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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144991
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】送出装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/12 20060101AFI20231003BHJP
   B65H 3/12 20060101ALI20231003BHJP
   B65H 3/48 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
B65H7/12
B65H3/12 310Z
B65H3/48 320A
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052245
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北澤 由之
(72)【発明者】
【氏名】尾形 健太
(72)【発明者】
【氏名】湯川 浩平
(72)【発明者】
【氏名】奥津 優
(72)【発明者】
【氏名】藤倉 寛明
(72)【発明者】
【氏名】尾上 洋平
【テーマコード(参考)】
3F048
3F343
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA13
3F048BB02
3F048BB08
3F048CA02
3F048CC01
3F048DA04
3F048EB13
3F048EB16
3F343FA01
3F343FB02
3F343FC01
3F343HA17
3F343HA33
3F343JB01
3F343JD17
3F343JD28
3F343KB05
3F343LA03
3F343MA03
3F343MA33
3F343MB14
3F343MC30
(57)【要約】
【課題】積載された複数の媒体の間に空気を供給して、媒体を浮揚させる供給部と、供給部によって浮揚された媒体を送り出す送出部と、を備える送出装置において、媒体の重送を抑制しやすくする。
【解決手段】送出装置は、積載された複数の媒体の間に空気を供給して、前記媒体を浮揚させる供給部と、前記供給部によって浮揚された媒体を送り出す送出部と、前記供給部によって浮揚されている状態における複数の媒体中に媒体束が存在するか否かを検出する検出部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載された複数の媒体の間に空気を供給して、前記媒体を浮揚させる供給部と、
前記供給部によって浮揚された媒体を送り出す送出部と、
前記供給部によって浮揚されている状態における複数の媒体中に媒体束が存在するか否かを検出する検出部と、
を備える送出装置。
【請求項2】
前記検出部は、
前記供給部によって浮揚されている状態における複数の媒体の像を撮影する撮影部と、
前記媒体の単位数あたりの厚さ情報と前記像の厚さとに基づき、前記媒体束が存在するか否かを判定する判定部と、
を有する
請求項1に記載の送出装置。
【請求項3】
前記検出部は、
使用者により入力された入力情報に関係付けられた前記厚さ情報、又は使用者により入力された前記厚さ情報を取得する取得部、を有し、
前記判定部が、前記取得部が取得した前記厚さ情報と前記像の厚さとに基づき前記媒体束が存在するか否かを判定する
請求項2に記載の送出装置。
【請求項4】
前記媒体の単位数あたりの厚さを測定する測定部、
を備え、
前記検出部は、
前記測定部が測定した厚さを前記厚さ情報として取得する取得部、を有し、
前記判定部が、前記取得部が取得した前記厚さ情報と前記像の厚さとに基づき前記媒体束が存在するか否かを判定する
請求項2に記載の送出装置。
【請求項5】
前記供給部は、
前記送出部による前記媒体の送出動作の実行を伴う状態において、前記媒体を浮揚させる第一浮揚動作と、
前記第一浮揚動作の前に実行され、前記送出部による前記媒体の送出動作の実行を伴わない状態において、前記媒体を浮揚させる第二浮揚動作と、
を実行し、
前記撮影部は、前記第二浮揚動作において、前記供給部によって浮揚されている状態における複数の媒体の像を撮影し、
前記検出部は、
前記第二浮揚動作において、前記撮影部が撮影した像から前記厚さ情報を取得する取得部、を有し、
前記判定部が、前記取得部が取得した前記厚さ情報と前記像の厚さとに基づき前記媒体束が存在するか否かを判定する
請求項2に記載の送出装置。
【請求項6】
前記判定部は、
前記像の厚さが、前記厚さ情報の厚さに予め定められた倍率を乗じた閾値以上である場合に、前記媒体束が存在すると判定し、
前記倍率は、積載された前記媒体の厚みごとに異なる
請求項2~5のいずれか1項に記載の送出装置。
【請求項7】
前記判定部は、
積載された前記媒体の厚みが第一厚さである場合に、第一倍率を前記倍率として用い、
積載された前記媒体の厚みが前記第一厚さよりも薄い第二厚さである場合に、前記第一倍率よりも高い第二倍率を前記倍率として用いる
請求項6に記載の送出装置。
【請求項8】
前記検出部は、
前記供給部によって浮揚されている状態における複数の媒体の像を撮影する撮影部と、
前記撮影部によって撮影された像に、厚みの異なる像が存在する場合に、前記媒体束が存在すると判定する判定部と、
を有する
請求項1に記載の送出装置。
【請求項9】
前記判定部は、
前記撮影部によって撮影された像において、厚みが最小である像の厚みを基準とする閾値以上の像が存在する場合に、前記媒体束が存在すると判定する
請求項8に記載の送出装置。
【請求項10】
前記判定部は、
厚みが最小である像が撮影される毎に、前記基準を更新する
請求項9に記載の送出装置。
【請求項11】
前記撮影部の撮影範囲は、積載された複数の媒体のうち、浮揚された状態にある全ての媒体の像を撮影可能な範囲である
請求項2~10のいずれか1項に記載の送出装置。
【請求項12】
前記撮影部は、前記送出部による前記媒体の送出動作の実行が継続されている間は、前記撮影範囲において撮影動作を継続する
請求項11に記載の送出装置。
【請求項13】
前記撮影部は、前記像を連続的に複数回撮影し、
前記判定部は、前記媒体の種類に基づき、単位時間あたりの判定回数を変更する
請求項2~12のいずれか1項に記載の送出装置。
【請求項14】
前記判定部は、
前記媒体の厚みが第一厚さである場合に、単位時間あたりに予め定められた第一判定回数にて、前記媒体束が存在するか否かを判定し、
前記媒体の厚みが前記第一厚さよりも薄い第二厚さである場合に、単位時間あたりに、前記第一判定回数よりも多い第二判定回数にて、前記媒体束が存在するか否かを判定する
請求項13に記載の送出装置。
【請求項15】
前記検出部は、
前記媒体束が存在する場合において、当該媒体束の位置を検出する
請求項1~14のいずれか1項に記載の送出装置。
【請求項16】
前記検出部は、前記送出部が前記媒体に接触する位置と前記媒体束との距離を、前記媒体束の位置として検出する
請求項15に記載の送出装置。
【請求項17】
前記検出部は、
前記媒体束が存在する場合において、当該媒体束の位置を継続的に検出し、
当該媒体束の束状態が解消された場合には、それ以降、当該媒体による媒体束は存在しないと判定する
請求項15又は16に記載の送出装置。
【請求項18】
前記検出部によって検出された前記媒体束が存在するか否かの情報に基づき、前記送出部の送出動作に関わる条件を変更する変更部
を備える請求項1~17のいずれか1項に記載の送出装置。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載の送出装置と、
前記送出装置から送り出された媒体に画像を形成する画像形成部と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送出装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数シートが上下方向に積層されてなるシート束を載置可能な載置部と、前記載置部に載置されたシート束にエアを吹き付け、少なくとも最上層のシートを浮上させる送風手段と、前記載置部の上方に設けられ、かつ、前記送風手段によって浮上させられた前記最上層のシートを吸着して、所定の搬送方向に搬送する吸着/搬送手段と、上下方向に延在する成分を有する帯状の第1のスリット光であって、浮上させられた複数のシートの内の少なくとも第1のシートの第1のエッジ及びその下方の第2のシートの第2のエッジと交差する第1のスリット光を出射する第1の光源と、前記第1のシート及び前記第2のシートに照射されている該第1のスリット光を撮影すると共に、該第1のシート及び該第2のシートに平行な平面において、前記第1の光源による前記第1のスリット光の出射方向とは異なる撮影方向を有する撮影手段と、前記撮影手段が撮影した前記第1のスリット光に基づいて、前記第1のシートと前記第2のシートとの上下方向の間隔を算出する算出手段と、前記算出手段が算出した前記第1のシートと前記第2のシートとの上下方向の間隔に基づいて、前記送風手段の風量を調整する風量調整手段と、を備えるシート供給装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-24868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
積載された複数の媒体の間に空気を供給して、媒体を浮揚させる供給部と、供給部によって浮揚された媒体を送り出す送出部と、を備える送出装置において、供給部によって浮揚されている状態(以下、浮揚状態という場合がある)の複数の媒体の間隔のみを算出する場合では、浮揚状態の複数の媒体中に媒体束(すなわち、互いに重なった状態で存在する複数の媒体)が存在するか否かの情報を得られない。このため、送出部の送出動作に関わる条件を、当該情報に基づき、媒体の重送を抑制可能な条件に設定(変更を含む)できないため、媒体の重送を抑制しがたい。
【0005】
本発明は、積載された複数の媒体の間に空気を供給して、媒体を浮揚させる供給部と、供給部によって浮揚された媒体を送り出す送出部と、を備える送出装置において、浮揚状態の複数の媒体の間隔のみを算出する場合に比べ、媒体の重送を抑制しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様は、積載された複数の媒体の間に空気を供給して、前記媒体を浮揚させる供給部と、前記供給部によって浮揚された媒体を送り出す送出部と、前記供給部によって浮揚されている状態における複数の媒体中に媒体束が存在するか否かを検出する検出部と、を備える。
【0007】
第2態様では、第1態様において、前記検出部は、前記供給部によって浮揚されている状態における複数の媒体の像を撮影する撮影部と、前記媒体の単位数あたりの厚さ情報と前記像の厚さとに基づき、前記媒体束が存在するか否かを判定する判定部と、を有する。
【0008】
第3態様では、第2態様において、前記検出部は、使用者により入力された入力情報に関係付けられた前記厚さ情報、又は使用者により入力された前記厚さ情報を取得する取得部、を有し、前記判定部が、前記取得部が取得した前記厚さ情報と前記像の厚さとに基づき前記媒体束が存在するか否かを判定する。
【0009】
第4態様は、第2態様において、前記媒体の単位数あたりの厚さを測定する測定部、を備え、前記検出部は、前記測定部が測定した厚さを前記厚さ情報として取得する取得部、を有し、前記判定部が、前記取得部が取得した前記厚さ情報と前記像の厚さとに基づき前記媒体束が存在するか否かを判定する。
【0010】
第5態様では、第2態様において、前記供給部は、前記送出部による前記媒体の送出動作の実行を伴う状態において、前記媒体を浮揚させる第一浮揚動作と、前記第一浮揚動作の前に実行され、前記送出部による前記媒体の送出動作の実行を伴わない状態において、前記媒体を浮揚させる第二浮揚動作と、を実行し、前記撮影部は、前記第二浮揚動作において、前記供給部によって浮揚されている状態における複数の媒体の像を撮影し、前記検出部は、前記第二浮揚動作において、前記撮影部が撮影した像から前記厚さ情報を取得する取得部、を有し、前記判定部が、前記取得部が取得した前記厚さ情報と前記像の厚さとに基づき前記媒体束が存在するか否かを判定する。
【0011】
第6態様では、第2~第5態様のいずれか1つにおいて、前記判定部は、前記像の厚さが、前記厚さ情報の厚さに予め定められた倍率を乗じた閾値以上である場合に、前記媒体束が存在すると判定し、前記倍率は、積載された前記媒体の厚みごとに異なる。
【0012】
第7態様では、第6態様において、前記判定部は、積載された前記媒体の厚みが第一厚さである場合に、第一倍率を前記倍率として用い、積載された前記媒体の厚みが前記第一厚さよりも薄い第二厚さである場合に、前記第一倍率よりも高い第二倍率を前記倍率として用いる。
【0013】
第8態様では、第1態様において、前記検出部は、前記供給部によって浮揚されている状態における複数の媒体の像を撮影する撮影部と、前記撮影部によって撮影された像に、厚みの異なる像が存在する場合に、前記媒体束が存在すると判定する判定部と、を有する。
【0014】
第9態様では、第8態様において、前記判定部は、前記撮影部によって撮影された像において、厚みが最小である像の厚みを基準とする閾値以上の像が存在する場合に、前記媒体束が存在すると判定する。
【0015】
第10態様では、前記判定部は、厚みが最小である像が撮影される毎に、前記基準を更新する。
【0016】
第11態様では、前記撮影部の撮影範囲は、積載された複数の媒体のうち、浮揚された状態にある全ての媒体の像を撮影可能な範囲である。
【0017】
第12態様では、第11態様において、前記撮影部は、前記送出部による前記媒体の送出動作の実行が継続されている間は、前記撮影範囲において撮影動作を継続する。
【0018】
第13態様では、第2~第12態様のいずれか1つにおいて、前記撮影部は、前記像を連続的に複数回撮影し、前記判定部は、前記媒体の種類に基づき、単位時間あたりの判定回数を変更する。
【0019】
第14態様では、第13態様において、前記判定部は、前記媒体の厚みが第一厚さである場合に、単位時間あたりに予め定められた第一判定回数にて、前記媒体束が存在するか否かを判定し、前記媒体の厚みが前記第一厚さよりも薄い第二厚さである場合に、単位時間あたりに、前記第一判定回数よりも多い第二判定回数にて、前記媒体束が存在するか否かを判定する。
【0020】
第15態様では、第1~第14態様のいずれか1つにおいて、前記検出部は、前記媒体束が存在する場合において、当該媒体束の位置を検出する。
【0021】
第16態様では、第15態様において、前記検出部は、前記送出部が前記媒体に接触する位置と前記媒体束との距離を、前記媒体束の位置として検出する。
【0022】
第17態様では、第15又は第16態様において、前記検出部は、前記媒体束が存在する場合において、当該媒体束の位置を継続的に検出し、当該媒体束の束状態が解消された場合には、それ以降、当該媒体による媒体束は存在しないと判定する。
【0023】
第18態様は、第1~第17態様のいずれか1つにおいて、前記検出部によって検出された前記媒体束が存在するか否かの情報に基づき、前記送出部の送出動作に関わる条件を変更する変更部を備える。
【0024】
第19態様は、第1~第18態様のいずれか1つの送出装置と、前記送出装置から送り出された媒体に画像を形成する画像形成部と、を備える。
【発明の効果】
【0025】
第1態様の構成によれば、積載された複数の媒体の間に空気を供給して、媒体を浮揚させる供給部と、供給部によって浮揚された媒体を送り出す送出部と、を備える送出装置において、浮揚状態の複数の媒体の間隔のみを算出する場合に比べ、媒体の重送を抑制しやすい。
【0026】
第2態様の構成によれば、判定部が、撮影部が撮影した像のみに基づき、媒体束が存在するか否かを判定する場合に比べ、誤判定が抑制される。
【0027】
第3態様の構成によれば、送出装置に備えられた測定部が測定した厚さを厚さ情報として用いる場合に比べ、送出装置の構成を簡素化できる。
【0028】
第4態様の構成によれば、入力された厚さ情報を用いる場合に比べ、使用者の手間が低減される。
【0029】
第5態様の構成によれば、送出装置に備えられた測定部が測定した厚さを厚さ情報として用いる場合に比べ、送出装置の構成を簡素化できる。
【0030】
第6態様の構成によれば、媒体の厚みに関わらず、用いられる倍率が一定である場合に比べ、媒体の厚みの違いによる判定精度のばらつきが抑制される。
【0031】
第7態様の構成によれば、媒体の厚みが第二厚さである場合に第一倍率を用いる場合に比べ、媒体の厚みが第二厚さである場合における誤判定が抑制される。
【0032】
第8態様の構成によれば、入力された厚さ情報に基づき媒体束が存在するか否かを判定する場合に比べ、使用者の手間が低減される。
【0033】
第9態様の構成によれば、厚みの異なる像が存在する場合の全てにおいて、判定部が、媒体束が存在すると判定する場合に比べ、誤判定が抑制される。
【0034】
第10態様の構成によれば、厚みが最小である像が撮影された場合でも、判定部が基準を維持する場合に比べ、誤判定が抑制される。
【0035】
第11態様の構成によれば、撮影部の撮影範囲が、浮揚された状態にある媒体の一部の像を撮影可能な範囲である場合に比べ、誤判定が抑制される。
【0036】
第12態様の構成によれば、撮影部が、送出部による媒体の送出動作の実行が継続されている場合に、撮影範囲における撮影動作を停止する場合に比べ、誤判定が抑制される。
【0037】
第13態様の構成によれば、媒体の種類に関わらず、判定部の単位時間あたりの判定回数が一定である場合に比べ、媒体の種類の違いによる判定精度のばらつきが抑制される。
【0038】
第14態様の構成によれば、媒体の厚みが第二厚さである場合に単位時間あたりに第一判定回数にて媒体束が存在するか否かを判定する場合に比べ、媒体の厚みが第二厚さである場合における誤判定が抑制される。
【0039】
第15態様の構成によれば、媒体束が存在する場合において、媒体束の位置の情報が得られる。
【0040】
第16態様の構成によれば、送出部が媒体に接触する位置と媒体束との距離の情報を、媒体束の位置の情報として得られる。
【0041】
第17態様の構成によれば、検出部が、媒体束の束状態が解消された場合に、それ以降、当該媒体による束が存在すると判定しうる場合に比べ、誤判定が抑制される。
【0042】
第18態様の構成によれば、送出部の送出動作に関わる条件が常に維持される場合に比べ、媒体の送り出し不良が抑制される。
【0043】
第19態様の構成によれば、浮揚状態の複数の媒体の間隔のみを算出する場合に比べ、媒体の重送を抑制しつつ、当該媒体に画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本実施形態に係る画像形成装置を示す概略図である。
図2】本実施形態に係る送出装置を示す概略図である。
図3】本実施形態に係る送出装置を側壁の外面側から見た図である。
図4図2に示される送出装置において、吸着体が最上の記録媒体を吸着した状態を示す概略図である。
図5図4に示される送出装置において、吸着体が受渡位置へ移動した状態を示す概略図である。
図6】本実施形態に係る撮影部の撮影範囲を示す概略図である。
図7】本実施形態に係る送出装置における判断装置の一例を示すブロック図である。
図8】本実施形態に係る送出装置における判断装置のプロセッサの機能構成の一例を示すブロック図である。
図9】第一変形例に係る送出装置の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0046】
(画像形成装置10)
まず、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す概略図である。
【0047】
なお、図中に示す矢印UPは、装置の上方(具体的には鉛直上方)を示し、矢印DOは、装置の下方(具体的には鉛直下方)を示す。また、図中に示す矢印LHは、装置の左方を示し、矢印RHは、装置の右方を示す。また、図中に示す矢印FRは、装置の前方を示し、矢印RRは、装置の後方を示す。これらの方向は、説明の便宜上定めた方向であるから、装置構成がこれらの方向に限定されるものではない。なお、装置の各方向において、「装置」の語を省略して示す場合がある。すなわち、例えば、「装置の上方」を、単に「上方」と示す場合がある。
【0048】
また、下記の説明では、「上下方向」を、「上方及び下方の両方」又は「上方及び下方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。「左右方向」を、「右方及び左方の両方」又は「右方及び左方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。なお、「左右方向」は、側方、横方向、及び水平方向ともいえる。「前後方向」を、「前方及び後方の両方」又は「前方及び後方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。なお、「前後方向」は、側方、横方向、及び水平方向ともいえる。また、上下方向、左右方向、前後方向は、互いに交差する方向(具体的には、直交する方向)である。
【0049】
また、図中の「○」の中に「×」が記載された記号は、紙面の手前から奥へ向かう矢印を意味する。また、図中の「○」の中に「・」が記載された記号は、紙面の奥から手前へ向かう矢印を意味する。
【0050】
図1に示される画像形成装置10は、媒体の一例としての記録媒体Pに画像を形成する装置である。具体的には、画像形成装置10は、図1に示されるように、送出装置12と、搬送部14と、画像形成部16と、排出部18と、を備えている。以下、画像形成装置10の各部について説明する。
【0051】
(搬送部14)
図1に示される搬送部14は、画像形成装置10において、記録媒体Pを搬送する構成部である。この搬送部14は、送出装置12から送り出された記録媒体Pを画像形成部16へ搬送する機能と、画像形成部16にて画像が形成された記録媒体Pを排出部18へ搬送する機能と、を有している。
【0052】
具体的には、搬送部14は、一対の搬送ロールで構成された搬送部材14A、14Bを有している。搬送部14では、搬送部材14Aが、送出装置12から送り出された記録媒体Pを画像形成部16へ搬送し、搬送部材14Bが、画像形成部16にて画像が形成された記録媒体Pを排出部18へ搬送する。
【0053】
なお、搬送部材14A、14Bとしては、一対の搬送ロールに限られない。搬送部材14A、14Bとしては、例えば、搬送ベルト及び搬送ドラム等の搬送部材であってもよく、種々の搬送部材を用いることが可能である。
【0054】
(画像形成部16)
図1に示される画像形成部16は、送出装置12から送り出された記録媒体Pに画像を形成する構成部である。画像形成部16としては、例えば、インクを用いて記録媒体に画像を形成するインクジェット式の画像形成部、及び、トナーを用いて記録媒体に画像を形成する電子写真式の画像形成部などが挙げられる。
【0055】
インクジェット式の画像形成部では、例えば、吐出部から記録媒体にインク滴を吐出して記録媒体に画像を形成する。インクジェット式の画像形成部としては、吐出部から転写体にインク滴を吐出し、当該インク滴を転写体から記録媒体に転写することで、記録媒体に画像を形成してもよい。
【0056】
電子写真式の画像形成部では、例えば、帯電、露光、現像、転写の各工程を行い、記録媒体に画像を形成する。電子写真式の画像形成部としては、帯電、露光、現像、転写の各工程を行って、転写体に画像を形成し、当該画像を転写体から記録媒体に転写することで、記録媒体に画像を形成してもよい。
【0057】
なお、画像形成部の一例としては、前述のインクジェット式の画像形成部、及び、前述の電子写真式の画像形成部に限られず、種々の画像形成部を用いることが可能である。
【0058】
(排出部18)
図1に示される排出部18は、画像形成装置10において、画像が形成された記録媒体が排出される部分である。排出部18には、画像形成部16によって画像が形成された後、搬送部14(具体的には搬送部材14B)により搬送された記録媒体Pが排出される。
【0059】
(送出装置12)
図1図2図3図4及び図5に示される送出装置12は、記録媒体Pを送り出す装置である。本実施形態では、送出装置12は、予め定められた送出方向(具体的には右方)へ記録媒体Pを送り出す。したがって、送出装置12において、右方が送出方向下流であり、左方が送出方向上流である。また、送出装置12から送り出される記録媒体Pにおいて、送出方向の下流端部を先端部と称し、送出方向の上流端部を後端部と称する。また、当該記録媒体Pにおいて、送出方向に対して交差する方向(具体的には前後方向)を幅方向と称し、幅方向の端部を側端部と称する。
【0060】
具体的には、図2及び図3に示されるように、送出装置12は、収容部20と、昇降部29(図2参照)と、供給部30(図3参照)と、送出部40と、分離部50と、制限部59と、検出部70(図3参照)と、を備えている。以下、送出装置12の各部について説明する。
【0061】
(収容部20及び昇降部29)
収容部20は、記録媒体Pを収容する構成部である。具体的には、図2に示されるように、収容部20は、積載部22と、一対の側壁24と、を有している。なお、図2には、一対の側壁24のうち一方側(具体的には前方側)の側壁24が図示されている。
【0062】
積載部22は、記録媒体Pが積載される構成部である。具体的には、積載部22は、収容部20の底部を構成し、記録媒体Pが上面22A上に積載される積載板(いわゆるボトムプレート)で構成されている。
【0063】
一対の側壁24の各々は、積載部22に積載された記録媒体Pに対する前方側及び後方側の各々に配置されている。この一対の側壁24の各々は、積載部22に積載された記録媒体Pにおける一対の側端部の各々に対向し、当該記録媒体Pを幅方向(すなわち前後方向)に位置決めする。
【0064】
なお、収容部20は、積載部22に積載された記録媒体Pの後端部を位置決めする位置決め部(図示省略)を有している。収容部20としては、上記の構成に限られず、種々の構成を用いることが可能である。
【0065】
昇降部29は、収容部20に収容された記録媒体Pを昇降させる構成部である。具体的には、昇降部29は、積載部22を上昇させることで、最上の記録媒体Pが予め定められた高さ(以下、送出高さという)に位置するように記録媒体Pを上昇させ、積載部22を降下させることで、当該記録媒体Pを降下させる。
【0066】
昇降部29としては、例えば、ワイヤ等の引き上げ部材や、アーム等の押し上げ部材などを用いることが可能である。引き上げ部材では、例えば、積載部22を上方へ引き上げることで記録媒体Pを上昇させ、積載部22を下方へ移動させることで記録媒体Pを降下させる。押し上げ部材では、例えば、積載部22の下方側から積載部22を上方へ押し上げることで記録媒体Pを上昇させ、積載部22を下方へ移動させることで記録媒体Pを降下させる。なお、昇降部29としては、上記の構成に限られず、種々の構成を用いることが可能である。例えば、昇降部29としては、記録媒体P及び積載部22の自重を利用して、記録媒体Pを降下させる構成であってもよい。
【0067】
(供給部30)
図3に示される供給部30は、積載された複数の記録媒体Pの間に空気を供給して、記録媒体Pを浮揚させる構成部である。供給部30は、積載部22に積載された複数の記録媒体Pのうち、最上の記録媒体Pを含む予め定められた範囲に位置する複数の記録媒体Pに対して、空気を供給する。すなわち、供給部30は、送出高さからその下方側の予め定められた位置までの範囲において、積載部22に積載された複数の記録媒体Pに対して空気を供給する。ここで、供給部30が、積載された複数の記録媒体Pの間に空気を供給して、記録媒体Pを浮揚させるのは、複数の記録媒体Pの各々の間へ空気を供給することで、複数の記録媒体Pを1枚ずつに分離して1枚ずつ送り出すためである。しかしながら、供給部30が空気を供給しても記録媒体Pが分離せずに、媒体束の状態となる場合がある。なお、図2図4、及び図5には、積載された複数の記録媒体Pにおける上方側の部分に空気が供給されて浮揚する状態が概略的に示されている。
【0068】
本実施形態では、供給部30は、図3に示されるように、一対の送風部32と、一対の流通管34と、一対の供給口36と、を有している。
【0069】
一対の送風部32は、風(すなわち空気)を送る構成部である。一対の送風部32の各々は、一対の側壁24の各々の外面(すなわち、積載部22に積載された記録媒体Pに対向する面とは反対側の面)に取り付けられている。送風部32としては、例えば、多翼送風機(例えば、シロッコファン)等の、遠心方向へ送風する遠心送風機が用いられる。なお、送風部32としては、軸方向へ送風する軸流送風機、その他の送風機を用いてもよい。
【0070】
一対の流通管34の各々は、一対の送風部32の各々から送られた空気を流通される通路を構成している。この一対の流通管34の各々は、一端部が一対の送風部32の各々に接続され、他端部が一対の供給口36の各々に接続されている。
【0071】
一対の供給口36の各々は、積載部22に積載された複数の記録媒体Pへ空気を供給する口部であり、一対の側壁24の各々に形成されている。この一対の供給口36の各々は、積載部22に積載された記録媒体Pの先端部側であって、側壁24の上部にて開口している。
【0072】
供給部30では、一対の送風部32から一対の流通管34及び一対の供給口36を通じ、積載部22に積載された複数の記録媒体Pの間に対して、両方の側端部側(すなわち前方側及び後方側)から空気を供給する。
【0073】
供給方向変更部38は、積載された複数の記録媒体Pの間への空気の供給方向を変更する構成部である。具体的には、供給方向変更部38は、例えば、供給口36に設けられ複数の羽板を有するルーバーで構成されている。供給方向変更部38は、例えば、上下方向及び左右方向の少なくとも一方において、空気の供給方向を変更可能とされている。供給方向変更部38としては、ルーバーに限られず、他の変更手段を用いてもよい。
【0074】
供給領域変更部39は、積載された複数の記録媒体Pの間への空気の供給領域を変更する構成部である。具体的には、供給領域変更部39は、例えば、供給口36に移動可能に設けられ、移動により供給口36の開口位置及び開口面積の少なくとも一方を変更可能な開閉板(すなわちシャッタ)で構成されている。供給領域変更部39は、例えば、上下方向及び左右方向の少なくとも一方において、空気の供給領域を変更可能とされている。供給領域変更部39としては、開閉板に限られず、他の変更手段を用いてもよい。
【0075】
なお、供給部30は、積載部22に積載された複数の記録媒体Pの間に対して、両方の側端部側(すなわち前方側及び後方側)から空気を供給していたが、これに限られない。供給部30は、積載された複数の記録媒体Pの間に対して、両方の側端部のうち、一方側(すなわち前方側及び後方側の一方)から空気を供給する構成であってもよい。また、供給部30は、積載された複数の記録媒体Pの間に対して、記録媒体Pの両方の側端部側のうち、少なくとも一方側から空気を供給することに替えて、又は加えて、記録媒体Pの先端部及び後端部の少なくとも一方側から空気を供給する構成であってもよい。したがって、供給部30は、積載部22に積載された複数の記録媒体Pの間に対して、両方の側端部、先端部及び後端部の少なくとも一方側から空気を供給する構成とすることが可能である。
【0076】
(送出部40)
図2図4及び図5に示される送出部40は、供給部30によって浮揚された記録媒体Pを送り出す構成部である。具体的には、送出部40は、図4に示されるように、供給部30によって浮揚された記録媒体Pのうち、最上の記録媒体P(以下、最上媒体P1という)を吸着し、図5に示されるように、送出方向下流(具体的には右方)へ送り出す。さらに具体的には、送出部40は、図4及び図5に示されるように、吸着体42と、移動機構44と、一対の送出ロール46と、を有している。
【0077】
吸着体42は、吸引により下面42Bに最上媒体P1を吸着させる構成体である。具体的には、吸着体42は、送出高さに位置する最上媒体P1の先端部よりも後端部側で最上媒体P1を吸着する。吸着体42には、送出方向下流(具体的には右方)に張り出す張出部43が形成されている。吸着体42の下面42Bに最上媒体P1が吸着されることで、張出部43の下面43Bに最上媒体P1の先端部が押し当てられる。
【0078】
移動機構44は、吸引位置(図2に示される位置、及び図5において二点鎖線にて示される位置)と受渡位置(図5において実線にて示される位置)との間で、吸着体42を左右方向(すなわち送出方向の下流方向及び上流方向)へ移動させる機構である。
【0079】
具体的には、移動機構44は、例えば、モータ、ギア、ラック、ピニオン、及びベルトドライブなどの公知の機構を用いて構成される。なお、移動機構44は、特定の機構に限られず、種々の構成を用いることが可能である。
【0080】
一対の送出ロール46は、画像形成部16へ向けて記録媒体Pを送り出す送出部材である。この一対の送出ロール46は、上下方向に接触するように、吸着体42に対する送出方向下流側(具体的には前述の受渡位置)に配置されている。なお、送出部材としては、一対の送出ロール46に限られない。送出部材としては、例えば、環状のベルト及びドラム等の送出部材であってもよく、種々の送出部材を用いることが可能である。
【0081】
送出部40では、吸着体42が吸引位置(図2に示される位置)において、吸引により下面42Bに最上媒体P1を吸着させ、吸着体42が移動機構44により受渡位置(図5において実線にて示される位置)に移動する。そして、受渡位置において、吸着体42から一対の送出ロール46へ記録媒体Pが受け渡され、一対の送出ロール46が記録媒体Pを画像形成部16へ向けて送り出す。
【0082】
なお、送出部40としては、上記の構成に限られない。例えば、送出部40としては、吸着体42に替えて、ベルト及びロールなどの送出部材を用いた構成であってもよい。環状のベルトを用いた構成では、例えば、ベルトの外周面に吸引により記録媒体Pを吸着させる吸引部が、ベルトの内周に設けられた構成とすることが可能である。
【0083】
(分離部50及び制限部59)
図4に示される分離部50は、吸着体42に吸着された最上媒体P1の直下に配置された記録媒体P(以下、次の媒体P2という)へ空気を供給して、最上媒体P1と次の媒体P2とを分離する構成部である。具体的には、分離部50は、吸着体42に吸着された最上媒体P1と、次の媒体P2との間に空気を供給して、最上媒体P1と次の媒体P2とを分離する。なお、次の媒体P2は、最上媒体P1の次に送り出される記録媒体Pであり、最上媒体P1の下方に隣接して配置される記録媒体Pである。分離部50は、さらに具体的には、図4に示されるように、例えば、供給装置52と、流通管54と、ノズル56と、を有している。
【0084】
供給装置52は、空気を流通管54へ供給する装置である。具体的には、供給装置52としては、例えば、空気を流通管54へ供給する多翼送風機(例えばシロッコファン)と、空気を遮断及び開放する弁機構等が用いられる。なお、供給装置52としては、多翼送風機(例えばシロッコファン)と、空気を遮断及び開放する弁機構に限られず、エアコンプレッサー等、他の供給装置を用いてもよい。
【0085】
流通管54は、供給装置52から送られた空気を流通される通路を構成している。この流通管54は、記録媒体Pの幅方向(すなわち、前後方向)に沿って延びており、当該幅方向へ沿って空気を流通させる。
【0086】
ノズル56は、流通管54に対して、記録媒体Pの幅方向(すなわち、前後方向)に沿って複数設けられている。複数のノズル56の各々は、流通管54から吸着体42(具体的には張出部43)側(すなわち左斜め上方側)へ延びている。
【0087】
分離部50では、吸着体42が吸引位置(図2に示される位置)に位置する状態において、ノズル56から張出部43に向けて空気を吐出する。張出部43に当たった空気は、最上媒体P1と次の媒体P2との間に供給される。これにより、最上媒体P1と次の媒体P2とが分離され、次の媒体P2は落下する。
【0088】
このように、ノズル56からの空気が、張出部43を経由して最上媒体P1と次の媒体P2との間に供給されるため、張出部43を分離部50の一要素として把握してもよい。なお、分離部50としては、張出部43を経由せずに、最上媒体P1と次の媒体P2との間に、直接、空気を供給する構成であってもよい。
【0089】
図4に示される制限部59は、次の媒体P2の送出方向下流への移動を制限する構成部である。具体的には、制限部59は、側面視にて、収容部20と一対の送出ロール46(具体的には下方側に配置された送出ロール46)との間に配置された制限壁で構成されている。制限部59は、側面視にて上下方向に延びる板状に形成されている。
【0090】
制限部59は、吸着体42の受渡位置への移動により、最上媒体P1と共に送出方向下流へ送り出された次の媒体P2の先端部に接触して次の媒体P2を最上媒体P1から落下させ、次の媒体P2の送出方向下流への移動を制限する。すなわち制限部59は媒体P2の重送を抑制する。なお、制限部59としては、上記の構成に限られず、他の制限手段を用いてもよい。
【0091】
(検出部70)
図3に示される検出部70は、供給部30によって浮揚されている状態(以下、浮揚状態という場合がある)における複数の記録媒体P中に媒体束が存在するか否かを検出する構成部である。具体的には、図3に示されるように、検出部70は、撮影部72と、判断装置60と、を有している。
【0092】
撮影部72は、浮揚状態の複数の記録媒体Pの像を撮影する構成部である。具体的には、撮影部72は、例えば、レンズ等の光学素子と、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子と、を有するカメラで構成されている。なお、撮影部72としては、当該カメラに限られず、CCD(Charge Coupled Device)、その他の素子を撮像素子とするカメラなどであってもよく、他の撮影部を用いてもよい。
【0093】
撮影部72は、一対の側壁24の一方(例えば前方側の側壁24)の外面に取り付けられている。撮影部72は、当該側壁24に形成された開口79を通じて、浮揚状態の複数の記録媒体Pの像を幅方向の一方側(具体的には前方側)から撮影する。撮影部72は、図6に示されるように、浮揚状態の複数の記録媒体Pの先端部側の部分を撮影する撮影範囲(具体的には図6の一点鎖線HAの範囲)を有している。
【0094】
撮影部72の撮影範囲は、積載部22に積載された複数の記録媒体Pのうち、浮揚状態にある全ての記録媒体Pの像を撮影可能な範囲である。換言すれば、撮影部72の撮影範囲が、積載部22に積載された複数の記録媒体Pに対する供給部30の空気の供給範囲とされている。さらに、撮影部72は、送出部40による記録媒体Pの送出動作の実行が継続されている間は、当該撮影範囲において撮影動作を継続する。撮影部72は、記録媒体Pの像を連続的に複数回撮影する。
【0095】
なお、撮影部72は、撮影範囲へ照明する照明部(図示省略)を有している。本実施形態では、撮影部72は、浮揚状態の複数の記録媒体Pの像を幅方向の一方側(具体的には前方側)から撮影していたが、これに限られない。撮影部72は、例えば、浮揚状態の複数の記録媒体Pの像を幅方向の他方側(具体的には後方側)から撮影する構成であってもよい。また、撮影部72は、浮揚状態の複数の記録媒体Pの像を送出方向の下流側(具体的には右方側)又は上流側(具体的には左方側)から撮影する構成であってもよい。
【0096】
図3及び図7に示される判断装置60は、送出装置12において、各種の判断(判定を含む)を行う装置である。具体的には、判断装置60は、図7に示されるように、プロセッサ61と、メモリ62と、ストレージ63と、を有している。
【0097】
プロセッサ61としては、例えば、汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)が用いられる。ストレージ63は、実行プログラム63A(図8参照)を含む各種プログラムと、各種データと、を格納する。ストレージ63は、具体的には、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及びフラッシュメモリ等の記録装置により実現される。
【0098】
メモリ62は、プロセッサ61が各種プログラムを実行するための作業領域であり、プロセッサ61が処理を実行する際に一時的に各種プログラム又は各種データを記録する。プロセッサ61は、ストレージ63から実行プログラム63Aを含む各種プログラムをメモリ62に読み出し、メモリ62を作業領域としてプログラムを実行する。
【0099】
判断装置60において、プロセッサ61は実行プログラム63Aを実行することにより、各種の機能を実現する。以下、ハードウェア資源としてのプロセッサ61とソフトウェア資源としての実行プログラム63Aの協働によって実現される機能構成について説明する。図8は、プロセッサ61の機能構成を示すブロック図である。
【0100】
図8に示されるように、判断装置60において、プロセッサ61は、実行プログラム63Aを実行することにより、取得部61A、判定部61B、位置検出部61C、変更部61D、及び制御部61Eとして機能する。
【0101】
取得部61Aは、使用者により入力された入力情報に関係付けられた記録媒体Pの単位数あたりの厚さ情報を取得する。
【0102】
当該入力情報は、例えば、記録媒体Pの種類(銘柄を含む)の情報が該当する。そして、入力情報に関係付けられた記録媒体Pの単位数あたりの厚さ情報がストレージ63に予め格納されている。具体的には、例えば、記録媒体Pの種類ごとの1枚あたりの厚さの情報がストレージ63に予め格納されている。
【0103】
当該入力情報は、操作パネル等の入力部69を通じて使用者により入力される情報である。したがって、例えば、使用者が、画像の形成に使用する記録媒体Pの種類を、入力部69を通じて入力すると、取得部61Aは、その種類に関係付けられた1枚あたり(単位数の一例)の厚さの情報を取得する。
【0104】
なお、取得部61Aは、使用者により入力された記録媒体Pの単位数あたりの厚さ情報を取得してもよい。例えば、使用者が、画像の形成に使用する記録媒体Pの1枚あたり(単位数の一例)の厚さを、入力部69を通じて入力すると、取得部61Aは、その厚さの情報を取得する。このように、取得部61Aは、使用者の入力により、直接的又は間接的に、記録媒体Pの単位数あたりの厚さ情報を取得する。また、記録媒体Pの単位数あたり厚さ情報は、記録媒体Pの複数あたりの厚さ情報であってもよい。なお、単位数が1枚であるか複数であるかによって、設定される後述の倍率の設定値は変更される。
【0105】
判定部61Bは、記録媒体Pの単位数あたりの厚さ情報と、撮影部72で撮影された像の厚さ(図6の寸法DA参照)とに基づき、媒体束が存在するか否かを判定する。具体的には、判定部61Bは、取得部61Aが取得した記録媒体Pの単位数あたりの厚さ情報を用いて、媒体束が存在するか否かを判定する。このようにして、検出部70において、浮揚状態の複数の記録媒体P中に媒体束が存在するか否かの検出が行われる。
【0106】
なお、判定部61Bは、供給部30によって浮揚されている状態であって、分離部50による空気の供給が停止された状態において撮影された複数の記録媒体Pの像の厚さに基づいて当該判定を行うことが望ましい。判定部61Bが、分離部50による空気の供給の影響を受けていない状態の記録媒体Pの像に基づいて当該判定を行えるためである。
【0107】
ここで、媒体束とは、互いに重なった状態で存在する複数枚の記録媒体Pである。本実施形態では、特に、浮揚状態の複数の記録媒体P中に存在する媒体束という。なお、判定部61Bは、撮影部72が撮影した撮影画像の中から、記録媒体Pの像としての特徴(例えば、明暗を含む色等)を有する部分を、記録媒体Pの像として抽出する。
【0108】
判定部61Bは、具体的には、像の厚さ(図6の寸法DA参照)が、取得部61Aが取得した厚さ情報の厚さに予め定められた倍率を乗じた閾値以上である場合に、媒体束が存在すると判定する。この倍率は、例えば、積載された記録媒体Pの厚みごとに異なっている。すなわち、判定部61Bは、画像の形成に使用する記録媒体Pの厚みごとに、使用する倍率を変更する。当該厚みは、取得部61Aが取得した厚さ情報の厚さに基づく。
【0109】
具体的には、判定部61Bは、積載された記録媒体Pの厚みが第一厚さである場合に、第一倍率(例えば1.5倍)を当該倍率として用い、積載された記録媒体Pの厚みが第一厚さよりも薄い第二厚さである場合に、第一倍率よりも高い第二倍率(例えば2倍)を当該倍率として用いる。なお、取得部61Aが記録媒体Pの1枚あたりの厚さ情報を取得する場合には、第一倍率は、例えば1倍を超え且つ2倍未満又は2倍以下の倍率である。また、第一倍率が1.5倍で、第二倍率が2倍である場合に限られず、第二倍率が第一倍率よりも高い倍率であればよい。
【0110】
なお、上記の倍率を含む閾値について、使用者が入力部69を通じて、設定を変更可能とされた構成であってもよい。
【0111】
判定部61Bは、記録媒体Pの種類に基づき、単位時間あたりの判定回数を変更する。具体的には、判定部61Bは、記録媒体Pの厚みが第一厚さである場合に、単位時間あたりに予め定められた第一判定回数(例えば1秒あたり30回)にて、媒体束が存在するか否かを判定し、記録媒体Pの厚みが前記第一厚さよりも薄い第二厚さである場合に、単位時間あたりに、第一判定回数よりも多い第二判定回数(例えば1秒あたり60回)にて、媒体束が存在するか否かを判定する。なお、第一判定回数が1秒あたり30回で、第二判定回数が1秒あたり60回である場合に限られず、第二判定回数が第一判定回数よりも多い回数であればよい。
【0112】
なお、上記の判定回数について、使用者が入力部69を通じて、設定を変更可能とされた構成であってもよい。
【0113】
位置検出部61Cは、媒体束が存在する場合において、媒体束の位置を検出する。具体的には、位置検出部61Cは、判定部61Bが、媒体束が存在すると判定した場合において、送出部40が記録媒体Pに接触する位置(具体的には吸着体42の下面42B)と媒体束との距離LA(図6参照)を、媒体束の位置として検出する。
【0114】
位置検出部61Cは、媒体束が存在する場合において、当該媒体束の位置を継続的に検出する。すなわち、判定部61Bが、媒体束が存在すると判定する場合において、当該媒体束の位置を継続的に検出する。判定部61Bは、当該媒体束の束状態が解消された場合には、それ以降、当該記録媒体Pによる媒体束は存在しないと判定する。なお、判定部61Bは、例えば、当該記録媒体Pの位置を、記録媒体Pの上方への移動量に基づき特定し、特定した位置に媒体束が存在しない場合において、媒体束の束状態が解消されたと判定する。判定部61Bは、当該記録媒体Pの当該位置を最上媒体P1からの枚数で特定してもよい。
【0115】
変更部61Dは、判定部61Bによって判定された媒体束が存在するか否かの情報に基づき、送出部40の送出動作に関わる条件を変更する。当該条件としては、供給部30において、複数の記録媒体Pの間に供給する空気の風量、温度、湿度、供給方向、及び供給領域がある。また、当該条件としては、分離部50において、次の媒体P2へ供給する空気の風量、温度、湿度、供給方向、及び供給領域がある。また、当該条件としては、制限部59の上下方向の位置がある。また、当該条件としては、昇降部29による送出高さがある。また、当該条件としては、吸着体42が送り出す距離、すなわち、吸着体42の吸引位置(図2に示される位置)及び受渡位置(図5において実線にて示される位置)がある。
【0116】
制御部61Eは、変更部61Dが変更した条件に基づき、送出装置12の各部の動作を制御する。このように、判断装置60は、送出装置12の各部の動作を制御する機能を有しているため、制御装置ともいえる。
【0117】
なお、本実施形態では、取得部61A、判定部61B、位置検出部61C、変更部61D、及び制御部61Eの機能部のうち、取得部61A、判定部61B、及び位置検出部61Cによって、検出部70の機能部が構成される。また、例えば、変更部61D、及び制御部61Eは、判断装置60とは、別の装置によって構成されていてもよい。さらに、取得部61A、判定部61B、位置検出部61C、変更部61D、及び制御部61Eの各々が別の装置として構成されていてもよい。
【0118】
なお、検出部70としては、上記の構成に限られない。検出部70は、例えば、撮影部72に替えて、上下方向に延びる帯状の光を、浮揚状態の複数の記録媒体Pに対して照射する照射部と、受光する受光部と、を有し、当該記録媒体Pによって当該光が遮られた部分の厚さ(すなわち上下方向の寸法)に基づき、媒体束が存在する否かを検出する構成であってもよい。さらに、当該照射部と当該受光部とを有する構成では、当該記録媒体Pによって当該光が反射され、又は吸収された部分の厚さに基づき、媒体束が存在する否かを検出する構成であってもよい。当該照射部としては、例えば、発光素子が上下方向に沿って列状若しくは千鳥状に配置され、又は、二次元状に配置された発光部を用いることが可能である。当該受光部としては、例えば、受光素子が上下方向に沿って列状若しくは千鳥状に配置され、又は、二次元状に配置された受光部を用いることが可能である。
【0119】
(本実施形態に係る作用)
次に、本実施形態に係る作用を説明する。
【0120】
本実施形態では、検出部70は、浮揚状態の複数の記録媒体P中に媒体束が存在するか否かを検出する。このため、浮揚状態の複数の記録媒体P中に媒体束が存在するか否かの情報が得られる。
【0121】
ここで、浮揚状態の複数の記録媒体Pの間隔のみを算出する場合(以下、形態Aという)では、浮揚状態の複数の記録媒体P中に媒体束が存在するか否かの情報が得られない。このため、送出部40の送出動作に関わる条件を、当該情報に基づき、媒体の重送を抑制可能な条件に設定(変更を含む)できないため、記録媒体Pの重送が抑制しがたい。
【0122】
これに対して、本実施形態では、媒体束の存在の有無に基づき、送出部40の送出動作に関わる条件を設定できるので、送出部40の送出動作に関わる条件を、重送を抑制可能な条件に設定しやすい。この結果、本実施形態の送出装置12によれば、形態Aに比べ、記録媒体Pの重送を抑制しやすい。
【0123】
したがって、画像形成装置10において、浮揚状態の複数の記録媒体Pの間隔のみを算出する場合に比べ、記録媒体Pの重送を抑制しつつ、当該記録媒体Pに画像を形成可能となる。
【0124】
具体的には、本実施形態では、判定部61Bは、記録媒体Pの単位数あたりの厚さ情報と、撮影部72で撮影された像の厚さ(図6の寸法DA参照)とに基づき、媒体束が存在するか否かを判定する。
【0125】
ここで、判定部61Bが、撮影部72で撮影された像のみに基づき、媒体束が存在するか否かを判定する場合(以下、形態Bという)では、記録媒体Pの単位数あたりの厚さが不明な状態にて、撮影部72で撮影された像から得られる情報のみを用いて、媒体束が存在するか否かを判定することになるため、誤判定が生じる場合がある。
【0126】
これに対して、本実施形態では、前述のように、判定部61Bが、記録媒体Pの単位数あたりの厚さ情報と、撮影部72で撮影された像の厚さとに基づき、媒体束が存在するか否かを判定するので、形態Bに比べ、誤判定が抑制される。
【0127】
また、本実施形態では、取得部61Aは、使用者により入力された入力情報に関係付けられた記録媒体Pの単位数あたりの厚さ情報、又は使用者により入力された記録媒体Pの単位数あたりの厚さ情報を取得する。判定部61Bは、取得部61Aが取得した記録媒体Pの単位数あたりの厚さ情報を用いて、媒体束が存在するか否かを判定する。このため、送出装置12に備えられた測定部が測定した厚さを厚さ情報として用いる場合に比べ、測定部が不要となり、送出装置12の構成が簡素化される。
【0128】
また、本実施形態では、判定部61Bは、具体的には、像の厚さ(図6の寸法DA参照)が、取得部61Aが取得した厚さ情報の厚さに予め定められた倍率を乗じた閾値以上である場合に、媒体束が存在すると判定する。この倍率は、積載された記録媒体Pの厚みごとに異なっている。
【0129】
このため、記録媒体Pの厚みに関わらず、用いられる倍率が一定である場合に比べ、記録媒体Pの厚みの違いによる判定精度のばらつきが抑制される。
【0130】
具体的には、本実施形態では、判定部61Bは、積載された記録媒体Pの厚みが第一厚さである場合に、第一倍率(例えば1.5倍)を当該倍率として用い、積載された記録媒体Pの厚みが第一厚さよりも薄い第二厚さである場合に、第一倍率よりも高い第二倍率(例えば2倍)を当該倍率として用いる。
【0131】
ここで、記録媒体Pの厚みが第一厚さよりも薄い第二厚さである場合では、供給部30からの空気の供給により、記録媒体Pの厚みが第一厚さである場合に比べ、記録媒体Pが傾いたり波を打ったりして姿勢が変動しやすいため、実際の厚みより厚い像が得られる場合がある。したがって、記録媒体Pの厚みが第二厚さである場合に第一倍率を用いる場合(以下、形態Cという)では、誤判定が生じる場合がある。
【0132】
これに対して、本実施形態では、前述のように、判定部61Bは、積載された記録媒体Pの厚みが第一厚さよりも薄い第二厚さである場合に、第一倍率よりも高い第二倍率を当該倍率として用いるので、形態Cに比べ、記録媒体Pの厚みが第二厚さである場合における誤判定が抑制される。
【0133】
また、本実施形態では、撮影部72の撮影範囲は、積載部22に積載された複数の記録媒体Pのうち、浮揚状態にある全ての記録媒体Pの像を撮影可能な範囲である。このため、浮揚状態にある全ての記録媒体P中において媒体束が存在するか否かを判定可能となるので、撮影部72の撮影範囲が、浮揚状態にある記録媒体Pの一部の像を撮影可能な範囲である場合に比べ、誤判定が抑制される。
【0134】
また、本実施形態では、撮影部72は、送出部40による記録媒体Pの送出動作の実行が継続されている間は、当該撮影範囲において撮影動作を継続する。このため、送出部40による記録媒体Pの送出動作の実行が継続されている間において媒体束が存在するか否かを判定可能となるので、撮影部72が、送出部40による記録媒体Pの送出動作の実行が継続されている場合に、当該撮影範囲における撮影動作を停止する場合に比べ、誤判定が抑制される。
【0135】
また、本実施形態では、撮影部72は、記録媒体Pの像を連続的に複数回撮影する。判定部61Bは、記録媒体Pの種類に基づき、単位時間あたりの判定回数を変更する。このため、記録媒体Pの種類に関わらず、判定部61Bの単位時間あたりの判定回数が一定である場合に比べ、記録媒体Pの種類の違いによる判定精度のばらつきが抑制される。
【0136】
具体的には、本実施形態では、判定部61Bは、記録媒体Pの厚みが第一厚さである場合に、単位時間あたりに予め定められた第一判定回数(例えば1秒あたり30回)にて、媒体束が存在するか否かを判定し、記録媒体Pの厚みが第一厚さよりも薄い第二厚さである場合に、単位時間あたりに、第一判定回数よりも多い第二判定回数(例えば1秒あたり60回)にて、媒体束が存在するか否かを判定する。
【0137】
ここで、記録媒体Pの厚みが第一厚さよりも薄い第二厚さである場合では、供給部30からの空気の供給により、記録媒体Pの厚みが第一厚さである場合に比べ、記録媒体Pが傾いたり波を打ったりして姿勢が変動しやすいため、実際の厚みより厚い像が得られる場合がある。したがって、記録媒体Pの厚みが第二厚さである場合に単位時間あたりに第一判定回数にて媒体束が存在するか否かを判定する場合(以下、形態Dという)では、誤判定が生じる場合がある。
【0138】
これに対して、本実施形態では、前述のように、判定部61Bは、記録媒体Pの厚みが第一厚さよりも薄い第二厚さである場合に、単位時間あたりに、第一判定回数よりも多い第二判定回数にて、媒体束が存在するか否かを判定するため、形態Dに比べ、記録媒体Pの厚みが第二厚さである場合における誤判定が抑制される。
【0139】
また、本実施形態では、位置検出部61Cは、媒体束が存在する場合において、媒体束の位置を検出する。このため、媒体束が存在する場合において、媒体束の位置の情報が得られる。
【0140】
これにより、本実施形態では、媒体束の位置に基づき、送出部40の送出動作に関わる条件を設定できるので、送出部40の送出動作に関わる条件を、重送を抑制可能な条件に設定しやすい。この結果、本実施形態の送出装置12によれば、浮揚状態の複数の記録媒体P中に媒体束が存在するか否かのみを検出する場合に比べ、記録媒体Pの重送を抑制しやすい。
【0141】
具体的には、本実施形態では、位置検出部61Cは、判定部61Bが媒体束が存在すると判定した場合において、送出部40が記録媒体Pに接触する位置(具体的には吸着体42の下面42B)と媒体束との距離LA(図6参照)を、媒体束の位置として検出する。このため、送出部40が記録媒体Pに接触する位置と媒体束との距離の情報を、媒体束の位置の情報として得られる。
【0142】
これにより、本実施形態では、送出部40が記録媒体Pに接触する位置と媒体束との距離に基づき、送出部40の送出動作に関わる条件を設定できるので、送出部40の送出動作に関わる条件を、重送を抑制可能な条件に設定しやすい。この結果、本実施形態の送出装置12によれば、当該距離に関わらない位置のみを検出する場合に比べ、記録媒体Pの重送を抑制しやすい。
【0143】
また、本実施形態では、位置検出部61Cは、媒体束が存在する場合において、当該媒体束の位置を継続的に検出する。判定部61Bは、当該媒体束の束状態が解消された場合には、それ以降、当該媒体による媒体束は存在しないと判定する。
【0144】
このため、判定部61Bが、媒体束の束状態が解消された場合に、それ以降、記録媒体Pによる束が存在すると判定しうる場合に比べ、誤判定が抑制される。ここで、記録媒体Pは、媒体束の束状態が解消された場合には、再度、束状態になりにくいため、本実施形態では、誤判定の抑制を優先して上記の構成としている。
【0145】
また、本実施形態では、変更部61Dは、判定部61Bによって判定された媒体束が存在するか否かの情報に基づき、送出部40の送出動作に関わる条件を変更する。
【0146】
このため、送出部40の送出動作に関わる条件が常に維持される場合に比べ、記録媒体Pの送り出し不良が抑制される。
【0147】
(取得部61Aの第一変形例)
本実施形態では、取得部61Aは、使用者により入力された入力情報に関係付けられた記録媒体Pの単位数あたりの厚さ情報、又は使用者により入力された記録媒体Pの単位数あたりの厚さ情報を取得していたが、これに限られない。
【0148】
第一変形例では、図9に示されるように、送出装置12は、記録媒体Pの単位数あたりの厚さを測定する測定部170を備えている。測定部170は、画像形成装置10の筐体とは別の筐体を有する測定装置として構成することが可能である。
【0149】
測定部170における測定方法としては、例えば、以下のものを採用することが可能である。すなわち、記録媒体Pを収容部20に収容する前に、予め1枚の状態でカメラにて撮影して、記録媒体Pの1枚あたりの厚さを測定する方法がある。
【0150】
また、段差計及びマイクロメータ等の測定装置を有し、当該測定装置によって、記録媒体Pの1枚あたりの厚さを測定する方法がある。
【0151】
また、記録媒体Pの厚みは、当該厚みと相関の高い物性値(曲げこわさ、超音波の透過率、超音波パルス反射率、光透過率など)を測定し、用紙の厚みを算出してもよい。
【0152】
なお、測定部170としては、画像形成装置10の筐体の内部に配置された測定装置を有し、搬送部14で搬送される記録媒体Pを測定する測定部であってもよい。この場合では、測定された記録媒体Pの後に、送出装置12から送り出される記録媒体Pにおいて、媒体束が存在するか否かの検出を行う。
【0153】
第一変形例では、取得部61Aは、測定部170が測定した厚さを厚さ情報として取得する。判定部61Bは、取得部61Aが取得した厚さ情報と像の厚さとに基づき媒体束が存在するか否かを判定する。
【0154】
第一変形例では、使用者が、記録媒体Pの種類を確認し、その情報を入力操作する必要がないため、入力された厚さ情報を用いる場合に比べ、使用者の手間が低減される。
【0155】
(取得部61Aの第二変形例)
第二変形例では、供給部30は、送出部40による記録媒体Pの送出動作の実行を伴う状態において、記録媒体Pを浮揚させる第一浮揚動作と、第一浮揚動作の前に実行され、送出部40による前記媒体の送出動作の実行を伴わない状態において、記録媒体Pを浮揚させる第二浮揚動作と、を実行する。すなわち、第二浮揚動作は、第一浮揚動作に先立って、予備動作として、記録媒体Pを浮揚させる浮揚動作である。
【0156】
撮影部72は、第二浮揚動作において、供給部30によって浮揚されている状態における複数の記録媒体Pの像を撮影する。
【0157】
取得部61Aは、第二浮揚動作において、撮影部72が撮影した像から厚さ情報を取得する。具体的には、取得部61Aは、例えば、撮影部72が撮影した複数の像のうち、厚さが最小である像の当該厚さの情報を、厚さ情報として取得する。そして、判定部61Bは、取得部61Aが取得した厚さ情報と像の厚さとに基づき媒体束が存在するか否かを判定する。
【0158】
このため、第二変形例によれば、送出装置12に備えられた測定部が測定した厚さを厚さ情報として用いる場合に比べ、測定部が不要となり、送出装置12の構成が簡素化される。
【0159】
また、第二変形例では、使用者が、記録媒体Pの種類を確認し、その情報を入力操作する必要がないため、入力された厚さ情報を用いる場合に比べ、使用者の手間が低減される。
【0160】
(判定部61Bの変形例)
本実施形態では、判定部61Bは、記録媒体Pの単位数あたりの厚さ情報と、撮影部72で撮影された像の厚さ(図6の寸法DA参照)とに基づき、媒体束が存在するか否かを判定していたが、これに限られない。
【0161】
本変形例では、判定部61Bは、撮影部72によって撮影された像に、厚みの異なる像が存在する場合に、媒体束が存在すると判定する。
【0162】
具体的には、判定部61Bは、撮影部72によって撮影された像において、厚みが最小である像の当該厚みを基準とする閾値以上の像が存在する場合に、媒体束が存在すると判定する。具体的には、厚みが最小である像の当該厚みに予め定められた倍率を乗じた値を閾値とする。さらに判定部61Bは、厚みが最小である像が撮影される毎に、当該基準を更新する。
【0163】
本変形例によれば、送出装置12に備えられた測定部が測定した厚さを厚さ情報として用いる場合に比べ、測定部が不要となり、送出装置12の構成が簡素化される。
【0164】
本変形例によれば、使用者が、記録媒体Pの種類を確認し、その情報を入力操作する必要がないため、入力された厚さ情報を用いる場合に比べ、使用者の手間が低減される。
【0165】
また、本変形例では、具体的には、判定部61Bは、撮影部72によって撮影された像において、厚みが最小である像の厚みを基準とする閾値以上の像が存在する場合に、媒体束が存在すると判定するため、厚みの異なる像が存在する場合の全てにおいて、判定部61Bが、媒体束が存在すると判定する場合に比べ、誤判定が抑制される。
【0166】
また、本変形例では、さらに判定部61Bは、厚みが最小である像が撮影される毎に、当該基準を更新するため、厚みが最小である像が撮影された場合でも、判定部61Bが基準を維持する場合に比べ、誤判定が抑制される。
【0167】
(他の変形例)
本実施形態では、判定部61Bは、具体的には、像の厚さ(図6の寸法DA参照)が、取得部61Aが取得した厚さ情報の厚さに予め定められた倍率を乗じた閾値以上である場合に、媒体束が存在すると判定し、この倍率は、例えば、積載された記録媒体Pの厚みごとに異なっていたが、これに限られない。例えば、記録媒体Pの厚みに関わらず、用いられる倍率が一定である構成であってもよい。
【0168】
また、本実施形態では、撮影部72の撮影範囲は、積載部22に積載された複数の記録媒体Pのうち、浮揚状態にある全ての記録媒体Pの像を撮影可能な範囲であったが、これに限られない。例えば、撮影部72の撮影範囲が、浮揚状態にある記録媒体Pの一部の像を撮影可能な範囲である場合であってもよい。
【0169】
また、本実施形態では、撮影部72は、送出部40による記録媒体Pの送出動作の実行が継続されている間は、当該撮影範囲において撮影動作を継続していたが、これに限られない。例えば、撮影部72が、送出部40による記録媒体Pの送出動作の実行が継続されている場合に、当該撮影範囲における撮影動作を停止する構成であってもよい。
【0170】
また、本実施形態では、撮影部72は、記録媒体Pの像を連続的に複数回撮影し、判定部61Bは、記録媒体Pの種類に基づき、単位時間あたりの判定回数を変更していたが、これに限られない。例えば、記録媒体Pの種類に関わらず、判定部61Bの単位時間あたりの判定回数が一定である構成であってもよい。
【0171】
また、本実施形態では、位置検出部61Cは、媒体束が存在する場合において、媒体束の位置を検出していたが、これに限られない。例えば、検出部70において、判定部61Bが、媒体束が存在するか否かのみを判定する構成であってもよい。
【0172】
また、本実施形態では、位置検出部61Cは、媒体束が存在する場合において、当該媒体束の位置を継続的に検出し、判定部61Bは、当該媒体束の束状態が解消された場合には、それ以降、当該媒体による媒体束は存在しないと判定していたが、これに限られない。例えば、判定部61Bが、媒体束の束状態が解消された場合でも、それ以降、記録媒体Pによる束が存在すると判定しうる構成であってもよい。
【0173】
また、前述のプロセッサ61は、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えば、前述のCPU等)に限られず、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)であってもよい。
【0174】
また、本実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は本実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0175】
また、送出装置12としては、媒体束の検出(具体的には判定)に関わらず、像の厚さの情報のみに基づき、送出部40の送出動作に関わる条件を変更する構成であってもよい。
【0176】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0177】
10 画像形成装置
12 送出装置
14 搬送部
14A 搬送部材
14B 搬送部材
16 画像形成部
18 排出部
20 収容部
22 積載部
22A 上面
24 側壁
29 昇降部
30 供給部
32 送風部
34 流通管
36 供給口
38 供給方向変更部
39 供給領域変更部
40 送出部
42 吸着体
42B 下面
43 張出部
43B 下面
44 移動機構
46 送出ロール
50 分離部
52 供給装置
54 流通管
56 ノズル
59 制限部
60 判断装置
61 プロセッサ
61A 取得部
61B 判定部
61C 位置検出部
61D 変更部
61E 制御部
62 メモリ
63 ストレージ
63A 実行プログラム
69 入力部
70 検出部
72 撮影部
79 開口
170 測定部
DA 像の厚さ
HA 撮影範囲
LA 距離
P 記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9