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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144993
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】送出装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/12 20060101AFI20231003BHJP
   B65H 3/12 20060101ALI20231003BHJP
   B65H 3/48 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
B65H7/12
B65H3/12 310Z
B65H3/48 320A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052247
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾上 洋平
(72)【発明者】
【氏名】藤倉 寛明
(72)【発明者】
【氏名】北澤 由之
【テーマコード(参考)】
3F048
3F343
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA13
3F048BB02
3F048BB08
3F048CA02
3F048CC01
3F048DA04
3F048EB13
3F048EB16
3F343FA01
3F343FB02
3F343FC01
3F343HA17
3F343HA33
3F343JB01
3F343JD17
3F343JD28
3F343KB05
3F343LA03
3F343MA03
3F343MA33
3F343MB14
3F343MC30
(57)【要約】
【課題】積載された複数の媒体における最上に配置された第一媒体の直下に配置された第二媒体以下の媒体における送出不良を抑制する。
【解決手段】積載された複数の媒体における最上に配置された第一媒体を送り出す送出部と、前記第一媒体と、前記第一媒体の直下に配置された第二媒体以下の媒体と、の湾曲状態及び傾きの少なくとも一方を検出する検出部と、前記検出部によって検出された湾曲状態及び傾きの少なくとも一方に基づき、前記送出部の送出動作に関わる条件を変更する変更部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載された複数の媒体における最上に配置された第一媒体を送り出す送出部と、
前記第一媒体と、前記第一媒体の直下に配置された第二媒体以下の媒体と、の湾曲状態及び傾きの少なくとも一方を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された湾曲状態及び傾きの少なくとも一方に基づき、前記送出部の送出動作に関わる条件を変更する変更部と、
を備える送出装置。
【請求項2】
前記検出部は、
前記第一媒体と前記第二媒体以下の媒体との像を撮影する撮影部と、
前記撮影部によって撮影された前記像に基づき、前記湾曲状態及び前記傾きの少なくとも一方を特定する特定部と、
を有する
請求項1に記載の送出装置。
【請求項3】
前記撮影部は、
前記第一媒体と前記第二媒体以下の媒体との像を、媒体における厚み方向及び送出方向に交差する幅方向の一端部から他端部までの範囲で、送出方向下流側から撮影し、
前記特定部は、
媒体の先端部において前記幅方向に沿って生じる前記湾曲状態及び前記傾きの少なくとも一方を特定する
請求項2に記載の送出装置。
【請求項4】
前記送出部は、前記第一媒体の先端部よりも後端部側で吸着して、当該第一媒体を送り出し、
前記撮影部は、
前記第一媒体と前記第二媒体以下の媒体との像を、前記送出部による吸着位置から媒体の先端部までを含む範囲で、媒体の側方側から撮影し、
前記特定部は、
媒体の先端部において送出方向に沿って生じる前記湾曲状態及び前記傾きの少なくとも一方を特定する
請求項2又は3に記載の送出装置。
【請求項5】
前記検出部は、
前記第一媒体の基準高さに対する高さを検知する検知部、
を有し、
前記特定部は、
前記撮影部によって撮影された前記像と、前記検知部によって検知された前記高さと、に基づき、前記湾曲状態及び前記傾きの少なくとも一方を特定する
請求項2~4のいずれか1項に記載の送出装置。
【請求項6】
前記撮影部は、
前記第一媒体と前記第二媒体以下の媒体との像を、媒体の側方側から撮影し、
前記特定部は、
媒体の先端部において、当該媒体における厚み方向及び送出方向に交差する幅方向に沿って生じる前記湾曲状態及び前記傾きの少なくとも一方を特定する
請求項5に記載の送出装置。
【請求項7】
積載された前記複数の媒体を、前記第一媒体が前記送出部による送出高さに位置するように上昇させる上昇部、
を備え、
前記検出部は、
前記上昇部による前記複数の媒体の上昇後、前記送出部による前記第一媒体の送り出し前に、前記湾曲状態及び前記傾きの少なくとも一方を検出し、
前記変更部は、
前記検出部によって検出された湾曲状態及び傾きの少なくとも一方に基づき、前記送出部による前記第一媒体の送り出し前に、前記条件を変更する
請求項1~6のいずれか1項に記載の送出装置。
【請求項8】
積載された複数の媒体の間に空気を供給して、前記媒体を浮揚させる供給部、
を備え、
前記検出部は、
前記上昇部による前記複数の媒体の上昇後、前記供給部による前記空気の供給前に、前記湾曲状態及び前記傾きの少なくとも一方を検出する
請求項7に記載の送出装置。
【請求項9】
前記検出部は、
前記送出部による前記媒体の送出動作の実行が継続されている間は、前記湾曲状態及び前記傾きの少なくとも一方の検出を繰り返す
請求項7又は8に記載の送出装置。
【請求項10】
前記検出部は、
湾曲が上方側に凸か下方側に凸かを示す湾曲方向、媒体における最高部分と最低部分との高低差である湾曲高さ、及び、媒体における最高部分と最低部分との送出方向又は幅方向に沿った距離である湾曲長さを、前記湾曲状態として検出する
請求項1~9のいずれか1項に記載の送出装置。
【請求項11】
前記検出部によって検出された湾曲状態及び傾きの少なくとも一方の検出結果が、前記送出部による前記媒体の送出動作の実行が可能な要件を満たさない場合は、前記送出部は前記媒体の送出動作の実行を中止する
請求項1~10のいずれか1項に記載の送出装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の送出装置と、
前記送出装置から送り出された媒体に画像を形成する画像形成部と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送出装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、用紙を積載する積載トレイと、前記積載トレイに積載された用紙の端部にエアを吹き付けて当該用紙を浮揚させる浮揚手段と、前記浮揚手段から排出されるエアの量を調整する制御を行う風量調整制御手段と、前記浮揚手段により浮揚された用紙を1枚ずつ給紙する給紙手段と、前記積載トレイに積載された最上位の用紙に生じたカールの向きと、水平に載置された該最上位の用紙の最も高い位置にある部分と最も低い位置にある部分との鉛直方向の距離であるカール量とを検知するカール検知手段と、を備え、前記風量調整制御手段は、前記カール検知手段の検知結果に基づいて、前記浮揚手段から排出されるエアの量を調整するよう制御することを特徴とする給紙装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-106818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
積載された複数の媒体における最上に配置された第一媒体を送り出す送出部を備える送出装置において、第一媒体の湾曲状態のみを検出し、その湾曲状態に基づき、送出部の送出動作に関わる条件を変更する場合では、第一媒体と、第一媒体の直下に配置された第二媒体以下の媒体とで湾曲状態が異なる場合に、第二媒体以下の媒体において送出不良が生じる場合がある。
【0005】
本発明は、積載された複数の媒体における最上に配置された第一媒体を送り出す送出部を備える送出装置において、第一媒体の湾曲状態のみを検出し、その湾曲状態に基づき、送出部の送出動作に関わる条件を変更する場合に比べ、第一媒体の直下に配置された第二媒体以下の媒体における送出不良を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様は、積載された複数の媒体における最上に配置された第一媒体を送り出す送出部と、前記第一媒体と、前記第一媒体の直下に配置された第二媒体以下の媒体と、の湾曲状態及び傾きの少なくとも一方を検出する検出部と、前記検出部によって検出された湾曲状態及び傾きの少なくとも一方に基づき、前記送出部の送出動作に関わる条件を変更する変更部と、を備える。
【0007】
第2態様では、第1態様において、前記検出部は、前記第一媒体と前記第二媒体以下の媒体との像を撮影する撮影部と、前記撮影部によって撮影された前記像に基づき、前記湾曲状態及び前記傾きの少なくとも一方を特定する特定部と、を有する。
【0008】
第3態様では、第2態様において、前記撮影部は、前記第一媒体と前記第二媒体以下の媒体との像を、媒体における厚み方向及び送出方向に交差する幅方向の一端部から他端部までの範囲で、送出方向下流側から撮影し、前記特定部は、媒体の先端部において前記幅方向に沿って生じる前記湾曲状態及び前記傾きの少なくとも一方を特定する。
【0009】
第4態様では、第2又は第3態様において、前記送出部は、前記第一媒体の先端部よりも後端部側で吸着して、当該第一媒体を送り出し、前記撮影部は、前記第一媒体と前記第二媒体以下の媒体との像を、前記送出部による吸着位置から媒体の先端部までを含む範囲で、媒体の側方側から撮影し、前記特定部は、媒体の先端部において送出方向に沿って生じる前記湾曲状態及び前記傾きの少なくとも一方を特定する。
【0010】
第5態様は、第2~第4態様のいずれか1つにおいて、前記検出部は、前記第一媒体の基準高さに対する高さを検知する検知部、を有し、前記特定部は、前記撮影部によって撮影された前記像と、前記検知部によって検知された前記高さと、に基づき、前記湾曲状態及び前記傾きの少なくとも一方を特定する。
【0011】
第6態様では、第5態様において、前記撮影部は、前記第一媒体と前記第二媒体以下の媒体との像を、媒体の側方側から撮影し、前記特定部は、媒体の先端部において、当該媒体における厚み方向及び送出方向に交差する幅方向に沿って生じる前記湾曲状態及び前記傾きの少なくとも一方を特定する。
【0012】
第7態様は、第1~第6態様のいずれか1つにおいて、積載された前記複数の媒体を、前記第一媒体が前記送出部による送出高さに位置するように上昇させる上昇部、を備え、前記検出部は、前記上昇部による前記複数の媒体の上昇後、前記送出部による前記第一媒体の送り出し前に、前記湾曲状態及び前記傾きの少なくとも一方を検出し、前記変更部は、前記検出部によって検出された湾曲状態及び傾きの少なくとも一方に基づき、前記送出部による前記第一媒体の送り出し前に、前記条件を変更する。
【0013】
第8態様は、第7態様において、積載された複数の媒体の間に空気を供給して、前記媒体を浮揚させる供給部、を備え、前記検出部は、前記上昇部による前記複数の媒体の上昇後、前記供給部による前記空気の供給前に、前記湾曲状態及び前記傾きの少なくとも一方を検出する。
【0014】
第9態様では、第7又は第8態様において、前記検出部は、前記送出部による前記媒体の送出動作の実行が継続されている間は、前記湾曲状態及び前記傾きの少なくとも一方の検出を繰り返す。
【0015】
第10態様では、第1~第9態様のいずれか1つにおいて、前記検出部は、湾曲が上方側に凸か下方側に凸かを示す湾曲方向、媒体における最高部分と最低部分との高低差である湾曲高さ、及び、媒体における最高部分と最低部分との送出方向又は幅方向に沿った距離である湾曲長さを、前記湾曲状態として検出する。
【0016】
第11態様では、第1~第10態様のいずれか1つにおいて、前記検出部によって検出された湾曲状態及び傾きの少なくとも一方の検出結果が、前記送出部による前記媒体の送出動作の実行が可能な要件を満たさない場合は、前記送出部は前記媒体の送出動作の実行を中止する。
【0017】
第12態様は、第1~第11態様のいずれか1つの送出装置と、前記送出装置から送り出された媒体に画像を形成する画像形成部と、を備える。
【発明の効果】
【0018】
第1態様の構成によれば、積載された複数の媒体における最上に配置された第一媒体を送り出す送出部を備える送出装置において、第一媒体の湾曲状態のみを検出し、その湾曲状態に基づき、送出部の送出動作に関わる条件を変更する場合に比べ、第一媒体の直下に配置された第二媒体以下の媒体における送出不良が抑制される。
【0019】
第2態様の構成によれば、複数のセンサにて媒体の各部の高さを検知して湾曲状態及び傾きの少なくとも一方を特定する場合に比べ、特定精度が高まる。
【0020】
第3態様の構成によれば、撮影部が、第一媒体と第二媒体以下の媒体との像を、幅方向の一部の範囲で撮影する場合に比べ、第一媒体と第二媒体以下の媒体との先端部において幅方向に沿って生じる湾曲状態及び傾きの少なくとも一方を高精度に特定できる。
【0021】
第4態様の構成によれば、撮影部が、第一媒体と第二媒体以下の媒体との像を、送出部による吸着位置から媒体の先端部までを含まない範囲で撮影する場合に比べ、第一媒体と第二媒体以下の媒体との先端部において送出方向に沿って生じる湾曲状態及び傾きの少なくとも一方を高精度に特定できる。
【0022】
第5態様の構成によれば、撮影部によって撮影された像のみに基づき、湾曲状態及び傾きの少なくとも一方を特定する場合に比べ、特定精度が高まる。
【0023】
第6態様の構成によれば、撮影部が送出方向下流側から撮影された像に基づき、媒体の先端部において幅方向に沿って生じる湾曲状態及び傾きの少なくとも一方を特定する場合に比べ、媒体の先端部において送出方向に沿って生じる湾曲状態及び傾きの少なくとも一方を特定する際に、特定処理の工程数を低減できる。
【0024】
第7態様の構成によれば、上昇部による複数の媒体の上昇前に、湾曲状態及び傾きの少なくとも一方を検出する場合に比べ、第一媒体の送出不良が抑制される。
【0025】
第8態様の構成によれば、供給部による空気の供給後に、湾曲状態及び傾きの少なくとも一方を検出する場合に比べ、第一媒体の送出不良が抑制される。
【0026】
第9態様の構成によれば、送出部による媒体の送出動作の実行を継続する間に、検出部が検出動作を停止する場合に比べ、媒体の送出不良が抑制される。
【0027】
第10態様の構成によれば、湾曲が上方側に凸か下方側に凸かを示す湾曲方向のみを湾曲状態として検出する場合に比べ、送出部の送出動作に関わる条件を精密に変更可能となる。
【0028】
第11態様の構成によれば、検出部によって検出された湾曲状態及び傾きの少なくとも一方の検出結果が、送出部による媒体の送出動作の実行が可能な要件を満たさない場合でも、送出部が媒体の送出動作を実行する場合に比べ、媒体の送出不良が抑制される。
【0029】
第12態様の構成によれば、検出部によって検出された湾曲状態及び傾きの少なくとも一方に基づき、送出部の送出動作に関わる条件を変更しつつ、その条件で送り出された媒体に画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本実施形態に係る画像形成装置を示す概略図である。
図2】本実施形態に係る送出装置を示す概略図である。
図3】本実施形態に係る送出装置を側壁の外面側から見た図である。
図4図2に示される送出装置において、吸着体が最上の記録媒体を吸着した状態を示す概略図である。
図5図4に示される送出装置において、吸着体が受渡位置へ移動した状態を示す概略図である。
図6】記録媒体の先端部において幅方向に沿って生じる、下方側に凸である湾曲状態を示す模式図である。
図7】記録媒体の先端部において幅方向に沿って生じる、上方側に凸である湾曲状態を示す模式図である。
図8】記録媒体の先端部において送出方向に沿って生じる、下方側に凸である湾曲状態を示す模式図である。
図9】記録媒体の先端部において送出方向に沿って生じる、上方側に凸である湾曲状態を示す模式図である。
図10】本実施形態に係る送出装置において、側方から撮影する撮影部の撮影範囲を示す概略図である。
図11】本実施形態に係る送出装置において、送出方向下流側から撮影する撮影部の撮影範囲を示す概略図である。
図12】本実施形態に係る送出装置における判断装置の一例を示すブロック図である。
図13】本実施形態に係る送出装置における判断装置のプロセッサの機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0032】
(画像形成装置10)
まず、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す概略図である。
【0033】
なお、図中に示す矢印UPは、装置の上方(具体的には鉛直上方)を示し、矢印DOは、装置の下方(具体的には鉛直下方)を示す。また、図中に示す矢印LHは、装置の左方を示し、矢印RHは、装置の右方を示す。また、図中に示す矢印FRは、装置の前方を示し、矢印RRは、装置の後方を示す。これらの方向は、説明の便宜上定めた方向であるから、装置構成がこれらの方向に限定されるものではない。なお、装置の各方向において、「装置」の語を省略して示す場合がある。すなわち、例えば、「装置の上方」を、単に「上方」と示す場合がある。
【0034】
また、下記の説明では、「上下方向」を、「上方及び下方の両方」又は「上方及び下方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。「左右方向」を、「右方及び左方の両方」又は「右方及び左方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。なお、「左右方向」は、側方、横方向、及び水平方向ともいえる。「前後方向」を、「前方及び後方の両方」又は「前方及び後方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。なお、「前後方向」は、側方、横方向、及び水平方向ともいえる。また、上下方向、左右方向、前後方向は、互いに交差する方向(具体的には、直交する方向)である。
【0035】
また、図中の「○」の中に「×」が記載された記号は、紙面の手前から奥へ向かう矢印を意味する。また、図中の「○」の中に「・」が記載された記号は、紙面の奥から手前へ向かう矢印を意味する。
【0036】
図1に示される画像形成装置10は、媒体の一例としての記録媒体Pに画像を形成する装置である。具体的には、画像形成装置10は、図1に示されるように、送出装置12と、搬送部14と、画像形成部16と、排出部18と、を備えている。以下、画像形成装置10の各部について説明する。
【0037】
(搬送部14)
図1に示される搬送部14は、画像形成装置10において、記録媒体Pを搬送する構成部である。この搬送部14は、送出装置12から送り出された記録媒体Pを画像形成部16へ搬送する機能と、画像形成部16にて画像が形成された記録媒体Pを排出部18へ搬送する機能と、を有している。
【0038】
具体的には、搬送部14は、一対の搬送ロールで構成された搬送部材14A、14Bを有している。搬送部14では、搬送部材14Aが、送出装置12から送り出された記録媒体Pを画像形成部16へ搬送し、搬送部材14Bが、画像形成部16にて画像が形成された記録媒体Pを排出部18へ搬送する。
【0039】
なお、搬送部材14A、14Bとしては、一対の搬送ロールに限られない。搬送部材14A、14Bとしては、例えば、搬送ベルト及び搬送ドラム等の搬送部材であってもよく、種々の搬送部材を用いることが可能である。
【0040】
(画像形成部16)
図1に示される画像形成部16は、送出装置12から送り出された記録媒体Pに画像を形成する構成部である。画像形成部16としては、例えば、インクを用いて記録媒体に画像を形成するインクジェット式の画像形成部、及び、トナーを用いて記録媒体に画像を形成する電子写真式の画像形成部などが挙げられる。
【0041】
インクジェット式の画像形成部では、例えば、吐出部から記録媒体にインク滴を吐出して記録媒体に画像を形成する。インクジェット式の画像形成部としては、吐出部から転写体にインク滴を吐出し、当該インク滴を転写体から記録媒体に転写することで、記録媒体に画像を形成してもよい。
【0042】
電子写真式の画像形成部では、例えば、帯電、露光、現像、転写の各工程を行い、記録媒体に画像を形成する。電子写真式の画像形成部としては、帯電、露光、現像、転写の各工程を行って、転写体に画像を形成し、当該画像を転写体から記録媒体に転写することで、記録媒体に画像を形成してもよい。
【0043】
なお、画像形成部の一例としては、前述のインクジェット式の画像形成部、及び、前述の電子写真式の画像形成部に限られず、種々の画像形成部を用いることが可能である。
【0044】
(排出部18)
図1に示される排出部18は、画像形成装置10において、画像が形成された記録媒体が排出される部分である。排出部18には、画像形成部16によって画像が形成された後、搬送部14(具体的には搬送部材14B)により搬送された記録媒体Pが排出される。
【0045】
(送出装置12)
図1図2及び図3に示される送出装置12は、記録媒体Pを送り出す装置である。本実施形態では、送出装置12は、予め定められた送出方向(具体的には右方)へ記録媒体Pを送り出す。したがって、送出装置12において、右方が送出方向下流であり、左方が送出方向上流である。また、送出装置12から送り出される記録媒体Pにおいて、送出方向の下流端部を先端部と称し、送出方向の上流端部を後端部と称する。また、当該記録媒体Pにおいて、送出方向に対して交差する方向(具体的には前後方向)を幅方向と称し、幅方向の端部を側端部と称する。
【0046】
具体的には、図2及び図3に示されるように、送出装置12は、収容部20と、昇降部29(図2参照)と、供給部30(図3参照)と、送出部40と、分離部50と、制限部59と、検出部70(図3参照)と、を備えている。以下、送出装置12の各部について説明する。
【0047】
(収容部20及び昇降部29)
収容部20は、記録媒体Pを収容する構成部である。具体的には、図2に示されるように、収容部20は、積載部22と、一対の側壁24と、を有している。なお、図2には、一対の側壁24のうち一方側(具体的には前方側)の側壁24が図示されている。
【0048】
積載部22は、記録媒体Pが積載される構成部である。具体的には、積載部22は、収容部20の底部を構成し、記録媒体Pが上面22A上に積載される積載板(いわゆるボトムプレート)で構成されている。
【0049】
一対の側壁24の各々は、積載部22に積載された記録媒体Pに対する前方側及び後方側の各々に配置されている。この一対の側壁24の各々は、積載部22に積載された記録媒体Pにおける一対の側端部の各々に対向し、当該記録媒体Pを幅方向(すなわち前後方向)に位置決めする。
【0050】
なお、収容部20は、積載部22に積載された記録媒体Pの後端部を位置決めする位置決め部(図示省略)を有している。収容部20としては、上記の構成に限られず、種々の構成を用いることが可能である。
【0051】
昇降部29は、上昇部の一例であり、積載された複数の記録媒体Pにおける最上に配置された記録媒体P(以下、最上媒体P1という)が送出部40による送出高さに位置するように、当該複数の記録媒体Pを上昇させる構成部である。具体的には、昇降部29は、積載部22を上昇させることで、最上媒体P1が送出高さに位置するように当該複数の記録媒体Pを上昇させ、積載部22を降下させることで、当該複数の記録媒体Pを降下させる。
【0052】
昇降部29としては、例えば、ワイヤ等の引き上げ部材や、アーム等の押し上げ部材などを用いることが可能である。引き上げ部材では、例えば、積載部22を上方へ引き上げることで記録媒体Pを上昇させ、記録媒体P及び積載部22の自重により記録媒体Pを降下させる。押し上げ部材では、例えば、積載部22の下方側から積載部22を上方へ押し上げることで記録媒体Pを上昇させ、記録媒体P及び積載部22の自重により記録媒体Pを降下させる。なお、昇降部29としては、上記の構成に限られず、種々の構成を用いることが可能である。
【0053】
(供給部30)
図3に示される供給部30は、積載された複数の記録媒体Pの間に空気を供給して、記録媒体Pを浮揚させる構成部である。供給部30は、積載部22に積載された複数の記録媒体Pのうち、最上媒体P1を含む予め定められた範囲に位置する複数の記録媒体Pに対して、空気を供給する。すなわち、供給部30は、送出高さからその下方側の予め定められた位置までの範囲において、積載部22に積載された複数の記録媒体Pに対して空気を供給する。ここで、供給部30が、積載された複数の記録媒体Pの間に空気を供給して、記録媒体Pを浮揚させるのは、複数の記録媒体Pの各々の間へ空気を供給することで、複数の記録媒体Pを1枚ずつに分離して1枚ずつ送り出すためである。なお、図2図4、及び図5には、積載された複数の記録媒体Pにおける上方側の部分に空気が供給されて浮揚する状態が概略的に示されている。
【0054】
本実施形態では、供給部30は、図3に示されるように、一対の送風部32と、一対の流通管34と、一対の供給口36と、を有している。
【0055】
一対の送風部32は、風(すなわち空気)を送る構成部である。一対の送風部32の各々は、一対の側壁24の各々の外面(すなわち、積載部22に積載された記録媒体Pに対向する面とは反対側の面)に取り付けられている。送風部32としては、例えば、多翼送風機(例えば、シロッコファン)等の、遠心方向へ送風する遠心送風機が用いられる。なお、送風部32としては、軸方向へ送風する軸流送風機、その他の送風機を用いてもよい。
【0056】
一対の流通管34の各々は、一対の送風部32の各々から送られた空気を流通される通路を構成している。この一対の流通管34の各々は、一端部が一対の送風部32の各々に接続され、他端部が一対の供給口36の各々に接続されている。
【0057】
一対の供給口36の各々は、積載部22に積載された複数の記録媒体Pへ空気を供給する口部であり、一対の側壁24の各々に形成されている。この一対の供給口36の各々は、積載部22に積載された記録媒体Pの先端部側であって、側壁24の上部にて開口している。
【0058】
供給部30では、一対の送風部32から一対の流通管34及び一対の供給口36を通じ、積載部22に積載された複数の記録媒体Pの間に対して、両方の側端部側(すなわち前方側及び後方側)から空気を供給する。
【0059】
供給方向変更部38は、積載された複数の記録媒体Pの間への空気の供給方向を変更する構成部である。具体的には、供給方向変更部38は、例えば、供給口36に設けられ複数の羽板を有するルーバーで構成されている。供給方向変更部38は、例えば、上下方向及び左右方向の少なくとも一方において、空気の供給方向を変更可能とされている。供給方向変更部38としては、ルーバーに限られず、他の変更手段を用いてもよい。
【0060】
供給領域変更部39は、積載された複数の記録媒体Pの間への空気の供給領域を変更する構成部である。具体的には、供給領域変更部39は、例えば、供給口36に移動可能に設けられ、移動により供給口36の開口位置及び開口面積の少なくとも一方を変更可能な開閉板(すなわちシャッタ)で構成されている。供給領域変更部39は、例えば、上下方向及び左右方向の少なくとも一方において、空気の供給領域を変更可能とされている。供給領域変更部39としては、開閉板に限られず、他の変更手段を用いてもよい。
【0061】
なお、供給部30は、積載部22に積載された複数の記録媒体Pの間に対して、両方の側端部側(すなわち前方側及び後方側)から空気を供給していたが、これに限られない。供給部30は、積載された複数の記録媒体Pの間に対して、両方の側端部のうち、一方側(すなわち前方側及び後方側の一方)から空気を供給する構成であってもよい。また、供給部30は、積載された複数の記録媒体Pの間に対して、記録媒体Pの両方の側端部側のうち、少なくとも一方側から空気を供給することに替えて、又は加えて、記録媒体Pの先端部及び後端部の少なくとも一方側から空気を供給する構成であってもよい。したがって、供給部30は、積載部22に積載された複数の記録媒体Pの間に対して、両方の側端部、先端部及び後端部の少なくとも一方側から空気を供給する構成とすることが可能である。
【0062】
(送出部40)
図2図4及び図5に示される送出部40は、積載された複数の記録媒体Pにおける最上媒体P1を送り出す構成部である。なお、最上媒体P1は、第一媒体の一例である。送出部40は、具体的には、図4に示されるように、供給部30によって浮揚された記録媒体Pのうち、送出高さに位置する最上媒体P1を吸着し、図5に示されるように、送出方向下流(具体的には右方)へ送り出す。さらに具体的には、送出部40は、図4及び図5に示されるように、吸着体42と、移動機構44と、一対の送出ロール46と、を有している。
【0063】
吸着体42は、吸引により下面42Bに最上媒体P1を吸着させる構成体である。具体的には、吸着体42は、送出高さに位置する最上媒体P1の先端部よりも後端部側で最上媒体P1を吸着する。なお、以下、最上媒体P1において吸着体42に吸着される位置を吸着位置という。吸着体42には、送出方向下流(具体的には右方)に張り出す張出部43が形成されている。吸着体42の下面42Bに最上媒体P1が吸着されることで、張出部43の下面43Bに最上媒体P1の先端部が押し当てられる。
【0064】
移動機構44は、吸引位置(図2に示される位置、及び図5において二点鎖線にて示される位置)と受渡位置(図5において実線にて示される位置)との間で、吸着体42を左右方向(すなわち送出方向の下流方向及び上流方向)へ移動させる機構である。
【0065】
具体的には、移動機構44は、例えば、モータ、ギア、ラック、ピニオン、及びベルトドライブなどの公知の機構を用いて構成される。なお、移動機構44は、特定の機構に限られず、種々の構成を用いることが可能である。
【0066】
一対の送出ロール46は、画像形成部16へ向けて記録媒体Pを送り出す送出部材である。この一対の送出ロール46は、上下方向に接触するように、吸着体42に対する送出方向下流側(具体的には前述の受渡位置)に配置されている。なお、送出部材としては、一対の送出ロール46に限られない。送出部材としては、例えば、環状のベルト及びドラム等の送出部材であってもよく、種々の送出部材を用いることが可能である。
【0067】
送出部40では、吸着体42が吸引位置(図2に示される位置)において、吸引により下面42Bに最上媒体P1を吸着させ、吸着体42が移動機構44により受渡位置(図5において実線にて示される位置)に移動する。そして、受渡位置において、吸着体42から一対の送出ロール46へ記録媒体Pが受け渡され、一対の送出ロール46が記録媒体Pを画像形成部16へ向けて送り出す。
【0068】
なお、送出部40としては、上記の構成に限られない。例えば、送出部40としては、吸着体42に替えて、ベルト及びロールなどの送出部材を用いた構成であってもよい。環状のベルトを用いた構成では、例えば、ベルトの外周面に吸引により記録媒体Pを吸着させる吸引部が、ベルトの内周に設けられた構成とすることが可能である。
【0069】
(分離部50及び制限部59)
図4に示される分離部50は、吸着体42に吸着された最上媒体P1の直下に配置された記録媒体P(以下、次の媒体P2という)へ空気を供給して、最上媒体P1と次の媒体P2とを分離する構成部である。なお、次の媒体P2は、最上媒体P1の次に送り出される記録媒体Pであり、最上媒体P1の下方に隣接して配置される記録媒体Pである。分離部50は、具体的には、図4に示されるように、例えば、供給装置52と、流通管54と、ノズル56と、を有している。
【0070】
供給装置52は、空気を流通管54へ供給する装置である。具体的には、供給装置52としては、例えば、圧縮空気を流通管54へ供給するエアコンプレッサー等が用いられる。なお、供給装置52としては、エアコンプレッサーに限られず、他の供給装置を用いてもよい。
【0071】
流通管54は、供給装置52から送られた空気を流通される通路を構成している。この流通管54は、記録媒体Pの幅方向(すなわち、前後方向)に沿って延びており、当該幅方向へ沿って空気を流通させる。
【0072】
ノズル56は、流通管54に対して、記録媒体Pの幅方向(すなわち、前後方向)に沿って複数設けられている。複数のノズル56の各々は、流通管54から吸着体42(具体的には張出部43)側(すなわち左斜め上方側)へ延びている。
【0073】
分離部50では、吸着体42が吸引位置(図2に示される位置)に位置する状態において、ノズル56から張出部43に向けて空気を吐出する。張出部43に当たった空気は、最上媒体P1と次の媒体P2との間に供給される。これにより、最上媒体P1と次の媒体P2とが分離され、次の媒体P2は落下する。
【0074】
このように、ノズル56からの空気が、張出部43を経由して最上媒体P1と次の媒体P2との間に供給されるため、張出部43を分離部50の一要素として把握してもよい。なお、分離部50としては、張出部43を経由せずに、最上媒体P1と次の媒体P2との間に、直接、空気を供給する構成であってもよい。
【0075】
図4に示される制限部59は、次の媒体P2の送出方向下流への移動を制限する構成部である。具体的には、制限部59は、側面視にて、収容部20と一対の送出ロール46(具体的には下方側に配置された送出ロール46)との間に配置された制限壁で構成されている。制限部59は、側面視にて上下方向に延びる板状に形成されている。
【0076】
制限部59は、吸着体42の受渡位置への移動により、最上媒体P1と共に送出方向下流へ送り出された次の媒体P2に接触して次の媒体P2を最上媒体P1から落下させ、次の媒体P2の送出方向下流への移動を制限する。なお、制限部59としては、上記の構成に限られず、他の制限手段を用いてもよい。
【0077】
(検出部70)
図3に示される検出部70は、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pとの湾曲状態(以下、媒体湾曲状態という場合がある)を検出する構成部である。次の媒体P2は、第二媒体の一例である。次の媒体P2以下の記録媒体Pとは、次の媒体P2、及び、次の媒体P2の下方側に配置された記録媒体Pのうち、少なくとも1つの記録媒体Pである。本実施形態では、検出部70は、最上媒体P1、及び次の媒体P2を含む複数(例えば10枚)の記録媒体Pについて、湾曲状態を検出する。
【0078】
媒体湾曲状態としては、例えば、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pが、送出方向下流側(すなわち右方側)から見て下方側に凸に湾曲する状態(図A参照)と、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pが、送出方向下流側(すなわち右方側)から見て上方側に凸に湾曲する状態(図B参照)と、が挙げられる。また、媒体湾曲状態としては、例えば、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pが、側方側(例えば前方側)から見て、先端部側において下方側に凸に湾曲する状態(図C参照)と、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pが、側方側(例えば前方側)から見て、先端部側において上方側に凸に湾曲する状態(図D参照)と、が挙げられる。
【0079】
本実施形態では、検出部70は、湾曲が上方側に凸か下方側に凸かを示す湾曲方向、記録媒体Pにおける最高部分と最低部分との高低差である湾曲高さ、及び、記録媒体Pにおける最高部分と最低部分との送出方向又は幅方向に沿った距離である湾曲長さを、媒体湾曲状態として検出する。
【0080】
さらに、検出部70は、昇降部29による複数の記録媒体Pの上昇後、送出部40による最上媒体P1の送り出し前に、媒体湾曲状態を検出する。具体的には、検出部70は、昇降部29による複数の記録媒体Pの上昇後、供給部30による空気の供給前に、媒体湾曲状態を検出する。また、検出部70は、送出部40による記録媒体Pの送出動作の実行が継続されている間は、媒体湾曲状態の検出を繰り返す。具体的には、検出部70は、図3に示されるように、撮影部72と、検知部73(図12参照)と、判断装置60と、を有している。
【0081】
撮影部72は、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pとの像を撮影する構成部である。具体的には、撮影部72は、例えば、レンズ等の光学素子と、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子と、を有するカメラで構成されている。なお、撮影部72としては、当該カメラに限られず、CCD(Charge Coupled Device)、その他の素子を撮像素子とするカメラなどであってもよく、他の撮影部を用いてもよい。
【0082】
本実施形態では、撮影部72は、3つ備えられている。図3に示されるように、検出部70は、3つの撮影部72として、一対の撮影部72Aと、撮影部72Bと、を備えている。なお、図2図4図5等では、撮影部72A、72Bの図示が省略されている。
【0083】
一対の撮影部72Aの各々は、一対の側壁24の各々の外面に取り付けられている。一対の撮影部72Aの各々は、一対の側壁24の各々に形成された開口79を通じて、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pとの像を幅方向の一方側(具体的には前方側)及び他方側(具体的には後方側)の各々から撮影する。このように、一対の撮影部72Aの各々は、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pとの像を、記録媒体Pの側方から撮影する。なお、図3では、一対の撮影部72Aのうち、前方側の側壁24の外面に取り付けられた撮影部72Aのみを図示している。
【0084】
一対の撮影部72Aの各々は、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pとの像を、送出部40(具体的には吸着体42)による吸着位置から記録媒体Pの先端部までを含む撮影範囲(具体的には図10の一点鎖線HAの撮影範囲)で記録媒体Pの側方側(具体的には前方側及び後方側)から撮影する。
【0085】
撮影部72Bは、積載部22に積載された複数の記録媒体Pに対する送出方向下流側(具体的には右方側)に配置されている。撮影部72Bは、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pとの像を幅方向の一端部から他端部までの範囲(具体的には図11の一点鎖線HBの撮影範囲)で、送出方向下流側から撮影する。具体的には、撮影部72Bは、例えば、制限部59における送出方向下流側(具体的には右方側)の面に取り付けられている。撮影部72Bは、制限部59に形成された開口77を通じて、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pとの像を送出方向下流側(具体的には右方側)から撮影する。
【0086】
撮影部72は、送出部40による記録媒体Pの送出動作の実行が継続されている間は、当該撮影範囲において撮影動作を継続する。撮影部72は、記録媒体Pの像を連続的に複数回撮影する。なお、撮影部72は、撮影範囲へ照明する照明部(図示省略)を有している。
【0087】
検知部73(図12参照)は、最上媒体P1の基準高さに対する高さを検知する構成部である。具体的には、検知部73は、最上媒体P1における幅方向の中央部であって、先端部における当該高さを検知する。検知部73としては、例えば、最上媒体P1の上面に接触して当該高さを検知する接触式の検知部、及び最上媒体P1に対して当該高さを検知する非接触式の検知部(具体的には、反射型又は透過型の光センサ等)などが用いられる。なお、基準高さとは、任意に設定される高さであり、装置内の具体的な部位の高さであってもよいし、仮想的に設定された高さであってもよい。
【0088】
図3及び図12に示される判断装置60は、送出装置12において、各種の判断(特定を含む)を行う装置である。具体的には、判断装置60は、図12に示されるように、プロセッサ61と、メモリ62と、ストレージ63と、を有している。
【0089】
プロセッサ61としては、例えば、汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)が用いられる。ストレージ63は、実行プログラム63A(図13参照)を含む各種プログラムと、各種データと、を格納する。ストレージ63は、具体的には、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及びフラッシュメモリ等の記録装置により実現される。
【0090】
メモリ62は、プロセッサ61が各種プログラムを実行するための作業領域であり、プロセッサ61が処理を実行する際に一時的に各種プログラム又は各種データを記録する。プロセッサ61は、ストレージ63から実行プログラム63Aを含む各種プログラムをメモリ62に読み出し、メモリ62を作業領域としてプログラムを実行する。
【0091】
判断装置60において、プロセッサ61は実行プログラム63Aを実行することにより、各種の機能を実現する。以下、ハードウェア資源としてのプロセッサ61とソフトウェア資源としての実行プログラム63Aの協働によって実現される機能構成について説明する。図13は、プロセッサ61の機能構成を示すブロック図である。
【0092】
図13に示されるように、判断装置60において、プロセッサ61は、実行プログラム63Aを実行することにより、特定部61B、変更部61D、及び制御部61Eとして機能する。
【0093】
特定部61Bは、撮影部72によって撮影された像に基づき、媒体湾曲状態を特定する。具体的には、特定部61Bは、撮影部72Bによって撮影された像に基づき、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pの先端部において幅方向に沿って生じる媒体湾曲状態(図6及び図7参照)を特定する。
【0094】
さらに具体的には、特定部61Bは、以下のように、当該媒体湾曲状態を特定する。特定部61Bは、まず、撮影部72Bが撮影した撮影画像の中から、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pの各々の先端部において、基準高さに対する高さが最も高い最高部分の当該高さと、基準高さに対する高さが最も低い最低部分の当該高さと、幅方向中央部の基準高さに対する高さと、を抽出する。そして、特定部61Bは、最高部分の高さ又は最低部分の高さが幅方向中央部の高さと予め定められた誤差の範囲で一致した場合に、当該媒体湾曲状態が生じているものとして、湾曲方向、湾曲高さ、及び湾曲長さについて特定する。具体的には、特定部61Bは、最高部分の高さと幅方向中央部の高さとが予め定められた誤差の範囲で一致した場合では、上方側に凸である方向を湾曲方向として、最高部分と最低部分との高低差を湾曲高さとして、最高部分と最低部分との幅方向の距離を湾曲長さとして特定する(図7参照)。
【0095】
一方、特定部61Bは、最低部分の高さと幅方向中央部の高さとが予め定められた誤差の範囲で一致した場合では、下方側に凸である方向を湾曲方向として、最高部分と最低部分との高低差を湾曲高さとして、最高部分と最低部分との幅方向の距離を湾曲長さとして特定する(図6参照)。なお、幅方向中央部の高さは、検知部73の検知結果を用いることが可能である。また、特定部61Bは、最高部分又は最低部分の位置が幅方向中央部である場合に、当該媒体湾曲状態が生じているものとして、湾曲方向、湾曲高さ、及び湾曲長さについて特定してよい。すなわち、最高部分及び最低部分と幅方向中央部との位置関係によって、媒体湾曲状態を特定してもよい。
【0096】
なお、特定部61Bは、最高部分の高さ又は最低部分の高さと、幅方向中央部の高さとが、誤差の範囲を超えて一致しない場合には、当該媒体湾曲状態が生じていないものとして、媒体湾曲状態の特定は行わない。
【0097】
また、特定部61Bは、撮影部72Aによって撮影された像に基づき、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pとの先端部において送出方向に沿って生じる媒体湾曲状態を特定する(図8及び図9参照)。具体的には、特定部61Bは、一対の撮影部72Aの各々によって撮影された像に基づき、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pとにおける一対の側端部の各々の先端部において送出方向に沿って生じる媒体湾曲状態を特定する。
【0098】
さらに具体的には、特定部61Bは、以下のように、当該媒体湾曲状態を特定する。特定部61Bは、まず、一対の撮影部72Aの各々が撮影した撮影画像の中から、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pの各々の側端部において、基準高さに対する高さが最も高い最高部分の当該高さと、基準高さに対する高さが最も低い最低部分の当該高さと、先端部の基準高さに対する高さと、を抽出する。特定部61Bは、最高部分の高さ又は最低部分の高さと先端部の高さとが予め定められた誤差の範囲で一致する場合に、当該媒体湾曲状態が生じているものとして、湾曲方向、湾曲高さ、及び湾曲長さについて特定する。具体的には、特定部61Bは、最高部分の高さと先端部の高さとが予め定められた誤差の範囲で一致する場合に、下方側に凸である方向を湾曲方向として、最高部分と最低部分との高低差を湾曲高さとして、最高部分と最低部分との幅方向の距離を湾曲長さとして特定する(図8参照)。
【0099】
一方、特定部61Bは、最低部分の高さと先端部の高さとが予め定められた誤差の範囲で一致する場合に、上方側に凸である方向を湾曲方向として、最高部分と最低部分との高低差を湾曲高さとして、最高部分と最低部分との幅方向の距離を湾曲長さとして特定する(図9参照)。なお、先端部の高さは、検知部73の検知結果を用いることが可能である。また、特定部61Bは、最高部分又は最低部分の位置が先端部である場合に、当該媒体湾曲状態が生じているものとして、湾曲方向、湾曲高さ、及び湾曲長さについて特定してよい。すなわち、最高部分及び最低部分と先端部との位置関係によって、媒体湾曲状態を特定してもよい。
【0100】
なお、特定部61Bは、最高部分の高さ又は最低部分の高さと、先端部の高さとが、誤差の範囲を超えて一致しない場合には、当該媒体湾曲状態が生じていないものとして、媒体湾曲状態の特定は行わない。
【0101】
変更部61Dは、検出部70によって検出された媒体湾曲状態に基づき、送出部40の送出動作に関わる条件を変更する。具体的には、変更部61Dは、送出部40による最上媒体P1の送り出し前において、特定部61Bによって特定された媒体湾曲状態に基づき、送出部40の送出動作に関わる条件を変更する。また、変更部61Dは、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pとの送り出し毎に、又は、複数枚単位で、当該条件を変更することが可能である。
【0102】
当該条件としては、供給部30において、複数の記録媒体Pの間に供給する空気の風量、温度、湿度、供給方向、及び供給領域がある。また、当該条件としては、分離部50において、次の媒体P2へ供給する空気の風量、温度、湿度、供給方向、及び供給領域がある。また、当該条件としては、制限部59の上下方向の位置がある。また、当該条件としては、昇降部29による送出高さがある。また、当該条件としては、吸着体42が送り出す距離、すなわち、吸着体42の吸引位置(図2に示される位置)及び受渡位置(図5において実線にて示される位置)がある。
【0103】
制御部61Eは、変更部61Dが変更した条件に基づき、送出装置12の各部の動作を制御する。なお、検出部70によって検出された媒体湾曲状態の検出結果が、送出部40による記録媒体Pの送出動作の実行が可能な要件を満たさない場合は、制御部61Eは、記録媒体Pの送出動作の実行を中止する制御を送出部40に対して行う。これにより、送出部40は記録媒体Pの送出動作の実行を中止する。このように、判断装置60は、送出装置12の各部の動作を制御する機能を有しているため、制御装置ともいえる。
【0104】
なお、本実施形態では、特定部61B、変更部61D、及び制御部61Eの機能部のうち、特定部61Bによって、検出部70の機能部が構成される。また、例えば、変更部61D、及び制御部61Eは、判断装置60とは、別の装置によって構成されていてもよい。さらに、特定部61B、変更部61D、及び制御部61Eの各々が別の装置として構成されていてもよい。
【0105】
なお、検出部70としては、上記の構成に限られない。検出部70は、例えば、撮影部72に替えて、上下方向に延びる帯状の光を複数の記録媒体Pに対して照射する照射部と、受光する受光部と、を有し、当該記録媒体Pによって当該光が遮られた部分の高さ等に基づき、媒体湾曲状態を検出する構成であってもよい。さらに、当該照射部と当該受光部とを有する構成では、当該記録媒体Pによって当該光が反射され、又は吸収された部分の高さ等に基づき、媒体湾曲状態を検出する構成であってもよい。当該照射部としては、例えば、発光素子が上下方向に沿って列状若しくは千鳥状に配置され、又は、二次元状に配置された発光部を用いることが可能である。当該受光部としては、例えば、受光素子が上下方向に沿って列状若しくは千鳥状に配置され、又は、二次元状に配置された受光部を用いることが可能である。
【0106】
上記実施形態では、検出部70は、媒体湾曲状態を検出するものとして、説明したが、これに限られない。検出部70は、媒体湾曲状態に加えて、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pとの傾き(以下、媒体傾きという)を検出してもよい。
【0107】
ここで、傾きとは、記録媒体Pが平面状の勾配を有する状態であり、湾曲状態とは、記録媒体Pが曲面状の勾配を有する状態である。上記実施形態によれば、平面状と曲面状の区別なく、記録媒体Pの勾配を検出可能であるため、媒体湾曲状態に加えて、媒体傾きを区別なく検出することが可能である。したがって、換言すれば、検出部70は、媒体湾曲状態及び媒体傾きの両方を検出する構成部といえる。なお、検出部70は、撮影部72が撮影した画像から各部の高さを抽出することで、媒体湾曲状態及び媒体傾きを区別して検出してもよい。さらに検出部70は、媒体湾曲状態及び媒体傾きの一方のみを検出する構成であってもよい。
【0108】
(本実施形態に係る作用)
次に、本実施形態に係る作用を説明する。
【0109】
本実施形態では、検出部70は、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pとの湾曲状態を検出し、変更部61Dは、検出部70によって検出された湾曲状態に基づき、送出部40の送出動作に関わる条件を変更する。
【0110】
このため、積載された複数の記録媒体Pにおける最上媒体P1を送り出す送出部40を備える送出装置12において、最上媒体P1の湾曲状態のみを検出し、その湾曲状態に基づき、送出部40の送出動作に関わる条件を変更する場合に比べ、次の媒体P2以下の記録媒体Pにおける送出不良が抑制される。
【0111】
したがって、画像形成装置10において、最上媒体P1の湾曲状態のみを検出し、その湾曲状態に基づき、送出部40の送出動作に関わる条件を変更する場合に比べ、次の媒体P2以下の記録媒体Pにおける送出不良を抑制しつつ、当該記録媒体Pに画像を形成可能となる。
【0112】
また、本実施形態では、撮影部72は、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pとの像を撮影し、特定部61Bは、撮影部72によって撮影された像に基づき、媒体湾曲状態を特定する。
【0113】
このため、複数のセンサにて記録媒体Pの各部の高さを検知して湾曲状態を特定する場合に比べ、特定精度が高まる。
【0114】
また、本実施形態では、具体的には、撮影部72Bが、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pとの像を幅方向の一端部から他端部までの範囲(具体的には図11の一点鎖線HBの撮影範囲)で、送出方向下流側から撮影し、特定部61Bは、撮影部72Bによって撮影された像に基づき、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pの先端部において幅方向に沿って生じる媒体湾曲状態を特定する。
【0115】
このため、撮影部72Bが、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pとの像を、幅方向の一部の範囲で撮影する場合に比べ、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pの先端部において幅方向に沿って生じる媒体湾曲状態が高精度に特定される。
【0116】
また、本実施形態では、撮影部72Aが、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pとの像を、送出部40(具体的には吸着体42)による吸着位置から記録媒体Pの先端部までを含む撮影範囲(具体的には図10の一点鎖線HAの撮影範囲)で記録媒体Pの側方側から撮影し、特定部61Bは、撮影部72Aによって撮影された像に基づき、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pとの先端部において送出方向に沿って生じる媒体湾曲状態を特定する。
【0117】
このため、撮影部72Aが、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pとの像を、送出部40による吸着位置から記録媒体Pの先端部までを含まない撮影範囲で撮影する場合に比べ、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pとの先端部において送出方向に沿って生じる媒体湾曲状態が高精度に特定される。
【0118】
また、本実施形態では、検出部70は、昇降部29による複数の記録媒体Pの上昇後、送出部40による最上媒体P1の送り出し前に、媒体湾曲状態を検出する。
【0119】
ここで、昇降部29によって複数の記録媒体Pを上昇させる前後で記録媒体Pの姿勢が変動する場合があり、昇降部29による複数の記録媒体Pの上昇前に、媒体湾曲状態を検出する場合(以下、形態Aという)では、姿勢が変動する前の検出結果に基づき、条件を変更することになるため、最上媒体P1の送出不良が生じる場合がある。
【0120】
これに対して、本実施形態では、前述のように、検出部70は、昇降部29による複数の記録媒体Pの上昇後、送出部40による最上媒体P1の送り出し前に、媒体湾曲状態を検出するので、形態Aに比べ、最上媒体P1の送出不良が抑制される。
【0121】
また、本実施形態では、検出部70は、昇降部29による複数の記録媒体Pの上昇後、供給部30による空気の供給前に、媒体湾曲状態を検出する。
【0122】
ここで、供給部30による空気の供給後に、媒体湾曲状態を検出する場合(以下、形態Bという)では、空気の供給により記録媒体Pの姿勢が不安定な状態で検出が行われる場合があり、その検出結果に基づき、条件を変更することになるため、最上媒体P1の送出不良が生じる場合がある。
【0123】
これに対して、本実施形態では、検出部70は、昇降部29による複数の記録媒体Pの上昇後、供給部30による空気の供給前に、媒体湾曲状態を検出するので、形態Bに比べ、最上媒体P1の送出不良が抑制される。
【0124】
また、本実施形態では、検出部70は、送出部40による記録媒体Pの送出動作の実行が継続されている間は、媒体湾曲状態の検出を繰り返す。
【0125】
この構成では、送出部40による送出動作の実行が継続されている間に、記録媒体Pの姿勢が変動した場合でも、変動後の記録媒体Pにおける媒体湾曲状態を検出して、それに基づき、条件を変更可能となるため、送出部40による記録媒体Pの送出動作の実行が継続されている間に、媒体湾曲状態の検出動作を停止する場合に比べ、記録媒体Pの送出不良が抑制される。
【0126】
また、本実施形態では、検出部70は、湾曲が上方側に凸か下方側に凸かを示す湾曲方向、記録媒体Pにおける最高部分と最低部分との高低差である湾曲高さ、及び、記録媒体Pにおける最高部分と最低部分との送出方向又は幅方向に沿った距離である湾曲長さを、媒体湾曲状態として検出する。このため、湾曲方向、湾曲高さ、及び湾曲長さに基づき、送出部40の送出動作に関わる条件を変更可能となる。したがって、湾曲方向のみを媒体湾曲状態として検出する場合に比べ、当該条件を精密に変更(すなわち設定)可能となる。
【0127】
また、本実施形態では、検出部70によって検出された媒体湾曲状態の検出結果が、送出部40による記録媒体Pの送出動作の実行が可能な要件を満たさない場合は、送出部40は記録媒体Pの送出動作の実行を中止する。
【0128】
このため、検出部70によって検出された媒体湾曲状態の検出結果が、送出部40による記録媒体Pの送出動作の実行が可能な要件を満たさない場合でも、送出部40が記録媒体Pの送出動作を実行する場合に比べ、記録媒体Pの送出不良が抑制される。
【0129】
(特定部61Bの変形例)
特定部61Bでは、撮影部72Bによって撮影された像に基づき、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pの先端部において幅方向に沿って生じる媒体湾曲状態(図6及び図7参照)を特定していたが、これに限られない。例えば、特定部61Bは、撮影部72Aによって撮影された像と、検知部73によって検知された高さと、に基づき、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pの先端部において幅方向に沿って生じる媒体湾曲状態(図6及び図7参照)及び媒体傾きの少なくとも一方を特定してもよい。
具体的には、例えば、特定部61Bは、まず、一対の撮影部72Aの各々が撮影した撮影画像の中から、最上媒体P1と次の媒体P2以下の記録媒体Pの各々における一対の側端部の各々において、先端部の高さを抽出する。そして、特定部61Bは、一対の側端部の各々の高さが、検知部73によって検知された幅方向中央の高さよりも高い場合に、下方側に凸である湾曲状態又は傾きが生じているものとして、媒体湾曲状態又は媒体傾きを特定する。また、特定部61Bは、一対の側端部の各々の高さが、検知部73によって検知された幅方向中央の高さよりも低い場合に、上方側に凸である湾曲状態又は傾きが生じているものとして、媒体湾曲状態又は媒体傾きを特定する。
このように、特定部61Bは、撮影部72によって撮影された像と、検知部73によって検知された高さと、に基づき、媒体湾曲状態及び媒体傾きの少なくとも一方を特定してもよい。
【0130】
この構成によれば、撮影部72の撮影範囲に含まない記録媒体Pの高さを用いて、媒体湾曲状態及び媒体傾きの少なくとも一方を特定可能となるので、撮影部72によって撮影された像のみに基づき、媒体湾曲状態及び媒体傾きの少なくとも一方を特定する場合に比べ、特定精度が高まる。
【0131】
また、本変形例では、撮影部72Aが撮影した撮影画像を用いて、記録媒体Pの先端部において幅方向に沿って生じる媒体湾曲状態及び媒体傾きの少なくとも一方を特定するので、記録媒体Pの先端部において送出方向に沿って生じる媒体湾曲状態(図8及び図9参照)及び媒体傾きを特定する際に、共通の撮影画像を用いて、特定が可能となる。このため、撮影部72Bが送出方向下流側から撮影された像に基づき、記録媒体Pの先端部において幅方向に沿って生じる媒体湾曲状態及び媒体傾きの少なくとも一方を特定する場合に比べ、特定処理の工程数が低減される。なお、本実施形態では、撮影部72Bを設けない構成としてもよい。
【0132】
(他の変形例)
本実施形態では、検出部70は、昇降部29による複数の記録媒体Pの上昇後、送出部40による最上媒体P1の送り出し前に、媒体湾曲状態及び媒体傾きの少なくとも一方を検出していたが、これに限られない。例えば、検出部70は、昇降部29による複数の記録媒体Pの上昇前に、媒体湾曲状態及び媒体傾きの少なくとも一方を検出する構成であってもよい。
【0133】
また、本実施形態では、検出部70は、昇降部29による複数の記録媒体Pの上昇後、供給部30による空気の供給前に、媒体湾曲状態を検出していたが、これに限られない。例えば、検出部70は、供給部30による空気の供給後に、媒体湾曲状態及び媒体傾きの少なくとも一方を検出する構成であってもよい。
【0134】
また、本実施形態では、検出部70は、送出部40による記録媒体Pの送出動作の実行が継続されている間は、媒体湾曲状態及び媒体傾きの少なくとも一方の検出を繰り返していたが、これに限られない。例えば、検出部70は、送出部40による記録媒体Pの送出動作の実行が継続されている間に、媒体湾曲状態及び媒体傾きの少なくとも一方の検出動作を停止する構成であってもよい。
【0135】
また、本実施形態では、検出部70によって検出された媒体湾曲状態の検出結果が、送出部40による記録媒体Pの送出動作の実行が可能な要件を満たさない場合は、送出部40は記録媒体Pの送出動作の実行を中止していたが、これに限られない。
【0136】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【0137】
また、前述のプロセッサ61は、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えば、前述のCPU等)に限られず、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)であってもよい。
【0138】
また、本実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は本実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0139】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0140】
10 画像形成装置
12 送出装置
14 搬送部
14A 搬送部材
14B 搬送部材
16 画像形成部
18 排出部
20 収容部
22 積載部
22A 上面
24 側壁
29 昇降部
30 供給部
32 送風部
34 流通管
36 供給口
38 供給方向変更部
39 供給領域変更部
40 送出部
42 吸着体
42B 下面
43 張出部
43B 下面
44 移動機構
46 送出ロール
50 分離部
52 供給装置
54 流通管
56 ノズル
59 制限部
60 判断装置
61 プロセッサ
61B 特定部
61D 変更部
61E 制御部
62 メモリ
63 ストレージ
63A 実行プログラム
70 検出部
72 撮影部
72A 撮影部
72B 撮影部
73 検知部
77 開口
79 開口
P 記録媒体
P1 最上媒体
P2 媒体
図1
図2
図3
図4
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