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  • 特開-平行度測定器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144955
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】平行度測定器
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/24 20060101AFI20231003BHJP
   G01B 5/00 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G01B5/24
G01B5/00 L
G01B5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052182
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(72)【発明者】
【氏名】小野 雅史
【テーマコード(参考)】
2F062
【Fターム(参考)】
2F062AA01
2F062AA41
2F062CC27
2F062EE04
2F062EE62
2F062FF02
2F062GG11
2F062GG71
2F062HH05
2F062MM06
(57)【要約】
【課題】異なる仮想平面上に配置される第一平面と第二平面の平行度を測定できる平行度測定器を提供する。
【解決手段】平坦な設置面を有するベース部と、前記ベース部から垂直方向の上方に延びる支柱部と、前記支柱部に対して、前記支柱部の延伸方向にスライド自在に取り付けられ、前記設置面に平行な方向に延びる腕部と、前記腕部から前記垂直方向の下方に延びるプローブ部と、前記垂直方向における前記設置面の高さと前記プローブ部の先端の高さとの差を求めるための測定部と、を備える、平行度測定器。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な設置面を有するベース部と、
前記ベース部から垂直方向の上方に延びる支柱部と、
前記支柱部に対して、前記支柱部の延伸方向にスライド自在に取り付けられ、前記設置面に平行な方向に延びる腕部と、
前記腕部から前記垂直方向の下方に延びるプローブ部と、
前記垂直方向における前記設置面の高さと前記プローブ部の先端の高さとの差を求めるための測定部と、を備える、
平行度測定器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平行度測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ほぼ同じ高さに位置する二つの部材の平行度を測定する平行度測定装置を開示する。特許文献1の平行度測定装置は、第一部材に備わる第一平面と、第二部材に備わる第二平面の平行度を測定できる。
【0003】
第一平面と第二平面の高さが異なる場合、即ち第一平面と第二平面とが第一平面の垂直方向にずれている場合、特許文献1の平行度測定装置は第一平面と第二平面の平行度を測定できない。垂直方向にずれた第一平面と第二平面の平行度を測定するには、光学式の距離測定器などを備える汎用の距離測定装置、例えばベクトロンなどが利用されている。ベクトロンは、キャスター付きの台車と、台車から垂直上方に延びる支柱と、支柱から延びる多関節のアームと、アームの先端に設けられる距離測定器と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7-29402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
距離測定装置は汎用性に優れるが、基準点を決める操作など、平行度を測定するための前準備が煩雑である。
【0006】
本発明の目的の一つは、異なる仮想平面上に配置される第一平面と第二平面の平行度を簡単に測定することができる平行度測定器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る平行度測定器は、
平坦な設置面を有するベース部と、
前記ベース部から垂直方向の上方に延びる支柱部と、
前記支柱部に対して、前記支柱部の延伸方向にスライド自在に取り付けられ、前記設置面に平行な方向に延びる腕部と、
前記腕部から前記垂直方向の下方に延びるプローブ部と、
前記垂直方向における前記設置面の高さと前記プローブ部の先端の高さとの差を求めるための測定部と、を備える。
【0008】
ここで、本明細書における『垂直方向』とは、設置面を基準とする方向である。設置面に直交する方向が『垂直方向』である。『垂直方向の上方』とは、設置面に直交する方向のうち、設置面を下面とする方向である。『垂直方向の下方』とは、『垂直方向の上方』の反対方向である。
【発明の効果】
【0009】
実施形態に係る平行度測定器は、異なる仮想平面上に配置される第一平面と第二平面の平行度を簡単に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1に係る平行度測定器の概略図である。
図2図2は、図1に示される平行度測定器を用いた平行度の測定手順の一例を示す説明図である。
図3図3は、図1に示される平行度測定器に備わるプローブ部とは異なるプローブ部の一例を示す概略図である。
図4図4は、図1に示される平行度測定器を用いた孔ピッチの測定手順の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の平行度測定器の実施形態の一例を図面に基づいて説明する。図中の同一符号は同一又は相当部分を示す。各図面が示す部材の大きさは、説明を明確にする目的で表現されており、必ずしも実際の寸法を表すものではない。なお、本発明は以下の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0012】
<実施形態1>
図1,2に示される平行度測定器1は、ベース部2と支柱部3と腕部4とプローブ部5と測定部6とを備える。平行度測定器1は、高さが異なる第一平面91と第二平面92との平行度を測定するためのものである。本例では、第一平面91と第二平面92とはそれぞれ、屈曲されたパネル材9の一部である。本例とは異なり、第一平面91と第二平面92とはそれぞれ異なる部材の一部であっても良い。
【0013】
≪ベース部≫
ベース部2は、平坦な設置面20を有する。設置面20は、第一平面91に面接触するように配置される面である。本例のベース部2は、第一ベース部21と第二ベース部22とで構成されている。第一ベース部21は設置面20を有する。本例の第一ベース部21は、第二ベース部22に対して着脱自在に構成されている。そのため、必要に応じて、第二ベース部22に取り付けられている第一ベース部21を、その第一ベース部21とは異なる別の第一ベース部21に取り換えることができる。第一ベース部21と第二ベース部22の形状は特に限定されない。本例の第一ベース部21は円盤状であり、第二ベース部22は、第一ベース部21の軸方向の一部を収納する凹部を備える略円盤状である。
【0014】
本例の第一ベース部21にはマグネットが内蔵されている。マグネットの磁力によって、設置面20が第一平面91に固定される。設置面20自身がマグネットによって構成されていても良い。本例の第一ベース部21は更に、設置面20から垂直下方に突出する突起21pを有する。突起21pは必須ではない。本例の突起21pは先細りのピン形状である。この突起21pは、第一平面91に設けられる第一孔91hにはまり込み、第一平面91の面方向に第一ベース部21がずれることを抑制する。突起21pの中心軸は、支柱部3の中心軸に一致している。第一孔91hがネジ孔である場合、突起21pはネジ孔にネジ結合するボルト形状であっても良い。
【0015】
本例とは異なり、ベース部2は第一ベース部21のみで構成されていても良い。
【0016】
≪支柱部≫
支柱部3は、ベース部2から垂直方向の上方に延びる柱状体である。垂直方向は、設置面20に垂直な方向である。本例では、ベース部2における設置面20の反対側の面、即ち第二ベース部22の上面から上方に延びている。ベース部2が第一ベース部21のみで構成される場合、支柱部3は、第一ベース部21における設置面20と反対側の面から上方に延びる。
【0017】
本例の支柱部3は円柱である。支柱部3は多角柱でも良い。支柱部3の延伸方向に直交する断面の面積は、後述する腕部4とプローブ部5の重さによって支柱部3がたわみ難い大きさを有する。支柱部3の撓み量が小さいと、後述する平行度の測定精度が向上する。
【0018】
≪腕部≫
腕部4は、支柱部3に対して、支柱部3の延伸方向にスライド自在に取り付けられ、設置面20に平行な方向に延びる。本例の腕部4は、第一スライド部40と延伸部41とを備える。
【0019】
第一スライド部40は、支柱部3に対してスライド自在に取り付けられている。第一スライド部40のスライド方向は、支柱部3の軸方向に平行である。本例の第一スライド部40は、後述する測定部6を構成するデジタルスケールを備える。本例のデジタルスケールは、設置面20から第一スライド部40の特定箇所までの長さを測定するものである。
【0020】
延伸部41は、第一スライド部40に片持ち状に取り付けられている。延伸部41の延伸方向は、設置面20に平行な方向である。延伸部41の延伸方向に直交する断面の面積は、延伸部41自身の重さとプローブ部5の重さによって延伸部41が撓み難い大きさを有する。延伸部41の撓み量が小さいと、後述する平行度の測定精度が向上する。
【0021】
≪プローブ部≫
プローブ部5は、腕部4から垂直方向の下方に延びる。本例のプローブ部5は、第二スライド部50と垂下部51とプローブ本体52とを備える。
【0022】
第二スライド部50は、腕部4の延伸部41に対してスライド自在に取り付けられている。第二スライド部50のスライド方向は、延伸部41の延伸方向に平行である。本例の第二スライド部50は、後述する第二測定部7を構成するデジタルスケールを備える。デジタルスケールは、支柱部3の軸線から第二スライド部50の特定箇所までの長さを測定するものである。特定箇所は例えば、プローブ本体52の軸線に対応する箇所である。
【0023】
垂下部51は、第二スライド部50から垂直方向の下方に延びる。垂下部51は第二スライド部50の一部であっても良い。垂下部51の先端、即ち垂直方向の下部に、プローブ本体52を着脱自在に構成する着脱機構を備える。垂下部51は必須ではない。プローブ本体52が直接、第二スライド部50に取り付けられていても良い。
【0024】
プローブ本体52は、平行度の測定時に第二平面92に接触する先端を備える。本例のプローブ本体52は、ペンシルダウン形状の先端を有するピンプローブである。ピンプローブは、第二平面92との接触面積が小さいため、正確な測定に向いている。プローブ本体52は、球形状の先端を有するボールプローブでも良い。先端が球形状のボールプローブは損傷し難いし、第二平面92を損傷させ難い。ピンプローブとボールプローブとは必要に応じて交換可能である。
【0025】
プローブ本体52は例えば、ダイヤルゲージでも良い。ダイヤルゲージの具体例は、後段で図3を参照して説明する。
【0026】
≪測定部≫
測定部6は、垂直方向における設置面20の高さとプローブ部5の先端の高さとの差を求めるための構成である。平行度の測定においては、第一平面91を基準として、第二平面92の複数箇所を測定したときに、第一平面91の垂直方向における第一平面91から各測定箇所までの高さのばらつきを求める。つまり、上記高さのばらつきを特定することができれば良いため、測定部6は、垂直方向における設置面20の高さとプローブ部5の先端の高さとの差の絶対値を求める必要はない。本例の測定部6は、第一スライド部40に設けられており、設置面20から第一スライド部40の特定箇所までの長さを測定するデジタルスケールである。特定箇所は例えば、腕部4の延伸部41の軸線に対応する箇所である。デジタルスケールはゼロセット可能であるため、測定部6の数値は、必ずしも設置面20から第一スライド部40の特定箇所までの長さの絶対値ではない。
【0027】
別の測定部6の一例として、測定部6は、支柱部3に設けられる目盛りであっても良い。また、測定部6はダイヤルゲージであっても良い。ダイヤルゲージは例えば、垂下部51の代わりに第二スライド部50に取り付けられる。あるいは、ダイヤルゲージは、プローブ本体52の代わりに垂下部51に取り付けられる。この場合、ダイヤルゲージは、プローブ部5の一部として機能すると共に、測定部6として機能する。
【0028】
ダイヤルゲージを備える構成として、図3に示される構成であっても良い。図3には、垂下部51とダイヤルゲージ8とが示されている。垂下部51は軸部511と円盤部512とを備える。軸部511は、図1,2の第二スライド部50に固定される。軸部511の軸線は、垂直方向に沿っている。円盤部512は複数の貫通孔51hを有する。各貫通孔51hの中心は、一つの仮想円上に配置されている。その仮想円の中心は、軸部の軸線上にある。
【0029】
ダイヤルゲージ8は、プローブ本体52と測定部6とを備える。プローブ本体52は、その先端が紙面上方に押されたときに、プローブ本体52の軸方向に沿って紙面上方に移動可能に構成されている。プローブ本体52の移動量は第二測定部7に示される。プローブ本体52はバネなどによって紙面下方に向かって押されている。従って、プローブ本体52を上方に押す力がなくなれば、プローブ本体52は所定位置に保持される。ダイヤルゲージ8は、二点鎖線で示されるように、垂下部51の貫通孔51hにはめ込まれる。4つの貫通孔51hのそれぞれにダイヤルゲージ8を配置することで、一度の測定によって、4つのダイヤルゲージ8のそれぞれから得られる4つの測定結果が得られる。
【0030】
≪平行度の測定手順≫
図2を参照し、第一平面91と第二平面92の平行度の測定手順を説明する。まず、平行度測定器1の設置面20を第一平面91に当接させる。次いで、腕部4を垂直方向の下方に移動させ、プローブ部5の先端、即ちプローブ本体52の先端を第一平面91に当接させる。この操作によって測定部6がゼロ点補正される。ゼロ点補正によって、第一平面91に対して平行度測定器1が正しくセットされた状態になる。
【0031】
次いで、第二平面92における3つ以上の測定点を測定する。本例では4つの測定点を測定する。図2では測定点をクロスハッチングによって示す。複数の測定点は、例えば二点鎖線で示される仮想円上の点である。
【0032】
各測定点の測定にあたって、白抜き矢印で示されるように、腕部4を上下にスライドさせたり、腕部4を回転させたり、プローブ部5を水平方向にスライドさせたりして、プローブ部5の先端を測定点に当接させる。プローブ部5の先端が当接したときの測定部6の数値を取得する。4つの測定点から得られる測定部6の数値が同じであれば、第一平面91と第二平面92とが平行であると判断できる。4つの数値にずれがあれば、第一平面91に対して第二平面92が傾いていると判断できる。傾きの値は、測定部6から得られる4つの数値から計算によって求められる。傾きの値が閾値以下であれば、その傾きは許容される。傾きの値が閾値超であれば、傾きの値が閾値以下になるようにパネル材9を調整すれば良い。
【0033】
4つの測定点を測定する際、第一の測定点にプローブ部5の先端を当接させたときに、測定部6をゼロセットしても良い。この場合、測定部6が示す次の測定点の測定結果は、第一の測定点に対するずれである。
【0034】
≪平行度測定器の別の使用例≫
本例の平行度測定器1は、二つの孔のピッチ長を測定することにも利用可能である。ピッチ長の測定例を図4に基づいて説明する。
【0035】
図4に示されるように、第一平面91と第二平面92とはそれぞれ異なる仮想平面上に配置される平面である。第一平面91と第二平面92とは非平行である。第一平面91は第一孔91hを備える。第二平面92は第二孔92hを備える。第一孔91hの軸線と第二孔92hの軸線とは平行である。本例とは異なり、第一平面91と第二平面92とは平行でも良い。
【0036】
第一孔91hと第二孔92hとのピッチ長P1は、第一孔91hの軸線と第二孔92hの軸線との間の最短距離である。このピッチ長P1を測定する場合、ベース部2の突起21pを第一孔91hに挿入する。本例では、突起21pの最大外径が、第一孔91hの内径にほぼ一致している。従って、突起21pの軸線は、第一孔91hの軸線に一致する。突起21pの軸線は支柱部3の軸線にも一致しているので、支柱部3の軸線が第一孔91hの軸線に一致する。
【0037】
支柱部3に対する第一スライド部40の位置、及び腕部4の延伸部41に対する第二スライド部50の位置を調整することで、プローブ部5のプローブ本体52の先端を第二孔92hに挿入する。本例では、プローブ本体52の最大外径が、第二孔92hの内径にほぼ一致している。ここで、第二測定部7が、支柱部3の軸線とプローブ本体52の軸線との間の長さを示すように調整されていれば、第二測定部7の数値が即ちピッチ長P1である。
【符号の説明】
【0038】
1 平行度測定器
2 ベース部
20 設置面、21 第一ベース部、22 第二ベース部
21p 突起
3 支柱部
4 腕部
40 第一スライド部、41 延伸部
5 プローブ部
50 第二スライド部、51 垂下部、52 プローブ本体
51h 貫通孔
511 軸部、512 円盤部
6 測定部
7 第二測定部
8 ダイヤルゲージ
9 パネル材
91 第一平面、92 第二平面
91h 第一孔、92h 第二孔
P1 ピッチ長
図1
図2
図3
図4