(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144911
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】照射装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/20 20060101AFI20231003BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20231003BHJP
H05B 47/155 20200101ALI20231003BHJP
H05B 47/13 20200101ALI20231003BHJP
【FI】
A61L9/20
H05B47/16
H05B47/155
H05B47/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052116
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】岡村 和那
【テーマコード(参考)】
3K273
4C180
【Fターム(参考)】
3K273PA09
3K273QA21
3K273QA37
3K273RA04
3K273SA02
3K273SA37
3K273SA57
3K273SA58
3K273TA15
3K273TA17
3K273TA27
3K273TA28
3K273TA30
3K273TA40
3K273TA41
3K273TA49
3K273UA02
3K273UA22
3K273UA25
3K273VA01
4C180AA07
4C180DD03
4C180HH17
4C180HH19
4C180KK04
4C180LL04
4C180LL20
(57)【要約】
【課題】紫外光の照射範囲を可視化することができる照射装置を提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、照射装置は、紫外光源、可視光源及び制御部を備える。紫外光源は、第1ユニットに配置され、紫外光を照射する。可視光源は、第1ユニットとは異なる第2ユニットに配置され、紫外光源が照射した紫外光が到達した照射面における紫外光の照射範囲の全域を包含するように可視光を照射する。制御部は、可視光源からの可視光の照射が、紫外光源から紫外光が照射されるタイミングと重なるように、紫外光源及び可視光源を点灯制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ユニットに配置され、紫外光を照射する紫外光源と;
前記第1ユニットとは異なる第2ユニットに配置され、前記紫外光源が照射した紫外光が到達した照射面における前記紫外光の照射範囲の全域を包含するように可視光を照射する可視光源と;
前記可視光源からの前記可視光の照射が、前記紫外光源から前記紫外光が照射されるタイミングと重なるように、前記紫外光源及び前記可視光源を点灯制御する制御部と;
を備える、照射装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1ユニット内に配置され、前記紫外光源の点灯制御を行う第1点灯制御部と;
前記第2ユニット内に配置され、前記第1点灯制御部からの制御信号に基づいて、前記可視光源の点灯制御を行う第2点灯制御部と;
を含む
請求項1記載の照射装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記紫外光源によって前記紫外光を照射する前から、前記可視光源から前記可視光を照射するように、前記紫外光源及び前記可視光源を点灯制御する
請求項1または2記載の照射装置。
【請求項4】
人体の存在を検知する検知部と;
をさらに備え、
前記制御部は、前記検知部が前記人体の存在を検知したとき、前記可視光源から前記可視光を照射し、その後に、前記紫外光源から前記紫外光を照射するように、前記紫外光源及び前記可視光源を点灯制御する
請求項3記載の照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線領域の紫外光を照射する放電ランプを備えた紫外線照射装置がある。従来においては、このような紫外線照射装置は、例えば、紫外線硬化型のインク、塗料または接着剤などの硬化、材料の表面改質、液晶の光配向、などに用いられていた。また、紫外線には殺菌作用があるので、紫外線照射装置が部材の表面に付着した細菌の殺菌や除菌、ウィルスの不活性化などに用いられる場合もある。
【0003】
紫外線照射装置から照射される紫外光は、人の目の可視領域ではないため、紫外線照射装置の点灯と不点灯の区別がつかないというだけでなく、紫外光が照射されている照射範囲の判別もできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、紫外光の照射範囲を可視化することができる照射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、照射装置は、紫外光源、可視光源及び制御部を備える。紫外光源は、第1ユニットに配置され、紫外光を照射する。可視光源は、第1ユニットとは異なる第2ユニットに配置され、紫外光源が照射した紫外光が到達した照射面における紫外光の照射範囲の全域を包含するように可視光を照射する。制御部は、可視光源からの可視光の照射が、紫外光源から紫外光が照射されるタイミングと重なるように、紫外光源及び可視光源を点灯制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、紫外光の照射範囲を可視化することができる照射装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る照射装置の一例を示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、照射範囲の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る照射装置が備える制御部において実行される処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第2の実施形態に係る照射装置の一例を示す概略構成図である。
【
図5】
図5は、第2の実施形態に係る照射装置の第1照射ユニットが備える第1点灯制御部において実行される処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係る照射装置の第2照射ユニットが備える第2点灯制御部において実行される処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第3の実施形態に係る照射装置における第2照射ユニットの一例を示す概略構成図である。
【
図8】
図8は、重畳情報を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態の照射装置(1)は、紫外光源(11)と、可視光源(12)と、制御部(13)と、を備える。紫外光源(11)は、第1ユニット(10A)に配置され、紫外光を照射する。可視光源(12)は、第1ユニット(10A)とは異なる第2ユニット(10B)に配置され、紫外光源(11)が照射した紫外光が到達した照射面(2)における紫外光の照射範囲(31)の全域を包含するように可視光を照射する。制御部(13)は、可視光源(12)からの可視光の照射が、紫外光源(11)から紫外光が照射されるタイミングと重なるように、紫外光源(11)及び可視光源(12)を点灯制御する。これにより、紫外光が照射されているときには、紫外光の照射範囲(31)の全域を包含するような照射範囲(32)を持つ可視光が照射される。したがって、実施形態の照射装置(1)によれば、紫外光の照射範囲(31)と可視光の照射範囲(32)とが重なることで、紫外光の照射範囲(31)が可視化される。よって、紫外光の照射範囲(31)を可視化することができる。また、一般に、紫外光源(11)の寿命が可視光源(12)の寿命よりも短いので、可視光源(12)よりも先に紫外光源(11)が寿命を迎えることが多い。実施形態の照射装置(1)は、紫外光源(11)と可視光源(12)とを別体構成としているので、紫外光源(11)が寿命を迎えた場合には、その紫外光源(11)を有する第1ユニット(10A)のみを交換することで、照射装置(1)は再び使用可能となる。よって、紫外光源(11)と可視光源(12)とを一体構成する場合に比較して、安価に照射装置(1)を運用することができる。
【0010】
実施形態の照射装置(1)では、制御部(13)は、第1ユニット(10A)内に配置され、紫外光源(11)の点灯制御を行う第1点灯制御部(13A)と、第2ユニット(10B)内に配置され、第1点灯制御部(13A)からの制御信号に基づいて、可視光源(12)の点灯制御を行う第2点灯制御部(13B)と、を含む。よって、紫外光源(11)と可視光源(12)を別々の場所に設置することができる。例えば、紫外光の照射範囲(31)に人体が入っても、可視光がその人体によって妨げられないような位置に、可視光源(12)を設置することができる。これにより、可視光による紫外光の照射範囲(31)の可視化を継続することが可能となる。
【0011】
実施形態の照射装置(1)では、制御部(13)は、紫外光源(11)によって紫外光を照射する前から、可視光源(12)から可視光を照射するように、紫外光源(11)及び可視光源(12)を点灯制御する。よって、実際に紫外光が照射される前に、どこに紫外光が照射さるのかを、告知することが可能となる。
【0012】
実施形態の照射装置(1)では、人体の存在を検知する検知部(14)をさらに備え、制御部(13)は、検知部(14)が人体の存在を検知したとき、可視光源(12)から可視光を照射し、その後に、紫外光源(11)から紫外光を照射するように、紫外光源(11)及び可視光源(12)を点灯制御する。よって、人体の接近に応じて可視光及び紫外光の照射を開始することができるので、可視光及び紫外光の無駄な照射を無くし、省電力化が達成できる。また、人体が通った箇所、または、人体が滞在している場所を、殺菌することができる。
【0013】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る照射装置1の一例を示す概略構成図である。
図1に示すように、照射装置1は、第1照射ユニット10Aと、この第1照射ユニット10Aとは異なる第2照射ユニット10Bとの、2つの照射ユニットによって構成される。第1照射ユニット10Aと、第2照射ユニット10Bは、箱状の筐体の中に配設される。第1照射ユニット10Aと、第2照射ユニット10Bは、筐体の内部で離間して配設されても良い。第1照射ユニット10Aは紫外光源11を有し、第2照射ユニット10Bは可視光源12を有する。第1照射ユニット10A内には、さらに、紫外光源11及び可視光源12の点灯制御を行う制御部13が配置されている。また、第1照射ユニット10Aは、例えば人感センサ14及び近接センサ15等の検知部を含むことができる。
【0015】
紫外光源11は、床等の照射面2に対して紫外光を照射する光源であり、例えば、紫外線LED(Light Emitting Diode)、水銀ランプ、メタルハライドランプ、蛍光形紫外線ランプ、エキシマランプ等が用いられる。なお、紫外光源11が照射する紫外光は、人の目では見えない。
図1では、この目に見えないことを、破線により表している。紫外光源11が照射する紫外光は、主に主波長(ピーク波長)が380nm以下の紫外光である。具体的には、紫外光源11が照射する紫外光は、殺菌力が高い254nmを主波長とする紫外光を用いても良いし、人体への影響が少ない例えば222nmを主波長とする紫外光を用いても良いし、222nmを主波長とすると共に230nm以上の波長がカットされた人体への影響がより少ない紫外光を用いても良い。
【0016】
可視光源12は、照射面2に対して可視光を照射する光源であり、例えば、制御部13と有線接続されている。可視光源12は、可視光LEDランプ、水銀ランプ、メタルハライドランプ、などの、一般に利用される可視光源であれば、どのようなものであっても良い。可視光源12が照射する可視光の波長は、照射装置1が設置される環境の照明色並びに照射面2の色に対して識別可能であれば、どのような波長であっても構わない。換言すれば、可視光源12が照射する可視光の波長は、照明色及び照射面色に対して区別可能な波長を選択することが必要となる。
【0017】
図2は、照射装置1から照射された光が到達した照射面2における照射範囲3の一例を示す模式図である。照射範囲3は、紫外光源11から照射された紫外光の照射範囲である紫外光照射範囲31と、可視光源12から照射された可視光の照射範囲である可視光照射範囲32と、を含む。なお、
図1と同様に、
図2においても人の目では見えないことを、破線によって表している。可視光源12を有する第2照射ユニット10Bは、可視光源12から照射された可視光の可視光照射範囲32が、
図2に示されるように、紫外光照射範囲31の全域を包含するように、設置される。紫外光照射範囲31と可視光照射範囲32がこのような関係となるように設置する手法については、本実施形態では特に限定しないが、例えば、紫外光照射範囲31と可視光照射範囲32とが、先述の関係性を満たすように第1照射ユニット10Aや、第2照射ユニット10Bを配設したり、第1照射ユニット10Aの照射方向に第2照射ユニット10Bの照射方向が追従する構成としたりすることで実現できる。第1照射ユニット10Aは、殺菌の目的箇所に応じた紫外光照射範囲31となるように設置されるので、第2照射ユニット10Bは、その紫外光照射範囲31に対応して設置位置及び可視光源12の設置方向が規定される。どのような手法であっても、結果的に、紫外光照射範囲31と可視光照射範囲32がこのような関係となるように、第2照射ユニット10Bを設置できれば良い。
【0018】
なお、
図2では、紫外光照射範囲31及び可視光照射範囲32を楕円形状で示しているが、どのような形状となるように設計しても構わない。すなわち、本実施形態では、紫外光源11及び可視光源12の配光または第1,第2照射ユニット10A,10Bからの光の照射窓の形状は、特に規定しない。また、可視光照射範囲32が紫外光照射範囲31の全域を包含するのであれば、紫外光照射範囲31と可視光照射範囲32とが同一形状でなくても良い。可視光照射範囲32が紫外光照射範囲31の全域を包含し、同一形状、ほぼ同一サイズとなるようにすると、つまり、可視光照射範囲32を紫外光照射範囲31とほぼ一致するように可視光を照射すると、人に紫外光照射範囲31を正しく識別させることができるので、望ましい。なお、紫外光照射範囲31と可視光照射範囲32とが一致(形状一致かつ位置一致)するように構成されていても良い。
【0019】
制御部13は、特に図示はしていないが、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサとメモリとを有するコンピュータである。メモリは、プロセッサに紫外光源11及び可視光源12の点灯制御処理を行わせるためのプログラムを記憶する不揮発性メモリと、プロセッサが処理を行う過程で取得及び作成されたデータを一時的に記憶する揮発性メモリと、を含む。制御部13は、また、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)、DSP(Digital Signal processor)、等の集積回路を含む、他の多様な形式で実現されても良い。
【0020】
人感センサ14及び近接センサ15は何れも、一定距離に接近した人体の存在を検知する検知部であり、その検知距離が異なっている。人感センサ14の検知距離よりも近接センサ15の検知範囲の方が短い。人感センサ14及び近接センサ15は、例えば、人体の発する赤外線を感知して作動する赤外線センサが用いられ、赤外線センサの感度を、人感センサ14は高感度、近接センサ15は低感度とすることで、検知距離を調整することができる。また、人感センサ14は焦電型センサ、近接センサ15は反射型センサとしても良い。人感センサ14は、人体が照射面2の照射範囲3から一定距離以内に近づいたことを検知するように、その検知方向及び検知距離が設定される。また、近接センサ15は、人体が紫外光源11から一定距離以内に近づいたことを検知するように、その検知方向及び検知距離が設定される。なお、人感センサ14は、第1照射ユニット10Aから遠隔設置しても構わない。例えば、人感センサ14は、照射面2における照射範囲3の近傍位置に設置することができる。
【0021】
制御部13は、これら人感センサ14及び近接センサ15の検知信号に基づいて、紫外光源11及び可視光源12の点灯制御を実施することができる。
【0022】
なお、これら人感センサ14及び近接センサ15は任意構成であり、無くても良い。その場合には、制御部13は、図示されない点灯スイッチ等の操作に応じて、紫外光を照射させるように、紫外光源11を点灯制御する。そして、制御部13は、この紫外光の照射に伴って、可視光を照射させるように、可視光源12を点灯制御する。このように制御することで、紫外光が照射されるタイミングと重なって可視光が照射されることとなる。
【0023】
以下、人感センサ14及び近接センサ15を備える場合の制御部13の処理動作を説明する。
図3は、第1の実施形態に係る照射装置が備える制御部において実行される処理動作の一例を示すフローチャートである。制御部13の図示されないプロセッサは、図示されないメモリに予め記憶されたプログラムを実行することで、このフローチャートに示す処理を行うことができる。
【0024】
制御部13(の図示されないプロセッサ、以下同じ。)は、処理動作を開始すると、人感センサ14によって人体の接近が検知されたか否か判断する(ステップS11)。人体の接近が検知されないと判断した場合、制御部13は、引き続きこのステップS11の処理を実施する。つまり、制御部13は、人体が照射面2の照射範囲3から一定距離以内に近づくのを待つ。
【0025】
人感センサ14によって人体の接近を検知したと判断した場合、制御部13は、可視光を照射するように第2照射ユニット10Bに配置された可視光源12を点灯制御する(ステップS12)。
【0026】
その後に、制御部13は、紫外光を照射するように紫外光源11を点灯制御する(ステップS13)。なお、
図3には図示していないが、このとき、制御部13は、紫外光の照射時間を計時するための図示されないタイマをリセットしてから、再スタートさせる。
【0027】
そして、制御部13は、近接センサ15によって人体の接近が検知されたか否か判断する(ステップS14)。ここで、近接センサ15によって人体の接近が検知されないと判断した場合、制御部13は、人感センサ14によって人体が検知され続けているか否か判断する(ステップS15)。人感センサ14によって人体が検知され続けていると判断した場合、制御部13は、上記タイマによって計時している紫外光の照射時間が規定時間を経過したか否か判断する(ステップS16)。未だ規定時間を経過していないと判断した場合、制御部13は、上記ステップS14の処理に移行する。
【0028】
上記ステップS14において、近接センサ15によって人体の接近が検知されたと判断した場合、制御部13は、紫外光又は可視光の照射を終了するように紫外光源11又は可視光源12を点灯制御する(ステップS17)。
【0029】
例えば、制御部13は、図示されないモードスイッチ等により設置モード(例えば、第1,第2照射ユニット10A,10Bを設置する際に設定されるモード)に設定されている場合、紫外光の照射を終了するように紫外光源11を点灯制御する。すなわち、可視光照射範囲32が紫外光照射範囲31の全領域を包含するように第2照射ユニット10Bを設置する際には、紫外光照射範囲31の位置は既知であるため、特に紫外光が照射されていなくても良い。可視光が照射されていれば、可視光照射範囲32が視認可能であるため、既知の紫外光照射範囲31の位置に合致するように、可視光照射範囲32を見ながら第2照射ユニット10Bを設置することができる。
【0030】
また、図示されないモードスイッチ等により使用モードに設定されている場合、制御部13は、可視光の照射を終了するように可視光源12を点灯制御する。すなわち、近接センサ15によって人体の接近が検知される状態とは、可視光照射範囲32に照射された可視光によって人は既に紫外光照射範囲31を確認していることが想定される。そのため、可視光が照射されなくなっても問題とはならない。なお、特に図示はしていないが、このとき、制御部13は、紫外光源11から照射する紫外光の照射強度を低くして、例えば人の目に紫外光が照射される影響を低減するようにしても良い。また、このとき制御部13は、紫外光源13を消灯するように構成されていても良い。つまり、制御部13は、紫外光源11と可視光源12の両方が消灯するように構成されていても良い。
【0031】
その後、制御部13は、近接センサ15によって人体が検知され続けているか否か判断する(ステップS18)。人体が検知され続けていると判断した場合、制御部13は、上記ステップS17の処理に移行する。(ステップS17の処理を継続する)そして、近接センサ15によって、もはや人体が検知されないと判断した場合、制御部13は、上記ステップS12の処理に移行する。
【0032】
また、上記ステップS16において上記タイマによって計時している紫外光の照射時間が規定時間を経過したと判断した場合、制御部13は、可視光の照射を終了するように可視光源12を点灯制御する(ステップS19)。すなわち、紫外光の照射時間が規定時間を経過している状態とは、可視光照射範囲32に照射された可視光によって人は既に紫外光照射範囲31を確認していることが想定される。そのため、可視光が照射されなくなっても問題とはならない。その後、制御部13は、上記ステップS15の処理に移行する。
【0033】
上記ステップS15において人感センサ14によって人体が検知されなくなったと判断した場合、制御部13は、可視光の照射を終了するように可視光源12を点灯制御する(ステップS20)。紫外光の照射は、継続される。このとき、制御部13は、上記紫外光照射時間計時用の図示されないタイマをリセットしてから、再スタートさせる。
【0034】
その後、制御部13は、上記タイマによって計時している紫外光の照射時間が規定の殺菌時間を経過したか否か判断する(ステップS21)。未だ規定の殺菌時間を経過していないと判断した場合、制御部13は、近接センサ15によって再び人体の接近が検知されたか否か判断する(ステップS22)。人体の接近が検知されたと判断した場合には、制御部13は、上記ステップS12の処理に移行する。つまり、別の人が接近してきたならば、その人のために可視光及び紫外光の照射を行うこととなる。なお、ここでの規定の殺菌時間は、紫外光源11から照射される紫外線の強度で、照射面2そのもの、もしくは、照射面2の周囲の空気を、十分殺菌可能(例えば、99.9%の菌を殺菌可能)な時間である。
【0035】
また、人体の接近が検知されないと判断した場合、制御部13は、上記ステップS21の処理に移行する。そして、上記ステップS21において規定の殺菌時間を経過したと判断した場合、制御部13は、紫外光の照射を終了するように紫外光源11を点灯制御する(ステップS23)。こうして、人が居なくなってから規定の殺菌時間の間、紫外光による殺菌が継続されることとなる。その後、制御部13は、上記ステップS11の処理に移行する。
【0036】
本実施形態では、照射装置1は、前述のように、第1ユニットである第1照射ユニット10Aに配置され、紫外光を照射する紫外光源11と、第1照射ユニット10Aとは異なる第2ユニットである第2照射ユニット10Bに配置され、紫外光源11が照射した紫外光が到達した照射面2における紫外光の照射範囲である紫外光照射範囲31の全域を包含するように可視光を照射する可視光源12と、可視光源12からの可視光の照射が、紫外光源11から紫外光が照射されるタイミングと重なるように、紫外光源11及び可視光源12を点灯制御する制御部13と、を備えることで、紫外光が照射されているときには、紫外光照射範囲31の全域を包含するような可視光照射範囲32を持つ可視光が照射される。したがって、第1の実施形態の照射装置1によれば、紫外光照射範囲31と可視光照射範囲32とが重なることで、紫外光照射範囲31が可視化される。よって、紫外光照射範囲31を可視化することができる。また、第1の実施形態の照射装置1は、紫外光源11と可視光源12とを別体構成としているので、一般に可視光源12よりも先に寿命を迎えることが多い紫外光源11が寿命を迎えた場合には、その紫外光源11を有する第1照射ユニット10Aのみを交換することで、照射装置1は再び使用可能となる。よって、紫外光源11と可視光源12とを一体構成する場合に比較して、安価に照射装置1を運用することができる。
【0037】
また、本実施形態では、前述のように、制御部13は、紫外光源11によって紫外光を照射する前から、可視光源12から可視光を照射するように、紫外光源11及び可視光源12を点灯制御するようにしているので、例えば、照射範囲3に近づく人に対して、実際に紫外光が照射される前に、どこに紫外光が照射さるのかを、告知することが可能となる。
【0038】
また、本実施形態では、前述のように、人体の存在を検知する検知部である人感センサ14をさらに備え、制御部13は、人感センサ14が人体の存在を検知したとき、可視光源12から可視光を照射し、その後に、紫外光源11から紫外光を照射するように、紫外光源11及び可視光源12を点灯制御するので、人体の接近に応じて可視光及び紫外光の照射を開始することができる。よって、第1の実施形態の照射装置1は、可視光及び紫外光の無駄な照射を無くし、省電力化が達成でき、また、人体が通った箇所または人体が滞在している場所を、殺菌することができる。
【0039】
また、本実施形態では、前述のように、制御部13は、人感センサ14が人体の存在を検知しなくなった後、一定時間が経過するまで、紫外光の照射を継続するように、紫外光源11を点灯制御する。このように、人が居なくなってからも一定時間の間殺菌を継続することで、第1の実施形態の照射装置1は、より確実に殺菌することが可能となる。
【0040】
また、本実施形態では、前述のように、制御部13は、紫外光の照射を開始してから一定時間が経過したとき、可視光の照射を終了するように、可視光源12を点灯制御する。よって、紫外光照射範囲31の確認が済んだことが想定されるとき、その紫外光照射範囲31を包含する可視光の照射を終了することで、第1の実施形態の照射装置1は、可視光照射について省電力化が図れる。
【0041】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、説明する。なお、以下の第2の実施形態では、第1の実施形態からの変更部分のみを説明し、第1の実施形態と同様の部分については、説明を省略する。
【0042】
図4は、第2の実施形態に係る照射装置の一例を示す概略構成図である。本実施形態では、第1照射ユニット10A内に配置された第1点灯制御部13Aが紫外光源11の点灯制御を行い、第2照射ユニット10B内に配置された第2点灯制御部13Bが可視光源12の点灯制御を行うようにしたものである。第1点灯制御部13A及び第2点灯制御部13Bは、特に図示はしていないが、それぞれ、他方の点灯制御部13B又は13Aと有線又は無線により通信を行う通信部を有している。第2の実施形態においては、第1照射ユニット10Aと、第2照射ユニット10Bと、はそれぞれ異なる筐体に包含されており、2つの照射ユニットにより、照射システムを構成する。この照射システムにおいては、第1照射ユニット10Aと、第2照射ユニット10Bと、は離間して配設される。
【0043】
図5は、第2の実施形態に係る照射装置1の第1照射ユニット10Aが備える第1点灯制御部13Aにおいて実行される処理動作の一例を示すフローチャートである。また、
図6は、第2の実施形態に係る照射装置1の第2照射ユニット10Bが備える第2点灯制御部13Bにおいて実行される処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0044】
図5のフローチャートに示されるように、第1点灯制御部13A(の図示されないプロセッサ、以下同じ。)は、処理動作を開始すると、第1の実施形態における制御部13と同様に、上記ステップS11において、人感センサ14によって人体の接近が検知されたか否か判断する。そして、人感センサ14によって人体の接近を検知したと判断した場合、本実施形態では、第1点灯制御部13Aは、図示されない通信部により、第2点灯制御部13Bに可視光開始指令を送信する(ステップS31)。
【0045】
図6のフローチャートに示されるように、第2点灯制御部13B(の図示されないプロセッサ、以下同じ。)は、処理動作を開始すると、まず、図示されない通信部によって、第1点灯制御部13Aからの可視光開始指令を受信したか否か判断する(ステップS41)。可視光開始指令を受信していないと判断した場合、第2点灯制御部13Bは、さらに、図示されない通信部によって、第1点灯制御部13Aからの可視光終了指令を受信したか否か判断する(ステップS42)。可視光終了指令も受信していないと判断した場合、第2点灯制御部13Bは、上記ステップS41の処理に移行する。このように、第2点灯制御部13Bは、第1点灯制御部13Aから可視光開始指令または可視光終了指令が送信されてくるのを待つ。
【0046】
そして、上記ステップS41において第1点灯制御部13Aからの可視光開始指令を受信したと判断した場合、第2点灯制御部13Bは、可視光を照射するように可視光源12を点灯制御する(ステップS43)。その後、第2点灯制御部13Bは、上記ステップS41の処理に移行する。
【0047】
また、上記ステップS31において第2点灯制御部13Bに可視光開始指令を送信した後、第1点灯制御部13Aは、第1の実施形態で説明したように、ステップS13において紫外光を照射するように紫外光源11を点灯制御する。そして、第1点灯制御部13Aは、第1の実施形態で説明したような上記ステップS14乃至上記ステップS16の処理動作を実施する。
【0048】
そして、上記ステップS14において、近接センサ15によって人体の接近が検知されたと判断すると、第1点灯制御部13Aは、紫外光の照射を終了するように紫外光源11を点灯制御する、または、図示されない通信部により、第2点灯制御部13Bに可視光終了指令を送信する(ステップS32)。なお、特に図示はしていないが、第2点灯制御部13Bに可視光終了指令を送信する場合には、第1点灯制御部13Aは、第1の実施形態と同様に、紫外光源11から照射する紫外光の照射強度を低くして、例えば人の目に紫外光が照射される影響を低減するようにしても良い。その後、第1点灯制御部13Aは、第1の実施形態で説明したような上記ステップS18の判断を行い、その判断結果により、上記ステップS32または上記ステップS31に移行する。
【0049】
上記ステップS32での可視光終了指令の送信により、上記ステップS42において第1点灯制御部13Aからの可視光終了指令を受信したと判断した場合、第2点灯制御部13Bは、可視光の照射を終了するように可視光源12を点灯制御する(ステップS44)。その後、第2点灯制御部13Bは、上記ステップS41の処理に移行する。
【0050】
また、上記ステップS16において上記タイマによって計時している紫外光の照射時間が規定時間を経過したと判断した場合、第1点灯制御部13Aは、図示されない通信部により、第2点灯制御部13Bに可視光終了指令を送信する(ステップS33)。
【0051】
このステップS33での可視光終了指令の送信により、第2点灯制御部13Bは、上記ステップS42において第1点灯制御部13Aからの可視光終了指令を受信したと判断し、上記ステップS44に移行して、可視光の照射を終了するように可視光源12を点灯制御する。
【0052】
また、上記ステップS15において人感センサ14によって人体が検知されなくなったと判断した場合、第1点灯制御部13Aは、図示されない通信部により、第2点灯制御部13Bに可視光終了指令を送信する(ステップS34)。
【0053】
このステップS33での可視光終了指令の送信により、第2点灯制御部13Bは、上記ステップS42において第1点灯制御部13Aからの可視光終了指令を受信したと判断し、上記ステップS44に移行して、可視光の照射を終了するように可視光源12を点灯制御する。
【0054】
上記ステップS34において第2点灯制御部13Bに可視光終了指令を送信した後、第1点灯制御部13Aは、第1の実施形態で説明したような上記ステップS21乃至上記ステップS23の処理動作を実施する。
【0055】
本実施形態では、前述のように、第1の実施形態における制御部13は、第1照射ユニット10A内に配置され、紫外光源11の点灯制御を行う第1点灯制御部13Aと、第2照射ユニット10B内に配置され、第1点灯制御部13Aからの制御信号に基づいて、可視光源12の点灯制御を行う第2点灯制御部13Bと、に分割される。よって、紫外光源11と可視光源12を別々の場所に設置することができる。例えば、紫外光照射範囲31に人体が入っても、可視光がその人体によって妨げられないような位置に、可視光源12を設置することができる。これにより、可視光による紫外光照射範囲31の可視化を継続することが可能となる。
【0056】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について、説明する。なお、以下の第3の実施形態では、第2の実施形態からの変更部分のみを説明し、第2の実施形態と同様の部分については、説明を省略する。
【0057】
図7は、第3の実施形態に係る照射装置1における第2照射ユニット10Bの一例を示す概略構成図である。本実施形態においては、第2照射ユニット10Bの可視光源12からの可視光の照射窓に情報重畳部16が配置される。情報重畳部16は、例えば、液晶パネルと光学系を含み、可視光源12からの可視光を液晶パネルの裏面から当てて映像を投影する透過型のプロジェクタとすることができる。液晶パネルに形成する投影内容は、第2点灯制御部13Bによって切り替えられることができる。また、情報重畳部16は、液晶パネルに変えて、固定の投影内容がプリントされた、交換可能な透過フィルムを使用するものであっても良い。
【0058】
図8は、情報重畳部16によって可視光に重畳された重畳情報321を説明するための模式図である。情報重畳部16の液晶パネルや透過フィルム等により提供される投影内容が、可視光源12からの可視光の照射により投影されて、紫外光照射範囲31に重畳情報321として表示される。
【0059】
本実施形態では、前述のように、可視光源12から照射された可視光に情報を重畳させる情報重畳部16をさらに備えることで、紫外光が照射されている旨のメッセージや広告等を重畳情報321として紫外光照射範囲31に投影する。よって、本第3の実施形態の照射装置1は、可視光源12からの可視光を、紫外光照射範囲31の告知と同時に、別の用途にも有効利用することが可能となる。
【0060】
第1の実施形態の照射装置1にも、本第3の実施形態のような情報重畳部16を適用できることは言うまでもない。
【0061】
なお、第1乃至第3の実施形態の照射装置1では、紫外光源11と可視光源12とは別のユニットに分割は位置するものとしたが、1つの同一ユニット内に両方を配置しても良いことは勿論である。このような一体構成とすることで、可視光を照射する可視光照射範囲32の調整を行うこと無く、紫外光照射範囲31にずれなく可視光を照射することができる。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1…照射装置、 2…照射面、 3…照射範囲、 10A…第1照射ユニット、 10B…第2照射ユニット、 11…紫外光源、 12…可視光源、 13…制御部、 13A…第1点灯制御部、 13B…第2点灯制御部、 14…人感センサ、 15…近接センサ、 16…情報重畳部、 31…紫外光照射範囲、 32…可視光照射範囲、321…重畳情報。