(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145048
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】容器管理装置、容器管理プログラム、容器管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20230101AFI20231003BHJP
【FI】
G06Q10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052318
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宮本 洋
(72)【発明者】
【氏名】林 正二
(72)【発明者】
【氏名】井口 匠
(72)【発明者】
【氏名】増田 藍
(72)【発明者】
【氏名】川村 邦人
(72)【発明者】
【氏名】築地新 建太
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】使用済みの容器を効率的に収集し、回収に要する人や燃料のコストを低減させる容器管理装置を提供する。
【解決手段】本発明の容器管理装置は、容器に収容された商品の使用時期に関する情報又は容器の回収を要求する情報に基づいて回収すべき容器の種類及び数量の情報を生成する容器情報生成部と、回収すべき容器の回収地点及び回収時間帯、並びに、回収に向かう回収者の位置情報を含む回収条件を生成する回収条件生成部と、前記容器情報生成部が生成した前記容器の種類及び数量の情報、並びに、前記回収条件生成部が生成した前記回収条件に基づいて、前記回収者が前記回収地点に向かう回収行程を演算する回収行程演算部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に収容された商品の使用時期に関する情報又は容器の回収を要求する情報に基づいて回収すべき容器の種類及び数量の情報を生成する容器情報生成部と、
回収すべき容器の回収地点及び回収時間帯、並びに、回収に向かう回収者の位置情報を含む回収条件を生成する回収条件生成部と、
前記容器情報生成部が生成した前記容器の種類及び数量の情報、並びに、前記回収条件生成部が生成した前記回収条件に基づいて、前記回収者が前記回収地点に向かう回収行程を演算する回収行程演算部と、を備えた、容器管理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記容器情報生成部は、さらに、回収すべき容器の状態に関する情報を生成する、容器管理装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記回収条件生成部は、前記回収者の回収可能日時を含む回収条件を生成する、容器管理装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記回収条件生成部は、さらに、積載量、作業員数、交通情報の少なくとも1つを含む回収条件を生成する、容器管理装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記容器情報生成部は、容器に収容された商品の残量に基づいて消費時期に関する情報を作成する、容器管理装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記回収行程演算部は、容器の回収を要求する情報を送信した回収先の回収地点の周辺地域に属している回収先候補を抽出する、容器管理装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記回収先候補となる端末装置から容器の回収を受諾する情報を受信した場合、前記回収行程演算部は、前記回収先の回収地点及び前記回収先候補の回収地点を含む回収経路を演算する、容器管理装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記回収条件生成部は、前記回収地点に配送する予定の商品の有無を含む回収条件を生成し、
商品の受け渡しと同時に容器の受け取りが可能な場合、前記回収行程演算部は、前記商品の配送行程と前記容器の回収行程とを関連付ける、容器管理装置。
【請求項9】
容器に収容された商品の使用時期に関する情報又は容器の回収を要求する情報に基づいて回収すべき容器の種類及び数量の情報を生成する容器情報生成部と、
回収すべき容器の回収地点及び回収時間帯、並びに、回収に向かう回収者の位置情報を含む回収条件を生成する回収条件生成部と、
前記容器情報生成部が生成した前記容器の種類及び数量の情報、並びに、前記回収条件生成部が生成した前記回収条件に基づいて、前記回収者が前記回収地点に向かう回収行程を演算する回収行程演算部と、を備えた、容器管理プログラム。
【請求項10】
容器に収容された商品の使用時期に関する情報又は容器の回収を要求する情報に基づいて回収すべき容器の種類及び数量の情報を生成する容器情報生成過程と、
回収すべき容器の回収地点及び回収時間帯、並びに、回収に向かう回収者の位置情報を含む回収条件を生成する回収条件生成過程と、
前記容器情報生成部が生成した前記容器の種類及び数量の情報、並びに、前記回収条件生成部が生成した前記回収条件に基づいて、前記回収者が前記回収地点に向かう回収行程を演算する回収行程演算過程と、を備えた、容器管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、使用済み容器の廃棄による資源の無駄遣いが社会問題となっており、この問題を解消するために、容器の再利用を推進するシステムが提案されている。例えば、特許文献1には、店舗に返却された使用済みのリユース容器の回収・洗浄・配送を行う容器管理事業者に対して、リユース容器の使用履歴情報を提供することにより、容器を洗浄する洗浄工程を適正に選択できるようにしたリユース飲料容器管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、容器の洗浄に資する情報を収集することを意図したものであり、容器を如何に効率的に回収するかについては、何ら開示がされていない。
【0005】
本発明の目的は、使用済みの容器を効率的に収集し、回収に要する人や燃料のコストを低減させる容器管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の容器管理装置は、容器に収容された商品の使用時期に関する情報又は容器の回収を要求する情報に基づいて回収すべき容器の種類及び数量の情報を生成する容器情報生成部と、回収すべき容器の回収地点及び回収時間帯、並びに、回収に向かう回収者の位置情報を含む回収条件を生成する回収条件生成部と、前記容器情報生成部が生成した前記容器の種類及び数量の情報、並びに、前記回収条件生成部が生成した前記回収条件に基づいて、前記回収者が前記回収地点に向かう回収行程を演算する回収行程演算部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、使用済みの容器を効率的に収集し、回収に要する人や燃料のコストを低減させる容器管理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る容器循環システムの全体構成を示す図。
【
図2】実施例1に係るリユース容器回収システムのブロック図。
【
図3】実施例1の容器情報データベースに格納された、容器情報の一例を示す図。
【
図4】実施例1の回収先データベースに格納された、回収先情報の一例を示す図。
【
図5】実施例1の回収者データベースに格納された、回収者情報の一例を示す図。
【
図6】容器回収の流れの一例を示すフローチャート。
【
図8】実施例2に係るリユース容器回収システムのブロック図。
【
図9】実施例2の回収先データベースに格納された、回収先情報の一例を示す図。
【
図10】実施例3における容器管理装置の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
<容器循環システム>
本実施形態に係る容器循環システムの全体構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る容器循環システムの全体構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る容器循環システムは、主に、容器循環会社と、商品メーカと、流通会社と、需要者と、データ管理会社と、で構成される。
【0011】
容器循環会社は、容器の製造の他、使用済み容器の洗浄や再資源化等の業務を行う会社である。容器循環会社は、新たに製造した容器、調整済み容器、洗浄済み容器等を商品メーカに提供するとともに、使用済みの容器を回収業者から受け取る。容器循環会社は、使用済み容器から残っている商品を廃棄し洗浄するが、パッキンの劣化で蓋が閉まらない、印刷が薄くなっている、容器IDが読み取れない、等の場合には、容器の調整又は再資源化を行う。なお、容器の製造や洗浄を、同じ会社が行う必要はなく、別々の会社がそれぞれの業務を行っても良い。
【0012】
商品メーカは、容器循環会社から提供を受けた容器に商品を充填し、流通会社へ提供する。また、商品メーカは、流通会社による販売状況に基づいて商品の需要を把握し、適切な量の商品を生産する。なお、商品メーカは、商品の供給情報等を容器循環会社へ提供することで、容器循環会社が容器の需要を把握することも可能となる。
【0013】
流通会社は、容器を含む商品を保管する倉庫を備え、商品メーカから仕入れた商品を需要者に販売する。流通会社の事業形態としては、ECサイトで注文を受け付けて配送するものと、店舗を展開するものと、がある。なお、量り売りサーバ等により店頭で商品が充填される場合には、容器循環会社から流通会社へ直接容器が提供される場合もある。また、流通会社は、売れ残った商品を廃棄せずに、商品メーカや容器循環会社へ返却することもある。
【0014】
需要者は、一般消費者だけに限らず、飲食店等も含む。需要者がECサイト又は店舗で購入した商品を消費すると、使用済み容器が、次の3つの方法で回収される。第1の方法は、需要者が回収業者による容器の回収を依頼又は受諾する方法であり、実施例1を用いて後述する。第2の方法は、需要者が使用済み容器を、商品を購入した店舗又は他の店舗に返却する方法であり、実施例2を用いて後述する。第3の方法は、需要者がEC商品を受け取る時に容器を受け渡す方法であり、実施例3を用いて後述する。
【0015】
データ管理会社は、容器管理装置を有しており、容器循環会社、商品メーカ、流通会社及び需要者等から情報通信インターフェースを介して取得した、容器、商品及び需要者に関する情報をデータベースで管理する。
【0016】
以下では、容器循環システムのうち、特に、商品を収容する容器が購入されてから回収されるまでに関する、リユース容器回収システムに焦点を当てて説明する。
【実施例0017】
<リユース容器回収システム>
図2は、実施例1に係るリユース容器回収システムのブロック図である。本実施例は、需要者が回収業者による容器の回収を依頼又は受諾する例、すなわち、容器の回収業者が、容器に収容される商品の購入者の住居や飲食店等まで容器の回収に訪れる例を示す。
【0018】
本実施例のリユース容器回収システムは、
図2に示すように、容器管理装置100と、回収先端末装置200と、回収者端末装置300と、交通情報管理装置400と、ネットワーク500と、で構成されている。
図2では、回収先端末装置200及び回収者端末装置300がそれぞれ1つのみ示されているが、実際には多数の各装置がネットワーク500を介して容器管理装置100に接続される。なお、容器管理装置100は、単一のコンピュータで構築されるサーバであっても、多数のコンピュータ群で構築されるクラウド型のサーバであっても良い。
【0019】
<容器管理装置>
本実施例の容器管理装置100は、プロセッサ110と、メモリ120と、通信部130と、ストレージ140と、を備えている。
図2では、概念的にプロセッサ110が実行する機能を、容器情報生成部121、回収条件生成部122及び回収行程演算部123として示している。これらの機能を実現するためのプログラムは、メモリ120に格納される。なお、上記プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供されたり、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM等の計算機で読み取り可能な記録媒体に記録して提供されたり、配布されても良い。さらには、上記プログラムは、インターネット等のネットワークに接続された計算機上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供されたり、配布されたりしても良い。
【0020】
容器情報生成部121は、容器に収容された商品の使用時期に関する情報又は容器の回収を要求する情報に基づいて回収すべき容器の種類及び数量の情報を生成する。回収条件生成部122は、回収すべき容器の回収地点及び回収時間帯、並びに、回収に向かう回収者の位置情報を含む回収条件を生成する。回収行程演算部123は、容器情報生成部121が生成した容器の種類及び数量の情報、並びに、回収条件生成部122が生成した回収条件に基づいて、回収者が回収地点に向かる回収行程を演算する。
【0021】
通信部130は、ネットワーク500を介して、回収先端末装置200、回収者端末装置300及び交通情報管理装置400との間でデータをやり取りするためのインターフェースである。ストレージ140は、容器情報データベース141と、回収先データベース142と、回収者データベース143と、を有している。
【0022】
図3は、実施例1の容器情報データベースに格納された、容器情報の一例を示す図である。
図3に示すように、容器情報データベース141には、容器IDごとに、需要者ID、容器種類、購入日、初期容量、残量、消費時期及び消費期限の情報が格納されている。なお、容器情報データベース141には、当該容器を製造する容器製造会社の情報、当該容器に充填する商品を生産する商品メーカの情報、当該商品の流通に関わる店舗やECサイトの情報、商品の種類を特定する商品ID、等が含まれていても良い。容器製造会社と当該容器に充填する商品を生産する商品メーカは同一の場合も、異なる場合も含まれる。
【0023】
ここで、容器IDは、容器の表面にバーコード、2次元コード、RFID(Radio Frequency Identification)タグ等を用いて付される、容器固有の識別情報であり、読取装置によって読取が可能である。需要者IDは、店舗又はECサイトで購入した需要者を特定する情報であり、商品購入後に需要者が自ら、回収先端末装置200を用いて、当該商品を収容する容器のIDと紐づけて登録し、その情報が容器管理装置100へ送信され、容器情報データベース141に記録される。なお、需要者IDの登録は、店舗やECサイト等が、商品の決済時に参照する需要者の情報に基づいて、容器IDと対応させる形で容器管理装置100に送信することで行われても良い。
【0024】
容器種類は、例えば、商品が飲料の場合は飲料ボトルや飲料サーバ等であり、商品が燃料や洗剤の場合はタンク等である。購入日は、容器に収容される商品を需要者が購入した日時である。購入日は、需要者が自ら登録しても良いし、商品購入時に店舗の読取装置等で読み取られた容器IDの情報が、需要者IDと共に容器管理装置100に送信される際に、容器情報データベース141に自動的に登録されても良い。初期容量は、商品メーカによって容器IDと紐づく形で記録され、容器管理装置100に送信されることで、容器情報データベース141に記録される。
【0025】
残量は、容器内の商品の残量を検知する残量センサ600により検知された直近の容量であり、ネットワーク500を介して、容器管理装置100に送信される。なお、残量センサ600の無い容器が空になったか否かの情報又は残量に関する情報は、需要者が回収先端末装置200を用いて自ら登録しても良く、その場合も需要者によって登録された情報が、容器管理装置100に送信される。容器管理装置100に逐次送信される、容器の残量等に関する情報は、容器情報データベース141の当該容器IDに対応する情報として更新される。
【0026】
消費時期は、初期容量及び残量等の情報に基づいて当該容器が空になると推定される日時、又は、実際に残量がなくなり容器が空になった日時である。消費期限は、容器内の商品の消費期限であり、商品メーカによって記録され、容器管理装置100に送信されることで、容器情報データベース141に登録される。容器情報データベース141に登録される容器製造会社と、その会社が製造する容器に充填される商品のメーカが異なる場合であっても、消費期限は、商品メーカによって記録される。
【0027】
図4は、実施例1の回収先データベースに格納された、回収先情報の一例を示す図である。
図4に示すように、回収先データベース142には、回収先IDごとに、回収地点、回収希望日時、回収依頼有無、容器ID、容器種類、空き経過日数の情報が格納されている。
【0028】
ここで、回収先IDは、需要者IDと一致することもあるが、商品の購入時に、容器IDと紐づく形で需要者IDが記録されなかった場合等は、回収先端末装置200にて容器IDと紐づく形で回収先IDとして新たに記録される。回収地点は、回収先IDに紐づけられた住所である。回収希望日時は、回収先IDに対応する一般消費者等が、リユース容器回収サービスによる空の容器の回収を依頼した場合における、回収を希望する日時である。なお、時間は幅を持った時間帯であってもよく、以後の記載でも同様である。回収依頼有無は、回収依頼の有無を示す情報であり、各回収先にある容器ごとの登録が可能である。空き経過日数は、容器が空になってからの経過日数である。容器ID及び容器種類は、
図3で説明した通りである。なお、回収先データベースには、各回収先について、容器の種類ごとに回収対象の数量に関する情報も格納される。
【0029】
図5は、実施例1の回収者データベースに格納された、回収者情報の一例を示す図である。
図5に示すように、回収者データベース143には、例えば、回収者IDごとに、現在位置、積載量、作業員数、回収可能日時の情報が格納されている。
【0030】
ここで、回収者IDは、例えば、回収業者ごとに、あるいは、同じ回収業者でも複数の回収用車両を有している場合には回収用車両ごとに、付される識別情報である。なお、本実施例における回収業者は、回収先で受け取った空の容器を容器循環会社まで配送する業者であるが、容器循環会社が回収業者を兼ねても良い。現在位置は、回収者IDに対応する回収用車両等が回収中の場合はその位置であり、回収中でない場合は回収者の拠点となる場所である。積載量は、当該回収用車両等に積める容器の重さであり、車種等によって決まる。作業員数は、当該回収用車両等に乗車して実際の回収作業を行う作業員の数であり、数が多ければ回収先で容器の積み込みに要する時間が短くなる。回収可能日時は、当該回収用車両及び作業員等が回収にあたることが可能な時間帯である。なお、回収者データベース143には、さらに、当該回収用車両の燃料の残量等が含まれていても良い。
【0031】
<回収先端末装置>
回収先端末装置200は、容器の回収先(需要者)、例えば、一般消費者、飲食店等が所有するスマートフォン、タブレット端末等である。リユース容器回収のサービスを利用する需要者は、回収先端末装置200を操作し、容器管理装置100の情報に基づき容器循環会社等が提供するアプリ又はウェブサイト上で、容器の回収を依頼したり受諾したりできる。
【0032】
図2に示すように、本実施例の回収先端末装置200は、プロセッサ210と、メモリ220と、通信部230と、表示部240と、を備えている。
図2では、概念的にプロセッサ210が実行する機能を、残量判定部221、回収依頼部222及び回収受諾部223として示している。これらの機能を実現するためのプログラムは、メモリ220に格納される。なお、上記プログラムは、予め組み込まれて提供されたり、記録媒体に記録して提供されたり、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供されたりしても良い。
【0033】
残量判定部221は、回収先にある容器の残量センサ600と接続されており、残量センサ600の検出値に基づいて、容器内の商品の残量を判定する。なお、残量センサ600は、例えばカメラや重量センサであり、容器が貯蔵される冷蔵庫等に設けられても良いし、容器自体に設けられても良い。回収依頼部222は、回収先の需要者が空の容器の回収を要求する場合に操作するものであり、操作がされると回収要求情報が容器管理装置100へ送信される。回収受諾部223は、容器管理装置100から受け取った回収可否の問合せに対して受諾する場合に操作するのであり、操作がされると回収可能情報が容器管理装置100へ送信される。
【0034】
回収先端末装置200には、残量判定部221により判定される商品の残量に基づいて、容器回収のリコメンドが行われても構わない。リコメンドでは、容器情報データベース141に格納されている容器ID、容器種類を含む容器情報が、回収推奨日時とともに表示部240を介して需要者に通知される。
【0035】
通信部230は、ネットワーク500を介して、容器管理装置100との間でデータをやり取りするためのインターフェースである。また、表示部240は、各容器内の商品の残量、容器の回収依頼状況、後述する回収可否問合せ情報、等を表示することができる。なお、表示部240は、回収依頼部222や回収受諾部223の機能を発現させる操作部としての機能も併せもつ操作表示部であっても良い。
【0036】
<回収者端末装置>
回収者端末装置300は、容器の回収者が所有するスマートフォン等の端末装置、又は、容器の回収者が乗車する回収用車両に搭載された端末装置である。回収者端末装置300は、ネットワーク500を介して、容器管理装置100と接続されており、容器回収の指示や回収スケジュールの提供を受ける。
【0037】
本実施例の回収者端末装置300は、プロセッサ320と、通信部310と、表示部330と、位置検知部340と、を備えている。
【0038】
通信部310は、ネットワーク500を介して、容器管理装置100との間でデータをやり取りするためのインターフェースである。また、表示部330は、容器管理装置100から提供される容器回収の指示や回収スケジュール等を表示することができる。位置検知部340は、全地球測位システムであるGPS(Global Positioning System)や他の人工衛星からのデータを使って現在位置のデータを取得する。位置検知部340で検知された現在位置のデータは、通信部310を介して逐次、容器管理装置100の回収者データベース143に記憶される。
【0039】
<交通情報管理装置>
交通情報管理装置400は、ネットワーク500を介して容器管理装置100と接続され、交通情報データベース410を有している。交通情報データベース410には、地図情報、速度制限や一方通行等の道路の制約情報、道路の渋滞情報、等が格納されている。
【0040】
<容器回収の流れ>
次に、商品を収容する容器が購入されてから、回収されるまでの流れの一例を、
図6及び
図7に基づき説明する。
図6は、容器回収の流れの一例を示すフローチャートであり、
図7は、回収経路の一例を示す図である。
【0041】
容器管理装置100の容器情報生成部121は、回収先端末装置200から送信された容器の残量と、初期容量と、に基づいて容器が空になる時期を推定し、推定結果を当該容器IDの消費時期として容器情報データベース141に記録する(ステップS101)。なお、消費時期は、回収先端末装置200の残量判定部で221推定され、回収先端末装置200が残量に代えて容器管理装置100に送信しても良い。
【0042】
さらに、容器情報生成部121は、容器情報データベース141を参照し、消費時期又は消費期限に到達した容器IDの需要者が所有する回収先端末装置200に対して、容器の回収の要否を問合せる回収要否問合せ情報を、通信部130を介して送信する(ステップS102)。なお、保管場所に余裕がある場合等には、回収要否問合せ情報は、空き容器が発生しても直ちには送信せず、空き容器の発生後、一定期間が経過してから送信するようにしても良い。逆に、保管場所に余裕がない場合等には、空き容器が発生する前、すなわち、消費時期や消費期限に到達する一定期間前に行われても良い。
【0043】
需要者は、回収を要求する場合、回収先端末装置200の回収依頼部222を操作することにより、回収要求情報を容器管理装置100へ送信する(ステップS103)。容器情報生成部121は、通信部130を介して回収要求情報を受信すると、回収先データベース142における当該回収先IDに紐づく容器IDの回収依頼を「有」に更新する。なお、回収先端末装置200が回収を要求しない場合、容器情報生成部121は、回収先データベース142における当該回収先IDに紐づく容器IDは、回収先で保管されるべき回収不要のものとして更新される。
【0044】
また、回収先端末装置200は、容器管理装置100からの要否確認情報が届かなくても、回収依頼部222の操作により、回収要求情報を容器管理装置100へ送信し、自発的に容器の回収を依頼することも可能である。回収先端末装置200からの自発的な回収依頼は、回収を希望する各容器の容器IDを特定したものであっても良いし、回収を希望する容器の種類とその数量のみであっても良い。
【0045】
通信部130が、回収先端末装置200から、回収希望日時、回収対象の容器の容器ID、容器の種類ごとの回収対象の数量、等の情報を受信すると、回収条件生成部122は、回収先データベース142のうち、送信元の回収先端末装置200の回収先IDに対応する情報を更新する。すると、回収行程演算部123は、回収者データベース143を参照して、回収要求のあった回収先IDに関し、回収地点、回収希望日時、容器の種類ごとの回収対象の数量等を考慮して対応が可能な回収者IDを抽出する(ステップS104)。回収行程演算部123が回収者IDを抽出する際には、回収者データベース143における、回収者の現在位置、積載量、作業員数、回収可能日時等の他、交通情報管理装置400の交通情報データベース410に格納されている渋滞情報等が参照される。ビールサーバ等の大きな容器の場合は、傷が付かないようにする保護剤等の搬送用具を回収者が所有しているか否かの情報も参照される。
【0046】
ここで、回収行程演算部123は、回収要求情報を受信していない回収先IDのうち、空の容器が発生して所定期間が経過し、かつ、回収要求情報を受信した回収先IDの回収地点の周辺地域に属しているもの(以下、周辺回収先候補と呼ぶことが有る)も抽出する(ステップS105)。周辺地域に属するか否かは、所定の回収地点からの距離が一定以内か否か、所定の回収地点への回収ルートの途中にあるか否か、等の情報に基づいて判定される。
【0047】
周辺回収先候補が抽出された場合、回収行程演算部123は、当該回収先IDに対応する回収先端末装置200へ、回収候補日時とともに、容器の回収の可否を問合せる回収可否問合せ情報を、通信部130を介して送信する(ステップS106)。
【0048】
周辺回収先候補は、回収可能である場合、回収先端末装置200の回収受諾部223を操作することにより、回収可能情報を容器管理装置100へ送信する(ステップS107)。
【0049】
回収行程演算部123は、通信部130を介して回収可能情報を受信すると、回収要求情報を受信した回収先の回収地点、回収可能情報を受信した回収先候補の回収地点、を含む最適な(例えば
図7のような)回収経路を確定させる(ステップS108)。最適な回収経路の確定に際しては、回収用車両の燃料の残量や積み込み作業時間(容器の種類や数量、作業員数等)、一緒に回収される容器の種類の組合せ等も考慮される。なお、回収の日時が即時の場合、現在対応可能な回収者の現在位置が回収経路の演算等に用いられるが、回収の日時が即時でない場合、その時間帯で対応可能な回収者が当該回収先へ向かう直前の位置(例えば回収者の拠点となる場所)が回収経路の演算等に用いられる。
【0050】
最適な回収経路が確定すると、各回収先での容器の積み込み作業の開始予定時刻等を含む、回収スケジュールが通信部130を介して回収者端末装置300へ送られる(ステップS109)。回収者は、回収者端末装置300の表示部330に出力された回収スケジュールを確認しながら、回収用車両を使って各回収先へ移動するとともに、容器の積み込み作業を行う。
【0051】
本実施例によれば、使用済みの容器を効率的に収集し、回収に要する人や燃料のコストを低減させることが可能となる。
【0052】
なお、容器情報データベース141には、容器の状態、すなわち、洗浄すれば再利用できる状態か、劣化が進んで再利用できない状態か、等に関する情報が含まれていても良い。例えば、周辺回収先候補が複数存在して全てを回収することが不可能な場合、再利用できる状態の容器のある候補を優先し、再利用できない状態の容器のある候補は回収可否問合せ情報を送信しないようにしても良い。逆に、容器循環会社が新しい容器を循環させたい場合には、再利用できない状態の容器を優先して回収させることも可能である。
ここで、回収先IDは、店舗を特定するIDとなる。回収地点は、回収先IDに紐づけられた住所である。現在数量は、回収ボックス内に持ち込まれた容器の現在の数量であり、容器の種類ごとに記録されるのが望ましい。基準数量は、回収の要否の基準となる数量であり、現在数量が基準数量に達すると、回収先端末装置200が容器管理装置100に対して回収要求情報を送信し、自動的に回収依頼を行う。なお、回収先端末装置200は、現在数量のみを定期的に容器管理装置100へ送信し、基準数量に達したか否か、回収が必要か否か、は容器管理装置100が判定しても良い。また、実施例1と同様に、店舗の回収先端末装置200にも回収依頼部222を設け、回収要求情報を自発的に容器管理装置100へ送信できるようにしても良い。
なお、本実施例でも、専門の容器回収業者の作業員が店舗まで容器の回収に向かうことを想定しているが、流通会社の倉庫から店舗へ商品を配送する作業員が、商品の配送後に容器を倉庫に持ち帰り、別の作業員により倉庫から容器循環会社へ容器が配送されるようにしても良い。