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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144974
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】竜頭および時計
(51)【国際特許分類】
   G04B 3/04 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
G04B3/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052216
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100207778
【弁理士】
【氏名又は名称】阿形 直起
(72)【発明者】
【氏名】野間 陽介
(57)【要約】
【課題】装飾部材を竜頭に簡易に取り付けることを可能とする竜頭および時計を提供する。
【解決手段】竜頭は、時計の竜頭であって、凹部が形成され、利用者の操作を受け付ける頭部と、頭部とは別体として形成され、装飾部材を外部から視認可能に把持する把持部と、を有し、装飾部材は、把持部が凹部に固定されることにより、竜頭が時計に取り付けられた状態で、頭部に取り付けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計の竜頭であって、
凹部が形成され、利用者の操作を受け付ける頭部と、
前記頭部とは別体として形成され、装飾部材を外部から視認可能に把持する把持部と、を有し、
前記装飾部材は、前記把持部が前記凹部に固定されることにより、前記竜頭が前記時計に取り付けられた状態で前記頭部に取り付けられる、
ことを特徴とする竜頭。
【請求項2】
前記凹部の内周面には、周方向に延伸する第1溝部が形成され、
前記把持部の側面には、前記第1溝部に対向するように周方向に延伸する第2溝部が形成され、
前記把持部は、前記第1溝部および前記第2溝部に嵌合する環状部材により前記凹部に固定される、
請求項1に記載の竜頭。
【請求項3】
前記凹部の底面には、前記頭部の下面と接続される貫通孔が形成される、
請求項2に記載の竜頭。
【請求項4】
前記凹部の内周面および前記把持部の側面には、ねじ構造が形成され、
前記把持部は、前記ねじ構造により前記凹部と螺合することにより前記凹部に固定される、
請求項1に記載の竜頭。
【請求項5】
前記凹部の内周面には、内側に突出する突出部が形成され、
前記把持部の側面には、弾性変形して前記突出部に係合可能な係合部が形成され、
前記把持部は、前記係合部が前記突出部に係合することにより前記凹部に固定される、
請求項1に記載の竜頭。
【請求項6】
前記凹部の底面には接合層が配置され、
前記把持部は、底面が前記接合層を介して前記凹部の底面と接合されることにより前記凹部に固定される、
請求項1に記載の竜頭。
【請求項7】
請求項1-6のいずれか一項に記載の竜頭を有することを特徴とする時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竜頭および時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、時計の意匠性を高めるために、竜頭に様々な装飾が施されている。例えば、利用者の要望に合わせた宝石等の装飾部材を竜頭に取り付けて時計を販売するサービスが知られている。
【0003】
特許文献1には、凹部に装飾部材である飾り石が固定された竜頭が記載されている。特許文献1に記載の竜頭において、凹部の内側面と飾り石の側面との間には接着剤が配置され、凹部と飾り石とが固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6623848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、飾り石のような装飾部材は小さく、取扱いに注意を要するため、装飾部材を竜頭に取り付けるためには専用の道具または特別な技術を要する。そこで、装飾部材を簡易に取付け可能とすることが求められていた。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、装飾部材を竜頭に簡易に取り付けることを可能とする竜頭および時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る竜頭は、時計の竜頭であって、凹部が形成され、利用者の操作を受け付ける頭部と、頭部とは別体として形成され、装飾部材を外部から視認可能に把持する把持部と、を有し、装飾部材は、把持部が凹部に固定されることにより、竜頭が時計に取り付けられた状態で頭部に取り付けられることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る竜頭において、凹部の内周面には、周方向に延伸する第1溝部が形成され、把持部の側面には、第1溝部に対向するように周方向に延伸する第2溝部が形成され、把持部は、第1溝部および第2溝部に嵌合する環状部材により凹部に固定されることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る竜頭において、凹部の底面には、頭部の下面と接続される貫通孔が形成されることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る竜頭において、凹部の内周面および収容部の側面には、ねじ構造が形成され、把持部は、ねじ構造により凹部と螺合することにより凹部に固定されることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る竜頭において、凹部の内周面には、内側に突出する突出部が形成され、把持部の側面には、弾性変形して突出部に係合可能な係合部が形成され、把持部は、係合部が突出部に係合することにより凹部に固定されることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る竜頭において、凹部の内面には接合層が配置され、把持部は、底面が接合層を介して凹部の底面と接合されることにより凹部に固定されることが好ましい。
【0013】
本発明に係る時計は、本発明に係る竜頭を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る竜頭および時計は、装飾部材を竜頭に簡易に取り付けることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】時計1の斜視図である。
図2】竜頭13の分解斜視図である。
図3】竜頭13の断面図である。
図4】竜頭23の断面図である。
図5】竜頭33の分解斜視図である。
図6】竜頭33の断面図である。
図7】竜頭43の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明及びその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0017】
図1は、実施形態に係る時計1の斜視図である。時計1は、本体部11、一対のバンド12、竜頭13等を有する。本体部11は、計時機能を有する機械式時計、クォーツ式アナログ時計等である。一対のバンド12は、本体部11の12時側および6時側にそれぞれ接続されるとともに、不図示の中留めを介して相互に接続され、環状に形成される。利用者は、環状に形成されたバンド12に腕等を挿通することで、時計1を装着する。竜頭13は、本体部11の側面に配置され、本体部11に内蔵されるムーブメントに接続される。竜頭13は、利用者による、竜頭13を軸方向に摺動させる操作や周方向に回動させる操作を受け付ける。竜頭13は、受け付けた操作に応じてムーブメントに回転力を伝達し、本体部11の指針を回動させ、またはムーブメントのゼンマイを巻き上げさせる。また、竜頭13には、装飾部材14が取り付けられる。装飾部材14は、宝石等の天然石である。装飾部材14は、ガラスや天然樹脂等でもよい。
【0018】
図2は竜頭13の分解斜視図であり、図3は竜頭13の断面図である。図3は、図1のIII-III断面における断面図である。竜頭13は、軸部15、頭部16および把持部17を有する。
【0019】
軸部15は、本体部11の外装ケースの側面に形成された貫通孔に挿入される。軸部15の、本体部11の内側の端面には、不図示の巻真と嵌合する嵌合部151が形成される。図3に示す例では、嵌合部151の内周にはネジ構造が形成され、嵌合部151は巻真と螺合可能となっている。巻真は、本体部11に内蔵されるムーブメントに接続され、軸部15の回転力をムーブメントに伝達する。また、軸部15の外周面には、防水部材が装着可能となるように、周方向に延伸する溝152が形成される。
【0020】
頭部16は、軸部15の、本体部11の外側の端部に接続され、利用者による操作を受け付ける。頭部16は、利用者が頭部16の側面を把持して操作しやすいように、略八角柱状に形成される。頭部16の上面(図2における上側の面および図3における右側の面をいう。)には、円形の凹部161が形成される。凹部161の内周面には、周方向に延伸する第1溝部162が形成される。凹部161の底面には、それぞれ頭部16の下面まで貫通する複数の貫通孔163が形成される。貫通孔163は、凹部161の底面の中心を挟んで略対称となる位置に形成される。図2および図3に示す例では、凹部161の底面の中心を挟んで対向し、かつ底面の中心から等距離となる位置に二つの円形の貫通孔163が形成されている。
【0021】
把持部17は、頭部16とは別体として、略円柱状に形成される。把持部17には、上面と下面とを貫通する収容孔171が形成される。収容孔171には、装飾部材14が外部から視認可能に収容される。収容孔171の上端172は、内径が装飾部材14の外径よりも小さくなるように内側に延出し、装飾部材14の外周部を覆う。これにより、把持部17は、装飾部材14を外部から視認可能に、把持部17と一体として把持する。収容孔171の上端172は、例えば、収容孔171に装飾部材14が収容された後に、収容孔171の上部が内側に向けてかしめられることにより形成される。
【0022】
把持部17の外周面には、周方向に延伸する第2溝部173が形成される。把持部17の底面と第2溝部173との間の距離(すなわち、第2溝部173の底面からの高さ)は、頭部16の凹部161の底面と第1溝部162との間の距離と略同一である。すなわち、第2溝部173は、把持部17が凹部161に奥まで挿入された状態で、第1溝部162に対向するように形成される。また、把持部17の底面と外周面との接続部分には傾斜面174が形成される。
【0023】
竜頭13に装飾部材14が取り付けられるときには、竜頭13が時計1に取り付けられた状態で、弾性体により形成される環状部材18が頭部16の第1溝部162に嵌合される。図2および図3に示す例では、環状部材18はゴムにより形成され、楕円形の断面形状を有するO(オー)リングである。環状部材18は、その径方向における幅が第1溝部162の深さよりも大きくなるように形成され、第1溝部162と嵌合した状態でその一部が第1溝部162から突出する。この状態で、把持部17が凹部161に挿入される。環状部材18は弾性体であるため、把持部17の傾斜面174および外周面と接触して内径が広がるように弾性変形し、把持部17は第2溝部173が第1溝部162に対向する位置まで挿入される。そして、環状部材18が第2溝部173にさらに嵌合し、把持部17が固定される。このようにして、把持部17は第1溝部162および第2溝部173に嵌合する環状部材18により凹部161に固定され、竜頭13が時計1に取り付けられた状態で装飾部材14が頭部16に取り付けられる。
【0024】
また、装飾部材14は、竜頭13から取り外すことができる。この場合には、凹部161の底面に形成された貫通孔163を通して、把持部17の底面が押し上げられる。これにより、装飾部材14が取外し可能となる。このとき、凹部161の底面の中心を挟んで略対象となる位置に形成された複数の貫通孔163を通じて同時に把持部17の底面が押し上げられる。これにより、把持部17の底面が凹部161の底面と平行な状態で把持部17が押し上げられるため、装飾部材14が簡易に取外し可能となる。
【0025】
以上説明したように、竜頭13は、凹部161が形成され、利用者の操作を受け付ける頭部16と、頭部16とは別体として形成され、装飾部材14を外部から視認可能に把持する把持部17とを有する。装飾部材14は、把持部17が凹部161に固定されることにより、竜頭が時計に取り付けられた状態で、頭部16に取り付けられる。これにより、竜頭13は、装飾部材14を簡易に取り付けることを可能とする。
【0026】
従来のように装飾部材を竜頭に直接取り付ける場合には、装飾部材は、専用の道具や特別な技術を有する作業者によってあらかじめ取り付けられる必要がある。また、装飾部材を取り付けるために竜頭に加工を施す場合には、加工時に時計が損傷することを防止するため、竜頭が時計に取り付けられる前に装飾部材が竜頭に取り付けられる必要がある。このような場合には、販売者は、あらかじめ装飾部材が取り付けられた時計を在庫として保有する。したがって、複数の種類の装飾部材が提供される場合には、販売者は、各種類の装飾部材があらかじめ取り付けられた時計を在庫として保有する必要がある。
【0027】
これに対し、竜頭13において、装飾部材14は、あらかじめ把持部17に一体として把持されており、竜頭13が時計1に取り付けられた状態で把持部17を凹部161に挿入することのみにより簡易に取付け可能である。したがって、時計1の販売者は、装飾部材14を取り扱うための専用の道具や特別な技術を有していなくても、購入者からの注文を受けてから、注文に応じた装飾部材14を時計1に取り付けられた竜頭13に取り付けて販売することができる。そのため、販売者は各種類の装飾部材14があらかじめ取り付けられた時計1を在庫として保有する必要がなくなり、管理すべき在庫数が少なくなる。
【0028】
また、凹部161の内周面には周方向に延伸する第1溝部162が形成され、把持部17の側面には第1溝部162に対向するように周方向に延伸する第2溝部173が形成される。把持部17は、第1溝部162および第2溝部173に嵌合する環状部材18により凹部161に固定される。把持部17は凹部161に挿入することのみにより凹部161と係合するため、装飾部材14をより簡易に竜頭13に取り付けることが可能となる。
【0029】
また、凹部161の底面には、底面の中心を挟んで略対象となる位置に複数の貫通孔163が形成される。これにより、把持部17の底面を凹部161の底面と平行な状態で押し上げることができるため、装飾部材14を竜頭13から簡易に取り外すことが可能となる。
【0030】
上述した説明では、凹部161の底面には、底面の中心を挟んで略対象となる位置に複数の貫通孔163が形成されるものとしたが、このような例に限られない。複数の貫通孔163は、把持部17の底面が凹部161の底面と平行な状態で押し上げることが可能な任意の位置に形成されてもよい。また、凹部161の底面に一つの貫通孔163のみが形成されてもよい。この場合も、装飾部材14を竜頭13から簡易に取り外すことが可能となる。
【0031】
上述した説明では、頭部16は略八角柱形状に形成されるものとしたが、このような例に限られず、任意の形状に形成されてもよい。また、利用者が頭部16の側面を把持して操作しやすいように、頭部16の側面にローレット状の溝が形成されてもよい。
【0032】
上述した説明では、環状部材18はOリングであるものとしたが、このような例に限られない。環状部材18は、ゴムにより形成され、矩形の断面形状を有する角リングまたは十字形の断面形状を有するXリング等でもよい。環状部材18は、金属により形成された環状の板ばねでもよい。また、環状部材18の形状は、第1溝部162および第2溝部173に嵌合可能な形状であればよく、例えば多角形でもよい。
【0033】
図4は、他の実施形態に係る竜頭23の断面図である。図4は、図3と同様の断面における断面図である。竜頭23は、頭部16および把持部17に代えて頭部26および把持部27を有する点で竜頭13と相違する。竜頭23の他の構成は竜頭13の構成と同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0034】
頭部26は、軸部15の、本体部11の外側の端部に接続され、利用者による操作を受け付ける。頭部26は、略八角柱状に形成される。頭部26の上面には、頭部16と同様に、円形の凹部261が形成される。凹部261の内周面には、ねじ構造262が形成される。
【0035】
把持部27は、頭部26とは別体として形成される。把持部27には、上面と下面とを貫通する収容孔271が形成される。収容孔271には、装飾部材14が外部から視認可能に収容される。収容孔271の上端272は、内径が装飾部材14の外径よりも小さくなるように内側に延出し、装飾部材14の外周部を覆う。これにより、把持部27は、装飾部材14を外部から視認可能に、把持部27と一体として把持する。把持部27の側面には、凹部261のねじ構造262と螺合可能なねじ構造273が形成される。
【0036】
竜頭23に装飾部材14が取り付けられるときには、把持部27のねじ構造273と凹部261のねじ構造262とが螺合するように、把持部27が周方向に回転されながら凹部261に挿入される。このようにして、把持部27がねじ構造273により凹部261と螺合することにより凹部261に固定され、装飾部材14が頭部26に取り付けられる。また、把持部27は、ねじ構造273が凹部261のねじ構造262から外れるように回転されることにより、凹部261から取り外される。
【0037】
このように、竜頭23において、凹部261の内周面および把持部27の側面には、ねじ構造262および273が形成される。把持部27は、ねじ構造273により凹部261と螺合することにより凹部261に固定される。これにより、竜頭23は、装飾部材14を簡易に取り付けることを可能とする。
【0038】
図5は他の実施形態に係る竜頭33の分解斜視図であり、図6は竜頭33の断面図である。図6は、図3と同様の断面における断面図である。竜頭33は、頭部16および把持部17に代えて頭部36および把持部37を有する点で竜頭13と相違する。竜頭33の他の構成は竜頭13の構成と同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
頭部36は、軸部15の、本体部11の外側の端部に接続され、利用者による操作を受け付ける。頭部36は、略八角柱状に形成される。頭部36の上面には、頭部16と同様に、円形の凹部361が形成される。凹部361の内周面には、部分的にその内径が小さくなるように内側に突出する突出部362が形成される。突出部362は、凹部361の内周面の周方向に沿って形成される。
【0040】
把持部37は、樹脂または金属等の弾性体により、頭部とは別体として形成される。把持部37には、上面と下面とを貫通する収容孔371が形成される。収容孔371には、装飾部材14が外部から視認可能に収容される。収容孔371の上端372は、内径が装飾部材14の外径よりも小さくなるように内側に延出し、装飾部材14の外周部を覆う。これにより、把持部37は、装飾部材14を外部から視認可能に、把持部37と一体として把持する。
【0041】
把持部37の側面の下部には、部分的に外径が大きくなるように突出する係合部373が形成される。係合部373における把持部37の外径は凹部361の突出部362における内径よりも大きく、係合部373は弾性変形して凹部361の突出部362と係合可能である。係合部373の下側には、係合部373から離間するにつれて外径が小さくなるように、テーパ状の第1傾斜面374が形成される。係合部373の上側には、係合部373から離間するにつれて外径が小さくなるように、テーパ状の第2傾斜面375が形成される。把持部37の側面に対する第1傾斜面374の勾配G1は、把持部37の外周側面に対する第2傾斜面375の勾配G2よりも小さい。また、第1傾斜面374の下端における把持部37の外径は、凹部361の突出部362の内径よりも小さい。第2傾斜面375の上端における把持部37の外径は、凹部361の突出部362の内径と略同一である。把持部37の側面の周方向における一部には、下端から係合部373の高さまで、切欠部376が形成される。これにより、把持部37は、係合部373が径方向に圧縮されるように弾性変形しやすくなる。
【0042】
竜頭33に装飾部材14が取り付けられるときには、把持部37が凹部361に挿入される。このとき、把持部37の第1傾斜面374が凹部361の突出部362に接触し、第1傾斜面374が中心方向に押圧され、把持部37は、係合部373が径方向に圧縮されるように弾性変形して挿入される。把持部37の係合部373が凹部361の突出部362の位置を通過すると、把持部37の形状が弾性により復元し、係合部373が突出部362と係合する。このようにして、把持部37は係合部373が凹部361の突出部362と係合することにより凹部361に固定され、装飾部材14が頭部36に取り付けられる。
【0043】
竜頭33から装飾部材14を取り外すときには、把持部37が凹部361から引き出される。このとき、把持部37の第2傾斜面375が凹部361の突出部362に接触し、把持部37は、側面が径方向に圧縮されるように弾性変形して引き出される。
【0044】
把持部37の外周側面に対する第1傾斜面374の勾配G1は、把持部37の弾性の大きさを考慮して適宜決定される。勾配G1が小さいほど、より小さい力で把持部37を凹部361に挿入することができる。他方で、勾配G1を大きくすると、把持部37の、第1傾斜面374の下端における外径と上端における外径との差が大きくなり、把持部37と凹部361とがより強固に係合するため、把持部37が凹部361から脱落することが防止される。
【0045】
把持部37の外周側面に対する第2傾斜面375の勾配G2は、把持部37の弾性の大きさおよび装飾部材14の取外しの必要性等を考慮して適宜決定される。勾配G2が小さいほど、より小さい力で把持部37を取外し可能となる反面、把持部37が脱落する可能性が大きくなる。なお、竜頭33に取り付けた装飾部材14を取り外す必要がない場合には、勾配G2を90度以上に設定してもよい。
【0046】
このように、竜頭33において、凹部361の内周面には、内側に突出する突出部362が形成される。把持部37の側面には、弾性変形して突出部362に係合可能な係合部が形成される。把持部37は、係合部373が突出部362に係合することにより凹部361に固定される。これにより、竜頭33は、装飾部材14を簡易に取り付けることおよび簡易に取り外すことを可能とする。
【0047】
なお、竜頭13と同様に、凹部361の底面には、底面の中心を挟んで略対象となる位置に複数の貫通孔が形成されてもよい。これにより、装飾部材14を竜頭13から簡易に取り外すことが可能となる。
【0048】
図7は、他の実施形態に係る竜頭43の断面図である。図7は、図3と同様の断面における断面図である。竜頭43は、頭部16および把持部17に代えて頭部46および把持部47を有する点で竜頭13と相違する。竜頭43の他の構成は竜頭13の構成と同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
頭部46は、軸部15の、本体部11の外側の端部に接続され、利用者による操作を受け付ける。頭部46は、略八角柱状に形成される。頭部46の上面には、頭部16と同様に、円形の凹部461が形成される。凹部461の底面には、接着剤または粘着テープによる接合層462が配置される。
【0050】
把持部47は、頭部46とは別体として、円柱状に形成される。把持部47には、上面と下面とを貫通する収容孔471が形成される。収容孔471には、装飾部材14が外部から視認可能に収容される。収容孔471の上端472は、内径が装飾部材14の外径よりも小さくなるように内側に延出し、装飾部材14の外周部を覆う。これにより、把持部47は装飾部材14を外部から視認可能に、把持部47と一体として把持する。把持部47の底面は平坦に形成される。把持部47は、底面が接合層462を介して凹部461の底面と接合されることにより凹部261に固定される。
【0051】
このように、竜頭43において、凹部461の底面には接合層462が形成される。把持部47は、接合層462を介して下面が凹部461の底面と接合することにより凹部461に保持される。これにより、竜頭43は、装飾部材14を簡易に取り付けることを可能とする。
【0052】
上述した説明では、竜頭43の収容孔471は把持部47の上面と下面とを貫通するものとしたが、このような例に限られない。収容孔471は、把持部47の上面に形成され、下面に至らないものであってもよい。これにより、把持部47の下面と接合層462との接触面積が大きくなり、把持部47が凹部461により強固に保持される。
【0053】
当業者は、本発明の範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。例えば、上述した実施形態及び変形例は、本発明の範囲において、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 時計
13 竜頭
14 装飾部材
16 頭部
161 凹部
162 第1溝部
17 把持部
173 第2溝部
18 環状部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7