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  • 特開-部品実装システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144865
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】部品実装システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052043
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 基生
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353AA01
5E353CC01
5E353DD02
5E353DD19
5E353EE89
5E353GG01
5E353HH01
5E353HH11
5E353HH71
5E353JJ21
5E353JJ42
5E353JJ48
5E353JJ52
5E353JJ54
5E353NN18
5E353QQ01
5E353QQ08
(57)【要約】
【課題】吸着ノズルの自動段取り替えを可能とする技術を提供する。
【解決手段】部品実装システム11は、複数の部品実装機21と、ノズル用のノズルストックユニット49と、ノズル用の第1ローダ41と、を備える。複数の部品実装機21は、回路基板1を搬送する基板搬送経路4に沿って配置され、ヘッドに交換可能に支持された吸着ノズルで部品を吸着し、回路基板1上に部品を実装する。ノズル用のノズルストックユニット49は、基板搬送経路4上に設置され、吸着ノズルを保管する。ノズル用の第1ローダ41は、ノズルストックユニット49に保管されている吸着ノズルを複数の部品実装機21に供給する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板を搬送する基板搬送経路に沿って配置され、ヘッドに交換可能に支持された吸着ノズルで部品を吸着し、前記回路基板上に前記部品を実装する複数の部品実装機と、
前記基板搬送経路上に設置され、前記吸着ノズルを保管するノズル用のノズルストックユニットと、
前記ノズルストックユニットに保管されている前記吸着ノズルを前記複数の部品実装機に供給するノズル用の第1ローダと、
を備えた、部品実装システム。
【請求項2】
前記ノズルストックユニットは、当該ノズルストックユニットと前記第1ローダとの間で前記吸着ノズルを移載するロボットを備える、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
前記第1ローダは、
前記複数の吸着ノズルを保持するノズルステーションを上下方向に並べて複数収容する収容部と、
前記収容部に収容された前記ノズルステーションを昇降させる昇降機構と、
前記昇降機構で特定の位置に位置合わせされたノズルステーションを前記部品実装機側に送り出す送出機構と、を備える、請求項1又は2に記載の部品実装システム。
【請求項4】
前記基板搬送経路上に設置され、複数の部品フィーダを保管する部品フィーダ用のフィーダストックユニットと、
前記フィーダストックユニットに保管されている前記部品フィーダを前記複数の部品実装機に供給する部品フィーダ用の第2ローダと、をさらに備える、請求項1~3のいずれかに記載の部品実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、複数の部品実装機を用いて部品を基板に実装する部品実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の部品実装機を用いて部品を基板に実装する部品実装システムが知られている。この種のシステムでは、複数の部品実装機が回路基板を搬送する基板搬送経路に沿って配置されている。各々の部品実装機にはヘッドが設けられ、そのヘッドに交換可能に支持された吸着ノズルで部品を吸着することで、回路基板上に部品が実装される。なお、このような従来技術は、例えば、特許文献1などに開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願平5-33070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の部品実装システムの場合、実装する部品の種類等に応じて吸着ノズルを適宜交換する必要が生じる。通常、吸着ノズルは搬送ライン外に設置されたノズルストッカに保管されている。このため、離れた位置にあるノズルストッカから部品実装機まで吸着ノズルを運び、作業者が吸着ノズルを交換する段取り替えの作業を行う必要があった。つまり、従来においては吸着ノズルの自動段取り替えを行うことができなかった。ここで、ノズルフィーダを用いて部品フィーダ用ローダで吸着ノズルを供給することも可能である。しかし、かかる方法だと、部品フィーダ用のフィーダストックユニットが、常に圧迫されるという問題があった。
【0005】
本明細書は、吸着ノズルの自動段取り替えを行うことができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示の部品実装システムは、複数の部品実装機と、ノズル用のノズルストックユニットと、ノズル用の第1ローダと、を備える。複数の部品実装機は、回路基板を搬送する基板搬送経路に沿って配置され、ヘッドに交換可能に支持された吸着ノズルで部品を吸着し、回路基板上に部品を実装する。ノズル用のノズルストックユニットは、基板搬送経路上に設置され、吸着ノズルを保管する。ノズル用の第1ローダは、ノズルストックユニットに保管されている吸着ノズルを複数の部品実装機に供給する。従って、上述した構成によると、ノズル用のノズルストックユニットからノズル用の第1ローダにより部品実装機に吸着ノズルが供給され、吸着ノズルの自動段取り替えを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例1の部品実装システムにおける部品実装機の概略構成を示す図である。
図2図1のA-A線における断面図である。
図3】実施例1の部品実装システムの電気的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に開示の部品実装システムでは、ノズルストックユニットは、当該ノズルストックユニットと第1ローダとの間で吸着ノズルを移載するロボットを備えてもよい。このような構成によると、ノズルストックユニットと第1ローダの間の吸着ノズルの移載を自動で行うことができる。
【0009】
本明細書に開示の部品実装システムでは、第1ローダは、複数の吸着ノズルを保持するノズルステーションを上下方向に並べて複数収容する収容部と、収容部に収容されたノズルステーションを昇降させる昇降機構と、昇降機構で特定の位置に位置合わせされたノズルステーションを部品実装機側に送り出す送出機構と、を備えていてもよい。このような構成によると、第1ローダ内に収容される複数のノズルステーションの中から任意のノズルステーションを部品実装機側に送り出すことができる。
【0010】
本明細書に開示の部品実装システムは、基板搬送経路上に設置され、複数の部品フィーダを保管する部品フィーダ用のフィーダストックユニットと、フィーダストックユニットに保管されている部品フィーダを複数の部品実装機に供給する部品フィーダ用の第2ローダと、をさらに備えていてもよい。
【実施例0011】
(実施例1) 以下、本発明の部品実装システム11の一実施形態について図1図3を参照して説明する。部品実装システム11は、複数の部品実装機21、第1ローダ41、ノズルストックユニット49、第2ローダ51、フィーダストックユニット53、生産管理用コンピュータ6等を備える。
【0012】
図1図3に示すように、部品実装機21は、回路基板1上に部品2を実装するための装置であって、回路基板1を搬送する基板搬送経路4の長手方向(X方向)に沿って複数配置されている。通常、複数の部品実装機21は、基板生産ラインにおいて他の対基板作業機と共に併設されている。複数の部品実装機21の上流側には印刷機が配設される。印刷機は回路基板1にハンダパターンを印刷し、複数の部品実装機21に対してハンダパターンが印刷された後の基板1を搬出する。複数の部品実装機21の下流側には、基板検査機及びリフロー機が配設される。基板検査機は、複数の部品実装機21から搬出される部品実装後の回路基板1を検査する。基板検査機は、例えば基板外観検査機であって、回路基板1に正常に部品が実装されているか否かを検査する。回路基板1に正常に部品が実装されている場合、基板検査機はリフロー機に回路基板1を搬出する。リフロー機は、基板検査機で検査された回路基板1をリフロー処理する。すなわちリフロー機は、搬入されてきた回路基板1を加熱してハンダを溶解し、部品2を回路基板1にハンダ付けする。
【0013】
部品実装機21は、複数の部品フィーダ22、ヘッドユニット23、ヘッドユニット23を移動させる移動装置24、基板搬送レーン25、操作パネル26、ヘッド交換装置27、ノズル交換装置28、制御装置31等を備えている。
【0014】
各々の部品フィーダ22は、複数の部品2を収容している。部品フィーダ22は、フィーダ保持部30に着脱可能に取り付けられ、ヘッドユニット23へ部品2を供給する。部品フィーダ22の具体的な構成は限定されない。例えば、テープ上に複数の部品2を収容するテープ式フィーダ、トレイ上に複数の部品2を収容するトレイ式フィーダ、又は、容器内に複数の部品2をランダムに収容するバルク式フィーダのいずれであってもよい。
【0015】
移動装置24は、部品フィーダ22の上方と回路基板1の上方との間、及び、ノズル交換装置28の上方と回路基板1の上方との間でヘッドユニット23を移動させる。移動装置24は、移動ベース24aをX方向及びY方向に移動させるXYロボットである。移動装置24は、移動ベース24aを案内するガイドレールや、移動ベース24aをガイドレールに沿って移動させる移動機構や、その移動機構を駆動するモータ等によって構成されている。移動装置24は、回路基板1の上方に配置されている。移動ベース24aに対してヘッドユニット23が取付けられている。ヘッドユニット23は、移動装置24によって、部品フィーダ12の上方から回路基板1の上方の間、及び、ノズル交換装置28の上方から回路基板1の上方の間を移動する。
【0016】
ヘッドユニット23は、回路基板1へ部品2を装着する可動ユニットである。ヘッドユニット23は、ホルダ23aとヘッド23bとを備えている。ホルダ23aは、移動ベース24aに取り付けられている。ヘッド23bは、ホルダ23aに着脱可能に支持されている。ヘッド23bは、複数の吸着ノズル29を備えている。複数の吸着ノズル29は、ヘッド23bに着脱可能に支持されている。複数の吸着ノズル29は、ヘッド23bに収容されたアクチュエータ(図示省略)によって上下方向(図面Z方向)に昇降されると共に、部品2を吸着可能に構成されている。
【0017】
ヘッド23bにより部品2を回路基板1に実装するには、まず、部品フィーダ22に収容された部品2に吸着ノズル29の吸着面が当接するまで、吸着ノズル29を下方に移動させる。次いで、吸着ノズル29で部品2を吸着し、吸着ノズル29を上方に移動させる。吸着ノズル29に部品2を吸着する処理が終了すると、移動装置24を駆動してヘッド23bを回路基板1に対して位置決めする。次いで、吸着ノズル29を回路基板1に向かって下降させることで、回路基板1に部品2を実装する(部品実装処理)。なお、ヘッド23b及び吸着ノズル29は、図示しないロボットによって自動交換される。
【0018】
基板搬送レーン25は、回路基板1の部品実装機21への搬入、部品実装機21への位置決め、及び部品実装機21から回路基板1の搬出を行う装置である。本実施例の基板搬送レーン25は、例えば、一対のベルトコンベアと、ベルトコンベアに取り付けられると共に回路基板1を下方から支持する支持装置(図示省略)と、ベルトコンベアを駆動する駆動装置により構成することができる。回路基板1は、上流(図3の左側)から下流(図3の右側)に向かって搬送される。
【0019】
ヘッド交換装置27は、フィーダ保持部30に支持されている。ヘッド交換装置27は、複数の部品フィーダ22と基板搬送レーン25の間に配置されている。ヘッド交換装置27の上面には、ヘッドストッカ27aが設けられている。ヘッドストッカ27aには、複数のヘッド27bが載置されている。複数のヘッド27bは、種類毎に、それぞれのヘッド27bが支持することのできる吸着ノズル29の種類及び吸着ノズル29の本数が異なる。ヘッド交換装置27は、ホルダ23aに支持されているヘッド27bと、ヘッドストッカ27aに載置されているヘッド27bとを交換することができると共に、ホルダ23aから取り外したヘッド27bをヘッドストッカ27aに載置することができる。
【0020】
ノズル交換装置28は、フィーダ保持部30に支持されている。ノズル交換装置28は、ヘッド交換装置27に対してX方向に離間した位置に配置されている。ノズル交換装置28の上面には、吸着ノズル29をストックしておくためのノズルステーション32が着脱可能に搭載される。ノズルステーション32には、複数の吸着ノズル29が載置されている。複数の吸着ノズル29は、種類毎に、それぞれの吸着ノズル29が吸着することのできる部品2の種類(例えば、サイズ)が異なる。ノズル交換装置28は、ヘッド23bに支持されている吸着ノズル29と、ノズルステーション32に載置されている吸着ノズル29とを交換することができると共に、ヘッド23bから取り外した吸着ノズル29をノズルステーション32に載置することができる。
【0021】
制御装置31は、CPU、ROM、RAMを備えたコンピュータを用いて構成されている。制御装置31は、部品フィーダ22、ヘッド23b、移動装置24、基板搬送レーン25、操作パネル26と通信可能に接続されている。制御装置31には、生産プログラムを記憶する生産管理用コンピュータ6が通信可能に接続されている。各々の制御装置31は、その生産プログラムに基づいて各部(部品フィーダ22、ヘッド23b、移動装置24、基板搬送レーン25、操作パネル26)を制御する。これにより、回路基板1に複数の部品2を実装する実装処理と、実装処理で使用される複数のヘッド23bのそれぞれに支持されている複数の吸着ノズル29を交換する交換処理とが実行される。
【0022】
フィーダストックユニット53は、基板搬送経路4において複数の部品実装機21の上流側に隣接して設置されている。フィーダストックユニット53は、複数の部品フィーダ22を保管する装置であって、本実施例では部品フィーダ専用のフィーダストックユニットとなっている。フィーダストックユニット53は、XYロボット(図示省略)を備えており、このXYロボットによって第2ローダ51との間で複数の部品フィーダ22の受け渡しを行う。
【0023】
第2ローダ51は、フィーダストックユニット53と各部品実装機21との間を移動可能に設けられている。第2ローダ51は、フィーダストックユニット53に保管されている部品フィーダ22を各部品実装機21まで搬送するとともに、各部品実装機21への部品フィーダ22の供給及び回収を自動的に行う装置である。本実施例の第2ローダ51は、部品フィーダ専用の第2ローダとなっている。第2ローダ51は生産管理用コンピュータ6と通信可能に接続された制御装置52を備えている。制御装置52は、生産管理用コンピュータ6からの指令に基づいて、所定のタイミングでフィーダストックユニット53と各部品実装機21との間の移動動作や、部品フィーダ22の受け渡し動作を行う。
【0024】
ノズルストックユニット49は、基板搬送経路4において複数の部品実装機21の下流側に隣接して設置されている。ノズルストックユニット49は、複数の吸着ノズル29を収容したノズルステーション32を保管する装置であって、本実施例ではノズル専用のノズルストックユニットとなっている。ノズルストックユニット49は、ヘッド及びXYロボット(いずれも図示省略)を備えている。ヘッド及びXYロボットは、ノズルストックユニット49に収容されるノズルステーション32と第1ローダ41に収容されるノズルステーション32との間で、各ノズルステーション32に保持されている吸着ノズル29を移載する。ノズルストックユニット49は、ノズル自動洗浄機構(図示省略)を備えており、ノズル自動洗浄機構によって吸着ノズル29が自動洗浄される。なお、ノズルストックユニット49では、吸着ノズル29についての検査や交換も自動的に行われる。
【0025】
第1ローダ41は、ノズルストックユニット49と各部品実装機21との間を移動可能に設けられている。第1ローダ41は、ノズルストックユニット49に保管されているノズルステーション32を各部品実装機21まで搬送するとともに、ノズルステーション32(吸着ノズル29)の供給及び回収を自動的に行う装置である。本実施例の第1ローダ41は、ノズル専用の第1ローダとなっている。第1ローダ41は、ローダ本体43、収容部42、昇降機構45、送出機構46等を備える。ローダ本体43は、収容部42、昇降機構45、送出機構46等を内部に収容するとともに、その部品実装機21側の面に、ノズルステーション32を出し入れするための開口部44を有している。開口部44は、部品実装機21側の前面に設けられた差込口37とほぼ同じ高さ位置に形成されている。収容部42は、複数の吸着ノズル29を保持するノズルステーション32を水平状態にして、上下方向に並べて複数収容するための部分である。収容部42は、例えば、複数段の棚48を有している。昇降機構45は、収容部42に収容されたノズルステーション32を昇降させるための機構である。昇降機構45は、例えば、収容部42の下方にて上向きに設けられたエアシリンダ装置や電動アクチュエータ等の駆動手段であってもよいが、この種の駆動手段のみに限定されない。昇降機構45は、伸縮動作によって収容部42を昇降させることで、特定のノズルステーション32を開口部44の高さに位置合わせする。送出機構46は、位置合わせされた特定のノズルステーション32を、開口部44及び差込口37を介して部品実装機21内に送り出す機構である。送出機構46は、例えば、棚48の上面にノズルステーション32を載せた状態で、収容部42内とノズル交換装置28の近傍位置との間を水平移動するように構成されている。
【0026】
第1ローダ41は生産管理用コンピュータ6と通信可能に接続された制御装置47を備えている。制御装置47は、生産管理用コンピュータ6からの指令に基づいて、所定のタイミングでノズルストックユニット49と各部品実装機21との間の移動動作や、ノズルステーション32の昇降動作及び送出動作を行う。
【0027】
次に、部品実装システム11によるノズルステーション32の交換(吸着ノズル29の自動段取り替え)について説明する。
【0028】
部品実装システム11が稼働して回路基板1に部品2を実装する処理を行っているときには、部品フィーダ専用の第2ローダ51が稼働する。第2ローダ51は、フィーダストックユニット53と各部品実装機21との間を移動し、各部品実装機21に対して部品フィーダ22の供給及び回収を自動的に行う。このとき、ノズル専用の第1ローダ41は、搬送動作中の第2ローダ51と干渉しないように、予めノズルストックユニット49のある位置にて待機する。そこで第1ローダ41は、ノズルステーション32に保持する吸着ノズル29の交換等の準備作業を行う。
【0029】
段取り替えのために部品実装処理を停止しているときには、ノズル専用の第1ローダ41が稼働する。このとき、第2ローダ51は、搬送動作中の第1ローダ41と干渉しないように、予めフィーダストックユニット53のある位置まで戻りそこで待機する。第2ローダ51が待機位置に戻った後、第1ローダ41は、複数の部品実装機21のうちの特定の部品実装機21まで移動し、ノズルステーション32に保持する吸着ノズル29の交換動作を実施する。すなわち、第1ローダ41は、ノズルストックユニット49に保管されているノズルステーション32を特定の部品実装機21まで搬送する。第1ローダ41は、そこで吸着ノズル29を保管するノズルステーション32の供給及び回収を自動的に行う。このような交換動作は、例えば、基板搬送経路4の上流側に位置する部品実装機21から下流側に向かって順番に行ってもよいが、特に限定されず任意の位置から行ってもよい。なお、基板搬送経路4の上流側に位置する部品実装機21から下流側に向かって順番に行うと、基板搬送経路4の上流側に位置する部品実装機21への部品フィーダ専用の第2ローダ51のアクセスが可能となる。第2ローダ51によって、基板搬送経路4の上流側に位置する部品実装機21から順に部品フィーダ22の交換を行うことで、部品フィーダ22の交換と吸着ノズル29の交換を同時に行うことができる。これによって、部品実装システム11の段取り変え作業を短時間で効率的に行うことができる。
【0030】
ノズルステーション32の交換動作は、例えば、以下の手順で実施される。まず、第1ローダ41の制御装置47は、収容部42において空のノズルステーション32が載置された棚48(即ち、吸着ノズル29が収容されていないノズルステーション32が載置された棚48)を指定する。次に制御装置47は、昇降機構45を駆動して、指定された棚48を開口部44の高さとなるように位置合わせする。次に制御装置47は、送出機構46を駆動して、指定された棚48を部品実装機21内に送出する。この後、部品実装機21側の移動装置24及びヘッドユニット23が駆動され、部品実装機21側のノズルステーション32から第1ローダ41から送出されたノズルステーション32へ吸着ノズル29を移載する。すると制御装置47は、送出機構46を駆動して、当該棚48とともにノズルステーション32を収容部42に引き込み、ノズルステーション32を部品実装機21から回収する。次に制御装置47は、部品実装機21に供給する吸着ノズル29が収容されたノズルステーション32を載せた別の棚48を指定する。制御装置47は、昇降機構45を駆動して、その指定された棚48を開口部44の高さとなるように位置合わせする。次に制御装置47は、送出機構46を駆動して、未使用の吸着ノズル29が収容されたノズルステーション32を載せた棚48を部品実装機21内に送出する。この後、部品実装機21側の移動装置24及びヘッドユニット23が駆動され、第1ローダ41から送出されたノズルステーション32から部品実装機21側のノズルステーション32へ吸着ノズル29を移載する。吸着ノズル29の移し替えの完了後、制御装置47は、送出機構46を駆動して、空になったノズルステーション32が載置された棚48を収容部42内に引き込む。以上のようにして1つの部品実装機21についての吸着ノズル29の交換動作が終了する。この後、第1ローダ41は、別の部品実装機21の位置まで移動し、同様の手順で交換作業を実施する。
【0031】
以上説明したように、本実施例の部品実装システム11は、複数の部品実装機21と、ノズル専用のノズルストックユニット49と、ノズル専用の第1ローダ41を備える。従来の部品実装システムでは、吸着ノズル29が基板搬送経路4の外に設置されたノズルストッカに保管されていた。このため、段取り替えの際には、離れた位置にあるノズルストッカから吸着ノズル29を運んできて作業者が交換する必要があり、段取り替えの作業を自動的にかつ効率よく行うことができなかった。これに対して、上述した本実施例の部品実装システム11の構成によると、基板搬送経路4上に設置されたノズルストックユニット49から第1ローダ41が吸着ノズル29を搬送してきて、複数の部品実装機21に自動的に供給及び回収を行う。従って、吸着ノズル29の自動段取り替えをスムーズに行うことができる。
【0032】
また、本実施例の部品実装システム11によれば、吸着ノズル29を専用のノズルストックユニット49に保管しておき、そこから部品実装機21に吸着ノズル29を供給する。このため、例えば、吸着ノズル29をフィーダストックユニット53の一部に保管しておき、そこから部品実装機21に吸着ノズル29を供給する構成とは異なり、フィーダストックユニット53のスロットを常に圧迫するようなことがない。また、部品フィーダ22を搬送する第2ローダ51のスロットを常に圧迫するようなこともない。なお、図2,3では、フィーダ保持部30の半分にのみ部品フィーダ22がセットされている状態が表示されているが、棚48上のノズルステーション32が第1ローダ41に回収されると、フィーダ保持部30の残りの半分にも部品フィーダ22をセットすることができる。したがって、フィーダ保持部30の全体を、部品フィーダ22を装着するためのスペースとして活用することができる。
【0033】
上述した部品実装システム11では、ノズルストックユニット49は、当該ノズルストックユニット49と第1ローダ41との間で吸着ノズル29を移載するヘッド及びXYロボットを備える。このような構成によれば、ノズルストックユニット49と第1ローダ41との間で、吸着ノズル29を自動的に移載することができる。また、部品実装処理中であっても、そのヘッド及びXYロボットを用いて、吸着ノズル29についての検査や交換等の作業を行うことができる。
【0034】
上述した部品実装システム11では、第1ローダ41は、収容部42と昇降機構45と送出機構46を備え、複数の吸着ノズル29を保持するノズルステーション32の送り出しと引き込みを自動的にかつ確実に行うことができる。なお、第1ローダ41は、ノズルステーション32を部品実装機21側に送出する機構を備えているが、吸着ノズル29を移載する作業を行うための手段を備えていない。移載作業については、各部品実装機21の移動装置24及びヘッドユニット23が行う。これによって、移載用の機構を搭載していない分だけ、第1ローダ41の軽量化や小型化を図ることができる。
【0035】
以上、実施例1について説明したが具体的な態様は上記実施例1に限定されるものではない。上記の実施例1では、ノズル専用の第1ローダ41及びノズル専用のノズルストックユニット49を備えるものとしたが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、ノズル専用ではなくノズルステーション32以外の他のユニットも搭載可能な第1ローダ41や、当該他のユニットも保管可能なノズルストックユニット49としてもよい。同様に、上記の実施例1では、部品フィーダ専用の第2ローダ51及び部品フィーダ専用のフィーダストックユニット53を備えるものとしたが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、部品フィーダ専用ではなく他のユニットも搭載可能な第2ローダ51や、当該他のユニットも保管可能なノズルストックユニット49としてもよい。
【0036】
上記の実施例1では、ノズルストックユニット49を基板搬送経路4の下流側に設け、フィーダストックユニット53を上流側に設けたが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、ノズルストックユニット49を基板搬送経路4の上流側に設け、フィーダストックユニット53を下流側に設けてもよい。
【0037】
上記の実施例1では、第1ローダ41は、複数の吸着ノズル29を保持した状態のノズルステーション32を積み込んで搬送し、ノズルステーション32ごと部品実装機21に送り出すように構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、ノズルステーション32を用いることなく複数の吸着ノズル29自体を積み込んで搬送し、その積み込まれた吸着ノズル29を部品実装機21に送り出すように構成してもよい。
【0038】
上記の実施例1では、第1ローダ41は、昇降機構45で特定の位置に位置合わせされたノズルステーション32を部品実装機21側に送り出す送出機構46を備えていたが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、第1ローダ41は、このような送出機構46を備えていなくてもよく、部品実装機21側に設けた装置によりノズルステーション32を第1ローダ41側から取り出すように構成してもよい。
【0039】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0040】
1 :回路基板
2 :部品
4 :基板搬送経路
11 :部品実装システム
21 :部品実装機
22 :部品フィーダ
23b :ヘッド
29 :吸着ノズル
32 :ノズルストックユニット
41 :第1ローダ
42 :収容部
45 :昇降機構
46 :送出機構
51 :第2ローダ
53 :フィーダストックユニット
図1
図2
図3