(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144890
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】車両用のブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
B60T 8/00 20060101AFI20231003BHJP
B60T 13/74 20060101ALI20231003BHJP
F16D 65/18 20060101ALI20231003BHJP
F16D 55/225 20060101ALI20231003BHJP
F16D 121/04 20120101ALN20231003BHJP
F16D 121/24 20120101ALN20231003BHJP
【FI】
B60T8/00
B60T13/74 G
F16D65/18
F16D55/225 102C
F16D121:04
F16D121:24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052083
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽根 法亮
(72)【発明者】
【氏名】江田 英之
(72)【発明者】
【氏名】津川 浩哉
【テーマコード(参考)】
3D048
3D246
3J058
【Fターム(参考)】
3D048BB57
3D048CC05
3D048CC49
3D048HH13
3D048HH18
3D048HH58
3D048HH66
3D048HH70
3D048QQ07
3D048RR06
3D246BA02
3D246BA08
3D246DA01
3D246DA02
3D246GA19
3D246GC14
3D246HA44A
3D246JB06
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3D246JB27
3D246LA13Z
3D246LA15Z
3J058AA43
3J058AA48
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3J058AA69
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3J058AA87
3J058BA16
3J058CC03
3J058CC15
3J058CC62
3J058DA32
3J058DB21
3J058FA06
3J058FA07
3J058GA92
(57)【要約】
【課題】過大な引き摺りトルクの発生を抑制する。
【解決手段】 車両用のブレーキ装置は、ディスクロータと、一対のブレーキパッドと、一対のブレーキパッドを支持するブレーキキャリパと、ブレーキキャリパのキャリパシリンダに配置されたキャリパピストンと、キャリパシリンダとキャリパピストンとの間に配置されたピストンリングシールと、キャリパシリンダに供給されるブレーキ液圧を検出する液圧センサと、キャリパピストンをディスクロータに対して進退させる電動アクチュエータと、液圧センサによる検出値に基づいて、電動アクチュエータの動作を制御する制御装置とを備える。制御装置は、ブレーキ作動中に液圧センサによる検出値が所定の閾値を超えたときは、その後のブレーキ解除時に、キャリパピストンがディスクロータから退避する方向へ前記電動アクチュエータを動作させる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のブレーキ装置であって、
前記車両の車輪とともに回転するディスクロータと、
前記ディスクロータを挟んで対向する一対のブレーキパッドと、
前記一対のブレーキパッドを支持するとともに、キャリパシリンダを有するブレーキキャリパと、
前記キャリパシリンダ内に配置されており、前記キャリパシリンダに供給されるブレーキ液圧に応じて、前記一対のブレーキパッドの一方を前記ディスクロータに押し付けるキャリパピストンと、
前記キャリパシリンダと前記キャリパピストンとの間に設けられたピストンリングシールと、
前記キャリパピストンを前記ディスクロータに対して進退させる電動アクチュエータと、
前記キャリパシリンダに供給される前記ブレーキ液圧を検出する液圧センサと、
前記液圧センサによる検出値に基づいて、前記電動アクチュエータの動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記ブレーキキャリパに前記ブレーキ液圧が供給されるブレーキ作動中に、前記液圧センサによる検出値が所定の閾値を超えたときは、その後に前記ブレーキ液圧の供給が中止されるブレーキ解除時に、前記キャリパピストンが前記ディスクロータから退避する方向へ前記電動アクチュエータを動作させる、
ブレーキ装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記液圧センサによる検出値が大きいときほど、前記電動アクチュエータの動作量を大きくする、請求項1に記載のブレーキ装置。
【請求項3】
前記電動アクチュエータは、パーキングブレーキ用のアクチュエータである、請求項1又は2に記載のブレーキ装置。
【請求項4】
前記キャリパシリンダに供給される前記ブレーキ液圧は、ユーザによる操作に応じて調整される、請求項1から3のいずれか一項に記載のブレーキ装置。
【請求項5】
前記キャリパシリンダに供給される前記ブレーキ液圧は、ブレーキアクチュエータによって調整される、請求項1から4のいずれか一項に記載のブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、車両用のブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、車両用のブレーキ装置が記載されている。このブレーキ装置は、車両の車輪とともに回転するディスクロータと、ディスクロータを挟んで対向する一対のブレーキパッドと、一対のブレーキパッドを支持するブレーキキャリパと、ブレーキキャリパのキャリパシリンダに配置され、ブレーキキャリパに供給されるブレーキ液圧に応じて、一対のブレーキパッドの一方をディスクロータに押し付けるキャリパピストンと、キャリパシリンダとキャリパピストンとの間に配置されたピストンリングシールとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなブレーキ装置では、ブレーキ液圧の供給が中止されるブレーキ解除時に、引き摺りトルクが発生することが知られている。この引き摺りトルクは、ブレーキ作動中のブレーキ液圧の大きさに応じて変化し、ブレーキ液圧が大きいときほど、引き摺りトルクも大きくなる。過大な引き摺りトルクの発生は、無用なエネルギー損失を招くことから、車両のエネルギー効率(走行距離あたりのエネルギー消費量)を低下させる要因となり得る。
【0005】
上記を鑑み、本明細書は、大きなブレーキ液圧によるブレーキの作動後でも、過大な引き摺りトルクの発生を回避又は抑制し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する技術は、車両用のブレーキ装置に具現化される。このブレーキ装置は、前記車両の車輪とともに回転するディスクロータと、前記ディスクロータを挟んで対向する一対のブレーキパッドと、前記一対のブレーキパッドを支持するとともに、キャリパシリンダを有するブレーキキャリパと、前記キャリパシリンダ内に配置されており、前記キャリパシリンダに供給されるブレーキ液圧に応じて、前記一対のブレーキパッドの一方を前記ディスクロータに押し付けるキャリパピストンと、前記キャリパシリンダに供給される前記ブレーキ液圧を検出する液圧センサと、前記キャリパピストンを前記ディスクロータに対して進退させる電動アクチュエータと、前記液圧センサによる検出値に基づいて、前記電動アクチュエータの動作を制御する制御装置とを備える。そして、前記制御装置は、前記ブレーキキャリパに前記ブレーキ液圧が供給されるブレーキ作動中に、前記液圧センサによる検出値が所定の閾値を超えたときは、その後に前記ブレーキ液圧の供給が中止されるブレーキ解除時に、前記キャリパピストンが前記ディスクロータから退避する方向へ前記電動アクチュエータを動作させる。
【0007】
前述したように、ブレーキ作動中のブレーキ液圧が大きいときほど、その後に生じる引き摺りトルクは大きくなる。これは、ブレーキ液圧が大きいときほど、ブレーキキャリパやブレーキパッドに大きな歪が生じることによって、キャリパピストンの移動量が増大するためである。キャリパピストンの移動量が増大すると、ブレーキ液圧の供給が中止された後に、キャリパピストンが初期位置へ復帰するときの移動量も大きくなる。その結果、ピストンリングシールには逆向きの歪が発生し、その復元力がブレーキパッドをディスクロータに押し付けることで、比較的に大きな引き摺りトルクが発生する。
【0008】
上述した知見に基づき、本技術に係るブレーキ装置では、電動アクチュエータが設けられている。この電動アクチュエータは、キャリパピストンをディスクロータに対して進退させることができる。そして、ブレーキの作動中はブレーキ液圧が監視され、ブレーキ液圧が所定の閾値を超えたときは、その後にブレーキが解除されるタイミングで、電動アクチュエータがキャリパピストンをディスクロータから退避させる。これにより、大きなブレーキ液圧によるブレーキの作動後でも、過大な引き摺りトルクの発生を回避又は抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例のブレーキ装置10の構成を模式的に示す。
【
図2】通常のブレーキ液圧で作動するブレーキ装置10を模式的に示す。
【
図3】
図3に示す状態から作動解除されたブレーキ装置10の様子を模式的に示す。
【
図4】閾値を超えるブレーキ液圧で作動するブレーキ装置10を模式的に示す。
【
図5】
図4に示す状態から作動解除されたブレーキ装置10の様子を模式的に示す。ピストンリングシール22は、
図4と比較して、逆向きに弾性変形している。
【
図6】制御装置28が実行する一連の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本技術の一実施形態において、前記制御装置は、前記液圧センサによる検出値が大きいときほど、前記電動アクチュエータの動作量を大きくしてもよい。このような構成によると、ブレーキの作動中に生じたブレーキ液圧の大きさに応じて、電動アクチュエータを過不足なく動作させることができる。
【0011】
本技術の一実施形態において、電動アクチュエータは、パーキングブレーキ用のアクチュエータであってもよい。近年、電動パーキングブレーキが普及しており、ブレーキキャリパにパーキングブレーキ用のアクチュエータが搭載されることも多い。この場合、パーキングブレーキ用のアクチュエータを利用することで、本技術に係るブレーキ装置を低コストで製造することができる。
【0012】
本技術の一実施形態において、前記ブレーキキャリパに供給される前記ブレーキ液圧は、ユーザによる操作に応じて調整されてもよい。この場合、一例ではあるが、ユーザによる操作とは、ユーザによるブレーキペダルの操作であってよい。また、ユーザによるブレーキペダルの操作が、ブレーキマスタシリンダによって、ブレーキ液圧に変換されてもよい。
【0013】
上記に加え、又は代えて、前記ブレーキキャリパに供給される前記ブレーキ液圧は、ブレーキアクチュエータによって調整されてもよい。ここでいうブレーキアクチュエータとは、電動ポンプや電動バルブ等を有し、ユーザによる操作を必要とすることなく、ブレーキ液圧を調整し得る装置を意味する。
【実施例0014】
図面を参照して、実施例のブレーキ装置10について説明する。本実施例のブレーキ装置10は、車両用のブレーキ装置であって、車両が有する車輪のそれぞれに設けられる。特に限定されないが、実施例のブレーキ装置10は、路面を走行する電動車に採用することができる。ここでいう電動車には、バッテリ式電動車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、燃料電池車等が含まれる。
【0015】
図1に示すように、ブレーキ装置10は、車両の車輪(図示省略)とともに回転するディスクロータ12と、ディスクロータ12を挟んで対向する一対のブレーキパッド14a、14bと、一対のブレーキパッド14a、14bを支持するブレーキキャリパ16とを備える。ブレーキキャリパ16は、一対のブレーキパッド14a、14bを、ディスクロータ12に押し付けることによって、ディスクロータ12とともに回転する車輪に制動力を加える。
【0016】
ブレーキキャリパ16には、キャリパシリンダ18と、キャリパピストン20が設けられている。キャリパシリンダ18は、図中の左右方向に延びる円筒形状を有しており、その内部にキャリパピストン20を収容している。キャリパシリンダ18内は、ブレーキ液で満たされている。キャリパシリンダ18には、ブレーキ配管40を介して、ブレーキアクチュエータ46やブレーキマスタシリンダ44が接続されている。
【0017】
ブレーキマスタシリンダ44は、ユーザによるブレーキペダル42の操作に応じて、キャリパシリンダ18にブレーキ液圧を供給する。キャリパシリンダ18に供給されるブレーキ液圧は、ブレーキペダル42に加えられた操作力(即ち、踏力)に応じて変化し、ユーザがブレーキペダル42を強く操作するほど、キャリパシリンダ18には高いブレーキ液圧が供給される。なお、ブレーキマスタシリンダ44の具体的な構成については、特に限定されない。
【0018】
ブレーキアクチュエータ46は、ブレーキマスタシリンダ44とキャリパシリンダ18との間に設けられている。ブレーキアクチュエータ46は、電動ポンプや電動バルブ等を有しており、ユーザによるブレーキペダル42の操作を必要とすることなく、ブレーキ液圧を調整することができる。ブレーキアクチュエータ46は、アンチロックブレーキシステム、衝突回避支援システム、自動運転システムにおいて、ブレーキ装置10を操作するアクチュエータとして機能する。なお、ブレーキアクチュエータ46は、必ずしも必要とされない。
【0019】
キャリパピストン20は、キャリパピストン20内の軸方向に沿って(即ち、図中の左右方向に沿って)、摺動可能に支持されている。キャリパピストン20には、一方のブレーキパッド14aが取り付けられている。キャリパピストン20は、キャリパピストン20内を摺動することにより、一方のブレーキパッド14aをディスクロータ12に対して進退させる。
【0020】
キャリパシリンダ18とキャリパピストン20との間には、ピストンリングシール22が設けられている。ピストンリングシール22は、環状の部材であり、キャリパシリンダ18とキャリパピストン20との間の隙間をシールする。ピストンリングシール22は、例えばゴムといった高分子材料で構成されており、弾性変形することができる。
【0021】
図2に示すように、例えばブレーキペダル42の操作により、キャリパシリンダ18にブレーキ液圧が供給されると、キャリパピストン20がディスクロータ12に向けて移動する。これにより、一方のブレーキパッド14aがディスクロータ12に押し付けられる。これと同時に、ブレーキキャリパ16の本体は、反対方向(図中右側)へ移動する。ブレーキキャリパ16の本体が移動することにより、当該本体に取り付けられた他方のブレーキパッド14bは、反対側からディスクロータ12に押し付けられる。その結果、ブレーキ装置10は作動した状態となり、ディスクロータ12を介して車輪に制動力が加えられる。
【0022】
ブレーキ装置10の作動中、ピストンリングシール22には、弾性変形が生じている。従って、
図3に示すように、例えばブレーキペダル42の操作が解除され、ブレーキ液圧の供給が中止されると、ピストンリングシール22の復元力によって、キャリパピストン20は初期位置へ復帰する。その結果、一対のブレーキパッド14a、14bは、ディスクロータ12から離間した状態(又は、僅かに接触した状態)となり、ブレーキ装置10の作動が解除される。
【0023】
図1に戻り、ブレーキ装置10は、電動アクチュエータ24と、液圧センサ26と、制御装置28とをさらに備える。電動アクチュエータ24は、ブレーキキャリパ16に設けられており、キャリパピストン20をディスクロータ12に対して進退させることができる。電動アクチュエータ24は、本来、パーキングブレーキ用のアクチュエータである。電動アクチュエータ24の動作は、制御装置28によって制御される。制御装置28は、電動アクチュエータ24を制御することにより、車両の停車中にブレーキ装置10を継続的に作動させることができる。電動アクチュエータ24は、例えば電動モータであってよいが、電動モータに限定されない。
【0024】
一例ではあるが、本実施例における電動アクチュエータ24は、送りねじ25を介して、キャリパピストン20に接続されている。電動アクチュエータ24が送りねじ25を一方方向へ回転させると、キャリパピストン20は一方のブレーキパッド14aとともにディスクロータ12に向けて移動する。このとき、他方のブレーキパッド14bについても、ブレーキキャリパ16の本体とともに、反対側からディスクロータ12に向けて移動する。電動アクチュエータ24が送りねじ25を他方方向へ回転させると、キャリパピストン20は一方のブレーキパッド14aとともにディスクロータ12から離反するように移動する。このとき、他方のブレーキパッド14bについても、ブレーキキャリパ16の本体とともに、ディスクロータ12から離間するように移動する。
【0025】
液圧センサ26は、ブレーキ配管40に設けられており、キャリパシリンダ18に供給されるブレーキ液圧を検出する。なお、液圧センサ26の位置については、ブレーキ配管40に限定されない。液圧センサ26は、制御装置28と電気的に接続されており、制御装置28による検出値は、制御装置28へ入力されるように構成されている。
【0026】
本実施例のブレーキ装置10では、ブレーキ液圧の供給が中止されるブレーキ解除時に、引き摺りトルクが発生する。この引き摺りトルクは、ブレーキ作動中のブレーキ液圧の大きさに応じて変化し、ブレーキ液圧が大きいときほど、引き摺りトルクも大きくなる。この点について、
図4、
図5を参照して説明する。
図4に示すように、ブレーキ液圧が大きいときほど、ブレーキキャリパ16やブレーキパッド14a、14bには大きな歪が生じることによって、キャリパピストン20の移動量は増大する。キャリパピストン20の移動量が大きくなると、ブレーキ液圧の供給が中止された後に、キャリパピストン20が初期位置まで復帰するときの移動量も大きくなる。その結果、
図5に示すように、ピストンリングシール22には逆向きの歪が発生し、その復元力が一対のブレーキパッド14a、14bをディスクロータ12に押し付けることで、比較的に大きな引き摺りトルクが発生する。
【0027】
過大な引き摺りトルクの発生は、無用なエネルギー損失を招くことから、車両のエネルギー効率(走行距離あたりのエネルギー消費量)を低下させる要因となり得る。そこで、本実施例のブレーキ装置10では、制御装置28が
図6に示す一連の処理を実行することによって、過大な引き摺りトルクの発生を回避又は抑制するように構成されている。以下、
図6を参照して、制御装置28が実行する一連の処理について説明する。
【0028】
図6に示すように、制御装置28は、ユーザによるブレーキペダル42の操作や、ブレーキアクチュエータ46の動作により、ブレーキ装置10が作動しているのか否かを判定する(S12)。ブレーキ装置10が作動している場合(S12でYES)、制御装置28は、液圧センサ26によって検出されたブレーキ液圧を取得する。検出されたブレーキ液圧が、所定の閾値を超えている場合(S16でYES)、制御装置28は所定のフラグを記憶する(S18)。即ち、このフラグは、ブレーキ装置10の作動中に、ブレーキ液圧が所定の閾値を超えたことを示すパラメータである。以上の処理は、ブレーキ装置10の作動が解除されるまで、繰り返し実行される(S20)。
【0029】
ブレーキ装置10の作動が解除されると(S20でYES)、制御装置28は、前述したフラグが記憶されているのか否かを判定する(S22)。そして、当該フラグが記憶されている場合(S22でYES)、制御装置28は、キャリパピストン20がディスクロータ12から退避する方向へ、電動アクチュエータ24を動作させる。これにより、閾値を超える大きなブレーキ液圧によるブレーキの作動後でも、過大な引き摺りトルクの発生を回避又は抑制することができる。
【0030】
上記した実施例において、制御装置28による電動アクチュエータ24を動作量は、液圧センサ26による検出値にかかわらず、一定であってもよい。あるいは、制御装置28は、液圧センサ26による検出値が大きいときほど、電動アクチュエータ24の動作量を大きくしてもよい。このような構成によると、ブレーキ装置10の作動中に生じたブレーキ液圧の大きさに応じて、電動アクチュエータ24を過不足なく動作させることができる。
【0031】
以上、本技術の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。