(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145012
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】作業機械用アタッチメント
(51)【国際特許分類】
B66C 1/44 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
B66C1/44 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052270
(22)【出願日】2022-03-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年10月28日に、株式会社クボタにて配布 令和4年3月24日に、株式会社アクティオにて配布
(71)【出願人】
【識別番号】599009710
【氏名又は名称】株式会社岡部鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100199808
【弁理士】
【氏名又は名称】川端 昌代
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(74)【代理人】
【識別番号】100208708
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 健志
(74)【代理人】
【識別番号】100215371
【弁理士】
【氏名又は名称】古茂田 道夫
(74)【代理人】
【識別番号】230116643
【弁護士】
【氏名又は名称】田中 厳輝
(72)【発明者】
【氏名】岡部 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】岡部 泰知
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004AB15
3F004AE01
3F004EA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡易な構成で、被把持物を意図した位置で容易に把持及び解放できる作業機械用アタッチメントを提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る作業機械用アタッチメントは、被把持物を両側から挟み込み可能な把持爪を有する一対の把持爪部材10と、上記一対の把持爪部材の基端側に配置され、これらの把持爪部材を回転可能に支持する互いに平行な一対の回転軸30と、上記一対の回転軸同士の対向方向内側で、上記把持爪部材の内面に配置され、互いに咬合する一対の歯車部材40とを備え、上記一対の把持爪部材に設けられている上記把持爪同士が、上記一対の回転軸に直交する仮想平面において、上記一対の回転軸の垂直二等分線に対して線対称となるように回転する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被把持物を両側から挟み込み可能な把持爪を有する一対の把持爪部材と、
上記一対の把持爪部材の基端側に配置され、これらの把持爪部材を回転可能に支持する互いに平行な一対の回転軸と、
上記一対の回転軸同士の対向方向内側で、上記把持爪部材の内面に配置され、互いに咬合する一対の歯車部材と
を備え、
上記一対の把持爪部材に設けられている上記把持爪同士が、上記一対の回転軸に直交する仮想平面において、上記一対の回転軸の垂直二等分線に対して線対称となるように回転する作業機械用アタッチメント。
【請求項2】
上記一対の歯車部材が上記垂直二等分線上で咬合する請求項1に記載の作業機械用アタッチメント。
【請求項3】
上記垂直二等分線の直交方向に延び、かつ両端で上記一対の把持爪部材の基端側に連結されるシリンダー部材をさらに備え、このシリンダー部材が伸縮することで上記一対の把持爪部材が回転駆動される請求項1又は請求項2に記載の作業機械用アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械用アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
把持機能のあるアタッチメントは、作業機械による鋼材の荷役作業等に用いられる。このような作業を例えば室内等で行う際には、周囲の鋼材や設備との干渉を避けつつ、被把持物を意図した位置に正確に運べることが望まれる。
【0003】
特許文献1には、油圧シリンダーによって開閉され、連動用リンクを介して2本の爪が連動して開閉するフォークグラップルが記載されている。特許文献2には、一対の油圧シリンダーがブラケット部材と一対の把持部材の間に架け渡され、油圧シリンダーが伸縮することにより、把持部材が開閉するグラップルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-153561号公報
【特許文献2】特開2019-112230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように位置を変えつつ回動する連動用リンクを用いて2本の爪を開閉すると、2本の爪の軌道を高精度に調整し難い場合がある。また、特許文献2のグラップルのように複数の油圧シリンダーを用いると、油圧シリンダー同士を高精度に同調させることが困難となる可能性がある。このため、いずれの場合においても、開閉動作の微小なずれによって、被把持物を意図した位置で把持及び解放できないおそれがある。
【0006】
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、簡易な構成で、被把持物を意図した位置で容易に把持及び解放できる作業機械用アタッチメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る作業機械用アタッチメントは、被把持物を両側から挟み込み可能な把持爪を有する一対の把持爪部材と、上記一対の把持爪部材の基端側に配置され、これらの把持爪部材を回転可能に支持する互いに平行な一対の回転軸と、上記一対の回転軸同士の対向方向内側で、上記把持爪部材の内面に配置され、互いに咬合する一対の歯車部材とを備え、上記一対の把持爪部材に設けられている上記把持爪同士が、上記一対の回転軸に直交する仮想平面において、上記一対の回転軸の垂直二等分線に対して線対称となるように回転する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る作業機械用アタッチメントは、簡易な構成で、被把持物を意図した位置で容易に把持できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る作業機械用アタッチメントの開状態を示す側面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る作業機械用アタッチメントの閉状態を示す側面図である。
【
図3】
図3は、
図1の作業機械用アタッチメントのIII-III線断面図である。
【
図4】
図4は、
図1の作業機械用アタッチメントのIV-IV線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
【0011】
本発明の一態様に係る作業機械用アタッチメントは、被把持物を両側から挟み込み可能な把持爪を有する一対の把持爪部材と、上記一対の把持爪部材の基端側に配置され、これらの把持爪部材を回転可能に支持する互いに平行な一対の回転軸と、上記一対の回転軸同士の対向方向内側で、上記把持爪部材の内面に配置され、互いに咬合する一対の歯車部材とを備え、上記一対の把持爪部材に設けられている上記把持爪同士が、上記一対の回転軸に直交する仮想平面において、上記一対の回転軸の垂直二等分線に対して線対称となるように回転する。
【0012】
当該作業機械用アタッチメントは、上記把持爪同士が上記一対の回転軸の上記垂直二等分線(以下、回転中心線ともいう)に対して線対称となるように回転するため、被把持物を回転中心線上で挟み込みできる。また、互いに咬合する上記一対の歯車部材を用いた簡易な構成によって上記一対の把持爪部材同士を連動させるため、上記一対の把持爪の動作を容易かつ確実に制御することができる。すなわち、上記一対の把持爪の位置に微少なずれが生じることを抑制できる。したがって、当該作業機械用アタッチメントは、被把持物を意図した位置で容易に把持及び解放できる。
【0013】
上記一対の歯車部材が上記垂直二等分線上で咬合することが好ましい。このように上記一対の歯車部材が上記垂直二等分線上で咬合することによって、一対の上記把持爪の回転が線対称となるようにより容易に構成できる。
【0014】
上記垂直二等分線の直交方向に延び、かつ両端で上記一対の把持爪部材の基端側に連結されるシリンダー部材をさらに備え、このシリンダー部材が伸縮することで上記一対の把持爪部材が回転駆動されることが好ましい。このように上記垂直二等分線の直交方向に延び、かつ両端で上記一対の把持爪部材に連結されるシリンダー部材を備えることによって、シリンダー部材の伸縮を効率的に上記一対の把持爪部材の回転駆動力に変換することができる。
【0015】
なお、本発明において、「基端側」とは当該作業機械用アタッチメントが装着される作業機械側(上記把持爪の先端の反対側)を意味し、「内面」とは一対の上記把持爪部材の閉状態において一対の上記把持爪部材が対向する内側を向く面を意味する。また、「一対の歯車部材が垂直二等分線上で咬合する」とは、一対の歯車部材の咬合部分において、上記垂直二等分線が、一対の歯車部材の歯底面同士の間を通ることを意味する。
【0016】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0017】
<作業機械用アタッチメント>
図1から
図4の作業機械用アタッチメント1は、アームを備える作業機械においてアームの先端部分に装着される。本実施形態において、当該作業機械用アタッチメント1は装着装置Xを介して作業機械に装着される。当該作業機械用アタッチメント1は、例えば装着装置Xに回転可能に取り付けられ、より詳しくはアームの中心軸周りに回転可能に取り付けられる。
【0018】
当該作業機械用アタッチメント1は、被把持物Wを両側から挟み込み可能な把持爪11、21を有する一対の把持爪部材10、20と、一対の把持爪部材10、20のそれぞれの基端側に配置され、把持爪部材10、20を回転可能に支持する互いに平行な一対の回転軸30と、一対の回転軸30同士の対向方向内側で、把持爪部材10、20の内面に配置され、互いに咬合する一対の歯車部材40と、一対の回転軸30を支持しつつ装着装置Xに取り付けられる一対の支持ブラケット60とを備える。一対の把持爪部材10、20に設けられている把持爪同士11、21は、一対の回転軸30に直交する仮想平面において、すなわち側面視で一対の回転軸30の垂直二等分線Vに対して線対称となるように回転する。
【0019】
当該作業機械用アタッチメント1は、垂直二等分線Vの直交方向(
図1及び
図2の上下方向)に延び、かつ両端で、把持爪部材10、20の回転軸30よりもさらに基端側に連結されるシリンダー部材50をさらに備える。一対の把持爪部材10、20は、シリンダー部材50が伸縮することで回転駆動される。
【0020】
(被把持物)
本実施形態において、被把持物Wは例えば断面円形状の棒状部材である。当該作業機械用アタッチメント1は、例えば被把持物Wの中心軸が垂直二等分線V上に位置するように被把持物Wに接近する。その後、当該作業機械用アタッチメント1は、一対の把持爪11、21同士が垂直二等分線Vに対して線対称となるように回転することで、被把持物Wを垂直二等分線V上に位置するように維持したまま把持することができる。
【0021】
(把持爪部材)
図1及び
図2における上側の把持爪部材10(以下、「第一把持爪部材10」ともいう)及び
図1及び
図2における下側の把持爪部材20(以下、「第二把持爪部材20」ともいう)は、それぞれ回転軸30を回転中心として回転する。
図2に示す通り、一対の把持爪部材10、20が相互に接近するように回転した閉状態において、第一把持爪部材10の把持爪11(以下、「第一把持爪11」ともいう)及び第二把持爪部材20の把持爪21(以下、「第二把持爪21」ともいう)が被把持物Wを把持する。逆に、
図1に示す通り、一対の把持爪部材10、20が相互に離間するように回転した開状態において第一把持爪11及び第二把持爪21が被把持物Wを解放する。
【0022】
第一把持爪部材10は、第一把持爪11と、第一把持爪11よりも基端側に位置する第一回転支持部12と、第一把持爪11及び第一回転支持部12を連結するための第一爪連結軸13と、シリンダー部材50に連結するための第一シリンダー連結軸14とを有する。第二把持爪部材20も同様に、第二把持爪21と、第二把持爪21よりも基端側に位置する第二回転支持部22と、第二把持爪21及び第二回転支持部22を連結するための第二爪連結軸23と、シリンダー部材50に連結するための第二シリンダー連結軸24とを有する。
【0023】
図3に示す通り、第一把持爪11は、幅方向(
図1の奥行き方向)に間隔を空けて配置された一対の爪部11aと、一対の爪部11a同士を連結する中間連結部11bとを有する。すなわち、第一把持爪11は、中間連結部11bによって間隔を保持された二股の爪を有する。一方、
図4に示す通り、第二把持爪21は、一の爪部21aと、爪部21aの幅方向の両側から基端側(
図4の右方向)に突出する一対の腕部21bとを有する。すなわち、第二把持爪21は、単一の爪を有する。
【0024】
第二把持爪21の爪部21aの幅は、第一把持爪11の一対の爪部11aの幅方向の間隔よりも小さい。このように構成されることで、第二把持爪21の爪部21aは、第一把持爪11の一対の爪部11aの間に収まるように設けられている。このため、
図2に示す通り、被把持物Wが小さい場合には、第一把持爪11と第二把持爪21とが交差するように被把持物Wを把持することができる。
【0025】
第一把持爪11の一対の爪部11a及び第二把持爪21の爪部21aは、中間部分の内面が互いに離間するように屈曲している。より具体的には、
図1及び
図2に示す通り、爪部11a、21aの内面は、側面視でそれぞれ台形状の凹部を形成する。このように構成されることで、閉状態において被把持物Wを収納可能な空間を形成でき、被把持物Wを容易に把持することができる。
【0026】
第一把持爪11の一対の爪部11aの内面及び第二把持爪21の爪部21a内面は、側面視で垂直二等分線Vに対して線対称に構成されることが好ましい。このように構成されることによって、被把持物Wを回転中心線上で安定して把持しやすい。また、一対の把持爪11、21によって把持された被把持物Wは、
図2に示す通り、回転中心線によってその断面が二等分される。したがって、被把持物Wを意図した位置で容易に把持及び解放できる。
【0027】
また、第一把持爪11の一対の爪部11aの内面及び第二把持爪21の爪部21a内面が側面視で垂直二等分線Vに対して線対称に構成されることで、一対の把持爪部材10、20が開状態から閉状態にかけて回転する際に、爪部11a、21a同士の先端が同時に垂直二等分線V上に達する。また、垂直二等分線V上に達した後には、側面視において爪部11a、21aの内面同士が垂直二等分線V上で咬合し合う。このため、被把持物Wを把持する際に、一対の把持爪11、21のいずれか一方によって被把持物Wが所定の位置から意図せずに動くことを抑制できる。
【0028】
図3に示す通り、第一把持爪部材10の第一爪連結軸13は、第一把持爪11の基端側において一対の爪部11aの間に架け渡されている。また、
図4に示す通り、第二把持爪部材20の第二爪連結軸23は、第二把持爪21の基端側において一対の腕部21bの間に架け渡されている。
【0029】
第一把持爪部材10の第一回転支持部12は、回転軸30に直交しつつ平行に配置された一対の板状部材である。第一回転支持部12は、その先端側(
図1及び
図2の左側)を貫通する第一爪連結軸13によって第一把持爪11に固定されている。上記一対の板状部材(第一回転支持部12を構成する一対の板状部材)は、第一把持爪部材10の幅方向の中心線に対して線対称に配置される。このように上記一対の板状部材が、第一把持爪部材10の幅方向の中心線に対して線対称に配置されることによって、第一把持爪部材10の回転を安定させることができる。
【0030】
上記一対の板状部材は、それぞれ第一爪連結軸13に固定された部分から基端側に延びる。上記一対の板状部材の基端側には、第一シリンダー連結軸14が架け渡されている。また、上記一対の板状部材は、第一爪連結軸13に固定された部分よりも基端側、かつ第一シリンダー連結軸14の連結部分よりも先端側において、回転軸30によって回転可能に支持される。すなわち、第一把持爪部材10は第一回転支持部12において、回転軸30によって回転可能に支持される。さらに、第一回転支持部12は、歯車部材40を配置可能に、回転軸30同士の対向方向内側に突出する突出部分を有する。この突出部分は、上記一対の板状部材のそれぞれに形成される。そのため上記一対の板状部材は、側面視で回転軸30を中心とした略三角形状に形成することができる。
【0031】
図3に示す通り、上記一対の板状部材は、対向方向外側に突出する第一台座部12aを有する。第一台座部12aは、後述する支持ブラケット60の台座部61に向かって突出する。また、回転軸30は、第一台座部12a及び台座部61を貫通する。このように第一回転支持部12が、支持ブラケット60に向かって突出し、かつ回転軸30が貫通する第一台座部12aを有することによって、第一把持爪部材10の回転軸方向のずれを抑制することができる。
【0032】
図4に示す通り、第二把持爪部材20の第二回転支持部22は、第二爪連結軸23によって第二把持爪21に固定される。第二回転支持部22は、回転軸30に直交しつつ平行に配置された一対の板状部材である。上記一対の板状部材(第二回転支持部22を構成する一対の板状部材)は、第一回転支持部12と同様に対向方向外側に突出する第二台座部22aを有する。また、上記一対の板状部材の基端側には、第二シリンダー連結軸24が架け渡されている。上記一対の板状部材は、第二爪連結軸23に固定された部分よりも基端側、かつ第二シリンダー連結軸24の連結部分よりも先端側において、回転軸30によって回転可能に支持される。第二回転支持部22は、第一回転支持部12と同様に回転軸30同士の対向方向内側に突出する突出部分を有する。すなわち、第二回転支持部22は、垂直二等分線Vを含み、かつ一対の回転軸30の中心軸と平行な仮想平面に対して第一回転支持部12と面対称に形成することができる。
【0033】
(回転軸)
一対の回転軸30は、一対の把持爪部材10、20を回転可能に支持するべく、互いに平行かつ
図1及び
図2の上下にそれぞれ配置される。
図1及び
図2における上側の回転軸30(以下、「第一回転軸30」ともいう)は、第一把持爪部材10の第一回転支持部12を回転可能に支持し、
図1及び
図2における下側の回転軸30(以下、「第二回転軸30」ともいう)は、第二把持爪部材20の第二回転支持部22を回転可能に支持する。より具体的には、第一回転軸30は、第一回転支持部12を構成する上述の一対の板状部材にそれぞれ設けられている第一台座部12a及び後述する支持ブラケット60の台座部61を貫通しつつ、支持ブラケット60に固定される。また、第二回転軸30は、第二回転支持部22を構成する上述の一対の板状部材のそれぞれに設けられている第二台座部22a及び後述する支持ブラケット60の台座部61を貫通しつつ、支持ブラケット60に固定される。
【0034】
(歯車部材)
一対の歯車部材40の一方は、第一把持爪部材10の第一回転支持部12の上記突出部分に固定される。より具体的には、一対の歯車部材40の一方は、第一回転支持部12を構成する一対の板状部材に1対1対応で配置される一対の第一歯車を有する。また、一対の歯車部材40の他方は、第二把持爪部材20の第二回転支持部22の上記突出部分に固定される。より具体的には、一対の歯車部材40の他方は、第二回転支持部22を構成する一対の板状部材に1対1で配置される一対の第二歯車を有する。すなわち、上記一対の第一歯車と上記一対の第二歯車とは、第一把持爪部材10及び第二把持爪部材20の幅方向の中心線に対して等間隔な位置でそれぞれ咬合する。このように一対の歯車部材40が、それぞれ把持爪部材10、20の幅方向に間隔を空けて2つの歯車を有することによって、一対の把持爪部材10、20の回転をさらに安定させつつ、軽量化を図ることができる。
【0035】
一対の歯車部材40は、歯先及び歯底が交互に配置された平歯車形状である。一対の歯車部材40同士のピッチ円直径は等しい。一対の歯車部材40は、一対の回転軸30同士の中間部分で咬合する。一対の歯車部材40は、上記咬合部分で咬合しつつ回転することによって、一対の把持爪部材10、20の一方が回転する際に、一対の把持爪部材10、20の他方が連動して回転する。
【0036】
図1及び
図2に示す通り、一対の歯車部材40は、垂直二等分線V上で咬合する。このように一対の歯車部材40が垂直二等分線V上で咬合することによって、一対の把持爪11、21の回転が垂直二等分線Vに対して線対称となるようにより容易に構成できる。
【0037】
歯車部材40の上記咬合部分の歯底は、その歯車部材40が配置された第一把持爪部材10又は第二把持爪部材20を支持する回転軸30を中心とした同一周面上に位置する。このように上記咬合部分の歯底が回転軸30を中心とした同一周面上に位置することによって、上記咬合部分の回転を一対の把持爪部材10、20に伝達しやすい。また、互いに咬合する上記咬合部分同士で上記歯底が位置する上記周面の半径は等しい。このように互いに咬合する上記咬合部分同士で上記歯底が位置する上記周面の半径が等しいことによって、一対の把持爪部材10、20を垂直二等分線Vに対して線対称に回転するように容易に調整することができる。
【0038】
(支持ブラケット)
一対の支持ブラケット60は、装着装置Xに取り付けられる。一対の支持ブラケット60は、回転軸方向に直交しつつ平行に配置された一対の板状部材である。一対の支持ブラケット60は、第一把持爪部材10の第一回転支持部12、及び第二把持爪部材20の第二回転支持部22を両側から挟むように配置される。また、一対の支持ブラケット60は、その間に架け渡された一対の回転軸30を固定する。
【0039】
図3に示す通り、一対の支持ブラケット60は、第一回転支持部12側に突出する一対の台座部61を有する。一対の台座部61は、第一回転支持部12を構成する一対の板状部材の第一台座部12aに向かって突出する。また、
図4に示す通り、一対の支持ブラケット60は、第二台座部22aに突出する台座部61を有する。第一回転軸30は第一台座部12a及び台座部61を貫通し、第二回転軸30は第二台座部22a及び台座部61を貫通する。このように支持ブラケット60が、回転支持部12、22に向かって突出し、かつ回転軸30が貫通する台座部61を有することによって、一対の把持爪部材10、20の回転軸方向のずれを抑制することができる。
【0040】
一対の支持ブラケット60は、一対の歯車部材40を回転軸方向の両側から被覆するように配置される。すなわち、
図1及び
図2に示す通り、側面視で一対の支持ブラケット60は、一対の歯車部材40を覆うように、特に一対の歯車部材40の上記咬合部分を覆うように設けられる。このように一対の支持ブラケット60が一対の歯車部材40を覆うように設けられることによって、一対の歯車部材40の咬合が塵埃等の混入によって意図せずに阻害されることを抑制できる。
【0041】
(シリンダー部材)
シリンダー部材50は、上述の通り、垂直二等分線Vの直交方向に延びる。シリンダー部材50は、ロッド部51と、ロッド部51を収納するシリンダーボディ部52とを有する。
【0042】
本実施形態において、ロッド部51はシリンダーボディ部52から第一把持爪部材10に向かって伸びる。ロッド部51の垂直二等分線Vの直交方向の一端(
図1及び
図2の上端)及びシリンダーボディ部52の上記直交方向の他端(
図1及び
図2の下端)のそれぞれは、回転軸方向に貫通する孔部を有する。第一把持爪部材10の第一シリンダー連結軸14はロッド部51の一端の上記孔部を貫通し、第二把持爪部材20の第二シリンダー連結軸24はシリンダーボディ部52の他端の上記孔部を貫通する。換言すると、シリンダー部材50はその両端で第一シリンダー連結軸14及び第二シリンダー連結軸24に連結される。これにより、シリンダー部材50のロッド部51が上記直交方向に伸縮することによって、一対の把持爪部材10、20が回転駆動される。このようにシリンダー部材50が伸縮することによって、シリンダー部材50の伸縮を効率的に一対の把持爪部材10、20の回転駆動力に変換することができる。
【0043】
図1及び
図2に示す通り、シリンダー部材50のロッド部51がシリンダーボディ部52から伸びると、第一把持爪部材10の第一回転支持部12は第一回転軸30を中心に回転する。このとき、第一把持爪部材10は第二把持爪部材20に接近するように回転する。また、第一把持爪部材10の第一回転支持部12は、一対の歯車部材40を介して第二把持爪部材20の第二回転支持部22を連動して回転させるため、第二把持爪部材20も第一把持爪部材10に接近するように回転する。したがって、シリンダー部材50のロッド部51が伸びることによって、一対の把持爪部材10、20が閉状態となる。逆に、シリンダー部材50のロッド部51が縮むと、上述とは逆の動作によって一対の把持爪部材10、20が開状態となる。
【0044】
上述の一対の把持爪部材10、20の開閉動作において、一対の回転軸30は装着装置X及び支持ブラケット60との相対位置を変化させない。このように一対の把持爪部材10、20の開閉動作において一対の回転軸30の相対位置が変化しないことによっても、一対の把持爪部材10、20を垂直二等分線Vに対して線対称に回転するように容易に調整することができる。
【0045】
(利点)
当該当該作業機械用アタッチメント1は、把持爪11、21同士が一対の回転軸30の垂直二等分線Vに対して線対称となるように回転するため、被把持物Wを回転中心線上で挟み込みできる。一方、従来の作業機械用アタッチメントにおいては、一対の把持爪の回転が高精度に線対称となるように調整することが必ずしも容易ではなかった。例えば一対の把持爪が回転する際に、これらの把持爪の位置が線対称な位置からわずかにずれると、把持爪のいずれか一方の先端が回転中心線に先に到達するおそれがある。この場合、一対の把持爪のいずれか一方の先端によって被把持物を所定の位置から意図せずに動かす結果となり得る。また、把持された被把持物の位置も回転中心線からずれが生じる可能性もある。これに対し、当該当該作業機械用アタッチメント1においては、互いに咬合する一対の歯車部材40を用いた簡易な構成によって一対の把持爪部材10、20を連動させるため、一対の把持爪11、21の動作を容易かつ確実に制御することができる。すなわち、一対の把持爪11、21の位置に微少なずれが生じることを抑制できる。したがって、当該当該作業機械用アタッチメント1は、被把持物Wを所定の位置から意図せずに動かすことなく、かつ被把持物Wを回転中心線上で容易に挟み込むことができる。その結果、当該作業機械用アタッチメント1は、被把持物Wを意図した位置で容易に把持及び解放できる。さらに、被把持物Wを意図した位置に正確に運べることによって、狭い室内等の作業においても、周囲の鋼材や設備との干渉を回避しやすい。
【0046】
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0047】
上記実施形態では、当該作業機械用アタッチメントが装着装置Xを介して装着されるものとしたが、本発明の用途はこれに限定されない。当該作業機械用アタッチメントは例えばクレーンから吊り下げられたワイヤーロープの先端に装着されてもよい。
【0048】
上記実施形態では、一方の把持爪が二股の爪であり、かつ他方の把持爪が一本爪であるものとしたが、本発明の構成はこれに限定されない。例えば、一方の把持爪が二股の爪であり、かつ他方の把持爪が三股の爪であってもよく、それぞれがその他の形状の爪であってもよい。また、閉状態において両方の把持爪が交差せずに、先端で当接する形状であってもよい。
【0049】
上記実施形態では、把持爪の内面は、側面視で台形状の凹部を形成するものとしたが、本発明の構成はこれに限定されない。把持爪の内面は、例えば側面視で円弧状の凹部を形成してもよく、その他の形状であってもよい。
【0050】
上記実施形態では、歯車部材が二対配置されるものとしたが、本発明の構成はこれに限定されない。歯車部材は、例えば一対のみ配置されてもよい。
【0051】
歯車部材は、例えば、側面視で円形状の周面に歯先及び歯底が交互に配置された歯車形状であってもよい。
【0052】
上記実施形態では、シリンダー部材が一対の回転軸の垂直二等分線の直交方向に延びるものとしたが、本発明の構成はこれに限定されない。シリンダー部材は、例えば上記垂直二等分線の直交方向から傾斜して延びていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の一態様に係る作業機械用アタッチメントは、簡易な構成で、被把持物を意図した位置で容易に把持及び解放できるため、作業機械による鋼材の荷役作業等に用いることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 作業機械用アタッチメント
10 第一把持爪部材
11 第一把持爪
11a 爪部
11b 中間連結部
12 第一回転支持部
12a 第一台座部
13 第一爪連結軸
14 第一シリンダー連結軸
20 第二把持爪部材
21 第二把持爪
21a 爪部
21b 腕部
22 第二回転支持部
22a 第二台座部
23 第二爪連結軸
24 第二シリンダー連結軸
30 回転軸
40 歯車部材
50 シリンダー部材
51 ロッド部
52 シリンダーボディ部
60 支持ブラケット
61 台座部