(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144912
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】リマインダー装置、リマインダー方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20231003BHJP
【FI】
G06Q10/10
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052117
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】福島 多聞
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】リマインダーの効果を向上させること。
【解決手段】情報処理装置は、リマインダー部20を備えている。リマインダー部20の記憶部21には、複数のリマインド強度と複数の通知方法とがそれぞれ関連付けられたリマインド定義情報が格納されている。選択部22は、各リマインド強度の確率が設定された確率分布を用いて、いずれか一つのリマインド強度を確率的に選択し、通知部23は、選択されたリマインド強度に応じた通知方法で、イベント通知を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリマインド強度と複数の通知方法とがそれぞれ関連付けられたリマインド定義情報と、
各前記リマインド強度の確率が設定された確率分布を用いて、いずれか一つのリマインド強度を確率的に選択する選択部と、
選択された前記リマインド強度に応じた通知方法で、イベント通知を行う通知部と
を具備するリマインダー装置。
【請求項2】
過去のリマインドに対するユーザのイベント実行実績に基づいて前記確率分布を調整する確率分布調整部を備える請求項1に記載のリマインダー装置。
【請求項3】
前記確率分布調整部は、ユーザの過去のイベント実行実績の評価が低いほど、高いリマインド強度が選択される確率が高くなるように確率分布を調整し、ユーザの過去のイベント実行実績の評価が高いほど、低いリマインド強度が選択される確率が高くなるように確率分布を調整する請求項2に記載のリマインダー装置。
【請求項4】
前記確率分布は、複数の不履行レベルのそれぞれに対応して設定されており、
前記確率分布調整部は、過去のイベント通知に対するユーザのイベント実行実績と、過去に通知したイベント通知のリマインド強度とに応じて、前記不履行レベルの設定値を更新し、
前記選択部は、前記不履行レベルの設定値に対応する確率分布を用いて、いずれか一つのリマインド強度を確率的に選択する請求項2又は3に記載のリマインダー装置。
【請求項5】
周辺環境の情報を取得する環境情報取得部を備え、
前記確率分布調整部は、取得された周辺環境情報及びイベントの内容に応じて設定されている環境条件に応じて、前記確率分布を調整する請求項2に記載のリマインダー装置。
【請求項6】
コンピュータを請求項1に記載のリマインダー装置として機能させるためのプログラム。
【請求項7】
複数のリマインド強度のそれぞれに対して確率が設定された確率分布を用いて、いずれか一つのリマインド強度を確率的に選択する工程と、
各前記リマインド強度と通知方法とが関連付けられたリマインド定義情報から、確率的に選択された前記リマインド強度に応じた通知方法を特定する工程と、
特定した通知方法でイベント通知を行う工程と
を具備するリマインダー方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リマインダー装置、リマインダー方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、個人やグループのスケジュールを管理するスケジュール管理システムに搭載される機能として、リマインダー機能が知られている(例えば、特許文献1参照)。リマインダー機能は、例えば、ユーザがカレンダーにイベント(予定)を設定した場合に、そのイベントの所定時間前に、そのイベントに関するメッセージ等をユーザに通知する機能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リマインダーに慣れてしまっているユーザの場合、リマインダーの効果が薄れてしまい、イベントが忘れられてしまう可能性がある。また、リマインダーを行ってもイベントを忘れがちなユーザに対しては、一般的なリマインダーだけでは十分な効果が得られない可能性がある。逆に、リマインダーがなくてもイベントを実行できるユーザに対しては、毎回のリマインダーが煩わしく感じられる可能性がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、リマインダーの効果を向上させることのできるリマインダー装置、リマインダー方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様は、複数のリマインド強度と複数の通知方法とがそれぞれ関連付けられたリマインド定義情報と、各前記リマインド強度の確率が設定された確率分布を用いて、いずれか一つのリマインド強度を確率的に選択する選択部と、選択された前記リマインド強度に応じた通知方法で、イベント通知を行う通知部とを具備するリマインダー装置である。
【0007】
本発明の第2態様は、コンピュータを上記リマインダー装置として機能させるためのプログラムである。
【0008】
本発明の第3態様は、複数のリマインド強度のそれぞれに対して確率が設定された確率分布を用いて、いずれか一つのリマインド強度を確率的に選択する工程と、各前記リマインド強度と通知方法とが関連付けられたリマインド定義情報から、確率的に選択された前記リマインド強度に応じた通知方法を特定する工程と、特定した通知方法でイベント通知を行う工程とを具備するリマインダー方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によればリマインダーの効果を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理装置が備えるリマインダー部(リマインダー装置)の一例を示した機能ブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る確率分布テーブルの一例を示した図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るリマインダー方法の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図5】確率分布を用いずにリマインド強度を選択する場合と、確率分布を用いてリマインド強度を選択する場合とで、選択されたリマインド強度の結果の一例を比較して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係るリマインダー装置、リマインダー方法、及びプログラムについて、図を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。情報処理装置1の一例として、ノートPC、デスクトップ型PC、タブレット端末、スマートフォン等が挙げられる。
【0012】
図1に示すように、情報処理装置1は、例えば、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)11、メインメモリ12、二次記憶装置(Secondary storage:メモリ)13、通信部14などを備えている。更に、情報処理装置1は、入力部15、表示部16、マイク17、カメラ18等を備えている。
【0013】
CPU11は、例えば、バスを介して接続された二次記憶装置13に格納されたOS(Operating System)により情報処理装置1全体の制御を行うとともに、二次記憶装置13に格納された各種プログラムを実行することにより各種処理を実行する。CPU11は、1つ又は複数設けられており、互いに協働して処理を実現してもよい。
【0014】
メインメモリ12は、例えば、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPU11の実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
【0015】
二次記憶装置13は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)である。二次記憶装置13は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどである。二次記憶装置13の一例として、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)フラッシュメモリなどが挙げられる。二次記憶装置13は、例えば、Windows(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)等の情報処理装置1全体の制御を行うためのOS、BIOS(Basic Input/Output System)、周辺機器類をハードウェア操作するための各種デバイスドライバ、各種アプリケーションソフトウェア、及び各種データやファイル等を格納する。また、二次記憶装置13には、各種処理を実現するためのプログラムや、各種処理を実現するために必要とされる各種データが格納されている。二次記憶装置13は、複数設けられていてもよく、各二次記憶装置13に上述したようなプログラムやデータが分割されて格納されていてもよい。
【0016】
通信部14は、ネットワークに接続して他の装置と通信を行い、情報の送受信を行うためのインターフェースとして機能する。例えば、通信部14は、有線又は無線により他の装置と通信を行う。無線通信として、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、移動通信システム(3G、4G、5G、6G、LTE等)、無線LANなどの回線を通じた通信が挙げられる。有線通信の一例として、有線LAN(Local Area Network)などの回線を通じた通信が挙げられる。
【0017】
入力部15は、ユーザが情報処理装置1に対して指示を与えるためのユーザインタフェースである。入力部15の一例として、キーボード、タッチパッド、ポインティングデバイスなどが挙げられる。ポインティングデバイスの一例として、マウス、タッチパネル、ペンタブレット、トラックパッド、トラックボールなどが挙げられる。
【0018】
表示部16は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)等で構成される表示画面を有し、情報処理装置1によって実行されたアプリケーション等の結果等を表示するものである。
マイク17は、例えば、ユーザによる入力部15からの入力操作等に基づいて音を電気信号に変換する。
カメラ18は、例えば、ユーザによる入力部15からの入力操作等に基づいてCPU11によって制御される。
【0019】
次に、本実施形態に係る情報処理装置1が有する機能の一例について図を参照して説明する。
図2は、本実施形態に係る情報処理装置1が備えるリマインダー機能の一例を示した機能ブロック図である。
後述する各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で二次記憶装置13などに記憶されており、このプログラムをCPU(プロセッサ)11がメインメモリ12に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、二次記憶装置13に予めインストールされている形態や、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の一例として、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどが挙げられる。
【0020】
図2に示すように、情報処理装置1のリマインダー部(リマインダー装置)20は、例えば、記憶部21、選択部22、通知部23を備えている。更に、情報処理装置1は、確率分布調整部24を備えている。
【0021】
記憶部21には、リマインド定義情報が格納されている。リマインド定義情報は、複数のリマインド強度と複数の通知方法とがそれぞれ関連付けられた情報である。リマインド定義情報は、リマインド強度が高くなるほど、通知方法が強化されるように設定されている。
【0022】
本実施形態では、一例として、リマインド強度を4段階に設定する場合について説明する。リマインド定義情報の一例を以下の表1に示す。表1に示すリマインド定義情報は、例えば、自宅における服薬を想定した場合の定義情報である。
【0023】
【0024】
選択部22は、各リマインド強度の確率が定義された確率分布を用いて、いずれか一つのリマインド強度を確率的に選択する。なお、確率分布については後述する。
【0025】
通知部23は、選択部22によって選択されたリマインド強度に対応づけられた通知方法で、イベント通知を行う。通知部23は、例えば、選択部22によってリマインド強度「2」が選択された場合、記憶部21に格納されているリマインド定義情報からリマインド強度「2」に対応する通知方法を取得し、取得した通知方法でイベント通知を行う。この結果、例えば、表1に示したリマインド定義情報を例に挙げると、通知部23は、複数回にわたって当該イベントの通知を行うこととなる。
【0026】
確率分布調整部24は、過去のリマインドに対するユーザのイベント実行実績に基づいて、確率分布を調整する。例えば、確率分布調整部24は、ユーザの過去のイベント実行実績の評価が低いほど、高いリマインド強度が選択される確率が高くなるように確率分布を調整し、ユーザの過去のイベント実行実績の評価が高いほど、低いリマインド強度が選択される確率が高くなるように確率分布を調整する。
例えば、確率分布調整部24は、機械学習を用いて、ユーザのイベント実行実績に応じて確率分布を最適化することとしてもよい。機械学習の具体例として、Q-Learningが挙げられる。
【0027】
これにより、例えば、イベント通知がされてもそのイベントをあまり実行しないようなユーザには、高いリマインド強度が選択される確率が高くなり、逆に、イベント通知がされたイベントをきちんと実行するようなユーザには、低いリマインド強度が選択される確率が高くなる。
【0028】
また例えば、確率分布調整部24は、
図3に示すように、複数の不履行レベルと複数の確率分布とがそれぞれ関連付けられた確率分布テーブルを有しており、過去のイベント通知に対するユーザのイベント実行実績と、過去に通知したイベント通知のリマインド強度とに応じて不履行レベルの設定値を更新することにより、選択部22が用いる確率分布を切り換えることとしてもよい。このように、複数の確率分布を用意しておき、不履行レベルに応じて選択部22が用いる確率分布を異ならせることにより、結果として、確率分布を調整することとしてもよい。
なお、
図3では、不履行レベルをリマインド強度と同数である4段階に設定した例を示しているがこの例に限られない。
【0029】
ここで、不履行レベルとは、ユーザがイベント通知されたイベントを実行しない度合を示す評価値である。すなわち、ユーザがイベント通知されたイベントを実行しない度合が高いほど、不履行レベルの設定値は高くなる。そして、不履行レベルが高いほど、高いリマインド強度の確率が高く設定され、不履行レベルが低いほど、低いリマインド強度が選択される確率が高くなるように、確率分布が設定されている。
【0030】
より具体的には、不履行レベルが「X」のときは、リマインド強度「X」の確率が最も高くなるように確率分布が設定されている。これにより、不履行レベルが「0」のときには、リマインド強度「0」の確率が60%(最大値)に設定され、不履行レベルが「3」のときには、リマインド強度「3」の確率が60%(最大値)に設定される。
【0031】
確率分布調整部24は、例えば、直近所定期間におけるユーザのイベント実行実績と、通知したリマインドのリマインド強度との組み合わせに応じて、不履行レベルの設定値を更新する。
例えば、不履行レベルの設定値を「X」、前回のリマインド時において選択部22によって選択されたリマインド強度を「Y」と仮定すると、確率分布調整部24は、以下のルールに従って、不履行レベルの設定値を更新する。
【0032】
(a) イベント通知の結果、ユーザがイベントを実行し、かつ、X≧Yの場合には、不履行レベルの設定値を下げる。
(b) イベント通知の結果、ユーザがイベントを実行せず、かつ、X≦Yの場合には、不履行レベルの設定値を上げる。
(c) 上記(a),(b)以外の場合、不履行レベルの設定値は変更しない。
【0033】
なお、上記(a)~(c)は一例であり、この例に限られない。例えば、(a)の条件を継続して所定回数満たした場合に、不履行レベルの設定値を下げるようにしてもよいし、(b)の条件を継続して所定回数満たした場合に、不履行レベルの設定値を上げるようにしてもよい。このように、不履行レベルの設定値を変更するためのルールは、設計事項に応じて適宜設定することが可能である。
【0034】
確率分布調整部24は、不履行レベルの設定値を更新した場合には、更新後の不履行レベルの設定値を選択部22に出力する。
これにより、選択部22は、最新の不履行レベルの設定値に対応するリマインド強度の確率分布を用いて、いずれか一つのリマインド強度を確率的に選択することとなる。
【0035】
次に、本実施形態に係るリマインダー部20によって実行されるリマインダー方法について図を参照して、説明する。
図4は、本実施形態に係るリマインダー方法の処理手順の一例を示したフローチャートである。以下に説明する一連の処理は、例えば、二次記憶装置13に格納されているリマインドプログラムをCPU11がメインメモリ12に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより実現される。また、以下の一連の処理は、例えば、ユーザによって登録されたイベントの通知指定時刻が訪れる度に実行される処理である。また、以下のリマインダー方法については、
図3に示した確率分布テーブルを用いる場合を例示して説明する。
【0036】
まず、リマインダー部20は、現在の不履行レベルの設定値に対応する確率分布を取得し(SA1)、取得した確率分布を用いてリマインド強度を確率的に選択する(SA2)。例えば、現在の不履行レベルの設定値が「2」である場合、リマインダー部20は、記憶部21に格納されている複数の確率分布(
図3に示した確率分布表)のうち、不履行レベル「2」に対応して設定されている確率分布を用いて、リマインド強度を確率的に選択する。この場合、リマインド強度「2」が選択される確率が最も高くなる。
【0037】
続いて、リマインダー部20は、選択されたリマインド強度に対応する通知方法を記憶部21に格納されているリマインド定義情報から取得し(SA3)、取得した通知方法でイベント通知を行う(SA4)。
【0038】
続いて、イベントの予定時間経過後において、ユーザがイベントを実行したか否かを判定する(SA5)。ユーザがイベントを実行したか否かについては、例えば、イベントの実行結果をユーザに対して問い合わせることにより判定することが可能である。また、例えば、イベントの実行場所が位置情報として登録されている場合には、ユーザの移動履歴に基づいて当該イベントを実行したか否かを判定することとしてもよい。
【0039】
続いて、ユーザがイベントを実行した場合には(SA5:YES)、不履行レベルの設定値「X」がステップSA2で選択されたリマインド強度「Y」よりも大きいか否かを判定する(SA6)。この結果、不履行レベルの設定値が選択されたリマインド強度よりも大きい場合には(SA6:YES)、不履行レベルの設定値を1段階下げ(SA7)、本処理を終了する。一方、不履行レベルの設定値「X」が選択されたリマインド強度「Y」以下の場合には(SA6:NO)、不履行レベルの設定値を変更することなく、本処理を終了する。
【0040】
一方、ユーザがイベントを実行しなかった場合には(SA5:NO)、不履行レベルの設定値「X」がステップSA2で選択されたリマインド強度「Y」以下であるか否かを判定する(SA8)。この結果、不履行レベルの設定値が選択されたリマインド強度以下の場合には(SA8:YES)、不履行レベルの設定値を1段階上げ(SA9)、本処理を終了する。一方、不履行レベルの設定値が選択されたリマインド強度よりも大きい場合には(SA8:NO)、不履行レベルの設定値を変更することなく、本処理を終了する。
【0041】
以上説明してきたように、本実施形態に係るリマインダー装置、リマインダー方法、及びプログラムによれば、以下の作用効果を奏する。
【0042】
複数のリマインド強度と複数の通知方法とがそれぞれ関連付けられたリマインド定義情報を有し、各リマインド強度の確率が設定された確率分布を用いて、いずれか一つのリマインド強度を確率的に選択するので、イベント通知の方法にバリエーションを持たせることが可能となる。また、ユーザに応じて確率分布を調整することで、通知方法に傾向を持たせることが可能となる。これにより、リマインドの通知方法に一応の傾向は持たせながらも、一様の通知方法が選択されることを回避することが可能となる。この結果、リマインダーによるマンネリ化を抑制でき、リマインダー効果を向上させることが可能となる。特に、服薬などのように、一日に何回も同じイベントが発生し、それが毎日繰り返されるようなリマインダーの場合、毎回一様なリマインダーではユーザが慣れてしまう可能性が高い。このような場合に、確率に基づいて異なる通知方法でイベント通知を行うことができるので、ユーザを飽きさせずに、効果的にリマインダーを行うことが可能となる。
【0043】
図5は、確率分布を用いずにリマインド強度を選択する場合と、確率分布を用いてリマインド強度を選択する場合とで、選択されたリマインド強度の結果の一例を比較して示したものである。
例えば、確率分布を用いない場合(
図5の上図)、前回のイベント通知に対してイベントを実行しているため、今回のイベントに対しては、前回のリマインド強度「3」よりもリマインド強度が下がるであろうという予測が立つ。そして、確率分布を用いていない場合には、リマインド強度は、予想通り「2」とされる。このように、確率分布を用いない場合には、ユーザがリマインド強度の設定ルールをなんとなく理解することで、イベント通知の通知方法の予測ができてしまう。
【0044】
これに対し、確率分布を用いる場合には(
図5の下図)、前回のイベント通知に対してイベントを実行していたとしても、今回のイベントに対して、前回よりもリマインド強度が下がるかどうかは不確実となる。これは、ある割合で、リマインド強度が維持される、又は、上がる可能性を秘めているからである。このように、確率分布を用いてリマインド強度を選択する場合には、いい意味でユーザの期待を裏切ることができ、ユーザのリマインダーに対するリマインダーの慣れを抑制することが可能となる。
【0045】
また、本実施形態によれば、過去のリマインドに対するユーザのイベント実行実績に基づいて確率分布を調整する確率分布調整部24を備える。より具体的には、確率分布調整部24は、ユーザの過去のイベント実行実績の評価が低いほど、高いリマインド強度が選択される確率が高くなるように確率分布を調整し、ユーザの過去のイベント実行実績の評価が高いほど、低いリマインド強度が選択される確率が高くなるように確率分布を調整する。これにより、イベント通知に対してイベントを実行するユーザに対しては、緩めのリマインダーが行われる傾向を強くし、イベント通知に対してイベントを実行しないユーザに対しては、厳しめのリマインダーが行われる傾向を強くすることができる。このように、ユーザの過去のイベント実行実績に応じて確率分布を調整することで、各ユーザに対して適切な通知方法を行うことが可能となる。
【0046】
また、本実施形態によれば、確率分布調整部24は、複数の不履行レベルのそれぞれに対して確率分布が設定された確率分布表(
図3参照)を用いて、結果として、選択部22が用いる確率分布を調整する。これにより、ユーザの過去のイベント実行実績に応じてリマインド強度の確率分布を容易に調整することが可能となる。
【0047】
なお、本実施形態では、過去のイベント通知に対するユーザの実行実績に応じて確率分布を調整する場合について説明したが、この例に限られない。例えば、上記実施形態に代えて、又は、加えて、周辺環境に応じて確率分布を調整することとしてもよい。
具体的には、周辺環境の情報を取得する環境情報取得部(図示略)を備え、確率分布調整部24が、環境情報取得部によって取得された周辺環境情報及びイベントの内容に応じて設定されている環境条件に応じて、確率分布を調整することとしてもよい。
【0048】
例えば、服薬のイベント通知を行う場合を例示すると、環境条件として、「在宅中」、「同居家族が帰宅している」、「テレビがある部屋にいる場合にはテレビがついていない」等が挙げられる。そして、確率分布調整部24は、例えば、環境情報取得部によって得られた周囲環境情報が上記環境条件を満たす割合などによって、確率分布を調整することとしてもよい。
なお、環境情報取得部は、例えば、周囲の音を取得し、取得した周囲音からテレビがついているか、同居家族が帰宅しているか等を判定することとしてもよい。また、IoT家電を統括的に制御する統括コントローラがある場合には、統括コントローラからテレビのオンオフや家族の在宅等の情報を得ることとしてもよい。
【0049】
また、環境条件を満たす割合が高いほど、服薬しやすい環境が整っていると判断できる。従って、確率分布調整部24は、周囲環境が予め設定されている環境条件を満たす割合が高いほど、低いリマインド強度が選択される可能性が高くなるように、確率分布を調整してもよい。なお、環境条件は、リマインダーを行うイベントに応じて個別に設定することが可能である。
【0050】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、上記実施形態で説明したリマインダー方法の処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0051】
例えば、上述した実施形態では、ノートPCなどの情報処理装置1がリマインダー部20を備える場合について説明したが、この例に限られない。例えば、リマインダー部20の機能は、ネットワーク(一例として、インターネット)を介して接続されるサーバ上に搭載されており、ネットワークを介して接続される情報処理装置に対してイベント通知を行うこととしてもよい。また、リマインダー部20は、例えば、スケジュール管理を行うサーバ等に搭載されていてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 :情報処理装置
11 :CPU
12 :メインメモリ
13 :二次記憶装置
14 :通信部
15 :入力部
16 :表示部
17 :マイク
18 :カメラ
20 :リマインダー部(リマインダー装置)
21 :記憶部
22 :選択部
23 :通知部
24 :確率分布調整部