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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144895
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】カッタヘッド
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/00 20060101AFI20231003BHJP
   B23D 29/00 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
H02G1/00 050
B23D29/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052089
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(71)【出願人】
【識別番号】519157727
【氏名又は名称】マクセルイズミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】榊原 宏行
(72)【発明者】
【氏名】座馬 知司
(72)【発明者】
【氏名】森 公一
(72)【発明者】
【氏名】並木 淳
(72)【発明者】
【氏名】日向野 明
(72)【発明者】
【氏名】平林 孝仁
【テーマコード(参考)】
3C039
5G352
【Fターム(参考)】
3C039FA02
3C039FA04
3C039FA17
5G352AB06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】十分な絶縁を実現することができるカッタヘッドを提供する。
【解決手段】駆動源から供給される動力によって、電圧が印加される被切断物を切断するカッタヘッドにおいて、刃部22aと前記刃部22aに連なる非刃部22bとを有する金属製の切断刃22と、前記非刃部22bを保持する絶縁部23,24とを備える。好ましくは、カッタヘッドは、前記切断刃22は板状をなし、前記非刃部22bの両面を前記絶縁部23,24が挟む。より好ましくは、カッタヘッドは、前記切断刃22はU状をなし、前記切断刃22の内周側に前記刃部22aは形成され、前記切断刃22の外周側に前記非刃部22bは形成され、前記切断刃22の外周全体を前記絶縁部23,24が覆う。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源から供給される動力によって、電圧が印加される被切断物を切断するカッタヘッドにおいて、
刃部と前記刃部に連なる非刃部とを有する金属製の切断刃と、
前記非刃部を保持する絶縁部と
を備えるカッタヘッド。
【請求項2】
前記切断刃は板状をなし、
前記非刃部の両面を前記絶縁部が挟む
請求項1に記載のカッタヘッド。
【請求項3】
前記切断刃はU状をなし、
前記切断刃の内周側に前記刃部は形成され、
前記切断刃の外周側に前記非刃部は形成され、
前記切断刃の外周全体を前記絶縁部は覆う
請求項1又は2に記載のカッタヘッド。
【請求項4】
前記切断刃はU状をなし、
前記切断刃の内周側に前記刃部は形成され、
切断時に、周方向における前記刃部の中央部分に前記被切断物が配置されるように、前記刃部の縁部分は形成されている
請求項1又は2に記載のカッタヘッド。
【請求項5】
前記切断刃の一面側における前記刃部の先端と前記絶縁部との間の寸法は、前記絶縁部の寸法よりも長い
請求項1から4のいずれか一つに記載のカッタヘッド。
【請求項6】
前記切断刃を保持するホルダを備え、
前記ホルダは、前記絶縁部に接触し、前記切断刃に非接触である
請求項1から5のいずれか一つに記載のカッタヘッド。
【請求項7】
前記ホルダは、前記絶縁部が嵌合する嵌合溝を有する
請求項6に記載のカッタヘッド。
【請求項8】
少なくとも前記ホルダを覆う絶縁性のカバーを備える
請求項6又は7に記載のカッタヘッド。
【請求項9】
前記切断刃に動力を伝達する伝動機構を備え、
前記カバーは前記伝動機構を覆う
請求項8に記載のカッタヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電線等の被切断物を切断するカッタヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、活線作業にて電線を切断する電線切断装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。電線切断装置は操作棒と、前記操作棒の一端部に取り付けたカッタと、前記操作棒の他端部に取り付けた把持レバーとを備える。作業者は、把持レバーを把持して、主に架設された電線を安全に切断することが出来、地絡・短絡事故を防止することが出来る。
【0003】
ところで、データセンタにおいて電源設備の更新工事を行うことがある。更新工事では、データセンタのサーバへの電力供給を継続させる必要があることから、電圧が印加されたケーブルを切断装置で切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-28925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
データセンタに設置された幹線ケーブル等は一般に直径が大きく、作業者の力だけで切断することはできない。そのため、ケーブルの切断には、例えば二次電池式の切断装置が使用される。電池式の切断装置は、作業者よりも大きな力を付与することができ、また外部電源を必要としないので、工事がしやすい。一方で、外部電源、例えばAC電源を使用する装置は、規格によって絶縁が二重化されているのに対し、二次電池式の装置の規格は絶縁の二重化を求めておらず、絶縁が十分でないことがある。
【0006】
またケーブルの切断時に、作業者は切断装置を直接ケーブルに取り付け、ケーブルの直近で操作する。そのため、作業者の安全を確保すべく、例えば絶縁手袋の装着、絶縁シートの敷設等を予め行う必要がある。
【0007】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、十分な絶縁を実現することができるカッタヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施形態に係るカッタヘッドは、駆動源から供給される動力によって、電圧が印加される被切断物を切断するカッタヘッドにおいて、刃部と前記刃部に連なる非刃部とを有する金属製の切断刃と、前記非刃部を保持する絶縁部とを備える。
【0009】
本開示においては、切断刃の非刃部を絶縁部によって保持する。
【0010】
本開示の一実施形態に係るカッタヘッドは、前記切断刃は板状をなし、前記非刃部の両面を前記絶縁部が挟む。
【0011】
本開示においては、絶縁部が非刃部を挟み、絶縁及び切断刃の保持を両立させる。
【0012】
本開示の一実施形態に係るカッタヘッドは、前記切断刃はU状をなし、前記切断刃の内周側に前記刃部は形成され、前記切断刃の外周側に前記非刃部は形成され、前記切断刃の外周全体を前記絶縁部は覆う。
【0013】
本開示においては、絶縁部は切断刃の外周全体を絶縁し、絶縁性を向上させることができる。
【0014】
本開示の一実施形態に係るカッタヘッドは、前記切断刃はU状をなし、前記切断刃の内周側に前記刃部は形成され、切断時に、周方向における前記刃部の中央部分に前記被切断物が配置されるように、前記刃部の縁部分は形成されている。
【0015】
本開示においては、被切断物の切断時に刃部の端部に力が集中して作用し、前記端部が損傷することを防止できる。
【0016】
本開示の一実施形態に係るカッタヘッドは、前記切断刃の一面側における前記刃部の先端と前記絶縁部との間の寸法は、前記絶縁部の寸法よりも長い。
【0017】
本開示においては、刃部の先端と絶縁部との間の寸法、即ち刃部の幅が、絶縁部の寸法、即ち絶縁部の幅よりも長いので、切断刃の強度を向上させることができる。
【0018】
本開示の一実施形態に係るカッタヘッドは、前記切断刃を保持するホルダを備え、前記ホルダは、前記絶縁部に接触し、前記切断刃に非接触である。
【0019】
本開示においては、ホルダは絶縁部のみに接触するので、絶縁性を向上させることができる。
【0020】
本開示の一実施形態に係るカッタヘッドは、前記ホルダは、前記絶縁部が嵌合する嵌合溝を有する。
【0021】
本開示においては、嵌合溝に絶縁部を嵌合させて、ホルダによる保持を確実にすることができる。
【0022】
本開示の一実施形態に係るカッタヘッドは、少なくとも前記ホルダを覆う絶縁性のカバーを備える。
【0023】
本開示においては、絶縁性のカバーによってホルダを覆い、絶縁性をより向上させることができる。
【0024】
本開示の一実施形態に係るカッタヘッドは、前記切断刃に動力を伝達する伝動機構を備え、前記カバーは前記伝動機構を覆う。
【0025】
本開示においては、カバーによって伝動機構を覆い、絶縁性を更に向上させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本開示の一実施形態に係るカッタヘッドにあっては、切断刃の非刃部を絶縁部によって保持し、十分な絶縁を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】切断装置の略示正面図である。
図2】カッタヘッド及びホースの略示斜視図である。
図3】カバーを外したカッタヘッド及びホースの略示斜視図である。
図4】ブレードユニットを一面側から視認した略示正面図である。
図5】ブレードユニットを一面側から視認した略示斜視図である。
図6】ブレードユニットを一面側から視認した略示背面図である。
図7】ブレードユニットを他面側から視認した略示斜視図である。
図8】ブレードユニットの略示分解斜視図である。
図9】ブレードの略示分解斜視図である。
図10】第1絶縁部側から視認したブレードの略示斜視図である。
図11図10のXI-XI線を切断線とした略示断面斜視図である。
図12】ブレードの略示正面図である。
図13図12のXIII-XIII線を切断線とした略示断面斜視図である。
図14】切断装置による切断を説明する説明図である。
図15】比較例に係るブレードの略示参考正面図である。
図16図15のXVI-XVI線を切断線とした略示断面斜視図である。
図17】比較例に係る切断装置による切断を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下本発明を実施の形態に係る切断装置1を示す図面に基づいて説明する。図1は、切断装置1の略示正面図、図2は、カッタヘッド4及びホース3の略示斜視図、図3は、カバー6を外したカッタヘッド4及びホース3の略示斜視図である。切断装置1は、電圧が印加された電線等の被切断物、例えばケーブル100(図14参照)を切断する。ケーブル100の断面積及び外形は、例えば325mm2 及び31mmである。断面積は導体の断面積を示し、外形は被覆を含めたケーブル全体の外形を示す。なおケーブル100の断面積及び外形はこれに限定されず、例えば断面積は325mm2 を超過してもよく、325mm2 未満でもよい。また外形は31mmを超過してもよく、31mm未満でもよい。また断面積は38~325mm2 の範囲、外形は13~31mmの範囲でもよい。
【0029】
切断装置1は、油圧工具2と、絶縁性を有するホース3と、カッタヘッド4とを備える。ホース3の長さは、例えば1mである。ホース3の長さは1mに限定されない。ホース3の長さは、隣り合うケーブル100の隙間、例えば約100mmの隙間での作業性、作業者とケーブル100との間に確保する安全な距離、ホース3に生じる圧力損失等を考慮して決定される。
【0030】
油圧工具2はカッタヘッド4の駆動のために、作業者の操作を受け付ける。油圧工具2は例えば、操作を受け付けるスイッチ又はボタン等の受付部と、二次電池と、作動油を貯留するタンクと、前記二次電池を電源とするモータと、該モータによって駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプから供給される作動油の圧力を調整する油圧制御弁と、油圧制御弁からタンクに作動油を戻すためのドレイン管とを備える(いずれも図示略)。油圧工具2は継手7を介してホース3の一端部に接続され、ホース3の他端部はカッタヘッド4に接続される。
【0031】
カッタヘッド4は伝動機構10を有する。伝動機構10は、例えばシリンダ11と、該シリンダ11に収納されるピストンと、該ピストンに接続されるリンク12(図14参照)と、ピストンに力を付与する付勢部材(例えばばね)とを有する。なおピストン及び付勢部材の図示は省略する。付勢部材は、後述する第2方向への移動のための力をピストンに付与する。シリンダ11の一端部には接続箱9及び継手8を介してホース3の他端部が接続される。シリンダ11の他端部外周面から二つのステー5が逆向きに突出する。なおステー5は設けなくてもよい。
【0032】
シリンダ11の他端部には、すり割り溝11aが形成される。すり割り溝11aの内側に、後述する二つのブレードユニット20が配置される。すり割り溝11aを貫通するように、支軸13が設けられる。支軸13はブレードユニット20の支軸孔27(図4参照)に挿入される。ブレードユニット20は支軸13の軸回りに回転可能である。
【0033】
モータの駆動によって、油圧ポンプが駆動され、油圧ポンプはタンクから油圧制御弁に作動油を供給する。油圧制御弁からホース3を介して、例えば高圧の作動油がシリンダ11に供給された場合、ピストンが付勢部材の付勢力に抗して第1方向に駆動され、リンク12が駆動される。リンク12は、後述する二つのブレードユニット20に接続される。リンク12の駆動によって、二つのブレードユニット20は支軸13の軸回りに回転し、被切断物に接近する第1動作を行う。
【0034】
油圧制御弁を作動させ、作動油がタンクに戻された場合、付勢部材の付勢力は作動油の圧力による力を上回り、付勢部材の付勢力によって、ピストンは第1方向とは逆の第2方向に駆動され、リンク12も逆向きに駆動される。リンク12の逆向きの駆動によって、二つのブレードユニット20は支軸13の軸回りに逆回転し、被切断物から離れる第2動作を行う。
【0035】
図4は、ブレードユニット20を一面側から視認した略示正面図、図5は、ブレードユニット20を一面側から視認した略示斜視図、図6は、ブレードユニット20を他面側から視認した略示背面図、図7は、ブレードユニット20を他面側から視認した略示斜視図、図8は、ブレードユニット20の略示分解斜視図である。
【0036】
ブレードユニット20は全体的に横長の矩形板状をなす。ブレードユニット20は、ブレード21と、ホルダ25と、固定部32とを備える。ホルダ25は金属製であり、横長の矩形板状をなす。ホルダ25は対向する第1長辺部25a及び第2長辺部25bを有する。第1長辺部25aに、U状に切り欠いた凹部26が形成される。凹部26の内周全体に、底面26b及び側面26cを有する断面L形の嵌合溝26aが形成される。嵌合溝26aはホルダ25の一面251側に向けて開放されている。なおホルダ25の一面251側は、ブレードユニット20の一面側に対応し、ホルダ25の他面252側は、ブレードユニット20の他面側に対応する。
【0037】
ホルダ25の一端部25cに、貫通した支持孔及びリンク孔28が形成される。支持孔は、ホルダ25の第1長辺部25a側に配置され、リンク孔28は、ホルダ25の第2長辺部25b側に配置される。支持孔は凹部26の隣に配置される。ホルダ25の一端部25cにおいて、ホルダ25の縁形状は、支持孔及びリンク孔28それぞれに沿って円弧状に形成され、全体的に円弧が滑らかに連なったS状に形成される。
【0038】
ホルダ25の一面251の他端部25dに窪みが形成される。窪みはホルダ25の他面252に向けて窪んでおり、ホルダ25の他端部25d全体に亘って形成される。窪みには、ホルダ25の一面251と面一になるように、窪みに倣った形状の露出防止部30が設けられる。露出防止部30は複数(本実施例においては三つ)のボルト30aによってホルダ25に固定される。露出防止部30は樹脂製であり、ホルダ25の露出を防止するための部品である。第2長辺部25bにおいて、凹部26の底面26bに沿う複数(本実施例においては三つ)の挿入孔29が並ぶ。挿入孔29は板状のホルダ25に直角な方向に延び、ホルダ25を貫通する。
【0039】
前記ブレード21は矩形板状をなし、第1長辺部25aを円弧状に切り欠いている。ブレード21の全体形状は、ホルダ25の一面251側又は他面252側から視認した場合、U状をなす。ブレード21の開口側と、凹部26の開口側とが一致するように、ブレード21はホルダ25の嵌合溝26aに嵌合する。ブレード21はホルダ25の一面251と面一となる。ブレード21の詳細な構成は後述する。
【0040】
ブレード21は、ホルダ25と固定部32との間に挟まれる。固定部32は金属製であり、細長い形状を有する。固定部32に、複数(本実施例においては三つ)のねじ孔32aが形成される。各ねじ孔32aは固定部32を貫通する。各ねじ孔32aの位置は各挿入孔29の位置に対応する。固定部32は、ホルダ25の一面251側において、凹部26の底面26bに沿って、ホルダ25及びブレード21(より詳細には、後述する第2絶縁部24)の両方に跨がるように配置される。固定部32の各ねじ孔32aと各挿入孔29とは同軸的に配置される。ホルダ25の他面252側から複数(本実施例においては三つ)のボルト31が各挿入孔29に挿入され、各ねじ孔32aにねじ止めされる。ボルト31のねじ止めによって、固定部32及びホルダ25はブレード21を狭持する。
【0041】
図9は、ブレード21の略示分解斜視図、図10は、第1絶縁部23側から視認したブレード21の略示斜視図、図11は、図10のXI-XI線を切断線とした略示断面斜視図である。ブレード21は、第1絶縁部23、第2絶縁部24及び切断刃22を備える。第1絶縁部23、第2絶縁部24及び切断刃22それぞれは、板状且つU状をなす。
【0042】
切断刃22は金属製であり、刃部22aと、非刃部22bと、壁22cとを備える。なお切断刃22は金属以外の非導電性素材、例えばセラミックによって構成されてもよい。非刃部22bは馬蹄形の板状をなす。非刃部22bの内周の略全体から、非刃部22bの一面22baに略直角な壁22cが突出する。壁22cは、円弧部22caと、該円弧部22caの一端から延びる直線部22cbとを備える。円弧部22caと直線部22cbとのなす角度であって、非刃部22bの内側に形成される角度は180度よりも小さい鈍角である。直線部22cbは、非刃部22bの一端部側、即ち切断刃22の一端部22d側に形成される。非刃部22bの他端部、即ち切断刃22の他端部22eに壁22cは形成されない。
【0043】
刃部22aは、壁22cの突出端の円弧部22ca全体から非刃部22bの内側に向けて斜めに延びる。即ち、刃部22aは壁22cを挟んで、切断刃22の内周側に形成され、非刃部22bは壁22cを挟んで切断刃22の外周側に形成される。なお刃部22aは、少なくとも円弧部22caから延びていればよく、円弧部22ca以外の部分、例えば直線部22cbから延びてもよい。刃部22aは、非刃部22bの内側に向かうに従って、非刃部22bの他面22bc側に向けて、即ち壁22cの反対側に向けて、延びるように傾斜する。非刃部22bに垂直な方向において、刃部22aの先端は非刃部22bの他面22bcから離れた位置まで延びる。非刃部22bの他面22bcと刃部22aの先端部分とによって、断面L形の溝22fが形成される。溝22fは、切断刃22の一端部22dには形成されていない。切断刃22の他端部22eには刃部22a及び壁22cが形成されていない。そのため、切断刃22の他端部22eには非刃部22bのみが設けられ、溝22fは形成されていない。
【0044】
第1絶縁部23は樹脂材料によって構成され、絶縁性を有する。第1絶縁部23は、非刃部22bの一面22ba側にて、壁22cを挟んで刃部22aの反対側、即ち壁22cの外側に配置される。第1絶縁部23は、非刃部22bの一面22baと、非刃部22bの外周面の少なくとも一部とを覆う。第1絶縁部23は、溝22fが形成されている範囲において、非刃部22bの外周面の全体を覆う。第1絶縁部23の一端部23aは、溝22fが形成されていない切断刃22の一端部22dにおいて、非刃部22bの外周面の一部を覆う。第1絶縁部23の他端部23bは、溝22fが形成されていない切断刃22の他端部22eにおいて、非刃部22bの外周面の全体と、非刃部22bの端部の端面全体とを覆う。
【0045】
第2絶縁部24は樹脂材料によって構成され、絶縁性を有する。第2絶縁部24は、非刃部22bの他面22bc側に配置される。第2絶縁部24において、円弧部22caが形成された範囲に対応する部分、即ち溝22fが形成された範囲に対応する部分は、溝22fに嵌合する。第2絶縁部24の一端部24aは切断刃22の一端部22dにおける外周面の一部を覆う。切断刃22の一端部22dにおいて、第2絶縁部24の一端部24aは非刃部22bの外周面の他部(第1絶縁部23が覆っていない部分)を覆う。切断刃22の他端部22eにおいて、第2絶縁部24の他端部24bは非刃部22bの他面22bcを覆う。
【0046】
切断刃22の両面は、第1絶縁部23及び第2絶縁部24によって挟まれる。切断刃22、第1絶縁部23及び第2絶縁部24は、接着剤によって相互に接合される。上述のように、第1絶縁部23及び第2絶縁部24は、切断刃22の外周面全体を覆うので、金属製の切断刃22の外周面は露出せず、絶縁される。上述のように、ブレード21はホルダ25の嵌合溝26aに嵌合する。ブレード21は第1絶縁部23が嵌合溝26aの底面26bに対向するように、嵌合溝26aに配置される。嵌合溝26aの底面26bの幅は、第1絶縁部23の径方向の幅以下である。嵌合溝26aの側面26cの幅は、第1絶縁部23及び第2絶縁部24の厚みと略同じである。即ち、嵌合溝26aには第1絶縁部23及び第2絶縁部24が嵌合し、金属製の切断刃22は嵌合溝26aに接触しない。即ちホルダ25は、第1絶縁部23及び第2絶縁部24に接触し、切断刃22に非接触であり、切断刃22とホルダ25とは絶縁される。図4に示すように、金属製の固定部32は第2絶縁部24に対向し、切断刃22に対向しない。即ち固定部32は切断刃22に接触しない。そのため、切断刃22と固定部32とは絶縁される。
【0047】
カバー6について説明する。図1及び図2に示すように、切断装置1はカバー6を備える。カバー6は、伝動機構10のシリンダ11及び支軸13を覆う第1カバー部6aと、接続箱9及び継手8を覆う第2カバー部6bと、ブレードユニット20の一面における少なくともホルダ25の一部を覆う第3カバー部6cと、ブレードユニット20の他面における少なくともホルダ25の一部を覆う第4カバー部6dとを備える。カバー6は、少なくとも、切断作業時に作業者が接触する部分を覆い、作業者と被切断物との絶縁を実現する。
【0048】
作業者は、カッタヘッド4を被切断物に設置した後、油圧工具2を操作し、切断を開始する。油圧工具2とカッタヘッド4との間には、絶縁性を有するホース3が介在しており、また作動油は絶縁性が高く、切断装置1は、作業者と被切断物との絶縁をより確実に実現することができる。またホース3を所定の長さ以上、例えば1mにすることによって、切断時に作業者を電圧の印加された被切断物から離れた場所に配置させることができる。またホース3は紐状をなし、形状を変化させやすく、入り組んだ空間でも作業しやすい。
【0049】
なお油圧工具2及びホース3に代えて、信号出力部及び光ファイバケーブルを使用してもよい。信号出力部は伝動機構10を駆動させるための操作信号を出力し、光ファイバケーブルは操作信号を伝動機構10の駆動源に伝達する。光ファイバケーブルは、石英ガラス又は樹脂材料等によって構成されるので絶縁性が高く、前記ホース3と同様に、作業者と被切断物との絶縁をより確実に実現することができる。また光ファイバケーブルを所定の長さ以上にすることによって、切断時に作業者を電圧の印加された被切断物から離れた場所に配置させることができる。また光ファイバケーブルは紐状をなし、形状を変化させやすく、入り組んだ空間でも作業しやすい。
【0050】
図12は、ブレード21の略示正面図、図13は、図12のXIII-XIII線を切断線とした略示断面斜視図である。図12に示すように、刃部22aの縁、即ち円弧状の刃先の頂点T1は、刃先の中央よりもやや他端部22e寄りに位置する。即ち、刃先の略中央部に位置する。また頂点T1付近において、刃部22aの径方向の幅B1(刃部22aの先端と第2絶縁部24との間の寸法)は第2絶縁部24の径方向の幅A1(第2絶縁部24の寸法)よりも長い。そのため、図13に示すように、刃部22aの体積は第2絶縁部24よりも大きく、強度が高い。図13に示すように、刃部22aの傾斜角をθとすると、傾斜角θは、頂点T1から他端部22eに向かうに従って大きくなる。そのため、切断時に、頂点T1にて被切断物に作用する圧力(刃部22aの傾斜面に作用する圧力)は、他端部22eにて作用する圧力よりも小さい。
【0051】
図14は、切断装置1による切断を説明する説明図である。上述のように、切断装置1は二つのブレードユニット20を使用する。二つのブレードユニット20は、表裏を逆にして使用される。即ち、一方のブレードユニット20の一面が正面を向く場合、他方のブレードユニット20の他面が正面を向く。
【0052】
上述のように、伝動機構10はリンク12を有する。図14に示すように、リンク12は二股に分岐し、分岐した先端部に二つの突起12aが形成される。一方のブレードユニット20のリンク孔28に一方の突起12aが挿入され、他方のブレードユニット20のリンク孔28に他方の突起12aが挿入される。二つのブレードユニット20それぞれの支持孔には、支軸13(図3参照)が挿入される。各ブレードユニット20は支軸13の軸回りに回転可能である。
【0053】
切断装置1は電圧が印加された電線等のケーブル100を切断する。なおケーブル100は被切断物の一例であり、被切断物はこれに限定されない。図14は、ケーブル100に接近する第1動作を行った状態を示す。刃先の形状によって、切断開始時にケーブル100は頂点T1付近に位置する。切断が進行するに従って、ケーブル100は、より大きな力が作用する支軸13側に移動する。また上述したように、刃部22aの体積は第2絶縁部24よりも大きく、強度が高いので刃先はより一層破損しにくい。
【0054】
図15は、比較例に係るブレード201の略示参考正面図、図16は、図15のXVI-XVI線を切断線とした略示断面斜視図である。ブレード201の構成は、基本的にブレード21と同様な構成であり、ブレード21と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。ブレード201は切断刃221及び第2絶縁部241を備える。ブレード201は、切断刃221及び第2絶縁部241を除き、ブレード21と同様な構成である。図15に示すように、比較例の刃先の頂点T2は、頂点T2よりも切断刃221の他端部22e寄りに位置する。即ち他端部22e側に位置する。また頂点T2付近において、刃部221aの径方向の幅B2は、第2絶縁部241の径方向の幅A2よりも短い。そのため、図16に示すように、刃部221aの体積は第2絶縁部241よりも小さく、強度が低い。
【0055】
図17は、比較例に係る切断装置1による切断を説明する説明図である。図17は、ケーブル100に接近する第1動作を行った状態を示す。刃先の形状によって、切断開始時にケーブル100は頂点T2付近に位置する。切断が進行するに従って、ケーブル100は、より大きな力が作用する支軸13側に移動する。頂点T2付近は、頂点T1よりも支軸13に近い。そのため、ケーブル100は他端部22e側に移動しやすく、刃先の他端部22e側の特定箇所に荷重が集中しやすく、刃先が破損しやすい。また上述したように、刃部221aの体積は第2絶縁部241よりも小さく、強度が低いので刃先はより一層破損しやすい。
【0056】
実施の形態に係る切断装置1にあっては、切断刃22の非刃部22bを第1絶縁部23及び第2絶縁部24によって挟んで保持し、切断刃22の絶縁と保持とを両立させることができる。また第1絶縁部23及び第2絶縁部24は切断刃22の外周全体を絶縁し、絶縁性を向上させることができる。また被切断物の切断時に刃部22aの端部、即ち刃先に力が集中して作用し、刃先が損傷することを防止できる。
【0057】
また刃部22aの先端と絶縁部との間の寸法、即ち刃部22aの幅が、絶縁部の寸法、即ち絶縁部の幅よりも長いので、切断刃22の強度を向上させることができる。またホルダ25は第1絶縁部23及び第2絶縁部24のみに接触するので、絶縁性を向上させることができる。
【0058】
また嵌合溝26aに第1絶縁部23及び第2絶縁部24を嵌合させて、ホルダ25による保持を確実にすることができる。また絶縁性のカバー6によってホルダ25を覆い、絶縁性をより向上させることができる。またカバー6によって伝動機構10を覆い、絶縁性を更に向上させることができる。
【0059】
またカッタヘッド4と油圧工具2との間に絶縁性を有するホース3が介在することによって、作業者と被切断物との絶縁を実現することができる。また絶縁性の高い作動油がホース3を通流するので、作業者と被切断物との絶縁を確実に実現することができる。またホース3を所定の長さ以上にすることによって、切断時に作業者を電圧の印加された被切断物から離れた場所に配置させることができる。またカッタヘッド4と信号出力部との間に、石英ガラス又は樹脂材料等によって構成される絶縁性の高い光ファイバケーブルが介在することによって、作業者と被切断物との絶縁を確実に実現する。また光ファイバケーブルを所定の長さ以上にすることによって、切断時に作業者を電圧の印加された被切断物から離れた場所に配置させることができる。
【0060】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
1 切断装置
4 カッタヘッド
6 カバー
10 伝動機構
22 切断刃
22a 刃部
22b 非刃部
23 第1絶縁部
24 第2絶縁部
25 ホルダ
26a 嵌合溝
図1
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