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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144889
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】健康器具
(51)【国際特許分類】
   A61H 39/04 20060101AFI20231003BHJP
   A61H 7/00 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
A61H39/04 S
A61H7/00 300A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052081
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】511184752
【氏名又は名称】株式会社ジュート
(74)【代理人】
【識別番号】100106404
【弁理士】
【氏名又は名称】江森 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100112977
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 有子
(72)【発明者】
【氏名】森平 茂生
【テーマコード(参考)】
4C100
4C101
【Fターム(参考)】
4C100AA02
4C100AA06
4C100AA15
4C100AA32
4C100AA33
4C100AA34
4C100BB01
4C100CA01
4C100DA01
4C100DA04
4C100DA05
4C100DA08
4C100DA10
4C100EA13
4C101BA01
4C101BB01
4C101BB04
4C101BB05
4C101BB06
4C101BB07
4C101BB08
4C101BB10
4C101BB11
4C101BC27
4C101BD03
4C101BD07
4C101BD22
4C101BD23
4C101BD26
4C101BE02
(57)【要約】
【課題】所定の魚形状とすることによって、簡易形状、かつ、立体的形状であるにもかかわらず、片手で把持しやすく、比較的小さな所望場所に対しても、多種多様の、適格な施術が可能な健康器具を提供する。
【解決手段】所定の施術部を有する魚形状の健康器具であって、尾びれ状施術部が、一対の、第1の尾びれ部と、第2の尾びれ部と、を有し、それぞれ直交する、第1の平面と、第2の平面と、を含む所定空間を想定し、腹部状施術部及び第2の尾びれ部を、第1の平面及び第2の平面と当接するように配置した場合に、第1の平面に対し、少なくとも2点で接することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部状施術部と、背びれ状施術部と、腹部状施術部と、尾びれ状施術部と、を有する魚形状の健康器具であって、
前記尾びれ状施術部は、一対の、第1の尾びれ部と、第2の尾びれ部と、を有し、
前記背びれ状施術部と、前記腹部状施術部との間に、側面方向に延設された、頂部を有し、かつ、
それぞれ直交する、第1の平面と、第2の平面と、を含む所定空間を想定し、前記腹部状施術部及び前記第2の尾びれ部を、前記第1の平面及び前記第2の平面と当接するように配置した場合に、前記第1の平面に対し、少なくとも2点で接することを特徴とする健康器具。
【請求項2】
それぞれ直交する、第1の平面と、第2の平面と、を含む所定空間を想定し、前記背びれ状施術部及び前記第1の尾びれ部を、前記第1の平面及び前記第2の平面と当接するように配置した場合に、前記第1の平面及び前記第2の平面に対し、それぞれ少なくとも2点で接することを特徴とする請求項1に記載の健康器具。
【請求項3】
それぞれ直交する、第1の平面と、第2の平面と、を含む所定空間を想定し、前記第1の尾びれ部及び前記第2の尾びれ部を、前記第1の平面及び前記第2の平面と当接するように配置した場合に、前記第1の平面及びに対し、少なくとも2点で接することを特徴とする請求項1又は2に記載の健康器具。
【請求項4】
前記頭部状施術部と、前記腹部状施術部との間に、エッジ状施術部を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の健康器具。
【請求項5】
前記腹部状施術部と、前記第2の尾びれ部との間に、鞍状施術部を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の健康器具。
【請求項6】
金属材料、樹脂材料、セラミック材料又は木質材料の少なくとも一つから構成してあることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の健康器具。
【請求項7】
それぞれ直交する、第1の平面と、第2の平面と、を含む所定空間を想定し、前記腹部状施術部及び前記第2の尾びれ部を、前記第1の平面及び前記第2の平面と当接するように配置した状態で、前記背びれ状施術部側から平面視し、前記頭部状施術部と前記尾びれ状施術部とを結ぶ中心線に沿って切断した場合に、左右の切断物が対称形であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の健康器具。
【請求項8】
それぞれ直交する、第1の平面と、第2の平面と、を含む所定空間を想定し、前記腹部状施術部及び前記第2の尾びれ部を、前記第1の平面及び前記第2の平面と当接するように配置した状態で、前記背びれ状施術部側から平面視し、前記頭部状施術部及び前記尾びれ状施術部から等距離にある横断線に沿って、前部と後部とに切断した場合に、前部の切断物100重量部に対して、後部の切断物の重量が80~120重量部の範囲内の値であることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の健康器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康器具に関し、特に、簡易形状、かつ、立体的形状であるにもかかわらず、片手により多種多様な施術が可能な健康器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手で把持し、人力により患部に刺激を加える、健康器具が提案されている。
これらの健康器具は、筋肉の疲労状態や筋肉に生じた炎症などの症状を緩和するために用いられているが、通常、1つの健康器具につき、1つの施術部を有するのみであり、多種多様な施術に対応するには、複数の健康器具を使用しなくてはならないという問題が見られた。
【0003】
そこで、外周部に、複数の曲線形状を有する薄い平板状の、いわゆる皮膚や、その患部に対する施術道具としての「かっさ」が、開示されている(例えば、特許文献1参照)。
より具体的には、図8(a)に示すように、平板状のかっさ200は、小さな波形状201と、大きな波形状202と、外側に突き出した円弧形状203と、内側に窪んだ円弧形状204と、内側に窪んだV字形状205と、半円形状206と、を有している。
【0004】
一方、出願人は、施術対象が自分自身であっても、筋膜リリース等の所定施術を主とし、多種多様な施術が可能な健康器具を提案している(例えば、特許文献2参照)。
より具体的には、図8(b)に示すように、少なくとも1つ以上の把持部311a及び311bと、長さ方向に沿って延設された施術部310と、湾曲部320と、を有する、棒状の健康器具であって、所定断面形状を有することを特徴とする健康器具300である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国実用新案213851896号公報(実用新案請求の範囲、図面等)
【特許文献2】WO2020/129350号公報(特許請求の範囲、図面等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のかっさは、薄い平板状であるため把持しにくいとともに、当該かっさを皮膚や、その患部に当接させて、加える圧力や刺激を調整しづらいという問題が見られた。
又、特許文献1に記載のかっさは、一種の「へら」であることから、マッサージオイルやマッサージワックス等のたまりを形成することが困難であって、所望場所に繰り返し適用しにくいばかりか、かっさが滑ってしまい、益々把持しにくいという問題が見られた。
【0007】
一方、特許文献2に記載の健康器具は、両手で把持して、腕、腿、あるいはふくらはぎ等における筋膜リリース等の比較的大面積である箇所の施術には好適であるが、片手で把持して、顔の皮膚等の比較的小さな場所に適用する場合には、精度良く施術しにくいという問題が見られた。
しかも、基本的に、両手で把持して、筋膜リリース等の施術に用いるため、それなりの長さ(約25~40cm)と、断面における円相当径(約3~8cm)が必要であって、持ち運び性が若干劣るという問題が見られた。
【0008】
そこで、本願の発明者は、鋭意検討した結果、所定施術部を有するユニークな立体形状の健康器具とすることにより、片手による簡単な施術であっても、顔の皮膚や筋肉に生じた患部などに対しても、所望圧力で、適格に適用できることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0009】
すなわち、本発明は、全体的に、所定の魚形状とすることによって、簡易形状、かつ、立体的形状であるにもかかわらず、片手で把持しやすく、比較的小さな所望場所に対しても、多種多様の、適格な施術が可能な健康器具(以下、かっさと称する場合がある。)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、頭部状施術部と、背びれ状施術部と、腹部状施術部と、尾びれ状施術部と、を有する魚形状の健康器具であって、尾びれ状施術部は、一対の、第1の尾びれ部と、第2の尾びれ部と、を有し、背びれ状施術部と、腹部状施術部との間に、側面方向に延設された、頂部を有し、かつ、それぞれ直交する、第1の平面と、第2の平面と、を含む所定空間を想定し、腹部状施術部及び第2の尾びれ部を、第1の平面及び第2の平面と当接するように配置した場合に、第1の平面に対し、少なくとも2点で接することを特徴とする健康器具が提供され、上述した問題を解決することができる。
すなわち、本発明の健康器具によれば、ユニークな立体形状(魚状)の健康器具とし、それぞれ形状や設置位置が異なる、頭部状施術部と、背びれ状施術部と、腹部状施術部と、尾びれ状施術部とを備えることにより、顔の皮膚や、体の患部などの様々な部位に対応して、多種多様であって、適格かつ集中的な施術を行うことができる。
又、側面方向に延設された頂部により、当該頂部に指をかけることができるため、施術の際に力をかけやすく、加える圧や刺激を容易に調整することができる。
更に、腹部状施術部及び第2の尾びれ部を、第1の平面及び第2の平面と当接するように配置した場合に、第1の平面に対し、少なくとも2点で接する構造により、いずれの施術部を用いて施術する場合においても、片手で把持しやすく、比較的小さい箇所に対しても、好適な施術を行うことができる。
【0011】
又、本発明を構成するにあたり、それぞれ直交する、第1の平面と、第2の平面と、を含む所定空間を想定し、背びれ状施術部及び第1の尾びれ部を、第1の平面及び第2の平面と当接するように配置した場合に、第1の平面及び第2の平面に対し、それぞれ少なくとも2点で接することが好ましい。
このような構成とすることにより、マッサージオイルやマッサージワックス等のたまりを所定場所に形成することができ、ひいては、マッサージオイルやマッサージワックス等を使用しながら施術する場合であっても、健康器具をしっかり把持したまま、適格な施術を行うことができる。
【0012】
又、本発明を構成するにあたり、それぞれ直交する、第1の平面と、第2の平面と、を含む所定空間を想定し、第1の尾びれ部及び第2の尾びれ部を、第1の平面及び第2の平面と当接するように配置した場合に、第1の平面及びに対し、少なくとも2点で接することが好ましい。
このような構成とすることにより、尾びれ状施術部の側面自体を、施術部として利用することができ、更には、頭部状施術部又は後述するエッジ状施術部を使用する際に、施術者の小指球と母指球の間に、尾びれの側面が適合しやすくなり、より力をかけやすく、好適な施術を行うことができる。
なお、本明細書において、エッジ状とは、一例であるが、断面形状において厚みが先端に向かって縮小し、所定幅の直線をなしている形状を意味する。
【0013】
又、本発明を構成するにあたり、頭部状施術部と、腹部状施術部との間に、エッジ状施術部を有することが好ましい。
このような構成とすることにより、滑らかな形状の曲面を施術部として利用することができ、人の筋膜や筋肉などの軟部組織に対して、効果的に擦り付けることができ、より好適な施術を行うことができる。
【0014】
又、本発明を構成するにあたり、腹部状施術部と、第2の尾びれ部との間に、鞍状施術部を有することが好ましい。
このような構成とすることにより、鞍状の形状に沿った広い領域を施術部として利用することができ、腕等に沿って擦りつけることで、広い範囲を一度に施術することができる。
【0015】
又、本発明を構成するにあたり、金属材料、樹脂材料、セラミック材料又は木質材料の少なくとも一つから構成することが好ましい。
このような構成とすることにより、健康器具の重量や耐久性、平滑性等を適宜変更することができ、更には、より適切な施術を行うことができる。
【0016】
又、本発明を構成するにあたり、それぞれ直交する、第1の平面と、第2の平面と、を含む所定空間を想定し、腹部状施術部及び第2の尾びれ部を、第1の平面及び第2の平面と当接するように配置した状態で、背びれ状施術部側から平面視し、頭部状施術部と尾びれ状施術部とを結ぶ中心線に沿って切断した場合に、左右の切断物が対称形であることが好ましい。
このような構成とすることにより、左右のいずれの手であっても持ちやすく、適格な施術が可能になり、製造する際においても、所定の対称性を有する金型等を使用することで、容易に製造することができる。
【0017】
又、本発明を構成するにあたり、それぞれ直交する、第1の平面と、第2の平面と、を含む所定空間を想定し、腹部状施術部及び第2の尾びれ部を、第1の平面及び第2の平面と当接するように配置した状態で、背びれ状施術部側から平面視し、頭部状施術部及び尾びれ状施術部から等距離にある横断線に沿って、前部と後部とに切断した場合に、前部の切断物100重量部に対して、後部の切断物の重量が80~120重量部の範囲内の値であることが好ましい。
このような構成とすることにより、健康器具を持ち替えやすく、長時間施術した場合であっても施術者は疲れにくい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1(a)は、第1の実施形態の健康器具を側面方向から見て、概略的に説明するために供する側面図であり、図1(b)は、図1(a)に示した健康器具を正面方向から見て、概略的に説明するために供する正面図であり、図1(c)は、図1(a)に示した健康器具を背面方向から見て、概略的に説明するために供する背面図である。
図2図2(a)は、図1(a)に示した健康器具を上面方向から見て、概略的に説明するために供する上面図であり、図2(b)は、図1(a)に示した健康器具を底面方向から見て、概略的に説明するために供する底面図である。
図3図3(a)は、図1(a)に示した健康器具を側面方向から見て、当該健康器具と所定空間における所定平面との関係を説明するために供する図であり、図3(b)は、図3(a)に示した健康器具と所定平面との関係を、背面方向から見て説明するために供する図であり、図3(c)は、図1(a)に示した健康器具を上面方向から見て、所定の中心線及び所定の横断線を説明するために供する図である。
図4図4(a)は、図1(a)に示した健康器具を側面方向から見て、当該健康器具と別の所定空間における別の所定平面との関係を説明するために供する図であり、図4(b)は、図4(a)に示した健康器具と所定平面との関係を背面方向から見て説明するために供する図である。
図5図5(a)は、図1(a)に示した健康器具の底面方向から見て、当該健康器具と更なる別の所定空間における別の所定平面との関係を説明するために供する図であり、図5(b)は、図5(a)に示した健康器具と所定平面との関係を側面方向から見て説明するために供する図である。
図6図6(a)は、第1の実施形態における、別の健康器具の具体例を、側面方向から見て説明するために供する側面図であり、図6(b)は、第1の実施形態における、更なる別の健康器具の具体例を、側面方向から見て説明するために供する側面図であり、図6(c)は、図6(b)に示した健康器具を、底面方向から見て、説明するために供する図である。
図7図7は、第2の実施形態の健康器具の製造方法を説明するために供するフロー図である。
図8図8(a)は、従来の「かっさ」を説明するために供する図であり、図8(b)は、従来の健康器具を説明するために供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、図1~3に例示するように、頭部状施術部12と、背びれ状施術部14と、腹部状施術部16と、尾びれ状施術部18と、を有する魚形状の健康器具であって、尾びれ状施術部18は、一対の、第1の尾びれ部20と、第2の尾びれ部22と、を有し、背びれ状施術部18と、腹部状施術部16との間に、側面方向に延設された、頂部24を有し、かつ、それぞれ直交する、第1の平面30と、第2の平面32と、を含む所定空間を想定し、腹部状施術部16及び第2の尾びれ部22を、第1の平面30及び第2の平面32と当接するように配置した場合に、第1の平面30に対し、少なくとも2点、すなわち、t1及びt2で接することを特徴とする健康器具10である。
以下、第1の実施形態の健康器具を、適宜、図面を参照して具体的に説明する。
【0020】
1.基本構成
(1)形状
健康器具10は、図1等に示すように、所定施術部を有するユニークな立体形状(魚状)であって、複数の施術部を有することを特徴とする。
この理由は、立体的な魚形状とすることにより、複数の施術部を有するにもかかわらず、簡易形状を維持することができ、簡易形状、かつ、立体的形状であるにもかかわらず、片手で把持しやすく、比較的小さな所望場所に対しても、多種多様の適格な施術が可能なためである。
【0021】
又、健康器具10は、図3に示すように、それぞれ直交する、第1の平面30と、第2の平面32と、を含む所定空間を想定し、腹部状施術部16及び第2の尾びれ部22を、第1の平面30及び第2の平面32と当接するように配置した場合に、第1の平面30に対し、少なくともt1及びt2の2点で接する形状であることを特徴とする。
この理由は、このような形状とすることにより、いずれの施術部を用いて施術する場合においても、施術者の手に馴染みやすく、片手で把持しやすいため、加える圧や刺激を容易に調整することができ、比較的小さい箇所に対しても、好適な施術を行うことができるためである。
【0022】
又、健康器具10と、第1の平面30との接点は、少なくとも2点で接する限り、特に限定されるものではないが、3点、4点又は5点であっても良い。
この理由は、接点の数が所定の範囲内であると、いずれの施術部を用いて施術する場合であっても、健康器具の把持しやすさを維持することができ、加える圧や刺激を容易に調整することができるためである。
【0023】
又、健康器具10は、図4に示すように、第1の平面30aと、第2の平面32aと、を含む所定空間を想定し、背びれ状施術部14及び第1の尾びれ部20を、第1の平面30a及び第2の平面32aと当接するように配置した場合に、第1の平面30a及び第2の平面32aに対し、それぞれ少なくとも2点、すなわち、第1の平面30aに対し、少なくともt3及びt4、並びに、第2の平面32aに対し、少なくともt5及びt6において接することが好ましい。
この理由は、このような形状とすることにより、マッサージオイルやマッサージワックス等のたまりを所定場所に形成することができ、ひいては、マッサージオイルやマッサージワックス等を使用しながら施術する場合であっても、健康器具を強固に把持することができ、健康器具が手から滑り落ちることなく、適格な施術を行うことができるためである。
【0024】
又、健康器具10と、第1の平面30a及び第2の平面32aとの接点は、それぞれ少なくとも2点で接する限り、特に限定されるものではないが、3点、4点又は5点であっても良い。
この理由は、接点の数が所定の範囲内であると、健康器具を強固に把持することができ、マッサージオイルやマッサージワックス等を使用しながら施術する場合においても、健康器具が手から滑り落ちることを防止できるためである。
【0025】
又、健康器具10は、図5に示すように、それぞれ直交する、第1の平面30bと、第2の平面32bと、を含む所定空間を想定し、第1の尾びれ部20及び第2の尾びれ部22を、第1の平面30b及び第2の平面32bと当接するように配置した場合に、第1の平面30b及びに対し、少なくとも2点、すなわち、t7及びt8において接する形状であることが好ましい。
この理由は、このような形状とすることにより、第1の尾びれ部20及び第2の尾びれ部22の間の、尾びれ状施術部18の側面自体を施術部として利用することができ、より多様な施術に対応でき、頭部状施術部12又はエッジ状施術部26を使用し施術する際に、施術者の小指球と母指球との間に、尾びれの側面が適合しやすくなり、より力をかけやすくなり、好適な施術を行うことができるためである。
更に、このような構成とすることにより、マッサージオイル等を使用しながら施術する場合であっても、健康器具が手から滑り落ちづらくなり、より好適な施術を行うことができる。
【0026】
又、健康器具10と、第1の平面30bとの接点は、少なくとも2点で接する限り、特に限定されるものではないが、3点、4点又は5点であっても良い。
この理由は、接点の数が所定の範囲内であると、尾びれ状施術部18の側面自体を施術部として利用することができ、かつ、所定の施術部を使用し施術する際に、施術者の小指球及び母指球の間と、尾びれの側面と、の良好な適合状態を保つことができ、健康器具が手から滑り落ちづらい状態を維持しやすいためである。
【0027】
(2)長さ
図1等に示す健康器具10の全体長さ(L1)としては、特に限定されるものではないが、好適に片手で施術できる長さであり、かつ、取り回しや持ち運びの容易さを保てる長さであることが好ましい。
より具体的には、全体長さ(L1)を8~20cmの範囲内の値とすることが好ましく、10~18cmの範囲内の値とすることがより好ましく、12~15cmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0028】
(3)幅
図1等に示す健康器具10の全体幅(W1)としては、特に限定されるものではないが、片手で把持できる幅であり、かつ、取り回しや持ち運びの容易さを保てる幅であることが好ましい。
従って、より具体的には、全体幅(W1)を1.0~3.5cmの範囲内の値とすることが好ましく、1.2~3.2cmの範囲内の値とすることがより好ましく、1.5~3.0cmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0029】
(4)高さ
図1等に示す健康器具10の全体高さ(T1)としては、特に限定されるものではないが、片手で把持できる高さであり、かつ、取り回しや持ち運びの容易さを保てる高さであることが好ましい。
従って、より具体的には、全体高さ(T1)を2.0~5.0cmの範囲内の値とすることが好ましく、2.5~4.8cmの範囲内の値とすることがより好ましく、3.0~4.5cmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0030】
(5)重量バランス
又、健康器具10は、図3(a)~(c)に示すように、それぞれ直交する、第1の平面30と、第2の平面32と、を含む所定空間を想定し、腹部状施術部16及び第2の尾びれ部22を、第1の平面30及び第2の平面32と当接するように配置した状態で、背びれ状施術部14側から平面視し、頭部状施術部12及び尾びれ状施術部18から等距離にある横断線C2に沿って、前部と後部とに切断した場合に、前部の切断物100重量部に対して、後部の切断物の重量が80~120重量部の範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、前後の切断物における重量の比を所定の範囲とすることにより、健康器具の重心を魚形状の中心付近に保つことができ、用いる施術部を変更する際にも、健康器具を持ち替えやすく、長時間施術した場合であっても施術者が疲れにくいためである。
従って、より具体的には、前部の切断物100重量部に対して、後部の切断物の重量が90~110重量部の範囲内の値であることがより好ましく、95~105重量部の範囲内の値であることが更に好ましく、前部の切断物の重量と後部の切断物の重量とが実質的に等しいことが最も好ましい。
【0031】
(6)構成材料
図1等に示される健康器具10の構成材料の種類は特に制限されるものでないが、例えば、金属材料、樹脂材料(ゴム材料を含む)、セラミック材料又は木質材料の少なくとも1つから構成されることが好ましい。
この理由は、このような構成材料を用いることによって、健康器具10の軽量性(重量)や耐久性、平滑性等を適宜変更することができ、ひいては、健康器具10を用いて、長時間にわたり、より適切な施術を行うことができるためである。
すなわち、このような構成材料を用いる健康器具10によれば、複数回使用した場合においても、健康器具10の歪曲等が生じない強度を保つことができる。
又、このような構成材料を用いる健康器具10によれば、対象となる患部に裂傷を与える可能性のある、健康器具10における表面の損傷等を防ぐことができるとともに、取り回しや持ち運びが容易な軽量性(所定重量)を保つことができる。
【0032】
なお、振動の減衰能力が低い素材を、構成材料として用いた場合、施術時に患部の発する微細な振動を、健康器具10を通じて感じ取ることができる。
従って、患部の健康状態等を読み取れる場合があることから、金属材料を構成材料とすることがより好ましい。
そして、金属材料の種類としては、良好な軽量性(例えば、室温で比重:2.5~2.8)を有し、比較的安価であるとともに、複雑な形状への成形加工が容易なことから、アルミニウムやアルミニウム合金(JIS材質規格に準じてなる2011、2014、2017、2024、2117、2219、3003、3004、5005、5086、6063、7075等)を用いることがより好ましい。
その上、アルミニウムやアルミニウム合金であれば、熱伝導率が高く(例えば、室温で230~240W/(m・℃))、かつ比熱(例えば、室温で230~240W/(m・℃))が小さいことから、施術時に人肌に適した温度(例えば、20~25℃)になりやすいという特徴がある。
従って、アルミニウムやアルミニウム合金を構成材料とする健康器具10であれば、施術の対象者に対して、良好な心地よさを与えるとともに、負担を掛けにくいという利点も得ることができる。
【0033】
又、人体に対するアレルギー性が極めて低く、高硬度(HV硬度が110~300)で、比較的良好な軽量性(例えば、室温で比重:4.1~4.5)を有し、高い耐久性を有しており、人体への施術に用いやすいことから、金属材料のうち、チタンやチタン合金を用いることも好ましい。
このようなチタンやチタン合金として、例えば、JIS材質規格に準じてなるJIS1種、JIS2種、高力合金系のJIS60種やJIS61種、耐食系合金としては、JIS11種、JIS12種等が挙げられる。
その上、チタンやチタン合金であれば、高い耐食性を有するため、表面汚れなどの付着物を除去しやすく、長期保管性も良好であるという利点も得ることができる。
【0034】
一方、金属材料と比べて、非常に軽量であって、形状の加工性や経済性(安価)等が優れることから、樹脂材料を用いることも好ましい。
樹脂材料中を用いる場合、所定フィラーや強化繊維を配合することにより、金属材料と同等の機械的強度を有しながら、良好な軽量性や加工性を維持することができる。
従って、着色効果等を発揮して、装飾性を向上させることができる。
ここで、樹脂材料の主成分としては、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタンン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、炭化水素系樹脂等の少なくとも1つが挙げられる。
【0035】
又、所定フィラーとしては、例えば、平均粒径が0.01~100μmのシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水素化マグネシウム、金属マグネシウム、金属チタン、カーボンフィラー等が挙げられる。
又、所定強化繊維としては、例えば、平均長が0.1~3mmのカーボンファイバー、ガラス繊維、オレフィン繊維等が挙げられる。
そして、その所定フィラーや所定強化繊維の配合量は、これらの種類、樹脂材料の主成分の種類、健康器具の耐久性や用途等にもよるが、通常、樹脂材料の主成分100重量部に対して、0.1~80重量部の範囲内の値にすることが好ましい。
この理由は、所定フィラーや所定強化繊維の配合量を上記の範囲内の値とすることで、健康器具において、良好な機械的強度を付与するとともに、取り回しや持ち運びが容易な軽量性(所定重量)を保つことができるためである。
従って、所定フィラーや所定強化繊維の配合量を樹脂材料の主成分100重量部に対して、1~60重量部の範囲内の値にすることがより好ましく、10~50重量部の範囲内の値にすることが更に好ましい。
【0036】
その上、構成材料の一部として、ネオジウム、サマリウム、コバルト、ジルコニウム、フェライト等の磁性材料を配合することにより、健康器具10を所定形状に成形したのち、更に磁化することにより、磁性健康器具とすることもできる。
このように磁性健康器具とした場合、人体の皮膚に当接した際、磁気により血行の促進される場合があり、更に良好かつ迅速な施術効果を得ることができる。
そして、磁性材料の配合量としては、磁性材料の種類、樹脂材料の主成分の種類、健康器具の耐久性や用途等にもよるが、通常、樹脂材料の主成分100重量部に対して、0.1~10重量部の範囲内の値にすることが好ましい。
この理由は、磁性材料の配合量を上記の範囲内の値とすることで、健康器具10に過度に人体に影響を及ぼさない程度の磁気を付与できるとともに、取り回しや持ち運びが容易な軽量性(所定重量)を保つことができるためである。
従って、磁性材料の配合量を樹脂材料の主成分100重量部に対して、0.5~8重量部の範囲内の値にすることがより好ましく、1~5重量部の範囲内の値にすることが更に好ましい。
【0037】
なお、図1等に示す健康器具10における各施術部と、魚形状の胴体部とは、同一材料からなる構成であってもよく、別材料からなる構成であっても良いが、これらの施術部と、魚形状の胴体部とが、接合部を有する場合、当該接合部をすきまやバリなどのない、平滑な表面とすることが好ましい。
この理由は、このように構成することで、接合部に起因した施術時の患部の裂傷等を効果的に防ぎ、よりスムーズかつ安全性の高い施術が可能となるためである。
【0038】
2.施術部
健康器具10は、図1等に例示するように、互いに同一又は異なる形状である、頭部状施術部12と、背びれ状施術部14と、腹部状施術部16と、尾びれ状施術部18とを有する。
この理由は、複数の施術部を有する構成とすることにより、複数の施術部を使い分けることができ、1つの健康器具を用いて、比較的小面積の顔の皮膚や、比較的大面積の腕などの様々な体の部位に対応した、適格な多種多様な施術ができるためである。
【0039】
(1)頭部状施術部
頭部状施術部12は、図1に示すように、魚形状の健康器具10の頭部に位置する施術部である。
このような頭部状施術部を設けることにより、施術者は、当該施術部を患部に押し当て、筋肉の疲労状態や筋肉に生じた炎症などの症状を緩和することができる。
【0040】
又、頭部状施術部の形状は、患部に押し当てる施術が可能であれば、特に限定されないが、突起形状であることが好ましい。
この理由は、突起形状とすることにより、狭い範囲に対して刺激を加えることができ、狭い範囲における炎症などの症状を効果的に緩和することができるためである。
【0041】
更に、頭部状施術部の形状は、健康器具が他の突起形状の施術部を有する場合、他の突起形状の施術部と比べて、鋭い突起形状であることがより好ましい。
この理由は、鋭い突起形状とすることにより、複数の突起形状から患部に適した突起形状を選択することができるためである。
又、頭部状施術部を鋭い突起形状とする場合、突起形状は、患部に過度な痛みを与えない程の突起であることが更に好ましい。
【0042】
又、頭部状施術部12は、図6(a)に示すように、平板状施術部12aであっても良い。
この理由は、頭部状施術部を平らな形状とすることにより、広い範囲に対して刺激を加えることができ、カイロプラクティック等において、好適に施術することができるためである。
【0043】
(2)背びれ状施術部
背びれ状施術部14は、図1に示すように、頭部状施術部12と、第1の尾びれ部20との間に位置する施術部である。
このような背びれ状施術部を設けることにより、施術者は、当該施術部を患部に擦り付けることにより、筋肉の疲労状態や筋肉に生じた炎症などの症状を緩和することができる。
【0044】
又、背びれ状施術部の形状は、患部に擦り付ける施術が可能であれば、特に限定されないが、図1及び図2に示すように、先端部が丸みを帯びたエッジ状であることが好ましい。
この理由は、先端部が丸みを帯びたエッジ状とすることにより、滑らかな形状の曲面を施術部として利用することができ、人の筋膜や筋肉などの軟部組織に対して、より効果的に、擦り付けることができるためである。
【0045】
更に、背びれ状施術部の形状は、健康器具が他のエッジ状の施術部を有する場合、他のエッジ状の施術部とは異なる、所定厚さを有するエッジ状であることがより好ましい。
この理由は、他のエッジ状の施術部とは異なる、所定厚さを有するエッジ状とすることにより、複数のエッジ状から患部に適したエッジ状を選択することができるためである。
従って、より具体的には、所定厚さを1.5~3.0mmの範囲内の値とすることが好ましく、1.7~2.6mmの範囲内の値とすることがより好ましく、1.9~2.2mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0046】
(3)腹部状施術部
腹部状施術部16は、図1に示すように、頭部状施術部12と、第2の尾びれ部22との間に位置する施術部である。
このような腹部状施術部を設けることにより、施術者は、当該施術部を患部に押し当てることにより、筋肉の疲労状態や筋肉に生じた炎症などの症状を緩和することができる。
【0047】
又、腹部状施術部の形状は、患部に押し当てる施術が可能であれば、特に限定されないが、突起形状であることが好ましい。
この理由は、突起形状とすることにより、狭い範囲に対して刺激を加えることができ、狭い範囲における炎症などの症状を効果的に緩和することができるためである。
【0048】
更に、腹部状施術部の形状は、健康器具が他の突起形状の施術部を有する場合、他の突起形状の施術部と比べて、鈍い突起形状であることがより好ましい。
この理由は、鈍い突起形状とすることにより、複数の突起形状から患部に適した突起形状を選択することができるためである。
【0049】
(4)尾びれ状施術部
尾びれ状施術部18は、図1に示すように、魚形状の健康器具10の尻尾部に位置する施術部であり、第1の尾びれ部20と、第2の尾びれ部22とを有する。
又、尾びれ状施術部18は、第1の尾びれ部20と、第2の尾びれ部22との間に、内側に窪んだ側面を有する。
従って、施術者は、当該側面を患部に沿って擦り付ける、又は、第1の尾びれ部又は第2の尾びれ部を押しながら患部に擦り付けることにより、筋肉の疲労状態や筋肉に生じた炎症などの症状を緩和することができる。
【0050】
又、第1の尾びれ部20は、図2に示すように、フック形状とし、その幅を後述する第2の尾びれ部22よりも狭い所定幅W2とすることが好ましい。
この理由は、狭い所定幅W2を有するフック形状とすることにより、第2の尾びれ部を用いて施術した場合よりも狭い範囲に対して、刺激を加えることができるためである。
従って、より具体的には、所定幅W2を0.4~0.9cmの範囲内の値とすることが好ましく、0.5~0.85cmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.6~0.8cmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0051】
又、第2の尾びれ部22は、図2に示すように、その幅を第1の尾びれ部20よりも広い、所定幅とすることがより好ましい。
この理由は、第1の尾びれ部20よりも広い、所定幅とすることにより、第1の尾びれ部を用いて施術した場合よりも広い範囲に対して、刺激を加えることができるためである。
従って、より具体的には、所定幅を1.0~3.5cmの範囲内の値とすることが好ましく、1.2~3.2cmの範囲内の値とすることがより好ましく、1.5~3.0cmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0052】
(5)エッジ状施術部
又、健康器具10は、図6に示すように、更なる施術部として、頭部状施術部12と、腹部状施術部16との間に位置する、エッジ状施術部26を有することが好ましい。
施術者は、エッジ状施術部を患部に擦り付けることにより、筋肉の疲労状態や筋肉に生じた炎症などの症状を緩和することができる。
【0053】
又、エッジ状施術部の形状は、健康器具が他のエッジ状の施術部を有する場合、他のエッジ状の施術部とは異なる、所定厚さを有するエッジ状であることがより好ましい。
この理由は、他のエッジ状の施術部とは異なる、所定厚さを有するエッジ状とすることにより、複数のエッジ状から患部に適したエッジ状を選択することができるためである。
従って、より具体的には、所定厚さを0.8~1.4mmの範囲内の値とすることが好ましく、0.9~1.3mmの範囲内の値とすることがより好ましく、1.0~1.2mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0054】
(6)鞍状施術部
又、健康器具10は、更なる施術部として、図6に示すように、腹部状施術部16と、第2の尾びれ部22との間に位置する、鞍状施術部28を有することが好ましい。
この理由は、鞍状施術部を有することにより、鞍状の形状に沿った広い領域を施術部として利用することができ、腕等に沿って擦りつけることで、広い範囲を一度に施術することができるためである。
なお、鞍状とは、一例ではあるが、山の尾根がくぼんだような形状を意味し、内側に湾曲した形状、すなわち、逆カーブ状を意味する。
【0055】
又、鞍状施術部28の形状は、特に限定されないが、図6(b)~(c)に示すように、エッジ状であることがより好ましい。
この理由は、エッジ状とすることにより、患部に擦り付ける施術が可能になり、鞍状に沿った広い曲面の領域において、筋肉の疲労状態や筋肉に生じた炎症などの症状を緩和することができるためである。
【0056】
又、鞍状施術部の形状をエッジ状とする場合、当該エッジの厚さは特に限定されないが、上記エッジ状施術部と同等の厚さであることが更に好ましい。
この理由は、鞍状施術部及びエッジ状施術部が、腹部状施術部を介して隣接する位置にあるため、鞍状施術部及びエッジ状施術部に跨るのエッジの厚さ同等の厚さとすることにより、製造が容易になるためである。
【0057】
(7)他の施術部
又、健康器具10は、片手で容易に把持できる形状を保てる限り、図6(a)~(c)に示すような、頭部状施術部12、平板状施術部12a、背びれ状施術部14、腹部状施術部16、尾びれ状施術部18、第1の尾びれ部20、第2の尾びれ部22、エッジ状施術部26及び鞍状施術部28と異なる形状の、他の施術部を更に有しても良い。
この理由は、このような構成とすることにより、施術者が、より多くの施術部から患部に適した施術部を選択することができるためである。
他の施術部の形状は、多様な施術が可能になる限り、特に限定されないが、例えば、内側に窪んだ形状、波形状又はV字形状であっても良く、その他の形状であっても良い。
【0058】
3.頂部
又、健康器具10は、図1等に例示するように、背びれ状施術部14と、腹部状施術部16との間に、側面方向に延設された頂部24を有する。
このような頂部を設けることにより、施術者は、当該頂部に指をかけることができるため、施術の際に力をかけやすく、加える圧や刺激を容易に調整することができる。
【0059】
頂部の形状は、指をかけることができる形状であれば特に限定されないが、多角錐状、多角錐台状、円錐状、円錐台状又は球面状とすることが好ましい。
この理由は、このような所定形状を構成することにより、頂部に指をかける際に、より確実に指をかけることができ、加える圧や刺激をより容易に調整することができるためである。
【0060】
4.対称性
又、健康器具10は、図3(a)~(c)に示すように、それぞれ直交する、第1の平面30と、第2の平面32と、を含む所定空間を想定し、腹部状施術部16及び第2の尾びれ部22を、第1の平面30及び第2の平面32と当接するように配置した状態で、背びれ状施術部14側から平面視し、頭部状施術部12と尾びれ状施術部18とを結ぶ中心線C1に沿って切断した場合に、左右の切断物が対称形であることが好ましい。
この理由は、健康器具を所定の対称形状とすることにより、施術者は、右手又は左手のいずれであっても、同様に把持することができ、施術者の持ち手に依存することなく、適格な施術が可能になるためであり、製造する際にも、所定の対称性を有する金型等を使用することができ、より容易に製造することができるためである。
【0061】
又、健康器具10は、上記中心線C1に沿って切断した場合に、左の切断物100重量部に対して、右の切断物の重量が80~120重量部の範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、左右の切断物における重量の比を所定の範囲とすることにより、施術者は、右手又は左手のいずれであっても、同様に把持することができ、施術者の持ち手に依存することなく、より適格な施術が可能になるためである。
従って、より具体的には、左の切断物100重量部に対して、右の切断物の重量が90~110重量部の範囲内の値であることがより好ましく、95~105重量部の範囲内の値であることが更に好ましく、左の切断物の重量と右の切断物の重量とが実質的に等しいことが最も好ましい。
【0062】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、図7に例示するように、第1の実施形態の、所定形状を有する健康器具の製造方法であって、下記工程(A)~(B)を有することを特徴とする健康器具の製造方法である。
(A)金属材料、樹脂材料、セラミック材料又は木質材料の少なくとも一つを準備する工程
(B)準備した材料を、所定の形状に成形する工程
以下、本発明の健康器具の製造方法の実施形態につき、適宜図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、第1の実施形態と重複する部分の説明は、適宜省略するものとする。
【0063】
1.工程(A)
工程(A)は、図7の工程S1に示すように、金属材料、樹脂材料、セラミック材料又は木質材料の少なくとも1つからなる、健康器具の構成材料を準備する工程(以下、準備工程と称する場合もある。)である。
なお、一部上述したように、図1に例示される健康器具10は、各施術部と、魚形状の胴体部とが、同一材料であっても良く、別材料であっても良く、それに対応して、構成材料を準備すれば良い。
【0064】
2.工程(B)
工程(B)は、図7の工程S2に示すように、準備工程にて準備した材料を、図1に示すような、所定施術部を有する、魚形状に成形する工程(以下、成形工程と称する場合もある。)である。
【0065】
成形工程において用いる方法は、特に限定されるものではないが、構成材料に応じた方法であることが好ましく、複数の成形方法を組み合わせて用いても良い。
従って、例えば、金属材料であれば、鋳造成形法、鍛造加工法又は削り出し加工法などを用いることが好ましく、樹脂材料であれば射出成形法などを用いることが好ましく、セラミック材料であれば鋳造成形法などを用いることが好ましく、木質材料であれば削り出し加工法などを用いることが好ましい。
【0066】
工程(B)は、更なる工程として、最終的な形状に不要な部分の除去や、研磨処理などを行う、仕上げ工程(B´)を含んでも良い。
【0067】
3.工程(B´)
仕上げ工程(B´)において用いる処理方法は、特に限定されるものではなく、複数の処理方法を組み合わせて用いても良い。
従って、例えば、金属材料については、旋盤加工処理、研削加工処理又は研磨処理などを用いることが好ましく、樹脂材料については、研磨処理、蒸着処理、バリ取り処理又は塗装処理などを用いることが好ましく、その他の材料については研磨処理などを用いることが好ましい。
これらの処理を行うことで、最終的な形状に不要な部分を除去し、表面をより滑らかな形状とすることができ、図1等に示すような所定形状を有する健康器具とすることができる。
【0068】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、第1の実施形態の、所定形状を有する健康器具の使用方法であって、下記工程(i)~(ii)を有することを特徴とする健康器具の使用方法である。
(i)所定形状を有する健康器具を準備する工程
(ii)準備した健康器具を用いて施術する工程
以下、本発明の健康器具の使用方法の実施形態につき、適宜図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、第1の実施形態及び第2の実施形態と重複する部分の説明は、適宜省略するものとする。
【0069】
(1)工程(i)
工程(i)は、図1等に示す施術に使用する健康器具10を準備する工程(以下、準備工程と称する場合もある。)である。
又、後述するように、マッサージオイルやマッサージワックス等を用いて施術するために、マッサージオイルやマッサージワックスを準備することが好ましい。
【0070】
(2)工程(ii)
工程(ii)は、図1等に示す健康器具10の複数の施術部を、施術対象者の患部に当接させ、押圧したり、擦り付けたりすることで施術し、筋膜や筋肉などを正常な状態へ回復させる工程(以下、施術工程と称する場合もある。)である。
なお、施術は、施術対象者が自身で行うことも、施術対象者とは別の施術者が行うこともできる。
【0071】
より具体的には、施術工程は、図1等に示す健康器具10の施術部の中から、顔や体など施術したい部位に適した施術部を選択し、当該施術部で施術しやすいように健康器具を把持し、当該施術部を施術対象者の患部に当接し、押圧したり、擦り付けたりすることで、筋膜や筋肉などの軟部組織の不調を改善し、正常な状態へ回復させる工程である。
【0072】
かかる施術工程において使用する箇所は、患部の大きさや形状、あるいは施術対象者の体格や体調に応じて、適宜変更するのが好ましく、使用可能な箇所として、図1に示す健康器具10を参照した場合、頭部状施術部12、背びれ状施術部14、腹部状施術部16、尾びれ状施術部18、第1の尾びれ部20及び第2の尾びれ部22等が挙げられる。
【0073】
又、施術における押圧力は、施術対象者の体質や体調等に応じて、適宜調節されることが好ましい。
すなわち、筋肉への突起のめり込み量と、押圧力との相関関係を、あらかじめ光学顕微鏡やノギス、更には圧力計等を用いて測定しておき、それを目安として、施術することも好ましい。
【0074】
そして、施術工程においては、施術対象者が着衣した状態で、衣類の上から施術を行っても良いが、患部を露出した状態で施術を行うのがより好ましい。
この理由は、直接患部に接触しつつ、施術を行うことで、身体内部の状態を知覚できる場合があり、状態に応じた適格な施術を行える可能性が高くなるためである。
【0075】
更に、患部を露出した状態で施術を行う場合、摩擦による皮膚への負荷を低減したり、皮膚への浸透効果を発揮させたりするため、マッサージオイル、マッサージワックス(マッサージクリーム等を含む。)などを併用して施術を行うのも好ましい。
すなわち、健康器具の所定場所又は肌に、マッサージオイルとして、アーモンドオイルやグレープシードオイル、又は、マッサージワックスとして、馬油、ホホバオイルなどを適用することができる。そして、施術を行うことで、肌にマッサージオイルやマッサージワックスを浸透させることができ、健康器具10と患部との滑り性等を向上させたり、施術効果を高めたりすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上の説明のとおり、本発明の健康器具によれば、所定の魚形状とすることによって、簡易形状かつ立体形状であるにもかかわらず、片手で把持しやすく、加える圧力や刺激を容易に調整することができ、比較的小さな場所に対しても、多種多様であって、適格な施術が可能な健康器具を提供できるようになった。
すなわち、健康器具として、顔や体など施術したい部位に合わせて、形状の異なる複数の施術部を選択することで、多種多様な施術ができるようになった。
そして、側面方向に延設された頂部と、所定平面に対し、少なくとも2点で接する構造とにより、片手で把持しやすく、加える圧や刺激を容易に調整することができ、好適な施術を行うことができるようになった。
従って、本発明は、いくつもの種類の形状の健康器具を持ち替える必要がなく、各々の身体状況に適切に対応することができる健康器具として使用されることが期待される。
又、本発明の健康器具は、片手で容易に把持できるため、専門の施術者が施術するための健康器具としてのみならず、自分自身で施術するための健康器具として使用されることが期待される。
更に、本発明の健康器具は、所定の対称形状と、優れた重量バランスを有するため、容易に製造できることが期待される。
【符号の説明】
【0077】
10:健康器具
12:頭部状施術部
12a:平板状施術部
14:背びれ状施術部
16:腹部状施術部
18:尾びれ状施術部
20:第1の尾びれ部
22:第2の尾びれ部
24:頂部
26:エッジ状施術部
28:鞍状施術部
30、30a、30b:第1の平面
32、32a、32b:第2の平面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8