(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144962
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】積層セラミック部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20231003BHJP
H01C 1/142 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 516
H01G4/30 513
H01G4/30 550
H01C1/142
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052194
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 道大
【テーマコード(参考)】
5E001
5E028
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AF06
5E028BB08
5E028BB11
5E028CA02
5E028JC11
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC19
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG28
5E082JJ03
5E082JJ12
5E082JJ23
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】内部への水分の浸入を抑制することにより、信頼性を向上させることができる積層セラミック部品を提供する。
【解決手段】積層セラミック部品(1)は、焼結体(11)と、少なくとも第1内部電極(12A)、第2内部電極(12B)及び第3内部電極(12C)と、第2外部電極(13B)及び第3外部電極(13C)と、これらの間に設けられる第1外部電極(13A)とを備える。第1外部電極(13A)が、側面に設けられた第1部分(13Aa)と、側面から主面の少なくとも一部に延在した第2部分(13Ab)とを含み、かつ第1部分(13Aa)及び第2部分(13Ab)が連結した角部を有する。第1外部電極(13A)において、角部の厚さが、側面における中央部の厚さよりも大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向において互いに対向する一対の端面、第2方向において互いに対向する一対の側面、及び第3方向において互いに対向する一対の主面を有し、前記第1方向を長辺とする直方体状に形成され、前記第3方向に沿って複数の層が積層された積層構造を有する焼結体と、
前記焼結体の内部に設けられた、少なくとも第1内部電極、第2内部電極及び第3内部電極と、
前記一対の側面の少なくとも一方に設けられ、前記第2内部電極に電気的に接続された第2外部電極と、
前記一対の側面の少なくとも一方に設けられ、前記第3内部電極に電気的に接続された第3外部電極と、
前記第1方向における前記第2外部電極及び前記第3外部電極の間の、前記一対の側面の少なくとも一方に設けられ、前記第1内部電極に電気的に接続された第1外部電極と
を備え、
前記第1外部電極が、前記側面に設けられた第1部分と、前記側面から前記主面の少なくとも一部に延在した第2部分とを含み、かつ前記第1部分及び前記第2部分が連結した角部を有し、
前記第1外部電極において、前記角部の厚さが、前記側面における中央部の厚さよりも大きい、
積層セラミック部品。
【請求項2】
前記第1外部電極が、前記一対の側面及び前記一対の主面に設けられている、
請求項1に記載の積層セラミック部品。
【請求項3】
前記角部の厚さが、前記側面における中央部の厚さ及び前記主面における中央部の厚さのいずれよりも大きい、
請求項1又は2に記載の積層セラミック部品。
【請求項4】
前記側面における中央部の厚さが、10μm以上30μmより小さく、
前記角部の厚さが、30μm以上50μm以下である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の積層セラミック部品。
【請求項5】
前記角部の厚さが、前記側面における中央部の厚さの1倍超3倍以下である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の積層セラミック部品。
【請求項6】
前記第1外部電極において、前記第1方向に沿った前記角部の長さが、前記側面における中央部の長さよりも大きい、
請求項1から5のいずれか一項に記載の積層セラミック部品。
【請求項7】
前記角部の長さが、前記側面における中央部の長さの1倍超2倍以下である、
請求項6に記載の積層セラミック部品。
【請求項8】
前記第2外部電極及び前記第3外部電極において、前記角部の厚さが、前記側面における中央部の厚さよりも大きい、
請求項1から7のいずれか一項に記載の積層セラミック部品。
【請求項9】
前記第1外部電極、前記第2外部電極及び前記第3外部電極のうちの少なくとも1つが、ガラス成分を含む、
請求項1から8のいずれか一項に記載の積層セラミック部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層セラミック部品に関し、詳しくは、第1、第2及び第3外部電極を備える積層セラミック部品に関する。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器、電子デバイス等には、積層バリスタ等の種々の積層セラミック部品が用いられている。積層バリスタは、各種電子機器、電子デバイス等を、雷サージ、静電気等による異常電圧から保護し、また、回路に発生するノイズによる電子機器、電子デバイス等の誤作動を防ぐなどの目的で用いられる。
【0003】
特許文献1には、積層方向に配置された複数のセラミック層と複数の内部電極層とを有し、複数の内部電極層が露出する露出領域を2つ以上有する略直方体形状の積層体と、前記露出領域の少なくとも1つを覆う抵抗付外部電極と、を備え、前記抵抗付外部電極は、金属電極層と、抵抗電極層と、上層電極層とを備える積層セラミックコンデンサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の積層セラミック部品では、
図4の断面図で示されるように、焼結体に設けられた外部電極の厚さが、焼結体の角部において通常小さくなっている。従来の積層セラミック部品は、角部における外部電極の厚さが小さいこと等に起因して、積層セラミック部品を製造する際のめっき処理においてめっき液が内部に浸入したり、高湿高圧下の耐湿試験の様な環境で水分が内部に浸入したりして、内部電極が劣化等することにより、製品の信頼性の低下を引き起こす可能性があった。
【0006】
本開示の課題は、内部への水分の浸入を抑制することにより、信頼性を向上させることができる積層セラミック部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る積層セラミック部品は、焼結体と、少なくとも第1内部電極、第2内部電極及び第3内部電極と、第2外部電極と、第3外部電極と、第1外部電極とを備える。前記焼結体は、第1方向において互いに対向する一対の端面、第2方向において互いに対向する一対の側面、及び第3方向において互いに対向する一対の主面を有する。前記焼結体は、前記第1方向を長辺とする直方体状に形成され、前記第3方向に沿って複数の層が積層された積層構造を有する。前記第1内部電極、前記第2内部電極及び前記第3内部電極は、前記焼結体の内部に設けられている。前記第2外部電極は、前記一対の側面の少なくとも一方に設けられ、前記第2内部電極に電気的に接続されている。前記第3外部電極は、前記一対の側面の少なくとも一方に設けられ、前記第3内部電極に電気的に接続されている。前記第1外部電極は、前記第1方向における前記第2外部電極及び前記第3外部電極の間の、前記一対の側面の少なくとも一方に設けられ、前記第1内部電極に電気的に接続されている。前記第1外部電極は、前記側面に設けられた第1部分と、前記側面から前記主面の少なくとも一部に延在した第2部分とを含み、かつ前記第1部分及び前記第2部分が連結した角部を有する。前記第1外部電極において、前記角部の厚さは、前記側面における中央部の厚さよりも大きい。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、内部への水分の浸入を抑制することにより、信頼性を向上させることができる積層セラミック部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1A~
図1Dは、本開示の一実施形態における積層セラミック部品の断面の例を示す図である。
【
図2】
図2A及び
図2Bは、同上の積層セラミック部品の側面の例を示す図である。
図2C及び
図2Dは、同上の積層セラミック部品の上面の例を示す図である。
【
図3】
図3Aは、同上の積層セラミック部品における厚さを説明する断面図である。
図3Bは、同上の積層セラミック部品における長さを説明する側面図である。
【
図4】
図4は、従来の積層セラミック部品の断面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態における積層セラミック部品について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
本実施形態の積層セラミック部品1は、焼結体11と、内部電極(12A、12B及び12C)と、外部電極(13A、13B及び13C)とを備えているものであり、例えば積層バリスタ、サーミスタ、コンデンサ等が含まれる。
【0012】
積層セラミック部品1は、焼結体11と、第1内部電極12A、第2内部電極12B及び第3内部電極12Cと、第1外部電極13A、第2外部電極13B及び第3外部電極13Cとを備えている。積層セラミック部品1において、
図2A~
図2D、
図3B等で示されるように、第1外部電極13Aは、第1方向において、第2外部電極13B及び第3外部電極13Cの間に設けられている。
【0013】
焼結体11は、第1方向を長辺とする直方体状に形成されており、第1方向において互いに対向する一対の端面、第2方向において互いに対向する一対の側面、及び第3方向において互いに対向する一対の主面を有している。なお、
図1C、
図1D、
図2A~
図2D、
図3B等において、焼結体11の外形は直方体状に図示されているが、
図1A、
図1B、
図3A等の断面図で示されるように、焼結体11は、直方体の辺部に適宜面取り加工を施してもよく、焼結体11の辺部は丸みを帯びていてもよい。
【0014】
焼結体11は、第3方向に沿って複数の層が積層された積層構造を有している。焼結体11は、例えば非直線性抵抗特性を有する半導体セラミックス成分で構成されている。焼結体11は、半導体セラミックス成分として、通常、主成分としてZnOを含み、副成分として、Bi2O3、Co2O3、MnO2及びSb2O3のうちの少なくとも1種を含んでいてもよく、Pr6O11、Co2O3、CaCO3及びCr2O3のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。焼結体11は、例えばZnOを主成分とする複数の層を積層した積層体である。これにより、焼結体11は、ZnOが焼結し、その粒界に副成分が析出した形になっており、これらの複数の層の間に、第1内部電極12A、第2内部電極12B及び第3内部電極12Cが形成されている。第1内部電極12A、第2内部電極12B及び第3内部電極12Cは、それぞれ1つであっても、複数であってもよい。
【0015】
第1外部電極13A、第2外部電極13B及び第3外部電極13Cは、それぞれ焼結体11の一対の側面の少なくとも一方に設けられている。第1外部電極13Aは第1内部電極12Aと、第2外部電極13Bは第2内部電極12Bと、第3外部電極13Cは第3内部電極12Cと、それぞれ電気的に接続されている。第1外部電極13A、第2外部電極13B及び第3外部電極13Cは、それぞれ焼結体11の一対の側面の両方に設けられていることが好ましい。
【0016】
第1外部電極13Aは、焼結体11の側面に設けられた第1部分13Aaと、焼結体11の側面から主面の少なくとも一部に延在して設けられた第2部分13Abとを含んでいる。第1外部電極13Aにおいて、第1部分13Aa及び第2部分13Abが連結した部分が「角部」と定義される。第1外部電極13Aの角部は、通常、焼結体11の側面及び主面の間の第1方向の線と平行な線を成している。第1外部電極13Aは、通常1~4つの角部を有している。
【0017】
第1部分13Aaは、第1外部電極13Aのうち、焼結体11の側面に設けられた部分である。第1部分13Aaは、焼結体11の側面の第3方向における一部に設けられていてもよく、焼結体11の側面の第3方向における全部にわたって設けられていてもよい。
【0018】
第2部分13Abは、第1外部電極13Aのうち、焼結体11の側面に設けられた部分(第1部分13Aa)から延在した、焼結体11の主面に設けられた部分である。第2部分13Abは、焼結体11の主面の第2方向における一部に設けられていてもよく、焼結体11の主面の第2方向における全部にわたって設けられていてもよい。
【0019】
第1部分13Aaにおいて、焼結体11の側面の第3方向における中央の位置に対応する位置は、第1外部電極13Aの「側面における中央部」(以下、側面中央部ともいう)と定義される。また、第2部分13Abにおいて、焼結体11の主面の第2方向における中央の位置に対応する位置は、第1外部電極13Aの「主面における中央部」(以下、主面中央部ともいう)と定義される。
【0020】
積層セラミック部品1において、第1外部電極13Aの角部の厚さ(以下、角部厚さ(I)ともいう)は、側面中央部の厚さ(以下、側面中央部厚さ(II)ともいう)よりも大きい。
【0021】
積層セラミック部品1において、角部厚さ(I)を側面中央部厚さ(II)よりも大きくすることで、外部電極と焼結体との隙間や、クラック発生等に関連して、めっき処理の際のめっき液の浸入や、高湿高圧下の耐湿試験の様な環境における水分の浸入を抑制することができると考えられる。積層セラミック部品1の内部への水分の浸入を抑制すること(以下、水分浸入抑制性ともいう)により、内部電極の劣化等を抑制することができ、その結果、積層セラミック部品1の信頼性を向上させることができる。
【0022】
加えて、角部厚さ(I)を側面中央厚さ(II)よりも大きくすることで、積層セラミック部品1の角部において、ガラスが薄くなった場合に浮き出てくるために、めっきが形成されにくくなるという不都合を解消することができる。
【0023】
「角部厚さ」とは、第1外部電極13Aの第2方向の断面において、角部における曲面の法線方向における第1外部電極13Aの厚さをいい、通常、焼結体11の側面及び主面に対して45°の方向における第1外部電極13Aの厚さを意味する。角部厚さ(I)は、
図3Aの断面図において、d1で示される長さである。「側面中央部厚さ」とは、第1外部電極13Aの第2方向の断面において、側面中央部に対応する位置における側面の法線方向における第1外部電極13Aの厚さをいい、通常、焼結体11の側面に対して垂直の方向における第1外部電極13Aの厚さを意味する。側面中央部厚さ(II)は、
図3Aの断面図において、d2で示される長さである。すなわち、積層セラミック部品1では、d1>d2である。また、第1外部電極13Aの第2方向の断面において、焼結体11の主面中央部に対応する位置における厚さ(焼結体11の主面における中央部の厚さ)は、「主面中央部厚さ(III)」と定義される。角部厚さ(I)、側面中央部厚さ(II)及び主面中央部厚さ(III)は、例えば平均厚さを意味する。「平均厚さ」とは、第1外部電極13Aの角部、側面中央部又は主面中央部における複数点(例えば任意の10点)について測定した厚さの算術平均値をいう。
【0024】
第1外部電極13Aは、第1部分13Aaが焼結体11の一対の側面の両方に設けられ、かつ第2部分13Abが焼結体11の一対の主面の両方に設けられていてもよい。すなわち、第1外部電極13Aは、焼結体11の一対の側面及び一対の主面に設けられていてもよい。この場合、第1外部電極13Aの4つの全ての角部の厚さが大きくなるため、積層セラミック部品1の水分浸入抑制性をより向上させることができる。また、このような積層セラミック部品1は、部品の向きに関わらず、実装することができる。第1外部電極13Aは、焼結体11を1周するように設けられていることがより好ましい。
【0025】
角部厚さ(I)は、側面中央部厚さ(II)及び主面中央部厚さ(III)のいずれよりも大きいことが好ましい。このようにすることで、積層セラミック部品1の水分浸入抑制性をより向上させることができる。
【0026】
具体的には、角部厚さ(I)は、例えば30μm以上50μm以下であり、35μm以上45μm以下であることが好ましい。側面中央部厚さ(II)は、例えば10μm以上30μm以下であり、15μm以上25μm以下であることが好ましい。このような厚さにすることにより、積層セラミック部品1の水分浸入抑制性をより向上させることができる。
【0027】
また、角部厚さ(I)は、側面中央部厚さ(II)の1倍超3倍以下であることが好ましい。このような厚さの比にすることにより、積層セラミック部品1の水分浸入抑制性をより向上させることができる。角部厚さ(I)は側面中央部厚さ(II)の1.2倍以上2.8倍以下であることがより好ましく、1.5倍以上2.5倍以下であることがさらに好ましい。
【0028】
第1外部電極13Aの断面の例を、
図1A~
図1Dに示す。
図1Aでは、焼結体11を1周する第1外部電極13Aの厚さは略均一であり、角部厚さ(I)>側面中央部厚さ(II)である。
図1Bでは、
図1Aに対し、角部の形状が大きくなっている。
図1C及び
図1Dでは、角部の形状がさらに大きくなっている。
【0029】
第2外部電極13B及び第3外部電極13Cにおいても、第1外部電極13Aと同様、角部厚さが側面中央部厚さよりも大きくなっていることが好ましい。他の外部電極についても角部厚さ>側面中央部厚さとすることにより、積層セラミック部品1の水分浸入抑制性をより向上させることができる。
【0030】
第1外部電極13Aにおいて、角部の長さ(以下、角部長さ(X)ともいう)が、側面中央部の長さ(以下、側面中央部長さ(Y)ともいう)よりも大きいことが好ましい。この場合、より厚い角部をより増大させることにより、積層セラミック部品1の水分浸入抑制性をより向上させることができる。
【0031】
「角部長さ」とは、第1外部電極13Aの角部の長さをいい、
図3Bの側面図において、D1で示される長さである。「側面中央部長さ」とは、第1外部電極13Aの側面中央部の長さをいい、
図3Bの側面図において、D2で示される長さである。すなわち、積層セラミック部品1では、D1>D2であることが好ましい。角部長さ(X)及び側面中央部長さ(Y)は、例えば平均厚さを意味する。「平均長さ」とは、第1外部電極13Aの角部又は側面中央部における複数点(例えば任意の10点)について測定した長さの算術平均値をいう。
【0032】
また、角部長さ(X)は、側面中央部長さ(Y)の1倍超2倍以下であることが好ましい。このような長さの比とすることにより、積層セラミック部品1の水分浸入抑制性をより向上させることができる。角部長さ(X)は側面中央部長さ(Y)の1.1倍以上1.9倍以下であることがより好ましく、1.3倍以上1.7倍以下であることがさらに好ましい。
【0033】
第2外部電極13B及び第3外部電極13Cにおいても、第1外部電極13Aと同様、角部長さが側面中央部長さよりも大きくなっていることが好ましい。他の外部電極についても角部長さ>側面中央部長さとすることにより、積層セラミック部品1の水分浸入抑制性をより向上させることができる。
【0034】
積層セラミック部品1の側面の例を
図2A及び
図2Bに、上面の例を
図2C及び
図2Dに示す。
図2Aの側面図及び
図2Cの上面図では、第2外部電極13B及び第3外部電極13Cは、焼結体11の一対の端面のそれぞれを覆うように設けられており、第1外部電極13Aは、焼結体11の側面の第3方向における全部(第1部分13Aa)から、主面の第2方向における一部(第2部分13Ab)に延在して設けられている。第1外部電極13Aの角部の形状が大きくなっている。
図2Bの側面図及び
図2Dの上面図では、第2外部電極13B、第1外部電極13A及び第3外部電極13Cがこの順に焼結体11に設けられており、それぞれの外部電極13A~13Cは、焼結体11の側面の第3方向における全部(第1部分)から、主面の第2方向における一部(第2部分)に延在して設けられている。それぞれの外部電極13A~13Cの角部の形状が大きくなっている。第1外部電極13Aの断面が
図1Dである場合、例えば側面は
図2A又は
図2Bで、上面は
図2C又は
図2Dで示される。
【0035】
第1外部電極13A、第2外部電極13B及び第3外部電極13Cの少なくとも1つが、ガラス成分を含むことが好ましい。外部電極がガラス成分を含むことにより、積層セラミック部品1における外部電極の接着性をより向上させることができ、信頼性をより向上させることができる。第1外部電極13A、第2外部電極13B及び第3外部電極13Cがガラス成分を含むことがより好ましい。
【0036】
積層セラミック部品1において、第1外部電極13A、第2外部電極13B及び第3外部電極13Cは、通常、それぞれ1つずつであるが、本開示の効果を損なわない範囲において、それぞれ複数個であってもよい。
【0037】
次に、本実施形態における積層セラミック部品1の製造方法について説明する。
【0038】
本実施形態の積層セラミック部品1は、内部に内部電極が形成された焼結体11に、外部電極ペーストを塗布し、外部電極を形成することにより製造することができる。
【0039】
焼結体11は、例えばZnOを主成分として含み、副成分としてBi2O3、Co2O3、MnO2、Sb2O3等、又はPr6O11、Co2O3、CaCO3、Cr2O3等を含む粉体を準備し、この粉体に溶剤、可塑剤等を加えてスラリー状にし、得られたスラリーをシート状に成型してセラミックシートを作製する。次に、セラミックシート上に、Pd、Ag等を含む内部電極ペーストをスクリーン印刷し、任意の形状の内部電極を形成する。次いで、内部電極が形成されたセラミックシートと、内部電極が形成されていないセラミックシートとを積層して、積層体を作製し、この積層体を任意の形状に切断し、グリーンチップを得る。このグリーンチップを焼成し、複数の層が積層された積層構造を有する焼結体11が得られる。
【0040】
次に、外部電極ペーストを塗布して、外部電極を形成する。外部電極ペーストとして、例えばAgを主成分として含み、3質量%以上4質量%以下のガラス成分を含むものを用いることができる。第2外部電極13B及び第3外部電極13Cを、焼結体11の端面に設ける場合は、例えばディップ法等によって形成することが可能であるが、それ以外の場所に形成する場合及び第1外部電極13Aを形成する方法としては、例えば凸版に付着した外部電極ペーストを焼結体11に押し当てることにより塗布するローラー転写等により、焼結体11の側面の各面に塗布し、焼付を行うことで、外部電極を形成する方法が挙げられる。この方法を使用すると、複数回塗布される角部は形状が大きくなり、角部厚さ(I)、角部長さ(X)等を大きくすることができる。このようにして、積層セラミック部品1を製造することができる。
【0041】
(まとめ)
上述の実施形態から明らかなように、本開示の第一の態様に係る積層セラミック部品(1)は、焼結体(11)と、少なくとも第1内部電極(12A)、第2内部電極(12B)及び第3内部電極(12C)と、第1外部電極(13A)と、第2外部電極(13B)と、第3外部電極(13C)とを備える。焼結体(11)は、第1方向において互いに対向する一対の端面、第2方向において互いに対向する一対の側面、及び第3方向において互いに対向する一対の主面を有する。焼結体(11)は、第1方向を長辺とする直方体状に形成され、第3方向に沿って複数の層が積層された積層構造を有する。第1内部電極(12A)、第2内部電極(12B)及び第3内部電極(12C)は、焼結体(11)の内部に設けられている。第2外部電極(13B)は、一対の側面の少なくとも一方に設けられ、第2内部電極(12B)に電気的に接続されている。第3外部電極(13C)は、一対の側面の少なくとも一方に設けられ、第3内部電極(12C)に電気的に接続されている。第1外部電極(13A)は、第1方向における第2外部電極(13B)及び第3外部電極(13C)の間の、一対の側面の少なくとも一方に設けられ、第1内部電極(12A)に電気的に接続されている。第1外部電極(13A)は、側面に設けられた第1部分(13Aa)と、側面から主面の少なくとも一部に延在した第2部分(13Ab)とを含み、かつ第1部分(13Aa)及び第2部分(13Ab)が連結した角部を有する。第1外部電極(13A)において、角部の厚さ(d1)は、側面における中央部の厚さ(d2)よりも大きい。
【0042】
第一の態様によれば、積層セラミック部品(1)は、内部への水分の浸入を抑制することができ、信頼性を向上させることができる。
【0043】
本開示の第二の態様では、第一の態様において、第1外部電極(13A)が、一対の側面及び一対の主面に設けられている。
【0044】
第二の態様によれば、第1外部電極(13A)の4つの全ての角部に設けられていることにより、積層セラミック部品(1)は、水分浸入抑制性をより向上させることができ、また、部品の向きに関わらず、実装することができる。
【0045】
本開示の第三の態様では、第一又は第二の態様において、角部の厚さが、側面における中央部の厚さ及び主面における中央部の厚さのいずれよりも大きい。
【0046】
第三の態様によれば、前記厚さとすることにより、積層セラミック部品(1)の水分浸入抑制性をより向上させることができる。
【0047】
本開示の第四の態様では、第一から第三のいずれか一の態様において、側面における中央部の厚さが、10μm以上30μmより小さく、角部の厚さが、30μm以上50μm以下である。
【0048】
第四の態様によれば、前記厚さとすることにより、積層セラミック部品(1)の水分浸入抑制性をより向上させることができる。
【0049】
本開示の第五の態様では、第一から第四のいずれか一の態様において、角部の厚さが、側面における中央部の厚さの1倍超3倍以下である。
【0050】
第五の態様によれば、前記厚さの比とすることにより、積層セラミック部品(1)の水分浸入信頼性をより向上させることができる。
【0051】
本開示の第六の態様では、第一から第五のいずれか一の態様において、第1外部電極(13A)において、第1方向に沿った角部の長さが、側面における中央部の長さよりも大きい。
【0052】
第六の態様によれば、前記長さとすることにより、積層セラミック部品(1)の水分浸入抑制性をより向上させることができる。
【0053】
本開示の第七の態様では、第六の態様において、角部の長さが、側面における中央部の長さの1倍超2倍以下である。
【0054】
第七の態様によれば、前記長さの比とすることにより、積層セラミック部品(1)の水分浸入抑制性をより向上させることができる。
【0055】
本開示の第八の態様では、第一から第七のいずれか一の態様において、第2外部電極(13B)及び第3外部電極(13C)において、角部の厚さが、側面における中央部の厚さよりも大きい。
【0056】
第八の態様によれば、他の外部電極についても角部厚さ>側面中央部厚さとすることにより、積層セラミック部品(1)の水分浸入抑制性をより向上させることができる。
【0057】
本開示の第九の態様では、第一から第八のいずれか一の態様において、第1外部電極(13A)、第2外部電極(13B)及び第3外部電極(13C)のうちの少なくとも1つが、ガラス成分を含む。
【0058】
第九の態様によれば、外部電極がガラス成分を含むことにより、積層セラミック部品(1)における外部電極の接着性をより向上させることができ、信頼性をより向上させることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 積層セラミック部品
11 焼結体
12A 第1内部電極
12B 第2内部電極
12C 第3内部電極
13A 第1外部電極
13Aa 第1部分
d1 角部の厚さ
d2 側面における中央部の厚さ
D1 角部の長さ
D2 側面における中央部の長さ
13Ab 第2部分
13B 第2外部電極
13C 第3外部電極