(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144970
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】配達支援システム及び配達支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0836 20230101AFI20231003BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G06Q10/08 316
B65G61/00 524
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052209
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】金子 理絵
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC51
(57)【要約】
【課題】効率的な配達を支援する技術を提供すること。
【解決手段】一態様による配達支援システムは、荷物の配達先に設置されている宅配ボックスが空いていない場合、所定の条件を満たす他の宅配ボックスを検索するように構成されている検索部と、前記検索部によって検索された他の宅配ボックスを地図上に可視化した画面を所定の端末に表示させるように構成されている表示部と、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物の配達先に設置されている宅配ボックスが空いていない場合、所定の条件を満たす他の宅配ボックスを検索するように構成されている検索部と、
前記検索部によって検索された他の宅配ボックスを地図上に可視化した画面を所定の端末に表示させるように構成されている表示部と、
を有する配達支援システム。
【請求項2】
前記配達支援システムには、前記荷物の配達員が利用する第1の端末が含まれ、
前記表示部は、
前記他の宅配ボックスを、前記荷物の配達先候補として地図上に可視化した画面を前記第1の端末に表示させるように構成されている、請求項1に記載の配達支援システム。
【請求項3】
前記配達支援システムには、前記荷物の受取人が利用する第2の端末が含まれ、
前記表示部は、
前記荷物の配達先候補のいずれかに前記荷物が配達された場合、前記荷物が配達された宅配ボックスを地図上に可視化した画面を前記第2の端末に表示させるように構成されている、請求項2に記載の配達支援システム。
【請求項4】
前記配達支援システムには、前記荷物の受取人が利用する第2の端末が含まれ、
前記表示部は、
前記他の宅配ボックスを、前記荷物の受取場所候補として地図上に可視化した画面を前記第2の端末に表示させるように構成されている、請求項1に記載の配達支援システム。
【請求項5】
前記配達支援システムには、前記荷物の配達員が利用する第1の端末が含まれ、
前記表示部は、
前記荷物の受取場所候補のいずれかが前記荷物の受取場所として前記受取人によって選択された場合、前記受取場所を表す宅配ボックスを地図上に可視化した画面を前記第1の端末に表示させるように構成されている、請求項4に記載の配達支援システム。
【請求項6】
前記条件は、
前記荷物の配達先に設置されている宅配ボックスから所定の半径内であること、及び、前記荷物の配達先に設置されている宅配ボックスから、所定の移動手段で所定の時間以内であること、の少なくともいずれか一方である、請求項1乃至5の何れか一項に記載の配達支援システム。
【請求項7】
宅配ボックスが空いているか否かを表す利用状況が管理されているテーブルを記憶するように構成されている記憶部を更に有し、
前記検索部は、
前記条件を満たし、かつ、前記利用状況が空いていることを表すものである他の宅配ボックスを検索するように構成されている、請求項1乃至6の何れか一項に記載の配達支援システム。
【請求項8】
荷物の配達先に設置されている宅配ボックスが空いていない場合、所定の条件を満たす他の宅配ボックスを検索する検索手順と、
前記検索手順によって検索された他の宅配ボックスを地図上に可視化した画面を所定の端末に表示させる表示手順と、
を実行する配達支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配達支援システム及び配達支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットショッピング等といった電子商取引が広く普及しており、その結果、ネットショッピング等で購入した商品を配達サービスで受け取る機会も多くなっている。商品を購入した者はその商品がいつ届くかを知りたい場合がよくあり、このようなニーズに関連する技術として、商品の配達状況を利用者がリアルタイムで確認できる技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
一方で、配達サービスを提供する配達員には効率的に荷物を配達したいというニーズがあり、そのための様々な技術(例えば、効率的な配達ルートを求める技術等)が提案されている。しかしながら、例えば、受取人が不在だった等の理由により荷物の再配達が発生する場合があり、その結果、荷物の配達が非効率になり、また再配達のためのコストが余計に発生することがある。近年では、マンションやアパート、個人宅等に宅配ボックスが設置されており、受取人が不在であっても荷物の配達が可能なことも多いが、宅配ボックスが既に利用中で空きが無い場合には依然として荷物の再配達が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、上記の点に鑑みてなされたもので、効率的な配達を支援する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による配達支援システムは、荷物の配達先に設置されている宅配ボックスが空いていない場合、所定の条件を満たす他の宅配ボックスを検索するように構成されている検索部と、前記検索部によって検索された他の宅配ボックスを地図上に可視化した画面を所定の端末に表示させるように構成されている表示部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
効率的な配達を支援する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第一の実施形態に係る配達支援システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】第一の実施形態に係る配達支援システムの機能構成の一例を示す図である。
【
図3】第一の実施形態に係る宅配ボックス管理テーブルの一例を示す図である。
【
図4】第一の実施形態に係る配達支援処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図7】第二の実施形態に係る配達支援システムの機能構成の一例を示す図である。
【
図8】第二の実施形態に係る宅配ボックス管理テーブルの一例を示す図である。
【
図9】第二の実施形態に係る配達支援処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について説明する。以下の各実施形態では、荷物の配達先に設置されている宅配ボックス(例えば、受取人の自宅に設置されている宅配ボックス等)に空きが無い場合に、所定の条件を満たす他の宅配ボックスを荷物の配達先とすることで、荷物の効率的な配達を支援することができる配達支援システム1について説明する。
【0010】
ここで、宅配ボックスとは、配達サービスによって配達される荷物の配達先となる設備又は機器等のことである。宅配ボックスは、受取人が自身の自宅に設置することもあれば、マンションやアパート等に設置されていることもある。また、宅配ボックスは、駅や商業施設、コンビニエンスストア等に設置されていることもある。駅や商業施設、コンビニエンスストア等に設置された宅配ボックスは、オープン型宅配ボックスとも呼ばれ、宅配ボックスの設置サービスを提供する業者等により設置される。
【0011】
なお、宅配ボックスは、例えば、配達ボックス、宅配ロッカー、配達ロッカー、宅配便ロッカー、宅配ステーション、配達ステーション等と呼ばれてもよい。また、「宅配」との用語は受取人の自宅に荷物を配達することを意味する場合が多いが、必ずしもこの意味に限られるものではなく、本明細書では、受取人が当該荷物を受け取り可能な場所に配達すること(例えば、駅や商業施設、コンビニエンスストア等に設置された宅配ボックスに配達すること)も「宅配」というものとする。
【0012】
[第一の実施形態]
まず、第一の実施形態について説明する。
【0013】
<配達支援システム1の全体構成例>
本実施形態に係る配達支援システム1の全体構成例を
図1に示す。
図1に示すように、本実施形態に係る配達支援システム1には、配達支援サーバ10と、1以上の配達員端末20と、1以上の受取人端末30とが含まれる。また、配達支援サーバ10と各配達員端末20は、インターネット等の通信ネットワーク40を介して通信可能に接続される。同様に、配達支援サーバ10と各受取人端末30は、インターネット等の通信ネットワーク40を介して通信可能に接続される。
【0014】
配達支援サーバ10は、宅配ボックスの設置場所等を管理する汎用サーバ等である。配達支援サーバ10は、荷物の配達先に設置されている宅配ボックスに空きが無い場合に、所定の条件を満たす他の宅配ボックス(例えば、荷物の配達先に設置されている宅配ボックスから半径200m以内にある他の宅配ボックス等)を配達員に提示する。また、配達支援サーバ10は、他の宅配ボックスに荷物が配達された場合に、当該他の宅配ボックスの名称や設置場所等といった情報を受取人に提示する。
【0015】
配達員端末20は、荷物の配達員が利用する各種端末(例えば、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブルデバイス等)である。配達員は、配達員端末20を用いて、例えば、荷物の配達先に設置されている宅配ボックスに空きが無い場合に、所定の条件を満たす他の宅配ボックスを確認することができる。これにより、配達員は、例えば、受取人の自宅等に設置されている宅配ボックスに空きが無い場合であっても、他の宅配ボックスに荷物を配達することができる。このため、再配達の発生が防止され、その結果、荷物の効率的な配達を実現することができる。
【0016】
なお、配達員端末20には、荷物の配達先や配達状況を確認したり、その配達先までのルートを地図上で確認したりすることができる機能を提供するアプリケーションプログラム(以下、配達支援アプリケーションともいう。)が搭載されているものとする。これらの機能は既存機能であるため、本明細書では、その説明は省略する。このような機能を提供する配達支援アプリケーションの1つとして、例えば、「GODOOR,インターネット<URL:https://godoor.jp/>」等が挙げられる。
【0017】
受取人端末30は、荷物の受取人が利用する各種端末(例えば、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブルデバイス、PC(パーソナルコンピュータ)等)である。受取人は、受取人端末30を用いて、例えば、自身宛の荷物が配達された宅配ボックスの名称や設置場所等といった情報を確認することができる。
【0018】
なお、
図1に示す配達支援システム1の全体構成例は一例であって、これに限られるものではない。例えば、配達支援サーバ10が有する機能の全部又は一部が、外部のクラウドサービス等により提供されるものであってもよい。
【0019】
<配達支援システム1の機能構成例>
本実施形態に係る配達支援システム1の機能構成例を
図2に示す。
【0020】
≪配達支援サーバ10≫
図2に示すように、本実施形態に係る配達支援サーバ10は、検索部101と、通知部102とを有する。これら各機能部は、例えば、配達支援サーバ10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置に実行させる処理により実現される。また、本実施形態に係る配達支援サーバ10は、記憶部103を有する。記憶部103は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等といった記憶装置により実現される。
【0021】
検索部101は、配達員端末20から検索要求を受信すると、記憶部103に記憶されている宅配ボックス管理テーブルの中から所定の条件を満たす宅配ボックス情報を検索する。ここで、宅配ボックス管理テーブルとは、宅配ボックスID、宅配ボックスの名称、宅配ボックスの設置場所等が含まれる宅配ボックス情報が格納されたテーブル形式のデータのことである。なお、宅配ボックス管理テーブルの詳細については後述する。
【0022】
また、検索部101は、検索要求に対する検索結果として、宅配ボックス管理テーブルから検索された宅配ボックス情報を配達員端末20に返信する。
【0023】
通知部102は、配達員端末20から配達完了通知を受信すると、この配達完了通知に含まれる宅配ボックスIDから宅配ボックス情報を特定した上で、その宅配ボックス情報が含まれる配達完了通知を該当の受取人端末30に送信する。なお、このとき、通知部102は、配達が完了した荷物の受取人が利用している受取人端末30に対して当該配達完了通知を送信する。
【0024】
記憶部103は、各種情報(例えば、宅配ボックス管理テーブル等)を記憶する。ここで、宅配ボックス管理テーブルの一例を
図3に示す。
図3に示すように、本実施形態に係る宅配ボックス管理テーブルには1以上の宅配ボックス情報が格納されており、また各宅配ボックス情報には、宅配ボックスID、名称、設置場所等が含まれる。宅配ボックスIDは、宅配ボックスを一意に識別する識別情報である。名称は、宅配ボックスの名称である。設置場所は、宅配ボックスが設置されている場所を示す情報である。なお、
図3に示す例では、設置場所は、宅配ボックスが設置されている場所の緯度方向の座標値と経度方向の座標値との組(X,Y)で表現されているが、これは一例であって、これに限られない。設置場所は、例えば、宅配ボックスが設置されている場所の住所等といった情報であってもよい。
【0025】
≪配達員端末20≫
図2に示すように、本実施形態に係る配達員端末20は、UI提供部201と、検索要求部202と、通知部203とを有する。これら各機能部は、例えば、配達員端末20にインストールされた配達支援アプリケーションを含む1以上のプログラムが、CPU等の演算装置に実行させる処理により実現される。
【0026】
UI提供部201は、配達員端末20が備えるディスプレイ上に各種画面(例えば、後述する配達先候補提示画面等)を表示したり、配達員端末20が備えるタッチパネル等といった入力装置による各種操作を受け付けたりする。
【0027】
検索要求部202は、荷物の配達先に設置されている宅配ボックスに空きが無い旨の操作をUI提供部201が受け付けた場合、所定の条件を満たす他の宅配ボックスを検索するための検索要求を配達支援サーバ10に送信する。
【0028】
通知部203は、他の宅配ボックスに荷物の配達が完了した旨の操作をUI提供部201が受け付けた場合、当該他の宅配ボックスの宅配ボックスIDやその宅配ボックスに配達された荷物を一意に識別する荷物ID等が含まれる配達完了通知を配達支援サーバ10に送信する。
【0029】
≪受取人端末30≫
図2に示すように、本実施形態に係る受取人端末30は、UI提供部301を有する。UI提供部301は、例えば、受取人端末30にインストールされた1以上のプログラムが、CPU等の演算装置に実行させる処理により実現される。
【0030】
UI提供部301は、受取人端末30が備えるディスプレイ上に各種画面(例えば、後述する配達先提示画面等)を表示したり、受取人端末30が備えるタッチパネル等といった入力装置による各種操作を受け付けたりする。
【0031】
<配達支援処理>
以下、配達員が荷物の配達に伺ったときに受取人が不在で、かつ、受取人宅に設置されている宅配ボックスに空きが無かった場合を想定し、この場合に荷物の効率的な配達を支援する処理について、
図4を参照しながら説明する。
【0032】
配達員端末20のUI提供部201は、受取人宅に設置されている宅配ボックスに空きが無い旨の操作を受け付ける(ステップS101)。なお、配達員は、例えば、荷物の配達状況を管理するための画面上において、その荷物の配達先に設置されている宅配ボックスに空きが無かった旨の操作を行うことができる。
【0033】
配達員端末20の検索要求部202は、受取人宅に設置されている宅配ボックスに空きが無い旨の操作をUI提供部201が受け付けると、検索要求を配達支援サーバ10に送信する(ステップS102)。当該検索要求には、例えば、受取人宅に設置されている宅配ボックスの設置場所等が含まれる。
【0034】
配達支援サーバ10の検索部101は、検索要求を受信すると、記憶部103に記憶されている宅配ボックス管理テーブルの中から所定の条件を満たす宅配ボックス情報を検索する(ステップS103)。具体的には、検索部101は、受取人宅に設置されている宅配ボックスの設置場所を用いて、その宅配ボックスから半径R[m]以内にある他の宅配ボックスの宅配ボックス情報を宅配ボックス管理テーブルから検索する。ここで、Rは予め決められたパラメータであり、例えば、R=200等とすることが考えられる。
【0035】
ただし、他の宅配ボックスを検索する際に「受取人宅に設置されている宅配ボックスの設置場所から半径R[m]以内」を条件とすることは一例であって、これ以外にも様々な条件を用いて、その条件を満たす他の宅配ボックスを検索してもよい。
【0036】
例えば、受取人の移動手段も考慮して、「受取人宅に設置されている宅配ボックスの設置場所から、所定の移動手段でT[分]以内」を条件としてもよい。なお、移動手段としては、例えば、「徒歩」、「自転車」、「車」等が挙げられる。Tは予め決められたパラメータである。
【0037】
また、荷物の種類に応じて異なる条件が用いられてもよい。例えば、荷物の種類が「飲料水」である場合は「受取人宅に設置されている宅配ボックスの設置場所から半径R=50[m]以内」を条件に用いる一方で、荷物の種類が「本」である場合は「受取人宅に設置されている宅配ボックスの設置場所から半径R=200[m]以内」を条件に用いる等である。
【0038】
上記以外にも、様々な要素を考慮した条件が用いられてもよい。例えば、道路の勾配を考慮して所定の勾配以上の道路を通らないことを条件としてもよいし、道路の幅員を考慮して所定の幅員以上の道路を通らないことを条件としてもよいし、橋や陸橋等を渡らないことを条件としてもよいし、宅配ボックスが或る特定の施設(例えば、駅等)に設置されていることを条件としてもよい。
【0039】
更に、上記の各条件のうちの2つ以上を組み合わせたものを条件としてもよい。例えば、「受取人宅に設置されている宅配ボックスの設置場所から半径R[m]以内、かつ、所定の移動手段でT[分]以内」を条件としてもよいし、荷物の種類が「飲料水」である場合は「受取人宅に設置されている宅配ボックスの設置場所から半径R=50[m]以内で、かつ、陸橋を渡らない」を条件としてもよい。
【0040】
また、或る条件で宅配ボックス情報を検索した結果、その条件を満たす宅配ボックス情報が存在しなかった場合は他の条件で再度検索してもよい。例えば、「受取人宅に設置されている宅配ボックスの設置場所から半径100[m]以内」を満たす宅配ボックス情報が存在しなかった場合は、「受取人宅に設置されている宅配ボックスの設置場所から半径200[m]以内」を条件として再度検索してもよい。
【0041】
上記のステップS103でどのような条件を用いるかは受取人によって事前に設定されていてもよいし、全受取人に共通の条件が予め設定されていてもよい。又は、例えば、何等かのルールやアルゴリズムに従って受取人毎に設定されてもよい。このようなルールやアルゴリズムでは、例えば、受取人の年齢や性別、不在頻度、荷物の種類等に応じて適切な条件やその条件に利用するパラメータの値を選択又は決定すればよい。例えば、「受取人宅に設置されている宅配ボックスの設置場所から半径R[m]以内」を全受取人に共通の条件として利用すると選択すると共に、受取人の不在頻度が高いほどRを大きくしたり、年齢が高いほどRを小さくしたりすることが考えられる。
【0042】
次に、配達支援サーバ10の検索部101は、上記のステップS103で検索された宅配ボックス情報が含まれる検索結果を当該配達員端末20に送信する(ステップS104)。
【0043】
配達員端末20のUI提供部201は、配達支援サーバ10から検索結果を受信すると、この検索結果に含まれる宅配ボックス情報が表す宅配ボックスを配達先候補として地図上に可視化した配達先候補提示画面を表示する(ステップS105)。ここで、配達先候補提示画面の一例を
図5に示す。
図5に示す配達先候補提示画面1000では、受取人宅を表す配達先アイコン1001と、当該検索結果に含まれる各宅配ボックス情報をそれぞれ表す配達先候補アイコン1101~1103とが地図上に可視化されている。このように、配達先候補提示画面では、上記のステップS103で検索された宅配ボックス情報に対応する宅配ボックスが配達先候補アイコンとして配達員に提示される。このため、配達員は、これらの配達先候補アイコンの中から任意に1つの配達先候補アイコンを選択した上で、その配達先候補アイコンに対応する宅配ボックスに荷物を配達することができる。以下では、或る配達先候補アイコンを配達員が選択した上で、その配達先候補アイコンに対応する宅配ボックスに実際に荷物が配達されたものとする(つまり、その宅配ボックスへの荷物の配達が完了したものとする。)。
【0044】
配達員端末20のUI提供部201は、配達員が選択した宅配ボックスへの荷物の配達が完了した旨の操作を受け付ける(ステップS106)。なお、配達員は、例えば、荷物の配達状況を管理するための画面上において、当該宅配ボックスへの配達が完了した旨を表すボタンを押下することで、当該宅配ボックスへの荷物の配達が完了した旨の操作を行うことができる。
【0045】
配達員端末20の通知部203は、宅配ボックスへの荷物の配達が完了した旨の操作をUI提供部201が受け付けると、配達完了通知を配達支援サーバ10に送信する(ステップS107)。当該配達完了通知には、例えば、配達が完了した荷物の荷物IDとその荷物が配達された宅配ボックスの宅配ボックスID等が含まれる。
【0046】
配達支援サーバ10の通知部102は、配達完了通知を受信すると、その配達完了通知に含まれる宅配ボックスIDから宅配ボックス情報を特定した上で、その宅配ボックス情報が含まれる配達完了通知を受取人端末30に送信する(ステップS108)。なお、このとき、通知部102は、配達員端末20から受信した配達完了通知に含まれる荷物IDからその荷物IDの荷物の受取人を特定した上で、当該受取人が利用している受取人端末30に当該配達完了通知を送信する。
【0047】
受取人端末30のUI提供部301は、配達完了通知を受信すると、その配達完了通知に含まれる宅配ボックス情報が表す宅配ボックスを配達先として地図上に可視化した配達先提示画面を表示する(ステップS109)。ここで、配達先提示画面の一例を
図6に示す。
図6に示す配達先提示画面2000では、荷物が実際に配達された宅配ボックスを表す配達先アイコン2100が地図上に可視化されている。このように、配達先提示画面では、荷物が実際に配達された宅配ボックスが配達先アイコンとして受取人に提示される。このため、受取人は、自身の自宅に設置された宅配ボックスに空きが無かった場合であっても、他の宅配ボックスから荷物を受け取ることが可能となる。
【0048】
[第二の実施形態]
次に、第二の実施形態について説明する。第一の実施形態では各宅配ボックスの利用状況(つまり、その宅配ボックスが空いているか否か)は配達員が実際の配達時に判断していたが、近年では通信ネットワークに接続されている宅配ボックスも多くなり、各宅配ボックスの利用状況がリアルタイムに確認可能な場合も多くなっている。宅配ボックスの利用状況がリアルタイムに確認できれば、実際の配達前に受取人宅の宅配ボックスに空きがあるか否かがわかり、受取人宅の宅配ボックスに空きが無い場合には他の宅配ボックスのうち、どの宅配ボックスに配達するかを受取人に選択させることもできる。
【0049】
そこで、第二の実施形態では、各宅配ボックスの利用状況が管理されているという状況の下で、受取人宅に設置されている宅配ボックスに空きが無かったことが配達前に確認できた場合には、所定の条件を満たし、かつ、空いている他の宅配ボックスを受取人に提示し、荷物の配達を希望する宅配ボックスを選択させる場合について説明する。これにより、第一の実施形態と同様に再配達の発生を防止できると共に、受取人の希望する宅配ボックスへ荷物が配達されるため、顧客満足度の向上も期待できると考えられる。
【0050】
なお、第二の実施形態では、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の構成要素についてはその説明を省略する。
【0051】
<配達支援システム1の機能構成例>
本実施形態に係る配達支援システム1の機能構成例を
図7に示す。
【0052】
≪配達支援サーバ10≫
図7に示すように、本実施形態に係る配達支援サーバ10は、第一の実施形態で説明した各機能部及び記憶部に加えて、利用状況確認部104を有する。利用状況確認部104は、例えば、配達支援サーバ10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU等の演算装置に実行させる処理により実現される。
【0053】
利用状況確認部104は、記憶部103に記憶されている宅配ボックス管理テーブルを参照して、各受取人宅に設置されている宅配ボックスの利用状況を確認する。ここで、本実施形態に係る宅配ボックス管理テーブルに格納されている宅配ボックス情報には、宅配ボックスID、宅配ボックスの名称、宅配ボックスの設置場所等に加えて、その宅配ボックスの利用状況が含まれているものとする。ここで、本実施形態に係る宅配ボックス管理テーブルの一例を8に示す。
図8に示すように、本実施形態に係る宅配ボックス管理テーブルに格納されている各宅配ボックス情報には、宅配ボックスID、名称、設置場所等に加えて、利用状況が含まれる。利用状況は、宅配ボックスが空いているか否かを表す情報である。
図8に示す例では、利用状況が「利用中」である場合は宅配ボックスが空いていないことを意味し、「空き」である場合は宅配ボックスが空いていることを意味する。
【0054】
また、本実施形態に係る宅配ボックス管理テーブルでは、オープン型宅配ボックスだけでなく、受取人の自宅やマンション等に設置されている宅配ボックスの宅配ボックス情報も管理されている。
図8に示す例では、宅配ボックスID「10001」~「10002」等が、受取人の自宅やマンション等に設置されている宅配ボックスの宅配ボックス情報である。
【0055】
本実施形態に係る検索部101は、荷物の配達先の宅配ボックスに空きが無いことが利用状況確認部104によって確認された場合、宅配ボックス管理テーブルの中から所定の条件を満たし、かつ、空いている他の宅配ボックスの宅配ボックス情報を検索する。また、本実施形態に係る検索部101は、この検索の検索結果を該当の受取人端末30に送信する。なお、このとき、検索部101は、当該荷物の受取人が利用している受取人端末30に対して当該検索結果を送信する。
【0056】
また、本実施形態に係る通知部102は、受取人端末30から希望配達先通知を受信すると、この希望配達先通知に含まれる宅配ボックスIDから宅配ボックス情報を特定した上で、その宅配ボックス情報が含まれる希望配達先通知を配達員端末20に送信する。なお、このとき、通知部102は、当該荷物の配達を担当する配達員が利用する配達員端末20に対して当該希望配達先通知を送信する。
【0057】
≪配達員端末20≫
図7に示すように、本実施形態に係る配達員端末20は、第一の実施形態と異なり、検索要求部202を有しない。
【0058】
≪受取人端末30≫
図7に示すように、本実施形態に係る受取人端末30は、第一の実施形態で説明した機能部に加えて、通知部302を有する。通知部302は、例えば、受取人端末30にインストールされた1以上のプログラムが、CPU等の演算装置に実行させる処理により実現される。
【0059】
通知部302は、受取人が希望する宅配ボックスの選択操作をUI提供部301が受け付けた場合、その宅配ボックスの宅配ボックスIDが含まれる希望宅配先通知を配達支援サーバ10に送信する。
【0060】
<配達支援処理>
以下、或る荷物の配達先として受取人宅の宅配ボックスが事前に指定されている場合を想定し、この場合に荷物の効率的な配達を支援する処理について、
図9を参照しながら説明する。なお、
図9のステップS201~ステップS208は、当該荷物の配達日前(例えば、当該荷物の配達日の前日や、配達日当日の朝等)に実行される。
【0061】
配達支援サーバ10の利用状況確認部104は、記憶部103に記憶されている宅配ボックス管理テーブルを参照して、当該荷物の配達先として指定されている宅配ボックスの利用状況を確認する(ステップS201)。以下では、宅配ボックスの利用状況を「利用中」(つまり、空きが無い)と確認されたものとする。
【0062】
当該荷物の配達先として指定されている宅配ボックスの利用状況が「利用中」である場合、配達支援サーバ10の検索部101は、記憶部103に記憶されている宅配ボックス管理テーブルの中から所定の条件を満たし、かつ、利用状況が「空き」となっている宅配ボックス情報を検索する(ステップS202)。なお、当該条件としては第一の実施形態と同様のものを用いることができる。
【0063】
次に、配達支援サーバ10の検索部101は、上記のステップS202で検索された宅配ボックス情報が含まれる検索結果を受取人端末30に送信する(ステップS203)。このとき、検索部101は、当該荷物の受取人が利用している受取人端末30に対して当該検索結果を送信する。なお、検索部101は、上記のステップS202で検索されたすべての宅配ボックス情報が含まれる検索結果を送信してもよいし、一部の宅配ボックス情報のみが含まれる検索結果を送信してもよい。一部の宅配ボックス情報のみが含まれる検索結果を送信する際には、例えば、受取人の自宅から最も近い1つの宅配ボックス情報のみを検索結果に含めてもよいし、受取人の自宅から近い順に所定の個数の宅配ボックス情報のみを検索結果に含めてもよい。
【0064】
受取人端末30のUI提供部301は、配達支援サーバ10から検索結果を受信すると、この検索結果に含まれる宅配ボックス情報が表す宅配ボックスを配達先候補として地図上に可視化した画面を表示する(ステップS204)。これにより、受取人は、この画面上で自身が受取場所として希望する宅配ボックスを選択することができる。なお、当該画面上に1つの宅配ボックスのみが可視化されている場合は、この宅配ボックスに配達することの許可を受取人に求めているということもできる。
【0065】
受取人端末30のUI提供部301は、受取人が希望する宅配ボックスの選択操作を受け付ける(ステップS205)。なお、受取人は、上記の画面上において、自身が希望する宅配ボックスを選択することで、当該選択操作を行うことができる。
【0066】
受取人端末30の通知部302は、上記の選択操作をUI提供部301が受け付けると、この選択操作によって選択された宅配ボックスの宅配ボックスIDが含まれる希望配達先通知を配達支援サーバ10に送信する(ステップS206)。
【0067】
配達支援サーバ10の通知部102は、希望配達先通知を受信すると、この希望配達先通知に含まれる宅配ボックスIDから宅配ボックス情報を特定した上で、その宅配ボックス情報が含まれる希望配達先通知を配達員端末20に送信する(ステップS207)。なお、このとき、通知部102は、当該荷物の配達を担当する配達員が利用する配達員端末20に対して当該希望配達先通知を送信する。
【0068】
配達員端末20のUI提供部201は、希望配達先通知を受信すると、この希望配達先通知に含まれる宅配ボックス情報を配達先として地図上に可視化した画面を表示する(ステップS208)。これにより、配達員は、受取人が希望する宅配ボックスに荷物を配達することができる。
【0069】
なお、荷物の配達が完了された後は、
図4のステップS106~ステップS109が実行されるが、これは第一の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0070】
[まとめ]
以上のように、第一及び第二の実施形態に係る配達支援システム1では、受取人が不在であり、かつ、受取人の自宅等に設置されている宅配ボックスに空きが無い場合であっても、所定の条件を満たす他の宅配ボックスを配達先とすることができる。このため、配達員は再配達を行う必要がなくなり、荷物の効率的な配達が実現される。また、受取人にとっても再配達依頼を行う必要がなくなり、再配達依頼に要する手間等を削減される。
【0071】
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から逸脱することなく、種々の変形や変更、既知の技術との組み合わせ等が可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 配達支援システム
10 配達支援サーバ
20 配達員端末
30 受取人端末
40 通信ネットワーク
101 検索部
102 通知部
103 記憶部
104 利用状況確認部
201 UI提供部
202 検索要求部
203 通知部
301 UI提供部
302 通知部