(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145014
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】二酸化炭素処理装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/18 20060101AFI20231003BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20231003BHJP
B01D 53/04 20060101ALI20231003BHJP
B01D 53/06 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
B01D53/18 120
B01D53/14 100
B01D53/14 220
B01D53/04 220
B01D53/06 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052277
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001100
【氏名又は名称】株式会社クレハ
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】坂部 宏
【テーマコード(参考)】
4D012
4D020
【Fターム(参考)】
4D012CA03
4D012CC03
4D012CD10
4D020AA03
4D020BA16
4D020BB01
4D020BB03
4D020BC01
4D020CA06
4D020CB05
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素を処理する際に必要なエネルギの消費量を低減することのできる二酸化炭素処理装置を提供する。
【解決手段】第1流通路12に位置する吸着材収容部32に収容された吸着材20が二酸化炭素を吸着することによって生じる吸着材収容部32の重量の増加と、第2流通路13に位置する吸着材収容部32に収容された吸着材20が二酸化炭素を脱離することによって生じる吸着材収容部32の重量の減少と、によってロータ30に回転力を付与する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに水平方向に位置をずらして配置され、それぞれ気体が流通する第1流通路および第2流通路を備え、前記第1流通路を流通する気体中に含まれる二酸化炭素を取り出し、取り出した二酸化炭素を、前記第2流通路を流通する気体中に放出する二酸化炭素処理装置であって、
気体を接触させることによって気体中に含まれる二酸化炭素を吸着する吸着材と、
前記吸着材が収容されるとともに、収容された前記吸着材に接触する気体が流通可能な3以上の吸着材収容部を有し、水平方向に延びる回転軸を中心として3以上の前記吸着材収容部が周方向に均等に配置され、前記回転軸を中心に回転させることにより、それぞれの前記吸着材収容部が前記第1流通路と前記第2流通路とを交互に移動するロータと、
前記第2流通路に位置する前記吸着材収容部に収容された前記吸着材を加熱することによって、前記吸着材から二酸化炭素を脱離させる吸着材加熱部と、を備え、
前記第1流通路に位置する前記吸着材収容部に収容された前記吸着材が二酸化炭素を吸着することによって生じる前記吸着材収容部の重量の増加と、前記第2流通路に位置する前記吸着材収容部に収容された前記吸着材が二酸化炭素を脱離することによって生じる前記吸着材収容部の重量の減少と、によって前記ロータに回転力を付与する
二酸化炭素処理装置。
【請求項2】
前記吸着材収容部は、前記第1流通路および前記第2流通路における気体の流通方向の両側面の中央部に開口部が形成された中空の部材である
請求項1に記載の二酸化炭素処理装置。
【請求項3】
前記吸着材収容部は、両端部の中央部側を除く部分を閉鎖することによって両端面の中央部に開口部が形成された筒形状に形成され、
前記吸着材収容部は、筒形状の中心軸が、水平方向に延びる前記回転軸に対して前記ロータの周方向に傾けられた姿勢で配置され、
前記吸着材加熱部は、前記第2流通路に位置する前記吸着材収容部の前記中心軸方向における、下方に位置する端部側から前記吸着材を加熱する
請求項2に記載の二酸化炭素処理装置。
【請求項4】
前記吸着材は、二酸化炭素を吸着する液体である
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の二酸化炭素処理装置。
【請求項5】
前記吸着材収容部の内部には、前記吸着材の二酸化炭素の吸着および脱離を促進する吸着脱離促進部材が充填されている
請求項4に記載の二酸化炭素処理装置。
【請求項6】
前記吸着材は、二酸化炭素を吸着する粉体である
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の二酸化炭素処理装置。
【請求項7】
前記ロータに対して回転力を付加する回転力付加部を備えた
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の二酸化炭素処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体中に含まれる二酸化炭素を処理するための二酸化炭素処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、気体中に含まれる所定の物質を処理する処理装置としては、流通する気体中に含まれる所定の物質を吸着する複数の吸着カートリッジを、回転軸を中心とする円周方向に配置したロータと、ロータを回転させるモータと、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記処理装置は、モータによってロータを回転させながらロータの回転領域の一部分において流通する気体中に含まれる所定の物質を吸着カートリッジに吸着させるとともに、ロータの回転領域の他の部分において物質を吸着した吸着カートリッジに熱風を供給することによって吸着カートリッジから所定の物質を脱離させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記処理装置は、ロータを回転させるためにモータを駆動させたり、吸着カートリッジに熱風を供給したりするために、エネルギを消費することになる。特に、大型のロータを備えた処理装置では、ロータを回転させるために高出力の大型のモータを使用することになるため、エネルギの消費量が多くなることが考えられる。
【0006】
本発明の目的とするところは、二酸化炭素を処理する際に必要なエネルギの消費量を低減することのできる二酸化炭素処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の二酸化炭素処理装置は、互いに水平方向に位置をずらして配置され、それぞれ気体が流通する第1流通路および第2流通路を備え、前記第1流通路を流通する気体中に含まれる二酸化炭素を取り出し、取り出した二酸化炭素を、前記第2流通路を流通する気体中に放出する二酸化炭素処理装置であって、気体を接触させることによって気体中に含まれる二酸化炭素を吸着する吸着材と、前記吸着材が収容されるとともに、収容された前記吸着材に接触する気体が流通可能な3以上の吸着材収容部を有し、水平方向に延びる回転軸を中心として3以上の前記吸着材収容部が周方向に均等に配置され、前記回転軸を中心に回転させることにより、それぞれの前記吸着材収容部が前記第1流通路と前記第2流通路とを交互に移動するロータと、前記第2流通路に位置する前記吸着材収容部に収容された前記吸着材を加熱することによって、前記吸着材から二酸化炭素を脱離させる吸着材加熱部と、を備え、前記第1流通路に位置する前記吸着材収容部に収容された前記吸着材が二酸化炭素を吸着することによって生じる前記吸着材収容部の重量の増加と、前記第2流通路に位置する前記吸着材収容部に収容された前記吸着材が二酸化炭素を脱離することによって生じる前記吸着材収容部の重量の減少と、によって前記ロータに回転力を付与する。
【0008】
また、本発明の二酸化炭素処理装置は、好ましくは、前記吸着材収容部が、前記第1流通路および前記第2流通路における気体の流通方向の両側面の中央部に開口部が形成された中空の部材である。
【0009】
また、本発明の二酸化炭素処理装置は、好ましくは、前記吸着材収容部が、両端部の中央部側を除く部分を閉鎖することによって両端面の中央部に開口部が形成された筒形状に形成され、前記吸着材収容部が、筒形状の中心軸が、水平方向に延びる前記回転軸に対して前記ロータの周方向に傾けられた姿勢で配置され、前記吸着材加熱部が、前記第2流通路に位置する前記吸着材収容部の前記中心軸方向における、下方に位置する端部側から吸着材を加熱する。
【0010】
また、本発明の二酸化炭素処理装置は、好ましくは、前記吸着材が、二酸化炭素を吸着する液体である。
【0011】
また、本発明の二酸化炭素処理装置は、好ましくは、前記吸着材収容部の内部に、前記吸着材の二酸化炭素の吸着および脱離を促進する吸着脱離促進部材が充填されている。
【0012】
また、本発明の二酸化炭素処理装置は、好ましくは、前記吸着材が、二酸化炭素を吸着する粉体である。
【0013】
また、本発明の二酸化炭素処理装置は、好ましくは、前記ロータに対して回転力を付加する回転力付加部を備えた。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、吸着材の二酸化炭素の吸着と脱離とによって生じる吸着材収容部の重量の変化によってロータを回転させることが可能となるので、二酸化炭素を処理する際に必要なエネルギの消費量を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る二酸化炭素処理装置の平面断面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る二酸化炭素処理装置の横断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る二酸化炭素処理装置の側面断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る二酸化炭素処理装置の側面断面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る二酸化炭素処理装置の側面断面図である。
【
図6】本発明の第3実施形態に係る二酸化炭素処理装置の側面断面図である。
【
図7】本発明の第4実施形態に係る二酸化炭素処理装置の側面断面図である。
【
図8】本発明の第5実施形態に係る二酸化炭素処理装置の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
図1乃至
図4は、本発明の第1実施形態について示すものである。
図1は二酸化炭素処理装置の平面断面図であり、
図2は二酸化炭素処理装置の横断面図であり、
図3は二酸化炭素処理装置の側面断面図である。
【0017】
本実施形態の二酸化炭素処理装置1は、例えば、ボイラの煙道を流通する排出ガスに含まれる二酸化炭素または大気中に含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を地下に貯留するCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)に用いられる。また、本実施形態の二酸化炭素処理装置1は、例えば、ビニールハウスや建築物における農作物の収穫量の増加を図るために、ビニールハウスや建築物の内部空間の二酸化炭素濃度を上げるために用いられる。さらに、本実施形態の二酸化炭素処理装置1は、例えば、家畜を収容して飼育する畜舎等の建築物の内部空間を良好な環境に維持するため、二酸化炭素濃度を下げるために用いられる。
【0018】
二酸化炭素処理装置1は、二酸化炭素を取り出す対象の気体および取り出した二酸化炭素を放出する気体を流通させるためのダクト10と、気体中に含まれる二酸化炭素を吸着するための吸着材20と、ダクト10の内部において回転自在に設けられたロータ30と、吸着材20から二酸化炭素を脱離させるために吸着材20を加熱する吸着材加熱部40と、を備えている。
【0019】
ダクト10は、横断面が矩形状に形成された管部材からなり、ダクト10の幅方向および延伸方向が水平方向に向いた姿勢となっている。ダクト10は、ダクト10の延在方向および上下方向に延びる仕切部材11によって内部空間が幅方向に仕切られている。ダクト10は、幅方向一方側の空間が、二酸化炭素を取り出す対象の気体が流通する第1流通路12であり、幅方向他方側の空間が、取り出した二酸化炭素を放出する気体が流通する第2流通路13である。第1流通路12および第2流通路13は、それぞれ、送風機を設置して気体を流通させてもよいし、第1流通路12および第2流通路13が接続される空間を負圧にして気体を流通させてもよい。ここで、例えば、二酸化炭素処理装置1がCCSに適用される場合には、第2流通路13を流通した気体を、二酸化炭素を回収する空間に供給する。また、二酸化炭素処理装置1が畜舎等の建築物に適用される場合には、第1流通路12を流通した気体を、建築物内に供給する。
【0020】
吸着材20は、二酸化炭素を吸着する液体であり、例えば、モノエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等を主剤とするアミン溶液である。
【0021】
ロータ30は、ダクト10に回転自在に支持されたロータ本体31と、ロータ本体31の外周側に配置される少なくとも3以上の吸着材収容部32と、を有している。
【0022】
ロータ本体31は、円柱状の部材からなり、回転軸31aが、ダクト10の幅方向中央部において、水平方向且つダクト10の延伸方向に向けた姿勢でダクト10に回転自在に支持されている。
【0023】
吸着材収容部32は、それぞれ、円筒の両端部を閉鎖するとともに、閉鎖した両端面の径方向の中央部に開口部32aが形成された中空の部材であり、内部に吸着材20が収容されるようになっている。吸着材収容部32は、開口部32aが形成された両端面が第1流通路12および第2流通路13における気体の流通方向に向くように、ロータ本体31の外周部に取り付けられる。本実施形態における吸着材収容部32は、円筒形状の中心軸がロータ本体31の回転軸と平行をなすようにロータ本体31の外周部に取り付けられる。吸着材収容部32は、ロータ本体31の回転軸31aを中心として少なくとも3以上がロータ本体31の外周面に沿って周方向に均等に配置されている。吸着材収容部32は、ロータ本体31に取り付けられた状態で、ロータ本体31の一方向への回転に伴って、ダクト10の第1流通路12と第2流通路13とを交互に移動する。
【0024】
吸着材加熱部40は、例えば、電気ヒータ等の加熱装置であり、ダクト10の第2流通路13の下部側に配置されている。吸着材加熱部40は、ダクト10の第2流通路13の下部側において、ダクト10の第2流通路13の下部側に位置するロータ30の吸着材収容部32を外側から加熱し、吸着材収容部32に収容されている吸着材20を加熱する。
【0025】
以上のように構成された二酸化炭素処理装置1は、各吸着材収容部32の内部に吸着材20を収容した状態で、第1流通路12に二酸化炭素を取り出す気体を流通させ、第2流通路13に二酸化炭素を放出する気体を流通させる。また、第2流通路13では、第2流通路13側に位置する吸着材収容部32の内部に収容された吸着材20を吸着材加熱部40によって加熱する。
【0026】
第1流通路12を流通する気体は、第1流通路12側に位置する吸着材収容部32の内側を通過する。また、第2流通路を流通する気体は、第2流通路13側に位置する吸着材収容部32の内側を通過する。
【0027】
第1流通路12側に位置する吸着材収容部32において、一方の開口部32aから内部に流入した気体は、吸着材収容部32に収容されている吸着材20に接触することによって、気体中に含まれる二酸化炭素が吸着材20に吸着され、他方の開口部32aから流出する。これにより、第1流通路12側に位置する吸着材収容部32は、内部の吸着材20が二酸化炭素を吸着することによって重量が増加する。
【0028】
第2流通路13側に位置する吸着材収容部32において、一方の開口部32aから内部に流入した気体は、吸着材加熱部40によって加熱された吸着材20から放出された二酸化炭素が混入し、他方の開口部32aから流出する。これにより、第2流通路13側に位置する吸着材収容部32は、内部の吸着材20が二酸化炭素を脱離することによって重量が減少する。
【0029】
ロータ30は、第1流通路12に位置する吸着材収容部32に収容された吸着材20が二酸化炭素を吸着することによって生じる重量の増加と、第2流通路13に位置する吸着材収容部32に収容された吸着材20が二酸化炭素を脱離することによって生じる重量の減少と、によって回転力が付与されて回転する。
【0030】
このように、本実施形態の二酸化炭素処理装置1によれば、互いに水平方向に位置をずらして配置され、それぞれ気体が流通する第1流通路12および第2流通路13を備え、第1流通路12を流通する気体中に含まれる二酸化炭素を取り出し、取り出した二酸化炭素を、第2流通路13を流通する気体中に放出する二酸化炭素処理装置1であって、気体を接触させることによって気体中に含まれる二酸化炭素を吸着する吸着材20と、吸着材20が収容されるとともに、収容された吸着材20に接触する気体が流通可能な3以上の吸着材収容部32を有し、水平方向に延びる回転軸31aを中心として3以上の吸着材収容部32が周方向に均等に配置され、回転軸31aを中心に回転させることにより、それぞれの吸着材収容部32が第1流通路12と第2流通路13とを交互に移動するロータ30と、第2流通路13に位置する吸着材収容部32に収容された吸着材20を加熱することによって、吸着材20から二酸化炭素を脱離させる吸着材加熱部40と、を備え、第1流通路12に位置する吸着材収容部32に収容された吸着材20が二酸化炭素を吸着することによって生じる吸着材収容部32の重量の増加と、第2流通路13に位置する吸着材収容部32に収容された吸着材20が二酸化炭素を脱離することによって生じる吸着材収容部32の重量の減少と、によってロータ30に回転力を付与する。
【0031】
これにより、吸着材20の二酸化炭素の吸着と脱離とによって生じる吸着材収容部32の重量の変化によってロータ30を回転させることが可能となるので、二酸化炭素を処理する際に必要なエネルギの消費量を低減することが可能となる。
【0032】
また、吸着材収容部32は、第1流通路12および第2流通路13における気体の流通方向の両側面の中央部に開口部32aが形成された中空の部材である。
【0033】
これにより、簡単な構成の吸着材収容部32によって、吸着材20を収容するとともに、吸着材20に接触させる空気を流通させることが可能となるので、製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0034】
また、吸着材20は、二酸化炭素を吸着する液体である。
【0035】
これにより、個体の吸着材と比較して効率的に二酸化炭素を吸着させることが可能となり、二酸化炭素の吸着量を増大させることが可能となる。
【0036】
<第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態を示すものであり、二酸化炭素処理装置の側面断面図である。尚、前記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0037】
本実施形態の二酸化炭素処理装置1は、
図5に示すように、ロータ30の外周側に配置されるそれぞれの吸着材収容部32が、筒形状の中心軸を、水平方向に延びる回転軸31aに対して、ロータ30の周方向に傾けた姿勢で配置される。即ち、本実施形態の二酸化炭素処理装置1は、第2流通路13において、吸着材収容部32の中心軸方向の一端側が他端側に対して下方に位置している。
【0038】
また、吸着材加熱部40は、第2流通路13における、吸着材収容部32の中心軸方向の一端側に配置されている。即ち、吸着材加熱部40は、第2流通路13において、他端側よりも下方に位置する吸着材収容部32の中心軸方向一端側から吸着材20を加熱する。
【0039】
以上のように構成された二酸化炭素処理装置1において、第1流通路12および第2流通路13のそれぞれに気体を流通させて、ロータ30が回転すると、それぞれの吸着材収容部32は、第2流通路13において中心軸方向の一端側が他端側に対して下方に位置することになる。これにより、第2流通路13における吸着材収容部32に収容された吸着材20は、吸着材収容部32内における中心軸方向の一端側に集まることになり、中心軸方向の一端側に集まった吸着材20が吸着材加熱部40によって加熱される。
【0040】
このように、本実施形態の二酸化炭素処理装置は、第1実施形態と同様に、吸着材20の二酸化炭素の吸着と脱離とによって生じる吸着材収容部32の重量の変化によってロータ30を回転させることが可能となるので、二酸化炭素を処理する際に必要なエネルギの消費量を低減することが可能となる。
【0041】
また、吸着材収容部32は、両端部の中央部側を除く部分を閉鎖することによって両端面の中央部に開口部32aが形成された筒形状に形成され、吸着材収容部32は、筒形状の中心軸が、水平方向に延びる回転軸31aに対してロータ30の周方向に傾けられた姿勢で配置され、吸着材加熱部40は、第2流通路13に位置する吸着材収容部32の中心軸方向における、下方に位置する端部側から吸着材を加熱する。
【0042】
これにより、第2流通路13において、吸着材収容部32の中心軸方向の一端側にあるまった吸着材20を集中的に加熱することによって、吸着材20から二酸化炭素を脱離させることができるので、出力の小さい吸着材加熱部40を使用することが可能となり、二酸化炭素の処理に必要なエネルギの消費量を低減することが可能となる。
【0043】
<第3実施形態>
図6は、本発明の第3実施形態を示すものであり、二酸化炭素処理装置の側面断面図である。尚、前記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0044】
本実施形態の二酸化炭素処理装置1は、
図6に示すように、それぞれの吸着材収容部32の内部に、吸着材20に対する二酸化炭素の吸着および脱離を促進するための吸着脱離促進部材21が充填されている。
【0045】
吸着脱離促進部材21は、繊維材料、多孔質材料等からなり、吸着材収容部32内において毛細管現象によって吸着材20を吸い上げて、吸着材20と第1流通路12および第2流通路13を流通する気体との接触面積を増加させる。
【0046】
以上のように構成された二酸化炭素処理装置1において、第1流通路12および第2流通路13のそれぞれに気体を流通させると、それぞれの吸着材収容部32では、吸着脱離促進部材21が吸着材20を吸い上げることによって、吸着材収容部32の内部の全体に吸着材20が広がる。これにより、それぞれの吸着材収容部32では、第1流通路12および第2流通路13を流通する気体と吸着材20との接触面積が増加する。
【0047】
このように、本実施形態の二酸化炭素処理装置は、第1実施形態と同様に、吸着材20の二酸化炭素の吸着と脱離とによって生じる吸着材収容部32の重量の変化によってロータ30を回転させることが可能となるので、二酸化炭素を処理する際に必要なエネルギの消費量を低減することが可能となる。
【0048】
また、吸着材収容部32の内部には、吸着材20の二酸化炭素の吸着および脱離を促進する吸着脱離促進部材21が充填されている。
【0049】
これにより、それぞれの吸着材収容部32における、第1流通路12および第2流通路13を流通する気体と吸着材20との接触面積を増加することが可能となるので、二酸化炭素の処理をより効率的に行うことが可能となる。
【0050】
<第4実施形態>
図7は、本発明の第4実施形態を示すものであり、二酸化炭素処理装置の側面断面図である。尚、前記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0051】
本実施形態の二酸化炭素処理装置1は、
図7に示すように、それぞれの吸着材収容部32の内部に、二酸化炭素を吸着する粉体の吸着材22が収容されている。
【0052】
以上のように構成された二酸化炭素処理装置1において、第1実施形態と同様に、第1流通路12側に位置する吸着材収容部32において、一方の開口部32aから内部に流入した気体が、吸着材22に接触することによって、気体中に含まれる二酸化炭素が吸着材22に吸着され、他方の開口部32aから流出する。また、第2流通路13側に位置する吸着材収容部32において、一方の開口部32aから内部に流入した気体は、吸着材加熱部40によって加熱された吸着材22から放出された二酸化炭素が混入し、他方の開口部32aから流出する。
【0053】
このように、本実施形態の二酸化炭素処理装置は、第1実施形態と同様に、吸着材22の二酸化炭素の吸着と脱離とによって生じる吸着材収容部32の重量の変化によってロータ30を回転させることが可能となるので、二酸化炭素を処理する際に必要なエネルギの消費量を低減することが可能となる。
【0054】
また、前記吸着材22は、二酸化炭素を吸着する粉体である。
【0055】
これにより、液体を使用が困難な箇所においても設置することが可能となり、設置場所を問わず二酸化炭素を処理することが可能となる。
【0056】
<第5実施形態>
図8は、本発明の第5実施形態を示すものであり、二酸化炭素処理装置の側面断面図である。尚、前記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0057】
本実施形態の二酸化炭素処理装置1は、
図8に示すように、ロータ30に回転力を付与する回転力付加部33を備えている。
【0058】
回転力付加部33は、例えば、電動モータ等からなり、ロータ30の回転軸31aに連結されている。回転力付加部33は、吸着材収容部32の重量の変化によって回転するロータ30に対して、回転力を補助的に付与する。
【0059】
以上のように構成された二酸化炭素処理装置1において、ロータ30は、第1流通路12に位置する吸着材収容部32に収容された吸着材20が二酸化炭素を吸着することによって生じる重量の増加と、第2流通路13に位置する吸着材収容部32に収容された吸着材20が二酸化炭素を脱離することによって生じる重量の減少と、によって回転力が付与されて回転する。このとき、吸着材収容部32の重量の変化によって回転するロータ30に対して回転力付加部33によってロータ30に回転力を付与することによって、ロータ30を目的の回転数で回転させる。
【0060】
このように、本実施形態の二酸化炭素処理装置は、第1実施形態と同様に、吸着材20の二酸化炭素の吸着と脱離とによって生じる吸着材収容部32の重量の変化によってロータ30を回転させることが可能となるので、二酸化炭素を処理する際に必要なエネルギの消費量を低減することが可能となる。
【0061】
また、ロータ30に対して回転力を付加する回転力付加部33を備えている。
【0062】
これにより、吸着材収容部32の重量の変化によって回転するロータ30に対して回転力を付与することによって、ロータ30を目的の回転数で回転させることが可能となり、二酸化炭素を処理する能力を最大限度まで高めることが可能となる。
【0063】
尚、前記実施形態では、第1流通路12および第2流通路を、互いに水平方向に並べて配置したものを示したが、これに限られるものではない。第1流通路および第2流通路のそれぞれの少なくとも一部を水平方向に位置をずらして配置した場合においても、第1流通路に位置する吸収材収容部と、第2流通路に位置する吸収材収容部との重量の差異によってロータを回転させることが可能である。
【実施例0064】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。尚、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
【0065】
実施例では、
図1乃至
図4に示す二酸化炭素処理装置1を用いて第1流通路12を流通する空気中の二酸化炭素を吸着材20によって吸着し、吸着材20によって吸着した二酸化炭素を、第2流通路13を流通する空気中に放出する。
【0066】
吸着材20としては、モノエタノールアミン溶液を使用する。モノエタノールアミン溶液は、比重が約1で、1gあたりの最大の二酸化炭素の吸着量が0.36gである(0.36g・CO2/g・MEA)。
【0067】
ロータ30は、回転軸31aを中心として8つの吸着材収容部32が周方向に均等に配置されている。
【0068】
吸着材収容部32は、内径38cm、長さ100cmの円筒状部材であり、内部に4.2l(約4.2kg)の吸着材20を収容する。
【0069】
ロータ30は、8つの吸着材収容部32が配置された状態において、回転軸31aの中心と各吸着材収容部32の中心軸との距離が50cmである。
【0070】
以上のように構成された二酸化炭素処理装置1において、吸着材20は、1gあたり0.1g(0.1g・CO2/g・MEA)の二酸化炭素を吸着および脱離するものと仮定する。即ち、各吸着材収容部32においては、0.42kgの二酸化炭素を吸着および脱離するため、第1流通路12に位置する吸着材収容部32と第2流通路13に位置する吸着材収容部32との間で質量の差異が0.42kgとなる。
【0071】
図2に示すように、第1流通路12に3つの吸着材収容部32が位置し、第2流通路13に3つの吸着材収容部32が位置している状態で、ロータ30に作用するトルクTは、接線力Fおよび回転半径rとの関係から以下の式で求められる。
【0072】
T(N・m)=F(N)×r(m)
【0073】
ここで、
図2において、第1流通路12に位置する3つの吸着材収容部32うち、回転軸31aの同じ高さに位置している吸着材収容部32は、0.42×9.8Nの接線力を作用させ、回転軸31aを含む水平面に対して上下にそれぞれ45°回転した位置の吸着材収容部32は、それぞれ、(1/√2)×0.42×9.8Nの接線力を作用させる。このため、第1流通路12に位置する3つの吸着材収容部32の合計の接線力Fは、約10Nとなる。また、回転半径rは、0.5mである。これにより、トルクTは、約5N・mとなる。
【0074】
また、ロータ30の慣性モーメントIは、ロータ30の質量mおよび回転半径rとの関係から以下の式で求められる。
【0075】
I(kg・m2)=m(kg)×r2(m)
【0076】
ここで、本実施例では、各吸着材収容部32の質量が回転軸から50cmの距離の質点に集中していると仮定するとともに、各吸着材収容部32の質量が吸着材20の質量と同一であると仮定し、ロータ本体31および回転軸31a等の構造体の慣性モーメントを無視する。
【0077】
これにより、質量mは、8つの吸着材収容部32の質量、8つの吸着材収容部32に収容されている吸着材20の質量の合計(0.42+0.42)×8kgである。また、回転半径rは、0.5mである。これにより、ロータ30の慣性モーメントIは、約17kg・m2となる。
【0078】
さらに、ロータ30の角加速度αは、ロータ30に作用するトルクTおよび慣性モーメントIとの関係から、以下の式で求められる。
【0079】
α(rad/sec2)=T(N・m)/I(kg・m2)
【0080】
これにより、角加速度αは、約0.29rad/s2となり、ロータ30は回転が加速することになるが、回転速度の増加に伴って回転抵抗R(吸着材20の内部抵抗を含む)が大きくなるため(Iα=T-R)、トルクTと回転抵抗Rとの釣り合いが取れる角速度で回転することがわかる。