価値の度合いを特定するための複数の設問が設けられた価値アンケートの結果を示す情報である。
【0029】
図4は、効力感アンケートを模式的に表した図である。図4に示すように、効力感アンケートには、設問と、数値で示された選択肢とが含まれ、ユーザは、設問ごとに、複数の選択肢の中から当該設問の内容に対して当てはまる選択肢を選択することにより、効力感アンケートの設問に回答する。図示はしないが、価値アンケートにおいても、設問(効力感アンケートの設問とは異なる設問)と、数値で示された選択肢とが含まれ、ユーザは、設問ごとに、複数の選択肢の中から当該設問の内容に対して当てはまる選択肢を選択することにより、価値アンケートの設問に回答する。記憶部22には、図4に示すような形式の効力感アンケート及び価値アンケートが記憶されている。
【0030】
この場合において、まず、送信部235は、記憶部22に記憶されている各アンケート(効力感アンケート及び価値アンケート)をユーザ端末1に送信する。送信部235は、予め定められたタイミングで各アンケートを送信してもよいし、ユーザ端末1からの要求に応じて各アンケートを送信してもよい。
【0031】
ユーザは、ユーザ端末1において、表示された各アンケートに設けられた設問に対して回答を入力(複数の選択肢の中から設問の内容に当てはまる選択肢を選択)し、各アンケートを送信する操作を行うと、ユーザ端末1は、効力感アンケートに対応する効力感情報と、価値アンケートに対応する価値情報とを情報処理装置2に送信する。そして、取得部231は、ユーザ端末1が送信した効力感情報と価値情報とを取得する。
【0032】
なお、取得部231は、ユーザの行動履歴に基づいて効力感情報及び価値情報を生成する生成部としてさらに機能してもよい。ユーザの行動履歴は、例えば、日記、日報、ユーザの発話内容等である。例えば、まず、取得部231は、ユーザの行動履歴を示す情報をユーザ端末1から取得し、取得したユーザの行動履歴を、自然言語処理を用いて意図解釈する。そして、取得部231は、意図解釈した内容に基づいて、各アンケートに設けられた設問ごとに、複数の選択肢の中から当てはまる選択肢を選択することにより、効力感情報及び価値情報を生成する。なお、取得部231は、取得部231は、意図解釈した内容に基づいて選択肢を選択することができない設問がある場合、予め定められた選択肢(例えば、図4に示す例において「どちらとも言えない」を示す選択肢「3」)を選択してもよい。
【0033】
第1算出部232は、取得部231が取得した効力感情報に基づいて自己効力感の度合いを示す効力感スコアを算出し、取得部231が取得した価値情報に基づいて社会的価値の度合いを示す価値スコアを算出する。具体的には、第1算出部232は、効力感情報によって示される効力感アンケートの結果を集計することにより効力感スコアを算出し、価値情報によって示される価値アンケートの結果を集計することにより価値スコアを算出する。
【0034】
第1算出部232は、例えば、効力感情報によって示される効力感アンケートの結果を集計した集計値が大きいほど効力感スコアを大きく算出する。第1算出部232は、例えば、効力感アンケートにおいてユーザが設問ごとに選択した選択肢によって示される数値の合計値を、効力感アンケートの各設問の選択肢の最大値の合計値で除算した数値を効力感スコアとして算出する。
【0035】
例えば、効力感スコアがαであり、効力感アンケートの設問の数が7であり、選択肢の最大値が5であるとした場合、第1算出部232は、以下の数1で示す式を用いて効力感スコアを算出する。
【数1】
【0036】
また、第1算出部232は、例えば、価値情報によって示される価値アンケートの結果を集計した集計値が大きいほど価値スコアを大きく算出する。第1算出部232は、価値アンケートにおいてユーザが設問ごとに選択した選択肢によって示される数値の合計値を、価値アンケートの各設問の選択肢の最大値の合計値で除算した数値を価値スコアとして算出する。
【0037】
例えば、価値スコアがβであり、価値アンケートの設問の数が8であり、選択肢の最大値が5であるとした場合、第1算出部232は、以下の数2で示す式を用いて価値スコアを算出する。
【数2】
【0038】
なお、第1算出部232は、否定的な内容の設問(例えば、図4に示すアンケートのNo.2の設問)においては、選択肢の最大値(図4に示す例において5)に1を加算した数値に対して、選択された選択肢の数値を減算することにより、各アンケートの結果を補正し、補正した各アンケートの結果を集計することにより各スコア(効力感スコア及び価値スコア)を算出してもよい。
【0039】
第2算出部233は、第1算出部232が算出した効力感スコアと効力感係数とを乗算することにより、自己効力感と向社会的行動との結びつきの強さを示す効力感有効度を算出し、第1算出部232が算出した価値スコアと価値係数とを乗算することにより、社会的価値と向社会的行動との結びつきの強さを示す価値有効度を算出する。効力感係数及び価値係数は、それぞれユーザごとに定められた係数である。
【0040】
例えば、記憶部22には、ユーザごとに当該ユーザのユーザIDと効力感係数と価値係数とが関連付けて記憶されている。この場合において、第2算出部233は、取得部231が効力感情報と価値情報とを取得したユーザ(以下、「対象ユーザ」という。)のユーザIDに関連付けて記憶部22に記憶されている効力感係数を用いて効力感有効度を算出し、対象ユーザのユーザIDに関連付けて記憶部22に記憶されている価値係数を用いて価値有効度を算出する。ユーザごとに効力感係数及び価値係数を定める処理の詳細については後述する。なお、効力感係数及び価値係数は、例えば、それぞれ予め定められた係数であり、各ユーザに対して共通に用いられる係数であってもよい。
【0041】
例えば、効力感有効度がfであり、効力感スコアがαであり、効力感係数がmであるとした場合、第2算出部233は、以下の数3で示す式を用いて効力感有効度を算出する。
【数3】
【0042】
また、例えば、価値有効度がfであり、価値スコアがβであり、価値係数がlであるとした場合、第2算出部233は、以下の数4で示す式を用いて価値有効度を算出する。
【数4】
【0043】
決定部234は、効力感有効度と、価値有効度とを比較することにより、自己効力感と向社会的行動との結びつきが強いユーザに対して自己効力感を刺激するための効力感メッセージと、社会的価値と向社会的行動との結びつきが強いユーザに対して社会的価値を刺激するための価値メッセージとのうちのいずれかのメッセージを送信するかを決定する。決定部234は、例えば、効力感有効度と価値有効度とのうち、数値が最も高い有効度に対応するメッセージを送信することを決定する。
【0044】
例えば、効力感有効度と価値有効度とのうち、効力感有効度の方が高い場合、決定部234は、効力感有効度に対応する効力感メッセージを送信することを決定する。一方、効力感有効度と価値有効度とのうち、価値有効度の方が高い場合、決定部234は、価値有効度に対応する価値メッセージを送信することを決定する。
【0045】
送信部235は、決定部234が決定したメッセージをユーザに送信する。具体的には、送信部235は、決定部234が決定したメッセージをユーザが使用するユーザ端末1に送信する。
【0046】
より具体的には、送信部235は、決定部234が決定したメッセージのメッセージ種類に関連付けてメッセージ管理データベースに記憶されているメッセージをユーザ端末1に送信する。例えば、決定部234が効力感メッセージを送信することを決定した場合、送信部235は、決定部234が決定した効力感メッセージ(メッセージ種類)に関連付けてメッセージ管理データベースに記憶されている複数の効力感メッセージの中からランダムで選択した1つの効力感メッセージをユーザ端末1に送信する。
【0047】
送信部235は、効力感有効度と価値有効度とに基づいて決定された比率で、効力感メッセージと価値メッセージとを送信してもよい。例えば、情報処理装置2には、送信部235が所定の期間にメッセージを送信する送信回数が予め定められている。
【0048】
この場合において、まず、決定部234は、効力感有効度と価値有効度とを比較することにより、予め定められている送信回数における効力感メッセージを送信する回数と価値メッセージを送信する回数とを決定する。例えば、まず、決定部234は、効力感有効度と価値有効度とに基づいて、各メッセージを送信する送信割合を決定する。決定部234は、例えば、効力感有効度及び価値有効度のうち、数値が高い方の送信割合を多く決定し、数値が低い方の送信割合を少なく決定する。そして、決定部234は、決定した各メッセージの送信割合と、予め定められている送信回数とに基づいて、各メッセージを送信する回数を決定する。
【0049】
例えば、効力感メッセージの送信割合がxであり、効力感有効度がfであり、価値有効度がfであるとした場合、決定部234は、以下の数5で示す式を用いて効力感メッセージの送信割合を決定する。
【数5】
【0050】
また、例えば、価値メッセージの送信割合がyであり、効力感有効度がfであり、価値有効度がfであるとした場合、決定部234は、以下の数6で示す式を用いて価値メッセージの送信割合を決定する。
【数6】
【0051】
決定部234が各メッセージを送信する回数を決定すると、送信部235は、所定の期間(例えば、1週間、1か月、1年等)において、決定部234が決定した回数の効力感メッセージと価値メッセージとを送信する。このようにすることで、情報処理装置2は、ユーザに自己効力感及び社会的価値を刺激しつつ、自己効力感及び社会的価値のうちの高い方をより強く刺激することにより、ユーザによる向社会的行動を促進させることができる。
【0052】
ところで、自己効力感及び社会的価値が低いと考えるユーザは、効力感アンケート及び価値アンケートの設問の少なくとも一部に回答しない場合がある。このようなユーザに効力感メッセージ又は価値メッセージを送信しても、向社会的行動を促進させることができない場合がある。そこで、情報処理装置2は、このようなユーザに対して、さらに上昇メッセージを送信してもよい。
【0053】
例えば、メッセージ管理データベースには、1つ以上の上昇メッセージがさらに記憶されている。この場合において、決定部234は、効力感アンケートにおいてユーザが回答しなかった質問の数と、価値アンケートにおいてユーザが回答しなかった質問の数とを合計した未回答数に基づいて、自己効力感を上昇させるための上昇メッセージの送信回数をさらに決定する。
【0054】
例えば、効力感メッセージの送信割合がxであり、効力感有効度がfであり、価値有効度がfであり、効力感アンケートの設問の数がnであり、価値アンケートの設問の数がnであるとした場合、決定部234は、以下の数7で示す式を用いて効力感メッセージの送信割合を決定する。
【数7】
【0055】
また、例えば、価値メッセージの送信割合がyであり、効力感有効度がfであり、価値有効度がfであり、効力感アンケートの設問の数がnであり、価値アンケートの設問の数がnであるとした場合、決定部234は、以下の数8で示す式を用いて価値メッセージの送信割合を決定する。
【数8】
【0056】
また、例えば、上昇メッセージの送信割合がzであり、効力感アンケートの設問の数がnであり、価値アンケートの設問の数がnであるとした場合、決定部234は、以下の数9で示す式を用いて上昇メッセージの送信割合を決定する。
【数9】
【0057】
決定部234が効力感メッセージ、価値メッセージ及び上昇メッセージそれぞれの送信回数を決定すると、送信部235は、所定の期間において、決定部234が決定した回数の効力感メッセージと価値メッセージと上昇メッセージとを送信する。このようにすることで、情報処理装置2は、ユーザの自己効力感を向上させることができる。
【0058】
上記のとおり、効力感係数及び価値係数は、それぞれユーザごとに定められた係数である。情報処理装置2は、所定の回数にわたって所定のデータセットの取得からメッセージの送信までの処理を繰り返し実行し、実行した結果によって得られた情報を用いてユーザに対応する各係数を設定する。まず、所定の回数にわたって所定のデータセットの取得からメッセージの送信までの処理の流れについて説明する。
【0059】
まず、取得部231は、所定の期間(例えば、1週間、1か月、1年等)が経過するごとに、効力感情報と価値情報と行動情報とを含むデータセットを取得する。行動情報は、例えば、向社会的行動の度合いを特定するための複数の設問が設けられた行動アンケートの結果を示す情報である。
【0060】
図5は、行動アンケートを模式的に表した図である。図5に示すように、行動アンケートには、カテゴリと、設問と、数値で示された選択肢とが含まれ、ユーザは、設問ごとに、複数の選択肢の中から当該設問の内容に対して当てはまる選択肢を選択することにより、行動アンケートの設問に回答する。記憶部22には、図5に示すような形式の行動アンケートが記憶されている。
【0061】
第1算出部232は、取得部231がデータセットを取得するごとに、効力感スコアと、価値スコアと、行動スコアとを算出する。行動スコアは、行動情報に基づく向社会的行動の度合いを示すスコアである。行動スコアは、例えば、行動アンケートのカテゴリに対応する次元ごとのスコアによって向社会的行動の度合いが示される。
【0062】
具体的には、第1算出部232は、行動アンケートのカテゴリに対応する次元ごとにスコアを集計することにより、行動スコアを算出する。例えば、行動アンケートのカテゴリの数が5である場合、第1算出部232は、5つのカテゴリにそれぞれ対応する5次元のスコア(γ、γ、γ、γ、γ)を行動スコアとして算出する。第1算出部232は、例えば、次元ごとのスコアを、効力感スコア及び価値スコアと同様の算出方法で算出する。なお、第1算出部232は、行動アンケートのカテゴリに対応する次元ごとにスコアを集計せず、行動アンケート全体の結果を集計したスコア(1次元のスコア)を行動スコアとして算出してもよい。
【0063】
設定部236は、第2算出部233が用いる効力感係数を、第2算出部233が効力感有効度を算出するごとに異なる値(例えば、第2算出部233が効力感有効度を算出するごとに大きくなる値)に設定する。また、設定部236は、第2算出部233が用いる価値係数を、第2算出部233が価値有効度を算出するごとに異なる値(例えば、第2算出部233が価値有効度を算出するごとに大きくなる値)に設定する。例えば、記憶部22には、所定の回数分の効力感有効度の値と、所定の回数分の価値有効度の値とが記憶されている。
【0064】
第2算出部233は、設定部236が設定した効力感係数を用いて効力感有効度を算出し、設定部236が設定した価値係数を用いて価値有効度を算出する。送信部235は、効力感有効度と価値有効度とに基づいて決定された比率で、効力感メッセージと価値メッセージとを送信する。このようにして、情報処理装置2は、所定の回数にわたってデータセットの取得からメッセージの送信までの処理を繰り返し実行する。
【0065】
続いて、ユーザに対応する各係数を設定する処理の流れについて説明する。まず、第1特定部237は、設定部236が設定した各効力感係数と取得部231が取得した各データセットに含まれる行動情報に基づく行動スコアとの関係に基づいて、行動スコアが最大になる効力感係数の値を特定する。
【0066】
例えば、まず、第1特定部237は、取得部231が取得したデータセットごとに、当該データセットである対象データセットに含まれる行動情報に基づく行動スコアと、対象データセットの直前に取得部231が取得したデータセットに含まれる行動情報に基づく行動スコアとの差分値を算出する。第1特定部237は、取得部231が取得したデータセットごとに、差分値と、取得部231が対象データセットを取得する直前に設定部236が設定した効力感係数の値とを、二次元平面(例えば、X軸が効力感係数であり、Y軸が差分値である二次元平面)上にプロットする。第1特定部237は、プロットした各点群に最も近似する曲線関数を推定する。なお、第1特定部237は、最小二乗法を用いて上記曲線関数を推定してもよい。
【0067】
そして、第1特定部237は、推定した曲線関数を用いて、行動スコアが最大になる効力感係数の値を特定する。なお、第1特定部237は、勾配法を用いて、行動スコアが最大になる効力感係数の値を特定してもよい。
【0068】
例えば、目的関数がLであり、効力感係数がmであり、曲線関数がgであり、行動アンケートのカテゴリがkであり、行動アンケートのカテゴリの数が5であるとした場合、第1特定部237は、以下の式10を用いて行動スコアが最大になる効力感係数の値を特定する。
【数10】
【0069】
なお、第1特定部237は、取得部231が取得した所定の回数分のデータセットに含まれる行動情報に基づく複数の行動スコアのうち、相対的に数値が高い行動スコア(例えば最も数値が高い行動スコア)に対応するデータセットが取得される直前に設定部236が設定した効力感係数を、行動スコアが最大になる効力感係数の値として特定してもよい。
【0070】
第2特定部238は、設定部236が設定した各価値係数と取得部231が取得した各データセットに含まれる行動情報に基づく行動スコアとの関係に基づいて、行動スコアが最大になる価値係数の値を特定する。第2特定部238は、第1特定部237が実行する処理と同様の処理を実行することにより、行動スコアが最大になる価値係数の値を特定する。
【0071】
そして、更新部239は、効力感係数を第1特定部237が特定した値に更新し、価値係数を第2特定部が特定した値に更新する。例えば、記憶部22には、ユーザごとに当該ユーザのユーザIDと効力感係数と価値係数とが関連付けて記憶されており、更新部239は、対象のユーザのユーザIDに関連付けられて記憶部22に記憶されている効力感係数と価値係数とを、それぞれ第1特定部237が特定した値と第2特定部238が特定した値とに更新する。このようにすることで、情報処理装置2は、ユーザごとに異なる、自己効力感と向社会的行動との結びつきの強さ、及び社会的価値と向社会的行動との結びつきの強さを考慮して各係数を設定することができる。
【0072】
[情報処理装置2の処理]
続いて、情報処理装置2の処理の流れについて説明する。図6は、情報処理装置2の処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートは、取得部231が、ユーザから、効力感情報と価値情報とを取得したことを契機として開始する(S1)。
【0073】
第1算出部232は、取得部231が取得した効力感情報に基づいて効力感スコアを算出し、取得部231が取得した価値情報に基づいて価値スコアを算出する(S2)。第2算出部233は、第1算出部232が算出した効力感スコアと効力感係数とを乗算することにより効力感有効度を算出し、第1算出部232が算出した価値スコアと価値係数とを乗算することにより価値有効度を算出する(S3)。
【0074】
決定部234は、効力感有効度と、価値有効度とを比較することにより、効力感メッセージと価値メッセージとのうちのいずれかのメッセージを送信するかを決定する(S4)。そして、送信部235は、決定部234が決定したメッセージをユーザに送信する(S5)。
【0075】
[本実施の形態における効果]
以上説明したとおり、情報処理装置2は、効力感情報に基づいて算出した効力感スコアと効力感係数とを乗算することにより効力感有効度を算出し、価値情報に基づいて算出した価値スコアと価値係数とを乗算することにより価値有効度を算出する。そして、情報処理装置2は、効力感有効度と、価値有効度とを比較することにより、効力感メッセージと価値メッセージとのうちのいずれかのメッセージを送信するかを決定し、決定したメッセージをユーザに送信する。このようにすることで、情報処理装置2は、ユーザの心理状態に応じたメッセージを配信することができる。これにより、情報処理装置2は、自己効力感及び社会的価値のうち、向社会的行動との結びつきが強い方を刺激することができる。その結果、情報処理装置2は、ユーザの向社会的行動を促進させることができる。
【0076】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0077】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0078】
1 ユーザ端末
2 情報処理装置
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
231 取得部
232 第1算出部
233 第2算出部
234 決定部
235 送信部
236 設定部
237 第1特定部
238 第2特定部
239 更新部
S 情報処理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6