(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145081
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】衛生洗浄装置及び便器装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
E03D9/08 B
E03D9/08 A
E03D9/08 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052363
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 佑司
(72)【発明者】
【氏名】谷本 貴史
(72)【発明者】
【氏名】山本 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】岸野 竜馬
【テーマコード(参考)】
2D038
【Fターム(参考)】
2D038JA01
2D038JA02
2D038JA05
2D038JC01
2D038JF00
2D038JF06
(57)【要約】
【課題】吐水する洗浄水の量を十分な量とすることが可能な衛生洗浄装置及び便器装置を提供すること。
【解決手段】格納位置と進出位置とに進退可能に構成される洗浄ノズルと、衛生洗浄装置の一部に対して吐水して洗浄を行う装置洗浄部6、53と、洗浄ノズルから吐水される洗浄水を洗浄ノズルへ流通させる洗浄ノズル用水回路と、洗浄ノズル用水回路とは異なる水回路により構成され、装置洗浄部から吐水される洗浄水を装置洗浄部へ流通させる装置洗浄部用水回路L2~L4と、を備える衛生洗浄装置である。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に配置される機能部に設けられ人体洗浄機能を有する衛生洗浄装置であって、
格納位置と進出位置とに進退可能に構成される洗浄ノズルと、
衛生洗浄装置の一部に対して吐水して洗浄を行う装置洗浄部と、
前記洗浄ノズルから吐水される洗浄水を前記洗浄ノズルへ流通させる洗浄ノズル用水回路と、
前記洗浄ノズル用水回路とは異なる水回路により構成され、前記装置洗浄部から吐水される洗浄水を前記装置洗浄部へ流通させる装置洗浄部用水回路と、を備える衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記装置洗浄部用水回路における洗浄水の流量は、前記洗浄ノズル用水回路における洗浄水の流量よりも多い請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄ノズル用水回路は、洗浄ノズル用給水バルブを備え、
前記装置洗浄部用水回路は、前記洗浄ノズル用給水バルブとは異なる装置洗浄部用給水バルブを備える請求項1又は請求項2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄ノズルよりも前記機能部の前側に形成される開放部分を開閉するシャッター部を備え、
前記装置洗浄部は、洗浄水を吐水して前記シャッター部を洗浄するシャッター洗浄部を有し、
前記装置洗浄部用水回路は、前記シャッター洗浄部へ洗浄水を流通させる専用水回路を有する請求項1~請求項3のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記装置洗浄部は、洗浄水を吐水して前記洗浄ノズルを洗浄するノズル洗浄部を有し、
前記装置洗浄部用水回路は、前記ノズル洗浄部へ洗浄水を流通させる専用水回路を有する請求項1~請求項4のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
前記機能部は、本体カバーを有し、
前記装置洗浄部は、洗浄水を吐水して前記本体カバーを洗浄するカバー洗浄部を有し、
前記装置洗浄部用水回路は、前記カバー洗浄部へ洗浄水を流通させる専用水回路を有する請求項1~請求項5のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
【請求項7】
前記機能部は、ベース部材を有し、
前記装置洗浄部は、洗浄水を吐水して前記ベース部材を洗浄するベース洗浄部を有し、
前記装置洗浄部用水回路は、前記ベース洗浄部へ洗浄水を流通させる専用水回路を有する請求項1~請求項6のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
【請求項8】
便器と、
前記便器の後部に配置された機能部と、
請求項1~7のいずれかに記載の衛生洗浄装置と、を備える便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衛生洗浄装置及び便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
便器装置において洗浄ノズルを洗浄するノズル洗浄部やシャッター洗浄部が、局部を洗浄する洗浄ノズルと同じ水回路を利用して洗浄水を吐出する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のように同じ水回路を利用して洗浄水を吐出する構成では、洗浄水量に限界がある。本開示は、吐水する洗浄水の量を十分な量とすることが可能な衛生洗浄装置及び便器装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、便器に配置される機能部に設けられ人体洗浄機能を有する衛生洗浄装置であって、格納位置と進出位置とに進退可能に構成される洗浄ノズルと、衛生洗浄装置の一部に対して吐水して洗浄を行う装置洗浄部と、前記洗浄ノズルから吐水される洗浄水を前記洗浄ノズルへ流通させる洗浄ノズル用水回路と、前記洗浄ノズル用水回路とは異なる水回路により構成され、前記装置洗浄部から吐水される洗浄水を前記装置洗浄部へ流通させる装置洗浄部用水回路と、を備える衛生洗浄装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】カバー部材が取り外された機能部を正面側から見た図である。
【
図3】カバー部材及びシャッター部が取り外された機能部を正面側から見た図である。
【
図4】シャッター洗浄部を斜め上方側から見た斜視図である。
【
図5】機能部の前部を斜め下方側から見た斜視図である。
【
図6】シャッター部が取り外された機能部の前部を斜め下方側から見た斜視図である。
【
図7】ユニット化された洗浄ノズルと支持枠とを側方から見た断面図である。
【
図8】ノズル下側洗浄部を斜め上方側から見た斜視図である。
【
図9】カバー部材が取り外された機能部を上側から見た平面図である。
【
図11】洗浄制御部による洗浄ノズル、ノズル洗浄部、シャッター洗浄部の洗浄の動作のタイミングを示す図である。
【
図12】他の実施形態による洗浄制御部による洗浄ノズル、ノズル洗浄部、シャッター洗浄部の洗浄の動作のタイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
便器装置1の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明において、便座(図示省略)に着座した使用者から見た場合の前後の向きを前後方向Yとする。便座に着座した使用者から見た場合の左右の向きを左右方向Xとする。便器2が設置される床面に対する鉛直方向に沿う上下の向きを上下方向Zとする。
【0008】
図1に示すように、本実施形態に係る便器装置1は、便器2と、便座(図示省略)と、便蓋3と、機能部4と、を備える。便器2は、上方に向けて開口して形成される。便器2は、例えば陶器製及び樹脂製の何れかである。便座(図示省略)及び便蓋3は、便器2の上方において、便器2に対して回転可能に取り付けられる。
【0009】
便器2は、
図1及び
図2に示すように、便鉢21と、上面部22と、便器凹部23と、外周壁部24と、を有する。便鉢21は、便器2の前側に配置される。便鉢21は、上部に開口211を有する。外周壁部24は、便鉢21の外面や配管等の外側を囲む。
【0010】
便器凹部23は、便鉢21の開口211の後部側の周縁に沿って配置され、上面部22の上面から凹んで形成される。便器凹部23は、
図2に示すように、底面231と、一対の側壁232と、後壁233(
図8、
図9、
図11参照)と、を有する。本実施形態においては、便器2の上面部22の上面も、便器2の便器凹部23の底面231も、便器2の上面である。
【0011】
機能部4は、
図1に示すように、便器2の後部に配置される。機能部4は、便器2において、後側の大部分が便器2の上面部22の後側の部分に配置された状態で、前側の一部が便器凹部23の上部及び便鉢21の後方側の上方に配置される。機能部4は、機能部凸部42を有する。機能部凸部42は、機能部4の前側において、機能部4の下方に突出して形成される。機能部凸部42は、便器2における便器凹部23以外の上面部22に機能部4が設置された場合に、便器2の便器凹部23に配置される。
【0012】
機能部4は、少なくとも、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄装置5を含んで構成される。機能部4は、
図1及び
図2に示すように、衛生洗浄装置5を含んで構成される機能部品と、ベースプレート41(ベース部材)と、機能部の外形を覆うカバー部材411と、を備える。ベースプレート41には、機能部4の機能部品の少なくとも一部が配置される。
【0013】
機能部品は、各種機能や他の部材との位置関係などを考慮して、ベースプレート41やその他の設置位置に設置される。機能部品は、例えば、便座(図示省略)の保温装置や、洗浄タンクを備えた便器洗浄装置や、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄装置5(
図3参照)や、ホースや、電源ユニットや、制御回路基板や、便座及び便蓋3を電動で開閉させる電動開閉ユニットや、バルブユニットや、各種配管等である。
【0014】
衛生洗浄装置5は、人体洗浄機能を有し、
図3等に示すように、進退可能な一対の洗浄ノズル51と、洗浄ノズル51の前方側開口を開閉するシャッター部52(
図2参照)と、ノズル洗浄部53(
図7参照)と、シャッター洗浄部6(
図2等参照)と、温風乾燥装置54と、洗浄制御部55(
図10参照)と、を有する。
図3では、シャッター部52の図示を省略している。
【0015】
一対の洗浄ノズル51は、機能部4の前側における左右方向Xの中央において、左右方向Xに離れて配置される。一対の洗浄ノズル51は、それぞれ、人体の局部を洗浄する肛門洗浄やビデ洗浄に用いられる。洗浄ノズル51は、先端側の上部に設けられたノズル吐水口51a(
図7参照)により人体に向けて洗浄水を吐水する。
【0016】
一対の洗浄ノズル51は、それぞれ、
図3、
図7に示す格納位置と、その位置から前後方向Yにおける前方向に、シャッター部52よりも突出した位置である進出位置と、に進退可能である。洗浄ノズル51の格納位置は、洗浄ノズル51をシャッター部52の内部側に格納する位置である。洗浄ノズル51の進出位置は、使用者の局部を洗浄するために前方側に進出した位置である。洗浄ノズル51の裏側には、図示しないノズル駆動機構のラックが設けられている。
【0017】
図示しないノズル駆動機構は、長尺状のラックと、ピニオンと、モータと、を備える。ピニオンは、ラックに噛み合っており、モータの駆動により回転される。洗浄ノズル51は、図示しないノズル駆動機構によって、洗浄ノズル51とユニット化されて洗浄ノズルユニットを構成する支持枠501に対して斜め下方に進出することで、その先端が、シャッター部52の裏面(内面)を、
図2の奥側から手前側へ押すように構成されている。
【0018】
洗浄ノズル51の下側には、
図7に示すように、ノズル下面洗浄部としてのノズル下側洗浄部536が、洗浄ノズル51とユニット化されて設けられている。ノズル下側洗浄部536は、
図8に示すように、一対設けられ、内部に洗浄水を流通させる空間を有する筒状に形成されている。ノズル下側洗浄部536の先端部の端面には、ノズル下側洗浄部536の基部側から端面に向かって左右に広がる吐水孔を構成する拡大吐水口5361が形成されている。これにより洗浄水は、拡大吐水口5361から左右方向に広がるように吐水されて、洗浄ノズル51の裏側(下側)に対して、洗浄ノズル51の幅分の洗浄を可能とする。この結果、ノズル下側洗浄部536を小さい形状として、洗浄ノズル51の裏側に対する広い散水効果を得ることができる。
【0019】
洗浄ノズル51の上側には、
図7に示すように、ノズル上面洗浄部としてのノズル上側洗浄部535が、洗浄ノズル51とユニット化されて設けられている。ノズル上側洗浄部535には、吐水孔を構成する貫通孔としての吐出口5351が形成されている。吐出口5351は、拡大吐水口5361のようには広がってはおらず、このため1つの吐出口5351は、拡大吐水口5361よりも狭い範囲で、洗浄ノズル51の上面に対して洗浄水を吐水する。このような吐出口5351は、複数形成されている。これにより、洗浄ノズル51の表側(上側)に対して、洗浄ノズル51の幅分の洗浄を可能とする。このため、ノズル上側洗浄部535は、ノズル下側洗浄部536よりも早い流速で、且つ、多い流量(単位時間における流量である瞬時流量)で、洗浄水を吐水する。これにより、ノズル上側洗浄部535を小さい形状として、洗浄水を吐水の高い流速効果を、洗浄ノズル51の上面において得ることができる。
【0020】
洗浄ノズル51の上側であって、洗浄ノズル51の先端部に対する基部寄りの側には、除菌水供給部を構成する銀イオン供給部537が、洗浄ノズル51とユニット化されて設けられている。銀イオン供給部537は、洗浄水に銀イオンを供給することにより洗浄水を除菌水として、洗浄ノズル51に対してノズル上側洗浄部535の吐出口5351から吐水可能とする。これにより、洗浄ノズル51の除菌を行うことが可能となる。
【0021】
シャッター部52は、機能部凸部42の前側において、左右方向Xの中央に配置される。シャッター部52は、便器2の左右方向X(横方向)に延びる板状に形成される。シャッター部52は、閉位置に位置する場合に、前側から後側に向かうに従って下る下り傾斜の平面状に形成される(
図7等参照)。
【0022】
シャッター部52は、洗浄ノズル51が進退することにより、裏面が洗浄ノズル51に押されることで、洗浄ノズル51の前方に形成される機能部前面枠43の開口部432を開閉する。機能部前面枠43は、ベースプレート41に固定される。機能部前面枠43には、洗浄ノズル51の前方開口部を構成する開口部432(前方開口部)が形成される。開口部432は、機能部4の前側に形成される開放部分である。シャッター部52は、閉位置に位置する場合に、機能部前面枠43の開口部432に配置される。
【0023】
温風乾燥装置54は、
図2、
図3に示すように、閉位置に位置するシャッター部52の後方において、左右方向Xの一方側の外側に配置される。温風乾燥装置54は、温風吹出口541を有する。温風吹出口541は、機能部前面枠43の開口部432の後方において、上方に向けて開口して形成される。温風乾燥装置54は、例えば、衛生洗浄装置5の洗浄動作後の所定のタイミングにおいて、シャッター部52が開いている状態で温風吹出口541から人体に向けて温風を送風したり、シャッター部52の閉じている状態で洗浄後のシャッター部52の裏面に温風を送風したりして水滴を吹き飛ばすことができる。
【0024】
衛生洗浄装置5は、
図10に示すように、洗浄ノズル51とシャッター部52の表面側及び裏面側とを洗浄するための洗浄水が流通する洗浄水回路56を有する。洗浄水回路56は、装置洗浄部としてのノズル洗浄部53及びシャッター洗浄部6に洗浄水を供給する。本実施形態においては、洗浄には、除菌水(銀イオン水、次亜塩素酸)、高温水、泡洗浄などによる洗浄も含まれる。
【0025】
洗浄水回路56は、
図10に示すように、衛生洗浄装置5に洗浄水を供給する洗浄水供給流路L1と、シャッター洗浄左側流路L2と、シャッター洗浄右側流路L3と、ノズル洗浄流路L4と、を有する。ノズル洗浄流路L4は、途中でノズル上面側流路L41と、ノズル下面側流路L42とに分岐する。洗浄水供給流路L1における洗浄水の流量は、洗浄ノズル51のノズル吐水口51aから人体に向けて吐水する洗浄水を洗浄ノズル51へ流通させるホースにより構成される洗浄ノズル用水回路における洗浄水の流量よりも多い。これにより、十分な流量の洗浄水で、洗浄ノズル51やシャッター部52を洗浄することが可能となる。そして、ノズル洗浄部53、シャッター洗浄部6からの洗浄水の吐水の流量は、それぞれ洗浄ノズル51からの洗浄水の吐水の流量よりも多い。これにより、十分な吐水の流量で洗浄ノズル51を洗浄することが可能となる。上述の「流量」とは、いずれも瞬時流量(単位時間における流量)を意味する。
【0026】
洗浄水回路56は、ノズル洗浄部53、シャッター洗浄部6、電磁弁571、減圧弁572、バキュームブレーカ573、ディスクバルブ564を含んで構成され、衛生洗浄装置5の各洗浄動作を実行する。
【0027】
シャッター洗浄左側流路L2、シャッター洗浄右側流路L3、ノズル洗浄流路L4、ノズル上面側流路L41、及び、ノズル下面側流路L42は、例えば、ゴム製のホースにより構成されており、これらは、洗浄ノズル51のノズル吐水口51aから人体に向けて吐水する洗浄水を洗浄ノズル51へ流通させるホースにより構成される洗浄ノズル用水回路とは異なる水回路としての装置洗浄部用水回路を構成する。ここで、「異なる水回路」とは、共通の給水バルブにおいて開閉されるのではなく、それぞれの水回路が、独立して開閉可能な給水バルブをそれぞれ有していることを意味する。即ち、洗浄水回路56は、電磁弁571を含んで構成されているが、図示しない洗浄ノズル用水回路においては、電磁弁571とは独立して開閉可能な他の給水バルブ(洗浄ノズル用給水バルブ)が設けられている。シャッター洗浄右側流路L3は、シャッター洗浄部6のみへ洗浄水を流通させる専用水回路を構成する。ノズル洗浄流路L4(ノズル上面側流路L41、ノズル下面側流路L42)は、ノズル洗浄部53のみへ洗浄水を流通させる専用水回路を構成する。これにより、洗浄ノズル51の洗浄動作と同時にノズル洗浄部53による洗浄をそれぞれの流量を下げることなく行うことができる。また、ノズル洗浄を先に行い、シャッター洗浄を後に行うことが可能となり、これにより、ノズル洗浄時に発生した汚れを、シャッター洗浄により機能部の本体(ベースプレート41、カバー部材411)の外部に洗い流すことが可能となる。
【0028】
電磁弁571、減圧弁572、バキュームブレーカ573、及び、ディスクバルブ564は、この順で洗浄水供給流路L1において設けられて接続されている。電磁弁571、及び、ディスクバルブ564の開閉動作は、洗浄制御部55により制御される。洗浄制御部55が電磁弁571、及び、ディスクバルブ564の開閉動作を制御することにより、ノズル洗浄部53、シャッター洗浄部6は、洗浄水を吐水する。
【0029】
シャッター洗浄左側流路L2の上流側の端部は、ディスクバルブ564に接続され、シャッター洗浄左側流路L2の下流側の端部は、シャッター洗浄部6の左端部の流入口615に接続されている。シャッター洗浄右側流路L3の上流側の端部は、ディスクバルブ564に接続され、シャッター洗浄右側流路L3の下流側の端部は、シャッター洗浄部6の左端部の流入口616に接続されている。流入口615、616に流入した洗浄水は、シャッター洗浄部6の内部の流路を流通して、シャッター洗浄部6の前面吐水口611及び裏面吐水口621から吐水される。
【0030】
ノズル洗浄流路L4の上流側の端部は、ディスクバルブ564に接続され、ノズル洗浄流路L4が分岐した先のノズル上面側流路L41の下流側の端部は、ノズル洗浄部53のノズル上側洗浄部535に接続され、ノズル下面側流路L42の下流側の端部は、ノズル洗浄部53のノズル下側洗浄部536に接続されている。ノズル上側洗浄部535に流通した洗浄水は、ノズル上側洗浄部535の吐出口5351から洗浄ノズル51の上面に対して吐水される。ノズル下側洗浄部536に流通した洗浄水は、ノズル下側洗浄部536の吐出口5361から洗浄ノズル51の下面に対して吐水される。
【0031】
シャッター洗浄部6は、シャッター部52が開口部432を閉じた状態で、シャッター部52の前面52a及び裏面52b(
図7参照)を洗浄する。シャッター洗浄部6は、シャッター部52の上端部の上方に配置される。シャッター洗浄部6は、シャッター部52が開口部432を閉じた閉位置に位置する場合に、シャッター部52に対して下方に向けて洗浄水を吐水する。
【0032】
本実施形態において、「シャッター部52が開口部432を閉じた状態」や「シャッター部52が開口部432を閉じた閉位置に位置する場合」とは、シャッター部52が開口部432を完全に閉じていなくてもよい。「シャッター部52が開口部432を閉じた状態」や「シャッター部52が開口部432を閉じた閉位置に位置する場合」は、例えば、シャッター部52が洗浄ノズル51により押されて僅かに開いている場合において、シャッター部52が開口部432を概ね塞いでいる状態も含む。
【0033】
シャッター洗浄部6は、
図5、
図6、及び、
図7に示すように、前面洗浄吐水部61(表側洗浄部)と、裏面洗浄吐水部62(裏側洗浄部)と、受け部64と、洗浄部被固定部66と、を有する。
【0034】
前面洗浄吐水部61は、
図5及び
図6に示すように、複数の前面吐水口611を有する。複数の前面吐水口611は、シャッター部52の前面52aに洗浄水を吐水する。裏面洗浄吐水部62は、複数の裏面吐水口621を有する。複数の裏面吐水口621は、シャッター部52の裏面52bに洗浄水を吐水する。シャッター部52の前面52a及び裏面52bには、洗浄水が広がるような親水処理が施されるか、又は、シボ加工が施されている。前面52aと裏面52bとの少なくとも一方にのみこのような親水処理が施されていてもよく、また、親水処理はシボ加工に限定されない。
【0035】
前面洗浄吐水部61及び裏面洗浄吐水部62は、洗浄水流通部63に一時的に流通された洗浄水を吐水する。洗浄水流通部63は、
図2、
図3に示すように、機能部4の前部の上部において、カバー部材411の内部に配置される。洗浄水流通部63は、左右方向Xに延びる中空状に形成される。洗浄水流通部63の下面632は、前後方向Yに幅を有して左右方向Xに延びる平面状に形成される。
【0036】
洗浄水流通部63の下面632には、前面洗浄吐水部61の複数の前面吐水口611及び裏面洗浄吐水部62の複数の裏面吐水口621が形成される。洗浄水流通部63の左右方向Xの両端は、
図4に示すように、それぞれ、シャッター洗浄左側流路L2の下流側の端部、シャッター洗浄右側流路L3の下流側の端部に接続される流入口615、流入口616を有している。流入口615、流入口616は、シャッター洗浄部6に溶着されて一体とされている。洗浄水流通部63には、シャッター洗浄左側流路L2、シャッター洗浄右側流路L3を介して洗浄水が導入されて流通される。洗浄水流通部63に一時的に流通された洗浄水は、前面洗浄吐水部61の複数の前面吐水口611と、裏面洗浄吐水部62の複数の裏面吐水口621と、により、シャッター部52に向けて吐水される。
【0037】
複数の前面吐水口611及び複数の裏面吐水口621は、
図5及び
図6に示すように、洗浄水流通部63の下面632において、前後に2列に並んで配置される。複数の前面吐水口611は、洗浄水流通部63の下面632の前後方向Yにおける前側に配置され、複数の裏面吐水口621は、前後方向Yにおける後側に配置される。複数の前面吐水口611及び複数の裏面吐水口621は、左右方向Xのシャッター部52が設けられる領域において、左右方向Xの位置が重ならないように互い違いに、それぞれ、左右方向Xに直線状に並んで配置される。
【0038】
複数の前面吐水口611は、
図7に示すように、洗浄水流通部63の下面632の前後方向Yの前側において、洗浄水流通部63の下面632を上下方向Zに斜めに貫通する貫通孔により形成される。複数の前面吐水口611は、
図5に示すように、シャッター部52が閉位置に位置した状態において、シャッター部52の前面52aに沿って洗浄水を流すように、下方に向けて開口する。
【0039】
複数の前面吐水口611は、シャッター部52の上端屈曲部521に沿う方向である下方に向けて開口する。これにより、複数の前面吐水口611から吐水された洗浄水は、シャッター部52の上端屈曲部521に沿うように吐水され、シャッター部52の前面52aに沿って流れることで、シャッター部52の前面52aを洗浄できる。そして、吐水口611からの吐水方向とシャッター部52の前面52aとが平行になるため、シャッター部52のバラつきの影響を受けにくくすることが可能となる。また、シャッター部52が取り外された状態で前面吐水口611及び裏面吐水口621から洗浄水が吐水された場合であっても、複数の前面吐水口611及び裏面吐水口621からの洗浄水が人体にかかることを回避できる。
【0040】
複数の裏面吐水口621は、
図7に示すように、洗浄水流通部63の下面632の複数の前面吐水口611よりも前後方向Yの後側において、洗浄水流通部63の下面632を上下方向Zに斜めに貫通する貫通孔により形成される。複数の裏面吐水口621は、
図5に示すように、シャッター部52が閉位置に位置した状態において、シャッター部52の裏面52b(
図7参照)に沿って洗浄水を流すように、下方に向けて開口する。
【0041】
複数の裏面吐水口621は、シャッター部52の裏面52bに沿う方向である下方に向けて開口する。これにより、複数の裏面吐水口621から吐水された洗浄水は、シャッター部52の裏面52bに沿うように吐水され、シャッター部52の裏面52bに沿って流れることで、シャッター部52の裏面52bを洗浄できる。また、この開口の方向は、シャッター洗浄部6が、機能部4の内部に収納されている図示しない電装部品が配置されていない方向へ洗浄水を吐水する方向である。ここで、「電装部品が配置されていない方向」とは、シャッター洗浄部6から吐水される洗浄水の吐水方向の延長線上に電装部品が配置されていない方向のみならず、シャッター洗浄部6から吐水される洗浄水が電装部品にかからない方向をも含む。このため、電装部品が被水することを回避することが可能となる。
【0042】
また、前面吐水口611及び裏面吐水口621は、下面632において複数形成されており、洗浄ノズル51のノズル吐水口51aの数の方が少く、且つ、総開口面積が小さいことから、シャッター洗浄部6から吐水される洗浄水の流速よりも、ノズル洗浄部53から吐水される洗浄水の流速の方が速い。これにより、洗浄ノズル51に対する強力な洗浄効果を得ることが可能となる。また、シャッター洗浄部6から吐水される洗浄水の流量は、ノズル洗浄部53から吐水される洗浄水の流量よりも多い。これにより、洗浄ノズル51よりも広い表面積を有するシャッター部52の表面及び裏面を十分に洗浄することが可能となる。
【0043】
受け部64は、
図4に示すように、シャッター洗浄部6の中央部においてシャッター洗浄部6の長手方向に所定の間隔で一対設けられている。受け部64は、シャッター洗浄部6に一体で固定されシャッター洗浄部6の長手方向に直交する位置関係を有する板状の部材により構成されている。
【0044】
受け部64の上部前部には、シャッター部52の回転軸583が着脱可能に係合可能な切り欠きにより構成される回転軸係合部643が形成されている。シャッター部52の回転軸583が回転軸係合部643に係合することにより、シャッター部52は、シャッター洗浄部6に回転可能に支持されている。これにより、シャッター部52をシャッター洗浄部6と一体部品とすることができ、吐水対象であるシャッター部52のバラつきを最小にできる。
【0045】
受け部64の後端部642は、洗浄ノズル51を支持する支持枠501に当接している。これにより、シャッター洗浄部6は、シャッター洗浄部6に溶着された流入口615、流入口616から離れた位置においてベースプレート41に支持されている。このため、回転軸583を回転軸係合部643に押し込んで係合させているシャッターアーム58にシャッター部52を取り付ける際に、支持枠501に当接する受け部64が、押し込む力に抗して、シャッター洗浄部6が撓むことを抑えることが可能となる。
【0046】
受け部64の後端部642は、
図7に示すように、洗浄ノズル51とユニット化された支持枠501に当接する。これにより、シャッター洗浄部6は、洗浄ノズル51に対して位置決めされている。このため、洗浄ノズル51に対するシャッター洗浄部6の位置のバラツキを抑えることが可能となる。
【0047】
洗浄部被固定部66は、シャッター洗浄部6の流入口615、流入口616よりも、シャッター洗浄部6の長手方向における中央寄りの位置に、シャッター洗浄部6と一体で設けられている。洗浄部被固定部66は、ネジによりベースプレート41に固定されており、これにより、シャッター洗浄部6は、ベースプレート41に固定されている。
【0048】
シャッター部52の裏面52bには、シャッター部52を支持するシャッターアーム58が固定されている。シャッターアーム58は、シャッター部52の長手方向に延びる被支持部581と、被支持部581の両端部から下方向に延びる一対の板状のシャッター固定部582とを有している。シャッター固定部582の下部には、シャッター部52が固定されており、これにより、シャッターアーム58は、シャッター部52を支持する。被支持部581には、回転軸583が貫通している。回転軸583は、回転軸係合部643に係合する。これにより、シャッター部52及びシャッターアーム58は、受け部64に対して回転可能に支持される。
【0049】
次に、洗浄制御部55による洗浄ノズル51、ノズル洗浄部53、シャッター洗浄部6の洗浄の動作のタイミングについて、説明する。
洗浄制御部55は、
図11に示すように、衛生洗浄装置5の各洗浄動作を制御する。洗浄制御部55は、衛生洗浄装置5の洗浄に関する制御を実行するように、洗浄水回路56を制御する。
【0050】
先ず、洗浄制御部55は、洗浄ノズル51が格納位置(
図11における「収納」)にあるときに、洗浄ノズル51及びノズル洗浄部53からの洗浄水の吐水による前洗浄を行う制御をする。次に、洗浄制御部55は、シャッター部52よりも突出した位置である進出位置(
図11における「洗浄位置」)に洗浄ノズル51を前進させ、洗浄ノズル51から洗浄水を吐水して使用者の局部を洗浄する局部洗浄動作(
図11における「おしり洗浄」)を行う制御をする。
【0051】
次に、洗浄制御部55は、洗浄ノズル51を後退させて、洗浄ノズル51を格納位置(
図11における「収納」)に戻す制御をする。これと同時に洗浄制御部55は、ノズル洗浄部53のノズル上側洗浄部535及びノズル下側洗浄部536から洗浄水を吐水して、格納位置へ戻る途中の洗浄ノズル51、及び、格納位置へ戻った状態の洗浄ノズル51の洗浄を行う制御をする。そして、洗浄制御部55は、ノズル洗浄部53のノズル上側洗浄部535及びノズル下側洗浄部536からの洗浄水の吐水を終了する。
【0052】
次に、洗浄制御部55は、閉じた状態のシャッター部52に対して、シャッター洗浄部6の前面吐水口611及び裏面吐水口621から洗浄水の吐水を開始する制御を行う。これにより、洗浄水をシャッター部52の前面52a及び裏面52bに沿って流すことが可能となり、洗浄水がシャッター部52に強く当接して飛散することを回避することが可能となる。
【0053】
そして、所定時間経過後に、洗浄制御部55は、シャッター洗浄部6の前面吐水口611及び裏面吐水口621から洗浄水の吐水を終了する制御を行う。即ち、ノズル洗浄部53による洗浄ノズル51の洗浄の開始よりも後に、シャッター洗浄部6によるシャッター部52の洗浄を開始し、ノズル洗浄部53による洗浄ノズル51の洗浄の終了よりも後に、シャッター洗浄部6によるシャッター部52の洗浄を終了する。これにより、洗浄ノズル51の洗浄により飛散した汚物がシャッター部52に付着した場合に、シャッター部52の洗浄により汚物を除去することが可能である。
【0054】
その後使用者が便座から脱座した後に、洗浄制御部55は、進出位置(
図11における「洗浄位置」)に洗浄ノズル51を前進させる制御をする。次に、洗浄制御部55は、洗浄ノズル51を後退させて、洗浄ノズル51を格納位置(
図11における「収納」)に戻す制御をする。これと同時に洗浄制御部55は、ノズル洗浄部53からの洗浄水の吐水による後洗浄を行う制御をする。
【0055】
後洗浄においてノズル洗浄部53が吐出する洗浄水の量、流量(瞬時流量)、及び、流速は、前洗浄においてノズル洗浄部53が吐出する洗浄水の量よりも多い。これにより、ほとんど汚れていない洗浄ノズル51に対して行う前洗浄よりも、汚れが落とされた直後の洗浄ノズル51に対して行う後洗浄においてより多くの洗浄水で洗浄を行うことが可能となる。
【0056】
次に、洗浄制御部55は、後洗浄の後に銀イオン供給部537が洗浄水に銀イオンを供給する制御を行い、洗浄水を除菌水として、洗浄ノズル51に対してノズル上側洗浄部535の吐出口5351から吐水する制御を行う。即ち、除菌水供給部としての銀イオン供給部537及びノズル上側洗浄部535は、使用者が便器から脱座した後であって後洗浄の後に、除菌水を洗浄ノズル51に対して吐水する。これにより、後洗浄により確実に汚れが除去された状態で、且つ、使用者が着座していないときに、除菌水による洗浄ノズル51の除菌を行うことが可能となる。このため、除菌には所定の時間が必要となるが、その所定の時間を除菌水の吐水後に確保することが可能となる。
【0057】
本開示の好ましい実施形態について説明した。本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、他の実施形態として、
図12に示すように、洗浄ノズル51から洗浄水を吐水して使用者の局部を洗浄する局部洗浄動作(
図12における「おしり洗浄」)を終了した後で、且つ、ノズル洗浄部53のノズル上側洗浄部535及びノズル下側洗浄部536から洗浄水を吐水して、洗浄ノズル51の洗浄を開始した後であって、洗浄ノズル51が格納位置(
図12における「収納」)に移動する前に、除菌水を洗浄ノズル51に対して吐水する後洗浄を開始する。そして、ノズル洗浄部53のノズル上側洗浄部535及びノズル下側洗浄部536から洗浄水を吐水することによる洗浄ノズル51の洗浄を終了した後に、後洗浄を終了するようにしてもよい。この場合であっても、洗浄ノズル51の洗浄の終了後に除菌水の洗浄ノズル51への塗布が終了することが可能となる。
例えば、洗浄水を吐水して本体カバーとしてのカバー部材411を洗浄するカバー洗浄部を有し、カバー洗浄部のみへ洗浄水を流通させる専用水回路を有する構成としてもよい。この場合、カバー洗浄部は、シャッター洗浄部によるシャッター部の洗浄の後に、本体カバーを洗浄すればよい。
また、例えば、洗浄水を吐水してベース部材を洗浄するベース洗浄部を有し、ベース洗浄部のみへ洗浄水を流通させる専用水回路を有する構成としてもよい。この場合、ベース洗浄部は、シャッター洗浄部によるシャッター部の洗浄の後に、ベース部材を洗浄すればよい。
【符号の説明】
【0058】
1 便器装置、2 便器、4 機能部、5 衛生洗浄装置、6 シャッター洗浄部(装置洗浄部)、41 ベースプレート(ベース部材)、51 洗浄ノズル、52 シャッター部、53 ノズル洗浄部(装置洗浄部)、61 前面洗浄吐水部(表側洗浄部)、62 裏面洗浄吐水部(裏側洗浄部)、64 受け部、535 ノズル上側洗浄部(除菌水供給部)、536 ノズル下側洗浄部、537 銀イオン供給部(除菌水供給部)、L2 シャッター洗浄左側流路(装置洗浄部用水回路)、L3 シャッター洗浄右側流路(装置洗浄部用水回路)、L4 ノズル洗浄流路(装置洗浄部用水回路)、