IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイホン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ナースコールシステム 図1
  • 特開-ナースコールシステム 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144952
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20231003BHJP
   A61G 12/00 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
H04M9/00 D
A61G12/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052178
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 真二
(72)【発明者】
【氏名】久保 祐治
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 徹
(72)【発明者】
【氏名】美谷 辰悦
【テーマコード(参考)】
4C341
5K038
【Fターム(参考)】
4C341LL10
5K038AA06
5K038BB01
5K038DD15
5K038GG03
(57)【要約】
【課題】 一定の条件を満たした録画映像は自動で削除される機能を備えたナースコールシステムを提供する。
【解決手段】 ナースコール子機1とナースコール親機4と制御機3とを備え、患者を撮像するためのカメラ5が病室に設置され、カメラ5が撮像した映像を保存する映像記憶部62をナースコールサーバ6に設け、制御機CPU31は保存された映像を保存日時で管理し、保存を開始してから予め設定した規定時間が経過した映像の削除を実施する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が看護師を呼び出すためのナースコール子機と、前記ナースコール子機を使用した呼び出しに看護師が応答するためのナースコール親機と、前記ナースコール子機と前記ナースコール親機との間の通信及び通話を制御する制御機とを備え、更に患者を撮像するためのカメラが病室に設置され、前記カメラの撮像映像を表示するディスプレイを前記ナースコール親機に設けたナースコールシステムであって、
前記カメラが撮像した映像を保存する記憶手段と、保存した映像の削除を制御する削除制御手段とを有し、
前記削除制御手段は、保存された映像を保存してからの経過時間で管理し、保存を開始してから予め設定した規定時間が経過した映像を削除することを特徴とするナースコールシステム。
【請求項2】
前記削除制御手段が管理する保存映像の管理情報には患者氏名が含まれていると共に、患者の入退院情報を加味して削除の可否を判断し、
前記規定時間が経過した映像であっても、患者が退院していない映像は削除しないことを特徴とする請求項1記載のナースコールシステム。
【請求項3】
保存映像は、前記ナースコール親機の所定の操作で削除禁止設定が可能であり、
前記削除制御手段は、削除禁止設定された保存映像は前記規定時間が経過しても削除しないことを特徴とする請求項1又は2記載のナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナースコールシステムに関し、特に病室に患者を撮像するカメラを備えたナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者からの呼び出しを受けて、病室に設置されているカメラが起動して、その撮像映像がナースコール親機に表示され、またその映像が自動で録画されるナースコールシステムがある(例えば、特許文献1参照)。
こうして患者映像を録画することで、後から呼出時の患者の状態を確認でき、患者の看護に活用できた。また、録画された患者映像は、患者の容体変化やベッドからの転落の兆候を研究するのに活用された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-73144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、患者を撮像する機能を備えたナースコールシステムでは、呼び出しが発生する毎に患者が撮像されてその撮像映像が録画されるため、患者の個人情報保護の観点からは、録画された患者映像はできるだけ早い段階で削除されるのが望まれている。
しかしながら、録画データの削除は、記憶部の空き容量が少なくなった段階で実施されるのが通常であった。また、この削除作業は手動で実施されるため、看護師等の作業負担となっていた。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、一定の条件を満たした録画映像は自動で削除される機能を備えたナースコールシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、患者が看護師を呼び出すためのナースコール子機と、ナースコール子機を使用した呼び出しに看護師が応答するためのナースコール親機と、ナースコール子機とナースコール親機との間の通信及び通話を制御する制御機とを備え、更に患者を撮像するためのカメラが病室に設置され、カメラの撮像映像を表示するディスプレイをナースコール親機に設けたナースコールシステムであって、カメラが撮像した映像を保存する記憶手段と、保存した映像の削除を制御する削除制御手段とを有し、削除制御手段は、保存された映像を保存してからの経過時間で管理し、保存を開始してから予め設定した規定時間が経過した映像を削除することを特徴とする。
この構成によれば、保存してから一定時間が経過した映像は順次削除されることにより、患者映像が保存され続ける事が無いため、患者の個人情報保護の観点からも好ましい。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、削除制御手段が管理する保存映像の管理情報には患者氏名が含まれていると共に、患者の入退院情報を加味して削除の可否を判断し、規定時間が経過した映像であっても、患者が退院していない映像は削除しないことを特徴とする。
この構成によれば、患者が入院中の間は、保存された映像は削除されないため、患者の容体変化の確認等に映像を活用できる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、保存映像は、ナースコール親機の所定の操作で削除禁止設定が可能であり、削除制御手段は、削除禁止設定された保存映像は規定時間が経過しても削除しないことを特徴とする。
この構成によれば、一律に削除されるのを防止できるため、何らかの問題が発生した患者の動きを納めたデータ等は残すことが可能となり、再発防止或いは研究に役立てることが可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、保存してから一定時間が経過した映像は順次削除されることにより、患者映像が保存され続ける事が無いため、患者の個人情報保護の観点からも好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るナースコールシステムの一例を示す構成図であり、個々の機器をブロック図で示している。
図2】保存映像削除の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係るナースコールシステムの構成図であり、個々の機器をブロック図で示している。
図1に示すように、ナースコールシステムは、呼出操作されるナースコール子機(以下、単に「子機」と称する)1、呼出信号を中継する廊下灯2、機器間の通信を制御する制御機3、呼び出しに応答するためのナースコール親機(以下、単に「親機」と称する)4、患者を撮像するカメラ5、患者情報が蓄積されるナースコールサーバ6、患者のカルテ情報等が蓄積されるオーダリングシステム7等を備えている。
【0012】
子機1及びカメラ5は病室毎に伝送線L1,L2を介して廊下灯2に接続され、廊下灯2、親機4は幹線L3を介して制御機3に接続されている。また、ナースコールサーバ6、オーダリングシステム7は、幹線L3を介して制御機3に接続されている。尚、伝送線L1,L2、幹線L3は何れもLAN回線を構成し、8はLANケーブルを集線するHUBであり、機器はLAN接続されている。
【0013】
子機1は、呼出操作する際に押下操作する呼出ボタン1aと、呼出操作を受けて呼出信号を生成するプレート子機1bとを有し、プレート子機1bは呼出ボタン1aを接続する接続端子11、廊下灯2と通信する子機通信IF12、子機1を制御する子機CPU13を備えている。
【0014】
廊下灯2は、呼出発生を報知する呼出表示灯21、病室の患者情報を表示する患者情報表示部22、廊下灯を制御する廊下灯CPU23、子機1と通信する第1通信IF24、制御機3と通信する第2通信IF25等を備えている。廊下灯2は子機1が送信する呼出信号を中継し、制御機3と子機1との通信を中継する。
【0015】
制御機3は、機器間の通信を制御すると共にカメラ5の撮像映像の録画制御を行う制御機CPU31、各機器と通信する制御機通信IF32、記憶部33等を備えている。
【0016】
親機4は、患者関連情報及びカメラ5の撮像映像を表示するディスプレイ41、表示映像を生成する映像処理部42、通話するためのハンドセット43、音声や呼出音を報音するスピーカ44、音声を処理する音声処理部45、親機4を制御する親機CPU46、制御機3と通信する親機通信IF47等を備えている。
【0017】
ナースコールサーバ6は、患者の入退院情報を記憶する入退院記憶部61、映像を保存する映像記憶部62、患者情報の詳細を記憶する患者情報記憶部63、ナースコールサーバ6を制御するナースコールサーバCPU64、制御機3と通信するナースコールサーバ通信IF65等を備えている。
入退院情報は、オーダリングシステム7から入力され、この入力情報により入退院記憶部61が書き換えられる。
【0018】
上記の如く構成されたナースコールシステムは以下のように動作する。但し、子機1を使用した呼び出し、呼び出しを受けた親機4からの応答動作は従来と同様であるため説明を省略し、ここではカメラ5の撮像映像の保存及び削除動作を中心に説明する。
呼出ボタン1aの操作による呼び出しが発生すると、制御機3を介して呼出信号が親機4に送信されて呼出音が鳴動する。同時に制御機3の制御により、呼出元の子機1に紐付けされたカメラ5、即ち呼出操作した患者を撮像するカメラ5が起動して、その撮像映像が親機4に送信されてディスプレイ41に表示される。
【0019】
また制御機3の制御により、カメラ5の撮像映像がナースコールサーバ6の映像記憶部62に録画(保存)される。この時、ナースコールサーバCPU64の制御により、映像は日時情報に加えて患者氏名情報が添付されて保存される。患者氏名情報は、呼出信号に添付されている子機1のIDの情報を基に、関連付けられている患者氏名が患者情報記憶部63から読み取られて映像と共に保存される。そして、この映像の保存は、通話路が切断されると終了する。
尚、親機4の表示操作、或いは患者の不自然な動きをカメラ5が検知(詳述せず)すると、撮像映像がディスプレイ41に表示されると同時に映像記憶部62に保存される。
【0020】
こうしてナースコールサーバ6に保存された映像は、制御機3に管理され、所定の条件を満たした映像は順次削除される。
図2はこの削除制御の流れを示すフローチャートであり、このフローを参照して制御を説明する。
【0021】
保存した日時からの経過時間を計測し、例えば10日(240時間)等の設定された規定時間が経過したら削除制御を開始する(S1でYES)。但し、規定時間に達しても患者がまだ退院していなければ(S2でNO)削除しない。
また、退院していても、保護フラグのあるデータであったら(S3でYES)、削除禁止設定されているとして削除しない。
【0022】
尚、患者の退院はオーダリングシステム7から入力され、ナースコールサーバ6の入退院記憶部61の情報が書き換えられる。また保護フラグは、オーダリングシステム7或いは親機4により設定される。親機4からもナースコールサーバ6に保存された映像の閲覧ができ、親機4の所定の操作で任意の映像に保護フラグを設定できる。
この退院情報、保護フラグの情報は、ナースコールサーバCPU64の制御により、保存映像に紐付けされて映像と共に映像記憶部62に保存された管理情報としての録画インデックスに別途記録され、この録画インデックスの情報を元に削除の可否を制御機3が判断する。
【0023】
そして、削除対象の患者が既に退院しており、保護フラグの設定も無ければ(S3でNO)、削除を実施する。削除は、映像のファイルである録画ファイルを削除して実施し、その録画インデックスも合わせて削除する(S4)。
尚、録画インデックスは、保存映像のインデックスで、保護フラグの有無、入院中フラグの有無、患者氏名(患者ID)、保存開始日時、保存映像ファイル名等で構成されている。
【0024】
このように、保存してから一定時間が経過した映像は順次削除されるため、いちいち削除操作しなくても映像記憶部62がオーバーフローしてしまう事態を防ぐことができる。そして、患者映像が保存され続ける事が無いため、患者の個人情報保護の観点からも好ましい。
また、患者が入院中の間は、保存された映像は削除されないため、患者の容体変化の確認等に映像を活用できる。
更に、保護フラグの有無で一律に削除されるのを防止できるため、何らかの問題が発生した患者の動きを納めたデータ等は残すことが可能であり、映像を再発防止或いは研究に役立てることが可能である。
【0025】
尚、上記実施形態では、患者情報記憶部63をナースコールサーバ6に設けているが、制御機3に設けても良い。また、映像記憶部62もナースコールサーバ6に設けているが、制御機3に設けても良い。
【符号の説明】
【0026】
1・・ナースコール子機、2・・廊下灯、3・・制御機、4・・ナースコール親機、5・・カメラ、6・・ナースコールサーバ、7・・オーダリングシステム、31・・制御機CPU(削除制御手段)、41・・ディスプレイ、62・・映像記憶部(記憶手段)。
図1
図2